最近、アチキの日課は、午前中リモートワーク、午後はランドスケープのスケッチ。その後でナンタルかコロンビア珈琲に立ち寄って、時間があれば公園でスケッチと、珍しく同じ生活パターンが続いている。そうやって家に帰ると、翆ーお腹が空いたー、となり、その後は翆を愛でて寝る。
日替わり交代のように今日は海へ午後の散歩。
日本海は、デルフトブルーの波が、鈍い音をたてながら大きな生き物のように暴れている。見事だ!。しぶきが周囲に飛び散ってゆく様は見応えがある。海岸には、そんな物好きはいないのでアチキだけ。これが自然の姿だ。そんなランドスケープを独占している。
冬は、それまでのランドスケープを一変させてくれるので、モチーフの多い季節だ。
さて帰りしなにチクコウのカフェによってゆこう。
美希姉ちゃんがいる。彼氏と待ち合わせなんだ。
美希「オジサンは、写真はやらないの?」
「絵を描いていると、写真を撮ろうという意欲が先ずわかないよ」
美希「そうお、面白いのに」
「まあ、誰でも撮れる機材で、人と同じ写真をとってもなぁーー。それに絵だと風景をつくれるんだよ。こんな風景じゃつまらん。湖を大きくしてしまえとか。」
美希「風景をつくっちゃうの?」
「そうだよ、山の形が悪けりゃ変えてしまうとか・・・」
美希「それって、写生なの?」
「写生は、目の前の風景に忠実に描けなんていわれていないよ。描く側の意識が忠実に描かなければと、勝手に思い込んでいるだけさ。だから自然の風景は、ヒントをくれればいいんだよ。あとはこちらが勝手につくるからさぁー、そんな感じかな。絵でできないことをするのが写真でしょうよ」
美希「それって、どんなんだろうね」
「一瞬の決定的瞬間とか・・・」
美希「ならば出産の瞬間かぁー。あとはスポーツ、戦場カメラマンというのもあるなぁー」
「なるほど、いい発想だね。後は彼氏に聞いてちょ」
その彼氏の直人君がやってきた。
ひとしきりお茶して途中まで一緒に帰った。
・・・
今日も、スケッチ三昧の1日だった。
翆ーーー、お腹空いたーーーー。
・・・
小樽の夜は風が吹き荒れ、嵐といってもよいかな。
今日も、ミストですかぁーー。
それにしても、冬だというのになんでイソイソと山だ海だとスケッチに毎日繰り出しているか。アチキにもよくわからないが、あえて言えば、しょうもない世界が雪とミストで一変してしまうランドスケープの面白さかな。もちろん普段はズボラな人間がなんでこんなに熱心なのかと、翆からも呆れられている。
それに翆の裸婦クロッキーは、寒いから可哀想だというのもある。そんなわけで、女の裸の方はしばらくご無沙汰している。暖かくなったらね。いや気が向いたらかな。
それにアチキの回りは、それぞれなりに忙しい。
翆の息子のマサヒロ君は、第二子が生まれたばかりだから多忙だし、ツカモッチャン家の小太郎君は大学受験、翼君は高校受験、とまあ、それぞれなりに忙しい時期だ。
ならば、いつものようにコロンビア珈琲に立ち寄ってから公園でスケッチの続きをして帰ろう。画家でもないのに随分と精が出ること。
いつものようにスケッチを描き終えると下校途中の小春が立ち寄ってくる。
小春「あっ、またいる!」
「いちゃ、悪いかよ」
小春「今、みんな忙しいから、オジサン孤独だねぇー」
「いわれなくてもわかってるさ。小春も忙しいよね?」
小春「うん、ユウ君といつもセックスだもん。今日なんかユウ君がたまって集中できないというからトイレで抜いてあげたの。オトコの人って面倒なのね」
「まあ優しい女の子だこと」
小春「今、美希姉ちゃんは写真に没頭しているし、明菜姉ちゅんは美術室にこもっているし、お兄ちゃん達は受験でしょう。小春だけが暇なのよ」
「そりゃ、同病相憐れむ仲だね。小樽も真冬だから、みんな蛸壺に隠っているのさ」
小春「蛸壺かぁー、そうだ今日の夕飯は蛸だったんだ。夕飯作らなきゃ。みんな忙しいから、私が夕飯係ですー。一緒に帰ろうよ」
そういって小春と腕を組んで坂道を下っていった。
今が一番寒いとき、人によっては試練の時、ああっ、厳しい季節だ。
・・・
小樽は雪!、天気予報に変わりなし。
さて昨日は山だったし、二日酔いもあるから今日は近場の海岸へゆこうか。
寄せては返す波に、人生を重ねる輩が多い。
スマホでくくってみると早速見つかるのが・・・
「・・・ある日の夕暮れに、 私は穏やかな波の姿に ゆれる私の心を重ねて ただ静かに思い出した 遠い日々に忘れている ・・・」
とか・・・
「・・・波はよせ。波はかへし。波は古びた石垣をなめ。愛や憎悪や悪徳の。その鬱積(うっせき)の暗い入り江に。波はよせ。波はかへし。波は古びた石垣をなめ。みつめる潮の干満や。みつめる世界のきのふやけふ。・・・」草野心平:窓
こんなのを読むと、ドライなアチキ心は、むずむずしてくる。所詮波は、月の引力が起こしている物理現象にすぎないからさ。
アチキは、そんなドラスティックな意識だから、まあ芸術評論というものも読まない。絵も描かないで何いってんだろう・・・。だってあたかも作家の内的世界を解釈してくれたって、それは類推の域を出ない。類推じゃあお話にならないよ・・・。精々評論家は、作家の退屈なときのお友達だったんだろう。
そう、科学技術に籍をおくアチキは、文学の世界が怠いのです。
波は月の引力によって引き起こされ、海底の地形によっては大きな波となり、穏やかな波でも人間を岸壁にたたきつけるぐらいの力を持っている、波は力だ!、というのがアチキの理解だが。
そんな荒れた海を描いて、ようやく夕方になる。
さて、今日も翆は日勤だ。だから仕事が終わったらスポーツクラブでエクササイス、たまにはボーリングか、あるいはシネコンで映画もあったか。その後は、文さんの店か房チャンの店、〆は深夜ラーメンか。地方都市の夜のエンターテイメントといったって、それぐらいしかない。それでも、あればいい方かな。
翆を送り出して、朝、早く起きちまったから時間をもてあます。ならば車を借りて遠出しよう。六文分の気分喪失を取り戻そうというわけだ。
さて湖だな。雪道をトロトロと走りながら、まあ2時間半で湖にたどり着く。山は既に晴天から雲が出始め、いつもの冬に戻りそうだ。急がなければというのでスケッチを描き重ねる。
アチキは、写生といっても見たとおりには描かない。見たとおりに描きたきゃ写真で好いじゃんと思うのだが。
スケッチのバランス感覚で、もう一つ山が欲しいと思うと、高くしちゃえ、という具合に描いているから、そこここにある樹木や湖や山々は、スケッチを描くための動機付けや素材だ。あとは感性と絵具の流れ具合で、次第にスケッチは眼前のランドスープから離れてくる。その方が絵としては、面白いという理由で。
写生だから眼前のランドスケープを忠実に表現しようとすれば、技法だけが発達してくる。その技法だけじゃ絵がつまらん。実は日本の画家の多くは技法画家なのだ。絵を勉強して技法画家かよ・・・。それじゃ博物館の模写屋と同じだ。
それに画材屋にゆくと来ている客の技量がわかる。透明水彩絵具の肌色がいつもないことがある。人物だから肌色だというのは、素人画家の発想だ。絵画は塗り絵ではないのだから、肌色である必要はまったく無い。アチキなんか、肌の色は紙の白か、さもなくばデルフトブルーにスカーレットレッドを重ね合わせたりしている。
そんな絵をかきあげて、寒いので早々に街へ戻る。
さて、まだ昼過ぎだ。
ならば、コロンビア珈琲で遅い昼飯にしよう。
日替わりランチだな。海老フライ弁当に味噌汁、サラダ、プリンのデザート、それにウーロン茶で千円だ。
お客も少ない時間帯だから4人掛けの赤い椅子を占拠し、画材を広げながらお昼の時間だ。
そんな遅いランチをとっていると、そろそろ3時になる。
公園にいってスケッチの続きでもするか。
そうしていると、下校途中の小春がやってくる。
小春「寒いのによく来るねぇー」
「まあね、ユウ君とうまくいってるかい?」
小春「もち」
・・・
朝早く起きると1日沢山の事ができる。
なるほど何かをなすには、朝早く起きろということか。
だが!、今日は仕事をしてない!!。
出かけたついでに走り回っていたからだろう。
それでも誰からもとがめられない研究者としての自由があるし、本来仕事は、そうでなきゃと思うが、それにしても早起きは三文の徳だという通説は、アチキの場合は嘘だと思っている。
・・・
18時に翆が帰ってくる。
これじゃ昨日と全く同じ生活スタイルだ。
「翆ーー、今日は神佛湯に行って、うみのやでトンカツを食べて、房チャンの店へゆこうよ」
翆「毎日、同じ生活にも飽きたんでしょう、ならばゆくか・・・」
・・・
雪国の生活は、こちらが意識的に動かない限り、いつも同じになる。それが毎日続くと、普段とは違う事を考えたくなる。
それが都市型人間のライフスタイルさ。
・・・
小樽は、また雪が降り出した。
年末からお正月にかけて、翆は夜勤続きだった。だから最近は、日勤が多くなってきた。つまり規則正しい生活が一時的に続いている。
というのも、夕方18時頃、翆が食材を抱えて帰ってきて即お風呂。それから19時の夕飯。そして翆がすり寄ってくるので、二階で熱く燃える。寒いからそのまま二人で抱き合って寝てしまうと、なんと21時には、既に寝ていることになる。
だから朝は晴れて入ればだが、5時に眼が覚める。老人ライフみたいだ。それで珈琲を飲みつつ、じゃあ一番冷えているときの朝の散歩。でっ、一緒に街を歩いて行くと、さらに遮る物がない港にたどり着く。その頃朝陽が昇る。そんなわけで最近雪がやんでいれば日の出を眺めるという幸運に続けて巡り合わせている。
翆「サミーーーイ」
「ならばいつもの鱗友市場の定食屋へゆこう」
翆「熱い味噌汁がしみるーーー」
そうして食後の珈琲を飲んでいると、ようやく8時過ぎになる。
翆「さて、出勤かぁー。なんかもう一日たっちゃったの!。なんかすごく時間が早回しになってないかなぁー。
だってぇ、夕べ帰ってきて夕飯食べたでしょう、アチキとセックスしたでしょう、それで寝ちゃったでしょう、今朝おきてまた散歩して朝ご飯、それで出勤でしょう、なんか入院患者みたいだよ・・」
今週は、そんな生活が続いている。
陽が短かく健康的な生活であるが、一般に早起きは三文の得といわれるが、アチキ流には6文の気分喪失に思われる。つまり1日がとても短く感じるのだ。都市が寝ている時に早起きをしても、でかけるあてはないし心の中が空虚だ。やはり夜更かしは、都市暮らしにとって必要なんだ。朝は、夜遊びしすぎたぁーといって、遅れるーーと騒いで出勤する、それでよいのだ。
こちらは、農家じゃないから何でも早起きすれば良いというわけではないという事に気づく。都市暮らしには、夜更かしって必要なんだ。
「翆ー、準夜勤入れろよ!」
翆は、小樽駅から一駅鉄道に乗ってナンタルの病院へ出勤する。
・・・
今日の小樽は、青空が見えている。
さて今日は、翆のパパのアトリエでクロッキー教室がある。
モデルはツカモッチャン家の小春。まだ小学校6年生なんだけど勤まるかなぁー。
オオッ、人が多いぞ。窓を全部開けてモデルさん用にストーブを目一杯焚いている。翆のパパが、OKのサイン。
でっ教室に様子を見に出かけたら・・・。
「まあ!、天使のように綺麗なボディ!」
「どこのモデルクラブ?」
小春「アチキクラブですぅー」
「うん!?・・・」
なんとも大胆で思いっきりがよいポーズだ。チャンと時間通りに勤まっているじゃん。四つん這いは、ユウ君とのセックスのポーズだなぁー。横の人からは股間の奥まで見えているだろう。しかも足を大胆に開くんだもん。プロのモデルさんだってそこまでしないよ。大胆すぎてこちらがハラハラしてくる。
ユウ君とのセックスが刺激になって、第二次性徴がグングン加速しているんだ。もう高校1年生ぐらいの体型じゃん。さすがに絵を心得ている人達ばかりだから年齢を尋ねる失礼な輩はいない。
・・・
帰りしなに小春を送ってゆく。
小春「結構楽しかったぁー」
「大胆なポーズがよかったよ!」
小春「美希姉ちゃんが、全部描いてもらうぐらいの気持ちでって大胆なポーズがいい、というのよ。だから、もう大胆にやっちゃった」
「美希ねぇチャンは、写真をやっているから、ポージングが旨いよなぁ。みんな感激してたよ!」
小春「よかったぁー。それに翆さんのパパからモデル代をもらったの。それも1万円よ。ありがとう!、といってくれたの。もうキャーーよ。これでゴムが沢山買える。ユウ君と沢山セックスしよう!!」
「うん〜(゜;)エエッ〜〜\(◎o◎)/!!!!(*_*)(・o・)・・・・」
そんなわけで、小春をお家に送り届けて、帰ってきた。
・・・
翆「どうだった、小春さんのモデルは?」
「もう、ポーズがバッチリ決まって、みんな感激ですぅー。身体が柔らかいから、1度ポーズが決まると微動だにせず、なんだよ。すごーーい、だよ」
翆「若いっていうのは、強いよねぇー」
「まあ、こちらは若いのは望むべくもなく、夜は翆と燃え尽きた。ヤリ慣れたボディも、おつなものなんですぅー。布団のなかで翆を抱きながらドッと疲れが出て熟睡してしまった」
・・・
小樽は、夜半から冷え込んできて、また雪が降り出した。
翆「青姦しょ!」
今日は、小樽近郊の雪原にきた。雪原が心ゆくまで広がっている。
翆を抱えて倒れ込み、雪が柔らかく身体を受け止めてくれる。
「アチキのコートを下敷きにして、翆のコートを上に掛けて・・・」
翆「片足だけ脱ぐね。スキーパンツだから薄いんだ」
翆のパンツを片足だけ脱がせて、空気の冷たさと翆の体温との温度差を感じる。
生き物がいるという感じだ。
翆のセーターをたくし上げ、ブラをずらし、翆の乳首をカミカミする。
翆の丸い乳房が手に心地よく納まる。
舌でなでると、翆が「ウッ、ウッ」とうめいている。
アチキのパンツをさげると、冷たい空気が股間を刺激している。
ズルッと翆の膣にあてがってみる。
翆の股間が濡れている。
少しワイルドかな、そのまま、翆の膣にズルっといれてしまう。
シュボッとはいってしまうあたりが、経産婦の膣だ。
それでいて、人一倍激しく燃えている。
少し腰を回すように、股間で翆のオサネを刺激していると思う。
首に回した翆の爪が食い込む。
翆「ハァ、ハア、アッ、アッ、アツ!」
翆の身体がくの字型にそっている。
翆の股間がアチキの腰にすりつけるようにうごめき出す。
翆「ハァ、ハア、ハァッ、昇ってゆくぅー」
翆の骨盤が、せがむように激しく動いている。
翆「アチキ・・、ダしてぇー、ダしてぇー、いいよ!」
風が吹き、雪を舞あげて雪原を通り過ぎる。
二人の腰の動きが一緒になったころ、ウウッといって翆の膣にドクドクとうち放った。
翆「アッ、アッ、あああああああああああああーーーーーーーー」
翆の大きな嗚咽が雪原に飛んでゆく。
同時に翆の膣が、ビクビクと痙攣している。
それが翆の体全体に痙攣がひろがってゆく。
翆「ハァッ、ハァッ、ハァッ・・・・・」
・・・・・
脱力感でしばらく身体が動かない。
肌が冷たい・・・。
やがて雪原の寒気で、気を取りもどす。
翆「青姦って、気持ちいいねぇー。ウウッ、空気がつめたぁーーい」
・・・・・
翆のパンツをはかせると・・・
翆「なんかインナーがぐつぐつ・・、どこかで治さなきゃ・・・」
ようやく起き上がると、空気がヒシヒシと冷たい。
・・・
「雪原を下って線路を渡ると、翼君がバイトをしているお店があるよ」
翆「ゆこ!、ゆこ!」
そんなわけでコートの雪を払いのけて、翼君の店を目指した。
・・・
翼「あら、翆さんもだぁー。芋煮会以来だねぇー。珈琲だよねぇー」
熱い珈琲が胃に染み渡る。
・・・
翆の休日デートだった。
石狩湾も今日は静かだ。
小樽は、雪の合間の僅かな晴天日和だ。
さて雪の降る日は、午前中は家で仕事、午後はたまったスケッチの着彩でもしていようか。
そうしているうちに、陽も陰り出すので散歩の時間だ。
散歩から帰ると、翆が帰り道の途中にある生協によって食材を抱えて帰ってくる。
寒いからお鍋だな。
なにしろ調理が簡単だし、暖まるし、お酒の肴にもなるし・・・。
お腹も膨れて、翆ーとよぶと、いそいそとやってきてアチキに抱きついて厚い唇のキスだ。
そのまま二階に抱えていって、淫らに燃えてゆく。
そんな毎日が規則正しく、判で押したように続く。
それが雪国の我が家の暮らしだ。
そう思っていたらスマホに電話がかかってきた。
翆「アチキー、今日はスポーツジムの日だよん」
おっと、忘れるところだった。そんなわけで、いそいそとスポーツジムへ出かけなきゃ。
突然、そんなイレギュラー感が心地よい。
でもエアロビクスやウェィトコントロールといっても、その後の食事を美味しく頂くために通うといったらよい。
・・・
ジムを上がると晃子さんと鉢合わせした。
そんなわけで、3人で文さんの居酒屋へゆくことになった。
仲間とともに居酒屋へ向かう道中の気分が、とても爽快だ。
このイレギュラーな感覚がいいね!
・・・
居酒屋にいったら・・・
文「アチキの好きなハニーウォッカを入れといたよ」
さらにイレギュラーな展開だ。
オオッ!、ウォッカに燻製にお鍋だ・・・。
判で押したような平凡な1日になるはずの予測が、イレギュラーな展開が続き、変化ある時間になった。
そしてウォツカでしたたかに酔いつぶれ、アチキは千鳥足で帰って寝てしまった。
ゴメン翆!
平凡な1日という予想と、違う事が起きるってことは、やはり幸せな冬の時間なのだろう。
スポーツジムと居酒屋は、雪国の街の必需品だな。
夕方雪の公園でスケッチ。もう学校が始まっているから、雪にもめげずに小春がやってくる。
小春「オジサン、雪の時でもスケッチするんだ」
「雪の時の方が綺麗だったりすることもあるしさ」
小春「でも、おじさんのスケッチでは大きな池があるけど、目の前の池はとても小さいよ」
「小樽の公園は、山際につくるから何故か池がないのよね。だからこれぐらいの池が欲しいと思ってさ」
小春「森の中の池みたいだよ」
「ユウ君とは、相変わらず金精様かい?」
小春「寒いから、ユウ君ち。ユウ君ちはパパもママも働きにいってるから、ユウ君のお部屋でするの。セックスってお布団の上ですると快適ーーー」
「そりゃ、そうだけどさぁー」
小春「あのねえ、最近、ユウ君とセックスすると、凄く身体が震えるの、病気?」
「それ、とても健康ですぅー、気にしない」
小学生で女の喜びをしっちゃって、もう、そこまで成長したら、申し分ないよな。
小春「だって学校の裏とか金精様だと寒いから、5分以内でしてよ!、だったの。ユウ君の家はマンションなの。でっ、ユウ君のベッドがとても暖かくて快適。だからたっぷりしちゃった。でね、夕方、ユウ君のママが帰ってくるじゃない。あら、いいお友達ができたわねだって。もうお友達以上なのにさ(笑)」
「まあ、大人達は、何も知らないのよ。いいんじゃない、それで・・・」
小春「でね、学校でも先生が、男の子と女の子とのくっつけっこはやめましょう、なんて話題が他所のクラスであったみたい。くっつけっこだって、もう笑っちゃうよねぇー。はっきりセックスといえばいいのに。学校のセンセーって幼稚なのね」
「まあ、幼稚なのはほかしておいてさ・・・」
子供は、いつまでも子供ではない。昔なら12歳で帝のお后になったなんて史実はよくある。それが子供達の成長の速度だろう。それに対して大人達の認識と、制度は昔から変わることがない。そこに子供達と大人達の意識のズレが発生してくるのだろう。子供を小さいときから、一人前の人間として扱ったことがない幼稚な大人達、あるいは幼稚な国家の姿だと思う。
小春「これから、夕飯の支度でーーす。オジサン一緒に帰ろうよ!」
そういって、小春と手を繋ぎながら雪道を下っていった。
小春も、身長がグングン伸びてきた。
・・・
今日も小樽は雪の中。
そういえば、昨年積丹半島へ雪が解ける頃でかけた。昔ニシン漁で栄えた古平の海岸から遠くに直立不動の岩が見える。セタカムイ岩、その先のローソク岩はオベリスクのように天空を突き刺している。自然の風化作用で、こんな形になるほど脆い岩なのか。はて石狩湾も内浦湾同様に巨大な噴火口の跡だったのか。
国道229号線、昔の画像では、雪の中の集落や雪を頭から積もらせた村人達が行き交う写真をみた記憶がある。そんな写真を撮りたいと思って古平を訪れたが、すでに古い集落は新建材の住宅に取って代わり、漁師の若く綺麗なおかんに見とれはしたが、夜はおかんとのセックスしかないのかぁーと思うと、この土地の退屈そうな気だるい空気も漂っていた。
翆は、日勤だ。
正月が明け、普段なら成人式がおこなわれて一連の行事も終わり、いつもの空気が戻ってきた。だが、今年は全てが簡素化で、お正月という気分も少ない。マサヒロ君の第二子が元旦に誕生したのが、一番の話題だった。
さて、古平のスケッチの整理もできたので、夕方の公園散歩か、あるいは花園のジャズ喫茶か、さもなくばチクコウのカフェか、さしあたりでかけるところがあってよかった。
・・・
小樽は雪の中。
昨日は夕飯を食べた後、翆と濃密に燃えていたから、そのまま脱力して寝てしまうという健康的なライフスタイルだった。おかげて朝5時に眼が覚める。もちろんあたりはまだタップリと暗い。翆が出勤する迄には十分時間がある。
翆「散歩して、どこかで朝ご飯食べようよ。それから出勤」
そんなわけで、翆に誘われて、まだ暗い雪の街を、凍結したアイスバーンを避けて、凍りかけた雪をザクザクと割るように歩き、厩町の岸壁までくる頃には、山の端が明るくなってきた。さてどっちの方角から太陽があがるのか。
スマホで国立天文台の暦をみたら、小樽は午前7時1分が日の出とある。方位角117.4°とあるから真北が0度なので、117.4°というのは、札幌の方角だ。遠くに山が小さく見え、水面に朝の光が反射している。
因みに夕陽は、242.7°だから、天狗山の西側か。山の後ろでは、見栄えが今ひとつだから、冬の小樽では夕焼けは、あまり意識されない。
深々と冷えた空気の中を太陽が上がってゆく日の出の風景に見とれていた。冬のクリアな空気は朝焼けを一層引き立たせてくれる。
翆「お腹空いたぁー、近いのは鱗友市場の、のんのん、かなぁ。ホッケにお刺身をつけて定食だねい」
そんなわけで、鱗友市場の、のんのん、で朝飯だ。
魚市場で働く人達の朝飯を提供するから、ここしか空いていない。
さてまだ時間があるから、珈琲でも飲みに行こうよ。やってるかなぁー??
・・・
1月18日、小樽の新型肺炎感染者の発生数5人。
晃子さんは、病院の夜勤前に、閉店間際の文さんの店で夕飯をしてゆくのが日課だ。
晃子「もう無理聞いてもらってありがとう、いつもの定食ね!」
文「もう自粛しなきゃならないから今日は晃子さんだけですぅー。さて定食、あいよ!」
晃子「ありがとう。私もこれから2週間病院泊まりなの。そのまえにちと文さんの店でしゃばの飯だい。どうお、健さんと夜の生活は?」
文「幸せ!」
晃子「それじゃあ話題にならないよ(笑)。どんなセックスするの?」
文「野性的なのが好きみたい。だからバックが多いのよ。でもただのスケベだいう見方もできるけど。いつものように赤い肌襦袢で床にゆくじゃない・・・」
・・・
健さん「うしろ!」
文「はいはい、四つん這いですね」
そしたら健さんが肌襦袢をめくって後ろから股間をのぞいているのよ。
文「浮気なんかしてませんよ!」
健さん「してもらったっていいけど、いつもこの風景が詩的だとおもってさ」
文「そんなの私は、恥ずかしいだけですよ。痛っ!、もう濡れる前から広げちゃって。そういって、まじまじと見ながら撫でてゆくの。それで私が潤ってきてもなかなか入れないのよ」
健さん「・・・・」
文「はやく入れてくださいな、私は燃えそうですよ」
健さん「この次第にウルウルと濡れてくる風景がいいと思う」
そういって健さんが指を膣に入れて撫でてくるでしょう。
文「そこは、観賞用じゃないですからぁー。あぅっ、ああ、ああ!」
健さん「どうだ、文!、気持ちいいか?、健さんのチンボを入れてくださいと懇願してみろ」
文「そんな意地悪しないで、恥ずかしいこと言わせないでくださいよ」
健さん「いえ!」
文「健さんの、チ・チ・ン・ボ・を入れてください。そう言ったらいきなりスボッと奥まで入れてくるのよ。膣が破けそうなぐらい奥まで太いのがズンズンと・・・、もう乱暴なんだから」
健さん「文が絶頂に達すると身体がビクビクと硬直して、肋骨と肩甲骨が浮かび上がり、僧帽筋と広背筋が浮かび上がる様子が、人間とセックスをしているんだという充実感が好いね」
文「骨だ筋肉だなんて、なんか馬喰の見方よね」
・・・
文「最近毎晩、そんな感じなのよ」
晃子「オトコの人には、可愛い女をいじめてみたいって欲望があるんじゃない。そんな欲望が解消されるんだよ。きっとね」
文「普段は、やさしいオッサンなのに、あのときだけは意地悪なんだから」
晃子「そのあたりが、オトコの事情かな!」
文「オトコとオンナって、ホントおちんちんとおまんこの仲なのねぇー」
晃子「男と女って、セックスの相性の良さが出発点かしら。それから可愛くなって、好きになって、恋へと、発展するかな!。うらやましい話だよね。仲がいいわけだよー」
文「その順序を逆にしたのが恋愛小説かぁー。あれ嘘ばっかりだもんね」
(笑)
・・・
晃子さんは、深夜のナース同士の話題を抱えて、雪の積もっている夜道を病院の夜勤で出かけていった。というか感染症看護師の資格があるから、これから2週間は病院泊まりで休み無しなんだって。戦場に手ぶらで向かう看護師かぁー。
・・・
深閑と街は冷え切っている。
1月16日の小樽の新型肺炎感染者の発生は16名。
小樽の朝
・・・
翆「ハア、ハア、ハア、昇ってゆく、もう、いっていいよぉー・・・」
翆の身体にありったけの精子をぶち込むと、翆の骨盤が吸い込むようにビクビクと動いてゆく。
そのまま翆の身体の上にかぶさって、脱力した空白の時間が過ぎてゆく。
ウッウー・・・。
翆「いっちゃったね」
身も心も裸になって欲望とか過去からのしがらみを全部捨て去ってしまったセックスの後の時間は、人間の素をみているようだ。
普段は、いろんなしがらみや欲望を引きずリながら身も心も大いに装って、人間は生活しているんだろう。
生きていることは虚飾で暮らすということなのだろう。
翆は、テレビのリモコンを操作して、昼のバラエティ番組をみている。
翆「アチキ、こういうの嫌いでしょう」
「うん、色と人間が氾濫していて、目がチカチカする感じ」
翆「こういうの見ておかないと、看護師の話題に乗らないのよねぇー」
「そんな翆の裸体をみていると素という感じが、いいと思うけど・・・」
遅い朝の時間が過ぎてゆく。
何もしない、何も考えない、何も予定しない、時間だけが過ぎてゆく。
久しぶりの二人の休日だ。
遠出のできない不便な時代だけど、「夜は、どこかへ食べにゆこうよ」
翆「OK!」
また虚飾の人間の世界に戻る感じだ。
小樽の街も、久しぶりに陽が射してきた、窓から向かいの家の屋根に雪が厚く積もり、軒先のつららが見えている。