山鉾巡行の経緯と後祭の催事を八坂神社のサイトから引用する。
山鉾巡行は本来、神輿渡御に伴う「露払い」の位置づけで、神幸祭に先立つ「 前祭さきまつり」と還幸祭の「後祭あとまつり」がある。 高度成長期以来、交通渋滞や観光促進を理由に、前祭と後祭の合同巡行が続いていたが、 祭り本来の形を取り戻そうと分離が決定し、2014年、約半世紀ぶりに後祭の山鉾巡行が復活した。
ここで撮影したのは後祭催事の一部である。撮影した催事について八坂神社の解説をもとに記しておく。
宵山
各山鉾町にて山鉾を飾り、祇園囃子を奏でる。家宝什器、屏風等を美しく飾る家もあり、町内雑踏し祇園祭情緒が祇園囃子の音と共にもり上がります。
琵琶奉納
琵琶協会の人々により、琵琶の奉納が行われます。
山鉾巡行
十基の山鉾が各町を出て烏丸御池に集結した後、所定のコースを巡行します。橋弁慶山を先頭に後祭の鉾一基、山九基が各町を出て烏丸御池に集結、祇園囃子も賑やかに所定のコースを巡行します。
花笠巡行
傘鉾十余基・馬長稚児・児武者等列を整えて、所定のコースを巡行。
本社到着後(正午頃)舞踊などの奉納を行います。花傘は、山鉾巡行と異なって芸能的色彩が非常に濃く、巡行するものと観るものとの、祈りを共にする一体感の感じられる祭りであります。
還幸祭
午後5時頃四条御旅所を三基の神輿が出発。夫々所定のコースを経て八坂神社又旅社にて祭典後、神輿に灯を入れ午後9時~11時の間に本社に還幸。御神霊を本社に還し祭典執行。
神輿洗式
神輿洗に使用する神事用の水を鴨川から汲み上げお祓いします。
四条大橋から汲み上げられた鴨川の水は祓いを受け、夕刻の
神輿洗に用いる神用水となります。
疫神社夏越祭
素戔嗚尊が南海に旅をされた時、疫神社の御祭神蘇民将来に手厚くもてなされたことを喜ばれ、疫病流行の際、蘇民将来之子孫は疫病より免れしめると誓約された故事により鳥居に大茅輪を設け、参拝者は之をくぐって厄気を祓い、又「蘇民将来之子孫也」の護符を授かります。
茶会
八坂神社や市内各所で茶会が催される。映像は万亭(一力)の茶会。
後祭は、前祭と比較し露店等はないが人出が格段に少なく撮影がしやすい。さて山鉾巡行と重なる時刻に花笠巡行が四条通りを練り歩き八坂神社で舞踊の奉納が行われる。ならば2つとも撮影したい。
すべての山鉾は所定の町内から鬮改で御池通の京都市役所へ向かう。ならば巡行開始1時間前から撮影を始め、人出と規制が多い巡行はパス。このチョイスは正解であり、一番大きな大船鉾が狭い通りを進んでくる様子は巡行前でしか撮影できない。
巡行開始頃、新町筋を四条通りまでさがると調度よく花笠巡行の列をつかまえた。こうした一連の撮影を終え阪急で、西京極京都アクアリーナの水泳教室へ出かけて身体の火照りを解消した。我ながらうまいスケジュールだった。私がプールで泳いでいる頃雷鳴がなり、山鉾巡行は四条通で激しい豪雨にさらされた。
同日夜には、祭神が四条御旅所から八坂神社に戻る。そのための乗り物である神輿が各町内をまわり深夜に八坂神社にたどり着く。WEBサイトで調べた時刻に出かけたが四宮が通過してから神輿が来ないどころか警察官も引き上げてゆく。八坂神社にでかけたら、なんとすでにすべての神輿がいた。今年は予想より早く神輿が到着したようだ。
1週間後に祭神が本殿にお戻りになる頃、境内の全ての灯りが消され「うっうーー」という声とともに神様がお戻りになる深夜の儀式は荘厳な空気だ。もちろん撮影できないが・・・。
一連の催事が終わると神事としての祇園祭も終わるが、まだ庶民側の催事が続く。狂言奉納、神用水清祓式、神輿洗式、神事済報告祭、そして7月31日の疫神社夏越祭。ここでは参拝者が大茅輪をくぐり邪気を祓い「蘇民将来之子孫也」の護符を授かり、そして1ヶ月に及んだ祇園祭が終わる。
Filedwork942 Gion After Festival,2024
Equipment: SONY FX30, E4/PZ18-105G OSS
追記
今年の祇園祭の9割以上は、このシステムで撮影した。イベント用の機材としては使いやすかった。レンズの焦点距離がAPSサイズだから157mm、デジタルズーム4倍で630mmとなる。もちろん解像度は落ちるが600mmの焦点距離は前祭山鉾巡行において鉾の正面、しめ縄を切って巡行開始をする場面を撮影するために必須の焦点距離だ。
こうした撮影には従来だと脚立持参だったがかさばり持ち込めない規制もあり移動は足手まといだ。
それを可能にしたのがマンフロットのカーボン一脚MVGBF-CF。多数いる観客の頭の上の高さに機材をもってゆける。それにワンタッチで足が伸縮できる仕様は頻繁に使った。さっと撮ってさっさと移動する、それが映像の撮影技法だろう。それにしても一脚の機材固定ネジが国際標準規格、わが国の撮影機材の規格は3/8インチ。それはライツの規格だ。いまだにライツの亡霊に悩まされる日本の撮影機材だ。
映像ではもっと楽な撮影方法がある。例えばGoproやInsta360、あるいはスマホを自撮り棒につけて撮影する方法である。軽くて実用的な撮影方法である。ドローンが飛ばせない日本の都市では、来年はこの方法で撮影するかもしれない。