平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

ナイル殺人事件

2007年10月18日 | 洋画
 ナイル川を下る観光船に金持ちの女性リネットに関わりのある人物が集まる。
 彼らは皆リネットを殺す動機を持っている。

★リネットに恋人を奪われた女
★家と父親をリネットの会社の強欲のために失った女
★リネットの宝石が欲しい老婦人
★リネットのことを書いて名誉毀損で訴えられようとしている作家
★医療ミスのことでリネットから訴えられようとしている医者
★リネットの財産管理の仕事からはずされようとしている弁護士(実は裏で財産を不正に流用している)
★リネットに奴隷の様に使われている使用人
★リネットを社会の寄生虫だと言って非難している共産主義の若者

 まさに動機の宝庫だ。
 ここには様々な人間の欲と推理小説における動機がある。
 これを応用すれば推理小説家は様々な動機を考え出すことが出来るだろう。

 こんな動機を持つ人物たちであるから、彼らは皆リネット殺しを行う可能性がある。
 ポワロは可能性として彼らがどの様にリネット殺しを行ったかを実際に描写してみせる。
 作者は動機、そして登場人物すべてに犯行が可能であることを見ている者、読んでいる者に示すわけだ。
 ここで見ている者は誰が犯人だかわからなくなる。
 誰もが怪しいミステリーの世界に誘われる。

 事件は展開する。
★リネットに奴隷の様に使われている使用人が殺される。
 彼女は犯人が犯行を行う所を偶然目撃し脅迫していたらしい。
★次に作家が殺される。
 作家は使用人が殺される所を見た目撃者で、そのことをポワロに伝えようとしていた。 
 第二、第三の殺人事件。
 ここでの動機は明らかだ。
 動機は自分が犯人であることを知る人物をしゃべれなくすること。
 犯行にはどこか綻びがある。
 その綻びを補うために犯人は暗躍する。殺人を繰り返す。
 これも推理小説の王道。

 そして解決。
 ポイントは穴の空いたストール。

 この作品はミステリー映画の名作である。
 映像の1シーン1シーンがジグソーパズルの断片になっている。
 映像で描かれなかった部分、カットされた部分が犯人の犯行になっている。
 カットされた犯人の犯行シーンがジグソーパズルの一片としてはめ込まれる時、観客は事件の全貌を知る。
 まさに映像向きの作品だ。
 ナイルの川下り、エジプト観光も映像で楽しめる。


コメント
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