平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

冬のソナタ 第7話

2007年10月20日 | テレビドラマ(海外)
 倒れてきた木材。
 ミニョン(ペ・ヨンジュン)をかばったユジン(チェ・ジウ)。

★第7話「冬の嵐」はユジンの中にいるチュンサンがテーマ。

 まずサンヒョク(パク・ヨンハ)がミニョンを助けたユジンについて言う。
「ユジンは誰でも助けた」
「ユジンがかばったのは別の人(チュンサン)です。あなたが負い目を感じる必要はありません」
 このふたつのせりふ、矛盾しているが、言いたいことは「ユジンが助けたのはミニョンだからではない」ということ。
 矛盾しているが故にサンヒョクの必死な気持ちが伝わる。

 さてミニョン。
 過去に生きるユジンに対し言う。
「あなたこそ影の国の住人だ。世界は美しいのに孤独の国に生きるつもり?」
 ミニョンの言葉はすべて問いかけだ。
「僕といっしょにいるのはイヤ?」
「いつまでも死んだ人を思うの?」
「彼が生きていたら居間でも愛し合っていたと思う?美化しているだけじゃないの?」
 これでユジンを揺さぶる。
 そしてユジンが大いに揺れた所で断定する。
「僕は愛を知らないと君は言ったけど、君こそ愛を知らない。故人を思うのは愛なのか?現実を見るんだ」
 なぜ、そんなことを言うのかと問うユジンに対してはこう答える。
「好きだから」
 ミニョンは「好き」という言葉を安易に使わない。
 ここという時に使う。
 ミニョンは恋の達人だ。
 こうしてユジンの中からチュンサンを追い出そうとするミニョン。
 この点はサンヒョクと対照的。
 サンヒョクは、チュンサンがユジンの中にいることを容認している。
 サンヒョクの優しさとミニョンの強引さ、ユジンはどちらを選ぶか?
 ユジンは『容認している』サンヒョクを『一番の理解者』だと思っている様だが。

★あとは名セリフと小道具
 ミニョンはユジンに言う。
「花を持って女性を待つのは初めてだ」
「好きな理由が多すぎる。本当に好きなら好きな所を言えないはずだ」

 小道具はタロットカードとピアノ曲「初めて」。
 タロットカードはユジンが運命の人であることをミニョンに知らしめる。
 唯物論者のミニョンが信じてしまう所が面白い。
 それにユジンはよく物を落とす(笑)。
 それがストーリーを展開させているのだが。
 ピアノ曲「初めて」は効果的だ。
 ミニョンはなぜかこの曲を弾ける。「僕は天才かなぁ」とミニョンは言う。
ミニョン=チュンサンではないかという暗示。
 もしユジンが、この曲を弾くミニョンを見たらどう思うだろうかと視聴者に思わせる。
 効果的な小道具だ。

 あとは小道具ではないが状況設定。
 雪で閉ざされた山頂のロッジ。ふたりだけの世界。
 これは高校時代の山登りで、ユジンが道に迷い、チュンサンとふたりきりになった時と同じ。
 作者は同じ手を二度使ったが、お互いの気持ちを接近させるにはふたりきりの時間は必要な様だ。


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医龍2 カルテ2

2007年10月19日 | 職業ドラマ
 キャラクターには情況によって変わる者、変わらない者がいる。

 後者(変わらない者)はもちろん朝田龍太郎(坂口憲二)。
 「目の前の苦しんでいる人間を全力で助けるのが医者だ」
 信念の人。
 藤吉圭介(佐々木蔵之介)もそう。
 主張は違うが敵の野口賢雄(岸部一徳)もそう。
 「医療ミスにより訴えられる可能性、過酷な労働、こんな情況で医者はもっと報われるべきだ。金の取れる病院を作り、優秀な医師に報いる」
 これも経営者としては正論。
 揺るがない信念。
 だから両者はぶつかる。
 ぶつかるからドラマになる。

 一方、変わるキャラ。
 伊集院登(小池徹平)は今回揺れた。
 やって来た患者・西沢孝文(牟田悌三)をクレイマーと思い込む。医者として西沢を診ようとしない。
 ドラマの中でキャラクターが変化する。
 変化するからドラマになる。
 今回、登場した新キャラクター。
 血管外科の外山誠二(高橋一生)、麻酔科の小高七海(大塚寧々)、消化器外科の松本幸太朗(佐藤二朗)。
 彼らはかつて荒瀬門次(阿部サダヲ)がそうであった様に、朝田によって変わっていくのだろう。
 それは北洋の院長・善田秀樹(志賀廣太郎)が言ったように、北洋病院が大きく変わることでもある。
 「衝突」と「変化」、これがドラマを作る。

 さて今回のキーパーソン、片岡一美(内田有紀)。
 彼女はジョーカーだ。
 今は野口の側にいる様だが、内心朝田を応援している様にも見える。
 ある時は黒、ある時は白。
 一美は朝田のことを『両刃の剣』と言ったが、彼女こそがまさに『両刃の剣』。
 彼女がどう動くかで情況が変わる。

 こう考えるとやはりドラマはキャラクターだ。
 いかに魅力的なキャラクターを作り出すかで面白さが決まる。
 今回、荒瀬と里原ミキ(水川あさみ)がいなくなって、作品的にも戦力ダウンだが、きっと外山、小高、松本らが代わりを果たしてくれるだろう。
 「医龍」お得意の荒瀬とミキがピンチに駆けつけるというドラマ作りも考えられる。
 気が早い話だが、魅力的なキャラクターが勢揃いした「医龍」はパート3、パート4が作られてもおかしくない。


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ナイル殺人事件

2007年10月18日 | 洋画
 ナイル川を下る観光船に金持ちの女性リネットに関わりのある人物が集まる。
 彼らは皆リネットを殺す動機を持っている。

★リネットに恋人を奪われた女
★家と父親をリネットの会社の強欲のために失った女
★リネットの宝石が欲しい老婦人
★リネットのことを書いて名誉毀損で訴えられようとしている作家
★医療ミスのことでリネットから訴えられようとしている医者
★リネットの財産管理の仕事からはずされようとしている弁護士(実は裏で財産を不正に流用している)
★リネットに奴隷の様に使われている使用人
★リネットを社会の寄生虫だと言って非難している共産主義の若者

 まさに動機の宝庫だ。
 ここには様々な人間の欲と推理小説における動機がある。
 これを応用すれば推理小説家は様々な動機を考え出すことが出来るだろう。

 こんな動機を持つ人物たちであるから、彼らは皆リネット殺しを行う可能性がある。
 ポワロは可能性として彼らがどの様にリネット殺しを行ったかを実際に描写してみせる。
 作者は動機、そして登場人物すべてに犯行が可能であることを見ている者、読んでいる者に示すわけだ。
 ここで見ている者は誰が犯人だかわからなくなる。
 誰もが怪しいミステリーの世界に誘われる。

 事件は展開する。
★リネットに奴隷の様に使われている使用人が殺される。
 彼女は犯人が犯行を行う所を偶然目撃し脅迫していたらしい。
★次に作家が殺される。
 作家は使用人が殺される所を見た目撃者で、そのことをポワロに伝えようとしていた。 
 第二、第三の殺人事件。
 ここでの動機は明らかだ。
 動機は自分が犯人であることを知る人物をしゃべれなくすること。
 犯行にはどこか綻びがある。
 その綻びを補うために犯人は暗躍する。殺人を繰り返す。
 これも推理小説の王道。

 そして解決。
 ポイントは穴の空いたストール。

 この作品はミステリー映画の名作である。
 映像の1シーン1シーンがジグソーパズルの断片になっている。
 映像で描かれなかった部分、カットされた部分が犯人の犯行になっている。
 カットされた犯人の犯行シーンがジグソーパズルの一片としてはめ込まれる時、観客は事件の全貌を知る。
 まさに映像向きの作品だ。
 ナイルの川下り、エジプト観光も映像で楽しめる。


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HEROES ヒーローズ

2007年10月17日 | テレビドラマ(海外)
 もし超能力を持ってしまったら。
 キャラクターたちのリアクションが面白い。

 まずは超能力を最初から受け入れている者。
 ヒロ・ナカムラ(マシ・オカ)。彼は時空をねじまげる超能力の訓練をしている。女子トイレにテレポーテーションしたりして。それが出来た時の決め文句は「やったー!」。『そば』と縦書きされた日本の風景が少し変・笑。
 ピーター・ベトレリ(マイロ・ヴィンティミリア)は自分が空中飛行する能力があると思い込み求めている。ビルからダイブを試み助かるが、その理由は?
 彼らは「人と同じじゃつまらない。自分は特別だ」と思いたいタイプだ。

 次に自分の能力に違和感を覚える者。
 クレア・ベネット(ヘイデン・バネッティーア)は身体再生能力。指がグチャグチャになっても首が180度ねじ曲がっても元に戻ってしまう。ビジュアル的にインパクトのあるキャラ。火事の中に飛び込みやけどを負わずに人を助け出してしまうことも。彼女は自分の特殊能力に戸惑い、自分の生みの親に会おうと思う(今の親とは養子関係。その父親には秘密がありそう)。
 ニキ・サンダース(アリ・ラーター)は凶悪な別人格。別人格になり借金取りのマフィアふたりを惨殺してしまう。「隣人13号」。自分の能力が惨劇を引き起こすという点で他のキャラとは一線を画す。子供を抱えて一生懸命という設定でもあり、一番視聴者の共感を集めるキャラ。
 マット・パークマン(グレッグ・グランバーグ)はテレパシー。刑事試験に3度落ちた警官だが、根は善良そう。殺人事件に巻き込まれ隠れていた少女をテレパシーの力で助け出す。テレパシーで上層部知らない犯行事実を知っていることから容疑者と間違われてしまう。

 あとこの作品で面白いのは、これから起こるであろう事件の予告、見せ方だ。
 第1話では絵。
 アイザック・メンデス(サンティ・カブレラ)は未来を予知して絵に描くことが出来る。そこで彼が描いたのはニューヨークで起こるクライシス。アイザックはこれを止めなくてはと言う。
 第2話ではヒロの見たもの。
 ヒロは時空を歪めニューヨークにやって来る。そこは5週間後の世界。そこではアイザックは殺されていてヒロは容疑者に間違われる。そしてやって来るクライシス。これで5週間後にクライシスが起こることがわかる。殺されるアイザックの5週間に何が起こったのかを知りたくなる。見事な視聴者への引きだ。
 その他では暗躍する組織。
 クレアの父親は組織の人間らしい。
 ニキは赤い車を用意され、組織の人間に導かれる。
 モヒンダー・スレシュ(センディル・ラママーシュ)は超能力の研究をしていた父親が死に自分も謎の男に襲われる。

 第1話・2話は各キャラクターの描写と共にこれから起こる出来事と謎の描写。
 すべてがバラバラのジグソーパズルのピース。
 今後はキャラクターたちが出会い、謎のピースが組み合わされることで全貌が見えてくるのであろう。
 

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冬のソナタ 第6話

2007年10月16日 | テレビドラマ(海外)
 第6話「忘却」

★今回はユジン(チェ・ジウ)とミニョン(ペ・ヨンジュン)の誤解が広がっていく。
 誤解がどう解決されるか?
 解決されたの瞬間のカタルシスがドラマになる。

 まずは広がる誤解。
 ミニョンは眼鏡をはずしてチュンサンのふり。
 キス寸前。
 ミニョンはそこまでして自分に近づこうとするかと失望し、ユジンは自分の思い出を踏みにじられたと思う。
 さらにチュリン(パク・ソルミ)の言葉で、ミニョンのマンションに行ったことをユジンがチュリンに話したことになってしまう。
 「自分は女好きだが、あなたは対象外だ。無駄な努力はやめろ」
 と言うミニョン。
 決定的に広がった傷口。
 ここで見ている者はやきもきする。
 見事なドラマづくりだ。

 それまでにはミニョンにもユジンに対する葛藤があった。
 チョンアやキム班長の言葉。
 「ユジンは一途」「ユジンにないものは酒と嘘と男遊びだ」
 ユジンのしっかりした仕事ぶり。
 初めて見た時のユジンの印象、透明感も否定できない。
 ユジンの本当の姿に迷うミニョン。
 この『揺れ』があるから見ている者はやきもきする。
 これがドラマだ。

 そして解決。
 コン・ジンスク(チンスク)が物語を動かす。
 チュンサンが実在の人物でミニョンに本当に似ていること、チュンサンはユジンを選びチュリンがふられたことが明らかに。
 スキー場へ車を走らせるミニョン。
 カタルシスの瞬間。
 谷があるから山が盛り上がる。

★あとは名セリフ
 泊まり込みでスキー場の仕事に行くユジンの顔をサンヒョク(パク・ヨンハ)は見つめる。
 サンヒョク「会えない間、忘れないように」
 ユジン「3秒あげるわ」

 「忘れてあげるのが、死んだ人への一番のプレゼントだ」と言うミニョンにユジンは言う。
 「そんなことが言えるのは、本気で人を愛したことがないから。愛した人が急にいなくなったことがある?まわりは同じなのにその人だけはいない寂しさを知ったことがある?」

 この作品は名セリフの宝庫だ。


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ダイ・ハード 4.0

2007年10月15日 | 洋画
★21世紀の犯罪はデジタル。
 お金を手に入れようとすれば、金融機関のコンピュータにアクセスすればいい。
 事故や渋滞を起こそうと思えば、交通局のコンピュータにアクセスして信号を支配すればいい。
 停電を起こそうと思えば、電気会社のコンピュータに……。
 といった具合だ。

 この作品はそんな犯罪者・テロリストとの戦い。
 立ち向かうのは宣伝文句どおり、アナログ刑事のジョン・マクレーン(ブルース・ウィルス)。
 偶然ハッカーであるマットの移送に関わったことから事件に巻き込まれる。
 この『偶然』というのが面白い。
 コンピュータ思考の人間には想定外の出来事だ。
 またマクレーンがタフでとんでもない発想の人物であることもコンピュータ思考の人間には想定外。
 犯人側は警察のデータベースからマクレーンのデータを入手するが、それはあくまでデータ。
 彼が「借金を無にしてやる」という誘惑に応じないこと、車をぶつけてヘリを撃墜することなどは考えられない。
 敵のボスはマクレーンの娘を人質に取るが、娘もマクレーンもそれに屈しない。
 これがデータ、デジタルの限界だ。
 机の上で情報の中で戦う人間は、データにある普通の人間のリアクションには対応できるが、マクレーンの様な「想定外」の動きに対応できない。

★物語はこの対立図式で展開していくが、一方でデジタルの力を借りなければ、マクレーンも事件を解決できなかったというのも面白い。
 この作品でいうデジタルとは行動を共にするハッカーのマットだ。
 彼はテロリストと同じ発想の持ち主でマクレーンに意見を求められる。
 「お前なら次に何をする?」
 その他にもマットは衛星電話の使用や敵の位置の特定、車の盗み(父親が死にそうでと懇願する所はアナログだが)などでマクレーンに協力する。
 アナログ+デジタル。
 この形で事件は解決されていくが、これは「24」でも同じ。
 ジャック・バウアーの活躍もCTUのデジタル部門のフォローがあるから可能になる。
 昔の刑事ドラマは、例えば「太陽にほえろ」の走る刑事など、アナログ部分で描いていればよかったが、現在のドラマはデジタル部分の描写も必要になってくるだろう。(その点で「踊る大捜査線」の「さらば愛しの刑事」や「交渉人真下正義」は時代を反映して描かれている)

★最後に。
 この作品はともかく見ている者をアドレナリン全開にさせる。
 敵のマイ(マギーQ)との戦い。(→楚々とした美人である彼女がターミネーターの様にタフである意外性が面白い)
 ジェット戦闘機と戦い。(→何とマクレーンは最後には戦闘機を撃墜してしまう・笑)
 ともかく息もつかせぬとはこのことであろう。

※追記
 ラスト、マクレーンは自分の肩を撃ち抜いて敵のボスを倒すが、これも想定外であったろう。敵のボスはマクレーンがこんなことをするクレージーな人間がいるとは考えられない。自分の人間観を越えている。
 人間はミスをするし、とんでもない火事場のバカ力を発揮するのだ。


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医龍2 カルテ1

2007年10月14日 | 職業ドラマ
 「医龍」といえば、登場シーン。
 パート1では朝田龍太郎(坂口憲二)がスローモーションで歩いてくるシーンがかっこよかった。

 今回はそんな登場シーンのオンパレード。
 ファーストシーンで明真大学付属病院にいるのは、伊集院登(小池徹平)、里原ミキ(水川あさみ)、木原毅彦(池田鉄洋)。
 プライドだけが高いが実力ない外科教授、経営不振の情況が描かれ、満を持して朝田登場かと思いきや、宿敵、野口賢雄(岸部一徳)が登場。
 「日本は涼しいねぇ」(←なかなかの名セリフ)。
 続いて轢き逃げでERに運ばれた片岡一美(内田有紀)を救う形で朝田が登場。
 一美は心停止、ERは腐りきっていてさじを投げた状態での登場だからなおさらカッコイイ。
 続いて胎児を抱えた拡張型心筋症の患者、富樫ゆかり(りょう)を連れて来る形で、内科医・藤吉圭介(佐々木蔵之介)が登場。
 そして麻酔医の荒瀬門次(阿部サダヲ)の復活。

 パート1の名キャラクターが再集結するのはパート2ならではの醍醐味だが、そこは「医龍」、『登場の美学』に力を注いで描いている。
 登場の美学はさらに続く。
 公開手術の司会に鬼頭笙子(夏木マリ)が登場。
 そしてサプライズ。
 霧島軍司(北村一輝)の登場だ。
 ふたつの手術を抱え、朝田は公開手術を桐島に委ねる。(「これぞ明真の誇る豪華リレーです」とトラブルをプラスに転化する野口の機転が楽しい)

 この様に様々な登場が描かれたカルテ1。
 三つの難手術もやり過ぎかと思うが、そのえげつなさも裏を返せばスタッフの旺盛なサービス精神。
 逆に次回以降の手術がかすんでしまうのでは?という懸念があるが。
 
 また物語はしっかりひねりも加えられている。
 一美は買収された北洋病院のオーナー。
 北洋で富樫ゆかりの手術を出来るようにしたのは北洋を高く売るための施策(北洋の医師は明真に高額の移籍金で雇われ、北洋の建物と土地は売却)だった。
 一美のもとにはその金額が入るというわけだ。
 これは「白い巨塔」「ブラックジャックによろしく」などから続く「政治と金」と「医の理想」の対立のドラマ。
 これでドラマに深みが出た。
 登場や手術シーンといった派手な打ち上げ花火もいいが、たまには別の花火も見てみたいというのが人の心情。
 その辺をしっかり押さえている。

※追記
 手術中、生まれてきた子供を見て喜びの涙を流すゆかりの姿に泣けた。


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冬のソナタ 第5話

2007年10月13日 | テレビドラマ(海外)
 第5話「罠」
 
★すごい!ドレス一枚でこれだけのドラマを作り上げるとは!

 チュリン(パク・ソルミ)はミニョン(ペ・ヨンジュン)に言う。
 「ユジンはあたしと好きになる人も同じ。あたしと同じことをするのよ」
 そこでユジン(チェ・ジウ)がパーティに着ていくドレスで困っていることを聞いたチュリンはミニョンからプレゼントされたドレスを渡す。
 果たしてユジンは同じ服を着てきて、ミニョンはチュリンの言葉を信じると共に
ユジンを軽蔑(「あなたのことがわからなくなった」と言う)。
 チュリンはさらに攻撃する。
 ドレスのことで不信感を持ったミニョンに
 「誰かに似てるって言われなかった?初恋の人に似てるって言うのがユジンの恋のテクニックなの」
 と言う。
 果たして酔っぱらってぐでんぐでんになったユジンは「初恋の人に似ている」と言ってしまう。

 このドレスの罠は他のことにも波及する。
 仕事でパーティの行われているホテルにやって来たサンヒョク(パク・ヨンハ)。
 ユジンのドレス姿を見る。はき慣れないハイヒールで痛がっている姿を見る。
 しかもミニョンといっしょにいる時に。
 ここでのサンヒョクのリアクションは
 「そんな服着たことないね。初めてだ。痛い想いをしてまでハイヒールを履くんだ」
 サンヒョクはユジンがミニョンのために努力してドレスアップしたと思っている。

 一枚のドレスが作り上げる不信。
 パーティ会場の中で、ユジンをめぐりミニョン、サンヒョク、チュリンが作り上げる緊張感。特に大きな事件や言葉のやりとりがないのに緊張感を持って人物どうしがぶつかっている。
 お見事!
 ハラハラドキドキはアクションシーンだけのものではない。
 
★あと今回素晴らしいのはサンヒョク。
 ユジンとミニョンがいっしょに働いていることを聞かされるサンヒョク。
 さすがに怒っているが、その理由はユジンが嘘をついたことや黙っていたことではない。
 ユジンの心が揺れているから。チュンサンと重ね合わせているから。
 サンヒョクはユジンの表面的でない心の奥底をとらえている。
 そう言われて緊張の糸が切れたのか、ユジンもしゃべり出す。
 「あの人に会うとかなしくてうれしかった」
 『かなしくてうれしい』
 そんな相反する感情を描いたことも見事だが、その後のサンヒョクの言葉もいい。
 「僕がユジンでも同じことをした。相手が僕だからね」
 サンヒョクは自分がチュンサンに勝てないことを知っている。
 しかしこうも言う。
 「仕事をやりながら確認しろ。あいつ(チュンサン)と違う人間であることを」
 「仕事は続けろ。あいつの亡霊になんか負けない。僕は自信がある」
 そして不安定なガードレールにあがってこう言う。
 「人生ってこんな感じだ。手を握って。いつでも僕に掴まれよ」

 おお!サンヒョク、何と大きい愛。
 韓国の男性が人気のある理由がわかるな。
 このストレートな発言は日本人にはなかなか言えない。

※追記
 今回の小道具は何と言っても「ドレス」だが、その他にも「写真」「眼鏡」がある。
 スキー場の写真のフィルムがコートに。コートはミニョンがユジンに貸したものだ。そのフィルムにはミニョンの写真が。
 眼鏡は酔っぱらったユジンが眼鏡をはずしたミニョンの姿を見てチュンサンだと思うラスト。
 スキー場でコートを貸したり、ミニョンが眼鏡をかけているのには全部理由がある。


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三年B組金八先生

2007年10月12日 | 学園・青春ドラマ
★昭和のアナログおっさん金八先生
 物語の対立図式は『アナログとデジタル』『昭和と平成』。
 アナログで昭和なのはもちろん金八先生。
 デジタルで平成なのは数字重視の学校とネット社会。

 最初のエピソードは長谷川孝志。
 親の進学への過剰な期待から内申書の評価を上げるため学級委員に立候補、美術の成績をあげるため他の人が描いた絵を提出。
 孝志の基準は評価という数字。
 これに対立するのは美術の立花先生。
 立花はその筆づかいから絵が他人のものであることを見破っている。
 筆づかいから判断する立花先生はまさにアナログ。
 アナログがデジタルを粉砕する。
 孝志の母親のデジカメを壊したことはその象徴か?

 二番目のエピソードは江藤清花。
 彼女は成績を重視する親から見捨てられ、家に居場所がない。
 家にいるのがつらいからネットカフェで過ごす。
 清花はアナログ。夜の街の絵を描いて自分の苦しみを訴えようとする。
 そんな清花と対立するのは、成績という数字と学校裏サイト(匿名の悪口)というデジタル。
 この対立を見た金八は母親に子供のことを気にかけろと本音でぶつかり、裏サイトの投稿する生徒たちには、ノートを渡す。
 そのノートの表紙には名前を書き、ノートには手書きで「私」を主語にした文章を書けと言う。

 学園ドラマにアナログ対デジタル、なかなか面白い切り口だ。
 解決の仕方は安易な気がするが、昭和のアナログおっさん、金八先生にがんばってほしい気がする。

★あとは金八語録。

・いい先生とは?
 孝志の絵が本人のものでないことを知っている立花先生。彼女はそれを公にすれば孝志が傷つくから公にせず、孝志の両親の非難に反論しなかったという。
 そこで金八。
「自分の都合を後まわしにして、生徒のことを優先して考える。あなたはいい先生になりますよ」

・学校とは?教師とは?
「学校というのは受験技術を教える所じゃないんです。なぜだろう?と考える力、知恵を教えるところなんです。知的体力、生きる力を教えるところなんです」
「教師は子供の未来を扱う仕事なんです」

・親とは?
「親は恥も外聞もかなぐり捨てて子供を守るんです。子供が苦しくて泣いていたら抱きしめてあげて下さい」

・最近の子供について
「内向している。生徒が自分にぶつかって来ない。距離を感じる」

・茨木のり子さんの詩
「本当に生きた時間は指折り数えるくらいしかない」

 関連記事:茨木のり子さんの詩

※追記
 第2シリーズの赤上近子(伊藤つかさ)がお母さん役で出演。
 昔ファンだったからなぁ。懐かしい。
 
 それにしても荒谷二中が人気中学になっているとは!
 第2シリーズを知る人にはニヤリとする部分であろう。


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働きマン

2007年10月11日 | 職業ドラマ
 事件は外務大臣の機密費流用に関する告発。
 二十年尽くしてきた大臣への愛の清算のために第二秘書・関口歌子(夏木マリ)が行ったことだった。

 ドラマはそんな歌子の二十年の恋愛と自分の恋愛を重ね合わせる松方弘子(菅野美穂)の視線で描かれていく。
 物語の構成でいえば、主人公のエピソード(恋人とのすれ違いの関係)とメインキャラ・歌子のサブエピソードがリンクしていく構成だ。
 その結果、弘子が得た結論は
「すべてを犠牲にして仕事に突っ走る自分をかっこいいとは思っていない。不安だらけだ。でも戦っていきたい」
「仕事だけの人生だったと死ぬ時に思うような人生は送りたくない。それは一理ある。でも、あたしは仕事にがんばった人生と思って死にたい」

 作品はいわゆる働く女性もの。
 この弘子の出した結論を視聴者はどうとらえるかを問うている。

 どうなんだろうなぁ?
 この弘子の主張とキャラクターは?
 映画「プラダを着た悪魔」のヒットがあるから一概には言えないが、一昔前の感じがする。
 OLもので言えば、今のテーマは同じ枠の前ドラマ「ホタルノヒカリ」、恋愛に踏み出せない「干物女」である様な気がする。
 弘子にどの位共感が集まるか?
 このドラマでインパクトがあるのは『働きマン』にスイッチが入る変身シーン?(「仕事モードオン、男スイッチ入ります!―――働きマン!」)だが……。
 昔ならこの作品を見て、自分も『働きマン』モードになろうとする人がいただろうが、今はもっと複雑な気がする。


※追記
 歌子のせりふ。
 「大臣は理想も美学ももっちゃいないわよ」
 二十年尽くして、理想を共にしてきた男への哀しい幻滅のせりふ。
 「二十年経ったら砂漠に立っていた」歌子の人生を物語るせりふだ。
 しかし、そんな歌子も夏木マリさんがやるとかっこいい。


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