日本列島が函館北斗から鹿児島まで新幹線という1本の動脈で繋がれてから、実は旅が大変不便になった。それまで網目状だった日本の鉄道路線網から、拠点都市間を結ぶ単線構造に変わってしまったからだ。移動は拠点都市を目指し、そこから乗り換えて目的地にゆくという1本の背骨構造だ。
旅のタイプには3タイプある。
A)最速でゆきたい場合。これは飛行機しかない。飛行機はローカル都市同士を繋ぐ場合もあり、意外に便利だが高い上に、CO2の排出量が高い。
B)その日のうちにつけばよい場合。これは主に鉄道によるが、現在は新幹線を使うという選択肢しかない。CO2の排出量は一番低いだろう。
C)安ければよい場合。これは夜行もある高速バスによる。夜行バスは、到着したら疲れが貯まり旅どころではない。そこでビジネスホテルのデイユースで一休みすると、なんのために夜行にしたか意味がない。CO2の排出量は、低くはないだろう。
このように書けば、CO2排出量の少ない寝台列車を復活させろ!、という結論になるが、寝台列車は疲れも少なく、意外に便利なのである。そして現在定期的には東京-四国・出雲の1編成しか走っていない。
というのも冬に秋田・小樽へゆこうと考えた。
先ず秋田へはJALとANAしかない。事前予約をしないと高い。そうなると敦賀からフェリーで20時間で秋田に5:05着。雪国へそんなに早く着いて何処へゆけというのだ。結局新幹線で6時間で我慢してゆくといった具合に選択肢がない。
ならばpeachで仙台に飛び、高速バスで秋田に行く方法が便利そうだ。所要時間も新幹線と同じか早い。運賃は1万円以下とすこぶる安い。
さて次は秋田から小樽へゆく方法だ。もちろんANAとJALで新千歳へ飛ぶのが一般的。鉄道では8時間8分と、金額は飛行機と大差なく、選択肢なし。或いは朝の早立ちでフェリーで夕方小樽港につく方法もあるが・・・。
かっては京都から寝台特急日本海があったし、秋田から小樽まで鉄道の乗り継ぎで容易にゆくことができた。今はその函館本線に特急列車は走っていないから、札幌から戻る格好になる。
つまり京都人にとって秋田は日本の僻地だ。結局秋田に立ち寄ることは諦めた。
これは日本の交通網が従来のように網目状にネットワークされていないからだ。全て拠点都市へ向かい、そこで乗り換えて目的地にゆく背骨構造に由来する。異なる末端にゆくときは一端背骨にたどり着き、ここを高速移動をしてから乗換、そこから異なる末端にたどり着くというわけだ。
こんな使い勝手の悪い構造でよいのか?。そうなると寝台列車を都市間移動に走らせる方法がありCO2排出削減にもなる。大阪発札幌行き寝台特急は、今でも走らせられる。青函トンネルは在来線の貨物列車と併用しているから通過可能だ。
CO2削減に有利であり、乗り心地がよく、都市の中心へたどりつく寝台特急列車が復活してもよいと思う。
追記
時折京都から名古屋へ新幹線で出かけることがある。いつも各駅停車のひかり号かこだま号だが、車両がおろしたての新車だ。形式をみたらN700形の最新モデル。だから全部の座席に電源コンセントがついており、肘掛けの下から取り出すことができる。壁と荷物棚の接合部のディテールも異なっている。全部の列車が同じ速度で東京駅を目指すということは、停車駅が多い列車の方が加速性能が良い必要がある。つまり最新型が投入される確率が高い。雪の米原駅で停車していたら、経年使用で汚れた旧型N700形のぞみ号がゆっくりと追い越していった。
車両は最新型で綺麗、乗客は大変少ない、雪で徐行しているから景色をみながらの移動が愉しい、冬の新幹線各駅停車の魅力である。