ナショナル・シアター・ライブ(NTLive)で<マクベス>を見た。恥ずかしながら、NTLiveという企画、きっと何かで目にはしていたのだと思うのだが、全く認知していなかった。先日、松岡和子さんの「深読みシェイクスピア」が大変興味深かったので、久しぶりにまたシェイクピア劇が観たいなあと思い、探したところ偶然この企画とぶつかった。
驚いたことに、1週間限りの1日1回のみの上映ということもあってか、劇場のHPを見ていると予約開始日から早々に席が埋まっていき、連日満員なのである。私は予定をやりくりして、何とか最終日の上映に間に合わせた。満員のミッドタウン日比谷のTohoシネマは老若男女問わず幅広い層のお客さんで熱気に溢れており、通常の映画の倍近くの価格で上映されるイギリスの劇場のフィルムがこんなに人気があるとは、正直びっくりだった。<マクベス>だからなのだろうか???
前置きが長くなったが、公演は実に素晴らしく、流石本場ロンドンのシェイクスピアものだなと思わせるものだった。ノリスの演出は、<マクベス>を現代に読み替えたが、全く違和感なく、人間の野望や悔恨・恐れの念、そして夫婦の愛らが時代を超えて普遍的であることを示していた。改めてシェイクピアの人間洞察の鋭さに感服する。
全体的にかなり照明を落とした暗めの舞台で、舞台中央にアーチ形の橋のような「花道」を使う舞台セットは立体的で空間的奥行きを上手く表していた。首を切り取り戦果とするなどかなり残酷なシーンもあるが、効果的な生音楽も挿入され、緊張感あふれる引き締まった舞台だ。回転舞台の活用も有効で、観る方も集中できる舞台装置だったと思う。
ライブ映像ということで、映像チームによるカメラワークが視覚効果を高めていたところもある。現場で生で見たかったなあ。
役者陣では主役のマクベス夫婦の熱演が光る。ローリー・キニアは、前中盤の逡巡するマクベスと後半の破滅に突き進むマクベスを、継続性を保ちつつ成長(変化)を織り込んで上手く演じた。強気なところを見せながらも、後段、恐れ、怯えて自壊に向かうマクベス夫人のアン-マリー・ダフも素晴らしい迫力だった。また、私的には、毎回「マクベス」で注目第一のキャラである魔女たちが、現代風でパンクっぽくて気に入った。
NTLのHPを見るとこれからも面白そうな演目が目白押しである。これはハマる予感。
原題:Macbeth上演劇場:英国ナショナル・シアター オリヴィエ劇場)
収録日:2018/5/10 尺:2時間40分(休憩あり)
作:ウィリアム・シェイクスピア
演出:ルーファス・ノリス
出演:ローリー・キニア、アン-マリー・ダフ ほか
〈初・日比谷ミッドタウン訪問、広場のゴジラ像〉
Cast:
Nadia Albina
Michael Balogun
Stephen Boxer
Anne-Marie Duff
Trevor Fox
Andrew Frame
Kevin Harvey
Hannah Hutch
Nicholas Karimi
Rory Kinnear
Joshua Lacey
Penny Layden
Anna-Maria Nabirye
Patrick O'Kane
Amaka Okafor
Hauk Pattison
Alana Ramsey
Beatrice Scirocchi
Rakhee Sharma
Parth Thakerar
Sarah Homer
Production team
Director: Rufus Norris
Set Designer: Rae Smith
Costume Designer: Moritz Junge
Lighting Designer: James Farncombe
Music: Orlando Gough
Sound Designer: Paul Arditti
Movement Director: Imogen Knight
Michael Balogun
Stephen Boxer
Anne-Marie Duff
Trevor Fox
Andrew Frame
Kevin Harvey
Hannah Hutch
Nicholas Karimi
Rory Kinnear
Joshua Lacey
Penny Layden
Anna-Maria Nabirye
Patrick O'Kane
Amaka Okafor
Hauk Pattison
Alana Ramsey
Beatrice Scirocchi
Rakhee Sharma
Parth Thakerar
Sarah Homer
Production team
Director: Rufus Norris
Set Designer: Rae Smith
Costume Designer: Moritz Junge
Lighting Designer: James Farncombe
Music: Orlando Gough
Sound Designer: Paul Arditti
Movement Director: Imogen Knight
Fight Director: Jeremy Barlow
Fight Director: Kev McCurdy
Music Director: Marc Tritschler
Company Voice Work: Jeannette Nelson
Associate Set Designer: Aaron Marsden
Staff Director: Liz Stevenson
Fight Director: Jeremy Barlow
Fight Director: Kev McCurdy
Music Director: Marc Tritschler
Company Voice Work: Jeannette Nelson
Associate Set Designer: Aaron Marsden
Staff Director: Liz Stevenson