セカンドライフは、個人で楽しむバーチャル・ゲームなのか?或いはバーチャル・ゲームと違うのか?こうした疑問について、セカンドライフ(SL)のシム全体を制作し、運営してゆく際の事業収支=フィジビリティ・スタディ(FS)でみてみよう。SLの特徴的人間関係であるコミュニティという視点に着目し、例えば友人同士でシムを共同制作運営する場合を想定した事業のコミュニティモデルを前提とした。シム事業収支に関する私の試算結果を以下にまとめた。試算前提として、コミュニティ・モデルであるため、シム制作は、出資者コミュニティ自らがボランティアで行うこととした。リンデン社関連の金額は、公表価格とし1$=120円で計算した。SLの個人会費は含まない。
【コミュニティモデルの試算】
1.資金調達
a)ファンド10,160円×30人=304,800円
2.イニシャルコスト
b)シム購入費 234,000円
c)制作期間2ヶ月分のサーバー使用料35,400×2=70,800円[注1]
d)合計 304,800円/年
3.ランニングコスト
e)リンデン社サーバー使用料 424,000円/年
4.運営収入計画(設定値)
f)エキジビジョン使用料 50,000円/月×2回=100,000円
g)建築賃貸使用料 12,000円/年×30棟=360,000円
h)合計 460,000円/年
5.初年度収支
i)初年度粗利益 35,200円/年
j)ファンド分配金(粗利の10%で設定) 3,520円/年
k) ファンド分配金口数金額 117円/年・1人(利率1.17%)
l)純利益:31,680円/年
6.初期投資の回収年度
m) 10年度目(l)/a))
収入計画は、友人同士でシムを運営した場合の、事業成立可能な、最小限値を設定した。これ以下の値では、事業は成立ではないので、損益分岐点近似モデルという性格である。詳細でみると、イベントや展示といったエキジビジョンは、年2回誘致するための営業活動をボランティアで行うことか必要となる。ファーストライフ(FL)での画廊使用料が50,000円/週であるから、SL上で行う場合は、 例えば期間を半年としたり、十分なシムスペースを用意するなどの インセンティブを借り手に対して与える必要がある。また建築はコテージ等の賃料収入であり、現在土地賃料が1,700円/月と比較して、制作済みの建築賃貸は比較的有利かもしれない。
CGやスクリプトの書ける30人の友達が集まり、最初に1万円を出資し、シムを制作したり、エキジビョンや建築賃貸の誘致活動をボランティアで行えば、個人単位でシムの運営に関われるということがわかった。
コミュニティで会費制30人で運営を続けるならば、初期に約1万円相当を支払い、その後毎月1180円/1人でシムを維持できる。
さらに道楽で行いたい個人の場合は、初期投資23,400円を支払い、毎年424,800円を払い続ければよい。一月35,400円である。
ランニングコスト1ヶ月の費用である35,400円を、家計消費年報[注2]の1世帯1ヶ月当たりの消費支出額と比較する。大都市部における家電等の平均消費支出金額が6,769円、国内・海外旅行支出額7,190円、インターネット支出額3,618円であることから判断すると、個人道楽では高い金額である。
このように運営面からみると、SLが単なる個人ユースのバーチャル・ゲームではないことがわかるだろう。コミュニティ・グループ、或いはより大きな事業規模を有する企業ユーザーの利用を想定し、ゲーミング感覚を取り入れた3DCGネットワークの、プラットフォームだということがわかるし、それ自体がパーソナルユースのバーチャルゲームとは異なるのである。
注1)シム購入後制作中もサーバー管理費が発生する。しかも制作中故、この時期は、収益をあげることができない。事業者としては支出のみの経営を余儀なくされ、大変辛い立場である。ファーストライフでも同様のことが起きる。そんな事業者の立場を無視して、建築家や建設業者は、十分設計期間だの建設期間が欲しい、といった注文を平然と出す場合がある。これをみていると総じて建設業界というのは、自分の都合しか考えていない連中の集まりだということがよくわかる。
注2)総務省統計局:家計消費年報,平成18年度版.
【コミュニティモデルの試算】
1.資金調達
a)ファンド10,160円×30人=304,800円
2.イニシャルコスト
b)シム購入費 234,000円
c)制作期間2ヶ月分のサーバー使用料35,400×2=70,800円[注1]
d)合計 304,800円/年
3.ランニングコスト
e)リンデン社サーバー使用料 424,000円/年
4.運営収入計画(設定値)
f)エキジビジョン使用料 50,000円/月×2回=100,000円
g)建築賃貸使用料 12,000円/年×30棟=360,000円
h)合計 460,000円/年
5.初年度収支
i)初年度粗利益 35,200円/年
j)ファンド分配金(粗利の10%で設定) 3,520円/年
k) ファンド分配金口数金額 117円/年・1人(利率1.17%)
l)純利益:31,680円/年
6.初期投資の回収年度
m) 10年度目(l)/a))
収入計画は、友人同士でシムを運営した場合の、事業成立可能な、最小限値を設定した。これ以下の値では、事業は成立ではないので、損益分岐点近似モデルという性格である。詳細でみると、イベントや展示といったエキジビジョンは、年2回誘致するための営業活動をボランティアで行うことか必要となる。ファーストライフ(FL)での画廊使用料が50,000円/週であるから、SL上で行う場合は、 例えば期間を半年としたり、十分なシムスペースを用意するなどの インセンティブを借り手に対して与える必要がある。また建築はコテージ等の賃料収入であり、現在土地賃料が1,700円/月と比較して、制作済みの建築賃貸は比較的有利かもしれない。
CGやスクリプトの書ける30人の友達が集まり、最初に1万円を出資し、シムを制作したり、エキジビョンや建築賃貸の誘致活動をボランティアで行えば、個人単位でシムの運営に関われるということがわかった。
コミュニティで会費制30人で運営を続けるならば、初期に約1万円相当を支払い、その後毎月1180円/1人でシムを維持できる。
さらに道楽で行いたい個人の場合は、初期投資23,400円を支払い、毎年424,800円を払い続ければよい。一月35,400円である。
ランニングコスト1ヶ月の費用である35,400円を、家計消費年報[注2]の1世帯1ヶ月当たりの消費支出額と比較する。大都市部における家電等の平均消費支出金額が6,769円、国内・海外旅行支出額7,190円、インターネット支出額3,618円であることから判断すると、個人道楽では高い金額である。
このように運営面からみると、SLが単なる個人ユースのバーチャル・ゲームではないことがわかるだろう。コミュニティ・グループ、或いはより大きな事業規模を有する企業ユーザーの利用を想定し、ゲーミング感覚を取り入れた3DCGネットワークの、プラットフォームだということがわかるし、それ自体がパーソナルユースのバーチャルゲームとは異なるのである。
注1)シム購入後制作中もサーバー管理費が発生する。しかも制作中故、この時期は、収益をあげることができない。事業者としては支出のみの経営を余儀なくされ、大変辛い立場である。ファーストライフでも同様のことが起きる。そんな事業者の立場を無視して、建築家や建設業者は、十分設計期間だの建設期間が欲しい、といった注文を平然と出す場合がある。これをみていると総じて建設業界というのは、自分の都合しか考えていない連中の集まりだということがよくわかる。
注2)総務省統計局:家計消費年報,平成18年度版.