その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ナショナル・シアター・ライブ NTLive 《マクベス》

2019-02-23 07:30:00 | ミュージカル、演劇

ナショナル・シアター・ライブ(NTLive)で<マクベス>を見た。恥ずかしながら、NTLiveという企画、きっと何かで目にはしていたのだと思うのだが、全く認知していなかった。先日、松岡和子さんの「深読みシェイクスピア」が大変興味深かったので、久しぶりにまたシェイクピア劇が観たいなあと思い、探したところ偶然この企画とぶつかった。

驚いたことに、1週間限りの11回のみの上映ということもあってか、劇場のHPを見ていると予約開始日から早々に席が埋まっていき、連日満員なのである。私は予定をやりくりして、何とか最終日の上映に間に合わせた。満員のミッドタウン日比谷のTohoシネマは老若男女問わず幅広い層のお客さんで熱気に溢れており、通常の映画の倍近くの価格で上映されるイギリスの劇場のフィルムがこんなに人気があるとは、正直びっくりだった。<マクベス>だからなのだろうか???

前置きが長くなったが、公演は実に素晴らしく、流石本場ロンドンのシェイクスピアものだなと思わせるものだった。ノリスの演出は、<マクベス>を現代に読み替えたが、全く違和感なく、人間の野望や悔恨・恐れの念、そして夫婦の愛らが時代を超えて普遍的であることを示していた。改めてシェイクピアの人間洞察の鋭さに感服する。

全体的にかなり照明を落とした暗めの舞台で、舞台中央にアーチ形の橋のような「花道」を使う舞台セットは立体的で空間的奥行きを上手く表していた。首を切り取り戦果とするなどかなり残酷なシーンもあるが、効果的な生音楽も挿入され、緊張感あふれる引き締まった舞台だ。回転舞台の活用も有効で、観る方も集中できる舞台装置だったと思う。

ライブ映像ということで、映像チームによるカメラワークが視覚効果を高めていたところもある。現場で生で見たかったなあ。

役者陣では主役のマクベス夫婦の熱演が光る。ローリー・キニアは、前中盤の逡巡するマクベスと後半の破滅に突き進むマクベスを、継続性を保ちつつ成長(変化)を織り込んで上手く演じた。強気なところを見せながらも、後段、恐れ、怯えて自壊に向かうマクベス夫人のアン-マリー・ダフも素晴らしい迫力だった。また、私的には、毎回「マクベス」で注目第一のキャラである魔女たちが、現代風でパンクっぽくて気に入った。

NTLHPを見るとこれからも面白そうな演目が目白押しである。これはハマる予感。

 

原題:Macbeth上演劇場:英国ナショナル・シアター オリヴィエ劇場)

収録日:2018/5/10 尺:2時間40分(休憩あり)

作:ウィリアム・シェイクスピア

演出:ルーファス・ノリス

出演:ローリー・キニア、アン-マリー・ダフ ほか

〈初・日比谷ミッドタウン訪問、広場のゴジラ像〉

 

Cast:

Nadia Albina

Michael Balogun

Stephen Boxer

Anne-Marie Duff

Trevor Fox

Andrew Frame

Kevin Harvey

Hannah Hutch

Nicholas Karimi

Rory Kinnear

Joshua Lacey

Penny Layden

Anna-Maria Nabirye

Patrick O'Kane

Amaka Okafor

Hauk Pattison

Alana Ramsey

Beatrice Scirocchi

Rakhee Sharma

Parth Thakerar

Sarah Homer

 

Production team

Director: Rufus Norris

Set Designer: Rae Smith

Costume Designer: Moritz Junge

Lighting Designer: James Farncombe

Music: Orlando Gough

Sound Designer: Paul Arditti

Movement Director: Imogen Knight

 

Michael Balogun

Stephen Boxer

Anne-Marie Duff

Trevor Fox

Andrew Frame

Kevin Harvey

Hannah Hutch

Nicholas Karimi

Rory Kinnear

Joshua Lacey

Penny Layden

Anna-Maria Nabirye

Patrick O'Kane

Amaka Okafor

Hauk Pattison

Alana Ramsey

Beatrice Scirocchi

Rakhee Sharma

Parth Thakerar

Sarah Homer

 

Production team

Director: Rufus Norris

Set Designer: Rae Smith

Costume Designer: Moritz Junge

Lighting Designer: James Farncombe

Music: Orlando Gough

Sound Designer: Paul Arditti

Movement Director: Imogen Knight

Fight Director: Jeremy Barlow

Fight Director: Kev McCurdy

Music Director: Marc Tritschler

Company Voice Work: Jeannette Nelson

Associate Set Designer: Aaron Marsden

Staff Director: Liz Stevenson

 

Fight Director: Jeremy Barlow

Fight Director: Kev McCurdy

Music Director: Marc Tritschler

Company Voice Work: Jeannette Nelson

Associate Set Designer: Aaron Marsden

Staff Director: Liz Stevenson

 

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