翆は、準夜勤だから、夜中でないと帰らない。さて小腹が空いたから、チクコウのファーストフードか。これぐらいしかないあたりが地方都市の寂しいところだ。チクコウで日が傾いた秋の気配が漂う景色を見ながら・・・
「叔父さぁーーん」
聞き覚えがあるダミ声だ。ツカモッチャン家の美希姉ちゃんだ。うるさいのにつかまった。頼まなくても近寄ってくる。人見知りしないのは、この家の家訓なのか。
美希「小春から明菜の初体験を聞いたでしょう。楽しんでくれた!?」
「えっ、いきなり、その話題かよ」
美希「ねえ、あたしの初体験も聞いてくれる?」
「まあ、耳はありますから・・・」
美希「超・・・くだらない初体験だったんだぁー。私ねえ、お兄ちゃん達みたいな頭のいい高校じゃなくて、小樽で一番下の高校にいってるの。取り柄は運動部ぐらいしかないのよね。そこでの体験談」
「ほう、どんな?」
美希「高2の時ね、上級生で柔道部にいた、体ムキムキのマッチョな奴。最初は気に入ってたんだけどねぇー・・・・!? だよ」
「マッチョな奴と初体験?」
美希「下校が近い頃、マッチョが突然校舎の裏へ来いよ!、って呼び出されたんだ。それで彼の舎弟が外を見張っているわけ」
「なんかヤクザな感じですねぇー」
美希「それで後ろ向いて壁に手つけよ!、というわけ。言われるままにしていたら、スカートあげてパンツをさげてお尻を出すわけよ。私、何事かと思って唖然としていたの」
「ふうーーん、初体験と言うことは知らないんだ」
美希「私、言わなかったし、その頃突っ張っていたんだ」
「突っ張った見栄があるから、今更言えないよね」
美希「そうなの。それで後ろから強引に入れるのよ。そのまま押し込もうとするわけね。前戯もなにもないから膣はとても固いじゃん。マッチョは、なかなか入らないじゃないか、固いぜといって。それで美希、眼を閉じていろよ、というから言われるままにしていたの。そしたら、思いっきり膣に入れてそのまま力ずくで押し込んできたの。そりゃ身体がバリバリって裂けるように超痛いわけよ。私ぎゃーーっていいかけたら、彼が口を手でふさぐのよ。もう苦しくて、痛くて、口をふさがれて、どうにもならななかったの」
「なんか強姦に近いような・・・」
美希「もう、強姦よ!。それでへたりそうになるのを、彼が力ずくで腰を支えて、ピストンして、射精したわけ。はい終わり!、だって。その間1分よ。私、そのま下にへたり込んだよ。そしたら彼があれっ、血が出ているじゃん。なんだお前生理中かぁー、というから、彼の頬を、思いっきりひっぱたたいたの。それで彼とのつきあいはお終い。実にくだらない処女喪失でしょ」
「うーーん」
まあ突っ張っていると、どこかで怪我をすることがあるということだな。
美希「それでパンツをはいて帰る途中、彼の精子が膣から出てきてパンツを濡らすの。もう、ヤメテぇー、アイツは嫌いだぁーって叫んだわ。それが私のくだらない処女喪失。あの頃、突っ張っていたし、変なのに憧れて、アタシ馬鹿だったわって思ったもん」
それで、今の彼なんだ。
美希「彼で3人目かな。まあましな方だと思うけど・・・」
まし、というより、美希さんの尻に惹かれているけど・・・。
美希「もうじき、彼とここで待ち合わせているんだ!」
「デートの待ち合わせでしたか・・・」
もちろん、これからあのお寺のお堂にゆくのかなという、小春話は忘れることにして、二人を見送った。いいすねぇー、若い人達は自由奔放で・・・。
・・・
遠くの護岸に二人のシルエットが見えている。なかなかよさげなカップルではないですか。その背後に素晴らしい夕焼けが見えていた。
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