大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 8月25日 深憂(2)

2018-08-25 19:05:22 | B,日々の恐怖







  日々の恐怖 8月25日 深憂(2)






 改めて封筒を見てみると、2つのことに気がついた。
まず、封筒に書かれていた差出人の住所と、返信用封筒に書かれていたそれが違う場所である。
 次に、封筒と便箋に使われていたペンが別物であることだ。
その筆跡については、見た限りでは同一の様に見える。
 2つ目の意図・意味は上手く推測できず、とりあえず誰かにからかわれたような気になり、よせばいいのに封筒の方の住所へ、改めて返信をすることにした。
 正直怒りの気持ちもあったが、若干の恐怖もあったため、そういう気持ちは表さず、形式通りのビジネスレター的な書き方にした。

 その4、5日後返信が届いた。
封筒の裏を見ると前回と同じ住所だった。
 あの受刑者と同じ名前で届いたことに少々怯えつつ封を開き、次の文を見て血の気が引いた。

「 ○○○は、もう3年も家に戻っておらず、捜索願を出しているのです。
もし居場所をご存知なら、お願いですから教えて頂けませんでしょうか。」

 ネットで見た限りでは、言い渡された刑期と確定判決の出た時期から考えて、出所は去年の夏辺りのはずだった。
特赦・恩赦・仮釈があったにしても3年前は早すぎる。













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日々の出来事 8月25日 ツァラトゥストラはかく語りき

2018-08-25 09:32:13 | A,日々の出来事_








  日々の出来事 8月25日 ツァラトゥストラはかく語りき








 今日は、ドイツの哲学者フリードリヒ・ウィルヘルム・ニーチェが亡くなった日です。(1900年8月25日)
ニーチェは、ドイツのレッケンでルター派の牧師の子として生まれました。
その後、父親は5歳の時に亡くなり、母親に育てられます。
学生時代の成績は非常に優秀で、ボン大学で古典文献学を学び、なんと24歳でバーゼル大学の教授に招かれます。
 しかし、ニーチェは常に偏頭痛に悩まされ病気がちでした。
そして、35歳の時、病気の悪化から大学の職を辞し、さらに10年後には精神に異常を来たし、回復することも無くワイマールで1900年8月25日死亡しました。
 実存主義の先駆者ニーチェは、精神的荒廃の原因をキリスト教的世界観の退廃にあると考え、著書である“ツァラトゥストラはかく語りき”で“神は死んだ”と象徴的な言葉で自身の主張を世界に訴えました。
 そして、この著書の永劫回帰説は、古代ギリシャの回帰的時間概念を念頭に置き、世界は目標に向かって動いているのではなく、今と同じ世界を何度も繰り返す世界観を唱えています。
 キリスト教的思想では、生存することの不快や苦痛を来世に委ねてしまいますが、この永劫回帰説は、どのような人生でも、不快や苦痛があったとしても、生まれ変わったとしても、また、同一の人生を繰り返し生き抜き、今ある自分を肯定する超人思想に繋がっています。
 ニーチェは、キリスト教思想で理想世界を追い続けた結果、世界が理想に近付いたかと言うと、そうではなかった現実を見抜き、哲学・道徳・科学を背後で支え続けたキリスト教的倫理観からの脱却を宣言しました。









  ニーチェ














☆今日の壺々話







    ニーチェの言葉




(1)地球は皮膚を持っている。
   そしてその皮膚はさまざまな病気も持っている。
   その病気の一つが人間である。

  ( 地球にとっては、人間は害虫です。 )

(2)男が本当に好きなものは二つ・・・危険と遊びである。
   そしてまた、男は女を愛するが、それはもっとも危険な遊びであるから
   である。

  ( ふむ、ふむ。 )

(3)男の最大の幸福は、我、欲す。
   女の最大の幸福は、彼、欲す。

  ( 男が輝くのは、何かを追い求めているとき。 )
  ( 女が輝くのは、求められ、愛されるとき。 )


(4)恋愛結婚は、間違いを父とし、やむおえない必要を母とする。

  ( ・・・・・・・。 )

















神様からの強烈なプレゼント






 子供の頃噛み合わせが逆だった。一応女の子なので親も心配して。でも矯正は保険きかない。
どうしたものかと、そのまま月日は流れる。
で、小学2、3年の時、いつもと違うくしゃみが襲った。
 全身で思いっきり。
コントか漫画みたいに。
ハックションのンの時にコメカミが物凄い音をたてた。
ゴリっていうかガゴっていうか。
 余りの痛みに顔がどうかしたかと思い、鏡を見た。
涙目で。
いーってしたら噛み合わせが正常になってた。
今でもそのまま正常。

 あまり信じてもらえないんだけど、本当だよ。
我家では30万円のくしゃみと呼んでる。


















神父さん




 甘酸っぱい、腐ったような匂いをした男が地下鉄のシートにどすんと座る。
その隣には司祭が座っている。
男のネクタイは汚れ、顔は口紅で赤く、破れたコートのポケットからは半分ほど入ったジンのボトルがのぞいている。
 男は新聞を広げて読み始める。
しばらくすると、このだらしない男は司祭の方に向いて言う。

「 なあ、神父さん。
 関節炎っちゅうのは、どうすりゃぁなおるんだね?」

司祭は、男の方を向いて非難するように言う。

「 あなた、関節炎はね、だらしない生活をして、安いひどい女とつき合
 って、アルコールを飲み過ぎて、隣人をまったく無視していると、そう
 なるんですよ!」
「 へえ、そりゃ驚いた・・・。」

 酔っぱらいはつぶやき、また新聞を読み始める。
言い過ぎてしまったと考えた司祭が肘で男をつついて言う。

「 すまなかったね。
 そんなきつい言い方をするつもりじゃなかったんだが・・。
 で、いつから関節炎を患っているのかね?」
「 いや、俺じゃないんだ、神父さん。
 この新聞に、ローマ法王が関節炎だって出てたんでね。」


















神様




 男は人生に疲れ果てて嘆いていた。

「 ああ、俺には何の力も無い。
腕力もないし、経済力も無い。
権力は手にしたこともないし、魅力なんてどこにもない。
ああ、何でもいい、何か "力" が欲しい!」

そこへ神様が現れた。

「 うむ、お前に一つだけ "力" を授けよう。
どんな力でも良い。
欲しい力を言いなさい。」

男は信じられない気持ちで考え込んだ。

「 腕力かな・・、でも腕力だけじゃ生活に困るかも知れん。
やっぱ経済力だな・・・、いや人生は金だけじゃないよな。
遊び心で超能力ってのもいいけど、見せ物になるのも嫌だな・・・。
指導力ってのがあれば、独裁者にでもなって・・・。
いや、革命とかで殺されてもつまらないし・・・。」

段々イライラしてきた神様は一言。

「 お前に必要なのは決断力じゃ!」




















  小説 “はい、もしもし、神ですが”









電話1


女「神様、うちのお父さんを助けてください!」
神「………。」
女「か、神様…?」
神「あのねぇ、俺はただの神だから、そーゆーの違う神さんあたってもらえない?」
女「あなた神じゃないんですか?」
神「いや、神だけど?」
女「じゃあ私の…。」
神「だから俺には無理なんだって。」
女「…どういうことですか。」
神「あのねぇ、あんた神様勘違いしてない?」
女「?」
神「神様って言ってもねぇ、ものすごい力あるのは一握りくらいだ。
  おたくらで言うイチローとかそーゆーレベル。」
女「で、でも神様に間違いは…。」
神「甘い!俺はせいぜい…おっと、人間にバラしてはいけないんだっけ。」
女「………。」
神「そーゆーことで、引き取ってもらえるか?」
女「…話だけでも聞いてもらえないでしょうか。」
神「……仕方ないな。」
女「私の父は先日事故にあって…。
病院に運ばれたものの意識がなく危険な状態なんです…。」
神「それで?」
女「父は私が幼い頃に母を亡くしてから一人で育ててくれたんです…。」
神「…なるほど。」
女「そんな父を亡くしてしまったら…私…。」
神「…涙ぐましい話だが、結論から言えば俺にはどうすることも出来ない。」
女「どうして…。」
神「昔から人間はなにかと厄があれば“神様助けて”だと、じっちゃんからよく聞かされた。
けどな、神と言うのは元は人間が悲しみから逃れようとしてすがった偶像にしか過ぎん。
まぁ確かにヨーロッパだかにミカエルだかミサイルだかいう奴とか、いまだ根強い人気のキリストさんとかいるけど、俺はただの神なんだ。」
女「…あなたにはなんの力もないの?」
神「そーなることだな。」
女「…神様って本当は残酷なものなんですね。」
神「その言葉、もう聞き飽きるくらい聞いている。」
女「わかりました…失礼します…。」
神「…ここからが一番めんどくさいんだよな。」









病院1


女「お父さん…今日ね、私神様と話してきたの。
でも神様もどうすることもできないんだって…。
お父さん、神様にも見捨てられちゃうなんて運なさすぎよ。
お父さんとも思い出、いっぱいあるんだよ?
いっしょに行った遊園地、お父さん子供みたいにはしゃいでたよね。
得意のハンバーグ、いつも焦げててちょっと苦かったかな?
ほかにもいっぱい…あるんだよ?
だから…お願い……。
目を覚ましてよ…!!」
男「女さんのお父さんの病室、ここですか?」
女「あなたは…?」
男「あ、はじめまして、おじさんの知り合いの者です。
今回は大変なことに…。」
女「はい…今も眠ったままで…。」
男「そうですか…。」
女「……ハァ。」
男「大丈夫ですか?随分とお疲れのようで。」
女「いえ…大丈夫、です。」
男「…そうだ、食事にでも行きましょう。
昔のおじさんの話も聞きたいですし。」
女「そんな…それに…。」
男「大丈夫ですよ、さぁ。」
女(…大丈夫よね、お父さんの知り合いなら…。)
女「じゃあ、少しの間だけ…。」









病院2


神「あのー、すみません、女さんのお父さんの病室は…。」
看護婦「○○号室です、でも先ほど娘さんはお帰りになられましたよ?」
神「え?」
看護婦「えぇ、なんだかかっこいい男性と一緒に。」
神「…ありがとうございました。」
看護婦「あ、はい…?」
神「遅かったか…!!」









レストラン1


女「そうなんです、お父さんったら…。」
男「ハハ、そうなんですか。」
女「あ…もうこんな時間…もうそろそろ失礼しないと。」
男「そうですね、もう帰りましょうか。」
女「すみません、奢ってもらっちゃって…。」
男「いえいえ、いいんですよ。」
女「それに送ってもらってまで…。」
男「別に構いませんよ、ただ…。」
女「?」
男「ちょっと眠ってもらいますけどね。」









レストラン2


神「おい。」
男「?」
神「その女をはなせ。」
男「血相変えて誰かと思えば、神様ではないですか。」
神「そういうお前も趣味悪いぜ、死神さんよぉ。」
死「まぁまぁ落ち着いてください神様。
下界に降りて来てまでなにをしようと言うのですか?」
神「うるせぇな、第一それはお前もだろ。」
死「私ですか?
私は今回この娘の父親の魂を受け取りに来ただけですよ。」
神「それで、女も一緒に持って行くって訳か?」
死「この女は父親を失えばいずれ淋しさから後を追うのが見えている。
だから一緒に持っていくのですよ。」
神「違う。」
死「?」
神「たとえ肉体が消えうせようとも、そいつの心には父親は生き続ける。
人間は俺たち神のように万人を見ている訳じゃねぇ。
一人の人間、一つの心が互いに結びついて人間ってのは成長するんだ。
そんな気安く死なれたらそれこそ閻魔さんもびっくりって話だ。」
死「…ハハ。」
神「何がおかしい。」
死「いやぁ、あなたのような方からこんな言葉が出るなんて。」
神「…わりーかよ。」
死「随分とこの女に思い入れがあるような気がしますが…?」
神「別に…見捨てといて死なれたら後味悪くなるだけだからな。」
死「人間臭くなりなしたねぇ」
神「うるさい。」
死「では今回は私が引きましょう。
でもこれだけは覚えていて下さい。」
神「なんだ?」
死「捨てる神あれば、拾う神あり。
あなたのような神に見捨てられてしまった人は大抵私たちのような死神がもっていきますよ。
面倒臭がったり、変な説教するくらいなら助けてあげたらどうですか。」
神「…はいはい。
敵みたいなお前に励まされるなんてな…。
俺も堕ちたかな。」
死「ハハッ、それでは。」
神「捨てる神あれば、拾う神あり…ね。」









病院3


翌日。
女「…あれ、なんで病室…?」
父「女…。」
女「!!!
お父さん!!」
父「心配かけて…すまなかったな…。」
女「ううん!お父さんが帰ってきてくれて…本当に…グスッ…。」
父「はは、泣き虫な所は小さい頃から変わってないなぁ。」
女「う、うるさぃ…グスッ…。」
父「父さんな、寝ているときある青年に出会ったんだ…。」
女「ふぇ…?」
父「寝ている間、父さんずっと階段を上っていてな…。
どこか母さんに会えるよな気がしたんだ。
けど途中で青年が立っていて、 まだこっちには行くんじゃねぇ、それに戻る所があるだろってぶっきらぼうに説教されたんだ。
そしたらお前の顔が不意に浮かんできて…。
階段が崩れて…。
気づいたらここに帰ってきたんだ。」
女「ね、ねぇそれって…。」

“カサッ。”

父「ん?なんだこの手紙は…。
…ふふ、どうやらお前宛のようだよ。」
女「…もしかして。」


『今回だけ、神様らしく困っている民の話を聞いて助けてやった。
これからは親父さんを大切にしろよ!
もう二度と聞いてやらないからな、次の壁ぐらい自分で乗り越えろよ。
じゃあな    by神

 PS.お前の寝顔、意外と可愛かったな。』


女「…バカ。」
父「いやー暑いなぁ、父さんの新婚の時みたいだ。」
女「お父さん!へんなこと言わないでよ!」









電話2


神「はい、もしもし神ですが。」
女「神様、本当にありがとうございます!!」
神「…どーも。」
女「あ、あと…もう一度お願いなんですが…。」
神「あのなぁ、あの手紙もう一回穴が開くほど読み返せ…。」
女「私じゃなくてお父さんのお願いなんです。」
神「…?」
女「父さんに多分その青年って人知ってるって言ったら、いやぁもう一度会って話したいなぁ、って言って聞かないんです。」
神「だからって…。」
女「…私も顔見られたのに、こっちは顔見てないっていうのに…。」
神「あのー…。」
女「だから!お願いです!
私たち家族のところにもう一度来て下さい!!」
神「…はぁ……。
仕方ないな、これっきりだからな、神様としてお前の前に現れるのは。」
女「?」
神「しょうがないってのと、お前ら家族が気になるってことで俺もしばらく人間界に住んでやるよ。 もちろん、お前の近くに。
じゃあな。」

“ ガチャ。”

“ ジリリリリリ~ン!”

神「あ、電話だ!
はい、もしもし、神ですが。」                 






    ―― 完 ――



















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8月24日(金)のつぶやき

2018-08-25 06:57:36 | _HOMEページ_






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