今日の議案質疑では、予算案の中から「愛宕幼稚園解体費 700万円」についても問いました。
この質疑では、鈴鹿市の考え方に非常に疑問を持ちました。
経緯としては、昨年の12月議会で幼稚園廃園の議案が可決され、その経緯の中で解体し駐車場にするという方向で考えていることが行政から説明としてありました。実際に、公民館利用の方々から駐車スペースが少ないということで要望が出ていることは知っていましたし、そのための対応もいくつかしていたので課題として否定するものではありません。しかし、それは幼稚園解体を前提にしたものではないことも知っていたので、12月定例会の討論の際に、以下の内容で意見しました。
「 議案第89号 鈴鹿市立幼稚園条例の一部改正について,愛宕幼稚園と庄野幼稚園の廃園に当たっての条例改正と なりますが,愛宕幼稚園の園舎は,建設年度から考えて,まだ利用できる建築物のはずです。このような園舎の利用については,そこを卒園した児童なども含めた検討委員会を設置し,跡地利用を検討すべきと意見します。
今後,このような動きというのは,市内全体に広がってくると考えております。
このような形で跡地利用を考えることに,若い世代が参画することが,当然ながら,地域づくりにとっても重要なことだと考えますし,シティズンシップ教育という観点からも,重要なことだと考えますので,教育委員会につきましては,十分に意識してもらうように意見します。 」
しかし、今定例会で予算案として出てきた内容に対して経緯を確認したところ、公民館駐車場の要望が自治会長から出ていること、全庁的にニーズを確認しても手を挙げるところがなかったことから、解体し駐車場とする予算を計上したという説明でした。聞き取りの中では、工事については秋から冬を考えているということです。
話を進める前に、私は公共施設マネジメントの観点から考えて、感情的なことから公共施設を残していかなければいけないという論点で話をするつもりはありません。しかし、かかるコストやいろいろな要素をきちんと説明し、広く愛宕校区の住民も含めて施設のあり方を検討することは必要だと思っています。それが討論の文面になっています。
そのような立場から今回の行政の動きには疑問を持つ点、動きとして問題と考える点があります。
① 地域づくりの観点から考えて、施設のあり方の方向性を考えることに、多様な年齢での住民参加が行われていない。 ・・・ 12月の討論のあと、行政側が説明会を愛宕小学校区全体に行ったということはなく、幼稚園や小学校のPTA役員(OB・OG含む)にも意見が問われることはありませんでした。
② 地域づくりを進めるという鈴鹿市の姿勢から考えて、地域づくりの事務局をどう考えるのか整理されていない。 ・・・ 愛宕公民館事務所は狭く、地域づくりの事務局的使用は難しいと考えられます。このような状況がある中で、鈴鹿市は地域づくりを進めるといいながら、今回の施設について住民も交えて真摯に考えているとは思えません。
③ 実際のところ決定に至った大きな理由は、市役所内での決定であり、住民の意志が存在していないのではないか。 ・・・ 本当に市役所内で広い視点から議論しているのか疑問です。地域づくりはもちろん、子育て支援、地域包括ケアなどの観点からどのように公共施設や、拠点があるべきかと考えているのかは疑問です。
④ 子供たちの教育が大事といいながら、卒園した子どもたちや保護者に何も知らせずに決定をしている。 ・・・ 地域課題を考える教育がこのような教育環境でできるのか、非常に疑問に思います。
⑤ そもそも園舎を解体しなければ駐車スペースが確保できないのか。 ・・・ 次の写真のように、園庭の広さから考えて、10数台は駐車可能ではないかと思います。
今回の件について、地域づくりや地域包括ケアなどから熟考して判断したとは到底思えません。縦割り行政の感覚で物事を判断したと感じています。ですから、愛宕幼稚園跡地の問題としてだけではなく、鈴鹿市が今後もこのような手法を行っていくとなれば、それはまちのあり方として大きな問題だと私は思います。そのことを議案質疑の中で強く感じました。そのような意識にはくさびを打たなければと思います。
最後に、解体をすることは簡単です。しかし、一度壊してしまったら、二度と元には戻せません。この部屋で卒園した子どもや、それを見守ったたくさんの保護者の方々、関わったいろいろな方々の想いもこの園舎にはあります。地域の記憶として大事に考え、その上できちんとした説明と意見交換の上で、園舎の行方を考えることこそが、鈴鹿市にとって重要なことだと考えています。
自分たちが育ったところやなじんでいたところが、いつの間にか壊されてなくなってしまうこと、そのことが子供たちにどのような影響を与えるのか、大人目線ではなく、そこを大切にすることが必要だと思います。
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