★★たそがれジョージの些事彩彩★★

時の過ぎゆくままに忘れ去られていく日々の些事を、気の向くままに記しています。

太宰治、志賀直哉をディスる

2015年07月15日 20時14分54秒 | 徒然(つれづれ)
 太宰の作品に「如是我聞」というのがある。にょぜがもんと読む。
 小説ではない。
 当時の文壇の重鎮、かの文豪、志賀直哉に大上段から切り込んだ批判書だ。

 曰く「志賀直哉という作家がある。アマチュアである。六大学リーグ戦である。所詮あの人は成金に過ぎない。普通の小説というものが、将棋だとするならば、あいつの書くものなどは、詰将棋である。旦那芸の典型である。勝つか負けるかのおののきなどは、微塵もない。そうして、そののっぺら棒がご自慢らしいのだからおそれ入る。阿呆の文章である。おまえはいったい、貴族だと思っているのか。ブルジョアでさえないじゃないか。「暗夜行路」? 大袈裟な題をつけたものだ。自分のハッタリを知るがよい。いったい、この作品のどこに暗夜があるのか。ただ、自己肯定のすさまじさだけである。君の文学には、どだい、何の伝統もない」云々。
 
 何かの座談会で自著を批判された恨みの反論文だが、抜粋なので本文はもっと辛辣だ。 

 大文豪も太宰にかかったらケチョンケチョンである。
 旧態依然の文壇の体制に、竹槍かかえて孤軍奮闘の体だ。
 結局、文壇改革はままならず、自死を遂げるわけだが、その破れかぶれの心意気たるや見上げたものだ。
コメント
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