その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ブロムシュテット祭り2公演目:N響10月A定期、ブラームス交響曲第4番ほか

2024-10-21 07:30:47 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

ブロムシュテットさん(以下、敬意を込めて翁)月間の第2弾の演奏会。NHKホールは満員の大入り。開演前から熱気でむんむんです。

この日のコンサートマスター川崎さんに支えられて、楽団員と一緒に入場する翁。先週のサントリーホールよりステージが1.5倍は広いので大変そうです。会場は感謝と歓迎の気持ちに溢れた拍手に包まれました。

プログラムはオネゲル交響曲第3番とブラームス交響曲第4番の組み合わせ。後半のブラームスが圧巻でした。

3階席から視覚的に印象的だったのは、川崎コンマスを筆頭にした弦陣の動き。翁の指揮に併せて、音楽と一体となったメンバーは前のめりに体で音楽を表現するかのよう。第1楽章後半や第4楽章では波が繰り返しうねっているかのようでした。そして、弦陣だけでなくオーケストラ全体から、この演奏に全身全霊で向き合う「気」が痛い程伝わってきました。

ただ、それでも、紡がれる音楽は熱量が前面に出るというようよりは、熱量を内に秘めながらも、純粋で清々しく聴こえました。ホールに来る前に代々木公園を歩いていた時に見上げた秋真っただ中の青空のように曇りがない。指揮者や演奏者の意図というよりも、音楽そのものの良さが最大限に引き出されていると感じます。

第2楽章の美しさは、何回もこの曲の演奏を聴いているはずなのに、まるで初めてのように、ハッとさせられる場面もいくつか。そして、第4楽章は、力の籠った演奏に負けじと前のめりで聴くのですが、終わりに向かってどんどんと突き進んでいくのがなんとも悲しい。少しでも、この幸福な時間が長く続いて欲しいと思っていたのは私だけでは無いのでは。

前半のオネゲルの交響曲第3番は全く初体験でした。曲タイトル通り、第1楽章<怒りの日>は厳しさに溢れる音楽でしたが、第2楽章<深い淵から>は美しいメロディにうっとり。言い訳っぽいですが、美しく優しい旋律に、軽く意識を失いかけました。そして、第3楽章はぐいぐいと堂々とした音楽が展開しつつ、終盤は再び美しく優美なメディに回帰しました。曲や演奏を、コメントする力はありませんが、神聖で魂に訴えてくるものを感じた音楽でした。

余談ですが、この日はNHKホールを埋め尽くした聴衆も素晴らしかったです。もちろん、咳などの生理現象が全くなくなるわけではないですが、演奏中の集中度や演奏後の静寂は、とても満員のホールとは思えないほど。聴衆の皆さんがこの演奏会を非常に大切なものとして、この場に向き合っているのが良く分かった気がします。

ブロムシュテット祭りもいよいよ来週のシューベルトプログラムを残すのみ。毎回が奇跡を目前で観ているような瞬間の連続です。最後、私も集中力マックスで、その場に居合わせる幸運を噛みしめたいと思います。

定期公演 2024-2025シーズンAプログラム
第2020回 定期公演 Aプログラム
2024年10月20日(日) 開演 2:00pm [ 開場 1:00pm ]

NHKホール

オネゲル/交響曲 第3番「典礼風」
ブラームス/交響曲 第4番 ホ短調 作品98

指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット

 

Subscription Concerts 2024-2025Program A
No. 2020 Subscription (Program A)
Sunday, October 20, 2024 2:00pm [ Doors Open 1:00pm ]

NHK Hall

Honegger / Symphony No. 3, Liturgique
Brahms / Symphony No. 4 E Minor Op. 98

Conductor: Herbert Blomstedt


(翁への参賀(ソロ・カーテンコール)が終わった直後。こんなにお客さんの残ってます)


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