福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

「十善法語」その26

2019-09-26 | 十善戒
上人徳者に尊重の心を生ずるのみならず。中人庸流をも尊重するじゃ。中人庸流をも尊重するのみならず。下等愚人暴悪の者にも尊重の心を失ぬじゃ。此仁慈の心を一切人間に徧じて自ら其徳を全くする。此を不殺人戒の相と名つくる。此中に中下の類をも尊重すると云は都盧一(とろいち)に尊卑を分たぬことではない。君と称すべきものは君と称して尊重するじゃ。足下と称すべき者は足下と称して尊重するじゃ。汝と称すべきも者は汝と称して心内に尊重に思ふじゃ。上を敬し下を愛し、賢者を尊み不肖者を憐む。其品類はよくよく分別すれども其人の人たる徳を尊重し憶念することは一じゃ。暴悪の者にも尊重の心失はぬと云は、其暴悪を尊重するではない。暴悪は憎み賤しむべきことなれども、此人界に生れ来れし善根を尊む、人間あたりまへの位を尊重するじゃ。

要を取て云ば、人趣の尊重なることを憶念するは、道に達する要津じゃ。自ら自己人身に尊重の心あれば自暴自棄の患がなきじゃ。諸の國土に父母なき子なく、親族の撫育に由らずして長ぜる人なかれば、自暴自棄せなば、自ら父母親族に尊重の心が生ずる。親族の中に尊重の心があれば、孝悌の道が立す。孝悌の道立すれば忠義も仁悲も立するじゃ。
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