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核兵器の密売人フランス 

2008-05-09 20:00:04 | オルタナティブ通信

2008年05月07日
核兵器の密売人フランス
 EU統合は、1952年、欧州石炭鉄鋼共同体の発足に出発点を持っている。あらゆる産業の基盤である石炭と鉄鋼の生産・流通を一体化させる所からヨーロッパの経済的一体化は始まり、それを基礎としてEUの政治共同体が発足して行く。

 この石炭鉄鋼共同体は、第二次世界大戦で焼け野原となったヨーロッパを復興させるために米国がマーシャル・プランと呼ばれる経済復興政策を行い、その全ヨーロッパへの「投資事業」を円滑に行うために、全ての社会資本(鉄道、港湾、橋、道路等)の整備の基本となる鉄鋼と、その原料・燃料となる石炭の生産と流通を一体化させる必要から生み出された。

 EUの母体は、実は米国の経済政策にあった。

 このマーシャル・プランの資金を米国からヨーロッパへ「流し込む」窓口となったのが、ブッシュ大統領一族の銀行ブラウン・ハリマンであり、その英国支部のブラウン・シプリー銀行であった。この銀行がヨーロッパ全体を復興させる膨大な建設事業の「全てを単独で仕切った」。この時の莫大な利益が、2代に渡り大統領を生み出すブッシュ一族の財政基盤となった。

 EU統合の動脈となるのが、この石炭・鉄鋼を全ヨーロッパに運搬する鉄道である。現在においても、トラック運送より、はるかに安価な輸送を可能にする鉄道と内陸運河が統合EUの動脈となっている。

 鉄道こそEUである。

 古くから鉄鋼業で栄えたフランス・ピレネー地方のアリエージュ、そしてドフィネ、さらにドイツ、ベルギー、ルクセンブルクの鉄鋼業を結び付けてきたのが鉄道であった。

 そして鉄道建設のためには莫大な資金調達が必要であり、その資金を用意し、事実上鉄道を支配したのが銀行業であった。パリから鉄鋼王国ベルギーへ向かう大動脈の北部鉄道を建設したのはロスチャイルド一族であり、19世半ば、フランス・ベルギー石炭運河会社と命名された文字通り鉄鋼業の燃料提供のための運河会社=運送会社は、ベルギー国立銀行とも言えるソシエテ・ジェネラル・ド・ベルジックとロスチャイルドが創立した。

 当初は、ロスチャイルドと対立関係にもあり、後には全面的な協力関係に入るソシエテ・ジェネラル・ド・ベルジックは、ヨーロッパの名門貴族ミラボー家とバルトロニー家が創立した。この両家は共にヨーロッパの名門鉄道会社であるP.O鉄道を経営していた。このソシエテの創立者達は、同時に金融国家スイスへの鉄道網をも支配していた。それは兵器と兵士を運搬する道でもあった(拙稿「永世中立国スイス」を参照)。

 ロスチャイルドとその同志が、統合EUの基盤を形成して来た。

 このP.O鉄道が、やがて世界中を支配する大英帝国の海軍の燃料補給・武器弾薬運搬の専門艦隊であるP.O汽船へと発展する。英国が支配下に置いた国々からの莫大な略奪品=石油、石炭、ダイヤモンド、金銀ウラン、奴隷、食料品等の運搬を行って来た、文字通り、イギリス帝国の「実体」を形成したのが、このP.O汽船であった。

  奴隷貿易と、中国・インド等への麻薬・アヘン貿易、奴隷を酷使した大規模農園経営と鉱山経営で悪名高い東インド会社は、このP.O汽船の出先機関に過ぎなかった。

 P.O汽船こそ、イギリス帝国であった。

 このP.O汽船が、ヨーロッパの大動脈をなす石炭・鉄鋼運搬の鉄道会社を起源とし、ベルギー最大の半ば国営銀行に近いソシエテ・ジェネラル・ド・ベルジックと創立者を同一にしている点には注意を要する。ベルギー王家は、正式名をザクセン・コブルク・ゴータ一族を名乗り、英国王室ウィンザー家は旧姓をザクセン・コブルク・ゴータ家を名乗っていた。イギリス帝国の実働部隊P.O汽船が、ベルギー最大の銀行、ベルギー産業・製鉄業の中枢ソシエテ・ジェネラル・ド・ベルジックと同一経営者の手になる意味は、そこにある。

 英国が中国に麻薬を売り付けアヘン戦争を引き起こし、南部アフリカで黒人を奴隷とし金塊・ダイヤモンドの採掘を行って来た悪行は有名であるが、ベルギー王家の国王レオポルド2世が、アフリカのコンゴ(ベルギー領コンゴ)でゴムの大規模農園を多数経営し、そこで奴隷とされた黒人を数百万人、大虐殺した事実は余り知られていない(ジョセフ・コンラッド「闇の奥」岩波書店、藤永茂「闇の奥の奥」三交社参照)。このベルギー領コンゴでの大虐殺の実働部隊となったのがロスチャイルドとソシエテ・ジェネラル・ド・ベルジックである。

 この英国とベルギーの行った奴隷貿易・大虐殺は、実はザクセン・コブルク・ゴータ家という同一の一族が行っていた。

 EU統合の大動脈が、この虐殺の実働部隊ソシエテ・ジェネラル・ド・ベルジック、そして、この銀行と一体化したロスチャイルドによって形成され、現在も担われている事実を忘れてはならない。

 ドイツ系のルクセンブルグ最大の鉄鋼業アルベット社がソシエテの系列であれば、ベルギー、ルクセンブルク、ドイツ、フランスの石炭・鉄鋼業を統合し、さらに原料から製鋼・完成品までを生産するヨーロッパ最大規模の鉄鋼コングロマリットであるコックリル・ウーグレ社も、ソシエテの支配下にある。

 ヨーロッパの原子力産業・核兵器製造を推進する「原子力研究シンジケート」と名付けられたEU版核兵器製造シンジケートの中核が、このコックリル・ウーグレ社、つまりソシエテである。

なぜなら、ゴム以外のコンゴのもう1つの最大輸出品はウランという核兵器原料であるためだ。

そしてベルギーのあらゆる産業に支配を及ぼしているベルギー3大コンツェルンの1つ、特に化学部門に強いソルベイ・コンツェルン(つまり濃縮ウラン製造企業)も、またソシエテの支配下にあるが、このソルベイ社が世界最大の核兵器原料の製造企業で、ノーベル「平和賞」受賞者アル・ゴアの企業アライド・ケミカルの株式=経営権を20%掌握し、また長年、ソ連(ロシア)の核兵器原料の精練を行って来た英国のICI(インペリアル・ケミカル・インダストリー、かつては国営企業)の株式=経営権を25%握る、という形で世界的な核兵器ファミリーを形成している(注1)。

 欧州石炭鉄鋼共同体が、57年、ヨーロッパを統一する原子力・核兵器製造管理組織である欧州原子力共同体EURATOMへと発展し、それを中継としながら統合EUへと行き着く経緯が、ここに見える。鉄道=石炭・鉄鋼産業と核兵器産業が、同一のソシエテによって担われて来た。

 米国が長年、核兵器の不拡散を表向き主張しながら、一方で平然と1947年から政府機関であるフランス原子力庁がイスラエルのワイツマン研究所と核兵器の共同開発を行い、フランス・イスラエルが核武装して来た背景には、このヨーロッパ核兵器業界の「販路拡大路線」があった(思想的には神の国イスラエルを建国しようというヨーロッパ・エリート達の宗教的狂信があった)。

 アラブ諸国に繰り返し侵略戦争を仕掛け、国連から非難決議を繰り返し受けているイスラエルに核兵器大量生産を行わせるために、1952年以降、南フランス・ローヌ河沿いのマルクールで、イスラエル向けのウラン濃縮企業、核物質の再処理施設の経営を、ロスチャイルドのガラス・化学会社サンゴバン・テクニーク・ヌーベルSGNが密かに行って来たのも、このソシエテ等ヨーロッパ核兵器産業の意向であった。このサンゴバンの子会社にはヒラリー・クリントンが顧問弁護士を務めてきたラファルジュ社と、日本の元外務大臣・麻生太郎の麻生セメントがある。

 さらに1963年、フランスの軍事産業でミラージュ戦闘機のメーカーであるダッソー・ブレゲ社が、イスラエルから1億ドルで中距離核ミサイル開発を受注し、核ミサイル技術と25基の核ミサイルを納入した事実。1968年、ベルギーの幽霊法人を使いイスラエルがアントワープからウラン鉱石を大量に密輸し核ミサイルの大量生産を成功させた時にも、ベルギーの銀行家が幽霊法人の利用というテクニックを「入れ知恵」し、関与した事実。こうした世界中への核兵器の拡散には、ヨーロッパの金融界・核兵器業界の意向が明確に存在した。

EU統合の大動脈企業こそ世界中への核兵器拡散を実行し、人類を絶滅の危機に陥れて来た。このイスラエルの核兵器が、それに対抗するためのアラブの核武装、イランの核兵器開発への「推進力」となって来た。

 そして、フランス原子力庁、サンゴバン、ダッソー・ブレゲ社、全ての核兵器開発・販売を巡る交渉の場所には、イスラエルのアメリカ大使館、フランス大使館が使われ、そこには常にヴィクター・ロスチャイルドが同席して来た。


※注1・・このソルベイ社が中心となり、国際的核兵器密輸業者マーク・リッチの本拠地であるベルギーで3年に1度開催される「ソルベイ会議」は、世界各地の核兵器企業と核物理学者が集まり、核兵器の販路拡大を密談する会議となっている。かつて第5回ソルベイ会議で、世界の核物理学者が会議する中で、アインシュタインが米国大統領宛てに、核兵器開発の実行を提言する書簡を書く事を決意した(決意するように誘導された)事は有名である。このソルベイ会議こそが、日本の広島・長崎への原爆投下の出発点である。
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