三重県から伊勢湾岸の高潮浸水想定が公表されました。
想定条件は次の通りです。
① 日本に上陸した既往最大規模の台風が伊勢湾沿岸に最大の高潮を発生させるような経路で接近
② 高潮と同時に主要な河川での洪水が発生
③ 設計条件に達した段階で堤防等が決壊
④ 排水施設等は水没により機能停止
⑤ 想定の潮位は朔望平均満潮位(過去の異常潮位(15.2cm)を見込んで計算)
三重県のホームページには、木曽崎町から伊勢市にかけての伊勢湾岸を中心に、21地域の地図が公開されています。掲載の画像は、図面番号9「鈴鹿市②」のものです。
想定の①、台風については、昨年の台風19号、一昨年の台風21,24号などを思い出していただけば、可能性が非常に高くなっていると考えられます。また気候変動の影響により日本近海の海水温が高いことを考えあわせると、日本近海で台風が発生して発達、勢力が衰えないまま上陸コースをたどることも予想され、ある意味で、毎年このような条件になりえる可能性も考えられます。
想定の②、高潮と同時に主要な河川での洪水が起こる可能性ですが、台風の接近に伴って、台風に伴う降水帯が九州などで大きな被害を出した線状降水帯と同様となり、実際に台風がくるまでに豪雨が続き、満潮により海への排水が難しくなり、内水反乱がおこる可能性も高いものと考えます。
想定の③については、想定の②が発生した時点で越水等により河川堤防が決壊することや、満潮と吹き寄せ効果によって海岸堤防においてもそのような事態が起こることが考えられます。
気候変動による気候の極端化は加速こそすれ、影響がなくなることは考えにくいことから、今回、三重県がこのような情報を公開したことは、大きな意味をこれから先にも与えると考えます。私個人の考えになりますが、このような情報を見ると、津波浸水想定でも同じだったのですが、事前復興の視点から災害対応を考え直す必要があると思います。特に、気象災害は毎年起こる可能性があることを考えると、私たちに突き付けられている課題は大きく重いものだと思います。
もし私たちが大きな被害を受け、深刻なダメージを負うとしたら、これまでの価値観、築いてきた社会の仕組みそのものも見直す必要に迫られる時が来るのではないかと考えています。自分としては市への政策提言につなげていきますが、三重県が今後どのような考えで災害対策をはじめとした施策や政策を展開するのか、国はどのような考えを示してくるのか、その点にもアンテナを立てていきたいと思います。