日々の出来事 8月5日 雷
今日は、サーファーに雷が落ちた日です。(1987年8月5日)
1987年8月5日、プロやアマの全国大会や世界選手権が行われる高知県東洋町の生見海岸で、サーフィンをしていたサーファーのネックレスに雷が落ちました。
場所は、海岸から5mの沖合いで、落ちると同時に電流が海水を伝わり20m離れた他のサーファー11人も感電しました。
この事故は、死者6人、重軽傷者6人を出す大惨事となりました。
この日は、前線が南下中で、大気の状態が非常に不安定であった中の事故と言うことです。
雷対策としては、雷注意報が出ているときは野外に出ないことしかありません。
屋外に出てしまっている時は、遠くで雷雲が見えたら建物や自動車に逃げ込む必要があります。
雷雲は速く発達しますから、雷鳴が遠くで聞こえたら即行で避難した方が良いと思います。
雷
☆今日の壺々話
雷様
昔々、ある所で雨を降らせていた雷様たちは、毎日同じことの繰り返しで退屈していました。
何か面白いことはないかなと天から下界を見ると、美人がいっぱいいるお店が見えました。
よし、早速遊びに行こうと言うことで、ゾロゾロと天から降りてきました。
ところが、雷様ですので、お金の持ち合わせがありません。
雷様たちは、お金が無いからダメとお店から断られてしまいます。
そこで、持っていた太鼓を質屋に入れて、お金を作って店に乗り込みました。
さあ、それからというものは、ドンチャン騒ぎが始まります。
何日経っても、居座ってドンチャンドンチャン騒ぎ続けます。
困ってしまった店の主人が、質屋から太鼓を引き出し、雷様たちに引き揚げて貰うように頼みました。
ところが、味をしめた雷様たちは、この太鼓をもう一回質屋に売って遊び続けようとしました。
そこに、この店一番の美人が天上の美しい世界の歌を詠います。
これを聞いた雷様たちは、天の世界を思い出し、ゾロゾロと天へと帰って行きましたとさ。
この話は、テレビ放映されていた“まんが日本昔話”にはありませんでした。
やっぱり、“美人がいっぱいいるお店”が、子供番組に引っ掛かるんだろうなぁ・・・・。
があん、があん、があん
田舎の爺ちゃんは、まだ俺や兄が生まれるよりいくらか前、時期的にはちょうど今頃、6月の終わりから7月始めの事だと言った。
梅雨ただ中のその日、外は朝から土砂降りのような雨が続いていて、野良仕事に出ることもできなかった爺ちゃんは、昼間から囲炉裏端で酒をちびちびと煽っていたそうだ。
他にやる事と言えば煙草を吹かすくらいしかなく、昼飯はとうに終えたとは言え、夕飯の時間にはまだ随分と時間がある。
自然と酒を煽る回数が多くなるが、酒瓶の中身は少々心もとない。
買い置きもないので、これを飲みきってしまえば買いに行くしかないが、この土砂降りの雨の中、外に出るのは遠慮願したい。
結果、昼間から過度の深酒になるような事もなく、暇を肴に何とか残り少ない酒をやりくりしていたそうだ。
それからどれくらい経ったのかは憶えてはないが、酔いも程良く回ってきたので、横にでもなろうかと思っていた頃、不意に玄関の戸を叩く音が聞こえてきた。
「 があん、があん、があん。」
こんな雨の日に誰ぞ来たのかと思い、「誰だあ?」と声をあげる。
すると戸を叩く音はぴたりと止み、また雨音だけになった。
扉を開けて誰かが入ってくる様子もない。
はて?と思っていると、少しの間を置いてまた「があん があん」と戸を叩く音。
出るのも億劫だったので、奥の部屋で繕い物か何かをしている婆ちゃんに出てもらおうと思ったが、婆ちゃんには聞こえていないのか出てこない。
「おうい、婆さん」と呼んでも見たが返事がない。
その間も戸を叩く「があん があん」と言う音は鳴り続けている。
このままでは転寝も出来ないと思った爺ちゃんは、渋々といった体で玄関に向かうことにした。
やや千鳥足ながらも玄関にやってきた爺ちゃんは、サンダルを引っ掛けて、「があん があん」と振動に揺れる戸に手をかけると、「そんなに強う叩いたら戸が壊れる」と、戸向こうの相手をいさめながら一気に戸を引いた。
「 ……ありゃ?」
その向こうには誰もいなかっと言う。
ついぞ今まで、それこそ寸前まで誰かが叩いていたと言うのに、開けてみたら誰も居ない。
そんな馬鹿な事があるものかと思い、戸口から顔を出して周囲を見回してみる。
やはり誰もいない。
ただ、軒下を見ると、やはり何かが居たかのように、戸の直前までがぐっしょりと濡れていた。
はてと思い、戸を閉めて囲炉裏端に戻る。
そしておもむろに横になった。
するとまた、「があん があん」と戸を叩く。
またかと、玄関にすっ飛んでいって戸を開ける。
やはり誰もいない。
今度は少しばかり外に出て見回してみるが、やはり誰もいなかった。
ただ、軒下の濡れ跡が、先程より大きくなっている気がした。
爺ちゃんはそれをしばらく眺め、少し考えると、玄関先にあった傘をひとつ引っつかみ、軒先にひょいと立てかけた。
なんとなくそんな気がしたのだという。
そうやって三度、囲炉裏端に戻る。
するとやはり、「があん があん」と誰かが戸を叩く。
そこで爺ちゃんは、
「 そこに傘があるから、勝手に持って行けばええ。」
と、大声で言ったそうだ。
すると、戸を叩く音はぴたりと止まったと言う。
爺ちゃんは面倒に思いながらも、もう一度玄関に出向き、戸を開けて外を見る。
すると、軒先に立てかけておいた傘が綺麗さっぱり無くなっていた。
爺ちゃんがやれやれと思いながら囲炉裏端に戻ると、婆ちゃんが居た。
「 どこに居たんや?」
「 奥におりましたよ。」
どうやら、あれだけ大きな音と声が響いていたというのに、何も聞こえていなかったらしい。
「 誰か来とったんですか?」
「 何か来とったようだなあ。
余りにも戸を叩きまくるもんだから、傘をくれてやったわな。」
そう答えると、婆ちゃんは少しだけきょとんとした顔を見せた後、
「 新しいの買いに行かないといかんねえ・・・。」
とだけ言ったそうだ。
それから数日後、ようやく雨も止み、晴れの日が数日続いた頃、山仕事に出かけた爺さんは、思いも寄らない物を見つけた。
それは、大きな木の枝に開いたままでかけられた傘だった。
最初は誰かが忘れでもしたのかと思い、無視して歩いて行ったが、それが何故か、行く先、行く先の木にかかっている。
それで手に取ってみて、ようやくあの雨の日に何かにくれてやった自分の家の傘だと気づいたらしい。
“ もしかしたら、返そうとしているのかもしれない。”
そう思った爺さんは、傘を枝にひっかけ直すと、
「 こら、オメエにくれてやったモンだ。
良いから持ってけ。」
と大声で言うと、その場を後にした。
すると、それから先の木の枝に傘がかかっていることはなかったと言う。
この話を聞いた時、俺は爺ちゃんにこんな事を聞いた。
「 それで、何かお礼とか無かったの?」
随分と素っ頓狂な話だが、昔話とかだと、『傘を借りたお礼に木の実が~』とか、そう言うパターンが王道だと思ったからだ。
しかし、爺ちゃんは少し考えた後、
「 そんなもんなかったなぁ。」
とそっけなく言った。
そして、
「 ただまあ、返してこようと思った気概は、買っとるがの。」
とだけ付け加えて、苦笑気味に笑った。
金魚
俺がまだ中二の頃の夏休み、友達4人で釣りに行った帰り、突然大雨が降り出した。
俺達4人は近くの木で雨宿りをしようと、近くの大木に駆け寄った。
すると、突然、雷が俺達の木に落ちた。
一瞬の出来事に、俺はしばらく何が起こったか理解出来なかった。
だが、俺はすぐにある異変に気付いた。
“ 友達が居ない・・・・・。”
すると、祭の出店でよく出ている金魚すくいが、突然、俺の目の前に現れた。
『 金魚すくいをやっていかないかい?』
屋台にいる親父が、俺に話し掛けてきた。
俺はここが、現世では無い他の空間であることを感じとった。
「 いくらですか。」
自分でも何故こんな質問したのか分からない。
屋台にいる親父が金魚すくい網のポイを一つ差し出して言った。
『 一回やる毎に、君の寿命一年分を頂こうかな。』
俺は迷った。
俺は屋台に近付き、水槽の中を覗いてみた。
すると、そこには、3人の顔をした金魚が力無く泳いでいた・・・・。
『 友達を助けたいんだよね。』
俺はこの世界での役割を悟った。
「 ポイを・・・・下さい。」
『 はい、一年分ね。』
自慢では無いが、俺は結構器用で、こういう神経を使う作業は得意な方だ。
・・・・・・・・
・・・・・・・・
“ 駄目だ、このポイ、すぐに破けてしまう・・・。
まだ、2人しかすくえてないのに・・・。”
水槽には、取り残された金魚一匹が、まだヨロヨロと泳いでいる。
でも、最後の一匹が、どうしてもすくえない。
・・・・・・・・
・・・・・・・・
『 どんどん、ポイを使ってるけど、いいのか?』
「 いいんです。」
・・・・・・・・
・・・・・・・・
それでも、最後の一匹はすくえない。
俺は数え切れないほどポイを使ってしまった。
程なく、屋台の親父がポイを一つ差し出して言った。
『 さぁ、これが君の最後のポイだよ。』
俺はポイを真剣な顔で受け取った。
“ これで、決めなければ!”
俺は気合を入れて、慎重に静かにポイを水に入れた。
すると、明らかに今までとは違って、最後の一匹を簡単にすくうことが出来た。
「 やったッ・・・・!」
友達の声が聞こえる。
「 おい、起きろ。」
「 死なないでくれぇ。」
「 今、近くの家の人を呼んできたよ。」
俺は眼を開けた。
「 ん・・・・お、お前ら、生きてたのか!!」
「 まぁ、俺達も皆30分位前に目を覚ましたんだが、お前だけなかなか起きなくて・・・・。」
嬉しい、涙が溢れ出す。
「 あぁ・・・・そうかぁ、お前らが生きてて良かった、本当に良かった・・・。」
そして、俺は思った。
“ 何で俺は生きてるんだろう?
寿命は全部使い切ったはずだけど・・・。
まぁ、あれって、夢・・・・だったんだろうな。
でも、今でも鮮明に覚えている、あの親父と屋台。
そして、屋台の親父が最後に俺に言った言葉・・・・・。”
『 君はよく頑張ったね、金魚を一匹おまけしよう。』
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