古い民家の多くは、生業も昭和スタイルであり、今の商売でないところが多い。従って誰も後を継ぐことなく、息絶えてゆき、民家も廃墟となり、やがて取り壊されてマンションなどに変わってゆく。
笑えるのは、そうした新築マンションが京都風の伝統的意匠、例えば壁はダークグレイとし格子状の意匠ほどこしたりしているが、玄関の柱を大理石風の石貼にしたり、挙げ句の果てに意匠にこり出して和風を通り越し中華風になってしまっているのには笑える。だからマンションメーカーの建築屋の感性を疑いたくなる。だって京都の伝統的町家にダークグレイという壁はないし、石は土台以外には使わないよな。
そう言えば、観光客が行きそうな今風の町家的京料理レストランで焼き肉だってさ。本来京料理に焼き肉はないし、わざわざ京都に来て食べるものでもない。であれば 神戸に行けよといいたい。だから、これも笑える。
そう考えると、町屋がなくなり、どこにでもある笑える世界が京都にも出現してゆく。そうして次第に京都らしからぬ平凡な景観になってゆくわけだ。だから次第に世の中は、つまらなくなってゆく。それは老人のひがみではなく、都市景観の専門家の視点で述べているのである。
さて時間があれば10年前に撮影した、スライドを整理してみようと思う。あの頃は、まだ京都の臭いが微かに残っていたので、夢中になって撮影していた。それもニコンF4とF3で。
上七軒ぐらいは、しばらく残りそうだ。
京都市・上七軒
OLYMPUS OM-D EM-5, LEITZ ELEMARIT 28mmF2.8
ISO250,露出補正-1/3,f8,1/100