Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

山下一史/千葉交響楽団「ニューイヤーコンサート2021」

2021年01月11日 | 音楽
 山下一史指揮千葉交響楽団の「ニューイヤーコンサート2021」に行った。我が家から会場の千葉県文化会館までドアツードアで約2時間かかるが、以前から千葉響が好きなので、(緊急事態宣言下ではあるものの)あえて重い腰を上げた。

 プログラムは有名曲から珍しい曲まで全13曲。ニューイヤーコンサートにふさわしい多彩な曲目だった。演奏はいつものとおり張りのある音で、今回はニュアンスへの配慮も感じられた。千葉響が音楽監督の山下一史のもとで着実に成長していることがうかがわれた。東京オペラシティのB→Cシリーズに出演した若手奏者もいて頼もしい。

 千葉響のニューイヤーコンサートを聴くのは初めてだが、山下一史のトークによれば、毎年テーマを設定しているそうだ。今年のテーマは「花」。千葉県は花の生産量が全国第2位だそうで、第1位は愛知県。愛知県は菊の生産量が多いとのこと。「それがなければ千葉県が第1位!」と。そこで拍手が大きく盛り上がる。なんとも微笑ましい。千葉響は「おらがまちのオーケストラ」を標榜しているが、その成果が表れているようだ。

 プログラムにヨハン・シュトラウス二世のポルカ「すみれ」という曲が入っていた。上記の「珍しい曲」の一つだ。山下一史はトークのなかで「花がテーマなんで、結構探すのが大変だったんです」といって笑わせた。可愛らしい曲だった。もう一つ珍しい曲をあげておくと、ヨーゼフ・シュトラウスのポルカ・フランセーズ「気まぐれ」という曲が入っていた。山下一史によれば、ユーモアが仕掛けられた曲。もっとも、そのユーモアの解説が演奏の終わった後だったので、それも(ユーモアがわからなかった――わたしもそうだが――)聴衆の笑いを誘った。

 有名曲のなかでは、ヨーゼフ・シュトラウスのワルツ「ディナミーデン」がニュアンス豊かな演奏だった。リヒャルト・シュトラウスのオペラ「ばらの騎士」のオックス男爵のワルツの元ネタだが、それがよくわかる演奏だった。

 ゲストにソプラノ歌手の別府美沙子が登場した。日本オペラ振興会(藤原歌劇団)所属の若手歌手だ。オペレッタ「こうもり」からアデーレのアリア、オペラ「ボエーム」からムゼッタのアリア、オペレッタ「ボッカッチョ」から例の「恋はやさし野辺の花よ」の3曲を歌った。正確な歌い方だが、オペラ/オペレッタ的な雰囲気には欠けた。むしろ「恋はやさし野辺の花よ」の中間部で歌った日本語の訳詞が、わたしには印象的だった。

 アンコールが3曲演奏された。そのなかに千葉県ゆかりの曲らしいものがあった。わたしは知らない曲だったが、会場は大いに盛り上がった。
(2021.1.10.千葉県文化会館)
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