極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

秋の七草と十三夜

2022年10月08日 | 時事書評


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。
(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編
のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひ
こにゃん」

【秋の七草と十三夜】





1.アキメネス 2.アークトーチス 3.オキザリス
4.オミナエシ

【園芸植物×短歌トレッキング:オミナエシ 女郎花】

  吹きかへす秋のゝ風にをみなへしひとりはもれぬのべにぞ有ける
                                         樋口 一葉

かひなき女子の何事をおもひたりとも、猶蟻みゝずの天を 論ずるに
もにて『我をしらざるの甚だし』と人しらばいはなんなれど」と前置
き した上で朝鮮半島との関係や英国との外交における不利を憂うるな
ど、いわゆる 天下国家の問題に強い関心を寄せ、「かゝる世にうまれ
合せたる身のする事なし に終らむやは。・・・さても恥かしきは女子
の身なれど」と次の歌で結んでいる。

       川野里子 『女という主題- 樋口一葉の残したもの-』

※ 川野里子(
1959.5.27 -)歌人;23歳で短歌を始め、馬場あき子に
 師事。歌誌「かりん」編集委員、『五月の王 歌集』雁書館(かりん
 叢書) 1990~『天窓紀行 短歌日記2020』ふらんす堂 2021                   


  秋の雲「ふわ」と数えることにする一ふわ二ふわ三ふわの雲
                     吉川宏志『曳舟』

ここでの「造語」は、「ふわ」である。雲を「ふわ」と数えることで、
雲のふわふわとした雰囲気がよく伝わってくる/このように、誰も使
ったことのない「造語」を、「詩的試み」として使うことで、作者の
個性が発揮され、作者の代表歌ともいえる名歌が生まれることもある。
「造語を詠む」とは、「言葉の世界を冒険すること」であり、「未知
なる言葉、未知なる読者、未知なる世界との遭遇」ともいえるのであ
る。
                山口明子「造語を詠むむとは」
                       「歌壇」2022.7

女郎花を一輪、薄雲に透ける十三夜が冴えていると、彼女に告げ、こ
の気温変動に正気を失っている(衰弱)この身を庇いつつブログを続
ける。

【世界の工芸】



サイート、ポール(アメリカ)
SEIDE, Paul 三つの環の作品
Triple Loop Piece 1980年
43.5×43.5×25.5cm 

 


【再エネ革命渦論 051: アフターコロナ時代 250】
--------------------------------------------------------------
コンパクトでスマートでタフな①光電変換素子と②蓄電池及び③水電
解に④水素系燃料電池、あるいは⑤光触媒由来有機化合物合成と完璧
なシステムが実現し社会に配置されようとしている。誰がこれを具体
的に想定しただろうか。その旗手に常に日本や世界の若者達の活躍が
あった。
--------------------------------------------------------------
技術的特異点でエンドレス・サーフィング
再生可能エネルギー革命 ➢ 2030 ㊿



東北大とTDK、再生可能エネルギー研究で連携
次世代風力発電システムの実用化

10月1日、東北大学は、TDKとの連携強化に向けて、「TDK×東北大学
再生可能エネルギー変換デバイス・材料開発共創研究所」(以下、共
創研究所)を設置。共創研究所は、東北大学大学院工学研究科総合研
究棟内に設置した。設置期間は2022年10月1日から2025年9月30日まで。
運営総括責任者は東北大学大学院工学研究科特任教授(研究)の榎戸
靖氏(TDK技術・知財本部材料研究センター ゼネラルマネジャー)が
運営支援責任者は東北大学大学院工学研究科の中村健二教授が、それ
ぞれ務める。


共創研究所にはTDK側から複数の技術者、大学側からも複数の研究者が
集まり、再生可能エネルギーの変換デバイス・材料に関する共同研究
を進めていく。特に、洋上風力発電システムについて、運用や製造コ
スト面の課題を解決できる新たな技術方式の検討や、これらに関わる
デバイスおよび、基幹材料の研究開発に取り組む。また、優れた人材
の育成に関する連携、新たな研究開発テーマの企画共創なども行って
いく計画。





地球上の空気は同じ地域に比較的長時間停滞することで、気温や湿度
などの性質が類似した空気の塊、いわゆる「気団」と呼ばれるものにな
る。日本列島は、一年を通して複数の気団の影響を受け、冬の天気に
影響する冷たくて乾燥した「シベリア気団」。夏に勢力を増す暖かく湿
った「小笠原気団」。そして、梅雨や秋雨の原因のひとつになるの眠冷
たく湿った「オホーツク海気団」。春や秋に天気が数日ごとに変化する
のは「揚子江気団」から、ちぎれて移動してくる小さな高気圧(移動性高
気圧)と温帯低気圧が交互に通過する。このように、日本列島は一年を
通じて、目まぐるしく天気が変化する。
---------------------------------------------------------------
特集|銚子沖の海洋風力発電Ⅰ
日本を取り囲む海は世界有数の変化に富んでいる
□ 世界有数の広い海域を活かす
日本列島は多様な海に囲まれ、海域の環境は一様、一定ではない。洋
上風力発電事業は、海域の決定や事業化の検討段階から設計、施工、
発電に至る30年間にわたって、沖合の気象、海象が大きくかかわって
いる。今後、全国各地で進む洋上風力発電所のプロジェクトリスクを
低減し、事業の利益率を高めるために、不規則に変化する海上風や波
浪等の実測調査、データ分析、高精度の予測は不可欠である。
洋上風力発電は、2030年までに10GW、40年までに30~45GWの導入目標
にむけて、毎年2~4海域(風車100基/10MW)の開発が継続的に行われて
いる

2019年にラウンド1がはじまり、すでに4区域の事業者が決定した。現
時点で5促進区域、7有望区域、10準備区域の22海域での開発が検討され
おり、22040年までには、全国100海域前後の洋上に3,000基以上の風車
が稼働する。陸上と比較して洋上の風況は安定しており、我が国は世界
有数の広い海域を活かし、大規模な開発が可能です。また、古くから工
業港として栄えた港湾が各地にあり、それらを洋上風力開発の拠点港に
転用することで、速やかな普及が見込まれている。

□ 気象は海の影響を強く受けている
大気は暖められたり、冷やされたりすると、体積が変わることで、気圧
に差が生まれ空気が移動。それが風。多くの気象現象は太陽から届くエ
ネルギー(熱)が原因となって起こっている。太陽エネルギーを陸と海で
吸収し、大気に放出。海から大気へわたされる熱エネルギーは膨大。
 海は地球表面の70%を占め、全海水の熱容量は大気の1,000倍もあり、
膨大な熱エネルギーを蓄えている。海水は緯度や海域によって温度差が
あり、海流となってゆっくりと移動している。
 日本列島は南北の海水温差が地球上で最も大きい場所のひとつに位置
しているといわれる。その結果、地球規模の大気の循環である偏西風や
季節風、局地的な海陸風などの様々な風に加えて、暖流、寒流の影響を
受けている。

□ 全国各海域の高精度気象・海象データの整備はまだこれから 
我が国の洋上風力発電事業は、気象・海象などの条件が欧州とは異なる
ことから、先行している欧州の事例をそのまま受けいれることは、適切
ではない。
 また、国内でも日本海側と太平洋側など対象とする海域で、自然条件
が異なりますが、洋上風力発電の開発で必要となる気象・海象に関する
データは、まだ十分に整っていないという。
 日本近海は遠浅な海域が少なく、海岸から離れると急に深くなる海域
が多いことから、浮体式の導入も見込まれます。当然、設置海域の離岸
距離は長く、数十km沖になります。その地点の気象、海象も長期にわた
って観測し、高効率な発電事業の運営を支えなければなりません。
 洋上風力発電の大規模開発に向けて、全国各海域の高精度な気象・海
象データは不足じており、今後の整備が不可欠。


図 欧州の北海は洋上風力発電に最適な海域 
洋上風力の開発が進む欧州の北海は、グレートブリテン島とヨーロッパ
大陸との間に広がる、南北約1,100km,東西約600km。広大なヨーロッパ
大陸棚のため、平均水深は90mと遠浅で、取り囲むデンマーク、ドイツ、
オランダ、ベルギー、イングランド地方いても、着床型の風車が設置で
きる利点がある。風力発電に適した偏西風が安定して吹き続ける北海は、
海上輸送において非常に重要な海域です。北海航路は世界で最も利用さ
れている航路のひとつで、多くの重要港が点在しています。北海油田と
呼ばれている油田・ガス田が存在し、1960年以降、高機能な港湾、洋上
設営運営のための特殊船舶が整備され、洋上での海岸線は単調。そのた
め、陸地から相当離れて仕事をする優れた作業員も潤沢だったことから、
洋上風力発電の開発が進む。
出所:EU(EUROPEAN Commission)欧州連合公式ウェブサイト maritimeaffairs



図 黒潮は、日本の南岸に沿って流れ、房総半島沖を東に流れる海流。
流速は速いところでは毎秒2m以上に達し、その強い流れは幅100kmに
も及び、輸送する水の量は毎秒5,000万トンにも達します。黒潮流路の
動向は船舶の経済運航コースを左右するほか、沿岸の潮位を変化させ
る要因のひとつとなっている。親潮は、北緯約45度緯度帯において世
界でも極めて低温の海であるオホーツク海から、千島列島に沿って南
下して日本の東まで速する寒流。親潮は流れとしては弱いのです眠深
いところまで流れがあるため流量は大きく、黒潮に匹敵する流量にな
りうることもある。

□ 日本列島を囲む海は地形が複雑で気象、海象も一様でない
日本は領海(海岸線から12海里/約22km)と排他的経済水域(海岸線から
200海里/約370km)の海の面積は世界第6位ですが、その多くが深海
域。日本列島の太平洋側は海岸線に沿うように深い谷が続いている。
水深が7,000m以上にも達する日本海溝。
西日本の太平洋側には南海トラフがあり、水深は4,000m級。アジア大
陸と日本列島に囲まれた日本海は、内海ですが、平均水深は1,500m以
上もある。
 太平洋側の海岸線は多くの湾入部があり、複雑に入り組んでいるのに
対し、日本海側は比校的単調で直線的な海岸線が多くあります。そのた
め、風力発電に適した、強い季節風が安定して吹く日本海側は、大規
模な洋上ウィンドファームの開発が期待されている。

□ 日本の海域は変化に富んでいる
 日本は多様な海に四方を囲まわている。海は、緯度や海流、海底地
形などにより、気象、海象に影響を与える。沿岸海域では、その乱れ
強度は大きくなる。海岸線が複雑に入り組む日本の海域は、地域、場
所によって、気象、海象が著しく異なる。今後、全国各地で進む洋上
風力発電所の設置海域の決定、事業化の検討、設計条件等の基本データ
を得るために、不規則に変化する海上風や波浪等の実測調査は不可欠。
私たちは、全国の海域の調査を行い、候補海域の選定や、風力資源量
調査など事業性評価を行っいる。実測データや実測に基づいた予測デ
ータは、プロジェクトリスクを低減し、事業の利益率を上げることに
直結するばかりか、プロジェクトの存続(成功)を左右することを実感
している。

□ 洋上風況、波浪・潮流などの予測が非常に重要
洋上風力発電事業は、30年間の長期間にわたり海域を占用し、安定的
な発電事業を行いう。風車の設置工事、運転監視に加えて、稼効率の
維持に必要なメンテナンスもすべて洋上で行われる。
 先行する欧州(北海)に比べて、日本の海は、厳しい高波や突風が頻
繁に発生し、台風や急速に発達する低気圧(爆弾低気圧)も通過する。
基幹港から速い沖の過酷な自然環境にある洋上の風車は、陸上の風車に
比べ故障のリスクも高く、○&Mへの負担も増します。そのような環
境下で、一海域あたリ30~100基の風車への作業が行われる。
 より安全に効率よく作業を進めるためには、洋上風況、波浪・潮流な
どの予測が非常に重要で、そのため、高精度の計測装置による観測デー
タの整備が欠かせない。
※ via 日本の海は侮れない 高粗研一 環境ビジネス 2022年秋季号
                           この項了

表1 TCFDの推奨する開示項目

出典:TCFDを活用した経営戦略立案のススメ~気候関連リスク・機会を
織り込むシナリオ分析実践ガイド ver3.0~
https://www.env.go.jp/content/900498783.pdf

気候変動対策の遅れが経営リスクになる時代 Ⅰ
企業はTCFD提言にどう対応すべきか 
ここでいう「TCFD提言」とは、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフ
ォース)とは、Task Force on Climate-related Financial Disclosuresの略称
で、G20の要請を受け、気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどの
ように行うかを検討するために金融安定理事会(FSB)により設立され
た気候関連財務情報開示タスクフォース。2017年6月に最終報告書を公
表し、企業等に対し、上表1に示す気候変動関連の「ガバナンス」
「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4要素11項目について開示
することを推奨する。

実は金融機関のみならず世界の経営層も同様に、気候変動に関する環
境・社会リスクを最も重要視しており、世界経済フォーラム(WEF)「
グローバルリスクレポート2022」における「経営層の考える世界規模
のリスク
」のトップ3はすべて気候変動関連項目となっている。さら
に言えばトップ10のうち5項目は気候変動/環境関連項目である。

気候変動のリスクと機会
TCFD提言では、気候関連リスクを脱炭素社会への「移行」に関するリ
スクと気候変動による「物理的」変化に関するリスクに大別。移行リ
スクは、さらに「政策・法規制リスク」「技術リスク」「市場リスク
」「評判リスク」に大別される。特に「技術」に関しては2022年6月に
設立された「世界トランジション(移行)ファンド」に150億USドル(
約 2.1兆円)の資金が集まるなど、最近ようやくこの分野の重要性が
認識されるようになってきたと感じている。一方で、GHG(温室効果ガ
ス)排出ゼロの「Green」と、GHGを排出する「Brown」との単純な2

法で分類し、物理的リスクは比較的イメージしやすいと思われるが、
台風の大型化や豪雨の頻発などの「急性リスク」と影響が徐々に現れ
る海面上昇などの「慣性リスク」に分けられる。


図1.気候関連リスクの例示 出典:TCFDを活用した経営戦略立案の
ススメ~気候関連リスク・機会を織り込むシナリオ分析実践ガイド
ver3.0~ https://www.env.go.jp/content/900498783.pdf

気候関連機会は「資源の効率性」「エネルギー源」「製品/サー
ビス」
「市場」「レジリエンス」に大別

図2 気候関連機会の例示 出典:TCFDを活用した経営戦略立案のス
スメ~気候関連リスク・機会を織り込むシナリオ分析実践ガイド
ver3.0~ https://www.env.go.jp/content/900498783.pdf

シナリオ分析の具体的な進め方とそのポイント
シナリオ分析の具体的な手順
基本的には、中核となる部門でシナリオ分析を始めた上で、①必要な
部署を巻き込むケースと、②当初から社内横断でのチームを作った上
で、シナリオ分析をスタートするケースの2つが想定されるが、これ
はそれぞれ一長一短がある。最初から社内横断チームを発足させる方
が手戻りなく進むことは確かだが、日程調整だけでも大変でなかなか
スタートできない、担当者を広く集めたもののすべての部門が一斉に
スタートできるわけではなく非効率が発生した、などの事例も聞くた
め、会社の規模や事業領域の広さなどを踏まえた検討が必要。

対象範囲の設定
次は、対象範囲の設定だ。事業が複数にまたがる場合などはまずは分
析対象となる事業をいくつか選定し、徐々に全事業に広げていくとい
うやり方もあり得る。事業選定の軸としては、「売上比率」「気候変
動のインパクト」「データ収集の難易度」等が考えられる。その他、
対象とする地域(国内拠点のみ/海外拠点含む等)、企業範囲(連結
決算範囲のみ/子会社も含む等)についても同様に徐々に広げていく
のが良い。

時間軸の設定
時間軸については、2040年から2050年が良いだろう。2025年や2030年
など時間軸を短くおくと、複数シナリオを設定したとしてもその差異
が小さく、企業インパクトについてもあまり顕著に出ないことが予想
される。

シナリオ群の設定
自社内に専門組織を持つ欧米のエネルギー会社などでは、独自のシナ
リオ設定をしているところもあると聞くが、基本的には入手可能なシ
ナリオを活用すればよいと考える。代表的なシナリオとしては、以下
の3つが挙げられる。


図3.入手可能なシナリオ例 出典:TCFDを活用した経営戦略立案の
ススメ~気候関連リスク・機会を織り込むシナリオ分析実践ガイド
ver3.0~ https://www.env.go.jp/content/900498783.pdf

照先としては、2℃以下を含む複数の温度帯シナリオの選択が推奨され
複数選択するのであればできる限り温度帯や世界観が異なるシナリオ
を選択したほうが「想定外」の事項を無くし、幅広く自社の将来像を
点検することにつながると考える。リスクと機会のところで触れた通
り、一足飛びに脱炭素とはいかない事業分野に関しては適切なトラン
ジション(移行)を設定することも必要になってくる。

事業インパクト評価
次に、設定したそれぞれのシナリオにおける各事象が、組織の戦略的・
財務的ポジションに対して与えうる影響を評価し、感度分析を行うこと
になる。事業インパクト評価は、以下の流れで実施するのが一般的。

1.シナリオにおける各事象が影響を及ぼす財務項目の把握(リスク、
 機会 両面)
2.算定ロジックの検討とそれに基づく試算
3.ベースラインにおける財務項目数値とのギャップの把握

しかし、これらを実際に始めるとなると、色々と困難に直面する可能
性が高いと考えている。筆者がこれまでの経験からポイントとなりそ
うな点を4つ紹介したい。まずは、現状の技術レベルで実現可否を考え
ないことである。現状で考える限り、結果も現状の延長線上で留まっ
てしまう。2050年など超長期での影響を扱うのであるから、現存の社
会とは異なるイノベーションや非連続的な技術革新などの対策を前提
として大胆に検討することを意識することが需要。

次に、数値の精度を追求しすぎないことである。日本企業は外部に数
字を出すとなると非常に保守的になる傾向が強いと感じているが、精
緻な試算はそもそもできないものだと割り切って考えることが重要で
ある。「今年はここまでにして、来年は少しブラッシュアップしよう」
といった感じで、ステップバイステップで進めるのが良いと考える。 
また、対策の議論にずれが生じないように、メンバー間で世界観を極
力統一することも重要である。そのためには可視化が有効である。開
示された資料などを検索いただくと、すでに同業他社が世界感をイラ
ストなどで開示している例も増えていると思われる。シナリオごとの
イメージを可視化して認識を合わせることは議論を深めるうえで非常
に重要である。  
最後に、すべて自前でやろうとしないことである。すでに多くの企業
が取り組み内容を開示しており、同業他社の取り組みなどは大いに参
考にすべきである。また、シナリオやそれに関連するパラメータなど
を個社でリサーチするのはかなりの作業量が生じるため、部分的にコ
ンサルティング会社など外部人材を活用することも有益。

環境・CSR報告書とTCFD提言への対応の相違は
従来の環境報告書やサステナビリティレポート等の開示内容は、当該
年度の温室効果ガス排出量や再生可能エネルギー導入量や植林活動な
ど、「過去/現在の取り組み」が中心であったのに対し、TCFD提言に
沿った開示では、そこに「未来」の視点も加えることで、より深く企
業の持続可能性を分析・評価できる情報の開示を求めるところに特徴
がある。

1.気候変動をどの程度経営の重要課題として扱っているのか
2.複数のシナリオに基づき、気候変動の自社へ影響を検討し、リス
 ク要因については適切に管理しながら、一方で新たなビジネス機会
 としてもしっかりと捉えているか
3.自社に与える財務インパクト(リスク/機会)を定量的に評価して
 いるか
4.サプライチェーンを含めた温室効果ガス排出量の現状を把握し、
 目標については2050年のカーボンニュートラルといったグローバル
 目標と整合性がとれているか

企業としては新たな対応を求められ、負荷が増すのは確かであるが、
一方でメリットも大きい。繰り返しではあるが、TCFDに対応すること
で、気候変動に対するリスクマネジメントがしっかりできている企業
であると顧客や取引先にもアピールすることにつながる。また、複数
シナリオを用いて気候関連リスク・機会を評価し、自社のリスクマネ
ジメントなどについても熟考を重ね、経営戦略やリスク管理に反映さ
せることは自社のレジリエンス強化にもつながる。TCFDの波を前向き
にとらえ、精緻にやらなければならないと考えすぎず、一歩ずつでも
いのでぜひ多くの企業に取り組んで頂きたいと考えている。

                         この項つづく

※ 気候変動対策の遅れが経営リスクになる時代――企業はTCFD提言
 にどう対応すべきか:TCFD提言を契機とした攻めのGX戦略(1)ス
 マートジャパン、
 著者:アビームコンサルティング株式会社 産業インフラビジネスユ
 ニット ダイレクター 松本 仁志
 大手都市ガス会社でエネルギーソリューション営業並びに気候変動
 に関する政策提言(政府系財団法人出向)に従事した後、コンサル
 ティング会社に移籍し、サステナビリティ、再エネ、省エネ関連の
 さまざまなコンサルティングを多数経験。エネルギー管理士。第三
 種電気主任技術者。メール:hitomatsumoto@abeam.com


血管から照らす光線免疫療法を開発
10月6日、名古屋大学と朝日インテックは,産学連携共同研究として,心筋
梗塞や脳梗塞の治療などに幅広く用いられている血管内治療技術(インタ
ーベンショナルラジオロジー:IVR)を応用した光照射技術の開発を行ない,
現状では光が届かない深部組織への新規光照射システムおよびデバイス
(ET-BLIT: Endovascular Therapy-Based Light Illumination Technology)を
開発。
【要点】
1.光と薬剤、あるいは光のみをがんなどの治療に応用する研究開発は盛
 んに行われる一方、その開発の中心は光感応薬剤側が主となっており、
 臨床使用を考えた場合、光を確実に患部に届ける技術が求められている。
2.第5のがん治療といわれる認可済みの近赤外光線免疫療法において、
 適応拡大を可能にする生体光デバイスが求められている。
3.心筋梗塞、脳梗塞の治療などに幅広く用いられている血管内治療の技
 術を基盤として、人の全身に張り巡らされた血管を経由して患部、特に体
 外からの光照射では全く届かないような組織に対し、安全で、効率よく光
 を届けるための新規システム、およびそのデバイスの開発に成功。
4.ET-BLITを用いた動物実験において、血管内から照射した光が、血管
 外組織に高効率で到達することを確認
5.今後ET-BLITは、近赤外光 線免疫療法や光線力学治療を始めとし
 たがん治療に加え、さまざまな光治療技術の臨床応用技術の貢献が期
 待されている。

近年,近赤外光線免疫療法(Near Infrared Photoimmunotherapy:NIR-PIT)
が新規の治療法として注目されており,世界に先駆けて日本で2020年9月に
がん細胞増殖に関わるがん標的タンパク質EGFRを高発現する再発既治
療頭頸部がんに対して,承認を受けて保険適用されている。 今回研究グ
ループが開発したET-BLITは,心筋梗塞や脳梗塞治療などの血管内治療
で用いられる画像下治療技術を応用して,デバイスに光照射技術を組み合
わせることで,血管内で使用可能な細径光照射デバイスと治療システム。
通常の血管内治療と同様の手法で容易に患部までの光照射デバイスの到
達が可能であり,かつ,このデバイスが搭載する光照射位置の正確な制御
技術やリアルタイムでの血液温度測定技術を組み合わせることで,血管の
中から,血管外の目的組織に対して高効率,かつ高い安全性で近赤外光
を照射可能であることを確認した。 この評価では,ヒトに近い血管走行を持
つブタを用いた動物実験での評価を行ない,肝臓,腎臓などの血管に鼠径
部からのアプローチで容易にデバイスが到達可能で,かつ,評価を行なっ
たいずれの血管においても血管外における光の検出に成功。 心筋梗塞や
脳梗塞治療のための血管内治療は現在世界中で幅広く行われている治療
術式・技術であることから研究グループは,ET-BLITを臨床応用に移行す
るハードルは,ソフト,ハードの両面からも低いと考えてる。 このため,ET-
BLITのデバイスのさらなる最適化を進めるとともに,臨床試験への移行に
向けた基礎検討,非臨床試験を実施することで,近赤外光線免疫療法を始
めとして,数多くの光治療の臨床応用移行のための技術として応用に期待
されている。
【関連論文】
Inside-the-body light delivery system using endovascular therapy-based light
illumination technology, Toshihiko Tsukamoto et al., eBioMedicine, Published:
October 05, 2022,  DOI:https://doi.org/10.1016/j.ebiom.2022.104289.

風蕭々と碧い時代


Jhon Lennon  Imagine




【シン・カルトの子概論 ⑨】
幸福会ヤマギシ会は、農業・牧畜業を基盤とするユートピアをめざす
活動体(農事組合法人)。通称は「ヤマギシ会」「ヤマギシ」。
1953年(昭和28年)、山岸巳代蔵の提唱する理念の社会活動実践母体
「山岸式養鶏会」として発足、約10日後に「山岸会」に改名、1995年
(平成7年)に名称を「幸福会ヤマギシ会」と変更。所有の概念を全
否定し、「無所有一体」の生活を信条としている。1960年代に起こっ
た、いわゆるヒッピー的な共同体(原始共産主義)に例えられる場合
もある。アーミッシュとは、その意味合いが異なる(アーミッシュは
キリスト教と家族を重視)。 売上高では農事組合法人のトップに位
置している。ヤマギシズ社会を実践する場であるヤマギシズム社会実
顕地が全国に26か所あり、約1500人が共同生活を営んでいる。また、
ブラジルやスイス・韓国・オーストラリア・アメリカ合衆国・タイな
ど日本国外にも6箇所の社会実顕地があり、社会実顕地に未参画の会
員が5万人ほどいるとされる。1990年代にマスメディアに盛んに取り
上げられ、外部から強い批判を受けた。構成員においては詳細な内情
は口外禁止とされている。 via jp.Wikipedia
追記:わたしがこの団体を知ったのは1980年代、滋賀県湖東生活協同
組合の理事(暮らしと環境担当)時であるが、深入りすることはなか
った。


 
出所:国際ニュース:AFPBB News

●今夜の寸評:今そこにある危機 二枚の写真
思わず、多重融合した混沌下での"偶発的災難"の予感に身震いする。

 怖い時代だね....?!

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 国産ハーブとスパイス農園と... | トップ | 洋上風力と銚子沖 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

時事書評」カテゴリの最新記事