平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

ダイ・ハード 4.0

2007年10月15日 | 洋画
★21世紀の犯罪はデジタル。
 お金を手に入れようとすれば、金融機関のコンピュータにアクセスすればいい。
 事故や渋滞を起こそうと思えば、交通局のコンピュータにアクセスして信号を支配すればいい。
 停電を起こそうと思えば、電気会社のコンピュータに……。
 といった具合だ。

 この作品はそんな犯罪者・テロリストとの戦い。
 立ち向かうのは宣伝文句どおり、アナログ刑事のジョン・マクレーン(ブルース・ウィルス)。
 偶然ハッカーであるマットの移送に関わったことから事件に巻き込まれる。
 この『偶然』というのが面白い。
 コンピュータ思考の人間には想定外の出来事だ。
 またマクレーンがタフでとんでもない発想の人物であることもコンピュータ思考の人間には想定外。
 犯人側は警察のデータベースからマクレーンのデータを入手するが、それはあくまでデータ。
 彼が「借金を無にしてやる」という誘惑に応じないこと、車をぶつけてヘリを撃墜することなどは考えられない。
 敵のボスはマクレーンの娘を人質に取るが、娘もマクレーンもそれに屈しない。
 これがデータ、デジタルの限界だ。
 机の上で情報の中で戦う人間は、データにある普通の人間のリアクションには対応できるが、マクレーンの様な「想定外」の動きに対応できない。

★物語はこの対立図式で展開していくが、一方でデジタルの力を借りなければ、マクレーンも事件を解決できなかったというのも面白い。
 この作品でいうデジタルとは行動を共にするハッカーのマットだ。
 彼はテロリストと同じ発想の持ち主でマクレーンに意見を求められる。
 「お前なら次に何をする?」
 その他にもマットは衛星電話の使用や敵の位置の特定、車の盗み(父親が死にそうでと懇願する所はアナログだが)などでマクレーンに協力する。
 アナログ+デジタル。
 この形で事件は解決されていくが、これは「24」でも同じ。
 ジャック・バウアーの活躍もCTUのデジタル部門のフォローがあるから可能になる。
 昔の刑事ドラマは、例えば「太陽にほえろ」の走る刑事など、アナログ部分で描いていればよかったが、現在のドラマはデジタル部分の描写も必要になってくるだろう。(その点で「踊る大捜査線」の「さらば愛しの刑事」や「交渉人真下正義」は時代を反映して描かれている)

★最後に。
 この作品はともかく見ている者をアドレナリン全開にさせる。
 敵のマイ(マギーQ)との戦い。(→楚々とした美人である彼女がターミネーターの様にタフである意外性が面白い)
 ジェット戦闘機と戦い。(→何とマクレーンは最後には戦闘機を撃墜してしまう・笑)
 ともかく息もつかせぬとはこのことであろう。

※追記
 ラスト、マクレーンは自分の肩を撃ち抜いて敵のボスを倒すが、これも想定外であったろう。敵のボスはマクレーンがこんなことをするクレージーな人間がいるとは考えられない。自分の人間観を越えている。
 人間はミスをするし、とんでもない火事場のバカ力を発揮するのだ。


コメント
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