買ひてし絹の商じこりかも

　　　　　　　　　　　　　　     　    　　　　　　　  
説 　符　　せつぷ
ことば---------------------------------------------------------------------
「大道は多岐なるをもって羊を亡う」
「岐路の中に、また岐あり。われ之くところを知らず」
「金を取るの時、人を見ず、ただ金を見たるのみ」
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身なりできめる
ある日のこと、楊朱の弟の楊布は、白い着物で外出した。途中、雨に降られたので、白い
着物を脱ぎ、黒い着物に着かえて帰った。そんなこととは知らない家の犬が、吠えたてた
ので、楊布は怒ってなぐろうとした。
「なぐるんじゃない」
　兄の楊朱が止めた。
「おまえだってそうだろう。白い犬が出かけて、黒い犬になって帰って来たら、あやしい
と思わないか」。

ある親切
ある家に枯れた桐の木があった。隣のおやじが、
「枯れた桐は縁起が悪いんですよ」と教えてくれた。男はさっそく切り倒した。
すると隣のおやじは
「たきぎにもらえないだろうか」とたのみにきた。男はいやな顔をした。
「あいつは、たきぎがほしくて人に木を切らせたのだな。隣どうしだというのに何たるこ
とだ。まったくけしからん」

【樹木×下の句トレッキング：黒柳×買ひてし絹の商じこりかも】

 

畔柳とはヤナギ科ヤナギ属の落葉低木で、どこにでも見られるネコヤナギの突然変異と考
えられている。芸能人の名前としては有名だが、木としては観賞用（特に生け花用）とし
て植栽されているのみであり、野生のものは発見されていない。雌雄異株だが雌株がなく
雄株のみが出回っているという特徴を持つ。性質や外観はネコヤナギとほぼ同様であり、
枝や樹皮が黒いわけではない。若い枝はネコヤナギと同じように赤く、年月を経た枝や樹
皮は白っぽい。花の時期には切り枝が生け花用に流通し、保守的な生け花から現代的な生
け花まで幅広く重宝される。クロヤナギという名前は花序の色による。花期は２月下旬～
４月で、花が咲く前の花序は全体が黒い。開花すると目立ってくる紅色の部分は、二本の
雄しべが合体して一本になったもので、その先端に見える黄色いのは花粉。クロヤナギの
樹皮や根を乾燥させたものは漢方薬に使われ、鎮痛、解熱に効果があるという。また、ク
ロヤナギの樹皮から採取したエキスには、角質除去を促進する天然のサリチル酸が含まれ
化粧水の原料に使われる。また、シベリアや北海道に見られるケショウヤナギにはクロヤ
ナギという別名がある。化粧水との関連で混乱するが、両者に直接的な関連はない。また、
ケショウヤナギは年を経ると樹皮が黒味を帯びてくるから要注意。

育て方は、暑さ寒さに強く、日本全国に植栽できる。乾燥にも耐え、土質も選ばず、あま
り大きくならないため、剪定は花の後に樹形を乱す枝を元から取り除く程度でよい。挿し
木で増やすのが一般的。２～３月上旬に前年（あるいは前々年）の枝を２０～３０センチ
の長さで切り、湿った土地に挿す。似ている木としては、ネコヤナギがあり、クロヤナギ
に比べると葉や枝に毛が多く、葉の縁のギザギザが小さい。

　Black pussy willow

 

西の市にただ独り出でて目並べず　買ひてし絹の商じこりかも　　万葉集７巻　作者不詳

I went out to the west city by myself and bought silk without comparing it,
but I was deceived by such a man and I could not afford to buy it.

 

【温故知新篇：応仁の乱】

 

自然災害の経済損失２５兆円

２月１４日、米保険関連企業エーオンは、自然災害による２０１８年の経済損失は世界で
２２５０億ドル（約２５兆円）に上り、このうち２１５０億ドルは台風や洪水、干ばつな
ど異常気象を含む気象災害が原因だったとの報告書をまとめた。被害が大きかった災害と
して、西日本案雨や西日本に上陸した台風２１号なども挙げている。　地球温暖化が進む
と台風の強大化のほか、高潮や洪水、熱波などの頻度が高まり、気象災害が多くなると考
えられている。エーオンの調査でも気象災害の損失額は増加傾向で「リスクが増え続けて
いる」と報告している。

エーオンは18年に大きな被害を出した台風や洪水、干ばつ、森林火災、地震など自然災害
394件の損失額を分析した。その結果、気象関連の災害の損失が95%を占めた。原因別では
台風やハリケーン、サイクロンによる損失が720億ドルで最も高く、洪水や干ばつなどが上
位。大きな被害をもたらした災害として、日本では9月に関西国際空港を浸水させた台風
21号と、9月末から10月に各地で暴風や大雨の被害が出た台風24号、6月末から7月の西日
本豪雨を挙げた。米国はハリケーンやカリフォルニア州の大規模な山火事、欧州は記録的
な干ばつなどで多額の損失が生じた。さらに、二酸化炭素の排出増に伴い気温上昇の傾向
が続いているとして温暖化のリスクを指摘。18年は勢力が強い台風やハリケーンなどの発
生が、1980～2017年の平均と比べて多かったと分析。

 

 【エネルギー通貨制時代 ５８】 
”Anytime, anywhere ￥１／kWh  Era” 

　

 

【スマートグリッド事業篇：既存パワコンを活用した低価格家庭用蓄電システム】

２月１７日、太陽光発電や太陽熱温水システムなどを販売するファインウッズは、住宅用
太陽光の自家消費ニーズに対応した家庭用蓄電システムの受注を１月２２日から開始して
いる。既存の太陽光パネルとパワーコンディショナー（PCS）の交換が不要のため低価格
で導入できるとのこと。商品名は「e-FINIT（イーフィニット）」。固定価格買取制度（FI
T）による買取期間の終わった「卒FIT」住宅太陽光などをターゲットにしたもの。

充放電を制御するDCコントローラーと蓄電池から構成され、太陽光パネルとPCS間に接続
する。DCコントローラーは、太陽光パネルからの入力電力やCTメーターを活用した消費電
力などから適切な充放電制御を行う。蓄電池の出力は1台2.4kWで、最大4台9.6kWまで増設
できる。販売価格は、蓄電池1台が39.8万円、2台が54.8万円、3台が69.8万円、4台が84.8
万円。出荷は3月以降の予定。販売目標は年間5000セットの見込み。また、現在動作確認
が取れていないPCSユーザーを対象に、動作確認や各種作業を依頼する代わりに割引価格
で販売するキャンペーンを実施する。蓄電池1台が34.8万円、2台が49.8万円、3台が64.8
万円、4台が79.9万円で販売する。動作確認PCSが増え次第終了の予定。

 

【スマートグリッド事業篇：「太陽光＋蓄電池」の経済性を評価支援】

２月１２日、日本アジアグループの国際航業は、太陽光発電関連サイト「タイナビシリー
ズ」を運営するグッドフェローズ（東京都品川区）と業務提携し、国際航業の提供する太
陽光・蓄電池経済効果診断サービス「エネがえる」の独占的な正規販売代理店契約を締結
を公表。グッドフェローズが運営する太陽光発電一括見積もりサイト「タイナビ」や蓄電
池一括見積もりサイト「タイナビ蓄電池」に登録する販売施工店などに向けて、「エネが
える」の拡販を進める。販売施工店は「エネがえる」を利用することで、電気料金プラン
と太陽光発電、蓄電池を組み合わせた総合的な導入シミュレーションを提供できるように
なる。「エネがえる」は、太陽光・蓄電池導入時の経済効果の顧客向け診断レポートをW
ebサイトから自動作成できる法人向けクラウドサービス。これまで大手上場メーカーや商
社、電力会社、中小有力販社など全国２１０社以上の導入実績がある。



また、グッドフェローズが運営するタイナビシリーズは、延べ13万人以上のユーザーが利
用しており、1200社以上の再エネ機器販売施工店のネットワークを構築している。今回の
業務提携により、住宅用蓄電池を拡販する全国の販売施工店に対して、住宅用蓄電池を求
める一般ユーザーの集客支援から経済効果シミュレーションなどの診断・提案の効率化ま
でを提案できる事業スキームを共同開発する予定。

 

【オーストラリア　２５年までにパリ協定目標達成軌道に乗る】 

２月８日、オーストラリア国立大学（ANU）が実施した調査によると、オーストラリアは
２５年にパリ協定全体の排出削減目標の達成が順調に進んでいることを公表。それによる
と、オーストラリアは毎年他の国々よりも早く一人当たり再生可能エネルギーをインスト
ールしており、ANU電気エネルギーエネルギー工学研究科のBlakers教授は、昨年のオース
トラリアでの再生可能エネルギーの設置は、これらの他の主要国と比較して急増。電力部
門は、創造的な会計処理なしに、２５年より５年早く、オーストラリアのパリ全体の排出
削減目標達成でき、球全体での急速な排出量削減計画では、２４年には５０％、３２年に
は百％の目標をてているがこれに大きく貢献できるのではないかと話す。

今年の世界規模の設備で利用可能な予備データに基づくと、オーストラリアは一人当たり
再生可能エネルギーで代替を日本、EU、中国、アメリカなどの国より何倍も早く実施して
いることがわかった。３０年までにパリ協定で設定された炭素排出目標達成のための純費
用は、高価な化石燃料がより安価な再生可能エネルギーへの代替にを考慮すれば、排出量
は実現できると考えている。同研究グループ担当者は。大規模太陽光発電と風力発電所か
らの電気価格は、現在１メガワット時（MWh）あたり約５０ドルで、着実に下落しており、
既存のガス火力発電所の電気代を下回り、また新規ガス火力発電所・炭火力発電所の費用
を下回わり、新規発電所のほとんどすべてが太陽光発電と風力発電でまかなわれている。エ
ネルギー政策が開発を妨げていない限り将来とも続くと予測。また、現在国内で使用され
ている技術で百％再生可能電力網の安定運用もが可能であり、電力網向けの近畿スマート
グリッドシステムも開発されていると話す。

さらに、地域の天気変動影響の平滑化の高電圧送電線を使用し、エネルギー貯蔵、需要管
理および強力なネットワークで実現できる。これまでのところ、主要な蓄電技術は、水力
発電と蓄電池で駆動しており、国内のの石炭火力発電所は古く、信頼性が低下。近代的な
再生可能エネルギーシステムへの移行により、系統の安定性が向上が実現できるだろう。
しかし、ANUによる調査は、オーストラリアがパリ協定の公約を守るための軌道に乗って
いないという以前の報告と矛盾していると話す（国連による１８年排出量ギャップ報告書に
よると、３０年目標達成困難と報告されている）。

尚、１８年７月に中国と欧州連合（EU）は、パリ協定の条項へのコミットメントを再確認
する共同声明を発表している。

 

●　読書日誌：カズオ・イシグロ著『忘れられた巨人』 No.30 
     

第２部　第７章

しきりに揺する手があった。だが、アクセルが起き直ったとき、その手の西はもう部屋の
反対側に行って、エドウィンの上にかがみ、「君、起きなさい。早く。シーッ、音を立て
ないように」と言っていた。アクセルの横でベアトリスも目を覚ました。アクセルはよろ
よろと立ちｈがり、空気の冷たさに驚きながら、腰を折って、伸ばされてきた妻の手をつ
かんだ。

夜はまだ真っ暗だったが、外では声が飛び交っている。窓から見える向かい側の壁が、と
ころどころ明るく照らされている。下の中庭で松明がともされているようだ。アクセルを
揺り起こした修道僧が、まだ半分眠ったままの少年を二人の側まで引っ張ってきた。暗闇
から現れた顔を見るまでもなく、この引きずるような足音はブライアン神父のものだ。

「なんとか助けて差し上げたい、友よ」と、ブライアン神父がひそひそ声のまま言った。
「ですが急いで。わたしの言うとおりにしてください。兵隊が来ました。二十人、いえ三
十人ほどもいます。あなた方を仙えるつもりです，年長のサクソン人はもう囲まれてしま
いましたが、元気そうな方ですから、しばらくは兵隊の注意を引きつけていてくれるでし
ょう。逃げるならいまです。動かないで、君。わたしのそばを離れないで」窓際に行こう
としたエドウィンを、ブライアン神父が腕をつかんで引き止めた。

「安全な場所にお連れします。ですが、まず見つからずにこの部屋を出なければなりませ
ん。ドの広場には兵隊が行き交っていますが、サクソン人の閉じ屁もる塔に注意が向いて
います。神のお助けがあれば、外の石段をドりていっても気づかれずにすむでしょう。無
事に下りられれば、最悪は脱します。兵士に聞こえるような音は絶対に立てないで。そし
て石段でつまずかないように。わたしが最初に下ります。合図をしたらつづいてください。
いえ、奥様、荷物は忘れて。とにかく助かることが先決です」

三人はドアの近くにしやがみ、ブライアン神父の足々日がゆっくりと堪えがたいほどのろ
のろと下りていくのを聞いていた。しばらくして、アクセルがそっと戸口から外をのぞく
と、中庭の奥でいくつもの松明が動いているのが見えた。何が行われているか知りたくて
目を凝らしたが、事態が飲み込めるまえに、真下に立っているブライアン神父が必死に合
図しているのに気づいた。
石段は壁の外側を斜めにドっている。その大部分は影の中にあるが、地表近くの．部分だ
けが満月に近い月の光で明るく照らされていた。

「ぴったり後ろについてくるんだよ、お姫様」とアクセルがＩ召った。
「広場の向こうを見てはいけない。常に足元ををつぎの段がどこにあるかだけ見ていなさ
い。さもないとまっさかさまで、助けにきてくれるのは敵だけだ，。少年にも伝えておい
ておくれ，さあ、やってしまおう」

自分で注意したことなのに、下りる途中、アクセルは中庭を見渡さずにはいられなかった。
奥に円筒形の石造りの塔があって、さっきまで修道僧が会議を開いていた建物を見下ろす
ように立っている。兵隊は、その塔の周りに集まっていた。赤々と燃える松明などが振ら
れていて、なんだか隊列に乱れがあるように見える。石段をｔ分ドりたところで二人の兵
士が隊列を離れ、広場を走ってくるのが見えた。これでは見つかると肝を冷やしたが、ニ
人は一つの戸口まで来てその中に消えていき、アクセルは胸をなでおろした。そのあとす
ぐ、ベアトリスとエドウィンを地上に下り立たせ、ブライアン神父の待つ柱廊の影に連れ
込んだ。

僧の後ろから狭い廊下を進んだ。いくつかは、さっき沈黙の神父ニニアンに導かれて通っ
た廊下と同じだったろうか。真っ暗闇の廊下も多く、そんなときは、案内人が足を引きず
って以てるズッズッというリズミカルな音を頼りに進んだ。ようやく目的の部屋にたどり
着いたらしい。天井が一部抜け落ちていて、月の光が射し込み、木箱や壊れた家具の山を
照らしていた。アクセルの鼻に傲と淀んだ木のにおいがした。

「さあ、一安心」とブライアン神父が言った。もうささやき声ではない。
部屋の片隅に行って、栢まれていたがらくたをどかしはじめた。「もう、ほぼ安全です」
「救っていただいて感謝しています、神父殿」とアクセルが言った。「いったい何かあっ
たのですか」

ブライアン神父は隅の物を片づけながら、顔も上げずに「当方にも謎です」と言った。

「今夜、兵隊が招かれもせずにやってきて、門からなだれ込み、わがもの顔で僧の居宅に
まで踏み込んできました。若いサクソンが一人来ているはずだから、出せ、と。あなたと
奥様のことは何も言っていませんでしたが、まあ、丁重に扱ってくれそうにはありません
な。この少年のことは、明らかに殺したがっているようでし4y兄のほうは言わずもがなで
いま必死でそれをやっています。あなた方はまずご自分の命を救ってください。兵隊の目
的など、あとでゆっくり考えればよろしい」
「ウィスタン様はほんの今朝お会いした方ですけど、ひどい目にあわれているのに、わた
したちだけ逃げるのは気がとがめます」とベアトリスが言った。

「どのドアにも鍵をかけずに逃げてきましたから、兵隊がすぐそこまで来ているかもしれ
ません、奥様。それに、あの方が命がけで逃げる機会をつくってくれているのですから、
ありかたく利用させてもらったらいかがでしょう。この跳ね上げ戸のドには人１日に掘ら
れたトンネルがあって、地下から森へ抜けられます。追っ１を一気に引き離せます。ご主
人、引っ張り上げるのを１伝ってください。わたし一人では重すぎるので」

二人大がかりでも引きＬげるのはたいへんだったが、戸はようやく急角度で立ち上がり、
四角い下り目が現れた。周囲より一段と深い闇がのぞいていた，

「まず少年に下りてもらいましょう一と僧が言った。「もう何年も使っていない階段です
から、いつ崩れるかわかりません。足も体も軽い少年なら、仮に落ちてもひどいことにはな
りますまい」

だが、そのエドウィンがベアトリスに何か言っていた。「ウィスタン様をけに行きたいそ
うです一とベアトリスが言った。
「トンネルから逃げおおせれば助けに行ける、と言ってやっておくれ、お姫様。どういう
言い方でもいいから、日七く説得してもらえると助かる」

ベアトリスの話を聞いているうち、エドウィンの態度が変わってきた。
床にあいた穴をじっと見つめていて、その目には、月の光で見ると不思議な何かが宿って
いるように思えた。いわば、徐々に魔法にかかっていくというような……。そして、ベア
トリスの話がまだつづいているのに跳ね上げ戸に向かって歩きはじめ、そのまま振り返り
もせずに、四角い闇の中に姿を消していった，エドウィンの足音が小さくなっていく。ア
クセルはベアトリスの１を取った，

「わたしらも行こう、お姫様。わたしから離れないようにな」

地下へ下りる階段は、地中に埋め込まれた平らな石でできていて、一段一段が浅く、危な
い感じはなかった。頭上の開いた跳ね上げ戸から射し込む光で、前方を少しは見通すこと
もできた。だが、ブライアン神父と話そうとして、アクセルが振り返ったとき、雷のよう
な大音響とともに戸が閉まった，、
二人は立ち止まり、しばらくじっとしていた。アクセルが予想していたほど空気は淀んで
おらず、かすかながら流れている感じさえした。二人より前方のどこかでエドウィンが何
か言っていて、ベアトリスがささやくようにそれに答えていた。アクセルにこう言った。
　
「ブライアン神父がなぜ戸を閉めたのかって聞いています。兵隊がいつ部屋に入ってくる
かも知れず、早くトンネルを隠したかったんでしょう、とは言っておきましたけど、でも
ね、アクセル、わたしもちょっと変だと思いますよ。それに、ほら、いま戸の上に物を置
いているのは絶対に神父様でしょう？　この先、もし道が土砂や水でさえぎられていたら
だって、最後に使われてから何年も経っていろって神父様ご自身が言っていましたものど
うやってあの戸から出たらいいの。戸そのものが重いし、上に物なんて置かれたら……」
「確かに妙だが、修道院に兵隊が入り込んだのは事実だしな。それはお姫様もいま見ただ
ろう？　ここは先へ行って、このトンネルが無事に森まで連れていってくれることを願う
しかないな。少年には前に行くように言っておくれ。ただし、ゆっくりと。そして、この
苔の生えた壁をいつもｆで触れながらな．。この先はもっと暗くなるだろうと思うからＩ

だが、進んでいくと、実際には弱いながら光があって、ときには互いの体の輪郭さえも見
分けられた。いきなり水溜りが現れて足を濡らした。歩きながら、アクセルは前方に物音
を聞いたと思うことが一度ならずあったが、エドウィンもベアトリスも平然と歩いていて
これは神経の昂ぶりからくる自分だけの空耳なのだろうと思った。だが、不意にエドウィ
ンが立ち削まり、アクセルはもう少しでぶつかりそうになった。背後にいるベアトリスも
手をとりにきた。しばらくの間、三人は暗闇の中でじっと立っていた。ベアトリスがさら
に身を寄せてきて、「聞こえる、アクセル？」とささやいた、温かい息がアクセルの酋に
かかった。

｛何かな、お姫様」

エドウィンの手が警告するようにアクセルに触れて、二人はまた黙った，やがて、ベアト
リスが耳元でささやいた。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　この項つづく

　

●今夜の寸評：盛岡首長市移転構想

「収入の４割が税金と社会保障として取られ、年金の支給年齢も引き上げられる。費税が
８％から１２％に上がり、２０％への引き上げが議論される。東京の一極集中が進み、中
山間地域では過疎化が進み、仕事もなくなる。晩婚化が進み、男性の生涯未婚率は２３％
になる」（『平成三十年』(1997～98年の朝日新聞連載)や「古来、日本は約４００年ごと
に遷都してきた歴史があり、結果それが活力を生んできた」（『新都」建設―これしかな
い日本の未』 ）の著者の堺屋太一氏が８日他界された。奇しくもこのブログで「盛岡首
長市移転構想」──東京～盛岡間を減圧ハルバッハ配列磁界軌道（日本版ハイパーループ
→４配列列車で片道３０分）や２４時間空港、可動式ドーム型半地下構想道路などの交通
などを整備したハイテク新首長市──を考えていた矢先であった。享年八十三。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　合掌




ここ数日間、胃腸の調子がいつもならコーヒーで直っていた便秘も治まらずにいたがバレ
ンタイン・チョコレートをたっぷり食べたら直ってしまい、寝起きも爽快で小走りにゴミ
捨てをこなす。なんだ、そんな手があったのかと、普段、山登りには欠かしたことのない
チョコレートの常備化を平素にも逆展開させることに。