時事通信より。
東証1部上場の産業部品メーカー、KYBが地震に備える免震・制振装置の検査データを改ざんしていたことが分かり、全国に波紋が広がっている。仕組みや安全性への影響をまとめた。
―免震・制振装置とは。
「オイルダンパー」と呼ばれる装置だ。筒状の金属と棒の間に粘り気のある油を注入し、その抵抗力で衝撃を吸収する。小さいものは自動車のサスペンションにも使われている。地下に設置して地面の揺れを建物に伝えないようにする免震用と、各階の天井と床の間に斜めに取り付けて地震や強風による建物の振動を抑える制振用がある。
―不正の内容と動機は。
性能検査で国の基準や顧客と約束した数値を満たしていなかったのに、検査員がデータを書き換えて出荷していた。本来、不適合品は分解・調整を行わなければならないが、納期などの問題があり不正に走ったという。不適合品は交換する。
―どこに使われているのか。
調査中を含め、全都道府県の986の建物に使われた。住居用が最も多く、病院や自治体庁舎にもある。具体的な建物名は公表されていない。改ざんと確認されたわけではないが、東京都や大阪府、愛知県などの庁舎にはKYBの装置が使われ、東京スカイツリーなど観光名所にもある。
―最近は地震が多い。安全性は大丈夫なのか。
KYBは第三者機関に依頼して構造上の安全性を検証し、震度7程度の地震でも倒壊の恐れはないと確認したと説明した。マンション購入で免震性能を重視する人は多い。免震・制振装置は安心してくつろぐ場所や、多くの人が利用する施設に使われる重要なものだ。この分野で国内トップシェアのKYBの不正が長年見逃されてきたのは大きな問題だ。<了>
またもや大手企業の不祥事である。
それも長年にわたり不正を知りながら見逃してきた罪は大きい。まずは該当する部品の確認と対応が求められる。納品(設置)実績が多いだけに、その確認と対応だけで長期化するのは避けられず、全容解明にはしばらく時間を要しそうだ。
ここまで隠蔽してきた企業体質が問われ、企業としての存続が危ぶまれる事態になるだろう。それでなければ、日本社会は自浄能力に欠くと国際社会で評価されるに違いない。
それだけの企業での不祥事であり、やらかしたことの重大さを認識すべき時案である。
かつての経営陣も、自分の時代では何事もなければ・・・という責任回避に近い感覚(事なかれ主義)があったのは間違いない。
そういう後ろ向きの感覚が、色濃く残る日本の大手企業の実体(本質)が見え隠れする。
いろんな企業や団体が似たような不祥事に直面しながら、改善しようとしない取り組みはあまりにも消極的だし、前進を疎外しているといえる。
日本人=勤勉なのは、過去のことになりつつある。
失敗や失策をチャンスにする気概のある経営者や事業体が増えないと、この国の未来は明るくないような気がする。
少なくとも、こんな風にはなりたくないと、小規模事業者として気持ちを新たにしたのである。