格差階級社会をなくそう

平和な人権が尊重される社会を目指し、マスゴミに替わって不正、腐敗した社会を追求したい。

西川善文日本郵政社長続投論を覆う黒い霧

2009-10-25 12:47:37 | 植草一秀氏の『知られざる真実』

西川善文日本郵政社長続投論を覆う黒い霧
5月22日付「日刊ゲンダイ」が伝えるところによると、西川善文日本郵政社長解任にブレーキがかかっている最大の理由は、自民党内市場原理主義勢力が麻生首相に対して、予算関連法案の衆議院再可決に関連して圧力をかけたことにあるという。


この2月12日に、小泉元首相が「ただただ笑っちゃうくらいあきれてる」発言をした。発言は、麻生首相による「郵政民営化に賛成でなかった」、「4分社化の見直しが必要」発言に対応したものだった。


小泉元首相は定額給付金法案の衆議院再可決に反対する意向を表明した。このことを中川前財務相が強烈に批判した。中川氏は、「あの方も(法案に)賛成されたんでしょう。総理までやられたお方がそのようなことを言われるのは理解に苦しむ」と述べた。正鵠を射た指摘だった。


中川氏がイタリア・ローマでのG7で「もうろう会見」を行い、失脚の原因を作ったのは2日後の2月14日だった。単なる偶然とは考えられない。


3月2日、小泉元首相は自民党議員約10名と会食し、「今後、政局の話をしない。政局にかかわらない」と発言したと伝えられた。その翌日、小沢氏の秘書が逮捕された。


自民党内の麻生おろしの動きがピタリと止んで、自民党は挙党一致体制で民主党攻撃に向かった。「かんぽの宿」疑惑追及は急速に後退した。


「かんぽの宿」疑惑を摘出し、「郵政私物化」を進めた勢力を追及しようとした麻生・鳩山一家と、「郵政私物化」を実行し、なおその温存を図ろうとする勢力に見える小泉・竹中一家が手打ちをしたように見えた。


ところが、鳩山総務相の西川善文社長の責任を問う姿勢は残存した。西川社長は6月末で任期満了を迎える。鳩山総務相は西川氏更迭(こうてつ)の判断を固めていたようである。


そこに横やりが入った。横やりを入れたのは菅義偉(すがよしひで)自民党選挙対策副委員長である。日刊ゲンダイは菅氏の横やりとその解説を次のように伝えている。


「補正予算が衆院を通過しても、関連法案は60日後の7月中旬に再議決になる。その際、衆院の3分の2の勢力が必要だが、6月末の日本郵政の株主総会で西川続投が却下されたらどうなるか。郵政民営化が政局になる。党内の郵政民営化賛成派は再議決に反対する可能性もありますよ」


「つまり、西川を更迭したら、小泉チルドレンらが再議決で造反するぞ、という“脅し”である。
 本当なら豪腕の菅ならではだが、同じ頃、小泉元首相も官邸に電話を入れ、同じような情報を麻生に伝えたという。だとすれば、西川更迭が唐突に白紙撤回された理由も納得だ。」


(ここまで転載)


2月の横やりと同じ手法で、麻生政権の「かんぽの宿」疑惑追及を封じ込めようとの動きが表面化している可能性があるのだ。


日刊ゲンダイの指摘は正しいと思う。


日本郵政の最高幹部が入れ替えられれば、西川社長時代のさまざまな事実=「知られざる真実」が明らかにされることになるだろう。


「知られざる真実」を知られてはまずい人々が存在するのだ。この人々こそ、日本郵政を、「郵政民営化」の名の下に「郵政私物化」してきた人々である。


ここで、二つの視点から問題を見つめる必要がある。


第一は、竹中平蔵氏と西川善文氏の個人的な接点において決定的に重要だと考えられる出来事が、2002年12月11日の密会であることだ。この日まで、西川氏は反竹中金融相の急先鋒(きゅうせんぽう)と言える存在だった。


ところが、12月11日の密会を境に、西川氏は竹中氏との蜜月時代に移行した。この密会こそ、秘密を解く鍵を握る。


第二の視点は、菅義偉氏が2005年11月に総務副大臣に就任し、その後、2006年9月に総務相に就任した事実である。2005年11月は竹中氏が総務大臣に就任した時期である。竹中氏は「郵政民営化」=「郵政私物化」=「郵政米営化」プロジェクトを実行するパートナーに菅氏を選任したのだと考えられるのだ。


竹中氏は2006年9月に突如、議員辞職を表明し、総務相を辞した。竹中氏の資金疑惑が週刊誌で報じられることに連動するかのような議員辞職だった。小泉政権を引き継いで安倍政権が発足したが、安倍政権が発足した2006年9月に菅(すが)氏が竹中氏の後継として総務相に就任した。この人事は竹中氏の意向を受けたものであったと考えられる。


第一の視点について内容を補足する。この会合は、米国投資銀行ゴールドマン・サックスのCEOであるヘンリー・ポールソン氏、同COOであるジョン・セイン氏と、西川善文氏、竹中平蔵氏の4名による密会であった。


この後、ゴルードマン・サックスは三井住友銀行に5000億円のファイナンスを実施した。三井住友ファイナンシャルグループは、このファイナンスを契機に、限りなくゴールドマン・サックスの影響を受けることになる。


このことについて、読売新聞の渡邉恒雄氏は『文藝春秋』2009年1月号に、次のように証言している。


「僕は竹中さんから直接聞いたことがあるんだが、彼は「日本の四つのメガバンクを二つにしたい」と明言した。僕が「どこを残すんですか?」と聞くと、「東京三菱と三井住友」だと言う。あの頃はまだ東京三菱とUFJは統合していなかったんだが、「みずほとUFJはいらない」というわけだ。どうして三井住友を残すのかというと、当時の西川善文頭取がゴールドマン・サックスから融資を受けて、外資導入の道を開いたからだと言う。「長銀をリップルウッドが乗っ取ったみたいに、あんなものを片っ端から入れるのか」と聞くと、「大丈夫です。今度はシティを連れてきます」と言った。今つぶれかかっているシティを連れてきて、日本のメガバンクを支配させていたらどうなったか、ゾッとする。」
(この部分は「文藝春秋」からの引用)


 つまり、日本のメガバンクを二つにするとの考えをもって、竹中氏がゴールドマン・サックスによる三井住友への出資を斡旋(あっせん)したと解釈することができる。このこと自体、問題にされなければならない行動である。


 三井住友グループによる日本郵政支配は、その裏側にあるゴールドマン・サックスによる日本郵政支配の図式のなかで捉えなければならないのだ。これが第一の視点である。


 第二の視点は、菅義偉(すがよしひで)氏の役割である。


 菅氏は2006年9月に総務相に就任し、翌2007年3月に日本郵政公社総裁の生田正治氏を解任している。生田氏を排除して、西川氏による日本郵政公社支配を生み出した。西川氏は日本郵政公社総裁職を兼務したのちに、2007年10月に発足した持株会社としての日本郵政社長に就任した。


 日本郵政はこれまで指摘してきたように、財界による日本郵政私物化を絵に描いたような人事を実行した。日本郵政プロパー職員、日本郵政サービス利用者、生活者が取締役に一人も登用されない、異様な姿での出立であった。


 また、日本郵政公社時代の日本郵政保有不動産のバルク売却の不透明性も表面化している。旧郵政公社時代の所管大臣が竹中平蔵氏と菅義偉氏である。


 安倍晋三氏と竹中平蔵氏をつなぐ人物に杉山敏隆氏が存在し、安倍元首相の後援会である「安晋会」や「竹中平蔵経済塾」などの名が浮上する。「安晋会」には穴吹工務店などが名を連ねるが、こうした企業がバルク売却の買い手に登場する。


 西川善文日本郵政社長を力づくで続投させねばならないと考える勢力が存在するように見える。


鳩山総務相が「かんぽの宿」疑惑追及で、「郵政私物化」の氷山の一角を白日の下に晒(さら)しながら、日本郵政株式会社法第九条が定める

 
(取締役等の選任等の決議)、
「会社の取締役の選任及び解任並びに監査役の選任及び解任の決議は、総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない」

 
との条項を生かすことができなければ、鳩山氏はもはや政治家として存続する意味を失うだろう。


鳩山総務相は、もはや一歩も引き下がることのできない場所に身を置いてしまっている。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

よみうりテレビ「ウェークアップ」の政治的偏向

2009-10-25 12:35:03 | 植草一秀氏の『知られざる真実』

よみうりテレビ「ウェークアップ」の政治的偏向
10月24日のよみうりテレビ番組「ウェークアップ」。


読売新聞が反民主党で親CIAであることを知る人が増えているが、政治的公平が放送法で定められているにも関わらず、民主党攻撃一色の番組構成について、テレビ放送の監督者である総務省は早急に是正措置を取るべきだ。


2010年度予算編成、インド洋給油活動、郵政改革、沖縄普天間基地移転などが論じられたが、論議ではなくアジテーター総出演の抗議集会の様相を示した。


司会の辛坊次郎氏、読売所属の橋本五郎氏、自民党石破茂氏、竹中平蔵氏が激しく鳩山政権批判を展開した。


コメンテーターの江川紹子氏は中立のスタンスからのコメントを提示し、民主党衆議院議員の山口壮氏が適切な反論を示したから、民主党の反論を最低限度聞くことができたが、神奈川県、静岡県の参院補欠選を目前にしたこの時期に、このような悪質な放送を行なうのは、公職選挙法にも抵触すると考えられる。


『金利・為替・株価特報』2009年10月24日号には、


1.2010年度予算編成の正しい考え方


を記述し、2010年度予算の適正な編成方針を記述した。


辛坊次郎氏がフリップを使い、2009年度当初予算と比較して2010年度予算を論じていたが、辛坊氏が財政活動の経済に与える影響をまったく理解していない現実を示すだけのものだった。






鳩山首相は「日米同盟を日本外交の基軸に位置付け」、「対等なパートナーシップを発展させる」ことを宣言している。これまでの自民党政権が「米国に隷属し」、「米国の顔色だけを窺いながら、卑屈な外交を展開」し続けてきたことに対して、日本の主体性を重視しようとする鳩山首相の姿勢を、多くの日本国民が正当なものだと評価している。


外交の基本路線を大転換するのだから、多少の摩擦が生じることは当然だ。鳩山首相はそのことを十分に想定しつつ、アジア重視外交を展開している。


米国は日本の自主独立路線を快く思わないだろう。いまだに戦勝国気分から抜け出せないのが米国政府の実情である。米国は戦後日本政治に対して、卑劣な工作手段を行使し続けてきた。日本のマスメディア支配もその重要な一環であった。


日本政府はテレビ、新聞のマスメディアを適正に監督しなければならない。これまでの自民党政権のように、テレビ、新聞を直接統制することは避けなければならないが、放送法にも抵触しかねない偏向報道を展開する放送局に対しては、適正な是正措置、処分を検討するべきである。


総務省の顧問に新たに郷原信郎名城大教授が就任した。メディアの政治的偏向に対して、有効な是正措置が検討されることが強く期待される。


竹中平蔵氏はかりそめにも国会議員職に報じた経験を有するなら、民主主義の基本を踏まえた行動を示すべきである。2005年の総選挙で小泉政権が大勝した際、竹中氏は民意が郵政民営化の推進にゴーサインを出したことを、政策を推進する正当性の根拠とした。


今回の総選挙では、小泉竹中郵政民営化が根底から否定された。小泉竹中政治の「市場原理主義」、「格差社会創設政策」への明確な国民の「NO」の意思表示が自民党大敗の正しい解釈である。


日本の主権者である国民が竹中氏を全面否定したことを踏まえることなしに、いくら遠吠えのような発言を続けても、誰も支持する者はいない。竹中平蔵氏は巨大経済犯罪疑惑である「かんぽの宿問題」の中心人物の一人である。国民の疑惑追及の対象の中心に竹中氏自身が位置していることを忘れてもらっては困る。放送局の出演者選定は是正されなければならない。


国会は竹中氏に対して、再三参考人としての出頭を要請した。しかし、竹中氏は現在に至るまで、逃げ回り続けている。テレビ等のメディアに頻繁に登場する時間があるなら、まずは国会に出頭して、国会議員の提示する疑問に回答を示すべきである。


今後の国会では、「かんぽの宿疑惑」、「郵政民営化の黒い霧」問題の全容が解明されなければならない。そのなかで、竹中氏に対して、証人喚問を実施することを検討するべきだ。日本郵政社長更迭によって、重大な国家犯罪疑惑に蓋をしてはならない。同時に問題追及はりそな銀行処理疑惑にも発展させなければならない。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする