太宰の作品に「如是我聞」というのがある。にょぜがもんと読む。
小説ではない。
当時の文壇の重鎮、かの文豪、志賀直哉に大上段から切り込んだ批判書だ。
曰く「志賀直哉という作家がある。アマチュアである。六大学リーグ戦である。所詮あの人は成金に過ぎない。普通の小説というものが、将棋だとするならば、あいつの書くものなどは、詰将棋である。旦那芸の典型である。勝つか負けるかのおののきなどは、微塵もない。そうして、そののっぺら棒がご自慢らしいのだからおそれ入る。阿呆の文章である。おまえはいったい、貴族だと思っているのか。ブルジョアでさえないじゃないか。「暗夜行路」? 大袈裟な題をつけたものだ。自分のハッタリを知るがよい。いったい、この作品のどこに暗夜があるのか。ただ、自己肯定のすさまじさだけである。君の文学には、どだい、何の伝統もない」云々。
何かの座談会で自著を批判された恨みの反論文だが、抜粋なので本文はもっと辛辣だ。
大文豪も太宰にかかったらケチョンケチョンである。
旧態依然の文壇の体制に、竹槍かかえて孤軍奮闘の体だ。
結局、文壇改革はままならず、自死を遂げるわけだが、その破れかぶれの心意気たるや見上げたものだ。
小説ではない。
当時の文壇の重鎮、かの文豪、志賀直哉に大上段から切り込んだ批判書だ。
曰く「志賀直哉という作家がある。アマチュアである。六大学リーグ戦である。所詮あの人は成金に過ぎない。普通の小説というものが、将棋だとするならば、あいつの書くものなどは、詰将棋である。旦那芸の典型である。勝つか負けるかのおののきなどは、微塵もない。そうして、そののっぺら棒がご自慢らしいのだからおそれ入る。阿呆の文章である。おまえはいったい、貴族だと思っているのか。ブルジョアでさえないじゃないか。「暗夜行路」? 大袈裟な題をつけたものだ。自分のハッタリを知るがよい。いったい、この作品のどこに暗夜があるのか。ただ、自己肯定のすさまじさだけである。君の文学には、どだい、何の伝統もない」云々。
何かの座談会で自著を批判された恨みの反論文だが、抜粋なので本文はもっと辛辣だ。
大文豪も太宰にかかったらケチョンケチョンである。
旧態依然の文壇の体制に、竹槍かかえて孤軍奮闘の体だ。
結局、文壇改革はままならず、自死を遂げるわけだが、その破れかぶれの心意気たるや見上げたものだ。