鈴鹿市議会議員 中西だいすけの活動日誌

鈴鹿市議会議員として年齢も含め5期目のベテランになりました。日々の活動や感じたこと、議会での動きなどをつづります。

9月定例会・議案討論

2016年10月01日 22時35分06秒 | Weblog

9月定例会で行った議案討論です。ここの文面は、討論する際の基本文面で、、実際には他の方の討論を聞きながらもう少し言葉を追加しています。

ちなみに反対した議案について( 賛成30:反対1 )という状況でした。

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 議席11番 中西大輔です。
 私は今定例会に提出された議案について、議案第41号鈴鹿市一般会計補正予算(第1号)に反対、残り議案には賛成の立場で討論します。

 議案第41号に反対の理由は、10款教育費における普通教室等空調設備整備費、小中学校の普通教室へのエアコン設置に関係する予算と債務負担行為について、今回の議案では賛成しかねるためです。

 会派内の議論で、エアコンを導入すると、今後10年、毎年1.6億円のリース料が発生し、第2学校給食センターの年間3.2億円の維持管理費とあわせると約5億円が、新たに教育費でのランニングコストの経費増となり、本年度の教育予算45.5億円で考えると、1割以上を占める状況になり、教育にかける予算のあり方として、非常に憂慮すべきだという意見がありました。
 また、本年度の教育予算説明時に、平田野中学校や給食センター建設が終わり、大幅に予算が減額となったと説明があったが、これらと関係する平成25年度と26年度の教育決算額について、鈴鹿市の類似都市の1人当たりの教育決算額と比べ、類似都市を100とすると、25年度が73.6%、26年度でも98.2%と低い現状について、教育予算の大幅な増額をすべきであり、エアコンを導入するのであれば、他の予算を削ってでも、教育予算を大幅に増額すべきという意見がありました。
 他に、地域づくりの説明会などで行っている説明内容と、今回の予算は矛盾する部分があるのではないかという意見もあります。

 これらを踏まえて、私の考えを述べます。
 エアコンについて、あればよいとは私も思います。しかし、扇風機が設置されている現在、鈴鹿市の多くの政策課題、教育課題の中で優先度を考えると、今すぐ取り組むものではないと判断します。先に取り組むべき課題があります。

 また、議案質疑などに対する答弁には納得できない部分があります。
 ひとつめに、債務負担行為16億2774万円について、財源の考えが明確でないことがあります。ふたつめに、空調機器を省エネで効率的かつ効果的に運用するには、建物の断熱と夏の直射日光の遮光を行うべきです。みっつめに、公共施設マネジメント、つまり他の教育施設改修の課題をどう進めるかが説明されていません。よっつめに、プロポーザルの内容も明らかではなく、マイクログリッドに関する情報について精査しきれていないことがあります。

 たしかに、国補助という魅力的な部分もありますが、それでも、債務負担行為として10年で16億2774万円が計上され、1年あたり1.6憶円、電気代も含めると2億円近い支出になることは、厳しい財政状況の中で、政策の選択肢を狭めかねないでしょう。

 例えば、今年度を考えても、国民健康保険税の大幅増税の影響への対応に関して、まだ未整理の部分が多く残っています。今定例会の地域福祉委員会の審議において、平成30年度の国保広域化移行の時点で、県からの借り入れが約1.8憶円残ると想定されることがわかりましたが、その対応をどうするかも定まっていません。
 また、議案48号の条例改正により、子ども医療費の助成が中学生の通院まで拡大したことにより、対象者が約6,500人増え、市負担の助成額は約8,800万円増えることが見込まれています。県財政も厳しい中、どれだけの県補助があるかは未定です。
 これらだけを考えても、10年間にわたる歳出増を安易に決められないはずです。

 教育政策の中での優先度で考えれば、まず学校規模適正化事業で今後の鈴鹿市の学校施設のあり方の方向性を出すべきでしょう。少なくとも今後10年の間で白子中学校の改修は避けられず、改修とあわせて学区の見直しを行うとすれば周辺中学校のあり方も検討すべきで、大木、千代崎、鼓ヶ浦、天栄などの改修も考えることになるはずです。
 また、エアコンを実際に使用するのは年間で半年もないでしょう。であれば、1年を通して子どもたちの学校生活環境に関係するトイレの乾式化や洋式化などの改修や、情報センターとして学校図書館を充実することなどにこそ、優先的に手を付けるべきです。公務パソコンやシステムの導入とあわせてICT教育の推進なども必要でしょう。
 これらに加えて、学力向上や子どもの貧困対策も含めた政策に予算を配分することが、鈴鹿市の教育にとって優先度が高いはずです。

 私は学校施設についていま述べたことの実施を前提として、それらと並行しながら、放課後児童クラブの事業を各学校で行うようにし、すべての子供が無償でいられるようにすべきだと考えます。そうすれば、貧困だけでなく、ネグレクトのような課題を持つ、支援をするべき子たちも、自然にその場にいることができるため、きめ細かい育ちの支援ができると考えます。
 また、誰もが行くことができ無償であれば、保護者の心理面や金銭的負担の軽減が期待されます。金銭的な部分では、子ども1人に月約1万円、きょうだいもあることから対象を1,500世帯と仮定して計算すると、1万×12カ月×1500で1億8千万円が家計に戻り、可処分所得が増えると考えられます。
 子どものセーフティネットの場として学校を充実させるために1.6億円を毎年投資すれば、その投資以上のメリットがあるはずです。
 
 財源について、人口も経済も右肩上がりで増えることは期待できず、実際に平成27年度の決算でも市民税が減収となっている中で、毎年1.6億円をどう捻出するのか、税収が上がる、行財政改革で支出を減らす、借金をする、貯金である財政調整基金を取り崩すなどが考えられます。しかし、税収が上がる以外は、子どもへのツケまわしになるでしょう。
 また、年1.6億を投入するために他の予算を削り、その上さらに教育予算を増額するには、他の政策課題に対する予算をさらに削る必要がでるでしょう。が、需要の増える福祉に関する予算は削りにくい、公共施設やインフラの維持更新もしなければいけない。であれば、人件費の見直しとなるでしょうが、この3月に一般職給与も特別職報酬もあげたばかりで、それをすぐに撤回するのは、先を考えていなかったと言うようなものでしょう。
 他、学校プールの複数校での共有化などさまざまな事業の見直しを行うにも、多様な市民意見を踏まえた合意形成が必要になるでしょう。
 このように、財源について現時点で手詰まりの状況で拙速に結論を出すことは、将来に対しての負債を増やすという危惧があります。
 
 以上のように考えたとき、今定例会での空調設置に関する予算に賛成しかねるという結論に至り、反対の立場をとります。
 
 
 賛成議案について意見を述べます。
 決算関係の議案全体からですが、国民健康保険事業について、今年度の予算審議の際もありましたが、税の公平性の観点を踏まえながらも、負担増となる加入者の方々の生活への影響を調査し、必要であれば適切な支援を行うべきです。その上で、平成30年に向けて県からの借り入れ残がなくなるように、財源のあり方を検討すべきです。また収納対策では、歳入の入り口の部分、各種支援金などについて国保税完納を条件にすることを、表に出すことも検討すべきでしょう。
 
 介護予防に関する事業について、現在は65歳以上で考えられているようですが、持続的な制度の運用を考えれば、やはり介護保険に加入する40代から取り組むことが必要です。その際、介護予防と保険金の関係なども説明しつつ、自分ごととして考えて頂けるように取り組むべきでしょう。審議の中で、そのための啓発事業は市内でまんべんなく行われていないことが、提供された資料から分かりました。やはり、地域づくりと関連付けながら、健康と介護要望に関する啓発事業を統合して、各地区で一人でも多くの住民の方に参加してもらえるように検討すべきだと意見します。
 
 この他。厳しくなる財政状況の中、鈴鹿市が行っている様々な補助金に関してゼロベースでの見直しに取り組み、あわせて、市として補助を行う対象を、例えば警備など安心安全のためといった形で明確にして、透明性と公平性を高めるようにすべきです。
 
 ほか、議案48号鈴鹿市福祉医療費等の助成に関する条例の一部改正について、今回の条例改正で対象が中学生の通院費まで拡大されますが、この制度は無料になるのではなく公費で助成されること、つまり税の使い道が変わったという点を、地道に伝える努力をすべきと意見します。鈴鹿市の子育て世代の方の、地域医療に対する意識は高いものと思いますが、しかし、制度の濫用、モラルハザードにつながらないように啓発することは、常に行うべきです。
 
 
 

コメント
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