モニュメントバレーを後にして、一路、グランドサークルをめぐる旅の最終ポイントへ。旅の締めくくりは、コロラド川が500万年~600万年という想像を超える歳月、大地を削りに削って創りあげたグランドキャニオン。その名のとおり、とてつもない大峡谷です。グランドキャニオンは、コロラド川を隔てて北のノースリム(North Rim)、南のサウスリム(South Rim)に分かれますが、一般的なのはサウスリムのほうで、観光客の9割はサウスリムを訪れるのだそうです。
モニュメントバレーからグランドキャニオンまで距離にして約300km。およそ3時間半のドライブですが、アメリカ西部のワイルドな風景が続くので退屈しません。
ルート上ちょうど中間付近、HWY160沿いのテューバシティ(Tuba City)にある「象の足(Elephant's Feet)」と呼ばれる双子岩。車窓から見ただけですが、たしかに象の足に似ています。特に、一番下の岩の起伏は、爪の部分にそっくりでした。駐車場に止まっている車と比較すれば、大きさが想像できますね。この駐車場には、ときどき土産物店も店開きするそうです。
HWY160からHWY89へと進み、グランドキャニオンのゲートウェイタウン キャメロン(Cameron)で、休憩がてらIndian Arts & Craftsという店に立ち寄りました。品揃えも豊富で品質も良さそうだったので、ネイティブアメリカン手づくりのお土産をいくつか買って帰ることに・・・・・ (^-^)ゞ
その店の前に、リトルコロラド川に架かるHistoric Tanner's Crossing Bridgeという古い橋が残されていました。今は新しい橋が架かっていますが、以前はこの橋をHWY89が通っていたそうです。
イーストエントランスからグランドキャニオン国立公園に入り、デザートビュードライブ(Desert View Dr.)へ。途中、いくつかのビューポイントを通り過ごして、ステーキハウスBig Eで遅めのランチです。昨夜のグールディングスロッジでもステーキだったのになぁと思いつつ中へ……(^-^)ゞ
店内は、鹿の角をあしらった照明や、壁に飾られた鹿や狼の剥製や毛皮など、西部劇に出てきそうなワイルドな雰囲気。
ステーキではなくハンバーガーでした 美味しくて付け合わせのポテトも含め、またまた完食 (^-^)ゞ
店のすぐ南には、グランドキャニオン空港があります。セスナやヘリコプターによる遊覧飛行が主体の小さな空港ですが、ラスベガスからの往復便も乗り入れているようです。
食事後ふたたびサウスリムに戻り、最初はマーザーポイント(Mather Point)へ。
展望台に入る前、グランドキャニオンの広大さに比して、この日私たちが移動してきた距離がいかに微々たるものか等々、ビジュアルで説明してくれているのは、明るく快活な現地ガイド Midoriさん。ラスベガス在住20年だそうです。
(広げている地図は、Midoriさん自前のスカーフです)
マーザーポイントは、サウスリムからキャニオンに向けて突き出した自然の展望台。ここからの眺望は、グランドキャニオンの数ある展望台のなかでも最も素晴らしいもののひとつと言われています。
ちなみに、「マーザー(Mather)」とは「マザー(Mother)」ではなく、初代アメリカ国立公園局長スティーヴン・マーザーの名前から付けられたものです。
眼前に広がるグランドキャニオン。東西の幅は446kmですから、ほぼ東京から兵庫県明石市までの距離に相当します(福岡からも同じく明石市くらいの距離)。南北は場所によって幅がありますが、サウスリムの拠点ビレッジ付近で約16km。最も広いところで29km、狭いところでも8kmあるそうです。コロラド川が削った大地の深さも相当なもの。平均的には1,500m、最も深いところは1,800mを越えます。
このグランドキャニオンを西欧人が発見したのは1540年。この辺りがまだスペイン領だった当時、13人のスペイン人調査隊が、今のヤバパイポイントでこの壮大な景色に遭遇しました。彼らが受けた衝撃と感動は、現代の私たちが想像するよりも遥かに大きなものだったことでしょう。ただ、その調査は金の採掘を目的としたものだったので、先住民からその可能性がないことを知らされた調査隊は、深く調べることなくこの地を去ったそうです。その後、19世紀のパウエル探検隊に至るまで、この大峡谷は西欧人の記憶から遠ざかってしまうことになりました。(ジョン・ウェズリー・パウエル(John Wesley Powell):コロラド川の探検を通じてグランドキャニオンを世に知らしめた地質学者で、グランドキャニオンの名付け親。レイクパウエルにもその名を残しています)
サウスリムの中心となるビレッジ(ブライトエンジェルロッジ)に移動しました。コロラド川が侵食した地層が幾重にも重なっているのがわかりますね。ちなみに、コロラド川が今なお浸食し続けているのは、17億年から19億年前の地層。グランドキャニオンの最上層、つまり私たちの足もとの地層でも2億6000万年前のものだそうですから、上から下まで、気の遠くなるような悠久の時の流れを感じさせます。
左端の石造りの建物はコルブスタジオ(Kolb Studio)で、ここを過ぎたところが、グランドキャニオンで最もポピュラーなブライトエンジェル・トレイルの起点(Trailhead)。
そのブライトエンジェル・トレイルを少し歩いたところに、崖をくり抜いた小さなトンネルがあり、その横にぽっかりと開いた自然の穴(夕陽を浴びて金色に光っている部分)が人気の撮影ポイントとなっています。
私たちも通りすがりのハイカーに頼んで、シャッターを押してもらいました (^-^)ゞ
写真中央、コロラド川に向かって続くトレイル沿いに、木々が集中している場所が見えますね。緑のオアシスといわれるインディアンガーデンです。夏場は50℃にも達する気温と、遮るもののない日射が容赦なくそそぐグランドキャニオンのトレイルにあって、貴重な癒しスポットとなっています。
白い崖は、一番上のカイバブ石灰岩からなる地層。夕日を浴びて輝いていました。崖の上に立つ茶色いシックな建物は、エル・トーバーホテル(El Tovar Hotel)。アリゾナ北部に初めて探検隊を送り出したトーバー公爵にちなんで名付けられたホテルで、1905年に開業した当時は、「ミシシッピ川以西で最もエレガントなホテル」と称されたそうです。
日が傾くにつれ、光と影が際だってきます。
キャニオン全体が次第に赤みを増してくる、ダイナミックな日没を体験しました。
サウスリムの何ヵ所かに設置されていたロケーター(Scenic Locator)。円周前方の溝にスコープをセットして中を覗くと、見たいポイントを簡単に発見できるというものです。周囲の景観にマッチしているだけではなく、このロケーター自体がいい雰囲気でした (^-^)ゞ
うっすらと空をピンクに染めて日が沈みました。この日の日没は午後5時39分。これから明日の夜明けまで、キャニオンは漆黒の闇に包まれます。
さて、この日の宿、グランドキャニオン・プラザホテルでの夕食。ついつい食べ過ぎてしまいがちな旅の食事、今夜こそ控えめにしなければと思いつつ、こんなに大きなスペアリブを・・・・・・ (^-^)ゞ
グランドキャニオンの地ビールがあったのでそれを注文。今回の旅行中に飲んだビールの中では、これが一番でした ヽ(^o^)丿
翌朝、日の出20分前のマーザーポイント。東の空がオレンジ色に輝いてきました。
西の空はほんのりとピンクに染まっていますが、まだ、峡谷のどこにも朝の光は届いていません。
20分後の6時46分、ようやく太陽が地平線から顔を覗かせました。
この日、キャニオンに初めて届いた太陽の光。
一刻一刻と広がりながら、峰々を照らしていきます。
日の出から10分後。
赤みの強い夕方の光と異なり、黄色または金色に輝くようなドラマチックな朝焼け。グランドサークルをめぐる旅のフィナーレを飾るにふさわしい光景でした。
あと30分、せめて10分……という思いを断ち切り、思いっきり後ろ髪を引かれながら、マーザーポイントを後にしました (^-^)ゞ
21年前のグランドキャニオン《自分たちで行ったモニュメントバレーとは違って、出張先が企画してくれた、グランドキャニオンや化石の森国立公園(Petrified Forest National Park)、アリゾナ大隕石孔記念物(通称アリゾナ・クレーター、Meteor Crater National Landmark)など、アメリカの自然や史跡をめぐる2泊3日の体験プログラム》では、いくつかのビューポイントを回った後に、4時間のフリータイムがあったにもかかわらず、ビレッジ周辺で過ごしただけだったのが心残りでした。今回はあまり時間はなかったのですが、多少なりとも前回とは違った体験をしておきたくて、ほんのさわりだけブライトエンジェル・トレイルを歩いてみました。たった15分ほど崖に沿って坂道を下っただけですので、トレイルを歩いたとは言えませんが、少しだけハイカー気分を味わえました (^-^)ゞ
また、太陽の光がグランドキャニオンに届き始めた瞬間、そこから峰々のひとつひとつが徐々に照らし出されていく過程は、月並みですが、実に感動的な光景でした。前回訪れたときに、「あちこち移動して眺めるのではなく、同じポイントで時間をかけて光と影の変化を感じるのがグランドキャニオンの醍醐味」と世話役の女性から説明されたことを思い出し、わずかな時間ながらもそれを実感することができた貴重な体験となりました。
モニュメントバレーからグランドキャニオンまで距離にして約300km。およそ3時間半のドライブですが、アメリカ西部のワイルドな風景が続くので退屈しません。
ルート上ちょうど中間付近、HWY160沿いのテューバシティ(Tuba City)にある「象の足(Elephant's Feet)」と呼ばれる双子岩。車窓から見ただけですが、たしかに象の足に似ています。特に、一番下の岩の起伏は、爪の部分にそっくりでした。駐車場に止まっている車と比較すれば、大きさが想像できますね。この駐車場には、ときどき土産物店も店開きするそうです。
HWY160からHWY89へと進み、グランドキャニオンのゲートウェイタウン キャメロン(Cameron)で、休憩がてらIndian Arts & Craftsという店に立ち寄りました。品揃えも豊富で品質も良さそうだったので、ネイティブアメリカン手づくりのお土産をいくつか買って帰ることに・・・・・ (^-^)ゞ
その店の前に、リトルコロラド川に架かるHistoric Tanner's Crossing Bridgeという古い橋が残されていました。今は新しい橋が架かっていますが、以前はこの橋をHWY89が通っていたそうです。
イーストエントランスからグランドキャニオン国立公園に入り、デザートビュードライブ(Desert View Dr.)へ。途中、いくつかのビューポイントを通り過ごして、ステーキハウスBig Eで遅めのランチです。昨夜のグールディングスロッジでもステーキだったのになぁと思いつつ中へ……(^-^)ゞ
店内は、鹿の角をあしらった照明や、壁に飾られた鹿や狼の剥製や毛皮など、西部劇に出てきそうなワイルドな雰囲気。
ステーキではなくハンバーガーでした 美味しくて付け合わせのポテトも含め、またまた完食 (^-^)ゞ
店のすぐ南には、グランドキャニオン空港があります。セスナやヘリコプターによる遊覧飛行が主体の小さな空港ですが、ラスベガスからの往復便も乗り入れているようです。
食事後ふたたびサウスリムに戻り、最初はマーザーポイント(Mather Point)へ。
展望台に入る前、グランドキャニオンの広大さに比して、この日私たちが移動してきた距離がいかに微々たるものか等々、ビジュアルで説明してくれているのは、明るく快活な現地ガイド Midoriさん。ラスベガス在住20年だそうです。
(広げている地図は、Midoriさん自前のスカーフです)
マーザーポイントは、サウスリムからキャニオンに向けて突き出した自然の展望台。ここからの眺望は、グランドキャニオンの数ある展望台のなかでも最も素晴らしいもののひとつと言われています。
ちなみに、「マーザー(Mather)」とは「マザー(Mother)」ではなく、初代アメリカ国立公園局長スティーヴン・マーザーの名前から付けられたものです。
眼前に広がるグランドキャニオン。東西の幅は446kmですから、ほぼ東京から兵庫県明石市までの距離に相当します(福岡からも同じく明石市くらいの距離)。南北は場所によって幅がありますが、サウスリムの拠点ビレッジ付近で約16km。最も広いところで29km、狭いところでも8kmあるそうです。コロラド川が削った大地の深さも相当なもの。平均的には1,500m、最も深いところは1,800mを越えます。
このグランドキャニオンを西欧人が発見したのは1540年。この辺りがまだスペイン領だった当時、13人のスペイン人調査隊が、今のヤバパイポイントでこの壮大な景色に遭遇しました。彼らが受けた衝撃と感動は、現代の私たちが想像するよりも遥かに大きなものだったことでしょう。ただ、その調査は金の採掘を目的としたものだったので、先住民からその可能性がないことを知らされた調査隊は、深く調べることなくこの地を去ったそうです。その後、19世紀のパウエル探検隊に至るまで、この大峡谷は西欧人の記憶から遠ざかってしまうことになりました。(ジョン・ウェズリー・パウエル(John Wesley Powell):コロラド川の探検を通じてグランドキャニオンを世に知らしめた地質学者で、グランドキャニオンの名付け親。レイクパウエルにもその名を残しています)
サウスリムの中心となるビレッジ(ブライトエンジェルロッジ)に移動しました。コロラド川が侵食した地層が幾重にも重なっているのがわかりますね。ちなみに、コロラド川が今なお浸食し続けているのは、17億年から19億年前の地層。グランドキャニオンの最上層、つまり私たちの足もとの地層でも2億6000万年前のものだそうですから、上から下まで、気の遠くなるような悠久の時の流れを感じさせます。
左端の石造りの建物はコルブスタジオ(Kolb Studio)で、ここを過ぎたところが、グランドキャニオンで最もポピュラーなブライトエンジェル・トレイルの起点(Trailhead)。
そのブライトエンジェル・トレイルを少し歩いたところに、崖をくり抜いた小さなトンネルがあり、その横にぽっかりと開いた自然の穴(夕陽を浴びて金色に光っている部分)が人気の撮影ポイントとなっています。
私たちも通りすがりのハイカーに頼んで、シャッターを押してもらいました (^-^)ゞ
写真中央、コロラド川に向かって続くトレイル沿いに、木々が集中している場所が見えますね。緑のオアシスといわれるインディアンガーデンです。夏場は50℃にも達する気温と、遮るもののない日射が容赦なくそそぐグランドキャニオンのトレイルにあって、貴重な癒しスポットとなっています。
白い崖は、一番上のカイバブ石灰岩からなる地層。夕日を浴びて輝いていました。崖の上に立つ茶色いシックな建物は、エル・トーバーホテル(El Tovar Hotel)。アリゾナ北部に初めて探検隊を送り出したトーバー公爵にちなんで名付けられたホテルで、1905年に開業した当時は、「ミシシッピ川以西で最もエレガントなホテル」と称されたそうです。
日が傾くにつれ、光と影が際だってきます。
キャニオン全体が次第に赤みを増してくる、ダイナミックな日没を体験しました。
サウスリムの何ヵ所かに設置されていたロケーター(Scenic Locator)。円周前方の溝にスコープをセットして中を覗くと、見たいポイントを簡単に発見できるというものです。周囲の景観にマッチしているだけではなく、このロケーター自体がいい雰囲気でした (^-^)ゞ
うっすらと空をピンクに染めて日が沈みました。この日の日没は午後5時39分。これから明日の夜明けまで、キャニオンは漆黒の闇に包まれます。
さて、この日の宿、グランドキャニオン・プラザホテルでの夕食。ついつい食べ過ぎてしまいがちな旅の食事、今夜こそ控えめにしなければと思いつつ、こんなに大きなスペアリブを・・・・・・ (^-^)ゞ
グランドキャニオンの地ビールがあったのでそれを注文。今回の旅行中に飲んだビールの中では、これが一番でした ヽ(^o^)丿
翌朝、日の出20分前のマーザーポイント。東の空がオレンジ色に輝いてきました。
西の空はほんのりとピンクに染まっていますが、まだ、峡谷のどこにも朝の光は届いていません。
20分後の6時46分、ようやく太陽が地平線から顔を覗かせました。
この日、キャニオンに初めて届いた太陽の光。
一刻一刻と広がりながら、峰々を照らしていきます。
日の出から10分後。
赤みの強い夕方の光と異なり、黄色または金色に輝くようなドラマチックな朝焼け。グランドサークルをめぐる旅のフィナーレを飾るにふさわしい光景でした。
あと30分、せめて10分……という思いを断ち切り、思いっきり後ろ髪を引かれながら、マーザーポイントを後にしました (^-^)ゞ
21年前のグランドキャニオン《自分たちで行ったモニュメントバレーとは違って、出張先が企画してくれた、グランドキャニオンや化石の森国立公園(Petrified Forest National Park)、アリゾナ大隕石孔記念物(通称アリゾナ・クレーター、Meteor Crater National Landmark)など、アメリカの自然や史跡をめぐる2泊3日の体験プログラム》では、いくつかのビューポイントを回った後に、4時間のフリータイムがあったにもかかわらず、ビレッジ周辺で過ごしただけだったのが心残りでした。今回はあまり時間はなかったのですが、多少なりとも前回とは違った体験をしておきたくて、ほんのさわりだけブライトエンジェル・トレイルを歩いてみました。たった15分ほど崖に沿って坂道を下っただけですので、トレイルを歩いたとは言えませんが、少しだけハイカー気分を味わえました (^-^)ゞ
また、太陽の光がグランドキャニオンに届き始めた瞬間、そこから峰々のひとつひとつが徐々に照らし出されていく過程は、月並みですが、実に感動的な光景でした。前回訪れたときに、「あちこち移動して眺めるのではなく、同じポイントで時間をかけて光と影の変化を感じるのがグランドキャニオンの醍醐味」と世話役の女性から説明されたことを思い出し、わずかな時間ながらもそれを実感することができた貴重な体験となりました。