極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

エネルギーと環境 73

2024年12月10日 | タフで綺麗なOLED

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ-

 


4. 特開2023-116036 パターン転写用積層体及び転写方法 学校法人ト
ヨタ学園他
【要約】下図2のごとく、フォトマスク、水溶性樹脂塗布層及び感光性レジ
スト層をこの順で積層させてなり、フォトマスクと水溶性樹脂塗布層は、
その界面で剥離可能であるパターン転写用積層体で、パターニング基材に
感光性レジスト層等を介してフォトマスクを密着させて感光をさせるも
のではなく、水溶性樹脂塗布層と感光済みの感光性レジスト層を基本とす
る層を、表面が平面、又は平面ではないパターニング基材に積層させて、
その後の処理を行なうことができる。

図2.パターン転写用積層体のフォトマスク面側から紫外線を照射し露光す
ることで、感光性レジスト層に潜像を形成する図
【符号の説明】【0056】
1:パターン転写用積層体 1A:潜像パターンを有するパターン転写用
積層体 1B:フレームを有するパターン転写用積層体 2:感光性レジ
スト層 2A:紫外光が照射された感光性レジスト 2B:紫外光が遮光
され元の状態の感光性レジスト 3:水溶性樹脂塗布層 4:フォトマス
ク5:スピン成膜用ヘッド 6:紫外線 7:フレーム 8:パターニン
グ用平面基材 9:パターニング用立体基材(湾曲面)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】本発明はパターニング基材に感光性レジスト層等を介してフ
ォトマスクを密着させて感光をさせるものではなく、水溶性樹脂塗布層と
感光済みの感光性レジスト層を基本とする層を、表面が平面、又は平面で
はないパターニング基材に積層させて、その後の処理を行なうことができ
ることを課題とする。更に、本発明は、転写可能なパターンが微細であっ
ても、条件により高い自由度と共に実現できる方法を達成することを課題
とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】本発明者は、前記課題を解決するために鋭意した結果、以下
の手段で解決できることを見出し、本発明に至った。

1.フォトマスク、水溶性樹脂塗布層及び感光性レジスト層をこの順で積
層させてなり、フォトマスクと水溶性樹脂塗布層はその界面で剥離可能で
ある、パターニング基材にパターンを転写するためのパターン転写用積層
体。
2.水溶性樹脂塗布層はフォトマスク上に水溶性樹脂溶液を塗布して形成
された層である1に記載のパターン転写用積層体。
3.感光性レジスト層は、フォトマスクの微細パターンを反映して露光さ
れた潜像パターンを有する1又は2に記載のパターン転写用積層体。
4.潜像パターンの幅が2μm以下である3に記載のパターン転写用積層体。
5.水溶性樹脂塗布層の厚みが、以下の式1で求められる厚み以下である
1~4のいずれかに記載のパターン転写用積層体。
式1:厚み=[0.50×(パターン幅)×(水溶性樹脂塗布層の屈折率
)/(露光波長)]
6.水溶性樹脂塗布層がポリビニルアルコールである1~5のいずれかに
記載のパターン転写用積層体。
7.パターン転写用積層体の感光性レジスト層面にフレームを固定し、フ
ォトマスクと水溶性樹脂塗布層はその界面で剥離可能である、1~6のい
ずれかに記載のパターン転写用積層体。
8.フォトマスクの水溶性樹脂塗布層側の面に、該フォトマスクと水溶性
樹脂塗布層の界面の剥離を促進する層を有する1~7のいずれかに記載の
パターン転写用積層体。
9.加工対象であるパターニング基材に密着させる前に、感光性レジスト
層を露光するための1~8のいずれかに記載のパターン転写用積層体。
10.水溶性樹脂塗布層と感光済み感光性レジスト層のみからなるパター
ン転写用積層体。
11.下記(a)~(g)工程を有する、感光性レジスト層を基材上に転
写する方法。
(a)フォトマスクの一方の面に水溶性樹脂溶液を塗布する工程、
(b)得られた水溶性樹脂溶液層を乾燥して水溶性樹脂塗布層を得る工程、
(c)水溶性樹脂塗布層上に感光性レジスト層を形成する工程、
(d)フォトマスク側から光を照射して感光性レジスト層を露光する工程、
(e)フォトマスクから水溶性樹脂塗布層と感光性レジスト層からなる積
層体を剥離する工程、
(f)剥離された水溶性樹脂塗布層と感光性レジスト層からなる積層体を
、感光性レジスト層がパターニング基材表面に接するように密着する工程、
(g)表面に位置する水溶性樹脂塗布層を水洗して除去し、必要によりパ
ターニング基材表面を現像及び/又は乾燥する工程

【発明の効果】
【0009】  本発明によれば、フォトマスク、水溶性樹脂塗布層及び感光
性レジスト層をこの順で積層させてなり、フォトマスクと水溶性樹脂塗布
層は、その界面で剥離可能であるパターン転写用積層体にすることができ
る。このため、パターニング基材表面が平面であっても、平面でなくても、
その表面に感光性レジスト層を積層させることができ、ひいては各種の表
面に対して感光性レジスト層を介して処理や加工を行なうことができる。
また、感光時において、感光性レジスト膜とフォトマスク間の距離を、十
分に近接できる程度の水溶性樹脂塗布層とすることができる。この効果に
加えて、水溶性樹脂塗布層の厚みが下記式1で求められるパラメータ値以
下であれば、露光時の回折広がりによるパターンのぼけを最小限に留める
ことができる。更に、感光性レジストに幅2μm以下の微細パターンを転
写する理想的な条件が得られ、平面又は立体基材上に貼り付け後に現像処
理を行うことでパターン転写が可能となる。
  式1:厚み=[0.50×(パターン幅)×(水溶性樹脂塗布層の屈折
率)]/(露光波長)

【図面の簡単な説明】
【0010】【図1】本発明のパターン転写用積層体。フォトマスク上に、
水溶性樹脂溶液及び感光性レジストを順にスピン成膜して形成する状態を
示す図
【図2】パターン転写用積層体のフォトマスク面側から紫外線を照射し露
光することで、感光性レジスト層に潜像を形成する図
【図3】フォトマスクから水溶性樹脂塗布層及び感光性レジスト層を剥離
する状態を示す図
【図4】フォトマスク周辺部の感光性レジスト層面にフレームを固定した
パターン転写用積層体のフォトマスク面側から紫外線を照射し露光するこ
とで、感光性レジスト層に潜像を形成する図
【図5】フォトマスク周辺部に感光性レジスト層面にフレームを固定した
パターン転写用積層体を、フレーム側から見た図
【図6】フォトマスクから、フォトマスク周辺部に感光性レジスト層面上
にフレームを固定した水溶性樹脂塗布層及び感光性レジスト層を剥離する

【図7】平面及び立体基材に感光性レジスト層を転写する工程を示す図
【図8】ダイス鋼SKD11に5種の幅の感光性レジストパターンを転写
した走査型電子顕微鏡写真
【図9】図8の最外周の幅1.1μmパターンの拡大図

【発明を実施するための形態】
【0011】本発明のパターン転写用積層体は、上記のようにフォトマス
ク、水溶性樹脂塗布層及び感光性レジスト層をこの順で積層させてなるこ
とを基本とする。そして、フォトマスクと水溶性樹脂塗布層は、その界面
で剥離可能であるパターン転写用積層体であり、特に微細なパターンを転
写するために有用である。
  以下に本発明のパターン転写用積層体の構造を順に説明する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【0012】(フォトマスク
  本発明におけるフォトマスクとしては特に限定されるものではなく、公知
のバイナリーマスクや位相シフトマスク等を使用することができる。フォ
トマスクの片面には、水溶性樹脂塗布層を形成できることが必要である。
  フォトマスクは明暗のみを変化させる白黒マスク(バイナリーマスク)で
も良く、ガラスに凹凸がある位相シフトマスク等でも良い。また大きさ、
形状等は任意に調整できる。
  また、フォトマスク、水溶性樹脂塗布層及び感光性レジスト層を一体と
して取り扱うことができる程度に、フォトマスクと水溶性樹脂塗布層との
間は適切な接着力を有することが必要である。同時に、使用時において、
水溶性樹脂塗布層をフォトマスクから剥離できる程度の剥離性を有するこ
とも必要である。
  そのため、必要に応じてフォトマスクの水溶性樹脂塗布層側の表面を処
理して、水溶性樹脂塗布層との間の接着力と剥離性を調整しても良い。そ
のために、フォトマスクの水溶性樹脂塗布層形成側の面に対して、該フォ
トマスクと水溶性樹脂塗布層の界面の剥離を促進する層として、公知のフ
ッ素化合物(C等)によるCFx膜等の離型材層を予め成膜するこ
とが可能である。
  フォトマスクから下記の水溶性樹脂塗布層を剥離する手段としては、フィ
ルム状の積層体を剥離する公知の手段を採用できる。この手段としては、
フォトマスクの端部を指や器具等でつまんで、剥離方向に力を加える等の
手段を採用できる。
【0013】(水溶性樹脂塗布層
  本発明における水溶性樹脂塗布層は、フォトマスクの片面の全面又は十分
な部分に形成される層であり、公知の水溶性樹脂からなる層で良いが、中
でも、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、
ポリエステル及びポリスチレンスルホン酸から選ばれた1種以上からなる
層が挙げられ、中でもポリビニルアルコールからなる層が好ましい。
  本発明における水溶性樹脂塗布層は、フォトマスクに対して水溶性樹脂溶
液を塗布乾燥してなる層である。そのため、樹脂フィルム等の基材表面に
水溶性樹脂溶液を塗布・乾燥し、これをフォトマスクに転写等して積層さ
せてなる層は、本発明における水溶性樹脂塗布層ではない。
  水溶性樹脂溶液の25℃での粘度は1000mPa・s以下であることが、
均一な水溶性樹脂塗布層を形成させる上で好ましい。その他、水溶性樹脂
溶液中の水溶性樹脂の濃度等は、必要な水溶性樹脂塗布層の厚みを達成す
るために任意に調整し得る。
  水溶性樹脂塗布層を構成する水溶性樹脂としては、適切な水溶性を供える
ことに加えて、水溶性樹脂塗布層をフォトマスクから確実に剥離し、剥離
後の水溶性樹脂塗布層と感光性レジスト層の変形等を発生させないことが
必要である。そのためには、水溶性樹脂塗布層が高い引張弾性率を有する
ことが好ましい。このような水溶性樹脂塗布層の引張弾性率としては、
23℃-50%RH環境下で調湿した後において、500N/mm以上
が好ましく、800N/mm以上がより好ましく、1100N/mm
以上が更に好ましく、1300N/mm以上が最も好ましい。500N
/mm未満の場合、フォトマスクから剥離する際に水溶性樹脂塗布層が
伸びてしまうため、感光性レジスト層が伸びてレジストパターンのひび割
れ等を発生させないように、注意しなくてはならない

  このポリビニルアルコールは変性及び/又は未変性のいずれでもよいが未
変性のものが好ましい。変性ポリビニルアルコールの場合には、主鎖中に
発明の効果を阻害しない範囲で、例えば10モル%以下、好ましくは7
モル%以下の範囲において、他の単量体を共重合させることができる。但
し、アニオン性及びカチオン性の官能基を有する単量体を共重合した場合
には、フォトマスクからの剥離が困難になる可能性があり、またレジスト
材料との反応により本発明の効果を阻害する可能性があるため、単量体と
しては、ノニオン性の性質を有するものが好ましい。
  ノニオン性の性質を有する単量体としては、例えば、エチレン、プロピレ
ン、イソブチレン、α-オクテン、α-ドデセン、α-オクタデセン等のオ
レフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水
マレイン酸、イタコン酸等のジアルキルエステル類、ポリオキシエチレン
ビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル等のポリオキシア
ルキレンビニルエーテル類、N-ビニルピロリドン等が挙げられる。これ
らの他の単量体は、単独でもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
【0014】
  ポリビニルアルコールを採用する際には、ポリビニルアルコールのケン
化度は60mol%以上が好ましく、70~95mol%が更に好まし
い。ケン化度が60mol%未満の場合には、十分な水溶性を有さず、転
写工程時に十分に水による溶解除去ができない可能性があり、その場合に
は、以後の工程に支障をきたす可能性がある。また、ポリビニルアルコー
ルの重合度は500以上が好ましく、600~2000がより好ましく、
1000~1500が更に好ましい。ポリビニルアルコールの重合度が
500未満の場合には、形成したポリビニルアルコール層の機械的強度が
弱く、フォトマスクからの剥離の際にフィルムが破損等する可能性がある。
ポリビニルアルコールの重合度が2000を超える場合には、水溶液にし
た際の粘度が高くなり、フォトマスク上に水溶性樹脂塗布層としてポリビ
ニルアルコール層を形成する際に支障をきたす可能性がある。


【0015】ポリビニルアルコールには、感光性レジスト層に悪影響を及
ぼさない限りにおいて公知の可塑剤を添加することができる。好ましくは、
ジオール化合物及び/又はもしくは隣接する水酸基がδ位以降に位置する
トリオール化合物を少なくとも1種以上含む。そして、好ましいジオール
化合物は数平均分子量が600以上であり、より好ましくは800以上で
あり、更に好ましくは1000以上である。可塑剤を無添加、もしくはジ
オール化合物又は隣接する水酸基がδ位以降に位置するトリオール化合物
以外の化合物を可塑剤として添加した場合、フォトマスクから剥離する際
に確実に剥離できない等の支障をきたし、剥離時のノッキング等でレジス
トパターンに影響が出る可能性がある
  ここで、隣接する水酸基がδ位以降に位置するトリオール化合物とは、水
酸基を3つ有し、そのうちのいずれの水酸基を基準にして、これに結合す
る炭素元素をα位としたとき、その基準の水酸基と残りの2つの水酸基の間
には、最短でそれぞれ炭素や酸素等の原子価2以上の原子が4つ以上結合
した化合物である。そして、3つの水酸基のうちの任意の2つの水酸基の
組み合わせの全てにおいて、原子価2以上の原子が4つ以上結合すること
が必要である。
【0016】例えば、下記化1に示す1,4,8-オクタントリオールは、
4位の炭素原子に結合した水酸基を基準にすると、これに隣接する1位及
び8位の水酸基の位置はそれぞれδ位及びε位となる。同様にして下記化
2に示すオキシエチレングリセリルエーテルでは、分子中の中間に位置す
る水酸基を基準とすると、隣接の水酸基はそれぞれθ位に位置する。
  本発明中の隣接する水酸基がδ位以降に位置するトリオール化合物は、ト
リオール化合物中の全ての水酸基が互いにδ位以降に位置しあう化合物で
ある。
  下記化3に示す1,2,8-オクタントリオールのように、隣接する2つ
の水酸基の間がδ位以降に位置するが、隣接する別の2つの水酸基の組合
せが、γ位までの間に位置する化合物は、本発明における隣接する水酸基
がδ位以降に位置するトリオール化合物ではない。
  (化1)
000003

  (化2)
000004

  (化3)
000005
【0017】また、水溶性樹脂溶液には、本発明の効果を阻害しない範囲
において、フォトマスクに形成する際のはじき防止のためのレベリング剤
や、水で溶解する際の泡立ちを防ぐ目的で消泡剤を添加することができる
。いずれも公知のものを使用でき、中でも非シリコーン系の材料が好ましい。
  更に、水溶性樹脂塗布層はその上に感光性レジスト層が形成されることか
ら、感光性レジストの溶液に含まれる溶媒、例えばアセトン、シクロヘキ
サノン、メチルエチルケトン、酢酸2-メトキシ-1-メチルエチル等に
侵されないことが必要である。侵された際には水溶性樹脂塗布層が溶解して
穴開き等が発生し、本発明の効果を損なう可能性がある。

【0018】水溶性樹脂塗布層の厚みのうち、好ましい厚みは以下の式1
で求められた厚み以下である。
  式1:厚み=[0.50×(パターン幅)2×(水溶性樹脂塗布層の屈折
率)/(露光波長)]
  屈折率が1.50の水溶性樹脂を使用し、求めるパターン幅1μm、使用
する露光波長400nmの場合には、式1は、厚み=[0.50×(1μm)
2×(1.5)/(0.4μm)]=1.9より、厚みは約1.9μm以下
であることが好ましく、同様にパターン幅2μm、露光波長400nmの
場合には、厚みは7.5μm以下であることが好ましい。同様に、パター
ン幅1μm、露光波長250nmの場合には厚み3.0μm以下であること
が好ましく、露光波長365nmの場合には厚み2.0μm以下であるこ
とが好ましい。水溶性樹脂塗布層の厚みが式1により求めた厚みを超える
場合には、フォトマスクと感光性レジスト層の間での光回折によりパター
ンぼけが発生し、結果としてパターン形状を損なう可能性がある。なお、
求めるパターン幅によって、厚み等を広く調整できるが、より微細なパタ
ーンでの露光を前提にした通常の使用での厚みは、3.0μm以下が好ま
しく、2.6μm以下がより好ましく、2.3μm以下が更に好ましく、
1.9μm以下が最も好ましい。
  また、波長248nm以上での光線透過率が80%以上であることが好ま
しい。80%未満の場合には、水溶性樹脂塗布層で照射光が吸収され、感
光性レジスト膜に照射される光の強度が弱くなり、パターン形状を損なう
可能性がある。
【0019】このような水溶性樹脂塗布層をフォトマスクの一方の面に設
けるため、水溶性樹脂を溶媒に溶解してなる水溶性樹脂溶液を用いて、回
転装置上に載置したフォトマスクを回転させながら、フォトマスク上に水
溶性樹脂溶液を供給するスピンコート、フォトマスク上に水溶性樹脂溶液
をスプレーするスプレーコートやスリットダイによるスリットコート等の
公知の手段によりフォトマスクの全面に塗布・乾燥して設ける手段を採用
しても良い。また、予め離型フィルム上に水溶性樹脂溶液層を形成してお
き、この水溶性樹脂溶液層が乾燥する前に、フォトマスク上に公知の手段
により転写しても良い。スピンコートにより塗布する場合には、B型粘度
計を用いてずり速度1.7s-1で測定した25℃における粘度が350
mPa・s以下であることが好ましい。350mPa・sを超える場合に
は、水溶性樹脂塗布層を形成する際に支障をきたす可能性がある。
  このようにフォトマスクの水溶性樹脂塗布層を形成する側の面に、水溶性
樹脂の溶液を塗布する等の手段により水溶性樹脂溶液層を形成させ、この
水溶性樹脂溶液層を乾燥させることにより、フォトマスクの所望する領域
全体に対して均一な水溶性樹脂塗布層を、その領域全面に対して確実に密
着させて形成できる。仮に、別フィルムに形成した水溶性樹脂層や感光性
レジスト層を、フォトマスクの表面に重ねる場合には、フォトマスク表面
との間に密着できない隙間が形成される可能性がある。そして、この結果
としてパターンが光回折で広がったり、光干渉縞が重畳してパターンが劣
化したりする。
【0020】(感光性レジスト層)
  本発明の実施の形態による感光性レジスト層には、水溶性樹脂塗布層の
上に形成できる、公知のポジ型レジスト及びネガ型レジストの両者を使
用することができる。その中でも露光波長248nm~436nm(24
8nm:KrFエキシマレーザー、365nm:i線、436nm:g線
)に適したレジストが好ましい。現像の結果、ポジ型レジストを使用し
た場合には、露光された領域が除去され、露光されなかった領域が基材に
残る。ネガ型レジストを使用した場合には、露光されなかった領域が除去
され、露光された領域が基材に残る。いずれにしても、感光性レジスト層
は、フォトマスクの微細パターンを反映して露光された潜像パターンに基
づくパターンが形成される。
  感光性レジスト層の厚みは、基材にパターニング後に続くエッチング加工
や堆積加工に耐える膜厚が好ましい。例えば、幅1μm、高さ2μmの堆積
加工を行う際には、感光性レジスト膜の厚みは2μm以上が好ましい。
【0021】(フレーム)
  本発明においては、フォトマスクと水溶性樹脂塗布層の界面から水溶性
樹脂塗布層以降の層の剥離を容易にするために、パターニングされる基材
のパターン形成領域の外縁よりも外側の領域に対応するフォトマスク周
辺部の感光性レジスト層面にフレームを補強枠として設けることができる。
これにより、感光性レジスト層の剛性を向上させて、フォトマスクを水溶
性樹脂塗布層の界面から無溶剤で剥離しやすくすることができる。また剥
離後の水溶性樹脂塗布層と感光後の感光性レジスト層からなる積層体に対
して、ある程度の剛性等を与えることができる。
  フレームは感光性レジスト層表面の周縁部に設けることができ、周縁全
てにわたって設けても良く、周縁部の複数箇所に分散して互いに独立して
設けてもよい。フォトマスク表面をパターニング基材(パターン転写対象
の物品)の表面に押し付けるため、フレームは周縁に設けられるのであり、
中央部に設けられるのではない。
  また、パターニング基材の表面が凸状曲面等である場合、パターン転写
用積層体の感光性レジスト面に押圧がかかる場合があり、その際であって
も、フレームによりパターン転写用積層体の形状を保ちながら、パターン
転写を行うことができる。
  フレームの厚さは0.050mm以上が好ましく、0.080mm以上が
より好ましく、0.100mm以上が更に好ましく、0.140mm以上
が最も好ましい。また1.000mm以下が好ましく、0.500mm以
下がより好ましく、0.300mm以下が更に好ましい。例えば、日東電
工株式会社製のリバアルファ等が挙げられる。
  フレームは、片面が粘着層である厚膜シート状物でよく、感光性レジス
ト層に対して剥離可能であっても、剥離不可であっても良い。ウェハの加
工時に使用する粘着シートが好ましい。
【0022】(パターニング基材)
  パターニング基材は本発明のパターン転写用積層体を使用する加工対象で
ある、パターニング基材としては、表面が平滑又は立体のパターニング基
材である。この立体のパターニング基材とは、半導体ウェハやディスプレ
イ用平面ガラス板のような表面が平滑で丈夫なものではなく、パターンを
形成する領域に凹部、凸部、又は凹凸が形成された基材、表面粗さを持
つ基材、柔らかいシート等の基材がある。またそのような表面の領域を有
する、プリント基板、樹脂及び金属基板等、様々な用途の基材を対象にで
き、それらの材料に関しても金属、非金属及び樹脂等の様々なものを対象
にできる。そして、本発明のパターン転写用積層体を使用したパターニン
グ基材への加工は、模様や回路の形成、エッチング等、公知の目的の加工
とすることができる。特に微細なテキスチャ付き曲面金型(赤外線用レン
ズの反射防止構造等)や微細パターンを有する圧延ロール、曲面や壁面に
設ける立体配線、マイクロコイル電気回路部品や磁気センサを設けたもの、
電池内部構造のセパレータ等の幅が2.0μm以下のパターン等を得ること
を目的としたパターニング基材を加工対象にすることができる。また、平
面であっても幅が2.0μm以下のパターン等を設けるパターニング基材も
加工対象にすることができる。
  また、パターニング基材の用途、材料、形状、相対的な大きさ、配置、成
膜方法、微細パターン転写方法におけるプロセス条件や追加の前処理や後
処理等は限定されるものではない。そのため本発明のパターン転写用積層体
は、上記の表面が平滑で丈夫なパターニング基材のみならず、表面形状が
立体であったり、柔らかいパターニング基材に対してパターンを転写する
ためのものも包含する。
  そして、加工対象であるパターニング基材にパターン転写用積層体を密着
させる前に、本発明のパターン転写用積層体の感光性レジスト層を露光す
ることが好ましい。
  ただし、水溶性樹脂塗布層を水により除去する工程を必要とするので、パ
ターニング基材は水に対して不溶性であることが必要である。

【0023】(パターン転写用積層体の構造及びその製造方法)
  図1に示すように、本発明のパターン転写用積層体1は、フォトマスク
4、水溶性樹脂塗布層3、感光性レジスト層2を順に積層してなる積層
体を基本とする。その具体的な構造、製造方法、及び使用方法の例を以下
に示す。また、図示はしないが、感光性レジスト層2の表面に、剥離可能
な保護層を設けて、パターン転写用積層体の保管時や、露光後のパターニ
ング基材への密着直前までの間、感光性レジスト層2表面の汚染等を防止
するようにしても良い。
【0024】図1に示すように、本発明のパターン転写用積層体1は、フ
ォトマスク4をスピン成膜用ヘッド5の上面に固定して回転させながら、
フォトマスク4上のマスクパターン4Aがある面に、まず水溶性樹脂溶液
を供給してスピンコートし、この層を乾燥させることにより水溶性樹脂塗
布層3を形成し、更にその上に、同じく感光性レジスト層2をスピンコー
トして順に成膜して得たものである。
【0025】
  (a)フォトマスクの一方の面に水溶性樹脂塗布層3を塗布する工程
  フォトマスクの一方の面に水溶性樹脂塗布層3を得るための水溶性樹脂溶
液の塗布工程としては、確実に均一な水溶性樹脂塗布層3を形成できる手
段であれば良い。そして、上記のスピンコート以外にもスプレーコートや
スリットコート等の任意の手段を採用可能である。
【0026】
  (b)得られた水溶性樹脂溶液層を乾燥して水溶性樹脂塗布層3を得る工程
  得られた水溶性樹脂溶液層の乾燥手段としては特に限定されない。任意の
加熱手段による加熱を行って乾燥させてもよく、水溶性樹脂溶液層が十分に
薄いときには、自然乾燥による乾燥でも良い。得られた水溶性樹脂塗布層
3は、全ての箇所において、フォトマスク4に完全に密着している。仮に、
水溶性樹脂からなる層を予め得たフィルムをフォトマスクに被覆する手段
を採用すると、両者を確実に完全に密着させるには相当の技量を有し、技
量があったとしても相当に困難である。
【0027】
  (c)水溶性樹脂塗布層3上に感光性レジスト層2を形成する工程
  水溶性樹脂塗布層上に液状の感光性レジスト液を、水溶性樹脂塗布層3
を形成するために採用できる塗布の手段と同様の手段を独立して採用でき
る。いずれにしても、確実に均一な感光性レジスト層2を形成できる手段
であれば良い。
  また、形成直後の感光性レジスト層2に対して、必要に応じて任意の加
熱手段による加熱を行って乾燥させてもよく、感光性レジスト層2の厚み
を考慮して、自然乾燥による乾燥でも良い。
【0028】図2はパターン転写用積層体の断面図であり、フォトマス
ク4上に形成した水溶性樹脂塗布層3上に、感光性レジスト層2を成膜し
てなる。
  (d)フォトマスク側から光を照射して感光性レジスト層を露光する工程
  予めフォトマスク4のマスクパターン4Aの無い面側(図2中の上方)
から紫外線6等を照射して、感光性レジスト層2をマスクパターン状に露
光することにより、潜像パターンである紫外光が照射されて感光済みの感
光性レジスト2Aを有するパターン転写用積層体1Aを得る。この紫外光
が照射された感光性レジスト2Aは紫外線が照射されて変化した感光性レ
ジストであり、2Bは紫外線がフォトマスクにより遮光された結果、照射
されずに、元の状態のままの感光性レジストである。

【0029】 (e)フォトマスクから水溶性樹脂塗布層3と感光性レジス
ト層2からなる積層体を剥離する工程
  図3はパターン転写用積層体1Aを、フォトマスク4と水溶性樹脂塗布層
3の界面において、フォトマスク4と、水溶性樹脂塗布層3及び感光性レ
ジスト層2を剥離する図である。なお、フォトマスクから水溶性樹脂塗布
層3と感光性レジスト層2からなる積層体を剥離する工程は、フォトマス
クを水溶性樹脂塗布層3と感光性レジスト層2からなる積層体から剥離す
る工程も包含する。
  フォトマスクから、水溶性樹脂塗布層3と感光性レジスト層2からなる
積層体を剥離する工程において、フォトマスクに密着する水溶性樹脂塗布
層3の端部から、剥離のきっかけとして小さい剥離域を形成させ、これを
つまむことができる治具等でつまみ、徐々に剥離域を広げながら水溶性樹
脂塗布層3全体に剥離域を拡大して、フォトマスク4と水溶性樹脂塗布層
3全体を剥離する。この結果としてフォトマスクから水溶性樹脂塗布層3
と感光性レジスト層2からなる積層体を得る。また、フォトマスク4の上
に水溶性樹脂塗布層3を形成させる際に、フォトマスク4又は水溶性樹脂
塗布層3のいずれかに対して、より密着性が強い小片(紙片、樹脂フィル
ム片、繊維片等)を、フォトマスク4と水溶性樹脂塗布層3の間であって、
その小片の端部が水溶性樹脂塗布層3の端部から外部にはみ出すように設
けてもよい。フォトマスクから、水溶性樹脂塗布層3と感光性レジスト層
2からなる積層体を剥離する際には、治具や指先で小片の端部をつまんで、
フォトマスク4と水溶性樹脂塗布層3を分離させることができる。
  また、フォトマスク4の端部表面(水溶性樹脂塗布層3が形成されてい
ない側の面)にポリイミド等を基材とする任意の粘着テープを貼付し、こ
のテープの端部を指先で摘んでフォトマスクを剥がす方向に引っ張ること
で、フォトマスク4と水溶性樹脂塗布層3の界面の端部等をわずかに剥が
すことで、続く剥離のきっかけを作る。次いで、その端部のきっかけをピ
ンセットで摘んでフォトマスク4を水溶性樹脂塗布層3以降の層から剥離
させても良い。
  なお、水溶性樹脂塗布層3及び感光性レジスト層2に影響を及ぼさない限
りにおいて、有機溶剤等の公知の剥離剤を使用することができる。
【0030】図4はフォトマスク4と、水溶性樹脂塗布層3以降の層の剥
離を円滑に進める等のために、予め補強枠としてフレーム7を貼り付けた
パターン転写用積層体1Bである。図5はフォトマスク4を設けた状態を
フレーム7側から見た図である。フォトマスク4の周辺部は、パターニン
グされる基材よりも外に設計できるため、この周辺部に補強枠としてフレ
ーム7を設けることができる。この結果、例えば使用時において、フレー
ム7を把持しつつ、フォトマスク4と水溶性樹脂塗布層3との間を離すよ
うに力を与えることにより、フレーム7を有しない場合よりも円滑に水溶
性樹脂塗布層3と感光性レジスト層2からなる積層体を剥離できる。

【0031】図6は、補強枠としてフレーム7を貼り付けたパターン転写
用積層体1Bのフォトマスク4と水溶性樹脂塗布層3の界面より水溶性樹
脂塗布層3以降の層を剥離する図である。フレーム7を設けることで水溶
性樹脂塗布層3及び感光性レジスト層2が補強され、剥離時のきっかけと
なるため、剥離剤等を使用せず無溶剤な工程が可能となる。このようなフ
レーム7を設けることにより、水溶性樹脂塗布層3及び感光性レジスト層
2からなる積層体全体の剛性を高めることができる。この結果として、こ
の剥離工程を円滑に進めることができ、かつその後の水溶性樹脂塗布層3
と感光性レジスト層2からなる積層体の取り扱い性を容易にさせることが
できる。フレームの形状は図5に示すものに限定されず、図5において内
周が円形でなくても良く、外形も正方形でなくても良い。更に図6におい
てフレームの厚さは任意であり、水溶性樹脂塗布層3及び感光性レジスト
層2が補強され、剥離時のきっかけになる程度に厚ければ良い。

【0032】
  (f)剥離された水溶性樹脂塗布層3と感光性レジスト層2からなる積層
体を、感光性レジスト層2がパターニング基材表面に接するように密着す
る工程図7は、パターン転写用積層体1A及び1Bのフォトマスク4から
剥離させた水溶性樹脂塗布層3及び感光性レジスト層2を、感光性レジス
ト層2側よりパターニング用平面基材8及びパターニング用立体基材9に
密着させ、必要に応じて加熱により貼り付ける図である。その後、水溶性
樹脂塗布層3は、水に溶解するために水洗除去されるため、感光性レジス
ト層2に影響を与えることなく水洗により除去することができる。更に、
現像することによりパターニング用平面基材8上及びパターニング用立体
基材9上に感光性レジスト層2の微細パターンを転写できる。
【0033】
  (g)表面に位置する水溶性樹脂塗布層3を水洗して除去し、必要により
パターニング基材表面を現像する工程上記(f)工程によりパターニング
基材表面に、感光性レジスト層2を介して設けた水溶性樹脂塗布層3を水
洗により除去する。水洗の手段としては、水溶性樹脂塗布層3に対して水
性液体を噴霧して、水溶性樹脂を溶解させて除去する手段や、パターニン
グ基材ごと水性液体に浸漬して、水溶性樹脂を溶解させる手段等の任意の
手段を採用できる。このようにして基材上に感光性レジスト層を転写でき
る。
【0034】上記(g)工程の後、感光性レジスト層2に適合した任意の
条件により現像をする。その後、目的とするパターンを得るように、蒸着
めっき堆積、イオン注入、エッチング等の公知の処理を行なうことができ
る。
【実施例】【0035】
  以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。なお、実施例
は本発明の1形態を示すものであり、本発明はこれに限定されるものでは
ない。
(フォトマスク)
  フォトマスクは円周上に5種のライン—アンド—スペースのパターンが
並んだ形状をデザインしたバイナリーマスクを使用した。中心から外周に
向かって徐々に微細になっており、パターン幅は11.5μm、6.6μ
m、3.7μm、2.1μm及び1.1μmである。
【0036】(水溶性樹脂水溶液)
  日本酢ビ・ポバール社製のJポバール(JP-15:ケン化度90mol
%、重合度1500(PVA1用)、JP-10:ケン化度90mol%、
重合度1000(PVA2用)、JP-05:ケン化度89mol%、重
合度600(PVA3、7及び8用)、JR-05:ケン化度70mol
%、重合度600(PVA4及び9用)、JP-03:ケン化度90mol
%、重合度300(PVA5用)、JP-24:ケン化度90mol%、
重合度2400(PVA6用)、を用いて、表1に示される組成のPVA
1~PVA9の水溶性樹脂水溶液を調製した。可塑剤添加量はPVA1~
8は水溶性樹脂100重量部に対しそれぞれ5重量部添加した。表1の粘
度はB型粘度計(東機産業社製TVB-10)を用いて25℃、ずり速度
1.7s-1で測定した。
【0037】【表1】
000006
【0038】(感光性レジスト)
  感光性レジストはノボラック樹脂系のポジ型レジスト(AZ1500、
Clariant社)を使用した。
【0039】(パターニング基材)
  パターニング基材1は、外径21.4mmのダイス鋼SKD11を使用
した。この表面を#10000にて研磨した。
  パターニング基材2は、立体形状基材として、外径25mm、曲率半径
130mmの湾曲面の高低差が0.6mmである平凸レンズを使用した。

【0040】(パターン転写用積層体の作製)
  スピンコーターの成膜用ヘッドにフォトマスクを固定し、フォトマスク上
に表1に記載の水溶性樹脂水溶液を滴下、スピンヘッドを回転、乾燥させ
ることで水溶性樹脂塗布層を得た。水溶性樹脂塗布層の厚みは水溶性樹脂
水溶液塗布時のスピンヘッドの回転数で調整した。乾燥は80℃で実施し
た。その後、水溶性樹脂塗布層上に感光性レジストとしてポジ型レジスト
を滴下、スピンヘッドを回転、ベークすることで表2に記載の実施例1~
4、及び6のパターン転写用積層体を得た。感光性レジスト層の厚みはス
ピンヘッドの回転数で調整した。
  また、表2の実施例5及び7はパターニング基材の外径よりも外側に補
強枠として厚さ175μmのフレーム(厚膜フレーム(リバアルファ、日東
電工社))を固定した。水溶性樹脂塗布層及び感光性レジスト層の厚みは
段差計及びエリプソメーター(波長632.8nm)により測定した。

(露光)
  マスクアライナを用いて実施例1~7のパターン転写用積層体のフォト
マスク側から露光(水銀ランプ、波長365nm)を行い、感光性レジス
ト層に潜像パターンを得た。
【0041】【表2】
000007
【0042】(実施例及び比較例)
パターン転写用積層体の作製
  実施例及び比較例として表3のパターン転写用積層体を得た。実施例8
及び9は実施例1の水溶性樹脂塗布層の厚みを変えたものである。実施例1
0は実施例8と同じパターン転写用積層体を使用したが、下記表5に示す
ように、特に微細なパターン形成のみの場合の例であり、水溶性樹脂塗布
層の厚みによっては、対応できないパターン幅があることを示す。比較例
1では水溶性樹脂塗布層を設けず、比較例2及び3は実施例3の水溶性樹
脂塗布層の重合度を変えたものである。比較例4及び5は実施例3の水溶
性樹脂塗布層の可塑剤種を変えたもの、比較例6は水溶性樹脂塗布層に可
塑剤が含まれていないものである。水溶性樹脂塗布層の厚みは水溶性樹脂
水溶液塗布時のスピンヘッドの回転数で調整し、乾燥は80℃で実施した。
その後、水溶性樹脂塗布層上に感光性レジストとしてポジ型レジストを滴
下、スピンヘッドを回転、ベークし、比較例1~6のパターン転写用積層
体を得た。
(露光)
  マスクアライナを用いて比較例1~6のパターン転写用積層体のフォトマ
スク側から露光(水銀ランプ、波長365nm)を行い、感光性レジスト
層に潜像パターンを得た。
【0043】【表3】
000008
【0044】比較例7では、ポリエステルフィルム上に表1のPVA1を
バーコーターで塗布、80℃で乾燥することで厚み2.0μmの水溶性樹
脂層を形成し、この水溶性樹脂層上にポジ型の感光性レジストをスピンコ
ーターにより塗布、乾燥し、厚み1.5μmの感光性レジスト層を得た。
その後、ポリエステルフィルムを剥離し、フォトマスクと水溶性樹脂層表
面を合わせて、感光性レジスト側より熱と圧力を掛けて密着させた。この
場合の水溶性樹脂層は本発明でいう水溶性樹脂塗布層ではない。
  次いで実施例1と同様に露光(水銀ランプ、波長365nm)を行い、感
光性レジスト層に潜像パターンを得た。
【0045】  比較例8では水溶性樹脂塗布層及び感光性レジスト層を設け
ずに、ポジ型の感光性レジストをパターニング基材2に直接スピン成膜し
た。その後、レジスト側にフォトマスクを近接させて、マスクアライナを
用いて露光(水銀ランプ、波長365nm)を行い、感光性レジスト層に
潜像パターンを得た。
【0046】(水溶性樹脂塗布層の引張弾性率)
  表1の水溶性樹脂水溶液を離型処理ポリエステルフィルム上にバーコート
により塗工・乾燥させ、23℃-50%RH環境下で調湿した後に、水溶
性樹脂塗布層を剥離し、JIS  K  7161-1:2014に従い、引張
試験機を用いて引張弾性率を測定した。
【0047】
(パターン転写)
<フォトマスクからの剥離>
  露光後潜像パターンを得た実施例1~4、6、8及び比較例1~6につ
いて、フォトマスクの端部表面にポリイミド粘着テープを貼付し、このテ
ープを指先で摘んでフォトマスクを剥がす方向に引っ張ることで、フォト
マスクと水溶性樹脂塗布層の界面の端部に剥離のきっかけを作る。次いで、
その端部のきっかけをピンセットで摘んでフォトマスクを水溶性樹脂塗布
層以降の層から剥離させ、感光性レジスト層等に影響を与えるかどうかを
確認した。実施例5、7、9及び10については、厚膜フレームをピンセ
ットでつまんでフォトマスクと水溶性樹脂塗布層の界面より剥離させた。
  〇:フォトマスクからレジスト層等に悪影響を与えることなく剥離可能
  ×:フォトマスクからレジスト層等に悪影響を与えることなく剥離できな

【0048】<パターニング基材1への転写>
  実施例1~5、8及び9、比較例1~6について、フォトマスクから剥
離した水溶性樹脂塗布層以降の層を感光性レジスト層側から基材であるパ
ターニング基材1に真空密着させた。その後、水溶液樹脂塗布層を水洗に
より除去後、現像液に浸漬し、潜像パターンを現像した。実施例5及び
例9のフレームは、水溶性樹脂塗布層の水洗工程で同時に除去した。比
較例7は露光後、水溶性樹脂層を水洗により除去後、現像液に浸漬し、潜
像パターンを現像した。
  〇:パターン不良なし  
  ×:ぼけ等のパターン不良あり
【0049】<パターニング基材2への転写>
  実施例6、7及び10について、フォトマスクから剥離させた水溶性樹
脂塗布層以降の層を感光性レジスト層側からパターニングの基材2に真空
密着させた。その後、水溶液ポリマー層を水洗により除去後、現像液に浸
漬し、潜像パターンを現像した。実施例7及び10のフレームは、水溶性
樹脂塗布層の水洗工程で同時に除去した。比較例8は露光後、現像液に浸
漬し、潜像パターンを現像した。
  〇:パターン不良なし  
  ×:ぼけ等のパターン不良あり
【0050】【表4】

【0051】【表5】

【0052】表4によると実施例1~5はいずれのパターン幅においても
良好な転写結果が得られた。図8はパターニング基材に転写したレジスト
パターンの走査型電子顕微鏡写真の一例である。中心から外周に向かって
段階的に微細になっている5種のパターンである。図9は図8の最外周の
幅1.1μmのパターンの拡大図である。
  本実施例の水溶性樹脂塗布層の屈折率1.50、i線の露光波長365nm
においてパターン幅1.1μm、2.1μm、3.7μm、6.6μm、11.
5μmにおける、式1による厚みはそれぞれ、2.5μm、9.1μm、28.
1μm、89.5μm及び271.7μmとなり、表2の実施例1~5の水溶
性樹脂塗布層の厚みはパターン幅1.1μmにおける該厚み以下であったこ
とから、パターン幅1.1μmの転写がパターンぼけ等なく可能であった。

【0053】下記の各比較例は、水溶性樹脂塗布層を均一に塗布できなか
ったり、フォトマスクと水溶性樹脂塗布層をその界面で剥離することが困
難な例である。均一な塗布は水溶性樹脂水溶液の濃度調整等により、剥離
性の向上は水溶性樹脂水溶液中の添加剤の調整等により改善できるもので
ある。これらの比較例は、本発明において、フォトマスクと水溶性樹脂塗
布層はその界面で剥離可能である、という条件を満たさない例として示した。
  比較例1では、水溶性樹脂塗布層を設けていないため、感光性レジスト層
が剥離できず転写が不可能であった。実施例8では、パターン幅2.1μm
以上のときには良好にパターン転写できたが、水溶性樹脂塗布層の厚みが
式1を満たさなかったパターン幅1.1μmでは、良好なパターン転写が
得られなかった。同様に実施例9ではパターン幅3.7μm以上のときに
は良好にパターン転写できたが、水溶性樹脂塗布層の厚みが式1を満たさ
なかったパターン幅2.1μm以下では、良好なパターン転写が得られな
かった。
  以上の結果より、更に微細で良好なパターン転写を得るには水溶性樹脂
塗布層の厚みが式1から得られる厚み以下が好ましい。
  比較例2では、水溶性樹脂塗布層として採用したポリビニルアルコール
の重合度が低いため、水溶性樹脂塗布層の強度が弱く、フォトマスク端部
の剥離のためのきっかけから剥離する際に水溶性樹脂塗布層が破れ、それ
に伴い感光性レジスト層が破損した。つまり、剥離可能に形成することが
できなかった。
  比較例3では、水溶性樹脂水溶液の粘度が高く、スピンコートによりフ
ォトマスク上に均一な水溶性樹脂塗布層を設けることができず、続く感光
性レジスト層の厚みも不均一となりパターン形状に支障をきたした。
  比較例4及び5では、水溶性樹脂塗布層の弾性率が低く、フォトマスク端
部のきっかけから剥離する際にフィルムが伸び、それに伴い感光性レジス
ト層が破損した。つまり、剥離可能に形成することができなかった。
  比較例6では、フォトマスク端部のきっかけからの剥離が困難であり、感
光性レジスト層が破損した。つまり、剥離可能に形成することができなか
った。
  比較例7では、水溶性樹脂塗布層をフォトマスク上に設けていないため、
露光時にフォトマスクを水溶性樹脂層に密着させた際に、フォトマスクと
水溶性樹脂層の間で光回折等が起こり、パターン幅6.6μm、3.7μm、
2.1μm及び1.1μmにおいて水溶性樹脂層の厚みが式1を満たしてい
るが、良好なパターンを得ることができなかった。
【0054】表5によると、実施例6及び7はいずれも表2の水溶性樹脂
塗布層の厚みがパターン幅2.1μm及び1.1μmの式1の厚み以下の値
であり、立体形状のパターニング基材に対して良好なパターン転写を得た。
実施例10は、水溶性樹脂塗布層の厚みが式1を満たしたパターン幅2.
1μmでは良好なパターン転写が得られたが、式1を満たさなかったパター
ン幅1.1μmでは、良好なパターン転写が得られなかった。以上の結果
より、立体形状のパターニング基材に対しても、更に微細で良好なパター
ン転写を得るには水溶性樹脂塗布層の厚みが式1から得られる厚み以下が
好ましい。
  比較例8は、パターニング基材に感光性レジストを直接塗布しフォトマス
ク4越しに露光したものである。パターニング基材は湾曲面のために0.6
mmの高低差があり、このギャップ中で生じる光回折により均一な露光が達
成できず、良好なパターンを得ることができなかった。
  全実施例について、感光性レジスト層上にフレームを設けた場合には、フ
ォトマスクの剥離時、及びパターニング基材へのレジスト層の密着時にお
ける取り扱い性が、設けない場合よりも向上した。

【産業上の利用可能性】
【0055】  本発明のパターン転写用積層体は、シリコンウェハ等の高
度に平滑な基材だけでなく、鋼材のような表面が比較的荒れた形状の基材
への微細パターンの転写が可能であり、また、立体形状の基材への微細パ
ターンの転写が可能である。微細パターンとして生物模倣パターンを設計
した際には、生物の持つ機能を表面に与えることが可能である。
  立体形状を持つ基材へのフォトリソグラフィ技術による微細加工は、機
能として立体形状を必要とするセンサ・アクチュエータ・マイクロ流路等
のMEMSデバイス、光導波路とも整合する形で素子を配置する必要があ
る光デバイスシステム、LSIやイメージセンサ等の既存の平面デバイス
を複数積み上げる等によって実現する3次元LSI等の小型集積システム、
ウェハとは同様に扱えない精密機械部品中の局所的な平坦部・湾曲面をも
つ部材やその製造に利用する金型、等に求められている。これらに応える
加工技術が、フォトリソグラフィ技術が持つ一括で多点同時処理の特徴を
維持しながら実現できるほど、生産性が高い技術となり産業に利用される
可能性が高い。                        了
🪄マスクレスOLED製造の競争は当面競争が続き、初のマスクレスOLEDデ
ィスプレイは2025年初頭に市場に投入される見込み  
               




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