ついに大晦日まで来ちゃった。
鴎飛ぶ石狩湾。こんな風景を以前見たことがある。
それは、大西洋の塩の空気がするポルトの朝だった。鴎固有の鳴き声と街の雑踏が入り混ざり、少し特有の空気だった事を思い出していた。
今日は天気も良いので海へ出てみた。
・・・
陽も暮れようとする頃、海岸沿いを歩きチクコウのカフェで冷え切った身体を暖めよう。
美希姉ちゃんと彼氏がいた。
ここは、彼らのたまり場なんだな。
美希「オジサン、最近見かけないと思ったら、他所で絵を描いていたんだ」
「うん、この海岸線のずっと先で」
美希「オジサンとこ、もうじきおめでたじゃん!」
「はあ!、」
美希「何とぼけてんのよー、マサヒロ君の奥さんよ!、翆さんの孫!!」
さすがマタニティ・フォトグラファーは、出産事情に詳しい。
「そういえば、年末予定だったな」
美希「産婆さんでも呼ぶのかなぁー」
「美希ちゃんちみたいに人出がないから病院だろ」
美希「じゃあお姉ちゃんのとこだ」
「そういうことになりますなぁー・・」
美希「もう、オトコは暢気ねぇー、セックスだけは一生懸命だけどさぁー。多分、今晩か、明日だよ!!」
「えっ、もう生まれるの?」
美希「そうよう、暢気に絵を描いている場合じゃないでしょう。多分翆さんは、病院へ行ってると思うな」
「大晦日のディナーは、なしか・・」
美希「ディナーより孫でしょ!。翆さんにスマホしてみなよ!!」
じゃあ、翆に尋ねてみよう。
翆「今、病院よ。お爺ちゃんも、マサヒロもいるよ。二子目だから奥さんと冗談言ってるところ。アチキご飯食べててね。私そのまま夜勤して帰るから・・・、玲香さんもきてくれたよん」
美希「でしょう・・。オジサンは、流行らないショボいそば屋で一人年越し蕎麦をたべて、翆さんちで一人寂しく紅白をみるのかなぁー!(笑)」
「そうなるのかぁー・・・、それはあまりにもわびしすぎる、よし!、そのしょぼい蕎麦屋をパスして病院へゆこう。病院で年越しですぅーー」
やっぱ人が沢山いるところで、年越ししたいよねぇー。