彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる "招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。
(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編
のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひ
こにゃん 」
● 春のお彼岸リモート法話1日目 彦根赤門 宗安寺
地福寺 稲岡誓純先生
【男子厨房に立ちて環境リスクを考える:レトルトカレー容器】
今回は、ハウス食品の「完熟トマトのハヤシライスソース」を試食し
た値段や味・食感、栄養価などを含め総合的に一番と評価。
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原材料名:・小麦粉[小麦(アメリカ産、カナダ産)]・トマトパウ
ダー[トマト(スペイン産、ポルトガル産)]・トマトペースト[ト
マト(チリ産)]・オニオンパウダー[オニオン(中国産、アメリカ
産)]・脱脂大豆[大豆(アメリカ産、セルビア産)]・ローストオ
ニオンパウダー[オニオン(中国産)]・脱脂粉乳[生乳(国産)]
・ガーリックパウダー[ガーリック(中国産、インド産)]
内容量 184g
希望小売価格 297円(税別)
賞味期間 製造後1年7ヵ月(未開封) -
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それ以外に容器・パウチの技術水準を考えるにあたり、特許事例をピ
ックアップ(特開2022-35216 包装箱、電子レンジ加熱パウチ食品及び
電子レンジ加熱パウチ食品の盛り付け方法 凸版印刷株式会社/マルハ
ニチロ株式会社 )。改めて、商品開発技術力の高さに感心。改良点は
ないないかと考えてみて、廃棄時のパウチ内部の洗浄の簡便性に不満
が残った。
【特許概要】
下図1のごとく、上面が開口された箱体2と、箱体2に設けられ箱体
2の開口部を塞ぐ蓋部3と、を有し、蓋部3の少なくとも一部を箱体
2から外すことで開口部が開放される包装箱1において、箱体2は、
互いに対向する箱前面板11及び箱後面板14と、箱前面板11及び
箱後面板14のそれぞれと連続する箱左側面板12 及び 箱右側面板
13と、箱前面板11、箱後面板14、箱左側面板12及び箱右側面
板13のそれぞれに連続する下面板16と、を有する。さらに、箱左
側面板12及び箱右側面板13の少なくとも一方に、箱体2の、箱前
面板11の内面と箱後面板14の内面とが近づく方向への変形を容易
とする易変形部として左側面板折り曲げ線12b又は右側面板折り曲
げ線13bを備えることで、加熱後の加熱パウチを取り扱う際の、調
理者が感じる熱さを低減し、加熱後の加熱パウチの取り扱いを容易に
する。
図1 実施形態に係る包装箱の一例を示す斜視図
● 有機トランジスタの集積課題を克服
3月10日、NIMSと東京理科大学の研究グループは、アンチ・アンバイ
ポーラトランジスタと呼ばれる特殊な有機トランジスタを用い、5つ
の2入力論理演算回路を単一トランジスタで実証に成功したことを公
表。
【概要】
これにより有機材料のもつ軽量性と回路設計の柔軟性を活かした高
性能モバイル端末の開発に繋がると期待されている。情報量が飛躍的
に増大する Internet of Things (IoT) 社会で、軽量性と高い情報処理能
力を兼ね備えた高性能モバイル端末の開発が求められており、有機ト
ランジスタを集積した有機集積回路は、その基幹技術として期待され
ているが、既存の微細加工技術が適応できず、その集積度は極めて低
い。
この課題に対し、研究グループは、ある一定以上のゲート電圧を印
加するとドレイン電流が減少する特殊な有機トランジスタ (アンチ・
アンバイポーラトランジスタ) をデュアルゲート型トランジスタへ拡
張し、2入力論理演算回路として応用。
トップゲートおよびボトムゲート電圧を入力電圧とし、ドレイン電
流を出力信号とすることで5つの2入力論理回路動作を単一トランジ
スタで、しかも室温で実証することに成功。既存の集積回路ではNAND
回路を形成するために4個、XOR回路を形成するためには12個のトラ
ンジスタが必要とするが、本提案素子では一つのトランジスタで実現
でき、大幅な素子数が削減に繋がる。これまで有機エレクトロニクス
が苦手としてきた有機集積回路の高性能化が可能である。今後、入力
電圧により種々の論理演算回路を電気的に切り替えられる特徴を活か
して再構成可能集積回路へ応用することを目指す。
❏掲載論文:Electrically Reconfigurable Organic Logic Gates: A Promising
Perspective on a Dual-Gate Antiambipolar Transistor, Advanced Materials
DOI : 10.1002/adma.202109491
【ポストエネルギー革命序論 416: アフターコロナ時代 226】
現代社会のリスク、エネルギー以外も「分散時代」
運動エネルギー回生システム(Kinetic Energy-Recovery System)は、
ブレーキング時のエネルギーを回収・蓄積し、再利用するシステムの
総称。運動エネルギーのみならず熱エネルギーの回生も行う新たなシ
ステムへ発展。名称はエネルギーの形態に触れないよう一般化され、
単にエネルギー回生システム(Energy-Recovery System = ERS) とな
った。エネルギーの保存・再利用は3つの方法があり、エネルギー効
率への挑戦。回生ブレーキは通常、電源入力を変換して駆動回転力と
して出力している電動機(モータ)に対し、逆に軸回転を入力し発電
機として作動させ、運動エネルギーを電気エネルギーに変換し回収ま
たは消費することで制動として利用する電気ブレーキの一手法。発電
時の回転抵抗を制動力として利用するもので、電力回生ブレーキ、回
生制動とも呼ばれる。電動機を動力とするエレベーター、鉄道車両、
自動車他、広く用いられている。
回生エネルギーとは何か
近年、エネルギーの分野でよく聞くようになった「回生エネルギー」
とはどんなものなのか。回生エネルギーは回生電力とも呼ばれ、省エ
ネ効果を期待されるテクノロジー。電力を消費して動力に変えるのが
「モータ」、外から与えられた動力を消費して電力にするのが「発電
機」と呼ばれる。
回生エネルギーの効果
回生エネルギーの効果として代表的な「省エネ」と「抵抗器の長寿命
化」。これを電力として回収し活かすことは、エネルギーのムダを防
ぐことになり、省エネにつながる。回生エネルギーが「エネルギーの
リサイクル」と呼ばれる理由はここにある。電車の例では、加速時に
電車が取り込んだエネルギーに対し、ブレーキ時に回生したエネルギ
ーの比率が30%から40%以上となるケースもあるという。そのた抵抗
器の長寿命化もうひとつの効果が抵抗器の長寿命化。例えばクレーン
で荷物を下ろすときには、モーターが外からの力で回されている。従
来は回されて発生した電力を抵抗器に流して消費していた。抵抗器は
通常、受け取った電力を熱に変えて消費する。しかし、抵抗器は自ら
が発生した熱により劣化してしまう場合があり、それを回避するため
に、発生した電力の一部を抵抗器と並列に接続されたバッテリーに回
収させる。すると抵抗器にかかる負担が減り、抵抗器の発熱量も下が
る。よって、抵抗器の寿命が長くなる効果が見込める。回生エネルギ
ーを利用してピーク電力を下げることは省エネだけでなく、工場の電
気料金(ランニングコスト)を下げる効果も期待されている。
回生エネルギーと双方向電源
尚、回生エネルギーをバッテリーに蓄える場合、双方向電源と呼ば
れる技術が便利。クレーンで生じた回生エネルギーは100Vまたは200V
の電圧で交流なので、AC/DCコンバータで直流にし、DC/DCコンバータ
でバッテリーに見合った電圧に調整して充電。一方、充電されたバッ
テリーを放電する場合、DC/DCコンバータで100Vや200Vに昇圧した上
でAC/DCコンバータで交流にする。
回生インバータとは何か
消費しきれない回生エネルギーを有効活用する方法のひとつが「回
生インバータ」。この装置によって直流電力を交流電力に変換し、余
剰電力を駅の設備に供給することが可能になる。また、電気自動車や
ハイブリッド自動車では、ブレーキのときにタイヤの回転力でモータ
を回すことで発電。回生エネルギーを使えば燃費が良くなるメリット
がある。エレベーターや立体駐車場では、乗車数が少ない状態で上昇
させたり、乗車数が多い状態で下降させたりしたときに発生するエネ
ルギーが回生エネルギーになる。建物内で有効利用することで省エネ
化を図れるから面白い。エスカレーターでは、下り運転時に利用者が
多い場合、モーターから発生する回生エネルギーを建物内で使用する
ほか、停電時の急停止を回避して緩やかに停止させるために利用でき
る。また、工場のような多くの機械が同時に稼働する施設では、回生
エネルギーを工場内の電源に戻すケースもある。例えば、天井クレー
ンで荷物を下ろすときに発生した回生エネルギーは、回生機能を備え
た装置を介せば電源に戻すことが可能。現に戻された電力は、その時
々で高い電力を必要とするほかの機械で消費できるため、効率の良い
電力運用が可能になる。さらに、他の自然エネルギーやバッテリーと
組み合わせて、災害などで停電が発生しても稼働できるようなシステ
ムも実現可能である。
【特許事例研究:2件】
❏ 特開2021-197863:電力変換装置、変電所用電源装置および回生
電力貯蔵装置 株式会社東芝
【概要】直流電気鉄道の電力供給システムの直流き電システムは、負
荷変動が激しく、き電線電圧変動が大きい特性になっている。また、
ダイオード整流器を用いて直流を作ることが一般的であり、交流電源
系統への電源回生は、回生インバータを設置しなければ実施できず、
回生車の回生電流を吸収する十分な負荷が回生車周辺に存在しなけれ
ば、回生車は回生失効する。このように電圧変動や回生失効に対応す
るため蓄電装置を設置し、蓄電池電圧を任意の電圧に変換して出力す
るための変換器を有す。従来の蓄電装置では、例えばき電回路と電池
回路とを高周波トランス回路で絶縁し、電池の対地絶縁耐圧を下げる
ことができ、任意の電力を架線と蓄電池の間で充放電しているが、そ
の一方、架線電圧は、例えばDC1500Vき電の場合、900V-
1800V程度まで変動するのが一般的であり、電池と架線電圧の差
が大きいと、高周波トランス回路に流れるピーク電流値が大きくなり、
高周波変圧器の大型化や、電力変換装置に用いるパワー半導体素子の
電流定格を増大させる必要性が生じ蓄電装置の、大型化、高コスト化
を招く。例えば、き電回路側にき電回路側から見て昇圧チョッパを設
置し、電池側とき電側の直流回路との間を共振型の高周波絶縁回路を
構成することで、直流回路部の電圧変動を蓄電池の電圧変動程度に抑
制し小型化を図る方法も考えられるものの、共振回路に共振コンデン
サを設置する必要があり、装置の小型化が困難で、チョッパ回路と共
振回路部との間の直流電圧が共振型回路のため任意の電圧に制御する
ことができず、蓄電池の電圧変動を加味した場合、蓄電池のSOCが
高い場合などは直流電圧が高くなり、チョッパ回路のスイッチングサ
ージ(switching surge:電線路を進行する開閉過電圧)が大きくなる。
下図1のごとく、実施形態による電力変換装置は、直流電源2の正
極端子に、リアクトル8を介して、降圧出力端子が電気的に接続され
たチョッパ回路5と、直流電源1の正極端子と負極端子との間に第1
直流主回路が電気的に接続されたインバータINV1と、チョッパ回
路5の高圧回路側に第2直流主回路が電気的に接続されたインバータ
INV2と、インバータINV1の交流端とインバータINV2の交
流端との間に電気的に接続された変圧器15と、直流電源1に対して
並列に接続されたコンデンサ13と、インバータINV2とチョッパ
回路5との間において第2直流主回路間に接続されたコンデンサ12
と、双方向に電力融通するようにインバータINV1とインバータI
NV2との出力電圧位相を制御する制御回路CTRと、を備えること
で、蓄電池とき電回路との間を絶縁しつつ、小型な電力変換装置を実
現する。
図1.電力変換装置および電源装置の一構成例を概略的に示す図
❏ 特開2021-065004 サーボDC給電システム及びモータ制御装置
オムロン株式会社
【概要】 工場等では、複数のサーボモータが 離れた場所に配置され
た複数のサーボドライバにてPWM駆動されるシステム(ロボットと
その制御装置とで構成されたシステム等)が使用されている。そのよ
うなシステムには、サーボモータ・サーボドライバ間の長いケーブル
からの放射ノイズを低減するために、スイッチングスピードを速くで
きない、サーボモータ・サーボドライバ間の接続に多数のケーブルが
必要とされる、といった問題がある。各サーボモータの近傍に、サー
ボドライバからコンバータを除去した装置(以下、モータ制御装置と
表記)を配置し、1つの直流電源からDCバスにて複数のインバータ
回路に電力を供給する構成を採用しておけば、上記問題が発生しない
ようにすることが出来る。ただし、この構成を採用したシステムでは、
DCバス側のLC回路とインバータ回路側とが干渉してDCバスの電
圧が発振する場合がある(例えば、横尾 真志, 近藤圭一郎,「直流電
気鉄道車両におけるベクトル制御された誘導電動機駆動システムのダ
ンピング制御系設計法」、電気学会論文誌D,Vol.135 No.6 pp.622-
631(2015)非特許文献1参照)。このように、下図1の如く 直流電
源と複数のモータ制御装置と直流電源からの電力を複数のモータ制御
装置に分配供給する電力供給路とを含むサーボDC給電システムの各
モータ制御装置として、供給される直流をサーボモータを駆動するた
めの交流に変換するためのインバータ回路と、電力供給路により供給
される直流を安定化してインバータ回路に供給するフィルタ回路であ
って、電力供給路の電圧変動又は電流変動を検知し、検知結果に基づ
き、電力供給路の電圧変動又は電流変動が抑制されるように、自フィ
ルタ回路のインピーダンスを調整するフィルタ回路とを備える装置を
用いることで、電力供給路の電圧発振を抑制できるサーボDC給電シ
ステムを提供する。
図1.サーボDC給電システムの概略構成の説明図
図2.サーボDC給電システム内のモータ制御装置の概略構成説明図
✔ これはある意味、蓄電装置の大容量化と高密度化促進と言い換え
てもいいだろう。例えば、1日分の個別世帯の太陽電池容量に対し、
1日分の容量をもつ蓄電にするか3日分(・・・・・7日分でも可)もつ
ことでブラックアウトを防止するようなものだと。これを政府が回生
エネルギーシステム完備政策(補助金制度/義務化など)を実行すれ
ば良い(原発があるからやらないだろうが)ことなんだろうと確信し
ている。
● 薄くて曲げられる多点マイクロLEDアレイ極薄フィルムで脳に
光照射➲ 脳の特定部位や複数部位を同時に光照射できる新しい光
遺伝学用デバイス
図1.マイクロLED中空構造の形成技術(上)マイクロLEDアレイ一括
転写技術(下)
今月18日、豊橋技術科学大学 電気・電子情報工学系の関口寛人准
教授らの共同研究グループは、脳を覆うように柔軟に取り付けができ、
多点に配置したマイクロ LEDで脳の特定部位を狙って光を照射できる
フレキシブルフィルムを開発。近年では、光遺伝学的手法を利用し、
生体の外部から光のみを当てることで、神経細胞の活動を制御するこ
とが可能になっている。この手法では光を照射するデバイスが必要に
なるが、脳などの組織全体を覆うように取り付けて、目的の神経細胞
のみに光を当て、その活動を自在に光操作できる生体埋め込み型の光
デバイスはなかった。
このデバイスの実現には、薄さと軽さ、柔軟性を持たせるために、
厚さ数µmの LED層のみを、極薄の生体適合性フィルム上に高精度で配
置する技術の確立が必要でした。今回本研究グループは、(1)高密
度かつ微細にマイクロLEDの 中空構造を形成する技術、(2)熱剥離
シートの適用による精度の高い一括転写技術の双方を確立、薄くて軽
く、曲げても光を照射する性能が低下しない多点マイクロ LEDアレイ
極薄フィルムを開発することに成功。開発されたデバイスは、神経活
動と行動や疾患との因果関係に裏打ちされた脳情報の包括的な理解を
目指す、新しい神経科学研究の開拓への応用が期待されている。
❏ 関連論文源題:Adhesionable flexible GaN-based microLED array film to
brain surface for in vivo optogenetic stimulation. Hiroto Sekiguchi, Hayate
Matsuhira, Ryota Kanda, Shuto Tada, Taiki Kitade, Masataka Tsutsumi, Atsushi
Nishikawa, Alexander Loesing, Izumi Fukunaga, Susumu Setogawa, Noriaki
Ohkawa (2022). Applied Physics Express.
https://doi.org/10.35848/1882-0786/ac5ba3
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特集:“脱リチウム”電池時代到来 エネルギー密度10倍視野①
▶ 2022.3.18 日経クロステック/日経エレクトロニクス
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この約20年間、リチウム(Li)イオン2次電池(LIB)は蓄電池の代
名詞に近かった。だが、2021年半ば以降、急速に"脱リチウム"の動き
が顕在化している。表面に見えているのは量産化が始まりつつあるナ
トリウム(Na)イオン2次電池(NIB)、そして亜鉛(Zn)や鉄(Fe)
を使う電池である。さらに水面下では炭素(C)、カルシウム(Ca)、
マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、そしてフッ素(F)とい
った元素を電池内キャリアとして使うさまざまな次世代蓄電池技術の
開発が大きく進んでいる。中には非常に高いエネルギー密度を実現で
きそうな技術もあり、かつては机上の空論だった"LIBの10倍のエネル
ギー密度"さえも現実味を増してきたと報じている。
□ Li価格は約1年半で16倍に
この動きの大きな背景にはやはり、Liの供給のひっ迫がある。1年
以上も高騰を続ける炭酸リチウム(Li2CO3)の価格は2022年3月初頭時
点でついに2020年末の価格の16倍を超え、収束の気配はまだない。EV
の台頭に加えて、ロシアがウクライナに軍事侵攻したことなどでニッ
ケル(Ni)、AlやZnも大幅に値上がりしているが、その上げ幅は2年
で3倍弱ほど。Liの高騰ぶりは突出している。この状況に最も危機感
を抱いているのは中国かもしれない。同国はさまざまな金属資源の多
くを産出し、資源に強い国という印象だが、Liの産出量割合は2016年
時点で世界全体の約6%、埋蔵量でも約22%と例外的に低い注1)。2021
年末時点でLi2CO3の中国国内需要の7割を輸入に頼っていることが、中
国メディアでしばしば指摘されている。
この項つづく
● 可視光でクロロホルムの光酸化に成功
今月22日、津田明彦神戸大学准教授らの研究グループは、AGC株式会社
(以下、AGC)と協力し、可視光によるクロロホルムの光酸化に成功し
たことを公表。また、その生成物を原料として、医薬品中間体やポリ
マー原料となる高反応性カーボネートやイソシアネートの合成にも成
功。
図1.クロロホルムを原料とする光オン・デマンド有機合成システム
【要点】
1.これまで、環境負荷の大きな水銀ランプを光源として用いなけれ
ばならなかったクロロホルムの光酸化反応が、触媒量の塩素を添加
することによって、LEDランプを光源とする可視光で進行することを
発見。
2.可視光で光酸化したクロロホルムを原料として、医薬品中間体お
よびポリカーボネートやポリウレタンの原料となる、高反応性カー
ボネートやイソシアネートの合成に成功
3.高反応性カーボネートやイソシアネートは、一般に、毒性が高く
危険なホスゲン(COCl2)を用いて製造されている。クロロホルム
の光酸化生成物は、主としてホスゲンであり、本合成法では、必要
な時、必要な量だけ、ホスゲンを溶媒のクロロホルム中に光で任意
に発生させて、それを溶液から出さずにそのまま次の合成に用いる
ことができるため、安全性が高い。
4.高価で特殊なガラス器具(石英ガラス)、環境負荷の大きな低圧
水銀ランプ、高価な薬品や機器が不要となり、安全で、より簡単・
安価にオン・サイト、オン・デマンド合成が可能となった。
5.太陽光によるクロロホルムの光酸化が原理的に可能となった。低
エネルギー・低環境負荷の新たな化学反応として、カーボンニュー
トラルおよびSDGsに大きく貢献する科学技術として期待される。
図2.可視光によるクロロホルムの光酸化と、カーボネートおよびイ
ソシアネート合成への応用
❏関連論文: “Photo-on-Demand Conversion of Chloroform to Phosgene
Triggered by Cl2 upon Irradiation with Visible Light: Syntheses of Chlorof-
ormates, Carbonate Esters, and Isocyanates” , Yuto Suzuki, Fengying Liang,
Takashi Okazoe,* Hidekazu Okamoto, Yu Takeuchi, and Akihiko Tsuda* ,
DOI:10.1246/cl.220081Chemistry Letters
書籍:大豆と人間の歴史
著者:クリスティン・デュボワ
【内容概説】
人類が初めて手にした戦略作物・大豆。その始まりは、日本が支配し
た満州大豆帝国だった。サラダ油から工業用インク、肥料・飼料、食
品・産業素材として広く使われ、南北アメリカからアフリカまで、世
界中で膨大な量が栽培・取引される大豆。大豆が人間社会に投げかけ
る光と影、グローバル・ビジネスと社会・環境被害の実態をあますと
ころなく描く。
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第8章 毒か万能薬か
人体への影響は
遺伝子組み替えの技術者は、この自然のシステムを利用する,大豆
に代わってウイルスのRNAを盗んで、その情報を大豆の中に挿入す
る。これによってホスト側の抵抗力が増強するスピードは大いに上が
り、大豆に反撃を開始させ、通常の進化の展開よりもはるかに速いス
ピードでウイルスの増殖を抑制できる。同様の技術が、世界中で毎年
何億ドルという被害を出しているダイズシストセンチュウを含む非ウ
イルス性の害虫と戦っている。
❏ 特表2012-502100 芽胞形成細菌および任意の昆虫防除剤を組み合
わせた遺伝子組み換え
作物学者が留意すべきなのは、自分たちが抑制している害虫の遺伝
子が、それよりも高位の生物の遺伝子と類似しすぎないようにするこ
とだ。すなわち、RNAi技術によって、ホスト作物自身の 基本的な
遺伝子や、その作物を食べる家畜や人間の中の遺伝子をうかつに干渉
することがあってはならないのだ。遺伝子干渉から保護することは、
その作物をかじったり受粉したりする、同一の環境内の標的ではない
生物のために必須のことだ。
RNAi サイレンシングによって意図しない効果が出る可能性には
警戒する必要がある。この技術自体が、多くの科学的進歩と同様に驚
きの発見だったという事実から明らかだ。1990年代にペチュニアの遺
伝的特徴を作り変える実験中、まったく予期しない結果が出た。ペチ
ュニアの花色におけるまったく意関していなかった変化から、RNAi
サイレンシングをつき止め、研究者たちはノーベル賞を受賞した。
もちろん驚きは科学の進歩の泉だ。だが、真剣にルールを実行し、
有害となる可能性があるいかなるものも研究室から外の自然界へ出し
てはならないのだ。幸い、RNAi 技術は今までのところ責任を持っ
て利用されており、試験結果が示すかぎり、有害な影響は出ていない。
さまざまなRNAi 大豆が、アミノ酸、脂肪酸、イソフラボンのデー
タで、また灰分や水分、炭水化物や栄養阻害物質でも、非GE大豆と
同等であることが示されている。栄養的にはこれらのRNAi 操作を
加えた大豆はみたところ通常の大豆と同じだ。
❏ 遺伝子サイレンシング:gene silencing, 遺伝子抑制
➲ PTGS(post transcriptional gene silencing).遺伝子が転写さ
れた後にタンパク質に翻訳されるまでの過程で遺伝子発現が負に制御
される現象.植物に外来遺伝子を導入した際に,導入遺伝子にこの現
象がしばしば観察される.同じ配列をもつ内在性遺伝子も発現が抑制
される場合は,特にCo-suppressionとよばれる。(via 実験医学増刊
Vol.31 No.7)
非GE大豆とGE大豆
ここまで遺伝子組み換えの過程を検証してきた。しかし、個々の具
体的なGE大豆製品はどうなのか。RNAi干渉大豆と非GE大豆の
間で栄養的に同等であるという結果は、その他の種類のGE大豆にも
通用する。詳細な分析から、アレルギーを引き起こすたんぱく質を含
むさまざまな構成要素のレベルは、平均すると商業べースに乗ってい
るGE大豆も非GE大豆も同じだということがはっきりしている。繰
り返して検査を行っても、GE大豆を食べることで発症するヒトの疾
病は何も発見されていない。たしかに、GE大豆のほうが劣っている
ことを明らかにしたという小規模の研究も散見されるものの、どれも
主要値から離れたもので、実験上の不備があって正しく計測されてい
ないことが多い。除草剤の残留問題が懸念を呼び起こしている。農家
では化学物質の一部を取りこむグリホサート耐性の大豆 にグリホサー
トを大量に投与する場合があるからだ。2015年、グリホサートをめぐ
る議論がエスカレートした。EUの規定どおりにその安全性を算定し
ている研究者たちは、通常の農作業でこの化学物質に曝されている場
合、長期間にわたってリスクを生じることはないという結果を間もな
く発表することになっていたが、そのレポートが国連の世界保健機関
(WHO)の研究グループに「スクープ」された。WHOの研究グル
ープは正反対の結論に至っていたのだ。グリホサートの大量使用は実
験動物に発生する腫傷と関係があり、ヒトの細胞をグリホサートに曝
すとDNAにダメージを与える可能性があるというデータにもとづい
て、WHOの研究チームはグリホサートを「発がん性の疑いがある」
と位殼づけた。モンサント社は激怒し、環境保護主義者たちは自分た
ちの主張が証明されたと感じた。WHOの研究方法に疑いを持った研
究者も多かったが、さらなる分析が当然必要だったと考える研究者も
多くいた。その後、2016年にはWHOから別の分析が発見された。食
品中の 豆レベルのグリホサートではがんを発症する可能性は低いとい
う結論を出した。これらの研究はすべて食品中のグリホサートを対象
としたものだ。その他の暴露の場合----たとえは農作業など----の研
究はさらに必要である。
※ グリホサートイソプロピルアミン塩➲有効成分名はグリホサート
イソプロピルアミン塩。グリシンの窒素原子上にホスホノメチル基が
置換した構造を持つ。イソプロピルアンモニウム塩ではないグリホサ
ート自体の分子量は169.07で、CAS登録番号は 1071-83-6である。 5-
エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸合成酵素(EPSPS)阻害剤で、葉面
から吸収された成分が植物体での 5-エノールピルビルシキミ酸-3-リ
ン酸の合成を阻害し、芳香族アミノ酸(トリプトファン、フェニルア
ラニン、チロシン)や、これらのアミノ酸を含むタンパク質や代謝産
物の合成を阻害して、植物の栄養が作れなくなる(シキミ酸経路参照
)。接触した植物の全体を枯らす(茎葉)吸収移行型の非選択型除草
剤である。
豆自体についていえば、非GE種よりもGE大豆の方が健康上実際
にすぐれている品種もある。たとえば、あるGE大豆は心臓の健康の
ために改良された油を含んでいる。モンサント社のビスティブゴール
ドという大豆から作る油は、水素を添加しないで長期間保存できる。
したがって、動脈をつまらせる、水素添加が生みだすトランス脂肪酸
を含んでいない。大量の揚げ物を行う企業や施設では油脂を大量に購
入するため、油脂は長期間保存できなければならない。この新種の大
豆は水素添加のものよりも健康に良い。この大豆油は飽和脂肪酸の含
有率もかなり低い。複数の外国政府が輸出用に大量にこの品種を生産
することを希望しているので、モンサント社は各国政府が認可するの
を待って商品化するつもりだ。一方、デュポン社は長期保存のできる
油のために自社開発のGE大豆について、アメリカやカナダ政府の認
可を取っている。中国、メキシコ、そして日本を含む大豆の輸入市場
のほとんどは、プレニッシュと呼ばれるこの豆を法的に認可している。
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※ Vistive Gold:Wikiprdia:MON 87705 (OECD UI: MON-877Ø5-6 , also
known as Vistive Gold ) is a genetically engineered variety of glyphosate -
resistant low-linolenic , high-oleic soybeans produced by Monsanto .
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この豆の油脂は一価不飽和脂肪酸の含有率が高く、これはオリーブオ
イルに入っているのと同じ成分で、人の心臓血管系の健康に良いもの
だ。これに遅れまいと、モンサント社は別品種の大豆の遺伝子組み換
えを行って、健康に良い油脂を持つ大豆を作りだした。これは脂肪酸
の含有率が高く、人間の身体はそれを、心臓の健康を増進させる魚の
油に似たものに自然に変化させることができるのだ。モンサント社は、
この大豆を市場向けに生産すれば、魚の乱獲を減らせると主張した。
この豆は無毒でアレルギー反応を起こさない菌の遺伝子の他に、サク
ラソウと同属のプリムラの花から採った遺伝子を使用して設計された。
アメリカ国内の政府の認可作業は進行中だ。健康に良い性質を持った
他の種類の大豆を遺伝子組み換えで作りだす研究が続いている。より
多くのビタミEを含有する大豆や、体内でたんぱく質を合成するため
に使用する、特定のアミノ酸の含有率の高い大豆を作る実験が行われ
ている。
また、通常の大豆はアレルギー反応の原因になる可能性があるので、
アレルギーを引き起こすたんぱく質を含まないという点も目標である。
2003年には、大豆アレルゲンの専門家、アメリカ合衆国農務省(U
SDA)のエリオット・ハーマンが率いる研究チームが、通常の主な
アレルゲンを含まない大豆を作りだすGE手法を公表した。しかし、
消費者はGE技術を信用していないため、企業に対して、特に乳児用
の調整粉乳にそうした大豆を使用して流通させることを避けるように
働きかけた。だが、本来はアレルゲンの少ない大豆は、この分野でこ
そ利用価値が最も高いのだ。
それから12後、ハーマンを含む作物学者の新しい研究チームが、1
万6,000 品種の大豆を検査した結果、重要なアレルゲンがもともと存
在しない一品を発見したと発表した。その後、大豆の遺伝子歳月を費
やして、根気よく交配を重ね、またすでに商業的に成功している品種
の子孫との交配を繰り返した。
こうしてついに、農学的に成長可能で、非GE、低アレルゲン、低栄
養阻害性の新しい大豆を作りだしたのだった。名づけて「000(ト
リプル・ヌル)」。このような努力の歴史は、作物の強化を目指す科
学とビジネスの縮図だ。そこで示されるのはGE手法と伝統的な品種
改良の両者によって望ましい性質の作物を生みだせること、遺伝子組
み換えを利用すれば開発は速いが、伝統手法の品種改良によるよりも
消費者に受け入れられないこと、そして、同じ個体が両方の利点を有
することが可能だということだ。
トリプル・ヌルの開発を指揮した科学者、モニカ・シュミットはハ
ーマンおよび小児消化器外科医の研究に参加し、通常とは異なる治療
用吉見の開発を行った。この大豆は未熟児の消化管の発達を早めるた
んぱく質を生成するように遺伝子操作が行われており、それにより、
アメリカ国内で年間およそ4,000人に上る乳児を死亡させる消化器官
の感染症を防ぐことが可能になる。この大豆は乳児の治療用調整粉乳
として未熟児の赤ちゃんに使用される。効果的かつ安価で命の危険か
ら乳児を助け、小さな赤ちゃんが大きな救命手術を受ける必要がない
ようにするものだ。
その他の研究者たちは、豆自体の内部で薬を生みだすような大豆を
どうやって作りだすかを模索している。
次のようなものが含まれる。
・人間の腔を攻撃するヘルペスウイルスに対する抗体
・HIV(エイズを発症させるウイルス)に対する抗体
・より迅速により安価で、貧困層の人々に届けるための標準的なワク
チン・遺伝性疾患やエイズに起因する筋原性疾患の治療に使用され
る人間の成長ホルモン
・糖尿病患者のためのインシュリン
・高血圧改善薬ノボキニン
・血友病治療に使用されるたんぱく質
・甲状腺疾患の検査に使用されるたんぱく質(現在は生体の甲状腺組
織や死亡した人体から取りだされており、高額)
遺伝子組み換えで作られる場合、大豆は特に医療用の価値を持ったた
んぱく質を作りだすのにすぐれていれば大豆に以下のような天然の性
質があるからだ。
・一般的に高レベルのたんぱく質を生みだす。
・その他の技術では大きすぎたり複雑すぎたりしてできない、挿人用
のたんぱく質を生成できる。
・比較的簡単に輸送でき、貯蔵もきく小型の豆を作る(伝統的なワク
チンやその他の医薬品と違って、大豆は冷凍保存の必要がない)。
・医薬品を取りだすために使用される他の生物よりも、人体に影響を
及ぼす病原菌に汚染されにくい。
・薬剤を届けるために食用とするのが容易である(例として、フレー
バーをつけた豆乳)。
・安価である。2013年に研究チームが説明したように、「大豆一本か
ら200回分のワクチンが作られる」。それには五万ドルの価値があ
る。
この項つづく
● 今夜の寸評:絶望的な虐殺行為を止められないこの世界
This world where desperate slaughter cannot be stopped.
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