「埋立承認撤回」拒否は辺野古基地建設容認と同義
菅義偉官房長官は、沖縄県名護市辺野古海岸を破壊して米軍基地を新たに建設する計画について、
「最大の関心は沖縄県が(辺野古沿岸部の)埋め立てを承認するかどうかだった。知事が承認し粛々と工事しており、もう過去の問題だ。争点にはならない」
との認識を示し、次のように発言した。
「過去18年間で、県知事も市長も移設賛成の方がいた。そうした経緯の中で、仲井真知事が埋め立て承認を決定した。そのことで一つの区切りがついている」
ジュゴンが生息し、サンゴで覆われた、かけがえのない美しい辺野古海岸を破壊して、必要のない巨大な米軍基地を日本の費用負担で建設して米国に上納することについて、仲井真弘多沖縄県知事が埋立申請を承認したから、これで決着したと述べている。
民主主義を根底から否定する、暴言である。
そこには、民意の尊重もなければ、民主主義の正当なプロセスを重視する慎重さのかけらもない。
あるのは、「数の力」と「金の力」をもってすれば、人の心など、どうにでも支配できるとの、歪んだ驕りと傲慢さだけである。
沖縄の人々の心を踏みにじる菅官房長官の暴言に対して、沖縄の人々はどのように対応するのか。
沖縄の人々の毅然とした対応がいまほど求められている局面はないと思われる。
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2010年の知事選で、仲井真弘多氏は普天間の県外・国外移設を沖縄県民に約束しているのである。
本年1月19日には、立地自治体である沖縄県名護市の市長選が実施された。
立地自治体の住民による意思表示を目前に控えて、公約違反の埋立申請承認に突き進んだ仲井真弘多氏の行動こそ、万死に値するものである。
このような不正と欺瞞行為がまかり通るようでは、日本の民主主義の死と言わざるを得ない。
その仲井真弘多氏が、のうのうと知事選に立候補するというのだから驚きである。
仲井真氏はこの選挙での勝利を念頭に置いていないのではないかと思われる。
知事選を、表向き、辺野古基地建設賛成派と反対派による選挙に仕立てるために、役者として出馬するのではないか。
その疑いが存在する。
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どういうことか。
辺野古基地建設反対を唱える人々は、元自民党の翁長雄志氏を支持する方針を示している。
基地建設に反対する団体は、基地建設反対を訴えて立候補する候補者について、
「埋立承認を撤回し、政府に事業中止を求める」
ことを条件に掲げた。
ところが、この表現が修正されたのである。
新たな文言は次の通りである。
「新しい知事は承認撤回を求める県民の声を尊重し、辺野古基地を造らせない」
何が変化したのかというと、
「埋立承認撤回」
の確約が取り除かれているのである。
菅氏が明確な言質を与えたように、辺野古基地建設を明確に阻止するために、何よりも重要なツールは、
「埋立承認撤回」
である。
「埋立承認撤回」
を新知事が断行することにより、辺野古基地建設は止まる。
政府は訴訟を提起することになるだろうが、少なくとも、なし崩しの基地建設をストップさせることが可能になる。
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「埋立申請承認を撤回せずに辺野古に基地を造らせない」
ことを担保する明確な根拠がない。
現に安倍政権は、辺野古の海にフロートを設置して、市民が海に立ち入るのを強制排除し、さらに、フロートが設置されている外側の海にいる市民に不当な暴力行為を働いているのである。
埋立申請を撤回することこそ、
「辺野古に基地を造らせない」
具体的な第一ステップなのだ。
このまま進めば、翁長氏が新知事に選出されても、基地建設強行が止まらない可能性が高い。
このことをあらかじめ前提として、いわば、「やらせの知事選」が実施されているとの見立てを否定することができないのである。
辺野古に基地建設を認めないと考える沖縄県民は、知事選の前に、必ず翁長氏から、「埋立申請撤回」の確約を取る必要がある。
翁長氏が「撤回」を確約しないなら、辺野古基地建設を阻止すべきと考える沖縄県民は翁長氏に投票するべきでないということになる。