その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

N響 2月定期Aプロ/ 指揮:パーヴォ・ヤルヴィ/ハンス・ロット 交響曲 第1番ほか

2019-02-11 07:30:00 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


「ハンス・ロット、who?」って感じで、音楽はもちろんのこと、名前も聞いたことない音楽家でしたが、丁度、神奈川フィルが前日に同じ曲を取り上げたこともあってか、Twitter上のクラシック愛好家の皆様の間では話題が持ちきりでした。そんなこともあり、期待を膨らませてNHKホール入り。

プログラムを見てびっくり。マーラーと同級生、かつ25歳の若さで亡くなっている。私が知っている若くして亡くなった作曲家はシューベルト(31歳)やモーツアルト(35歳)とかですが、25歳は破格の夭逝です。交響曲第一番はそのロットが20代の時に書かれた音楽です。

そして、聴いてさらにびっくり。音楽自体は若さがきらめく瑞々しい音楽であるのに加えて、第1楽章からどうも雰囲気がマーラーに似ているなあ~という印象。それが第3楽章になると、どう聴いてもこれはマーラーの1番と2番の旋律ではないか!似ているどころでなく、同じ!プログラムには「マーラーに影響を与えた」とあるので、あのマーラーがここまでコピペした(引用した)音楽が目の前で演奏されているのを聴くのは相当の驚きでした。

そうしたところを含めて、個人的に好きな音楽でした。第4楽章などはややくどさを感じるところはありましたが、フィナーレに向けて盛り上げっていくところも勢いがあって素敵。精神病で病んでいた音楽家が作った曲には思えませんでした。

パーヴォさんは相変わらず見事な棒捌き。応えるN響も、ホルン、トランペットを初め、木管やヴァイオリンの芸達者のソロ陣、そして一糸乱れぬアンサンブルが相まって、初めて聴くとは思えないほど、音楽にのめり込んで聴くことができました。

前半はR・シュトラウスのヴァイオリン協奏曲。こちらはなんと、シュトラウスが17歳で作曲した音楽。こちらも聴くのは初めてですが、こちらも清明で、若さが感じられる音楽で非常に聴きやすい。ヴァイオリンソロのアリョーナ・バーエワさんは、カザフスタン出身の美人バイオリニストで、力強い演奏を披露してくれました。煩悩溢れる私はどうも容姿に目移りして、音楽に集中できませんでした。反省。

同世代のドイツ・オーストリアの作曲家の若き時の音楽を揃えた本プログラム。パーヴォさんらしい凝ったものでとっても楽しめました。この日のコンサートマスターはゲストコンマスの白井圭さん。ゲストとは思えない堂々としたコンマスぶりでした。


第1906回 定期公演 Aプログラム
2019年2月10日(日) 開場 2:00pm 開演 3:00pm
NHKホール

R.シュトラウス/ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品8
ハンス・ロット/交響曲 第1番 ホ長調
ス・ロット/交響曲 第1番 ホ長調

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
ヴァイオリン:アリョーナ・バーエワ

No.1906 Subscription (Program A)
Sunday, February 10, 2019 3:00p.m. (doors open at 2:00p.m.)
NHK Hall

R.Strauss / Violin Concerto d minor op.8
Hans Rott / Symphony No.1 E major

Paavo Järvi, conductor
Alena Baeva, violin
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