その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

マロさん最後のコンマスの定演:ソヒエフ、N響、ブラームス交響曲第1番ほか

2025-01-27 08:31:42 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

今月はソヒエフ祭り月間なのだが、先週のAプロは行けなかったので、Cプロから参加。当日券売切の盛況ぶりである。

ホールでプログラム読んで、この日がマロさんこそ篠崎史紀氏のN響定期でのコンサーマスターとしての最後の出番であることを知った。なんてこった !

個人的に面識があるわけではないが、その風格、オーラは威厳たっぷりでまさにミスターN響。その剛毅でダンディな外見と共にとっても知的で自由な雰囲気も纏っている。そして、繊細で緊張感あふれるヴァイオリンの音色にいつも魅了されてきた。そのマロさんのコンマス姿もこの定演が最後かと思うと何とも感慨深い。
 
そんな心の動揺が収まらないまま、楽員さん達が入場を始める。マロさんへはソヒエフにも劣らないほどの大きな拍手が満員の聴衆から寄せられた。
 
前半のストラヴィンスキーの組曲「プルチネッラ」は初めて聴く楽曲で、その古典的な旋律や雰囲気の音楽にびっくり。各楽器のソロが引き立つ曲でN響ソロ奏者達が創り出す音色が美しい。マロさんのヴァイオリンもいつも通り、切れ味鋭く3階席まで飛んできた。
 
後半のブラームス交響曲第1番は、ソヒエフの熱い指揮にN響が目一杯に応えた爆演。全体的にゆったりとしたペース(X上では「速め」、「標準的」というポストが殆どだったので、少数派の感想のよう)で、丁寧に音を引き出すソヒエフの指揮のもと、情報量多く、解像度が高い。様々な表情を見せつつ、温かさを感じる演奏だった。
 
重層的な弦の合奏や吉村さんのオーボエを初めとした管楽器の美しい音が耳に響く。第2楽章のマロさんの研ぎ澄まされたヴィオリンソロもさすが。第4楽章は、N響メンバーのマロさんへの惜別の想いがこもってるか如くの入魂の演奏。聴いている方も自然と前のめりになる。フィナーレの畳み込む迫力は通常の「良い」演奏とは別次元のものだった。
 
終演後は会場から割れんばかりの拍手と歓声に包まれた。何度も呼び戻されるソヒエフだが、途中、ソヒエフ自身がマロさんに記念の花束を持参しプレゼント。指揮者、楽員、聴衆らみんなの感謝の気持ちが表れていたホールだった。
 
マロさん去るのは寂しいが、また新しい人も含めて、伝統が革新とともに綿々と引き継がれて行くのだろう。貴重なN響の歴史的1ページの瞬間に立ち会うことができたことも含めて、大感謝の演奏会となった。マロさん、お疲れさまでした。ありがとうございました!
 

定期公演 2024-2025シーズンCプログラム
第2029回 定期公演 Cプログラム
2025年1月25日(土) 開演 2:00pm [ 開場 1:00pm ]

NHKホール

曲目
ストラヴィンスキー/組曲「プルチネッラ」
ブラームス/交響曲 第1番 ハ短調 作品68
指揮トゥガン・ソヒエフ

Subscription Concerts 2024-2025Program C
No. 2029 Subscription (Program C)
Saturday, January 25, 2025 2:00pm [ Doors Open 1:00pm ]
NHK Hall

Program
Stravinsky / Pulcinella, suite
Brahms / Symphony No. 1 C Minor Op. 68

Conductor Tugan Sokhiev

 
 
 
 
 
 
コメント
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