家人が読んでいたのを横から拝借。表題作を初め、6つの短編ミステリーを集めたもの。米沢氏の小説は初体験。最近、この中のいくつかの作品がNHKでドラマ化されたらしい。
複雑な人間心理や行動をえぐるような其々の物語は、短編とは言えとても読みごたえがあった。描写も洗練されており、イメージが明確に瞼に浮かび、作品としてどれも質が高く、味わい深い。個人的には「満願」「関守」「夜警」が好み。
ただ、複雑な人間心理を拠り所にしているため、私のような単純な人間には、殺人の動機に感情移入できないところはいくつかあった。これで人を殺すか、ここまでやるかって思ってしまう点はある。
それを差し置いても、おすすめであることは間違いない。これらの作品がどう映像化されたのか、NHKオンデマンドで見てみたいところ。
<目次>
夜警
死人宿
柘榴
万灯
関守
満願