その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

橋爪 大三郎, 大澤 真幸, 宮台 真司 『おどろきの中国』 (講談社現代新書、2012)

2019-02-08 07:30:00 | 



2012年の新刊直後に買ったまま、私のごみ箱部屋に埋もれていたのを年末の大掃除で発掘。新刊時はそれなりに評判になった本だったはずである。

著名な日本の社会科学者3名が、中国、その近現代史、日中関係、将来について語り合う。鼎談なので話し言葉ではあるが、内容はかなりアカデミックで知的興味をそそる。中国人の発想、中国社会の構造、日中関係を見る視座など、勉強になるところも多く、楽しんで読めた。

一方で、学者さんの会話ならではの限界を感じるところも多い。中国は西洋的な社会科学の概念では捉えきれないと前半で話しつつも、その分析はウェバー、フーコーなど西洋の学者の枠組みを借りたものが多いし、インテリの言葉遊び、概念遊び的なところを感じてしまうところもあるのも事実。私のやっかみも多分にあるのだろうが、「どうだ、俺たち、賢いだろう。こんな概念使って、中国を縦横無尽に裸にしてやったぜ。すごいだろ。」みたいな知的マスターベーションの匂いを放っているのが鼻についた。

はたして、その彼らの知識、知力、饒舌は、現実を変えるのにどれだけの力をもっているのだろうか。

目次
第1部 中国とはそもそも何か
第2部 近代中国と毛沢東の謎
第3部 日中の歴史問題をどう考えるか
第4部 中国のいま・日本のこれから
コメント
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