EXPRESS DIARY~鉄人日記~

鉄道に関することを日々徒然なるままに書いて行こうと思います。

鉄子の台頭と鉄っちゃんの終着点は?

2007年11月23日 | 鉄道イベント

071028kyotoef6616  今年の流行語大賞候補に鉄子がノミネートされている。鉄子という言葉自体は昨年から聞かれた言葉だが、今年ブレイクした言葉として捉えられている。言葉が独り歩きしている感じがしないでもない。実際鉄子がどれだけいるのかは疑問が残るところだ。鉄子の定義がどこまでを鉄子というのかにもよるが、鉄子に対する男の鉄っちゃんの視点で見るとどこに鉄子がいるねん?という疑問を抱かざるを得ない。要するに鉄っちゃんと同じような活動をする女性の鉄道趣味者を鉄子と呼ぶなら、その数は少ないどころかほとんど見当たらない。普通に有名撮影地などで女性ファンがカメラを構えて撮影をする光景というのは今のところあり得ない事象だ。そういったことから鉄っちゃんの目には必ずしも鉄子が流行語になるほど隆盛を極めているようには見えないのだが、実際にはどうなんだろうか?おそらく流行語になるほど鉄子が増殖しているわけではないと思われる。しかし、鉄っちゃんの目から見た鉄子ではない鉄子は思いのほか増えてきているのではないかとも思う。というのも鉄子を鉄っちゃんの女性版という捉え方ではなく、鉄道趣味の新しいジャンルの一つという捉えて鉄道に興味を持つ女性が増えてきているという見方をすれば鉄子の増加に納得できるのではないか。要するに下心のある鉄っちゃんが短絡的に考える鉄子と一緒にブルトレ撮影などという妄想はいつまでも妄想であり、鉄っちゃんと鉄子の融合というのは鉄っちゃんが鉄子というジャンルに向きを傾けないで、従来どおりハードな鉄っちゃんを続けていては鉄子との乖離は広がるばかりだろう。

 鉄子は漫画でブレイクしたと言えばそれまでだが、鉄子が増加してきているということが本当であるとすれば、その背景としては、鉄道会社各社に女性社員が増えてきて鉄道に関する知識を持つ女性が増えたということもあると思われる。近年はJR各社のみならず、大手私鉄や地方私鉄も女性進出が目覚ましいので、今後も鉄子が増加していく素地は十分にあると言える。ただ、先述したとおり鉄子と鉄っちゃんは向きが違う趣味と捉えた方が賢明であり、鉄子が増えれば、稀には撮影地で列車にカメラを向ける女性も出てくるだろうが、そのような鉄子は少数派にとどまるはずだ。大半は鉄っちゃんの目から見てソフトな鉄活動をするとものと思われる。鉄っちゃん的に見れば鉄子が進出してくるジャンルは乗り鉄が中心になるものと思われる。乗り鉄と言っても鉄っちゃんがするような乗り潰しや一日中電車に乗りまくるというような乗り鉄ではなく、おそらく景色がいい路線、魅力的な列車が走っている路線をチョイスして、女性ならではの感覚と口コミなどによる情報網を駆使して列車に乗り、駅弁や列車を降りた後のアフタートレインを大いに楽しむ形が鉄子流乗り鉄になるのではないかと思う。鉄道雑誌で言えば“旅と鉄道”を読む程度の鉄分具合だ。間違っても鉄道ピクトリアルは読まないという感じだ?この程度の鉄分であれば鉄子が増えても驚きはしない。逆に言えば、次に書くように衰退傾向にあるのではないかと思われる鉄っちゃんよりも今後鉄子の方が幅を利かせて行き、鉄っちゃんもそれにつられてというハードな鉄っちゃんからソフトな鉄っちゃんへの移行も見られるのではないかと思われる。

 それでは鉄っちゃんが衰退するのではないかということについて説明しよう。われわれ鉄っちゃんは鉄道に関する様々なジャンルを趣味として活動しているが、その中でも三種の神器と言っても過言ではないのが、カメラ・模型・時刻表だ。カメラは当然鉄道撮影、模型は当然鉄道模型、時刻表は所謂乗り鉄の象徴だ。最近は様々なジャンルがある細かく区分するときりがないが、上記の3つについては鉄っちゃんの登竜門として必ずや1つは通ってきているに違いないジャンルだ。ちなみに私は一通りこなしている。この3つのジャンルのうち模型については大ブレイクすることはないだろうが、一定の需要があり、最新車両からSLまで古今問わず楽しめるので、鉄っちゃんとして廃れていくことはないと思われる。時刻表を象徴とした乗り鉄についても、秘境と呼ばれるような路線が少なくなりつつあり、ローカル線の廃線も多く、国鉄が存在した頃のような楽しみ方はできなくなりつつあるが、鉄道がある限りこのジャンルについても継続していくだろう。一番懸念されるのが撮影だ。このジャンルについても鉄道がある限りは継続していくと思われるが、SLから始まり、ブルトレなど大ブームを巻き起こすようなネタが昨今枯渇してきており、このジャンルの熱は冷める一方という感じがする。数少ない保存列車的なSLを追い、数少ないブルトレを追い、それでも時間を余すからカマ追っかけをするというのが生粋の撮影マニアの現状と言える。機関車が牽引する力強い迫力のある画でなければ納得できないというある種鉄っちゃんの中では最も男らしいジャンルと言えるが、その男らしい機関車牽引列車自体が激減し、客車列車に関しては客寄せパンダ以外皆無になる日も近い。ブルトレ亡き後、撮影ファンはいったい何を追いかけるのだろうか?ハードなカマ追っかけを続けるため、路線は限られるが、ある程度量的に満足ができる貨物の追っかけが主体となり、イベントとしてSL列車や天然記念物のように残ったジョイフルトレインの客車を追って満足するのだろうか。撮り鉄というジャンルはブルトレ亡き後も継続はしていくだろうが、これが鉄の本道かと言える道に入りつつあるように思える。貨物列車も鉄道の重要な位置にあるが、鉄道はやはり人を運んでなんぼのものと私は考える。そのようなスタンスで考えれば貨物列車を追いかける撮り鉄は本道ではなく、言葉は悪いが邪道であると思う。鉄っちゃんの三種の神器の一角である撮り鉄が男らしい力強い機関車を追い求めて邪道を行き道を狭めて行くのに対し、気軽に楽しめ裾野が広いソフトな鉄で台頭してきた鉄子が幅をきかし、鉄っちゃん人口より鉄子人口を広げていく可能性については否定できないのではないかと思う。もっとも鉄っちゃんの方も本道と言える三種の神器以外のジャンルも充実しているので、鉄子が鉄っちゃんの数を上回るということは困難なようにも思える。