その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

こまばアゴラ劇場サヨナラ公演 青年団『S高原から』(作・演出:平田オリザ)

2024-04-23 07:44:06 | ミュージカル、演劇
 
こまばアゴラ劇場サヨナラ公演、青年団による『S高原から』を観劇。10年ほど前に平田オリザさんの社会人向け演劇ワークショップに参加した際、『S高原から』はテキストして部分的に朗読した覚えある作品だ。
 
とある夏の日の午後の高原にあるサナトリウムが舞台。死と隣合わせで生活する患者たちと見舞いに訪れる友人・恋人たちとの会話が淡々と描かれる。

オリザさんらしく、日常の一瞬に現れる死生観や人の意識がさりげなく表現される。ダイナミックなプロットや明快な結論があるわけではない。夫々のエピソードの結末が回収されることもない。沈黙の間も多く、極めて普通の時間が舞台に流れることで、観るものは日々の自分たちの生活を見るように、療養所の談話室の出来事を目撃する。住宅街にひっそりと佇むこまばアゴラ劇場のように、この演劇もひっそりと佇んでいる感じだ。

役者さんは青年団らしい個性あふれる演技であったが、個人的には入院患者の西岡と村西を演じた、吉田庸さんと木村巴秋さんが舞台をしっかり支えてた。また、村西の恋人の友人久恵役の田崎小春さんの表情が印象的だった。

アゴラ劇場は通い詰めたというほどでは無いが、ちょくちょく青年団の芝居を中心にお邪魔してきて、いろんな思い出の詰まった場であったので、無くなるのはとっても寂しい。70名程度収容の芝居小屋的雰囲気がとっても好きだった。ありがとうございました。
 
劇場訪問の際は寄っていた近くの定食屋さん菱田屋も足が遠のきそうだ。残念・・・。
 
(2024年4月18日)
 
(劇場正面)

(1階ロビー)
(2014年公演のパネル)
(菱田屋さんの生姜焼き定食。これは本当に美味しい)
 
青年団第99回公演
こまばアゴラ劇場サヨナラ公演

『S高原から』
作・演出:平田オリザ
2024年4月5日(金) - 4月22日(月)

会場:こまばアゴラ劇場

出演     
島田曜蔵 大竹 直 村田牧子 井上みなみ 串尾一輝 中藤 奨 永山由里恵 南波 圭 吉田 庸 木村巴秋 南風盛もえ 和田華子 瀬戸ゆりか 田崎小春 松井壮大 山田遥野

スタッフ   
舞台美術:杉山 至
舞台監督:中西隆雄
照明:西本 彩
衣裳:正金 彩 中原明子
宣伝美術:kyo.designworks
票券:服部悦子
制作:金澤 昭
 
コメント
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