Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

瀬戸内の旅(3):竹原町並み保存地区

2018年01月10日 | 身辺雑記
 瀬戸内の旅は、呉1泊、大久野島2泊で実質的には終わったようなものだが、もう1泊、竹原の温泉に予約を入れていた。予定では、大久野島を朝出て、瀬戸内海に面した低山を登り、温泉で汗を流すつもりだった。

 だが、わたしはもう山に登る気力を失った。ウサギのあまりの可愛さに、すっかり参っていた。温泉には、予約をした以上、行かなければならないが、それは昼食後の船に乗れば間に合う。それまでは大久野島にいようと思った。

 午前中は今まで歩いていなかった道を歩いた。ウサギとも戯れた。そんなことをしているうちに、あっという間に時間が過ぎた。昼食をとった後、午後1時頃の船で戻った。戻ってから、登るはずだった山を見上げた。標高300メートル足らずの低山なのに、ずいぶん高く見えた。

 JR呉線で3駅、竹原駅に着いた。宿の迎えの車を頼んでいたが、それが来るまで1時間ほどあるので、竹原町並み保存地区に行ってみた。国民休暇村でもらったパンフレットを頼りに歩き出したが、意外に遠かった。駅から15分ほど。よく知っている道なら、15分という距離は遠くはないと思うが、曲がり角などの見当をつけながら、初めての道を歩くと、その距離は遠く感じた。

 ともかく竹原町並み保存地区に着いた。迎えの車に迷惑をかけるわけにはいかないので、約束の時間までに駅に戻らなければならない。逆算すると、見学時間は30分くらい。わたしは駆け足で見て回った。

 たしかに情緒ある古い家が並んでいる。日本にいくつか残っている古い町並みの一つであることは間違いない。京都とか、金沢とか、岐阜とか、そういう観光地とは違って、竹原の町並みは、今もその多くの家々に住民がいる。それが特徴だ。そのため、少し地味な感じがした。

 約束の時間までに駅に戻り、迎えの車で宿に向かった。山間の温泉地。湯船の中で手足を伸ばしていると、ふと、亡父を想い出した。呉海軍工廠で働いていた亡父は、竹原という地名は知っていたかもしれないが、そこの温泉でくつろぐことなど、思いもよらなかっただろう。それなのに、今こうして、息子が湯船に浸かっている。申し訳ないような気がした。

 翌日は東広島駅まで送ってもらった。山間を縫うように走る車からは、のどかで穏やかな山里が見えた。その風景を眺めているうちに、某チェーンホテルの建物が目に入った。東広島駅に着いた。
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