NHKの「神の方程式」( 第1回「この世は何からできているのか~天才たちの100年の苦闘~」、第2回
「宇宙はどこから来たのか~最後の難問に挑む天才たち~」)が二回に分けて放送されたが第2回は見落と
した(中国の海賊版?の録画がネット放送)。解説によると、「第2回は、物質の理論を手にした物理学者
たちが、もう一つの偉大な理論、広大な宇宙を支配するアインシュタインの一般相対性理論(重力理論)と
の統合をめざし、その2つを網羅する“神の数式”に迫ろうとする闘いを描く。ミクロの物質から、極大の
宇宙の果てまで、ほとんどを数式で表すことに成功した人類だが、どうしても説明できない場所が存在する。
それはブラックホールの奥底だ。宇宙空間の超ミクロの点を解き明かすことができれば、宇宙がどのように
始まったのか、という究極の難問にも答えることができる。現在彼らがたどり着いたのは偉大な2つの理論
を含む「超弦理論」と呼ばれる最新の数式。しかしその数式が示したのは「物質の根源は点ではなく“ひも”
である。そして、この世は“10次元”でなければならない」という、私たちの常識をはるかにを超えた世
界像だった。車いすの天才スティーブン・ホーキング博士ら一流の物理学者たちが、ブラックホールをめぐ
って議論を闘わせてきた、人類の知のフロンティアを映像化していく」とある。いま、素粒子の標準理論が
完成したが(京大や高エネルギー加速器研究機構などの国際チームが、ヒッグス粒子が崩壊して別の素粒子
に変わるパターンなどを調べ、質量が陽子(水素の原子核)の約134倍にあたる125.5ギガ電子ボルトと判定。
素粒子の自転を表す量「スピン」も理論通り「ゼロ」と確認。これらの結果から「学術的に発見が確定した」
と結論付けた)、国際チームの浅井祥仁東大教授は「宇宙にある暗黒物質の正体など、説明できない問題が
まだ山積している。標準理論を超える新しい物理学が重要だ」と指摘いるように、1970年に南部陽一郎、レ
オナルド・サスキンド 、ホルガー・ベック・ニールセンが独立に発表したハドロンに関する理論によって
登場し量子色力学にその座を譲ったが、1984年にマイケル・グリーンとジョン・シュワルツ(ジョエル・シ
ャーク)が発表した超対称性及び、カルツァ=クライン理論を取り入れた超弦理論により、ホーキング・パ
ラドックスが決着をみ、再び表舞台に現れ、4つの基本相互作用を統一する試みとして注目され、素粒子物
理学は新たな段階に突入している。それしても、ジョセフ・ポルチンスキーらがブラックホールの底の熱問
題を粒子でなく弦の膜として熱量を計算(S=A/4G)したとか、宇宙は11次元だとか、10の500乗分の宇
宙が存在するとか、そんなこと言われてもピントこないのが実感。そもそも光子の質量がゼロというのよく
わからないし(実験的には、光子の質量の上限はm ≲ 10-14 eV/c2 あるいは m ≲ 3×10-27 eV/c2 程度の範
囲にあるとされている)、10次元だ、11次元だといわれても、化学工学や機械工学などではパラメータの関
係で4次元を超えた計算を取り扱うが、統計学での分散モーメントは精々が4次元程度で、ス-パーストリ
ング理論での凹凸球状シミュレーションイメージを見る限りにおいて、はい、そうですかと言うしかない。
つまり、わからないのだ。わかっていることは、多くの物理学者や研究者がやっているその目的を理解しよ
うと努める自分がいることだけだ。と言うことになる。
【多光子励起観察装置】
2光子励起顕微鏡の大きな特徴の1つは、通常の蛍光顕微鏡が不得意とする不透明標本の深部観察性能であ
り、生体組織の内部を非侵襲のまま蛍光観察できる。例えば、脳スライスや臓器、皮下組織など厚みのある
生体組織切片の内部観察は勿論のこと、生きた個体のままでのin vivo 蛍光観察に最も適した顕微鏡観察手
法として有用だ。その原理は、エネルギーの低い長波長の光を吸収、励起された状態となり、さらに同じ波
長の光を吸収しあたかも1/2、1/3の波長の光で励起されたようになる非線形現象のことをいう。紫外領域の
波長励起により発光する蛍光試料を近赤外領域の波長で多光子励起し、蛍光が観察される例(上図)をに示
すと、通常の励起による発光ではレーザーの光路が観察されるが、多光子励起による非線形現象が起こって
いるため、レーザーの焦点位置(対物レンズの焦点位置)でのみ発光していることが観察される。一般的に
自然界で1個の分子に2個の光子が同時に当る確率は1,000年に1回程度と非常に稀であり、2光子励起の
現象を強制的に起こすためには、光子密度を極度に上げる必要がある。光源として、パルス幅がフェムト秒
オーダーで、かつピークパワーの大きなパルスレーザーを用いるのはこのためである。なお、フェムト秒オ
ーダーの超短パルスを用いると、照明系や対物レンズを通過する間に、ガラスの色分散によりパルス成分の
時間遅延が起こり、パルス幅が広がって光子密度が低下してしまう。そこで、照明系の中に負のパルス分散
を発生させる分散補償光学系を入れてシステム全体としてパルス幅を極小に補償することも一般的に行われ
るようになってきている。
2光子励起顕微鏡では、共焦点検出法のようなピンホールを介しての蛍光検出は不要であるため、標本から
の蛍光を照明光と同じスキャン光路に戻して(デスキャン)検出する必要もない。デスキャンをせずに光を検
出する検出器の総称をノン・デスキャン検出器と呼び、透過照明用コンデンサー側に配置することも可能である。この
ことで、(1)近赤外光を励起に用いるため内部散乱の影響を受けにくく、生体深部の観察が可能、(2)
光子密度の高い焦点位置だけが励起されるため、蛍光検出光路にピンホールを配置せずとも共焦点観察法と
同等の三次元分解能が実現できる、(3)そのため、対物レンズに近い場所で蛍光検出を行えば、散乱光を
含めて多くの蛍光が検出可能、(4)焦点面付近以外は励起されないため、蛍光の褪色が少なくなり、併せて光
毒性も抑えられるという特徴をそなえる。
ところで、従来、チタンサファイアレーザなどのモードロックレーザを用い、高ピークパワーの超短パルス
列のレーザ光を発生させ、このレーザ光をスキャナにより標本上で走査することで、標本から得られる蛍光
を検出し画像情報を生成する多光子励起観察装置が知られているが、多光子励起観察装置は、下図のように、
チタンサファイアレーザのレーザ光源111から出射した光パルス列を、スキャナ113で走査し、対物レンズ123
により標本A上に照射。標本A上へのレーザ光の照射によって生じる多光子蛍光を、光電変換素子125により
電気信号に変換し得られる強度信号を、制御部132の制御に基づき光検出回路131で画素周期毎に積算し画像
生成部133に出力する。ここで、モードロックレーザは、連続光のノイズ成分がカーレンズ効果などにより
選択的に増幅されることで短パルス列を発生させる受動モードロック方式であり、光パルス列の間隔は、選
択的に増幅される光パルスの光共振器内の周回時間(光共振器の長さに対応)により決まる。このため、外
部から光パルスのタイミングや繰返し間隔(繰返し周波数)を制御できないし、共振ガルバノスキャナなど
の2次元方向にレーザ光を走査させるスキャナでは、走査領域の端部で走査速度が遅く、中心部で走査速度
が速くなる。したがって、必ずしも画素周期と光パルスの繰り返し周期とは同期せず、標本の走査領域の中
心部では、端部と比べて照射される光パルスが少なくなる場合がある。このような場合に、画素周期ごとに
光パルスに対応して発生する蛍光を全て積算すると、同質で均一な蛍光体であっても、画素毎に輝度が異な
ってしまい、明るさにむらが生じる。このため、画像情報生成部によって、画素周期毎に同数の光パルスに
対応する蛍光のみの光強度信号を積算する方法や、レーザ光源とスキャナとの間に、高速に応答可能な音響
光学素子(AOM)により構成される調光部を設けて光パルスを間引く方法を提案されている。
しかし、画像情報生成部(上図)により画素周期毎に同数の光パルスに対応する蛍光のみの光強度信号を積
算する方法では、標本に対して画像情報に寄与しない光パルスを照射することになり、これによる蛍光マー
カの褪色など標本の劣化が発生し、長時間生細胞などの標本を観察することが困難であった。一方、レーザ
光源とスキャナとの間に調光部を設け、光パルスを間引く方法では、標本に対して画像情報に寄与しない光
パルスを照射することを避けることができる。しかし、音響光学素子(AOM)を用いるために、一般的に
小さいAOMのビーム開口径とレーザ光源のビーム径とを合わせるために、第1のズーム光学系を設ける必
要がある。また、AOMを動作させるための高周波ドライバーが必要であり、高速応答させるために高価な
ドライバーを用いる必要がある。さらに、AOMのビーム開口径とスキャナ(多光子励起観察装置)の瞳径
を合わせるために、第2のズーム光学系を設ける必要がある。このように、調光部を設けると周辺要素も必
要となり装置が大型且つ高価になり、またビームのアライメントも必要となるという課題がある。したがっ
て、これらの点に着目してなされた本発明の目的は、AOMなどの調光部を設けることなく、標本に対して
画像生成に寄与しない光パルスを照射せずに、各画素周期において均一な条件で標本からの反射光、蛍光ま
たは透過光を検出して、定量性のある画像を取得できる多光子励起観察装置に改良する必要がある。
特開2013-195522 多光子励起観察装置
【符号の説明】
1 多光子励起観察装置 2 レーザ光源装置 3 顕微鏡本体 4 制御装置 11 レーザ光源(第1のレーザ光源) 12
レーザ光源(第2のレーザ光源) 13 スキャナ 14 光路結合手段 15a,15b ガルバノミラー 16 レーザ光源(第2
のレーザ光源) 17 調光部 21 ダイクロイックミラー 22 レンズ 23 対物レンズ 24 レンズ 25,25a,25b,25c
光電変換素子(光検出部) 26 分光手段 31 光検出回路 32 制御部 33 画像情報生成部 34 表示モニタ 40
電気パルサー(第1の電気パルス発生器) 41 半導体レーザ 42 分散補償ファイバ 43 第1の光アンプ 44 光フィ
ルタ 45 第2の光アンプ 46 パルス圧縮部 47 シングルモードファイバ 48 レンズ 49 回折格子対
A 標本(被観察物)
このため、上図のような多光子励起観察装置は、レーザ光源11において、電気パルサーから出力される電
気パルスにより半導体レーザを利得スイッチ発振させ、出射する光パルスに光増幅および非線形パルス圧縮
を行い、出射される光パルスをスキャナ13により標本A上で走査させて、発生する標本Aからの蛍光を、
光検出部25により光強度信号に光電変換して、画像情報生成部33で画素周期中に得られる光強度信号を
画素毎に加算して画像情報を生成する。制御部32は、標本Aに照射される光パルスが、画素周期毎に同数
となるように電気パルサーを制御することで、AOMなどの調光部を設けることなく、標本に対して画像生
成に寄与しない光パルスを照射せずに、各画素周期において均一な条件で標本からの反射光、蛍光または透
過光を検出して、定量性のある画像を取得できるように改良提案する。
このように、今夜は「神の数式」からはじまり、光子の質量を考え、 多光子励起観察の最新技術を考えてみた。
なお、専門用語を出来るだけ抜いて書けないかと試みたが途中でやめた。また、量子ドット半導体のからみで言うと、
半導体レーザーのオプションとしてある。