平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド

2007年10月10日 | 洋画
 この作品は目の楽しみだ。

 海賊の衣装、風貌。
 中世海軍の衣装。髪がボサボサな海賊とは対照的な整った髪、かつら。
 様々な形の帽子。
 海を行く帆船。
 それと対照的な幽霊船フライング・ダッチマン号。
 デイヴィ・ジョーンズら異形の者たち。(首を斬ると海ヘビ、うつぼの様なものが出てくる異形の者が面白かった)
 小猿にオウム。
 片目が義眼でしばしば飛び出るラゲッティ。
 宝箱の中の心臓。
 冒頭エリザベス(キーラ・ナイトレイ)が体から取り出す数々の銃。
 「ドラクエ」でしか見たことのなかった中世の処刑官。
 死後の世界。
 海中を流れる女幽霊、小舟に乗って死の海を行く人間たち。
 石の様なカニ。船を運ぶカニの群れ。
 9人の海賊長たちが封印を解くために差し出す数々のグッズ。
 今回新しく登場したサオ・フェン(チョウ・ユンファ)らシンガポールの海賊の東洋の顔。
 ブゥードゥ教の予言者。
 巨大な女。

 すごい!
 イメージの宝庫だ。

 そして帆船どうしの艦隊戦。
 側面から撃ち放たれる大砲。
 綱をブランコの様にして敵の船に飛び移る海賊たち。
 マストの上で剣を交えるジャック(ジョニー・デップ)とジョーンズ。
 甲板の上で剣を交える中でのエリザベスとウィル・ターナー(オーランド・ブルーム)のキスと結婚式。

 素晴らしいイメージの世界だ。
 この作品は難しいことを考えずに、これらイメージの世界に遊べばいい。
 後はジョニー・デップの演技。
 ジャックを楽しんでいる。


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昼下がりの情事

2007年10月09日 | 洋画
★主人公アリアンヌ(オードリー・ヘプバーン)の父親の職業が『探偵』であることが物語をおしゃれにしている。

 例えば父親の扱う不倫などの事件について、父親は『醜いスキャンダル』と考えるが、アリアンヌは違う。
 『素晴らしいロマンス』!!

 アリアンヌはプレイボーイのフランク・フラナガン(ゲーリー・クーパー)と対等につき合うため、19人の男と遊んだパリの女を演じるが、男性経験を語る彼女のベースになっているのは、父親の捜査資料。

 こんなエピソードもある。
 父親が事件で預かった白テンのコート。
 アリアンヌはこのコートを着て、フラナガンに会いにいく。
 これでアリアンヌは金持ちのお嬢さんを演じられるわけだ。

 物語の展開がすべて父親の職業(探偵)からなされている。
 これはアリアンヌの正体がバレる時も同じ。
 アリアンヌに夢中になったフラナガンは彼女のことを調べてもらうために探偵(父親)の所に相談に行く。
 父親はフラナガンが探しているイニシャルAの女の情報を聞いているうちに、女がアリアンヌであることに気づく。
 実に見事なシナリオだ。

 これは登場人物の職業を安易に設定してはいけないという好例。
 アリアンヌは音楽学校の学生でチェロを演奏しているが、これもうまく使われている。
 チェロのケースの中に白テンのコートなど、様々なものが入れられる。
 チェロの練習をしながら、楽譜の後ろにフラナガンの新聞記事を隠して読んでいるアリアンヌ。
 フラナガンが原因で自殺騒ぎが起こったなどという記事を読むと動揺してチェロの音が狂う。
 実にうまい。

★楽しいシーンはここ。
 アリアンヌが19人の男性とのことを吹き込んだテープを聞いているフラナガン。
 気になって何度も何度も聞く。
 それで風呂の水が溢れ、酒を載せたキャスター付きの台をワルツ演奏家と行き来させているうちに、演奏家たちは酔っぱらって寝てしまう。
 悩むフラナガンを実におしゃれに描いている。
 ビリー・ワイルダーの作品はみんなおしゃれだ。

★会話も気がきいている。
 先程の探偵絡みではこんなせりふ。
 ボーイフレンドの家のことを調べた父親にアリアンヌは「過保護だ」と文句。
 すると父親は言う。
「私がインドの王侯ならダイヤで飾ってやる。靴屋なら靴を作ってやるだろう。私は探偵だから調査するしかない」

 フラナガンとの会話にもこんなものがある。
「パリの女は泣かないの。一度、泣いたけど。14号と別れた時。車のドアに指をはさまれたの」

 決めせりふは列車でフラナガンと別れるシーン。(以下、ラストネタバレ)





 「あたし、全然平気だから」
 本音とは180度違う見事な心情の吐露。
 結局フラナガンはアリアンヌを列車に乗せてNYで結婚するのだが、その時の父親のコメントも気がきいている。
 「フラナガン氏はNYの教会で、終身刑の判決を下された」


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冬のソナタ 第4話

2007年10月08日 | テレビドラマ(海外)
 第4話「忘れえぬ恋」

★まずは『嘘』。
 スキー場への下見。
 ミニョン(ペ・ヨンジュン)とふたりきり。
 しかしユジン(チェ・ジウ)は仕事仲間のイ・ジョンアといっしょだとサンヒョク(パク・ヨンハ)に嘘をついてしまう。
 スキー場改装の責任者の理事は扱いづらい「変なやつ」だとも。
 ユジンは最初理事がミニョンであることを言おうとするが、サンヒョクに「変なヤツだろう」と遮られたり、チュリンがやって来たりして本当のことを言えない。
 ラストには嘘がわかって……。
 恋愛ドラマには行き違いは必須だが、今回は『嘘』や『ためらい』が行き違いをもたらすという好例。
 ドラマは人の心や弱さ原因となってが作るものなのだ。 

★ミニョンは恋愛の達人。
 「男は声で決まるのよ」と主張するジョンアがその声を「完璧!」というミニョン。
 果たしてミニョンはどんどんユジンの心の中に入っていく。

 チュンサンとあまりにも似ていて見つめられた時には
「あなたは人の顔を見るのが癖ですか?」

 仕事で事務的な話し方をされた時には
「あなたは僕が嫌いですか?」

 食事を断られた時には
「仕事をやりやすくするため食事に誘っているのです。あなただって僕を知ればやりやすいでしょう?」

 まずは仕事とプライベートの境界を曖昧にしてユジンに近づこうとする。
 ミニョンがユジンにこだわるのは、やはり過去の記憶に起因するのであろう。
 ミニョンは「不思議な魅力の人」と評している。 
 ミニョンのアプローチは続く。
 スキー場の下見。

 車の中で
「きれいですね」
「えっ」
「キラキラ光ってきれいな指輪ですね。でも、あなたには似合わない」

 といきなり婚約を否定。
 さらに追い打ち。
「婚約した人は輝いているのにあなたは輝いていない。沈んでいる」

 さらに人物評。
「あなたはA型ですね。言いたいことを心にしまっておくタイプだ」

 こうしてユジンの心の奥底にある感情を引き出そうとするのだ。
 この点、サンヒョクは下手。
 優しく見守るばかりで、ユジンから言葉を引き出そうとしていない。
 言葉を引き出すどころか嘘までつかせてしまう。
 同じ車でのシーンでサンヒョクはこう尋ねる。

「最近の君はおかしい。何か悩んでいることがあれば言ってほしい」

 ミニョンが婚約指輪や血液型を駆使してユジンの本音を引き出そうとしているのに対し、サンヒョクはあくまで直球勝負だ。
 直球で聞かれる方が好きという女性もおられるだろうが、ユジンに関してはもってまわった言い方の方が有効な様だ。
 ミニョンはまさに恋愛の達人。
 これらのアプローチにユジンも心を開かれて、ミニョンにチュンサンを重ねてしまう。

・雪の中で煙草をふかすミニョンを見てカメラを向けてしまうユジン。チュンサンが煙草をふかしたシーンと重ね合わせてしまう。
・雪だるまやミニョンが歩いた足跡を踏みしめて、思い出してしまう。
・ストーブの前で靴を脱がされて、塀の上で靴を履かされたことを思い出してしまう(笑)。

 このユジンの心象描写も巧みだ。
 いきなりミニョン好きに至らないで、まずチュンサンと重ね合わせる作業を行っている。
 スキー場を舞台設定に選ぶなど、実に巧みなシナリオだ。

※追記
 チュリンのユジンへの釘の刺し方も巧みだ。
「仕事でミニョンがわがままを言ったら私に言ってね。私がおしおきするから」
 とあくまでユジンとミニョンは仕事上の関係で、自分が彼の恋人であることを暗に語り、こうも釘を刺す。
「仕事相手がユジンで安心したわ。浮気しないよう見張っててね」

※追記
 サンヒョクとユジンのデートは散々。
 映画は全部売り切れ。
 車は駐車違反。
 せっかく入ったおしゃれな店にもキム次長が。 
 

 
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冬のソナタ 第3話

2007年10月07日 | テレビドラマ(海外)
 第3話「運命の人」

 今回は何と言ってもサンヒョク(パク・ヨンハ)。
 ユジン(チェ・ジウ)婚約パーティをすっぽかされてもこう言い切る。

 「僕は怒らないし、何も聞かないよ。僕は変わらない」

 大きな優しさ。(その前に彼の母親がこの結婚をよく思っていないシーンがあるだけにサンヒョクの強い想いが伝わる)。
 ユジンがチュンサン(ペ・ヨンジュン)に似たイ・ミニョンのことで悩み出しても彼は大きく見つめる。

 「君がつらい時、いっしょにいられれば僕は幸せなんだ」

 おおっ、何といいヤツ!
 時にはこんな弱音をみせるけれど。
 「時々、思うんだ。山で迷っている時、僕が見つけていたら、君は僕を好きになってくれただろうか?」

 しかし、こんなやさしい人物に愛されていても人の心は不思議だ。
 ユジンはチュンサンに似た人を見ただけで婚約パーティをすっぽかして探してしまうし、バスに乗った時は後ろの席を見てしまう。
 この理由は何だろう?

★ユジンは美しい過去に生きている。
 美しい過去と比べたら現実は色褪せて見える。
★サンヒョクはいい人どまり?
 恋愛っていい人だけではダメ。
 何かプラスアルファ、理由のわからない何かが必要?
★運命の人
 作品中、ジグソーパズルが効果的に使われているが、人はジグソーパズルがぴたりとはまる運命の絆で結ばれた相手を求めているのかもしれない。
 ユジンの場合はチュンサン。

 さて、この作品、音楽が効果的に使われている。
・ユジンがチュンサンに似た人物に初雪の降る街で会うシーン。
・学校で婚約パーティのやりなおしをした時にチェリン(パク・ソルミ)がミニョンを連れてきたシーン。
 ここで流れるのは主題歌のインストルバージョン。
 ユジンのチュンサン(ミニョン)への気持ちのスイッチが入った時に使われる。
 実に効果的だ。
 音楽が小道具的な役割も果たしている。

※追記
 冒頭、ユジンがチュンサンの死を知らずに当校するシーンがある。
 それは会うのをすっぽかされた夜の翌日。
 ユジンはチュンサンにどう言ってやろうかとシミュレーションする。
 「文句」
 「わたし用があっていけなかったのよ。ごめんなさい」
 「すっぽかされてもあなたのことが好き」
 ユジンの恋する気持ちがよく伝わるシーンだ。

※追記
 サンヒョクがユジンに婚約指輪を渡した夜。
 サンヒョクは言う。
 「やっと同じものを持てた」
 ユジンを家まで送っていった時はキスを失敗。
 玄関の所では、お互いが先に行けと譲り合う。
 やっぱりサンヒョク、いいヤツだ。

※追記
 今回の小道具は「ジグソーパズル」。
 ユジンとミニョンの出会いを効果的に演出した。
 また「初雪」。
 初雪の降る日にミニョンが現れるなんて!
 作りすぎの感じもあるが、逆にこのあざとさがいい。


 
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バットマン ビギンズ

2007年10月06日 | 洋画
 正義と悪についての考察が面白い。

★まずは正義と復讐
 復讐に燃える青年ブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)に女性検事は言う。
 「正義と復讐は違うのよ。正義は秩序のために。復讐は自己満足のために」
 なるほど!
 この物語はブルースが「バットマン」にたどり着くまでの物語だから、こういった迷いも起こるのだ。

★悪
 街を支配しているマルコーニ。
 判事ら街の要人を配下に組み入れ、例えばレストランでブルースをマルコーニが殺したとしても処罰されない絶対の権力者。
 しかも街の要人を配下に置けているのは、賄賂を送っているからではない。恐怖で言うことを聞かせている。
 おおっ、見事な悪の設定だ。
 これでマルコーニの絶対的な悪が伝わる。
 まさにゴッサムシティは「悪が栄え善人が脅える世界」。
 マルコーニはさらにブルースに言う。
 「君には理解できない世界だよ。理解できないものを人は怖れる」
 これも含蓄のある言葉。
 例えば賄賂で言うことを聞かせているのなら、理解できるし対処も考えられる。
 しかしそうでなければ。
 人を襲うホラー映画のモンスターも理由がわかっていれば、そんなに怖くないが、理由なき殺人者であったら。
 不可解こそ人間の恐怖の根源なのだ。

★善悪の迷い
 ブルースは世界を放浪して迷う。
 悪を行って成功した時の快感。
 貧しくて盗みをしてしまうことは悪なのか。
 善とは?悪とは?
 これもバッドマンに至るために考えなくてはならない思考。
 正義のヒーローは安易に正義にたどり着いてはいけないのだ。

 この様にこの作品では「正義と悪」とは何かついて深く考察されている。
 あと面白かったのは以下の2点。

★恐怖の象徴
 悪と戦うためには生身の人間ではなく象徴的な存在にならなくてはならないと考えるブルース。
 悪人に恐怖を与える様な存在。
 地下洞窟に落ちて自分が恐怖を味わったこうもりの群れ。
 バットマンの誕生。

★悪を越えるもの
 ヒマラヤの奥地の“影の同盟”。
 彼らは「大きくなりすぎた森は山火事を起こして小さくなるように、腐敗した街を滅ぼさなくてはならない」と考える存在だ。
 街を滅ぼすことで、それが宣伝にもなり他の街における悪の抑止にもなると考えている。
 彼らは神とも言える意思の実践者。
 その発想は「ユダヤ人の虐殺」、「地球を破滅に導く腐敗した人間を滅ぼす」といった発想に通じるものがある。
 悪の設定としては、マルコーニよりも大きいし怖い。

 この作品、単なるヒーローものではない。


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スコルピオンの恋まじない

2007年10月05日 | 洋画
 恋の呪文で自分に見向きもしなかった女性と愛し合うことができたら。
 そんな想いからこの作品は製作されたのだろう。

 物語はドタバタ喜劇でありシチュエーションコメディ。

★ストーリーはこう。
 一流保険会社に勤務するCW.ブリッグス(ウディ・アレン)とベティ・アン・フィッツジェラルド(ヘレン・ハント)は犬猿の仲。
 ふたりはあるバーのショウでインチキ魔術師ヴォルタン(デイヴィッド・オグデン・スティアーズ)に催眠術をかけられる。
 その催眠術はふたりがひかれ合い愛を語り合ってしまうというものだったが、魔術師ヴォルタン(デイヴィッド・オグデン・スティアーズ)は宝石強盗。
 ショウの後も催眠術は有効でCWは宝石強盗の片棒を担がされてしまう。
 犯人として追いつめられるCW。
 「あんな最低の男に強盗など出来るわけがない」と言いながら彼を助けるベティ。
 そんなふたりの間に芽生える恋。

 催眠術が作動して、CWが妖艶な美女(「愛の最中に死んでも僕の顔は微笑んでいる」ほどの美女)とベッドインするのを拒否したり、クールな才女のベティがホットに燃え上がったりするシーンが楽しい。

★また人物のやりとり、せりふもウディ・アレンの作品らしく軽妙。

 まずはCWの口説き文句
 「僕の魅力はどんどん味が出る。いっしょに帰って君のネコに餌をやろう」

 妖艶な美女(シャーリーズ・セロン)を前にして
美女「わたしにとっては実験なのよ。ひ弱な男とのセックスは」
CW「腕立て伏せをしておこう」

 部屋でヌードトランプを発見されて
CW「スペードの6がイケる。ハートの4はそれに嫉妬してる」

 ベティと恋人どうしになったCW。
 ベティにキスをする時に
CW「キスするたびに花火は上げられないけど」
 (前回キスした時に花火があがったことを受けている)

★ウディ・アレンの映画に共通するモチーフ・テーマも散りばめられている。

 「束の間の夢を。むごい現実が引き裂くまで」(夢・空想と現実)
 「頭で考えるんじゃなく、心で考えるんだ」


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冬のソナタ 第2話

2007年10月04日 | テレビドラマ(海外)
 第2話「はかない恋」

★恋愛ドラマの王道

 「すべてを持っているサンヒョクから奪うためにユジンに近づいた」
 このチュンサンの言葉で怒るユジン。
 デートはもちろん断り、放送部の山小屋に行く。
 駅で放送部は待ち合わせ。チュンサンはどうせ来ないだろうと言っていると……。
 チュンサンは自分の中に芽生えていたユジンへの想いを伝えるためにやって来た。

 恋人たちが離れたりくっついたりするのは恋愛ドラマの王道。
 ユジンが道に迷ってチュンサンが助けにやって来る下りはベタだが、北極星などの道具が使える分、見事な舞台設定。

★さて、今回も再びチュンサンの恋愛テクニック。

 山小屋から戻り、サンヒョクから「あいつは誰かに本気になる男でない」と言われるが、ユジンはこう応える。
 「私がチュンサンを好きなの!」
 こう言われてはサンヒョクも言葉がない。
 こんなにもユジンを夢中にさせるチュンサンの恋愛テクニックとは?

 焼却炉。
 サンヒョクを突き放してしまったことに悩むユジン。
 「サンヒョクは辛いトッポッキを食べてくれた」
 サンヒョクの優しさにユジンが心揺れるとチュンサンは話題を転換する。
 落葉を放り投げて『雪』を降らし、初雪の時にデートすると言う。
 チュンサンは意識していないのだろうが、好きな人の心が揺れるとすかさず別の話題で意識を逸らす。
 見事な恋愛テクニックだ。
 普通の男がやったらダメだが、ヨン様が放り投げれば落葉も雪に見えるだろう。

 そして初雪。
 湖のデート。
 チュンサンとユジンは誰かと待ち合わせしていると言う。
 しかしお互い待ち人は来ない。
 待っているのがお互いなのだから当たり前なのだが、「ならば相手が来るまでつき合おう」というチュンサン。
 なかなかおしゃれな会話だ。

 雪だるま。
 ここではチャンサン、すごい恋愛テクニックを披露!!
 お互い作ったふたつの雪だるまをキスさせて「お前はいいなぁ」と言う。
 そしてユジンがふり返った所へいきなりキス!!
 すばらしい!

 この様にチュンサン、なかなかの恋愛テクニシャンなのだ。
 こういうことが自然に出来る所が並みの男と違うのだ。
 今度雪が降ったら自分も真似してみようと思ったのは僕だけではあるまい(笑)

★さて、その他

 チェリンはなかなかたくましい。
 チュンサンに相手にされなかったことをこう考えている。
 「彼の心の準備が出来ていなかったのよ」(笑)

 ユジンの妹ヒジンも子供なのにオンナ。
 チュンサンを見て「あたしが結婚する」と言って足に抱きつく。
 姉の小さい時の写真を見せて、「あまり可愛くなかったのよ」とおとしめる発言。

★今回の名セリフ、小道具はこれ。

 「あなたの好きなものを覚えておきたいの」
 ユジンはチュンサンに相手の好きなものを言う質問ゲームをしようと言う。
 その時に言った言葉。
 ユジンのチュンサンへの告白。
 こんな告白をされたら心揺れるだろう。

 小道具は手袋。
 チュンサンがユジンのもとにとって返すきっかけとなった。


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月の輝く夜に

2007年10月03日 | 洋画
 月の光は人に恋をさせる。

 この作品は、半ば妥協で婚約をしたロレッタ(シェール)と婚約者の弟ロニー(ニコラス・ケイジ)が恋に落ちる物語。
 月の光に誘われて、ロレッタを取り巻く家族も恋に落ちる物語。

 作中こんな描写がある。
 ロレッタはロニーにオペラに誘われる。
 その前の晩、月の力でロニー(婚約者の弟)と寝てしまったロレッタは罪の意識で断るが、自分の中のロニーへの想いを否定できない。
 「自分はオペラを愛している。愛する人とオペラを観られれば、思い残すことはない。あなたのことは諦める」
 そうロニーに言われてOKを出すが、ロレッタはその後こんな行動をする。
 美容院に行く。洋服を買う。靴も買って。
 言い訳はオペラに行くのだから。
 しかし裏にあるのはロニーへの想い。
 見事な感情表現だ。

 同時にこんな効果も。
 この買い物をしてコンサートホールに着く頃にはロニーは見違えるほどきれいになる。
 まわりからも注目される。ロニーも最初誰だかわからない。
 まさにシンデレラ。
 生活と日常からの解放。
 観たオペラにも涙が出るほど感動して……。
 自分の人生もこんなに輝くんだと思えるようになる。
 うまい!

 さてこの物語はロレッタ以外にも愛や恋が描かれる。
 叔父夫婦はひさしぶりにベッドを共にする。(月の力?)
 ロレッタの父親は浮気。
 母親はそれを哀しみ失望し、レストランで席を共にすることにあった大学教授と一夜を共にしそうになる。
 彼らもまた生活や日常から非日常の世界に飛び立ったのだ。

 作中、こんなやりとりがある。
 夫の浮気を知ったロレッタの母親は大学教授に聞く。
 「男はなぜ女を追いかけるのか?」
 その答えは?
 ・本能
 ・死への恐怖
 ・アダムとイブのエピソードを引用して、「男は女とひとつになることで完全になれる」
 ・退屈な日常からロマンスの世界へ。
 母親の結論は「死への恐怖」の様だが、なかなか含蓄がある。

 その他にもこの作品は名セリフがいっぱい。
 まずロニーの口説き文句。彼は婚約してしまい迷うロレッタに言う。
 「君に妥協は似合わない。なぜ本当に愛する人を待たなかったのか?」
 「人は破滅を経験して自分の人生を守る方法を学ぶ。でも僕は愛する。愛することは僕の望み。地獄の業火に焼かれようと」
 大学教授の口説き文句はこう。
 「僕の部屋には別の人生がある」
 「女は魔物。月の光を浴びて自分の美しさに気づくんだ」

 最後はエンディングテーマの詞を。
 この作品の舞台はマンハッタンのイタリア人一家だが、詞もイタリアンテイスト。

 瞳にうつるのはピザのような月
 恋の魔力 ワインの人生
 鐘が鳴り響き 人生に乾杯!
 ときめくリズム はずむステップ

 恋はパスタ 心惹かれる
 雲の上でふたりでダンスを
 夢のような恋をしよう
 ナポリの街で恋に生きよう


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プリズンブレイク シーズン2 第19話

2007年10月02日 | テレビドラマ(海外)
 第19話「女王蜂」SWEET CAROLINE

★サスペンスアクション作品は人物が綱渡りしているから面白い。

 録音テープをもとにレイノルズ大統領に恩赦を要求するマイケル。
 そのためにわざと捕まる。
 大統領が話し合いに応じなければ、捕まるだけ。
 これは綱渡り。

 スクレはベリックにメキシコのアジトに踏み込まれる。
 「お前には10万ドルの懸賞金がかかっている」と喜ぶベリック。
 スクレはティーバッグが空港で取り損なった500万ドルのことをちらつかせ、逮捕を逃れようとする。
 これも綱渡り。
 シーノートもマホーンに脅迫され、首を吊るが間一髪看守に助けられる。
 これも綱渡り。

★またサスペンスアクション映画は立場が逆転するから面白い。

 まずマイケル。
 追われる身で大統領に立ち向かう。
 最高権力者の大統領の方が完全に上。
 しかし録音テープで大統領に命令できる立場に変わる。
 ベリックに捕らえられたスクレもそう。
 500万ドルの在処が立場を変える。
 シーノートもまた逆転できそうだ。
 FBIの中でマホーンをよく思っていない勢力。
 その勢力がマホーンに何を要求されたか、スクレに尋ねる。

 そして再びマイケル。
 大統領への説得が成功し、大統領が演説でマイケルたちの恩赦が発表されることに。
 「これですべてが終わる」かと思いきや……。
 大統領の演説の内容は?
 これは大きな大逆転。

 この作品は最後の最後まで見せる!見せる!

★その他
 録音テープに録音されていた内容。
 それはステッドマンが生存していた証拠だけではなかった。
 ステッドマンとレイノルズには肉体関係があった。
 それは兄妹の関係。

 名セリフ。
 リンカーンに逃走用の貨物船のチケットを渡したかつての友人。
 餞別にお金も渡す。
 その時にこう言う。
 「お前が1週間で捕まるかどうか賭けたんだ。結果はお前が捕まらずに俺の勝ち。その分け前をやるよ」
 間接的な表現だが、これで何よりふたりの友情が伝わってくる。


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風林火山 第39回 「川中島!龍虎激突」

2007年10月01日 | 大河ドラマ・時代劇
★まず長尾景虎(Gackt:ガクト)。
 「天道に背く者成敗しに参る」
 「我に背くは天に背く者なり」
 こう言い切って行動する景虎には一種狂気を感じる。
 自分を神に仕える者として考え、神の意思の実践者として行動する。

 一方の晴信(市川亀治郎)。
 覇権への意思があり、姫にも手を出す。
 人間的だ。
 この対照的な両者。

★さて第1回川中島の戦い。
 地形図をもとに勘助(内野聖陽)と宇佐美(緒形拳)が将棋をさすように用兵していく。
・景虎の狙いは領土回復でなく晴信(市川亀治郎)の首にあると見る勘助。徹底防戦。また坂木を攻めさせ真田勢などで背後から襲うという罠も。
・一方、宇佐美は勘助の罠を見破り、刈谷原城、深志城を攻めて晴信をおびき出そうとする。
・刈谷原城を捨て深志城で守る判断をする勘助。
 深志城は容易に攻め落とせないから景虎は越後に引き上げるだろうという策。
 宇佐美も景虎も撤退する判断をするが。
・しかしいくさは人間がするもの。
 諸角(加藤武)は刈谷原城にとって返し決死の戦いをする覚悟。
 その理由には生きながらえ生き恥をさらしているという想いがある。
・諸角(加藤武)を救うため武田軍が動き出す。
 信繁が向かう。
 深志城の馬場は馬上にいて晴信の指示を待つ。
 勘助も策を考える。
 そこで勘助が考えたのは全軍をもっての夜討ち。
・これを見破った景虎はいったん引き上げるが、途中で馬首を返す。
・それに晴信がリアクション。
 「ここでわしが出なければ、わが軍の士気に関わる!勘助、陣立ていたせ」
 千曲川を挟んで対峙する両軍。
 味方は鶴翼、敵は魚鱗。
 動いた方が負ける中、一騎やって来る景虎。
 晴信と対峙。

★今回は景虎の凄さを描ききった感じだ。
 晴信が苦労して切り取った信濃の領地を直線で打ち破っていく。
 この背景には景虎を信濃の懐深くまで引きずり込むという勘助の策があるのだが、それでも強い。
 「何だ、この強さは」と武田の家臣に言わせる。
 また勘助の罠も見破り、予想外の攻撃。
 撤退の判断も速い。
 ラスト、千曲川を挟んで対峙したことで竜虎激突・ライバル登場を表現した。

 しかし景虎の強さだけを表現しただけでは、その凄さは十分に伝わらない。
 一方の晴信もキャラとして立てなければならない。
 そこで晴信にも見せ場。
 「ここでわしが出なければ、わが軍の士気に関わる!勘助、陣立ていたせ」のせりふ。
 諸角への温かい判断。
 「役に立つか立たぬかはわしが決めること。勘助が夜討ちを考え出したのはおまえのおかげ。結果われらの勝ちいくさとなった。これが生き恥というのなら、これからも生き恥をさらすがよい」

 見事な作劇だ。

 
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