平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

風林火山 第43回 「信玄誕生」

2007年10月29日 | 大河ドラマ・時代劇
 第43回 「信玄誕生」

 晴信(市川亀治郎)は人に向かい、景虎(Gackt)は理想に向かう。
 地と天。
 それは女性への対し方で示される。
 晴信は死んだ由布(柴本幸)のことを思う。
 自分は十分に由布のことを慈しめなかった。
 それが出家、信玄となるきっかけとなる。
 晴信は人を慈しもうと思う。
 己をすて、民と家臣、領国のために生きる決心。

 一方景虎。
 彼を慕う浪のことなど考えることもしない。
 彼は帝、将軍のために生きる。
 帝、将軍のために生きることが天の意思の実現(=民が幸せになること)と信じている。
 結局、浪は景虎の意識にのぼることなく、出家する。

 このふたりの対照的な生き方。
 目指す所は、民の幸せということで同じなのだが、入口が違う。
 人間を愛することから入るか、天の意思(理念)から入るか。

 そして勘助。
 勘助(内野聖陽)の生き方は晴信と同じである。
 まず人間から入る。
 由布そして養女となったリツ(前田亜季)。
 五十に近い自分と結婚することはリツを不幸にすることだと思っている。
 勘助もまた人間に向かっている。
 そして人間っぽい。
 出家して「道鬼」となった勘助。
 あらゆる欲望を断つと偉そうに言うが、酒だけは少しならいいらしい(笑)。

 それにしても勘助とリツのやりとりはおかしいな。
 リツが負けていないのがいい。
 勘助に冷たくされても暗くならないのがいい。
 リツが山本家に来て不憫なのは、自分が「娘」であることだと堂々と言う。
 「そんなまわりくどいことをしなくても、私が子を産んであげます」と言う。
 勘助が「茂助」との婚姻を考えていると「茂助はイヤ!誰でもイヤ!」「もちろん伝兵衛もイヤ」「だんな様とふたりでいるのが幸せでございます」と言う。
 こんなに思われて勘助は幸せ。
 リツを受け入れてあげればいいのに。

 どうやら男というのは別の世界に生きている様だ。
 それは平蔵(佐藤隆太)もそう。
 ふたりの子をもうけ、ヒサ(水川あさみ)は「今のままで十分幸せ。平蔵の命が大事」と言うが、平蔵は満足せず武田を討つことにとらわれている。
 宇佐美(緒形拳)に軍学を教えてほしいと申し出る。

 今回は信濃守護となった晴信、関東管領を譲られた景虎の政治的駆け引きを描くと共に男たちのそばで生きる女たちを描いた。
 晴信と由布。
 勘助とリツ。
 景虎と浪。
 平蔵とヒサ。
 男の求めるものと女の求めるものは大きく違う。

※追記
 不動明王の怒りの顔。
 それは信玄の怒りの表情でもあったらしい。
 理想を求めて戦う神。
 戦いの中で見せるのは当然怒りの表情だ。
 一方、菩薩の表情は穏やか。
 こんな所に人が生きるとはどういうことか描かれている気がする。


コメント
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