新幹線のエッセイが続いたので、この話題は書かざるを得ない。北陸新幹線敦賀乗換接続である。敦賀駅は将来新大阪延伸するまでの仮設駅だが、延伸しなければ永遠の終点である。これまでの日本の経験からすれば、永遠に終点と理解してよい。
Googleの航空写真を見る限り、在来線自体は湾曲している線形なので、直進を旨とする新幹線駅は在来線の脇にはつくりたくなかったというわけだ。
あるいは駅の東側を再開発したい敦賀市の要望か?。これでは在来線の駅から離れすぎており、アップダウンを繰り返さないと西側の都心へ出られない。こうした駅構造が第1の間違い。
その意味不明な新駅に名古屋や大阪から北陸へゆくときには乗換接続というのも面倒だ。敦賀が永遠の終点だから、北陸圏は名古屋や関西からの集客には期待しないという姿勢の表れでしょう。私は新幹線は福井まででよかった。これが第2の間違いである。
であるならば関西人は北陸には行かない。敦賀駅前にottaという複合施設ができた。ここに敦賀市内の蟹の店を集約させて巨大フードコートにすればよかったのだが、なんとマーチャンダイジングを間違え何処の街にでもあるフツーの複合施設にしてしまった。ここが第3の間違い。
さらに敦賀市の総人口は一貫して低減傾向である。日本の人口減少構造から見れば、今後増大する可能性はない。それでも北陸新幹線の終点駅を人口6万人の街に引き込もうとする暴挙。これが第4の間違い。
大きな構造的間違いを4点も表出したのだから、都市開発コンサルタントの見方では敦賀市は終わった。そうなのか?。
改善案は、ottaの隣に市内にある漁師達の店をすべて集約し蟹や北陸の魚介類を食材とする広いフードコートをつくる。こうすれば関西や名古屋から乗り換え無しで敦賀にゆくことができ、将来新幹線が延伸されても敦賀は通過駅にはならない。現在の敦賀市で実現可能なのは、この方法ぐらいだろう。日本有数のフードコートが敦賀にある。それだけで意味が生まれる。
この提案の実現可能性はあるのか?
トップ画像は、福井県農林部水産課作成の越前蟹漁獲量推移と漁獲金額推移である。これをもとにtあたりの漁獲金額推移を算出し、敦賀市の人口推移を加えた。
結果は一番人気のズワイガニ(雄蟹)の漁獲量が減少し続け、漁獲金額が高騰しているから市場では高値になり続ける。統計から見て今後も高騰し続ける蟹が地元経済を支える構図は、自由主義経済の枠組みから外れていませんか?。それって商品価値がない。関西人だったら乗換無しでゆける城之崎や香住もあるからなぁー。
地球環境変動で今後も低減し続ければ、蟹の養殖事業を開発すべきだろう。現時点では北陸は集客魅力を欠いている。他方でセコ蟹(雌の蟹で身が少なく味噌汁の出汁用ね。これを越前ガニというのかな?)増加。そのほかは横ばい推移。
それでいて敦賀市の人口も低減傾向が続く。回帰式で予測すると人口は63,009人(2023年)から55,275人(2040年)に減少する。市であるための条件人口5万人に近づく。当然周辺町村との合併だ。南越前町や美浜町と合併し、それでも不足すれば若狭町や小浜市も取り込むのだろうか。そうなると一つの市に新幹線の計画駅は二つもいらない。
いまだに新幹線延伸のルートが議論になっている。重要なことは福井県は、新幹線を小浜まで誘致したいとは言ってるが、新大阪まで延伸したいはいってない。ならば金沢以遠はミニ新幹線でよいのでは。全ては金沢乗換とし在来線に大阪からのサンダーバードや名古屋からのしらさぎを金沢まで復活させればよい。すでに車両や線路はあるのだから直ぐにでも実現できるが制度自体が邪魔をしている。制度に縛られる文科系の世界だと私は軽蔑している。
地球環境変動や人口減少を踏まえ、今後雪の減少や蟹の漁獲量が低減するなかで、都市開発コンサルタントの立場でいえば「敦賀市は終わった!」、それが結論である。
京都市民にとっては、文化庁も移転してきたこともあり北陸新幹線よりはリニア中央新幹線誘致です。
図版出展:福井県&敦賀市ホームページ