隔月で寄稿している rat52 への記事
4月末に発行されました。
たまには、ブログにも掲載してみます。
これが、デザインされると、素敵になるから不思議ですよね。
デザイン誌に興味がある方は、こちらへ
https://reik85.wixsite.com/rei-1
以下、寄稿した記事です。
「楽器への憧れ」
高校三年生の文化祭、担当だった社会の先生が素晴らしいブルースハープの三重奏をして見せてくれた。こんなに綺麗に弾けるものなんだなぁって感動した。演奏していた先生は輝いていて、なんだかとてもうらやましく感じた。楽器を弾ける大人に憧れた。
高校時代に幼馴染がギターをはじめたとき、聞き役に回ってしまい。自分もやりたいと言い出しづらくなったのが最初。大学時代に、和楽器や民族楽器のサークルを探せど見つからず。マンドリンクラブの勧誘の軽薄さに嫌気がさして入る気になれず。その後にも勇気が出なくて、なかなか楽器をやるきっかけに出会えなかった。その代わりにいろんな経験は出来たし、後悔はしていないけれど、忙しさに追われていつのまにか今に至る。結局、楽器にはあまり縁がない生活をしている。
不思議と口笛は得意だった。小学生の頃は放課後の時間を持て余して、なにをしたらいいか毎日考えていたから、口笛は格好の暇つぶしだった。学校で吹いていると叱られたから、一人の時にしか吹かなかったけれど。
よく吹いていたのは「小さな木の実」。小学校の頃、姉が合唱部で歌を覚えていて、練習に付き合い何度も歌った曲。今も忘れないそのメロディ。気がつくと吹けるようになっていた。何度も何度も、飽きもせずに吹いていたら、かなり忠実な音が出せるようになった。大学時代に親しくなった友達に聞かせてあげたら、ほめてもらえた。そんな想い出。楽器にはそんな記憶しかない。子供達に吹いてあげると、喜んでくれたり感心してくれたりもするから不思議。どこで役立つかわからないものだ。
娘二人はピアノを学び、上の娘は合唱を六年、今はバイオリンに傾倒している。下の娘は絶対音感に近いものを持ち、聞いた音をドレミに変えてすぐに歌えたりもする。
発表を聞きに行くのが、1番の楽しみ。つい先日も上の娘が定期演奏会で「奏」の指揮を担当しつつも、ニ時間半の長丁場を立派に演奏出来た。下の娘も発表会にて、流行りの「炎」をフルコーラスで、胡蝶しのぶの衣装を纏いピアノソロで演奏させてもらえた。心からの笑顔を娘二人から見せてもらい、我が事のように嬉しかった。新型コロナウイルス対策を行いながらの開催、主催関係者の方々に頭が下がる思いである。
子育てが落ち着いたら、楽器をやるのも楽しいだろうか。今更だけれど、まだ人生は長い。娘二人がせっかく得意なのだから、上手くなって一緒に弾けたらいいなぁ。楽しそうだ。そんなことを考えながら、日々の仕事や家事に追われる毎日。まぁ想像するだけでも、楽しいんだけれどもね。