ギャンブル投機のターゲットになる水資源
かつてロックフェラーの部下として、テキサス州等で石油会社の乗っ取りを手がけ、悪名を轟かせた「乗っ取り屋」ブーン・ピケンズ。
80年代には、日本のトヨタ自動車を壊滅させる目的で、トヨタ自動車のライト等の部品を製造する小糸製作所の乗っ取りを手がけたピケンズ。
その目的は、小糸製作所の提供する部品価格を上昇させ、トヨタの自動車価格を吊り上げ、販売を落ち込ませ、日本の代表的企業トヨタを窮地に追い込む事であった。トヨタの弱体化に成功した場合には、GM等によって、トヨタを乗っ取る計画もあったと言われている(小糸製作所の乗っ取りは失敗に終わった)。
この乗っ取り屋ピケンズは、現在、米国テキサス州からサウスダコタ州等に拡がる大草原地帯=グレート・プレーンズの地下に眠る、オガラ帯水層の水資源への買収・ギャンブル投機を行い始めている。
ピケンズは買収した水資源を、テキサス州の水不足地域に送り、新たな農地を開発する事で、数十億ドルの利益が「得られる」としている。しかし既にテキサス北西部で牧場等を経営している農民達からは、新たな農地開拓で現在のオガラ帯水層は、数十年後には干上がり、既存の牧場、農地全てが「砂漠化」してしまう、と反対運動が持ち上がっている。
今後、数十年間だけ、テキサス州の農業が繁栄し、その後は廃墟と化すのか、それとも既存の農場で地下水を大切に使い、テキサスの農業を永続的に続けて行くのか。
ピケンズは買収に要した数億ドルの投資資金が、地下水の販売で数十億ドルになり、「回収できれば良い」。数十年後の事など、「どうでも良い」。
乗っ取り屋のギャンブル投機が、人類の生命源である水資源の「破壊に向かっている」。