新型肺炎の感染が今後どうなるかを予測するとき、これまでどのように推移してきたかを探るのが唯一の手がかりだ。そこで厚生労働省が報道発表しているWEBサイト「新型コロナウィルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について」では、国内全体の状況について閉庁日を除き患者数のデータが毎日発表されている。
合わせてこのサイトでは、2020年1月29日より都道府県別の累計患者数を掲載し、同年3月19日より、この内訳状況のデータをアップさせるようになった。
そこでこのブログでは、感染者数が顕著な政令指定都市に着目した。現在20都市16都道府県がそうである。そこでこの16都道府県の推移について国のデータをもとに集計してみた。
厚生労働省のデータは時系列ではないのでWEBサイトから数値を拾い出し、時系列で、この政令指定都市かせある県別に累計患者数の推移をデータベース化したのが以下の表1の累計患者数の推移である。さらにこれを図化したのが図1である。累計値である以上、水平もしくは右肩上がりのグラフにしかならない点に注意されたい。水平推移は、同値か低減(低減はグラフには現れない)している場合、患者数が日々増えてゆけば右肩上がりの増大となり、この傾きが急であれば、急激に患者数が増えてゆく状態をあらわす。
図1は、3月28日に一様に急激な増加傾向を示したのが、(27日人数:28日人数)でみたのが、東京都(227人:368人)、大阪(136人:192人)、愛知(147人:164人)、兵庫(87人:125人)、千葉県(54人:126人)である。
表1及び図1は、累計値のため実数値の推移がわからない。そこで同省が3月19日より公開している政令指定都市別日別入院感染患者数を元にして作成した経緯が表2の入院感染患者数推移である。これは患者数累計から退院数等を減じたもので、現在の入院感染患者数を示している。この推移を図化したのが図2である。これらの表図の方が最新傾向を示している。
図2をみると、2020年3月28日時点で入院感染患者数が増大しているのは、最大値側から(27日人数:28日人数)で示すと、東京都(193人:327人)、大阪府(111人:142人)、埼玉県(51人:106人)、愛知(90人:103人)、兵庫(80人:99人)、千葉県(42人:60人)の順でありいずれも増大推移である。これに対して低減推移が北海道(47人:44人)が顕著であり、いち早く緊急事態宣言(2月28日〜3月19日)をおこない感染防止効果をあげていることがわかる。それら以外の他の都市は、増大も低減も値の変動が小さい。
このことから、増大推移タイプ、減少推移タイプ、そして入院感染患者数20人以下と42人以上との間に開きがあり、推移傾向も異なっていることから入院感染患者数20人のところに破線をいれ、これ以下を低値水平移動タイプとした。つまり増大推移タイプ、減少推移タイプグ、低値水平推移タイプの3タイプに分類できることがわかった。
現時点では、この破線以下であれば感染数も少なく拡大もしていない自治体である。そこでこのタイプの政令指定都市をあげると次のようになる。
静岡県・宮城県(1人:1人)、岡山県(1人:2人)、広島県(3人:3人)、熊本県(7人:7人)、さらに今後数値が低減すれば新潟県(17人)が含まれる。他方で今後このタイプから増大傾向に転じつつあるのが京都府(20人:24人)、福岡県(10人:19人)となる。また3月28日時点で入院感染患者を発生していない政令都市以外では、岩手、山形、富山、鳥取、島根の5県がある。
つまり北海道を除けば、その他の自治体は終息の過程には全くあらず、いまだ拡大基調であり、終息への道筋もみいだせない状況だといえる。
そうなると政令指定都市ごとの感染患者数にあわせた施策が必要である。特に東京都の値をみると患者数が急激に増加しており、自粛で効果がでるのか疑問視される。ロックアウトは、外出禁止のみならず交通機関をすべて遮断。飛行機、鉄道、自動車、そして東京に通じる道路は細街路にいたるまで、物流の車以外は、すべて2週間、遮断する位の政策が必要だと東京都は考えたのだろう。
さらに今後低値水平推移タイプの自治体が安全かというと必ずしもそうではなく、表1をみると低値の自治体にも感染患者数が次第にゆるやかに増えてゆく様相がみてとれる。政府専門家委員会が指摘しているように新型肺炎感染は、終息まで今後もしばらく続く。感染の速度をできるだけ遅らせながら時間を稼ぎ、ワクチンの登場を待つほかないのが現状である。
表1.政令指定都市がある県別新型コロナウイルス感染症の累計患者数の推移(無症状病原体保有者を除く)(単位:人)
依拠:厚生労働省WEBサイト、新型コロナウィルス感染症の状況と厚生労働省の対応について、国内における都道府県別の患者報告数2020年1月29日〜3月28日
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10521.html
図1.政令指定都市別新型コロナウイルス感染症の累計患者数の推移
表2.政令指定都市がある県別日別入院感染患者数推移(無症状病原体保有者を除く)(単位:人)2020年3月19日〜3月28日
依拠:厚生労働省WEBサイト、新型コロナウィルス感染症の状況と厚生労働省の対応について、国内における都道府県別の患者報告数2020年3月19日〜3月28日
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10521.html
図2.政令指定都市がある県別日別入院感染患者数推移グラフ
(記:2020年3月30日)
追記
通例の市販の消毒薬は、ウィルスを殺菌しない。
手元にいくつかの消毒薬があるが病院で使われているウェルパスでも「ウィルスを不活性化に押さえる」という表記がボトルにあり、殺菌するわけではない。業務用のベンザルコニウム塩化物消毒液やオスバンSなども「大部分のウィルスに対する殺菌効果は期待できない」とボトルに書いてある。消毒薬は法令で設置を義務づけられているので飲食店などにおかれているが、効果は、効くかもしれないし効かないかもしれないというものです。
バリエールN95のサージカルマスク。これはウィルスを95%まで除去。ただし息苦しいので長時間つけるものではないです。それ以外のマスクがどれほど効果があるかは、私にはわかわりません。しかし取りあえずマスクをつけていれば、水面下の感染者の囲い込みに貢献している可能性を期待したい。
もう一つ感染者は、2週間以内の行動を調査される。そこで浮かび上がった密閉空間で滞留密度が高い部分を抽出し感染源と特定できると、その場に居合わせた人達全てを検査する。こうした囲い込みによって感染拡大は防げる。和歌山のクラスターの時は、法令範囲を飛び越えて、症状がない人達まで検査し隠れ保菌者を発掘できた。では隠れ保菌者が補足できなかったらどうするか。
例えば、○月×日のぞみN号7号車に感染者が乗っていたことがわかったならば、そのことをテレビ報道し、同時期同車両乗客自らが保健所へ出頭してPCR検査を受けられます・・・、という施策やテレビ報道を、私は見たことがない。医療現場や保健所などと連携して、テレビを隠れ保菌者発掘による感染拡大阻止の手段として使う方法もあるだろう。
おそらく国は、既に患者発生数を少なくとも1週間前に予測していたとみられる。その予測式は、統計的推移では算出できないので、数理モデルで算出したと思われる。常微分方程式をはじめいくつかの数理モデルがある。日本感染症学会の学術論文をひけば、方程式があるだろう。気がかりならば数理モデルを使用して、皆さんで計算してみてはいかがですか。そのためのデータの一部を集約してみました。
京都市
NIKON Df、AF-S NIKKOR28-300mm/f3.5-5.6G
ISO100、焦点距離135mm、露出補正0、f/5.6、1/250