かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

すごく興味深い記事なのですが、書いてある内容がもう一つ判然としないのが困ったところです。

2007-07-10 23:10:33 | Weblog
 やはり梅雨時は天気が一番気にかかるところですが、今日はようやく季節らしい一日で、通勤の往復とも全行程雨合羽着用で、見事にしとどに濡れそぼちました。雨の日は走る前の着替えと到着後の後始末がなんとも面倒で時間がかかるのですが、今頃の季節の場合、走っている最中は案外気持ちのいいもので、少々タイヤのグリップが心もとなく感じられるのと、暗くなってくると対向車のライトが厄介なのを除けば、個人的にはさほど嫌いではありません。まあそれもたまにだから言えることで、連日雨中走行となればまた気持ちよいといった舌の先も乾かぬうちに、愚痴の一つも出るに違いないのですが、とりあえず今のうちは機嫌よく雨の中を走ることができます。

 さて、ネットニュースを見てましたら、なかなか興味深い話が出ておりました。といっても昨日のようなあたら恐ろしげな話題ではなく、人類の未来を切り開いてくれるかもしれない研究の話題です。日本大学生物資源科学部の奥忠武教授らが、植物の光合成能力を増強し、植物を大きく育てられる手法の開発に成功したのだそうです。人工的に巨大な植物を作れる可能性が見つかったとのことで、ひょっとしたら「ジャックと豆の樹」の童話みたいな夢の話も遠い将来にはありうるのかもしれません。と、そんな夢物語はともかく、もう少し詳しく記事を読んでみると、奥教授らは、光合成の中でも、明反応と呼ばれる反応系の強化に成功したとのことです。明反応というのは、簡単に言うと光エネルギーを植物が利用できる形に固定するためのもので、そうやって蓄積したエネルギーを使って、夜暗くなってから、糖を作ったりして植物は自身を養うのです。こちらは、暗反応と呼ばれています。そのとき、重要な役割を果たすのが電子を伝達する役目を持ったたんぱく質なのですが、それが高等植物では進化の過程で1種類しかないのを、「すしのり」なる下等植物がもつ違う種類の電子伝達分子(シトクロムと記事にはありました)をシロイヌナズナに遺伝子組み換えで導入し、高等植物の光合成能の強化と植物体の巨大化(3割大きくなった)に成功したとの内容でした。それをもって記事の表題が「光合成を3割増強する手法開発」。
 ううむ・・・。突っ込みどころ満載な記事なのですが、おそらく記者さん教授の話をちゃんと咀嚼できなかったのでしょうね。すくなくとも「すしのり」なる植物はありませんし、私のうろ覚えの知識でも、シトクロムは一種類ではないし高等植物でもちゃんと利用されていることを覚えていますから。あんまりわけが判らないので教授の研究室を探し、そこのトピックを見たのですが、紅藻のシトクロムタンパクの構造解析を2000年6月に成功したというのが一つ載せてありました。紅藻は私達が普段食べている海苔の原料となる海草で、アサクサノリなどが知られています。多分教授が取材を受ける中で、それら海草を「すしに使う海苔のことですよ」とでもおっしゃったんでしょう。そしてそれをそのまま書いてしまったと。でも、間違いを書くくらいなら、読者にもわかりやすく、単に海草でよかったんじゃないか、と私などは思います。
 また、記者さんは光合成とか電子伝達系とか話を聞いてもちんぷんかんぷんだったろうと想像されるのですが、取材するのなら、せっかくのすばらしい研究成果を誤り無く伝えられるよう、もう少し予備知識を蓄えてから出かけるべきだったのではないでしょうか。いまやネットで検索するだけで光合成も電子伝達系も結構な知識を得られるようになっていますし、それらを一通り眺めてから行けば、もう少し違った書き方ができたんではないか、と思うのです。まあそれよりも、マスコミにもっと理系の人達がたくさん入った方が話が早いかもしれないですね。そうすれば、いまいち統計的に意味があるのか疑問のある世論調査、なども内容が変ってくるかもしれませんし。ついでに政界とか官僚にも、もう文系の人はあんまりいらないんじゃないか、とか思ったりもいたしました。

コメント
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