極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

虫の知らせ。

2015年05月14日 | 時事書評

 

 

 

 


庄堺公園のバラを観にでかけた。まだ少し早いが台風後で上天気。楽しいそうに話しながら隣接
するグランドに向かうグランドゴルフの老齢の男女の集団が横切る。今年は母がいない薔薇鑑賞
だが、それでも芳い香りに包まれたひとときを二人で過ごす。


【鯰の蒲焼きが全国展開に?】 

蒲焼きのウナギが話題となっているという。TBSでは、奈良県大和郡山市の「うなぎの川はら」
で、香ばしい匂い、こってりした脂の乗ったナマズの蒲焼きの試験的販売を放送していた。近畿
大学の研究者と鹿児島の養鰻業者のコラボで、養殖ナマズのエサを工夫したところ、ウナギに似
た風味をもたせることに成功する。今月9日からウナギ料理店で試験販売し、顧客の声をアンケ
ートする予定。絶滅が危惧されるウナギに代わり夏の主役になれるのではと期待されている。「
ウナギ風味のナマズ」作りの研究は、近大水産経済学研究室(奈良市)の有路昌彦准教授と同大
学院1年の和田好平氏。近大はクロマグロの完全養殖など食の安全・安定を探る研究者が多いな
か、有路准教授は約4年前に調査、研究を開始。昨年、鹿児島県・大隅半島でナマズとウナギの
両方を育てる牧原養鰻の協力を得て 試行錯誤を重ねてきた。ナマズは川や湖沼にすむ淡水魚で
ウナギとは異なるが、ぬるぬるとした表面や生息地など似ている点もあり、有路准教授は「ウナ
ギの代替食になるのではないか」と考え、各地のナマズを 取り寄せ、脂の乗り具合や臭みなどを
比較。「マナマズ(ニホンナマズ)」という種類がかば焼きに適すると判断。泥臭さは生育環境
の影響が大きいため、エサなど養殖技術を工夫すれば ウナギ並みになる。有路准教授は、国内に
は海水魚の養殖に使う固形エサが数百種類あり、栄養価や品質が高く、従来の淡水魚用のかわり
に、この中から油脂を多く含むエサを用いて鹿児島の牧原養鰻で育てる。昨年秋に調理して、淡
泊であっさりした当初の味から脂身が増し、さらにたんぱく質が豊富なエサも混ぜ、弾力のある
肉質になるように工夫する。

 

 


キャットフィッシュを畜養し琵琶湖の特産品に育てる(「『吉本隆明の経済学』論事始め」2015.
02.19)と
このブログでも掲載してきたので(「鯰とサロゲート」2010.10.24/「紫花菜と寒もろ
」2009.02.20/「
ビル中の大山椒魚」2012.11.19)、あらためて書き加えることはないが、有
路准教授は、卵巣も大きく美味しく頂けるのだが、緑色で気味悪られるのではとテレビで語って
いたが、麹や糠発酵させたり、酢着け、唐辛子漬け、あるいは燻製や干物にしてみすれば色合い
変化するすから、珍味特産品に変化するのではと思ってみたりした。ともあれ、鰻の代用蒲焼き
としてだけでなくレパートリーも広く独自の発展をとげるのじゃないかと思っている。それと、
日本ナマズ以外のアメリカン・キャット・フィッシュでも蒲焼き向きの種類も発見できるのでは
ないだろうかとも考えた。

 

 【日本の政治史論 Ⅵ:政体と中枢】  

「古賀の乱ってなんだ  "I am not ABE"」(『進撃のヘーリオス Ⅱ』2015.04.04)で、触発され
るように、積んでおいた本を取り出し読みはじめた。そして、この国の政体を考えみよう。その
結果、どのようになろうとも未来志向できる手がかりを明らかにしたという動機から掲載してい
きたい。まずは第5章から読み進める。
 

  福島のメルトダウンは必然だった…政府閉鎖すら起こる2013年の悪夢とは!?家族の
 生命を守るため、全日本人必読の書。「日本の裏支配者が誰か教えよう」。経産省の現役幹
 部が実名で証言。
発電会社と送電会社を分離する発送電分離。このテーマについて本気で推
  進しようとした官僚が何人かいた。あるいは核燃料サイクルに反対しようとした若手官僚も
  いた。しかし、ことごとく厚い壁に跳ね返され、多くは経産省を去った。私も十数年前、発
 送電分離をパリのOECDで唱えたことがあるが、危うく日本に召喚されてクビになるとこ
 ろだった。その理由とは何だったのか――。(「序章」より)。改革が遅れ、経済成長を促す
 施策や産業政策が滞れば、税収の不足から、政府を動かす資金すらなくなる。そう、「政府
 閉鎖」すら起こりかねないのだ。いや、そうした危機感を煽って大増税が実施され、日本経
 済は奈落の底へと落ちていくだろう。タイムリミットは、ねじれ国会を解消するための参議
 院議員選挙がある2013年、私はそう踏んでいる。(「まえがき」より)


                           古賀 茂明 著『日本中枢の崩壊』

   目 次

 

  序 章 福島原発事故の裏で
  第1章 暗転した官僚人生
  第2章 公務員制度改革の大逆流
  第3章 霞が関の過ちを知った出張
  第4章 役人たちが暴走する仕組み
  第5章 民主党政権が躓いた場所
  第6章 政治主導を実現する三つの組織
  第7章 役人―その困った生態
  第8章 官僚の政策が壊す日本
  終 章 起死回生の策 

  第6章 政治主導を実現する三つの組織 

                                     人事権はなきに等しい大臣

  次に「モノ’「ヒト」「カネ」の「ヒト」、すなわち政策を実行するための組織と人事。
 国家
公務員の人事権は、法制上では、国家公務員法が「人事権は各省庁大臣にある」として
 おり
これを素直に解釈すれば、大臣が有していることになっている。
  ここで気をつけなければならないのは、国家公務員法でも、大臣全ほが人事権を持ってい
 る
としているわけではないということだ。 
  一口に大臣といっても、法律上は「国務大臣」と「省庁大臣」の二つの呼び方がある。国
 務大臣は総理か任命した大臣全員に使われる呼称であるのに対して、省庁大臣は省のトップ
 である大臣にだけ使われろ呼び方だ。

  たとえば菅内閣のときは、経産省の海江田大臣は経産省のトッブなので国務大臣でもあり、
 省庁大臣でもある。しかし与謝野経済財政政策担当大臣は内閣府の特命大臣であり、所管の
 省庁を持っていないので、国務大臣ではあっても省庁大臣ではなく、人事権はない。
  しかし実際には、省庁大臣であっても、人事権をほとんど行使できない状況に置かれてい
 る。たとえば、大臣が独断で外から人を入れようとすると、「役所に不刊益をもたらすよう
 な人事は認められない』と官僚から圧力がかかる。もちろん表向きは「外の人を入れてもか
 えって混乱して大臣の責任が問われかねませんよ」と、親身になったふりをして『アドバイ
 ス」するのだ。官僚組織にそっぽを向かれると、大臣としての仕事にたちまち支障をきたす
 ので、大臣はそれ以上、ゴリ押しできない。

  現行のシステムでは、役所の幹部人事は、各省庁が人選を行い原案を作り、官房長官の主
 催する官邸の人事検討会議の了承を得て、形式的には閣議で承認を取り、大臣が任命すると
 いう流れになっている。しかし、これはあくまで形式的な手続きに過ぎない。
  実態は、事務次官か作成した推薦リストを人事検討会議かそのまま承認し、大臣が任命す
 る。推薦リストのなかに、たとえ大臣が適任ではないと思う人物の名か入っていても、拒否
 はむずかしい。
  大臣はその役所にずっと勤めているわけではないし、自分の任期がどれくらいか予想もつ
 かない。多くの場合一年程度で交代させられる。そのような短期間の任務だとすれば、あえ
 て官僚と軋瞳を牛むより楽な道を選びたくなる。現場のトップである事務次官から「この人
 こそこのポストにふさわしい」と強く椎されれば、反対はできない。
  従って現在の仕組みでは、政治主導による人事は不可能。これを根本から改確する必要か
 ある。

  そのための新システムか内閣人事局の創設だ。前に述べた通り、各省庁の患部人事を内閣
 人
質局で一元管理して実施するのだ.
  具体的には、各省庁の幹部候補の名簿は官房長官が作り、そのなかから各省庁人臣と総理、
 官房長官が相談して決める。そういう仕組みになれば、省利省益をベースとした官僚による
 官
僚のための人事はなくなるし、次官に遠慮して人事に介入できない大臣も、本来の自らの
 考え
でもっとも望ましい幹部人事かできるはずだ。われわれの作った案も鳩山政権下で作ら
 れた法
案も、この点については一緒だ。

  この改革は、2008年の国家公務員制度改革基本法に則ったものだが、幹部人事に絞っ
 た
のは、そのほうが効率的だと考えたからだ。
  政治主導の究極の人事形態という意味では、内閣人事局で一括採用し、係員の人事まです
 べて
やるかたちが理想的かもしれないが、現実にはむずかしい。全省庁の全人事を内閣官房
 で決
めるのは時間的にも無理だし、第一、官房長官や官房副長官などの政治家が、一年生官
 僚、二
年生官僚といった若手の仕事内容まで把握できるわけはないからだ。

  仮に可能だとしても、私はやめたほうがいいと思う。あまりにも中央集権的過ぎて、柔軟
 な人事
がやりにくくなるという弊害があるからだ。
  採用を内閣一括にするにしても、省庁横断的なものは除いて、課長職までは現場を知る各
 省
に委ねたほうかいいだろう。たとえば民間のホールディング・カンパニー・システムでい
 え
ば、部長職ぐらいまでは現場の経営陣に人事を任せ、各社の経営陣はホールディング・カ
 ンパ
ニーのトップが決める方式だ。
  内閣人事局の創設は、政治主導という観点からも必須である。


                   改革官僚を養成する方法をGEから


  人事についてもう一つ触れておきたい。「幹部候補育成課程」の導入だ。前にも述べたが、

 若手で頭角を現してきた人を選抜し、社会保障など国家的な重点政策を担当している内閣官
 房
のチームに入れ、育成するという方法である。
  このやり方の一要性に気づくきっかけになったのは、日本GEの社長であり、GE本社の
 上
席副社長を務める藤森義明さんとの会話だった。GEの人材登用に関心があった私は、藤
 森さんに「GEでは優秀な人を外部から引き抜いて幹部として登用しているのですか」と尋
 ねると、「いいえ。幹部は基本的に社内で育成しています。土地動のまったくない新事業に
 進出する場合は外部の人材を集めますか、既存の事業の幹部は社内からの登用が中心です」
 との答えが返ってきた。

  GEは非常に独立性の高い事業部制を敷いている。しかし、各事業部に幹部人事を任せる
 と、全体最適になりにくいし、組織が硬直化してしまう。そこで常に改革を意識し、本部か
 ら指示して、事業部ではできない改革を実施する必要がある。そのため、GE本部が各事業
 部から優秀な若手を集めて様々なプロジェクトを通じて育成し、そのなかで能力を認められ
 た者を、各製茶部や本部の幹部に抜擢するということだった。

  本部での若手育成は徹底したOJT(オン・ザムンョプ・トレーニング=現場研修)だと
 いう。若くて優秀な社員は本部に集められ、主に事業部横断的なプロジェクトに従事する。
 そして、事業部からはなかなか出てこない改革案を作る。その過程でチームのメンバーは評
 価され、幹部に登用されるという仕組みで、なかには四〇代で本社役員になる者も出る。
  これを官僚組織に当てはめれば、幹部の育成だけでなく、改革も進むのではないかと思い、
 国家公務員法改正案にも盛り込んだ。
  この「幹部候補育成課程」は国家公務員制度改革基本法のなかに書かれている。ところが、
 民主党政権の政府案では、これまた抜け落ちていた。
 
  官邸が中心になって若手を育成し、幹部として登用するというやり方に、霞が関が反発し
 たのだろう。各省庁の幹部たちは、有能な人材は自分たちで囲い込んでおき、自分たらの省
 庁の力にしたいと坪えている。だから、優秀な若手を官邸に持っていかれる案などは認めら
 れない。省庁の利益を離れて仝政府的な見地で仕事をする官僚など、各省庁から見れば危険
 分子でしかないのかもしれない。
  若干育成を官邸でやるというと、幹部官僚からは「官邸でやらなくても、役所のなかの研
 修を強化すれば済む話だ』との反論が返ってくる。そんな発想しかないのでは、到底改革な
 どは無理である。

                        財務省の絶対的な二つの行動原理

  「モノ」「ヒト」「カネ」の「カネ」。つまり最後は予算。政策と予算、法案は一体だ。
 大きな政策はj算をつけなければ実施できない。官邸に「予算局」を設置して、予算の編威
 権も持ってくる必要かある。
  ところが呑丿算局の設置は封印され、あえて議論の対象から外された。f算編成権に政治
 が手をつけねば、財務省の猛反発が始まり、大変なことになるという民社党政権の判断から
 だ。財務省は霞が関の官庁のなかでも突出した権力を握っている。なぜ、財務省は省庁のな
 かの省庁と呼ばれ、霞が関の象徴になっているのか――。 

  財務表パワーの源泉の。つか予算編威権だゾ予算.編成権はご昌い換えると、国民から集
 めた税金など国家の収入を再配分する権限。ある意味、国家の存在意義そのものである。各
 省庁は、財務表に概算要求をして、予算をつけてもらう、
  予算に関しては、国会で承認を賂て成なする決まりになっている。政府案をまとめる大詰
 めの段階では、旧務大臣と各省庁の大臣との大臣折衝など、政治が深く関与する。とはいえ、
 膨大な数かある予算の細口を、短期間に政治がつひとつチェックするのは実際にはむずかし
 く、実質的に予算の差配は財務省に委ねられている。

  家庭でもそうだか、もっとも力を持っているのは、家計を預かる人だ。たとえば、ご主人
 が稼いできたおカネをいったん財布のヒモを握る奥さんの懐に収め、それの使い道を決める
 過程では、どうしても奥さんの権限が強くなる。ご主人は奥さんの許可がないと、小遣いも
 上げてもらえない。それと緒で、財務省に予算をつけてもらえないと、公益法人つ作れない
 ので、他省庁は自然と財務表の顔色を窺うようになろ。

  さらに財務省は、予算を査定する権限を背景に各省庁に職侃を送り込んでいるうえ、役所
 が気にする業務を行っているポストも掌握している。たとえば、国家公務員のポストの格付
 けを決める人事院の給与第二課の課長や、各省庁の局や課の組織や定員を査定する総務省行
 政管理局の総括担当管理官ポストも財務表の指定席になっている。これは前にも記した通り
 だ。もっとも、小況による税収蔵と財政危機で、財務省が自由裁量で差配できる額がどんど
  ん少なくなっており、その威光は年々輝きを失いつつある。財務省が消費税の大増税を悲願
  としているのも、財政破綻を危惧しているという理由以上に、自分たちの財布が潤えば、権
  限もそれだけ人きくなるという思惑からである。
 
  財務省の行動原理は、二つに分けられる。一つは財政破綻は絶対に避けたいというい.
 もう一つは、自分たちの支配装置である予算の配分権をなるべく強化したいという願いだ。
  この二つを実現するための消費税増税なのだが、後者の予算の配分権の強化は、自分たち
 の哉量で配分できる自由な財源の拡大という表現に置き換えることができる。年々増えてい
 く年金の支払いや医療費などの社会保障費。消費税増税分かこうした社会保障費の増加分で
 相殺されたのでは、財務省にとって増税した意味がなくなる。

  これは消費税に、福祉目的とか社会保障目的に限って使うというタガがはめられるか否か
 には関係ない。おカネには色はついていないからだ。どうしても出さなければならない社会
 保障費以上におカネが入ってくれば、自由裁量の財源は増えるので、とにかく増税率を少し
 でも上げたい。これが財務省の目下の最大関心事だ。
  2010年の10月から.11月にかけて行われた事業仕分けの第3弾で、財務省か狙っ
  たのも自由な財源の拡大だった。特別会計に焦点が当てられたこの事業仕分けで、台本と演
 出を担当する財務省は、特別会剖の中身には一切手をつけないほうがいいと考えたようだ。

 特別会計は様々な目的で、一般会計とは別建てで収入と支出を管理する仕組みだ。空港使用
 料や航空機の燃料への課税などを収入源として空港を作る特別会計などがその代表例。この
 特別会計は、同じ計算でも財務省の関与は事実上極めて限定されていて、各省庁が自民党族
 議員とともに好きなように運営してきた。だからその実態を見て、「母屋でおかゆをすすっ
 ているのに離れですき焼きを食べている一と鄙楡されてきた。

  財務省から見れば、年々白分たちの自由裁量の余地が小さくなっていく一般会計予算より
 も、まだまだジャブジャブと減量余地がある特別会計を支配下に置くことができれば望外の
 喜びだ。
  事業仕分けでは、そのシナリオを財務省が作る。その時点で、すでに財務表としては特別
 会計の支配権確立に大きく前進したことになる。一方、事業仕分けを本気でやつて、まず削
 るべき計算を全部削ると決めてしまうと、その分は子ども手当の財源などに使われてしまう
 ので、財務省から見ればおもしろみがない。そこで、事業仕分けでは、則務省が特別会計を
 支配するという既成事実を作るところにとどめ、適当にお茶を濁したのではないか。

  そして、予算の中身はジャブジャブのまま引き取って、翌年以降好き勝手に使うという作
 戦を取った。財務名の作戦は完勝で終わった。
  東日本大震災直後、増税論かすぐに取り沙汰されたか、このようなときでも真っ先に増税
 のことが頭に浮かぶ人たちがいるということに心底驚いた。このことは、財務表に洗脳され
 た政治家やマスコミ関係者がいかに多いかを物語っている。
 

「カネを稼ぐことより、カネを管理する嫁さんの力が強くなる」との喩えはわかりやすいようで
誤解を招く。稼ぎ手(勤労国民)の収入が増えている限りリスペクトされるが、収入が逓減する
限り嫁さんがぴーぴー言い出し、旦那さんのストレスが上がって、離婚騒動になる、それで困る
のは、慰謝料を請求さえる旦那さんだけかというと、貯金が底をつけば稼ぐことになれてない嫁
さんが働かなければならなくなる。母子家庭の悲惨さは現実をみればわかる。かって、それまで
GHQの虎の威を借り権威を振りかざしていた
大蔵省の権威を地に貶めた宰相として田中角栄が
いる。道路公団、自動車税などの特別会計枠を拡大させ高度経済成長を実現させた。そこから学
習すれば、「財務省殺すにゃ刃物はいらぬ、インフレ目標2、3パーセントあれば良い」と喩え
ることができる、と。(実は解決方法は分かっているのだが)それができぬのはなぜかと反質す
ることから始めねばとわたし(たち)は考える。 

                                                      この項つづく 

 


【虫の知らせ。】

眼精疲労がひどいことをブログ掲載してきたことだが、昨夜は午後10時半に就眠。いつものよ
うに3時間
ほど寝込むと睡眠が浅くなり目を覚ますことがしばしば(神経疲労が強ければ時とし
て、パニック症候群似
に陥る)。目を覚ますと眼圧上昇や聴覚の高ぶり、周波数同調不良のラジ
オのような耳鳴りがしたりして眠れずにいたので、寝酒に柚子酒やワインを飲んだが、経験のな
いような頭が冴え渡る状態が続く。いつもなら眠気が襲うのだが全くと言ってそれがない。これ
は何かの前兆かと考え出す。つまり、地震や火山の爆発、あるいは、近親者や友達、近所の方の
突然の訃報などかと思いめぐらす。例えば、地震なら、ブレーカー、ガスを遮断すること、靴を
準備しておくこと、災害時に注意すべきことなどを思いめぐらせた。午前4時過ぎ頃まで眠るこ
とはなかったが、さすがに、ワインを重ね飲みすると眠気が生じ2時間ほどソファーで上毛布を
掛け寝てしまった。結果は、ネパールと岩手で地震が起きていた。これが虫の知らせと腑に落と
すとともに数時間も続いた「突然の頭の冴え」に深く考えこんでしまう。面白いものだ。

 

  

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最新液中加工工学

2015年05月12日 | ネオコンバーテック

 

 

 

 

 

【最新液中加工工学】

日曜の夕食時、テレビをみていると、従来の、バネの力によって液体を高圧で発射し、皮膚を貫
いて筋肉
に薬剤を注入する注射器では、神経を傷つけたり、痛みを感じるなどの課題があったが、
芝浦工大の山西陽子准教授が2012年に開発した針なし
タイプでは、微細気泡を利用して試薬
などを細胞内に送り込む技術「マイクロバブルインジェクションメス」を改良して作製し、メス
を覆うガラス製のシェルを前方に突き出すことで生体組織と密着させ、高精度で位置決めし、空
気中でも使える注射器――直接皮膚に押し当て、試薬を内包した気泡を発射。その気泡がはじけ
ることで細胞に穴をあけ試薬を流し込むが、穴の直径が4マイクロメートルと小さいため、ヒト
の体の痛覚を避けられる痛みを感じない――が紹介されていた。

これはMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、直訳すると「マイクロ電機システム」となるが、個人
的には15年前、「微塵工学」と呼び、ネオコンバーテックの表面微細加工の要素技術として、
究調査していたが(「微」はマイクロメートルで「塵」はナノメートルの寸法単位)、(1)超音波発振方式
や(2)電界誘起方式で、泡発生させ気泡を1粒づつノズルで連続噴出させ、気泡が破砕する衝
撃波で皮膚を穿孔し注入するという原理。このときの中空形成時、窒素ガスと薬液の2つを同時
注入
する。また気泡を導出経路が長い場合、独自のソート機構も提案されているが、「電界誘起マイ
クロナノ気泡による低侵襲加工」などと呼称している。ここで、「侵襲(性)」とは、生体を傷つ
けるあるいはその
強度を意味する。 

 

なお、同上研究グループは応用領域として、(1)ピンポイント遺伝子導入、(2)針なし注射
器、(3)プラズ
マと空洞現象の相乗効果と薬液、薬剤のソートによる精密彫刻あるいは洗浄、
(4)気泡を
包む試薬層を複数の層にすることで薬効を増やしつつ、より微塵化させことで薬効
を高める技術、(5)ピンポイント色素マーキング、(7)白質結晶の高速、高収量化技術など
が提案されている。このように、ピンポイントで気泡発生させ、対象物を微塵加工技術は「ネオ
コーバーテックのコア技術であり、また、「オール人工光型植物育種システム」のツールだろう。
これは実に面白い。


特開2015-048268「タンパク質結晶装置用の気泡噴出部材及びタンパク質吸着気泡噴出部材、
タンパク質結晶装置及びタンパク質結晶化方法、並びにタンパク質結晶切削装置及びタン
パク質結晶切削方法」

 

 【日本の政治史論 Ⅴ:政体と中枢】  

「古賀の乱ってなんだ  "I am not ABE"」(『進撃のヘーリオス Ⅱ』2015.04.04)で、触発され
るように、積んでおいた本を取り出し読みはじめた。そして、この国の政体を考えみよう。その
結果、どのようになろうとも未来志向できる手がかりを明らかにしたという動機から掲載してい
きたい。まずは第5章から読み進める。
 

  福島のメルトダウンは必然だった…政府閉鎖すら起こる2013年の悪夢とは!?家族の
 生命を守るため、全日本人必読の書。「日本の裏支配者が誰か教えよう」。経産省の現役幹
 部が実名で証言。
発電会社と送電会社を分離する発送電分離。このテーマについて本気で推
  進しようとした官僚が何人かいた。あるいは核燃料サイクルに反対しようとした若手官僚も
  いた。しかし、ことごとく厚い壁に跳ね返され、多くは経産省を去った。私も十数年前、発
 送電分離をパリのOECDで唱えたことがあるが、危うく日本に召喚されてクビになるとこ
 ろだった。その理由とは何だったのか――。(「序章」より)。改革が遅れ、経済成長を促す
 施策や産業政策が滞れば、税収の不足から、政府を動かす資金すらなくなる。そう、「政府
 閉鎖」すら起こりかねないのだ。いや、そうした危機感を煽って大増税が実施され、日本経
 済は奈落の底へと落ちていくだろう。タイムリミットは、ねじれ国会を解消するための参議
 院議員選挙がある2013年、私はそう踏んでいる。(「まえがき」より)


                           古賀 茂明 著『日本中枢の崩壊』

   目 次

  序 章 福島原発事故の裏で
  第1章 暗転した官僚人生
  第2章 公務員制度改革の大逆流
  第3章 霞が関の過ちを知った出張
  第4章 役人たちが暴走する仕組み
  第5章 民主党政権が躓いた場所
  第6章 政治主導を実現する三つの組織
  第7章 役人―その困った生態
  第8章 官僚の政策が壊す日本
  終 章 起死回生の策 

 

  第6章 政治主導を実現する三つの組織

                              政治主導に必須の三要素

  問題は、そのための仕組み作りである。総理が官僚機構を完全コントロールし、政治主導
 を
実現するには、どのような仕組みが必要か。
  総理か掌握しなければならない要素は三つある。分かりやすくいえば、「モノ」「ヒト」
 「カ
ネ」。すなわち、「政策な案」、政策を実施するための「組織と人事」「予算」である。
 この二
つの機能を官邸に集約し、総理の司令塔として各省庁に指示する仕組みに変えれば良
 い。

  一つ目の政策立案では総理直轄のプレーンが要る。政策霖案のための総理直属の組織とい
 え
ば、誰し橋本龍太郎元総理がイニシアティブを取り、森喜朗内閣のときに設置された経済
 財
政訪問会議を思い浮かべる。
  その次の小泉純一郎内閣が強いリーダーシップを発揮できた大きな要因の一つも、この会
 議
にある閣僚に加え、民間有識者、学者らで構成され、会議では侃々諤々の議論が繰り広げ
 ら
れ、郵政民営化では、竹中平蔵大臣と麻生太郎総務大臣の丁々発止のやり取りも伝えられ
 
た。そうした閣僚問の利害の対茫を小泉総理が最終的に裁定するルールになっており諮問会
 
議は、紛れもなく実質的に総理直属の政策な案組織としての機能を果たしていた。

  経済財政諮問会議の設置は、党主導の政策立案を官邸にシフトさせ、族議員と官僚による
 利益誘導を排除するという目的もあつたが、政治主導による政策な案の仕組みの一つの雛形
 となったのも確かである。
  しかし、小泉内閣退陣後は、族議員と官僚の巻き返しにより次第に形骸化していき、その
 意味を徐々に失っていった。
  一方、民主党か経済財政諮問会議に代わる仕組みとして打ち出したのは「国家戦略局」構
 想である。

  民主党は2009年の総選挙に当たって、政権構想のなかで「官邸機能を強化し、総理直
 属の国家戦略局を設置し、官民の優秀な人材を結集して、新時代の国家ビジョンを創り、政
 治主導で予算の骨格を策定する」とし、鳩山内閣は発足と同時に国家戦略担当相として菅直
 人氏を任命、法整備が整うまでの暫定組織として内閣官房に「国家戦略室」を設置した。
  その後、翌2010年2月に国家戦略局の設置を盛り込んだ法案が国会に提出されたもの
 の、実質的な審議は行われず、継続審議のまま棚上げになった。暫定組織である国家戦略室
 の室長も空席で、玄葉光.郎民主党政策調査会長が代行を兼務するといった状況が続き、ほ
 とんど機能していなかった。

  私が考える総理直属の政策作りの仕組みは、自民党政権の経済財政諮問会議とも民主党政
 権の目指す国家戦略局とも少し違う。
  私がイメージするものはアメリカの仕組みに近い。アメリカでは行政権は大統領が単独で
 担っており、ホワイトハウスに大統領直属の中核組織「大統領府」が置かれている。大統領
 府は行政組織の統括腰間であり、軍事外交政策の「国家安全保障会議」、通商政策の「通商
 代表部」、経済政策の「経済諮問委員会」などで構成されている。

  また各省の閣僚は、あくまで大統領を補佐し助言を与える役割に留められており、大統領
 が閣僚の意見に法的に拘束されない仕組みになっている。そして新大統領が就任すると、閣
 僚だけでなく、行政組織の幹部も政治任用によってすべて入れ替えられる。その数は約3千
 
にも及ぶ。文字通り、官僚機構の「中.胆‘が一新されるのだ。
  このいささかエキセントリックに見えるシステムには批判もあり、官僚の入れ替えには議
 会の承認が必要なものもあり、時間もかかる。大統領就任後半年経っても、まだ財務省の次
 官補が決まっていないなどという、日本では考えられない事態も起こり得る。

  しかし、それでも新大統領の就任と同時に、大統領の意向に添う新たな政策が次々と提案
 される。まだ決まっていない役所の幹部ポストがあるにもかかわらず政策が出てくるのは、
 大統領か予め用意していた自前のチームを連れて、ホワイトハウスに入るからだ。このチー
 ムが既存の行政組織とは関係なく、政策をリードする。

  小泉内閣が強力なリーダーシッブを発揮できた秘密も、小泉総理が自前のチームを持って
 いたことによる。小泉総理は、竹中平蔵氏をトップとする竹中チームと、飯島勲秘書官を筆
 頭とする飯島チームを連れて官邸に入った。
 小泉総理は、政策は竹中チーム、マスコミ対策は飯島秘書官に分担させ、政策についても案
  件ごとに人をうまく使い分けなから行政組織をコントロールし、政策運営を行った。小泉時
  代を見ると、政治主導を発揮するには、総理直結の自前のチームが不可欠だということが分
 かるだろう。

  裏を返せば、安倍晋三内閣の失敗は、自前のチームかなかったことに起因している。もう
 少し正確にいえば、故人のプレーンはいたか、小泉内閣の時に比べると十分な陣容になって
 おらず、チームとして機能していなかつたといったほうが良いかもしれない。いずれにして
 も、安倍総理を支える体制が不十分だったというべきだろう。

  安倍総理は内閣の発足後、官邸スタッフを公募すると発表した。私はこれを聞いて正直驚
 いた。ホワイトハウススタッフを大統領就任後に公募するなどということがあるだろうか。
  安倍氏は小泉政権下で官房長官を務めていた。しかも、小泉総理が早々と後継指名をして
 おり、就任2カ月前には、次の総理に就く可能性が非常に高かった。少なくとも1ヵ月前に
 は次同胞即就任は確定的だった。

  官房長官だった安倍氏は、官邸の官僚スタッフに関して熟知していただろうし、人脈もあ
 ったはずだ。1ヵ月も準備期間があれば、どのスタッフを残し、どの人を省庁に返すかとい
 った人選をし、自分の政権に必要だと思われる人物は一本釣りし、民間人も含めて自前のチ
 ームを編成できたはずである。ところか、そういった準備かほとんどできておらず、就任後
 にスタッフを大々的に公募した。だから私は驚いたのだ。

   当時、私は安倍内閣の政治主導はむずかしいのではないか、と危惧していた。案の定、安
  倍内閣は官僚の抵抗に遭って漬されてしまった。民主党政権と違い、安倍総理のやりたい政
 策は明確に見えたが、安倍総理には、誰を使い、どのような仕組みでそれを実現するのか、
 具体的な案がなかったように思う。総理になってから、それを考えるのでは遅い


                            意図が不明な国家戦略局

  小泉内閣の成功と安倍内閣の失敗という対照的な例を目の当たりにして、私は、総理の座
 に就く政治家は、予め自前のチームを準備できる仕組みを作る必要があると強く感じた。
  そこで私か注目したのが、2008年6月に国会を通過した「国家公務員制度改革基本法
 のなかにあった「国家戦略スタッフ」という文言だった。


2008.06.13  国家公務員制度改革基本法 
2008.11.05 
国家戦略スタッフ・政務スタッフのイメージ(抜粋)


  現行の制度下でも、官邸内には政策政案組織が設けられている、官房長官、官房副長官の
 下にある「官房副長官補」なる官僚組織がそれである、単に略し、就任している個人の名前
 を冠して「○○補」と呼ばれることか多い。そして、各「袖」の下には省庁から出向した審
 議官、参事官、その下に参事官補と呼ばれるスタッフがいて、一つの組織となっている。

  この官房副長官補は三名おり、主として安全保障や警察を担当する補、財政など内政を担
 当する補、外交を担当する補と役割分担されている。彼らか、官房長官と副長官などを助け、
 内閣全体の立場から、省庁を超えた総合調整を行うことになっている。いわば、日本政府の
 司令塔を支える屋台骨といっても良い。うまく機能すれば、縦割り行政や省益優先の官僚主
 導行政を阻止するとともに、総理の意向を行政に直接反映させる役割を果たせるはずである。
 しかし、実際にはそうなっていない。

  問題の第一は、組織機構上、官房長官、官房副長官が介在し、総理の意向が官邸の官僚に
 ぬに伝わりにくいという欠陥があることだ。第二は、より重要な点だが、副長宮相はそれぞ
 れ官僚出身者であり、しかもその下にいるスタッフもみな各省からの出向者で、任期が終わ
 るとまた元の役所に戻る什組みになっている点。そのため、実態としては官邸のなかのミニ
 省庁にしかなっておらず、そこで働く官僚スタッフは親元の省庁に顔か向いているという問
 題がある。
 
  内政面ではとりわけ財務省の影響力が強く、財務省による霞が関支配の拠点ともなってい
 る。従って、現状の官邸の仕組みでは、総理の政治主導の実現はむずかしい。もちろん、こ
 れを総理の強力なリーダーシップで変革できればいいのだが、おそらく時間とコストがかか
 り過ぎて、それが実現する前に政権か倒れてしまうだろう。
  そこで、こうした仕組みを前提としなから、総理の潜在的には強大な権限を顕在化させる
 ことか必要となるのだ。

  では、国家戦略局といった総理直結の組織を別枠で新たに設けるだけでいいのかといえば
 これも問題がある。民主党が.2010年に出した法案に含まれた国家職略局構想では、組
 織的には、内閤官房のなかに設置することになっている。つまり、官房長官、副長官の下に
 置かれるのだ。しかも、国家戦略局長が副大臣級(官房哨長官の兼務)になっているので、
 官房長官の下につく。国家戦略担当大臣と官房長官の関係も明確ではない。

  また、常設的な組織にしてしまうと、もう一つ別の官房副長官袖のチームを作るようなこ
 とになりかねない。そうなれば、純粋に総理直轄の政策立案チームを作るという趣旨からや
 やもすると外れてしまいかねない。
  その視点で、前にも述べた通り、私は2009年3月に国会に提出した国家公務員法改正
 案のなかに国家戦略スタッフの創設を盛り込んだのだ。

                    総理直結のスタッフが政治を変える

  私の考える総理直結の国家戦略スタッフの在り方は次のようなものだ。
  時の総理はスタッフの人数も人選もすべて自分の一存で決められる。何人入れるかも自由
 だし、政治家と官僚、あるいは民間人の登用も自由。その比率についても総理が独断で決め
 られるといった見台に、総理が好きなようにチームを編成できる

  国家公務員法改正案に盛り込んだときも、多極多様な人材の任用が可能になるように、ス
 タッフの格もかなり幅広く設定し、それぞれの格に応じた複数の給与レベルを想定しておい
 た。一番低くて課長クラス、上は政務官クラスとした。本当は閣僚クラスも設けたり、民間
 人を登用するために高い給与も出せるようにすることも考えたが、そこまではできなかった。
 
  戦略スタッフの一人ひとりに付与される権限は形式的にはさほど強くはないが、いったん
 総理の指示がトれば、事実上なんでもできる。その事項に関する、実質的に大きな権限を持
 てる。
  しかし、大きな権限を啓えることができるのはあくまでも総理だけであって、官房長官や
 官房副長官は、総理から頼まれない限り国家戦略スタッフには直接指示できない。
  経済財政諮問会議は、政策の調査・審議はできたが、行政組織への指揮命令の権限は有し
 てはいなかった.対して国家戦略スタッフは、総理の頭脳となって政策を考え、総理の手足
 として、命令さえあれば、総理の声も直接各省庁に伝えられる。

  私のシステムなら、総理が予め、戦略スタッフの一人の指令に従うよう、各省庁にお触れ
 を出しておき、総理の命を受けた戦略スタッフの幹部が指揮を執るといったやり方も事実上、
 可能になる。
  この場合、霞が関のサポタージュが予想されるにしても、総理の意向が直に反映される仕
 組みになることが大きい。総理の指示が官邸官僚によっていつの間にやら捻じ曲げられて各
 省庁に伝えられたり、ト分にドまで届かなかったり、その結果墜の命令かよく分からなくな
 り、責任の所在もはっきりしない、といった現在の仕組みを変えるのだ。

  総理直結の組織を使って総理が指示し、政策を立案・実施する仕組みなら、明らかに総理
 に責任かある。もし、公約を実施できなければ、説明責任も生じる。
  自民党は政権を握っていた当時、政策がうまくいかないとぷ目僚にやられた」と弁解して
 いた。実際に官僚が政策を潰したのだとしても、官僚にやられるような政治では困る。『官
 僚にやられた」とは、「私たち自民党の政治家には力かない」といっていたに過ぎないのだ
 が、それを言い訳に使わざるを得なかったことか、自民党政権の末期症状でもあった。

  総理直結の戦略スタッフ制になれば、末期の自民党政権のような霞任のなすりつけはでき
 なくなる。「スタッフがやってくれなかった」などと総理が弁解すると、即座に記者や野党
 議員から、「スタッフは総理が選んだんですよね」「あなたが指示して、あなたが選んだス
 タッフにやらせたわけだから、責任は総理にある」と突っ込まれる。

  戦略スタッフ創設が法的に確をされれば、総理の座に就く政治家はいやでも、予めどのよ
 うなチームを編成するのか考えておかなければならない。新総理は、マスコミから「どのよ
 うな人を国家戦略スタッフに起用するのか」という質問が真っ先に飛ぶので、総理になる前
 からチームを準備しておく必要がある。安倍氏や民L党政権のような過ちも起きない。そし
 て、新総哩就任と同時に、政治主導による政策提百が活発に行われるようになるはずだ。




  ちなみに、この議論をしていると、官僚から必ず出てくる反論がある。それは、『こんな
 仕組みを作ったら、総理がよほどしっかりしていないと指揮命令系統が不明確になって、行
 政が混乱する」というものである。実際は、「こんなものができても自分たちは国家戦略ス
 タッフの指ぷには従わないから混乱する」といっているに等しい。そもそも「しっかりして
 いない総理」というものを前提に議論すること自体、官邸官僚か政治家をバカにしているこ
 とを物語っている。

  いずれにしても、すでに述べたように鳩山政権の政府案では、国家戦略スタッフはすっぽ
 り抜け落ち、別枠で、意味のよく分からない国家戦略局を創設することになっていた。しか
 も、その法案に賭ける熱意もまったく感じられなかった。官僚を怒らせることをわざわざす
 ることはないという民主党政権の判断かあったのだろうか。

  もし仮に、われわれが策定した公務員改革法が成さしていれば、菅政権ては総理直属の国
 家戦略スタッフが任命され、東日本大震災の初動場面でも活躍していただろう、そのシミュ
 レーションは序章に書いた通りだ。


                                   この項つづく
 

 

 ● 今夜の一枚

 『余りにも突然の記念樹』(2014.04.29)のイングリッシュローズ グラハム・トーマスが鈴
なり状態でつぼみから花が咲く瞬間の変化は写真のように小さい蕾が、開花するまで数時間で変
化するが、一番美しいのが開花直後である。本当は、ビデオ撮りしアップするのが一番だが(定
点測定で、コマ送り撮りするにこしたことはないのだが)。バックはよしず(葦簀)のシェード。
あとは、ルージュピエールドゥロンサールの開花を待つ。

 

 

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有珠山・御嶽山・箱根山

2015年05月11日 | 時事書評

 

 

● 箱根山が噴火する可能性は?、また、その規模は? 

神奈川県の箱根山では活発な火山活動が続き、10日夕方以降、箱根町で震度2や1の揺れを観
測する地震が相次いで起きた。
気象庁は大涌谷周辺に影響を及ぼす小規模な噴火が発生するおそ
れがあるとして、引き続き警戒を呼びかけている
大涌谷の斜面から噴き出す蒸気が多く、活発
な火山活動が続いている。
午後6時7分ごろには箱根山周辺の地下のごく浅いところが震源とみ
られる地震があり、箱根町湯本で震度2の揺れを観測したほか、神奈川県小田原市や静岡県熱海
市などで震度1の揺れを観測。
地震の規模を示すマグニチュードは3.1と推定され、先月下旬
以降では最も大きかったとみられる。
また、午後5時ごろから午後6時20分すぎにかけて、箱
根町湯本で震度1の揺れを観測する地震が4回あった。噴火規模は大涌谷周辺にとどまるだろう
という専門家の話だが、噴火高さは3百メートル程度ではないかともいわれている。
 
  5月10日 18時40分

まあ、どうなるかわからないが、有珠山、御嶽山などの経験を踏まえつつ用心にこしたことはな
いだろうが、多角的な視点からみると、二度と現在の富士を目にすることはないだろうと旅にで
かけた思いの延長にある(『富士賛歌』2012.05.20)。
                                        

 

    ● 今夜のアラカルト

  

出展:室井克義著「イタリアン・アウトドア・クッキング-プロの技に遊ぶ」(柴田書店、1996)

【イタリアン・アウトドア・クッキング Ⅰ グレープフルーツと柿のサラダ】

最近は視力の低下のため、精密なマシンの組み立ては拡大鏡ハットを着け作業するのだが、やは
り不
便なのだが、手先は元来器用かったため、長年の自信(自惚れ)のため抜けずにいるが、こ
のブログのタイピングも誤字・脱字・多字・重ね字のミスタイプはしょっちゅうだ。だから、書
道、絵画などは今でも変な過信が残っているため、時間に余裕ができればやってみたいと思って
いるが、料理も手先は勿論、味覚もいけるのじゃないかと変な過信をもっているが、これを言う
と彼女が嫌がるから、アウトドア・クッキングなら腕が振るえるんじゃないかと思っている。

さて、著名な日本の北イタリア料理シェフの室井克義は、表記の本のレシピでこのように書いて
いる――野菜料理で、印象深いのがイタリアのモンテ・ローサ(赤い山)というサラダ。何てこ
とはないニンジンのせん切りが山のように盛ってあり、ドレッシングがかけてあるだけ。しかし
これが実に甘い。歯ごたえも最高。血管が浮き出てきそうなうまさだった。僕は、イタリアから
帰国してつくづく思うことの一つが、日本の野菜サラダの冷やしすぎ、季節的なこともあるだろ
うけど、野菜が育った大地の温度で充分ははず。2泊3日のキャンプなどでは、皆、とくに女性
の顔に、いい加減肉、魚料理に飽きちゃったと書いてある。そんなときの主役を野菜料理にして
みてはどうだろう――と、前置きし作り方を紹介している。柿とグレープフルーツ、レタス、カ
リ力リベーコン(上/下右写真)を基本のドレッシングであえただけ。ベーコンはオーヴンで水
分を飛ばせば、簡単にカリカリになる。また、
日本では、柿酢や黒酢などあるが、イタリアでは、桃
酢を使っているという。これは憶えておこう。 

   


 



【日本の政治史論 Ⅳ:政体と中枢】 
 

「古賀の乱ってなんだ  "I am not ABE"」(『進撃のヘーリオス Ⅱ』2015.04.04)で、触発され
るように、積んでおいた本を取り出し読みはじめた。そして、この国の政体を考えみよう。その
結果、どのようになろうとも未来志向できる手がかりを明らかにしたという動機から掲載してい
きたい。まずは第5章から読み進める。
 

  福島のメルトダウンは必然だった…政府閉鎖すら起こる2013年の悪夢とは!?家族の
 生命を守るため、全日本人必読の書。「日本の裏支配者が誰か教えよう」。経産省の現役幹
 部が実名で証言。
発電会社と送電会社を分離する発送電分離。このテーマについて本気で推
  進しようとした官僚が何人かいた。あるいは核燃料サイクルに反対しようとした若手官僚も
  いた。しかし、ことごとく厚い壁に跳ね返され、多くは経産省を去った。私も十数年前、発
 送電分離をパリのOECDで唱えたことがあるが、危うく日本に召喚されてクビになるとこ
 ろだった。その理由とは何だったのか――。(「序章」より)。改革が遅れ、経済成長を促す
 施策や産業政策が滞れば、税収の不足から、政府を動かす資金すらなくなる。そう、「政府
 閉鎖」すら起こりかねないのだ。いや、そうした危機感を煽って大増税が実施され、日本経
 済は奈落の底へと落ちていくだろう。タイムリミットは、ねじれ国会を解消するための参議
 院議員選挙がある2013年、私はそう踏んでいる。(「まえがき」より)


                          古賀 茂明 著『日本中枢の崩壊』

   目 次

  序 章 福島原発事故の裏で
  第1章 暗転した官僚人生
  第2章 公務員制度改革の大逆流
  第3章 霞が関の過ちを知った出張
  第4章 役人たちが暴走する仕組み
  第5章 民主党政権が躓いた場所
  第6章 政治主導を実現する三つの組織
  第7章 役人―その困った生態
  第8章 官僚の政策が壊す日本
  終 章 起死回生の策 

  第5章 民主党政権が蹟いた場所

                                 公務員制度改革なくして増税なし

  鳩山政隆の頃は、鳩山総理と小沢一郎幹事長は必ずしも}枚岩でなかったし、他にも岡田
 克
也氏、前原誠司氏らのグループも力を持っており、党内も内閣も意思統、ができていなか
 っ
た。複数の軸があり、まとまっていない状況は、官僚にとって好都合だ。ときには鳩山総
 理を
突っつき、ときには小沢氏や前原氏を動かし、自分たちに良いようにコントロールでき
 るから
だ。

  菅政権になって、権力か分散していた状況は変化し、「陰の総理」と呼ばれるほど仙谷官
 房
長官に権力が収斂していった。旨い換えれば、仙谷氏を中心とした対霞が関戦略が心てら
 れる
状況か生まれ、銘々か勝手なことをいっていた鳩山政権時代よりは、官僚を封じ込めや
 すい状
況が整っていたのだ。
  しかも、各省庁の役人は大臣そっちのけで、権力が集中した仙谷氏の顔色をうかがうよう
 に
なっていた。これは仙谷氏飼から見れば一応、政治主導の実現である。ただ、それは仙谷
 氏が
官僚の嫌がることをしないという限定つきだった。官僚は仙谷氏の意向を忖度して動く
 ので、
各大臣も官僚に従っていれば安泰だと思っていたのだろう。つまり、結局はまだ官僚
 主導の域
を超えていなかった。

  私は仙谷氏は、脱官僚の理想を捨ててはいないと信じていたので、仙谷氏がやっと本領を
 発
揮する環境ができたと密かに期待していた。しかし、仙谷氏は失言などで問責決議され、
 2011
年1月、菅政権が二度目の内閣改造に踏み切らざるを得なくなると、閣外に去った。 
  新たな内閣の布陣を見ると、党外から財政再埋論者のり与謝野馨氏を経済財政政策担当大
 臣に起用したところからも、消費税増税路線は明らかである。
  現在の国家財政を考えれば、デフレ脱却と名目成長率上昇を実現できなければ、いずれ増
 税は避けられない。それだけを考えれば、政権の一つの選択肢として、消費税増税を検討し
 ておくのは必要だ。しかし、財務省主導の増税では、国民は納得しないはずだ。民間では、
 景気の悪化でボーナスはゼロ回答、給与も下がるという状況が続いているからだ。

  国の財政は、いまや破綻寸前。先にも記したように、民間でいえば、会社更生法を申請し
 なければ立ち行かないところまで来ている。
  事業再生の段階では、無駄な事業は切り、経営陣には責任を取ってやめてもらう。その代
 わり、若い有能な人を引っ張りあげる。あるいは外から優秀な人材を連れてきて、新たな企
 業文化を作り、前に進む。
  事業のいくつかは整理されるので、ポストは減り、相当数の従業員がリストラされる。巷
 にはリストラされて失業した人が溢れる。民間の失業者のなかには、職だけでなく、住むと
 ころも失った派遣社員もいる。彼らは次の職を見つけるため、悲壮な表情でハローワークに
 並んでいる

  対して霞が関は、世間とは別肌界だ。民間でいえば公社更生法申請段階というのに、無駄
 な事業をいまだに続けている。リストラもやらない。役人は公務員法に守られ、給与もボー
 ナスもほとんど削られない。公務員法は変えるべきだが、それでも霞が開はリストラは認め
 ないかもしれない。私のように公務員もリストラが必要などというと、返ってくる言葉は決
 まっている。「生首飛ばして、血を流そうというのか」――。

  罪を犯したわけではないのに、クピを切るのはかわいそうだ。これが霞か関の麗しい論理
 である。だか、寒風吹き荒ぶ民間をよそに、ぬくぬくした境遇に安住している霞が関がいく
 ら増税が必要だといっても、国民は誰も納得しないに違いない。
  ハローワークに行った失業者か隣の人に尋ねる。「あなたは何をしてらっしゃつたんです
 か」「国家公務員です。お互い厳しいですなあ」。こういう会話が交わされるようになって、
 初めて国民も、ああ霞が関もがんばつている、苦しいがわれわれも協力しなければ、とな
 って増税を受け入れる。

  すなわち、公務員制度改革、脱官僚なくして、増税は実現しない。菅総理がそのことに気
 づいていらっしやったかどうか。
  増税路線をはっきりと打ち出したときこそ、政権の真価が問われている。菅総理がリーダ
 ーシップを発揮して、政治主導で、可及的速やかに改革に着手してくれることを私は期待し
 た。

ここにかかれていることも異論ない見識だと考える。端的にまとめると「公務員制度改革、脱官
僚なくして、増税は実現しない」に集約されることは、このブログで提案している成長戦略『双
頭の狗鷲(ダブルヘッド・ゴールデンイーグル)』の基本骨子でもある。でもあるが実現するの
はなかなか難しいことは、長らくこの地で住民運動をしてきた高校教師の同士の賢兄も反対する
"
生活保守"が働くことを知っている。まして、薩長幕藩的中央集権遺制を色濃く残している財務
省などの上級国家官僚が既得権益を守り抵抗することも
推測できる。勿論、ここには自民党など
の保守(反動)の政治委員(文武官族議員)グループも含まれる。このように歴史の時系列を広
げ多角的に考えると、世界の動きが見通すことも可能だ。とまろう、『吉本隆明 「すべてを引
き受ける」という思想』(光文社  2012.06.20 茂木健一朗)のタイトル通りだから。このよう
に、折角、政権交代を可能にし、風通りが良くなった好機を、<現在の政体>により多くの勤労納
税者の期待が裏切られていく様をわたしたちは目撃することになる。


 

  第6章 政治主導を実現する三つの組織

                       事業仕分けに大臣が抵抗するわけ

  政治主導を確立するために必要な仕組みに触れる前に、そもそも政治主導とは何か、とい
 う根本的な問いについて考えてみたい。
  日本国憲法では国権の最高機関は国会だと定めている通り、国の機関としては国会か究極
 の主導権を持っているはずだ。その次に問題になるのが、では、行政を担う政府のなかで誰
 に専権かあるのか、ということだ。それか政治なのか官僚なのか。
 
  政治家やマスコミは,政治主導」という言葉をなんの疑問もなく使っているが、実は政治
 主導という言葉があること自体、本来はおかしい。官僚は大臣の指揮下にある、政府の仕事
 に携わる実務の遂行名であり、政策の決定権はない。従って、法律上は「官僚主導」はあり
 得ないはずであり、その逆の「政治主導」などという言葉も存滉する意義がないはずである。

  これを大前提に考えていくと、一言でいえば、政治主導とは「内閣主導」だ。さらに詰め
 ていくと、内閣のトップである総理の主導こそが政治主導の究極の形となる。先述した通り、
 一人に権力が集中していたほうが、霞が関を押さえ込みやすくなる。その意味でも、総理主
 導が望ましい。
  ところか、役人言葉には「内閣主導」はあっても「総理主導」はない。役人は、総理は内
 閣の総意に基づきりリーダーシッブを発揮するのであって、各省庁の人臣の意思を考慮しな
 い総理の主導はあり得ないと解釈する。このように役人か考えるのは、総理主導を認めると、
 総理の一存でなんでも決まってしまいかれないからだ。

  総理主導を認めない考え方によれば、各人臣をコントロールすることにより、内閣をコン
 トロールし、結果的に総理の主導権を空洞化できる,現実にそういうことが起きている。
  たとえば、事業仕分けで各省大臣が抵抗している姿がその典型だ。
  逆に総理主導を認め、総理を完全にコントロールできなくなると、役人の意思は反映され
 なくなる。各省の役人からすれば、総理のコントロールは、所轄の大臣のそれに比べるとは
 るかにむすかしい。
   官僚の解釈が間違っているわけではない。憲法上も、「総理は内閣の総意に基づいて
 とタガをはめている、官僚はこの解釈を楯にとって「総理主導」を認めないのだ。
 
  だが、現実には最終決定権を握っているのは総理である。大臣の指名・罷免の権限を有す
 る総理は、大臣を指名し、場合によっては罷免できる。
  しかも、閣議で議論した結果、意見がまとまらないときに、最終的な決断を下すのも総理
 だ。もし、総理の考えに全閣僚が反対したときには、全大臣を罷免し、総理が兼務すること
 だって論理的には可能である。それがゆえに、閣僚が不祥事を起こしたときには、総理は任
 命責任を問われろ。
  この仕組みを前提に考えれば、総理が各省庁、各大臣に直接指示する、総理主導の政治か
 もっとも効率的な政治主導という結論になる。

                                   この項つづく

  

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愛に遅早はあるか。

2015年05月10日 | 現代歌謡

 

 

 

 


【日本の政治史論 Ⅲ:政体と中枢】 
 

「古賀の乱ってなんだ "I am not ABE"」(『進撃のヘーリオス Ⅱ』2015.04.04)で、触発され
るように、積んでおいた本を取り出し読みはじめた。そして、この国の政体を考えみよう。その
結果、どのようになろうとも未来志向できる手がかりを明らかにしたという動機から掲載してい
きたい。まずは第5章から読み進める。
 

  福島のメルトダウンは必然だった…政府閉鎖すら起こる2013年の悪夢とは!?家族の
 生命を守るため、全日本人必読の書。「日本の裏支配者が誰か教えよう」。経産省の現役幹
 部が実名で証言。
発電会社と送電会社を分離する発送電分離。このテーマについて本気で推
  進しようとした官僚が何人かいた。あるいは核燃料サイクルに反対しようとした若手官僚も
  いた。しかし、ことごとく厚い壁に跳ね返され、多くは経産省を去った。私も十数年前、発
 送電分離をパリのOECDで唱えたことがあるが、危うく日本に召喚されてクビになるとこ
 ろだった。その理由とは何だったのか――。(「序章」より)。改革が遅れ、経済成長を促す
 施策や産業政策が滞れば、税収の不足から、政府を動かす資金すらなくなる。そう、「政府
 閉鎖」すら起こりかねないのだ。いや、そうした危機感を煽って大増税が実施され、日本経
 済は奈落の底へと落ちていくだろう。タイムリミットは、ねじれ国会を解消するための参議
 院議員選挙がある2013年、私はそう踏んでいる。(「まえがき」より)


                          古賀 茂明 著『日本中枢の崩壊』

   目 次

  序 章 福島原発事故の裏で
  第1章 暗転した官僚人生
  第2章 公務員制度改革の大逆流
  第3章 霞が関の過ちを知った出張
  第4章 役人たちが暴走する仕組み
  第5章 民主党政権が躓いた場所
  第6章 政治主導を実現する三つの組織
  第7章 役人―その困った生態
  第8章 官僚の政策が壊す日本
  終 章 起死回生の策

 

  第5章 民主党政権が蹟いた場所

                              誕生直後の絶好機を逃した鳩山政権

  脱官僚の最大の好機は、民主党政権が誕生した直後だった。「鉄は熱いうちに打て」のた
 と
えのごとく、あのとき大胆な改革を実施していれば、成功した可能性が高い。霞が関を改
 革する一つのポイントは役人の評価基準にある。分かりやすくいえば、何をやっ
たら偉くな
 れるか。

  いまは、役所のために予算を増やしたり、規制を作って天下りポストを多くした者が評価
 される。「あそこまで省益を大らせるとは、あいつはワルだなあ」は、官庁では褒め言葉で
 ある。そういう「ワル」にはマイナス評価しかつかないよう変えなければならない。
  この手法についていうと、それはさしてむずかしいことではない。総理や大臣が「公益法
 人への天下りポストも予算も半減しろ」と命令し、「これを真面目にやった者は昇進させる。
 しかし、できなかった者は能力がないと判断して干す」という。
  干すといわれれば、役人はけっこう真面目に取り組むものだ。

  ただし、これをやるためには一つ要件かおる。それは、政権がしばらく続く、そして大臣
 も交代しない、という前提である。来年どうせ政権や大臣が変わると思えば、大臣のいうこ
 とは聞かない。下手に指示に従い、次に来た大臣の方針が変わって梯子を外されれば、次官
 や官房長は役所の利益に反する行動を取ったとして、マイナス評価をつける可能性が高いか
 らだ。
  鳩山政権が誕生した頃は支持率も高く、この政権がずっと続くとみな考えていた。しかも、
 脱官僚を掲げて登場した政権だけに、役人は相当思い切ったことをやられると覚悟していた。
 あのとき、全次官に天下り先リストの一覧表を出させ、半減を指示し、具体的な計画表を1.
 2月までに出すよう命じ、「できなかったら、成績不良とみなす」と告げ、次のように迫る。
 「私にあなたたちの命を預けてください。一生懸命やってくれたら、私はみなさんを守る。
 しかし、できなかったら役所を去ってもらうしかない。そういう意味で辞表を出してくださ
 い。国民のためにやるという覚悟を示してください」各人に目標も書かせ、期限をつけて評
 価する。なかには抵抗する次官もいるだろう。あるいは全員が談合してボイコットしようと
 するかもしれない。半減は無理だからI割にしてくれと泣きを入れてくる次官もいるに違い
 ない。

  しかし、目標を達成できなかった者は、話し合いのうえ、ばっさりと切る。ここまで大胆
 にやれば、残って大事に扱われる者はむしろ、政権に恩義を感じる。
  役人はクビにできないというが、そうでもない。明確な目標を設定して、それができなか
 ったからクビだとちやんとした話をすれば、それに逆らう官僚はほとんどいないのではない
 か。次官・局長ともなれば巨額の退職金が入る。そこで抵抗してみても、世の中から糾弾さ
 れる。そんな根性のある役人はいないだろう。

  あのとき、総理と大臣が一枚岩になって、抜き打ちでこれをやれば、成功する確率はかな
 り高かったのではなかろうか。
  ところが、鳩山政権がやったことは真逆だった。政権交代前、農水省の次官は、民主党の
 マニフェストに書かれていた農業政策を公然と批判していた。政権誕生後、お互いに政策論
 争をしたのならまだしも、農水の次官が掌を返して「誠心誠意やります」というと、赤松広
 隆農水相は即座に、「ぜひ、一緒にやってくれ」と応じた。これでは完全に役人のご機嫌取
 りである。多くの国民はたいへん失望したであろう。

  赤松大臣だけでなく、長妻昭厚労相を除く大方の閣僚が、役人に擦り寄った。みなリスク
 を取れなかった。官僚に離反されてサボタージュされ、足元をすくわれると、大臣をクビに
 なるという恐怖に勝てなかったのだろう。
  初めて大臣に就任した方ばかりなので、その気持ちは分かるが、閣内が一致団結して意見
 を統一し、互いに支えながら脱官僚の方針を貫いていただきたかった。それができていれば、
 公務員制度改革も政治主導も一気に進展していたはずだ。民主党政権は絶好の機会を逃して
 しまった……。





                   役人とマスコミに追い落とされた長妻大臣

  そんななか、民主党政権の閣僚のなかで唯一、野党時代の方針を貫こうとしたのは、先述
 した長妻昭氏である。
  消えた年金問題を舌鋒鋭く突いた「ミスター年金」の長妻氏は、民主党政権誕生の殼大の
 立て役者となり、功労を認められて鳩山政権の厚生労働大臣に抜擢された。良妻氏の閣僚時
 代の話は著書『招かれざる大臣』に詳しいが、私は回書を読んで、ああ、なるほどと思った。
 以下は従来から述べている私の推測に過ぎないが、長妻大臣の話と極めてうまく辻褄が合っ
 ているので、おそらくかなり当たっていると考えていいのではないか。



  長妻氏は仙谷氏に比べれば年金問題以外は素人に近く、もともと厚労族だった仙谷氏が指
 導をしていた。仙谷氏は、厚労人臣になりたいと希望していたといわれるぐらいで、その分
  野には明るい。だが長妻氏も、年金以外の分野でも、勉強しているうちにだんだん自分の考
 えを持つようになり、仙谷氏の意見に従わないことも多くなった。
 その間、仙谷氏は、権力を次々と掌握していき、「陰の総理」といわれる存在になった。閣
 僚はみな仙谷氏に逆らわないなかで、自分の手下と思っていた長妻氏だけは、いうべきこと
 はいう。仙谷氏にとって長妻氏は徐々に煙たい存在になっていった。

  一方、厚労省の役人も、他の閣僚と違って役所に擦り寄らず、政治主導を貫こうとする長
 妻氏に手を焼いていた。
  象徴的な例が、先述した「退職管理基本方針」を受けて、役人が天下りの代わりに現役の
 まま出向できる団体を追加しようとしたときの対応である。
  ずらっと並んだ出向先として追加しようとしている団体はこれまでの天下り先。このリス
 トを見て、長妻氏は、これはおかしい、理由が分からない、と一人だけ頑としてこれを認め
 なかった。
  各省の出向先追加リスト(96ページ参照)が回ってきたとき、私は目を疑った。厚労省だ
 け真っ白で何も書いていない。長妻大臣は凄いことをやったな、これはひと波乱ある、と思
 った。果たして、後に長妻氏は事実上の更迭の憂き目に遭う……。

  出向先追加リスト容認の閣議決定がされたのは、夏の定例人事の少し前だった。前述した
 「退職管理基本方針」の閣議決定を受けて出すのだから、厚労省の役人は当然、自分たちも
 追加リストを出せると思う。追加の出向先をあてこんで、人事を内定していた。ところが、
 長妻氏がこれをストップした。そのため、厚労省だけ人事が混乱したはずだ。
  厚労省の役人からすれば、自分たちだけが被害を受けているという意識になる。長妻さん
 の対応は理不尽だと。いじわるされていると憤りもする。他の役所は予定通りリスト追加が
 認められているのだからなおさらだ。これは、厚労省の役人が悪いのではなく、同じことが
 起これば他の省庁の役人誰でも抱く感情だ。

  かといって長妻氏が悪いわけではない。もともとの民主党の方針を変えた菅氏に非がある。
 我が身可愛さで、官僚に妥協した閣僚全員も悪い。
  就任以来、方針を曲げず、原則を押し通そうとする長妻氏と厚労省の役人の意思疎通は、
 それまでもうまくいっていなかった。そこに、長妻氏の追加リスト拒否である。溜まってい
 た厚労省の役人の不満のマグマが一気に噴出し、官邸にSOSを出しただけでなく、マスコ
 ミを通じて反撃に出た。
  曰く、「職員に対する指示がサディスティックで、パワハラまがいのいじめもあり、職員
 には不信感が募っている」「政治主導の意味をはき違えている。

  たとえばある報道は、長妻氏は冷酷な性格で、「警護官を雨のなか、家の前に一晩中立た
 せていた」と書いた。大臣の自宅の前には、就任中、警護用のポリスボックスが仮設される。
 警護官にとって、立って見張りをするそのこと自体が仕事だ。しかも、二時間で交代する決
  まりになっているという。なのに、あたかも長妻氏が指示したかのように、「雨のなか、一
 晩中立たせていた」と書く。警護官を家族に挨拶させなかったといった、どうでもいいこと
 さえ、悪口の材料にされた。
 「私が頼んで、警護官を派遣してもらっていたわけでもないのに、それを家の前にずっと立
 たせていたと書くんですよ」と、長妻氏はマスコミの理不尽さを嘆いていた。
 根も葉もない誹諧中傷も報じられたという。大手新聞の報道によると、次のような出来事が
 あったことになっている。

 大臣室で官僚から説明を受けているとき、長妻氏の資料が床に落ちた。役人が拾うのを躊躇
 していると、長妻氏が「君、拾えよ」と局長に命令した。局長が渋々拾うと、長妻氏が「こ
 れが、いまの僕と君の関係だ」といったとされていた。
 長妻氏は、「そんなこというわけないでしょ。常識で考えてくださいよ」と、苦りきってい
 たという。いま挙げたのは、長妻氏に対する悪口記事のほんの一例で、大臣就任中は、連日
 のように誹諧中傷記事が各メディアに掲載されて(※「させていた常套手段」誰が?・・・
 と筆者が と追加しておこう)いた。
 普通、大臣に関する批判が出れば、マスコミは大臣に取材し、裏を取る。それもやらずに一
 方的に、記事をでっちあげて叩く。厚労省の役人と記者クラブがタッグを組んで、良妻追い
 落としに動いたのは、明らかだろう。


                    財務省主計局が記者に送った中傷メール

  マスコミによれば、良妻氏は大臣に就任後、成果らしい成果を出さなかったとされる。メ
 ディアは「ミスター年金」をもじって「ミスター無能」「ミスター検討中」と郵楡した。ご
 本人はごく一部しか明らかにしていないが、全省的な激しいサボタージュに遭ったと推測さ
 れる。
  大臣はただでさえ、忙しい。特に長妻氏の場合、全部自分で処理しようとしたため、寝る
 時間もなく、細かなことに気を造う暇がなかったはずだ。こんな場合、普通は、大臣秘書官
 がフォローするべきで、細かなことは秘書官や事務方の責任が問われる。しかし、厚労省で
 はそうならなかった。

  逆に、「あんなことも気づかない。こんなこともしない。冷たいだけじゃなく無能だ」と、
 みなで言い回ったようだ。こんな状況では、長妻氏がいくら仕事をやりたくてもできない。
 結局、長妻氏は「職員からすこぶる評判が悪い」「内開府の意見募集に悪評が山のように届
 いている」という理由から、菅改造内閣発足をもって退任した。いわば更迭だ。
  これまでの慣例では、閣僚経験者で、しかも政権交代の最大の功労者である長妻氏を無役
 にするなどとはあり得ない。一時期、首担桶佐官にするという観測記事が出回ったが、最終
 的に長妻氏が与えられた次のポストは、民主党の筆頭副幹事長だった。これは異例の降格人
 事である。

  実は、長妻氏追い落としには、さらに裏の話がある。大臣就任期間に、「長妻は、こんなひ
 どいことをやっている」として、長妻氏の仕打ちを列挙したメールが出回った。私は持って
 い
ないが、多くの記者が手にしていた。彼らはそれをどこから人手したか・・・財務省の主計局
 か
らである。
  厚労省が出所であれば、内輪もめだということになり、厚労省の役人も悪者になりかねな
 い。財務省がやんわりと「なんだかひどいらしいですなあ」とやれば、真実味も増すし、記
 者
も飛びつきやすいという巧妙な作戦である。




                       財務省が絶対に認めない改革とは

  財務省にとっても、長妻氏は邪魔者だった。長妻氏は野党時代、社会保険庁の日本年金機
 への移行を凍結し、社会保険庁を国税庁と統合させて「歳入庁」を設置すべきだと主張
 ていた。大臣になった後、年金機構の民間出向者が内定済みという理由で、これは実現しな
 かったが、将来的には歳入庁設置の意向を示していた。※
  財務省が絶対に受け入れられない改革、それは国税庁の完全切り離しである。
  一時期、消えた年金問題に関連して歳入庁構想が浮上した。年金も国税も国民からおカネ
 を徴収する点では同じ機能なので、社会保険庁と国税庁を統合し、歳入庁を新設して、国民
 から徴収する機能を一元管理しようという構想だ。こういう仕組みにすれば、無駄な人件費
 が削減できるだけでなく、徴収率も上がるし、データの管理もしっかりし、間違いも起こり
 にくい。極め
て妥当な案だった。

  ところが、いつの間にか、歳入庁構想は俎上に載せられなくなり、立ち消えになった。財
 務
省が反発したか、あるいは、民主党がそれを恐れたからだといわれている。
  なぜ、財務省はたかだか下部機関に過ぎない国税庁にこだわるのか。財務省のスーパーパ
 ワ
ーの隠れた源泉が国税庁の査察権であるからだ。実は国税庁は、検察庁に勝るとも劣らな
 い強
力なツールなのである(※米映画『アンタッチャブル』参鑑)。
  普通に生活していて、刑事事件の被告になることはまずない。刑事事件を起こさない限り、
 警察も検察も手を出せない。厚労省の元局長、村本厚子氏のように無理やり罪を被せて逮捕
 す
ると、どんなことになるか。大きな社会問題になり、いま検察は大変な苦境に立だされて
 いる。

  ところが、ただ一つ、比較的容易に刑事事件の落とし穴に嵌まりやすいのが脱税である。
 こ
れを担当するのが他ならぬ国税庁だ。サラリーマンの場合、税金は会社が天引きして納め
 るの
で、脱税容疑に問われることはほとんどないが、自営業者や企業経営者は、うっかりす
 ると脱
税に引っかかる。
  たとえ、脱税する気は毛頭なくても、経理上のミスはいくらでも起こり得る。とくに経理
 に
専門スタッフを割く余裕のない自営業や中小企業では、国税庁がとことん調べれば、脱税
 とされても仕方がないミスは必ず見つけられる。

   国税庁はその気になれば、普通に暮らしている人を脱税で摘発し、刑事被告人として告訴
  できるのだ。あるいはそこまで行かなくても、国税庁の査察が入るということになれば、相
 当な恐怖感を抱かせることができるのだ。
  ましてやカネの流れが不透明な政治家は国税庁が怖い。だから国税庁を管轄する財務省に
 は刃向かえない。

  国税庁は、マスコミを牽制するためのツールとしても大いに威力を発揮する。霞が聞に対
 して批判的なフリーのジャーナリストを黙らすのは、その気になれば簡単だ。国税庁が査察
 に入れば、いくらでも埃は出てくる。
  経理がしっかりしている大手出版社や大手新聞社などのメディアを押さえ込むのも、さほ
 どむずかしくないという。国税庁は定期的にマスコミにも調査に入っている。たとえそのと
 きに立件できなくても、すべての資料を閲覧できることが大きい。

  経理の資料を見れば、重役や編集者、記者がどこどこで某政治家、某役人と食事をしたと
 いった情報が人手できる。国税庁は、入手したこれらの情報のうち役に立ちそうなものは整
 理して保管するという。
  ――財務省にとって、この懐刀が、いざというときにものをいうのだ。たとえ摘発しなく
 ても、霞が関に楯つくマスコミや政治家には、やんわり「これ以上うるさいと、こちらも本
 気でやりますよ」と相手が受け取るような形で、それとなくにおわせるだけで十分だろう。

  無論、財務省は国税庁を脅しの道具に使っているなどとは絶対認めないだろうが、査察や
 調査と霞が関批判の記事の間には、ある種の因果関係が存在すると感じているマスコミ人は
 多いはずである。
  私自身こんなことを書くことについて、友人のマスコミ関係者から、「古賀さん、国税の
 ことは書かないほうがいいよ」と忠告を受けた。ここでの表現がオブラートに包んだような
 ものになっているとしたら、やはり私も国税の恐怖に勝てなかったということかもしれない。

  しかし、もう一人の友人はこういった。「古賀さん、ここまで霞が関を敵に回したら、い
 まさら手遅れだよ」……。
  かように財務省にとって国税庁ほど使い勝手のいい機関はない。だから何かあっても手放
 そうとはしないのだ。

                    公務員制度改革なくして増税なし

  私は、仮に、仙谷氏が権力を握った時点で、民主党という風船が高く上がり続けていたら、
 かなりおもしろいことになったのではないか、と思っている。脱官僚を実現する環境は、鳩
 山政権のときよりも好転していると感じたからだ。

                                                                                古賀 茂明 著『日本中枢の崩壊』


実名(組織・故人の)が入ってくると、これは「事実は小説より奇なり」であり、これを巡り、
民主主義の成熟度が問われることになる。「バッタボックスに立たなければ、ゲームは始まらな
い、バッタボックスに入らなければゲームは終わらない」ということだ。面白い。



※「国税庁は財務省の「権力の源泉」だ。これが歳入庁となり財務省から分離・独立することは
 絶対認められないというのが財務省の立場である。現に、橋本政権時代、橋本首相が国税庁の
 分離を提案したことがあったが、大蔵省幹部や大蔵省出身の総理秘書官のあわてぶりは尋常で
 はなかった。秘書官などは「総理、そんなことを本当にやっていいと思ってるんですか!」と
 血相を変えて喰ってかかっていた。この時は、歴代自民党税制調査会長を大蔵省がすべて迅速
 かつ周到に根回しして、瞬時に葬り去ったものである(「シリーズ/財務省の増税マインドコ
 ントロールを暴く!・・・②「歳入庁構想、自民・財務省の連合軍に見事に葬り去られる」

 江田けんじ公式ホームページ 2012.07.09)。

                                                     この項つづく





プロコフィエフ: バレエ音楽「ロメオとジュリエット」第2組曲
 

  ● 今夜の一曲


   憎くはないのに憎まれ口を

   きいて悔やんだ日もあった

   愛し合うのは早いのね コバルト

   色の波も散る 波勝岬は純情岬

 
   一人になったら悔しいけれど、

   涙ほろりとこぼしてた

   愛し合うのは早いのね 南の伊豆の

   春の夢 波勝岬は青春岬

 
   青春時代はかえってこない、

   みんな大事にしましょうよ

   愛し合うのは早いのね かもめの

   歌も潮鳴りも 波勝岬は思い出岬


                        愛しあうには早すぎて』
                             
                               歌  本間千代子       
                              作 詞 丘灯 至夫
                              作 曲 山路 進一
             

 「あたかもグループ交際を推奨しているような」歌詞の舟木一夫「君たちがいて僕がいた」
 と本間千代子「愛し合うには早すぎて」は「一種のハーモニーをかなでるような仕掛けとな
 っていた」。また、舟木一夫「高校三年生」の「ぼくらフォーク・ダンスの手をとれば、甘

 く匂うよ黒髪が」という「男女の接近の限界線の提示」と「愛し合うのは、早いのね」(本
 間の歌の三番ともに共通する歌詞)とは「共鳴しあってもいた」。

                     藤井淑禎 著『純愛の精神史―昭和三十年代の
                     青春を読む―』(新潮社(新潮選書)、1994) 
     

同上著者によると、波勝岬は、昭和三〇年代半ばくらいまで、船でしか行けず、陸路で辿り着く
のは困難な場所だった。バス路線から離れており、最寄りのバス停からもまともな道はなかった。
と語るほど、この歌ができた1963.4年は、「波勝岬」が「人跡未踏の地」「処女性=純潔
のメタファー」たりえた、高度経済成長への乖離を意味していたのだろう。個人的には、日活の
青春映画シリーズのヒロインをめぐり小百合か、千代子かで競い合った青い特でもあったが、声
美人で後者のファンであったが、団塊の世代に、異性愛の早い、遅いを意識させたシンボリック
な映画音楽として深く記憶にとどめる。 

 

 

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挑戦なくして成果なし

2015年05月09日 | 時事書評

 

 

 

 


【日本の政治史論 Ⅱ:政体と中枢】 
 

「古賀の乱ってなんだ "I am not ABE"」(『進撃のヘーリオス Ⅱ』2015.04.04)で、触発され
るように、積んでおいた本を取り出し読みはじめた。そして、この国の政体を考えみよう。その
結果、どのようになろうとも未来志向できる手がかりを明らかにしたという動機から掲載してい
きたい。まずは第5章から読み進める。
 


  福島原発メルトダウンは必然だった…政府閉鎖すら起こる2013年の悪夢とは!?家族の
 生
命を守るため、全日本人必読の書。「日本の裏支配者が誰か教えよう」。経産省の現役幹
 部が実名で証言。
発電会社と送電会社を分離する発送電分離。このテーマについて本気で推
  進しようとした官僚が何人かいた。あるいは核燃料サイクルに反対しようとした若手官僚も
  いた。しかし、ことごとく厚い壁に跳ね返され、多くは経産省を去った。私も十数年前、発
 送電分離をパリのOECDで唱えたことがあるが、危うく日本に召喚されてクビになるとこ
 ろだった。その理由とは何だったのか――。(「序章」より)。改革が遅れ、経済成長を促す
 施策や産業政策が滞れば、税収の不足から、政府を動かす資金すらなくなる。そう、「政府
 閉鎖」すら起こりかねないのだ。いや、そうした危機感を煽って大増税が実施され、日本経
 済は奈落の底へと落ちていくだろう。タイムリミットは、ねじれ国会を解消するための参議
 院議員選挙がある2013年、私はそう踏んでいる。(「まえがき」より)


                          古賀 茂明 著『日本中枢の崩壊』

   目 次

  序 章 福島原発事故の裏で
  第1章 暗転した官僚人生
  第2章 公務員制度改革の大逆流
  第3章 霞が関の過ちを知った出張
  第4章 役人たちが暴走する仕組み
  第5章 民主党政権が躓いた場所
  第6章 政治主導を実現する三つの組織
  第7章 役人―その困った生態
  第8章 官僚の政策が壊す日本
  終 章 起死回生の策

 

    第5章 民主党政権が蹟いた場所

  
                                 労働組合との隠したくても隠せない関係

  二つの基本的な理由に加えて、民主党と労働組合の関係にも触れなくてはならない。民主党
 
の有力な支持母体、日本労働組合総連合会(連合)傘下の地方自治体職員などによる労組合
 連合体、全日本自治団体労働組合(自治労)や、政府関連の労働組合は、急激な公務員制度

 革に反対の意向を示している。

  民主党には選挙を組合に頼っている政治家が数多くいる。組合の正式な組織候補となってい
 
る者はもちろんのことだが、一年生議員などには、組合がなければ選挙活動をどうやればいい
 
か分からない人も多いのである。
  頼りにするのは選挙費用や票のためだけではない。たとえば、公募で選ばれた候補者がまっ
 たく土地勘のない田舎で選挙活動を行うとしよう。都会のように駅前の街頭演説などをしても、
 そもそも駅前に人などいない。大きな住宅街というのもないから、自転車で町を回るなどとい
 うことをしても、出会える人の数などたかが知れている。しかも、よそ者にはなかなか心を開
 いてもらえない。きっと途方に暮れてしまう。

  ところが、組合が支援すればまったく異なる。どんな田舎にも学校はある。日教組が人を集
 めて小さな集会を開いてくれれば、演説させてもらえる。それが選挙運動になる。工場の労働
 組合が集会を開いてくれる。これも貴重な活動の場だ。こうして少しずつ選挙運動の輪が広が
 っていくのだ。このような最初の経験は極めて大きな影響を与える。政治家になってから集ま
 ってくれた人よりも、こうした何もない段階で世話になった人への恩義は誰しも強く感じるも
 のだ。民主党には若い議員が多いから、組合の影響など受けないのではないかと思う人も多い
 かもしれないが、実態は大違いなのである。
  組合の嫌がる政策を実施して選挙で応援してもらえなくなると、議席の維持がむずかしくな
 る。こうして組合に気を遣い始めると、結局、官僚の意向に逆らうことはむずかしくなる。政
 治主導といっても、その前提となる公務員制度改革には手がつけられなくなるからだ。

  おもしろいエピソードを紹介しよう。2008年頃、あるテレビ局の番組で連合の古賀伸明
 会長が、当時の仙谷由人行政刷新担当大臣と松井孝治官房副長官を呼び捨てにする場面が放映
 で、少なくとも表面上は仲良くしていたほうがいいだろうという判断が働いているように見え
 た。これを「消極的な擦り寄り」とすれば、一方で[積極的な擦り寄り」もある。
  民主党政権は、財務省に対しては明らかに、これと手を結び、仲間に引き入れたいと考えて
 いたと思われる。財務省の協力なくしては予算編成も緊急課題となっている経済政策もできな
 い。財務省の知恵を貸してもらわなければ、民主党政権の支持率はジリ貧になり、解散・総選
 挙にまで追い込まれ、政権政党の座を失う恐れが出てくる。

  だからこそ、財務省を味方にすべく、公務員制度改革を後退させ、天下り規制を骨抜きに
 などの「誠意」を示して引き込んだのだ。これが民主党の「魚心」とすれば、財務省の「
 
」は消費税増税である。悲願の消費税増税を民主党政権にやらせるために財務省が描いた理
 想のシナリオは、民主党政権を長く続けさせ、その間に民主党政権に消費税増税を強行突破さ
 せる――こういうものだったと私は推測している。

   増税の議論を行う前にまず選挙で国民の信を問い、そのうえで増税を決めるという筋書きで
 は実現はむずかしい。5パーセントの増税は、国民からすれば5パーセントの減収だ。
 民主党が選挙で勝てる可能性は限りなく低くなる。何かあっても民主党政権を支え次の参議院
 議員選挙までの三年間、選挙がない状況を作り出し、その間に増税を既成事実化したいと、財
 務省第瓦章 民主党政権が蹟いた場所は考えていたのではないか。もちろん、あわよくば選
  なしで増税までこぎ着けたいという思惑もあっただろう。

      この財務省のシナリオに沿って、鳩山政権から引き維いだ菅政権は消費税増税を口にした
  ところが、菅氏は増税に関して、「少なくとも三年後の選挙で国民の信を問う」と国民に約
 束した。ある意味うまい戦略だと思った。
  財務省からすると、これで増税実現までのハードルが高くなった。民主党政権に増税をやら
 せるには、民主党政権を維持させ、なおかつ総選挙にも勝たせなければならなくなったからだ。
 菅発言は、「俺たちも死に物狂いでやるから、財務省も死に物狂いで俺たちを支えろ。でない
 と、増税は実現しないぞ」という財務省へのメッセージでもある。  

  一方で、消費税増税表明は自民党が先。これに菅氏が抱きついたわけだ。財務省にしてみれ
  ば、増税を実現してくれるのなら、民主党、自民党のどちらでもかまわない。自民党に乗り換
 
る道ももちろん視野に入っている
  そこで、民主党政権が暗に強調しているのが公務員制度改革の違いだ。「自民党やみんなの
 党に比べれば、われわれのほうがずっと緩い」とアピールし、財務省をつなぎとめようとして
 いた。
  民主党と財務省が手を組んだとはいえ、菅政権は消費税増税を餌に政権維持を助けろ、と財
 務省を踊らそうとしていただけ。また財務省にしても、助けるふりをして、最後に増税さえで
 された。その直後、仙谷氏本人からこのテレビ局に、一方的な報道だとしてものすごい剣幕で
 電話がかかったそうである。連合からも抗議があった。
  これほどおもしろい映像はないから普通なら繰り返し放送されるのだが、実際には、このテ
 レビ局はその映像を封印してしまった。

  逆にいえば、テレビ局側は、それほど民主党が組合との癒着問題に神経質になっていると思
 っていたということなのだろう。この問題がいかに根深いものか分かるというものだ。ところ
 で、原発事故で問題となっている電力業界。この分野の労働組合は「全国電力関連産業労働組
 合総連合
(電力総連)」という。連合のなかでも大きな勢力を有し、組織内議員も輩出してい

 る。笹森清内閣特別顧問は元会長で、日本労働組合総連合会(連合)会長も務め民主党政権に
 大きな影響力を持つ人物と考えられている。福島原発事故後の対応や東電の処理にあたっては、
 この電力総連の動きも要注意である。  

                       財務省と手を結ぶしかなかった秘密

  さらに指摘しなければならないのが、前にも触れた閣僚の力の問題。与党経験のない民主党
 の議員が大臣や副大臣、政務官に初めて就任し、官僚と戦う。官僚出身の議員などは霞が問に
 人脈もあり、その手の内を知っているが、大半の閣僚が官僚に太刀打ちできるという自信を持
 てない。自分たちの力が足りないのに戦いを挑んだりすると、官僚に叩かれて終わるだけなの
 で、少なくとも表面上は仲良くしていたほうがいいだろうという判断が働いているように見え
 た。

  時の政権と財務省の関係はしょせん狐と狸の化かし合い。裏切る、裏切らないの緊張関係
 のなかで、腹を探り合い、自分たちの利益をなるべく大きくすべく網引きをやっている。繰り
 広げられる虚々実々の駆け引きは、不謹慎な言い方だが、傍目には、とてもおもしろい。
  民主党政権は、ときどき、「俺たちもやる気になれば、これぐらいできるんだよ」と強気の
 態度で脅しをかけ、財務省を従わせようとするかと思えば、「世論の批判が強いので、この政
 策だけは我慢してもらえないか」と泣き落としにかかった。

  財務省は財務省で、「このタイミングでは、さすがにやらせるのは無理か。それなら、こち
 らは向こうの要求を呑む代わりに、あの政策をやらそう」などと、政権の腹の内を読みなが
 ら、最大限要求を通そうとする。以七はあくまで私の推測で、やっている当事者はそんな意識
 はないというかもしれない。しかし、少なくとも傍から見ていると、そのような駆け引きがあ
 るように見える。
  では、消費税の増税は次の選挙後までないのか。ないと見るのが普通だろう。しかし、ひょ
 っとすると、と考えていた財務官僚もいたのではないか。消費税増税は実は民主党政権にとっ
 ても切り札になり得たからだ。なぜか。
  増税すれば、財源不足で実現できなかった政策が実施できる。それによって支持率を維持し、
 選挙に勝つという戦略もあるだろう。逆に財務省は、増税なしでは様々な政策が実施できない
 という危機的状況を演出するだろう。国民を脅して、むしろ国民の側から「消費税を上げてく
 れ」という悲鳴を上げさせる。そうなると、意外と早く消費税増税が実施される可能性がある
 ことは否定しきれないのではないか、と私は見ている。


                              仙谷官房長官の大誤算

  仙谷氏と財務省の関係も非常に興味深い。仙谷氏はすでに触れたように、当初は改革に燃え
 ていたと思われる。しかし、現実との妥協で財務省と手を握るふりをしたように見える。ある
 意味、仙石氏の判断は正しかったと思う。
  仙谷氏は官房長官を退任する以前は、菅政権の陰の総理といわれるほど、権力を一手に握っ
 ていた。民主党政権誕生直後は決して主流とはいえなかった仙谷氏が、民主党内の権力を掌握
 し、菅内閣で突出した権力者となれたのは、財務省に依存する作戦が成功したからである。
 谷氏が権力の座についた原動力が財務省依存だった、と私は見ている。
  財務省のバックアップがあるために、他の閣僚に比べて、人ってくる情報の質・量が違って
 くる。したがって、情報不足による失言はなく、犬ポカをせずに済んだ。非常にむずかしい場
 面になると、仙谷氏の意見が、一番もっともらしい。他の閣僚の評価が落ちていく一方で、仙
 谷氏の評価だけはうなぎ上りで、内閣のなかで突出した権力を持つに至った。 

 

  つまり、財務省をうまく操って、やっと霞が関と戦える力を持つところまで上ってきたと私
 がそう思うの
は、仙谷氏が極端なまでに財務省の意向を汲んでいるように見えたからだ。
 そうは見えないように巧妙にやっていたが、全体から見ると、霞が関に対して非常に手厚い政
 策を次々とやっていた。国民がすべて批判するような政策でも、押し通す。党内から、「こん
 なことをやれば、選挙に必ず負ける」という批判の声が上がったにもかかわらず……。
  仙谷氏が霞が関に完全屈服したのではないかという人もいたが、私はそうは思わなかった。
 あれほどあからさまにやったのだから、仙谷氏の戦略だと思った。自分がどれだけ霞が関を守
 ってやっているか、あえて見せつけ、財務省を手なずけて、権力の階段を上ろうとしていたの
 ではないか、と推測している。

  これはよほど自信がないと怖くてできない。マスコミに叩かれたときに、立っていられなく
 なる。仙谷氏には自信があったのだろう。自分が権力を握れば、選挙も絶対勝てると踏んでい
 たのだと思う。
  だが誤算があった。仙谷氏が階段を上っているうちに肝心の民主党の支持率が下がってしま
 い、2010年7月の参院選はポロ負けしてしまった。仙谷氏の官僚依存も、国民から見る
、自民党時代に逆戻りしたとしか見えず、菅内閣は急速に国民の信を失った。

  民主党を風船に、仙谷氏をそのなかの空気にたとえてみると分かりやすいかもしれない。民
 主党という風船は、2009年の総選挙前には空高く舞い上がっていた。その頃、仙谷氏という空
 気は風船の下のほうに漂っていた。
 
  最下部の空気である自分が、財務省と喧嘩しても潰されるだけである。仙谷氏はとりあえず
 手を組んだふりをして階段を上がろうと考えた。党内の政治力学を睨みながら、財務省を利用
 して。この戦略は見事に奏功し、風船の頂点まで上り詰めた。
  ところが、気がつくと肝心の風船が、その間に急下降。水平線ぎりぎりまで落ちていた。相
 対的に見ると、かつて風船の底辺にいた頃よりも、自分の位置は下がっていた。それどころ
 か、いまや風船は破裂寸前だった。
  挙げ句の果ては、上手の手から水が洩れ、閣内からも出ることになってしまった。結局、仙
 谷氏は、パラドックスに押し潰され、霞が閣との決戦の日は迎えられなかった。
  仙谷氏の陥ったパラドックスは民主党政権にも当てはまる。民主党が野党時代、脱官僚に本
 気で取り組もうと考えていたのは間違いない。だが、政権の座に就いた途端、現実が重くのし
 かかってくる。
  大きな改革は一年ではできない。すべてやり遂げるまでには七年から八年かかるとすると、
 四年後の選挙に勝だなければならない。その前にすぐ参院選、そしてまた統一地方選。選挙に
 勝つためには、政権を維持し、なおかつ支持率を高水準に保つ必要がある。そのためには、
 が閣と事を荒立てるのは危険、となる。

  かくして妥協に次ぐ妥協が始まり、気がつけば身動きができなくなっている。政権の支持率
 はジリ貧になり、やがて倒れる……。民主党はこの罠にかかり、国民の信を急激に失ったのだ。
  仮に改革には七、八年必要だとしても、政権を維持するために守りに入ると終わりだ。リス
 クがあっても政権が倒れることを恐れず、その時々でできる改革を断行し、常に推進力を維持
 する。そして、いったん支持率が落ちたとしても盛り返すという政権運営をして、初めて改革
 も政権維持も成功する。小泉純一郎総理はこれがうまかった。

  小泉内閣の支持率は、おしなべて高かったが、浮き沈みがあった。そろそろ危ない水準まで

 下がってくると、小泉氏は守りに入らず、思い切った冒険をした。たとえば電撃的な北朝鮮訪
 問である。そして、極めつきは郵政選挙だ。それが功を奏し、支持率は再び上昇するといった
 サイクルの繰り返しだった。

                            古賀 茂明 著『日本中枢の崩壊』


"
No challenge, No findings" 小泉は幸運であったが、それも「挑戦なくして、結果なし」を腹に据
えていた。転がり込んだ好機をつかめず没主体で転落していく民主党とそのシンパは何を学んだろ
うか? さて、このつづきは次回に。

                              
                                    この項つづく

 

    ● 今夜のメッセージ 

 宮崎駿氏「辺野古基金」共同代表へ 新基地阻止、内外に(琉球新報 2015.05.08) 

  

Japan scholars in West issue statement calling for 'unbiased accounting' of past 

日本は言葉と行動で過去清算を 欧米などの学者187人が要望 (2015.05.04)

※ OPEN LETTER IN SUPPORT OF HISTORIANS IN JAPAN 
 https://networks.h-net.org/system/files/contributed-files/japan-scholars-statement-2015.5.4-eng_0.pdf
 

  

 

● 日本全国の太陽光発電一覧地図 : 15/02/06:1941/4066 MW → 15/05/08:2178/4844 MW

 

● 最新トップランナー事情  日本発!新型太陽光電池「ペロブスカイト」

世界中で、多くの研究機関が新しいタイプの太陽電池開発に取り組むなか、コストパフォーマンス
に優れているこの太陽電池は、数年先、化石燃料や、中でも最も危険な原子力からの依存を減らす
ために必要な解決策の1つであり、最も有力な選択肢だろう。

沖縄の沖縄科学技術大学院大学のヤビン・チー准教授のエネルギー材料と表面科学ユニットが、こ
の無尽蔵で、低コストで生産できるエネルギー源を私達1人1人が利用できるよう、新エネルギーの
研究をしており、一般にはまだ知られていない革命が進んでいる。この革命は私たちのライフスタ
イルに新しい提案すると紹介されている(上ビデオ)。


そもそも『ペロブスカイト太陽電池』は2009年に桐蔭横浜大学 宮坂力教授らのチームがペロブス
カイト結晶の薄膜を発電部に使用、太陽電池として動作することを突き止める。当初は発電効率
が低くそれほど注目されなかったが、2012年に米科学誌『サイエンス』に“10.9%”の発電効率
を実現したと発表したことから世界中で研究に火が付く。その後、世界各国から高効率化したとの
成果が次々と発表され、2014年にはシリコン系と比べてもヒケを取らない約20%の変換効率を達
成。

今年に入り、独立行政法人物質・材料研究機構(NIMS)のナノ材料科学環境拠点(GREEN)がペ
ロブスカイト太陽電池の製造プロセスで製品バラつきの原因となる水分や酸素を排除することで、
理想的な半導体特性を実現。また、東京大学の瀬川浩司教授は壁や人が発する赤外光を吸収して発
電する“色素増感型”太陽電池を『ペロブスカイト太陽電池』と組合わせることで、シリコン系を
超える発電効率の高い太陽電池の開発に成功する。

さらに、同上の物質・材料研究機構は、これまで、報道されたペロブスカイト太陽電池の変換効率
は、ほとんどが小さな面積のセル(約 0.1平方センチメートル)でのデータのため測定の誤差が大
きく、測定方法も公開されていなかったのを、
世界で初めて国際標準試験機関で記録が公認され、
変換効率15%を達成(上図クリック)。これにより日本が世界のトップランナーであることを見
事実証にする。恐るべしクールジャパン!
 

 ● 今夜の一品

双眼鏡や望遠鏡で見た景色をスマートフォンで手軽に撮影してくれるアイテム「Snapzoom」。ス
マートフォンと望遠レンズを取り付けるだけで、誰にでも簡単にプロのような写真を撮ることが
できるという。これは面白い。撮った映像はすぐさま空間伝送できるから凄い時代だ。

 




 

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思案の防犯カメラ

2015年05月08日 | 医療健康術

 


 

 


【日本の政治史論 Ⅰ:政体と中枢】 


「古賀の乱ってなんだ "I am not ABE"」(『進撃のヘーリオス Ⅱ』2015.04.04)で、触発さ
れるように、積んでおいた本を取り出し読みはじめた。そして、この国の政体を考えみよう。そ
の結果、どのようになろうとも未来志向できる手がかりを明らかにしたという動機から掲載して
いきたい。まずは第5章から読み進める。
 


  福島原発メルトダウンは必然だった…政府閉鎖すら起こる2013年の悪夢とは!?家族の
 生
命を守るため、全日本人必読の書。「日本の裏支配者が誰か教えよう」。経産省の現役幹
 部が実名で証言。
発電会社と送電会社を分離する発送電分離。このテーマについて本気で推
  進しようとした官僚が何人かいた。あるいは核燃料サイクルに反対しようとした若手官僚も
  いた。しかし、ことごとく厚い壁に跳ね返され、多くは経産省を去った。私も十数年前、発
 送電分離をパリのOECDで唱えたことがあるが、危うく日本に召喚されてクビになるとこ
 ろだった。その理由とは何だったのか――。(「序章」より)。改革が遅れ、経済成長を促す
 施策や産業政策が滞れば、税収の不足から、政府を動かす資金すらなくなる。そう、「政府
 閉鎖」すら起こりかねないのだ。いや、そうした危機感を煽って大増税が実施され、日本経
 済は奈落の底へと落ちていくだろう。タイムリミットは、ねじれ国会を解消するための参議
 院議員選挙がある2013年、私はそう踏んでいる。(「まえがき」より)

                           古賀 茂明 著『日本中枢の崩壊』


   目 次

  序 章 福島原発事故の裏で
  第1章 暗転した官僚人生
  第2章 公務員制度改革の大逆流
  第3章 霞が関の過ちを知った出張
  第4章 役人たちが暴走する仕組み
  第5章 民主党政権が躓いた場所
  第6章 政治主導を実現する三つの組織
  第7章 役人―その困った生態
  第8章 官僚の政策が壊す日本
  終 章 起死回生の策




    第5章 民主党政権が蹟いた場所

                                                                                族議員が一掃された必然

  民主党は前面に「脱官僚」を掲げ、2009年8月末の総選挙を戦い、国民の支持を受け、   
 長らく続いてきた自民党政権時代を終焉させた。「脱官僚」を実現するための手法として、
 民
主党が上げたのは、ご存じのように「政治主導」である。
  確かに、民主党は自民党に比べれば、はるかに政治主導による「脱官僚」を実現しやすい
 環
境にあった。
  自民党時代の与党議員と官僚の関係は、「政官癒着」とよく非難されていたが、この表現
 は
適切ではない。自民党と霞が関の関係はもっと深かったからだ。
  自民党は、政策立案の場として、党内に「財務金融部会」「経済産業部会」「環境部会」
 とい
った専門の部会を設置している。内閣が提出する法案であっても、まず各部会の議論と
 了承手
続きを経て、自民党の政務調査会(政調)で調整され、さらに党総務会に回され、最
 後に閣議
で正式決定されて国会に提出されるという仕組みになっていた。
  この政策立案の場である各部会のブレーンは、対応する関係省庁の官僚が務めていた。法
 治
国家の日本では、政策には法律の裏づけが要る。たとえば、経済産業省がやりたい政策が
 あれ
ば、それを法案にまとめ、官の素案として自民党の経済産業部会で論議してもらう。部
 会でこ
の法案(政策)はいいからやろうとなると、修正などのとりまとめをした後に、党政
 調に上げられる。すなわち、自民党の部会と関係省庁は一体となって政策をまとめあげてい
 たのだ。
 
  自民党の議員は必ずどこかの部会に入ることになっている。部会は若手議員の勉強の場で
 もある。初当選して国会議員になりたての新人のなかには、政策立案といっても何も分から
 ない人もいる。彼らは、専門部会でそれを学びながら、政治家として成長していく。この先
 生役を務めているのも官僚。言い換えれば、自民党の議員は官僚に育てられて一人前の政治
 家になるという仕組みになっていたのだ。

  従って、自民党時代の自民党議員と官僚は、切っても切れない親子関係といってもいいほ
 ど深く結びついていた。
 
  このシステムには、各分野のスペシャリストの政治家が育つというメリットがある一方で、
 悪名高い「族議員」を生み出すなど弊害も多かった。たとえば経度省が経済産業部会で実権
 を握る経産族議員を育成、こうした族議員に根回しして、その力を借りて法案を通す。その
 見返りに、族議員の目利きや陳情に応じ、特定の業界に便宜をはかるといった慣行が根づき、
  議員は省の利益の代弁者となっていた。
  つまり、単純な癒着というより、政官が一体となった「複合共同体」ができあかつていた
 のである。自民党政権時代、公務員制度改革が幾度も暗礁に乗り上げたのは、こうした構造
 的な関係が根を張っていたからだ。
  利権は国政のあらゆる分野に及んでいた。公共事業、医療、農業、教育、運輸、通信……、
 数え上げたらきりがない。そして、電力もまた代表的な政官財の癒着構造を特っていた。電
 力の世界は、業界全体が、政にも官にも優越するという特殊な構造になっていた。

  その点、結党以来、一度も政権の座に就いたことのなかった民主党の議員は、官庁との不
 明朗な利害関係はない。民主党にも、官僚出身の議員がたくさんいる。民主党の「過去官僚」
 議員のなかには出身官庁と深い関係にあり、自民党の族議員と同じような動きをする人もい
 るが、少なくとも自民党時代のように構造的な一体関係を育むシステムは存在しなかった。
  民主党政権になれば、自民党の族議員と官僚といった政官の関係は一度ご破算になる。そ
 のうえで民主党政権が、政治家と官僚の新たな関係を構築すれば、「脱官僚」は一気に進展
 する可能性はあった。


                      民主党が脱官僚できない二つの理由

  民主党政権は、発足当初こそ、期待通り、官僚と対峙する姿勢を鮮明に打ち出して出発し
 たが、その後の妥協に次ぐ妥協を見ていると、「脱官僚」は看板倒れに終わりそうな気配で
 あった。
  民主党はそもそも「政治主導」の意味が分かっていなかったのではないか、そして、「政
 治主導」を行う実力がなかったのではないかということをすでに指摘した。しかし、仮に「
 政治主導」の意味を理解し、これを実施する実力があったとしても、なお足りないことが二
 つある。
 

  最大の問題は民主党が何をやりたいのか、それがはっきりと見えてこない点である。総選
 挙
前に作られたマニフェストに民主党の政策は集約されていると考えるのが妥当なのだろう
 が、
そのマニフェストを熟読しても、民主党が目指している国家像が伝わってこない。私の
 周囲の
人々のなかには、「あれはあくまでも選挙用で、国民受けする政策をとりあえず並べ
 ただけで
しかない」と酷評する人もいる。
  マニフェストで掲げた政策を民主党政権はやっていない、国民との公約を守っていないと
 い
う批判があったが、それ以前にマニフェストの政策を民主党が本気でやりたいと考えてい
 るの
か、疑問に感じてきた。
 
  鳩山氏にしても仙谷氏にしても、いま一つ、何をやりたいのかが伝わってこなかった。菅
 総
理は「平成の開国」「最小不幸社会」などを掲げていたが、マニフェストを見直すことに
 なっ
たから、国民から見れば、そもそも民主党が何を目指すかは不明だった。やるべきこと
 やり
たいことが分からないまま予算や法案の審議をした。なんと国民を馬鹿にしていること
 か。

  菅総理の考える理想の社会が具体的にどのようなものなのか、私には見えなかった。「最
 
小」「不幸」というネガティブな単語を二つ重ねた言葉からは、雰囲気的には、みんなで貧
 し
くても肩を寄せ合って生きていこうね、という感じかなと思ってしまった。
  民主党政権最大の実力者である切れ者の誉れ高い仙谷氏は、自分に対する批判に反論する
 姿は幾度も見たが、前向きな政策を力強く語っているところを見たことがない。
 仙谷氏が国家職略帽のときにやったことで記憶しているのはヽベトナムヘの原子力発電所と
 新幹線の売り込みぐらいのものである。こんなことを国家戦略帽がやるのかな、もっと大き
 な枠組みを変えるようなことを考えてもらいたいな、と少しがっかりしたものだ。

  二つ目は、政治主導のための仕組みを確立できていないことにある。自民党政権時代は善
 くも悪くも党と官僚は一体で、官僚依存で政策を立案し、実施していたが、それに代わる仕
 組みが作れていない。
  官僚が国民の代表である政治家の考えを半ば無視して、自分たちの利益につながる政策を
 立案している。これを改革するキーワードが「政治主導」なのは間違いないが、言葉だけが
 独り歩きしていて、そのための仕組みが整えられておらず、掛け声倒れになった。

  そうなってしまったのは、政治の制度改革が遅れていたからだ。国家公務員制度改革推進
 本部で公務員制度改革に取り組んでいたときに、行政と政治の制度改革はセットで行うべき
 だと強く感じた。公務員制度が改革され、官僚が国民のために働く仕組みになっても、政治
 がそれを使いこなし、政策に活かせる体制になっていなければ、行政は正常に機能しないか
 らだ。
  麻生政権のもとで提出した国家公務員法改正案に、そのための仕組みとして「国家戦略ス
 タッフ」「政務スタッフ」の創設を、基本法のスケジュールを前倒しして盛り込んだのもそ
 のためだった。民主党はこれを参考にして、鳴り物入りで「国家戦略局」を作るという法案
 を提出したが、優先順位は極めて低く、結局まったく成立の目処は立だなかった。そして最
 後には議論すら聞かなくなってしまったのだ。

  経済財政諮問会議はいまだに法律上存在している。これを実質的な司令塔にすることも可
 能だが、小泉改革を連想するということなのか、活用されていない。
  総理主導を実現するための強力な司令塔とサポート部隊は、自民党時代とまったく変わら
 ず、財務省と財務省を中心とした官邸官僚が担っていた。だから、「自民党と同じだ」とい
 うことになるのだ。


                                   この項つづく
 

 

 

● 日中食品汚染 Ⅹ 中国の食品汚染地図 

【目次】

 第一章 見えない食品の恐怖
 第二章 中国の食品汚染地図
 第三章 食品汚染のヒトへの影響
 第四章 なぜ汚染連鎖が絶ちきれないのか
 第五章 重金属汚染という新たな難題
 第六章 日本の食品は安全といえるか


古在豊樹 監修「図解でよくわかる「植物工場のきほん」 から汲み上げた新しい農法の骨格を素
描し終えたので、そのことを踏まえ、今夜からはこの著書から食の汚染の実態を学び、そこから
課題を掬い取り「食の安全」を担保する方法を考察していく。

                             畜産物は飼料の汚染から

  家畜汚染といった場合、BSE(牛)、コレラ(豚)、二ューカッスル(鶏)などの畜鮪
 特有の病気と思われがち
で、厳密にいえば汚染ではないという見方もできる。しかし本書は
 「食品汚染に定義なし」の立場をとっているの
で、流通しているものの中に、これらの家畜
 病で弱った
あるいは死んだ家畜の肉やその他の部位があれば汚染肉として考える,また、ず
 さんな解体方法からBSEリスクを含む
牛の晴肉、その他の部位も汚染食品となる。
  さて肉類や酪農品の汚染は、飼料の汚染や投与薬剤問題とほぼ同義だ。農薬汚染、抗生物
 質汚染、違法飼料添加物
汚染、ホルモン剤注射などから起こる.とくに大きな問題は、残留
 農薬の付いた飼料だ。家畜の飼料はふすま(玄米
を積木にする際に出るコメのかすの一種で
 養分が多い)、大豆
かす、トウモロコシ、小麦、哺わら、干し草、雑草などが主なものだ。
 
  中国では最近大豆の国内自給が不足し、毎年6000万
トンもの遺伝子組換え大豆を輸入
 している。だから、大豆
かすの汚染は、輸入大豆の汚染や長い時間をかけて船舶輸送する際
 に使う防カピ剤の汚染によることが多い。汚染さ
れたコメのふすまは、当然危険度が高い。
 トウモロコシや
小麦は天水農業(降雨利用)だが、降雨がないときは水路から引いた水をま
 くので、その水が汚染されていれば作物
も汚染されることになる。
  ある省のトウモロコシ地帯を歩いたとき、家庭雑排水で汚れきった水が、そのまま畑に散
 布されている現場を見て驚いたことがあるが、これは決して例外ではなく、似たようなこと
 が各地で行われている。
  中国では水が不足しているので、トウモロコシや小麦栽培をせざるをえず、北部の農民が
 好き好んでこれらの農産物を選んだわけではない。揚子江から北部の中国には、全国の水資
 源の18%しかない。南部は温暖で水が豊富なので最初からコメ栽培を選ぶことができたが、
 北部は水が少なくても育つ作物になったということだ

  トウモロコシや小麦の汚染は農薬汚染、重金属汚染が元凶だ。北部には、もともと産業廃
 棄物を大量に排出する重化学工業や重厚長大型の国有企業が多く立地しており、鉱山も多い。
 こうした環境は重金属汚染源になる可能性が高い。しかも家畜は穀物をよく食べるので、食
 物連鎖の影響を濃縮した形で受けやすい,肉1キログラムを生産するために必要な穀物は、
 牛肉の場合14~15キログラム、豚肉7~8キログラム、鶏肉3キログラムといわれる。その
 ほか、稲わらや干し草、雑草などの粗飼料も不可欠だ。
  食へる量が多いので、もし汚染された飼料を毎日とると、肉や卵、酪農品が受ける影響も
 大きくなる。



 
                       中国も日本も抗生物質大国

  飼料に混ぜる抗生物質が人間が使う抗生物質に耐性をつけてしまう危険性(交叉耐性)に
 気づき、その使用を禁止したのは、農業先進国であり養豚の盛んなデンマークだった。長い
 問使用してきた抗生物質には、他のどんな薬物にも発生する薬剤耐性が生まれる。この点に
 危機感を持ったデンマーク当局は、世田作でもいち早く抗生物質の使用を禁止した。
  まず1995年アボパルシン、98年バージニアマイシンを禁止、EUもこれにならい97年
 にアポパルシンの使用を
 禁止。世界の流れは、抗生物質排除の方向へ急速に転換し始めた。
  EUは交叉耐性を危惧して、畜産物の成長促進剤
として使用する抗生物質と、人間が医療
 行為に使う抗生物
質の飼料への使用を2006年までに段階的に排除した。

  アボパルシンの大量使用によるバンコマイシン(これも抗生物質の一種)耐性腸球菌とい
 う、バンコマイシンが効
かない菌の発生という危機的な状況が生まれたからだ。こうしたこ
 とはどの抗生物質にも起こりうるので、食品汚染
を考える際には無撹できない。
  では日本はどうか? 残念ながら、2014年時点においてさえ、EUで禁止されたバー
 ジニアマイシンを含む18種類
類の抗生物質を飼料に混ぜて使用してもかまわないことにな
 っている。じつは日本という国は、抗生物質規制の後
進国なのだ,



  中国は日本以上に規制がゆるいのが現状で、中国人自ら
「抗生物質大国」と称してはばか
 らない。2012年、中
国では抗生物質が21万トン生産され、3万トンを輸出し残りの18
 万トンを国内で消費している。

  ひとり当たりの抗生物質消費量は、アメリカの10倍以上に当たる138グラムだ。飼料を
 含む家畜向けの使用量は9・7万トン。国内消費量全体の半分以上にも相当する多さである。

  そんな中国だが、危機感を覚えていることも事実だ。そこで政府は近い将来、家畜向けの
 抗生物質の使用を全面的
に禁止する方針を打ち出したが、いまだ実現していない。
  現在、飼料に使用できる抗生物質の種類は数の上で日本を上回る24種類だ。
  抗生物質を長年飼料に使用した場合、家畜生産物を食べる人体にはどのような影響が出る
 のだろうか? 一般に、飼料中の抗生物質は家畜の体内に残留し、やがて間接的に人体に取
  り込まれる。
 

   問題は抗生物質が、規制量以上に家畜の飼料に使用されていることだ,その使用制限が、
 中国では飼料1トン当た
り10~15グラムと決められているが、厳格に守られることはほとん
 どないといわれている。あらかじめ決まった飼料
成分が入っている配合飼料を使うこともあ
 るが、抗生物質
は後から如えられるため、いくらでも入りうる。この点は、農薬の希釈濃度
 が規定通りにされるためしがないのと
似ている。少ない場合もあれば、多すぎる場合もある
 のは普通
のことだ。

  中国には畜産のための飼料に使う成分を定めた「飼料原
料目録」という規程があり、そこ
 に書かれている成分以外
は、使ってはならないことになっている。しかし現実には2013
 年の3月に、揚予江河口に流れ着いた数千頭の
死んだ豚からヒ素が検出されたことが記憶に
 新しい。この
例は目録に記された規定が十分に守られていないことを図らずも証明してしまっ
  た。
  また別の「飼料添加剤品腫目録」という資料には、飼料に添加することが許されるアミノ
 酸、酵素、抗酸化剤、着色料、調味剤などの明細とその量が記載されている。本来、これ以
 外の添加物は使用禁止のはずだが、実際には、さまざまな物質や化合物が使用されている。
  飼料成分や添加物を法令に従って使用していたとしても、安全を守れるとは限らない。農
 薬や重金属で汚染された飼料を家畜に与えていれば何の意味もないからだ。


                                   この項つづく

 




● 手動式茶葉ミルと健康法

茶カテキンが癌予防に役立っていることは疫学的に検証されているが、手動ミルで粉茶にすこ
をことを商品化したのは、株式会社川崎成樹脂以外に知らない。いまは粉末茶を買ってき
て呑ん
でいるが、内分の臼で粒子を調節できるというのも初めてだろう。最も昨年同社は、構造は異な
るが手動ミルの実用新案登録している(JP 3190010 U 2014.4.10)。これで用途がぐ~っつと広
がる。

 


話はお茶の健康法とその最新ツールから離れるが、数日前から、夕食を中心として納豆を食べるように
してきて、胃腸の調子が悪かったが改善してきたので、納豆菌とその生成物が効果があるのだと実感し
ている。そういうことがあるのだと、それにもしても早すぎるんじゃない?と。

● 思案の防犯カメラ

つい最近、ご近所で嫌がらせの器物損害、つまり駐車中の車を傷つけたというので、警察(刑事)が不
審なことはなかったと聞き込みにしたので、わけを聞き、ストーカーなどで事件化しては取り返しがつ
かないので、何かあったら連絡すると返事したが、その件のひとが、防犯カメラで定点監視できないか
と消極的にたづねるので、人権の問題があるからとその場で断ったものの、猛スピードで運転する車を
2,3回目撃し、「飛び出し坊や」の設置を確認、デジカメを常備携帯するようにしていた矢先でもあ
り、防犯カメラがあれば、危険発生しそうな処で定点観測
することで、証拠をとることができる、と思
い立ちネットで家庭用のそれを検索してみたが、すでに、この1年すぐ近くで車による2件の事故を目
撃(その衝突音は凄い!)している。よく言うではないか、「2度あることは、3度ある」と。もう少
し様子を見ようと残件扱いに。

 

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ダウンスペーシング農法

2015年05月07日 | 新弥生時代

 

 

 

 

  


さて、この連載も今夜で終わるとなる。どのようなまとめになるかわからないが、
ここまで概ね期待に沿った内容となっている。



【新弥生時代 植物工場論 18:ダウンスペーシング工学】
 

 「植物工場」とは、光、温度、湿度、二酸化炭素濃度、培養液などの環境条件を
  施設内で人工的に制御し、作物を連続生産するシステムのことで、季節や場所に
 とらわれず、安全な野菜を効率的に生産できることから多方面で注目を集めてい
 ます。その「植物工場」そのものにスポットをあてた本書では、設備投資・生産
 コストから、養液栽培の技術、流通、販売、経営などを豊富な写真や図解を用い
 て様々な角度からわかりやすく解説。また、クリアすべき課題や技術革新などに
 よってもたらされるであろう将来像についても、アグリビジネス的な視点や現状
 もふまえながら紹介、文字通り植物工場のすべてがわかる一書となっています。

           古在豊樹 監修「図解でよくわかる 植物工場のきほん」
 

  【目次】  

    巻 頭 町にとけ込む植物工場
  第1章 植物工場とはどういうものか
  第2章 人工光型植物工場とは
  第3章 太陽光型植物工場とは
  第4章 植物生理の基本を知る
  第5章 植物工場の環境制御(光(照明)
  第6章 CO2/空調管理
  第7章 培養液の管理
  第8章 植物工場の魅力と可能性
  第9章 植物工場ビジネスの先進例
  第10章 都市型農業への新展開
  第11章 植物工場は定着するか

 


  食べる人への認知拡大
 
                  「直売所」ではまとめ買いも


  近頃、野菜の値段が高い。とくに露地もののレタスなど、
菜もの野菜で目立つ。
 これは梅雨時期の豪雨や、夏から繰り
返し上陸する大型台風のせいで、畑に苗を
 植え付けるのが遅
れたため。長雨では病気が多発し出荷量も減る。
  そんななか、「植物工場野菜」の直売所に買いに来る人が増えている(千葉県
 流山市・採れたてやさい直売所「やさい
ばこ」)。一番人気の「グリーンリーフ
 」は、まとめ買いする
人もいて、早くから売り切れになることが多いという(グ
 リー
ンリーフは、鮮やかな美しい葉で料理に映える。かすかにほろ苦く大人の昧
 )。

  まとめ買いするのは、長くおいても傷まず、いつまでもシャキシャキと元気だ
 から。植物工場の野菜は付着した生菌数が
ごく少ないため日もちし、洗わずにそ
 のまま食べられる。


                  買った人・食べた人の感想は


  実際に買ってくれた顧客の感想はどうだろうか。店舗が集
めたアンケートでは、
 工場産野菜を選んだ理由の1位は、昧・
品質がよい、2位が、安全性が高い、3
 位は、野菜の種類(好
みの野菜がある)だった。
  個別の感想(自由回答欄による)をみると、「やわらかくておいしい」「新鮮
 で歯触りがよくおいしくいただきました」
「安全な野菜なので安心して毎日食べ
 ています」「洗うのがカ
ンタンでいいです」「(ほかの店では)夏しか買えない
  スイー
トバジルが鮮度もよくおいしかったので感激!」などがあった。一年中新
  鮮で品質のよい、好みの野菜が手に入る店があれば、確実にリピーターは増える。
 とくに一人暮らしや老人夫婦だけの家には、少量に小分けされた「長もち・安心
 野菜がピッタリだ。

               まだ知られていないよさをアピール

  次頁に、植物工場野菜のもつアピールポイントを挙げてみた。「洗わずに食べ
 られる」と自信をもっていえるだけの清浄な野菜であること。農薬・害虫の心配
 がないことは、とくに女性への大切な訴求点である。硝醜態窒素が少なく、「い
 やな苫昧がない」こと、「日もちがしていつまでも新鮮」なことも大事な特長だ。
 こうしたよさを消費者はまだまだ知らない。食べてみないとよさはわからない。
 生産者の側も、試 食の機会を増やすなどして、そのよさを実感させる必要があ
 るかもしれない。

  

  小さな植物工場を家庭へ

                             育てる楽しみ、食べる楽しみ

  「植物工場」という21世紀型の農業を、家庭やオフィス内でやってみたいと思
 う人たちもいる。植物工場のプラント関
連企業が、家庭用のミニプラントを開発
 し、さまざまな形と
機能をもつ製品が急増している。
  そのなかのひとつに、「水耕栽培器・グリーンファーム」がある。高さ約30m
 幅約54m、奥行26mで、電子レンジを
少し横長にしたような大きさ。室内専用で
 、栽培数はレタス・
菜もの野菜で10株、ベビーリーフ系・ハーブ系で20株。栽培
 
ケースには培養液が約4L入る。光源は省電力な白色LED照明で、消費電力は
 排気ファンを含めて30W。点灯時刻・
時間は、タイマーで自動調節できる。

                   気流の発生で野菜を健康に

  次頁の図が、「水耕栽培器・グリーンファーム」の基本的
なしくみである。次
 の3つの装置(機能)が付いている。


  ①LED照明(省電力の光源)

  ②ファン(気流発生・光源からの熱の排除と除湿)
  ③エアポンプ(養液への酸素供給)

  ②のファンは、外の空気から二酸化炭素を取り入れ、気流
で葉に送って光合成
 を盛んにし、蒸散による過剰な湿度上昇
を抑えてくれる大切な機能である。
 この栽培器には冷房・暖房の装置はない。室内のエアコンからの空気(室温15~
 30℃)を使うことになる。

                    理解者・支援者を増やす

  野菜の種子(23種類)と液体肥料はオンラインショップから購入。苗床パネル
 に種子をまいて、野菜やハーブなどの育ちを観察し、約30日で収穫が楽しめる。
  利用者の感想をみると、「植物栽培のおもしろさ、不思議さを子供たちと楽し
 みました」「清潔で安心、インテリアにもなり、友人たちとのサラダパーティが
 楽しみ」「診療室にもおけるくらい清潔感がある」などがある。
  野菜とともに暮らし、働く、新しいライフスタイルが広がっている。

  学校でも「食農教育」のツールとして、千葉県の浦安市などで「小型植物工場
 装置」を導入する動きが出てきた。野菜を健康に育てるには何か必要なのか。光・
 空気・水・養分・温度・湿度・風の基本を学ぶなら、室内の装置がわかりやすい。
 こうして学んだ子供たちは植物工場のよき理解者・支援者になってくれるだろう。


 


この頁の「小さな植物工場を家庭へ」に関して、【新弥生時代 植物工場論 Ⅸ】(
還らざる『転位のための十篇』』 2015.04.23)の「スウェデポニックシステム」の
紹介の補足注釈として「人工光型植物育種システム」の派生ビジネスモデルとして考
察していることを書き留めておく。
 

  新規参入への課題

                    人工光型植物工場の特徴を最大限に活用 

  人工光型植物工場ビジネスヘの新規参入を目指すとき、どんな検討課題がある
 のかを考えてみたい。
  何よりのポイントは、人工光型植物工場の特徴をつかむこと。その特徴を端的
 にいえば「場所を選ばない閉鎖空問のなかで、品質のよく揃った農産物を周年生
 産できる」こと。しかも「一年中、春のような快適な労働環境である」こと。こ
 の特徴を最大限に生かすことがいちばんの課題である。
  植物工場事業は、付加価値の高いものをつくらない限り、基本的に薄利多売
 ビジネスモデルであるといわれる。そのためにも、照明器具や空調設備、栽培ベ
 ッドなどにむだな設備投資を行わないこと。また、常に9割に近い稼働率を維持
 することが、赤字経営に陥らないための大前提である。この前提を踏まえて、こ
 こではおもに市場開発・経営の面から課題をまとめてみよう。

                 人工光型植物工場定着への課題

 【何をつくるか】露地畑と同じものをつくったのでは、既存の農業と競合するこ
 とになる。一般の畑ではできない、やらないものを出荷するすみ分けが必要であ
 る。たとえば、食べればとてもおいしいのに露地畑では捨てていた間引き菜(葉
 つきの小さいニンジンなど)を商品にして回転を早める。植物工場なら、上の汚
 れを洗う必要もなく、きれいな室内環境のなか、立ったままで収穫・出荷作業が
 できる。
  新規参入者としては、ニッチな品目を周年生産することで消費を定着させ、市
 場シェアを高めることが王道である。

 【どこでつくるか】工業製品と比べて単価の安い農産物では、物流コストの占め
 る割合が大きい。流通コスト低減は、売り
先に近い場所での生産が基本である。
  たとえば、流通センターや外食チェーンのセントラルキッチンに併設すれば、
 流通コストはOになる。レストランや小
売店併設の「店産店消」型も、流通コス
 トはゼロになるの利点を生かし
た取り組みといえる。

 【誰とつくるか】人工光型植物工場の特徴のひとつは、夏でも冬でも変わらない
 快適な労働環境にある。しかも軽労働で
あり、雇用不足が問題になっている障が
 い者の働き場所とし
て自立を支援できるのも植物工場の役割である。地域の高齢
 
者の生き甲斐づくりの場にもなる。

 【誰と組むか】同業他社間の連携で、人口需要者の要求量に
応えること。「植物
 工場協同組合」を設立し、販路を確保し
たい新規参入者の受け胤とすることは、
 植物工場の裾野の拡
大に大きく寄与することになるだろう

  世界的に高まる植物工場の需要

               都市人口の増加が植物工場を求める


  いま世界では、食料を取り巻く国際環境の構造的変化が起
きており、植物工場
 の需要が国内外で高まっている。
その大きな要因は、世界人口の増加が続くなか
 で、開発
途上国を中心に都市人口が急速に増えていることにある。
  2014年前後から、農村人口と都市人口が逆転しはじめた。
  農村から都市への人口の流入がすすんで農村人口は世界的に減少し、同時に高
 齢化している(次頁)。

  世界的に減少がすすむ農村人口は、増大する都市人口の食料を提供し続けられ
 るのか。これが問題の焦点である。

  これまでの自給的な食生活から、購入依存の食生活へと、都市化は食生活のあ
 り方を変える。教育のレベルも向上して、
食と健康への理解もすすみ、健康志向
 から生鮮野菜の消費が
増える。品質の落ちた輸入ものを食べていた野菜輸入国で
 は、
「植物工場」を開設することによって、トマトなどの新鮮な野菜を国内で自
 給しようとする動きが強まっている。


                 耕作放棄地活用の選択肢として

  日本ではどうだろうか。農業就業人口は2015年から
2050年までの35年
 間でほぽ半減し、さらに65歳以上の高
齢者の比率が60%から70%に上昇する
 と推定されている。高
齢化によって重労働を伴う農業はできなくなり、耕作放棄
 地
は 2010年には39.6万ヘクタール(放棄率10.6%)まで広がってい
 る。そうした状況のなか、軽労働でできる植
物工場が注目されていくだろう。
  現在、植物工場建設市場にはさまざまなメーカーが参入し、価格競争が生じて
 きた。今後10年以内に、人工光型植物工場
の設置コストも、運転コストも、とも
 に半分以下になると予
測されている。そうなれば、農家の人が自力で人工光型の
 経
営をはじめてもおかしくない時代となるだろう。

                   地域に根ざした植物工場ヘ

  都市農業の新たな展開として都会で植物工場が増え、農村
でも施設園芸の先端
 として気象災害に強い植物工場が建てら
れる。個々の農家がはじめてもよいが、
 まずは地元のJAが
植物工場の事業主体となって、高齢者などの「遊休人材」に
 
生き甲斐の場を提供する活動が期待される。地域の保育所学校・養護老人施設な
 どに、給食として地産地消の新鮮で安
心な植物工場野菜が周年で提供されるよう
 になるだろう。

 「農業」の復興を通じた地域の活性化へ、地域に根ざした植物工場ビジネスの取
 り組みに注目したい。

 

 

以上、考察をし終えたが、この著書にあるように、(1)価格安定(=供給力)と、
(2)高付加価値化の2つに目標が収斂される。前者は、食品の安全保障と直結し、
後者は、多様なユーザの要望(期待)に迅速に応える市場に直結する。そして、その
問題解決のコアシステムが、わたし(たち)がここで提案した『オール人工光型植物
育種システム』であり、読者諸氏に多少なりともご理解いただけたかと考える。そこ
での鍵語が、「高密度栽培:ダウンスペーシング」である。その技術目的の一例が、
有用な花、芽、茎、葉、根、根ひげなどの部位の肥大化やその部位に含有される機能
物質の高密度化にあり、その他の部位は生育を阻害しない程度に栽培するという生物
(生体・生命)工学である。また、その他の例としては、色素(色合い)やフレーバ
ー(風味、香味)などの改変を、(1)環境制御のみ(場合によっては、後述する紫
外線、電波、X線なども使用し変異を促すことも含めることも可)で自然変異を期待
して淘汰圧(選択圧)をかけることで選抜する選抜技術(生物の遺伝的性質を改良)
方法である。

さらには(2)ハクサイとキャベツの雑種「ハクラン」やホウレンソウとコマツナの
雑種「千宝菜」のように植物の個体から組織を取り出し、培養して増殖させる細胞培
養技術、(3)オレンジとカラタチの体細胞雑種「オレタチ」のように2つの細胞を
接着、融合させ核の融合により生殖過程を経ずに雑種細胞を作製する細胞融合技術
あるいは、(4)2個体間の生殖活動――受粉、接合、受精を意味し、両個体が同一
の遺伝子型をもつ場合も含み、遺伝子型が異なり雑種が形成される場合を特に「交雑」
と呼ぶが。遺伝形質が全く同一の個体間の交配は品種改良にはなりにくいが、交配に
伴って生じる突然変異による品種改良が起こり得るが一般には交配と交雑は混同して
使用される交配技術

また、(5)2個体間の生殖活動、すなわち受粉、接合、受精を意味し、両個体が同
一の遺伝子型をもつ場合も含む。遺伝子型が異なり雑種が形成される場合を特に「交
雑」と呼ぶ。遺伝形質が全く同一の個体間の交配は品種改良にはなりにくいが、交配
に伴って生じる突然変異による品種改良が起こり得る。一般には交配と交雑は混同し
て使用される変異技術、(6)種なし西瓜のように染色体は通常1対の染色体(ゲノ
ムが2セット:2倍体)が増加させた生物(倍数体)を作製する倍数体形成技術、最
後に、
(7)遺伝子を人工的に改変する技術――クローニング(単離)、遺伝子の導
入(細胞への導入)、遺伝子の発現(遺伝子が暗号化している蛋白質を生産させるこ
と)等からの遺伝子操作技術は、安全性が確認された場合を例外として基本として使
用しないものとする。
 



                                この項了



 

● 湖北さざ波街道を行く



湖岸をドライブしようと急遽、湖北野鳥センタ(湖北みずどりステーション)まで出かけるが、道
沿いにはプチソーラーの建設ラッシュを目撃するが、目的地を散策すると、ソーラーシュアリン
グされている農地を発見、早速デジカメする(バックの山は山本山/上写真(下))。エネルギー
革命はこんなところにも波及したのかと感心する。

 ● 今夜の一輪

裏庭にピンク色の八重の椿が毎年春先から咲き始め彩りを添えてくれる。千重~列弁咲
き、小
~中輪。1~4月に咲くという。品種はジェシーコーナー(米国産)らしい。母
が植えたものでいまは形見となったが、うす桃色の美しい花である。

 

 

 

 

 

 

 

 

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スター・ウォーズの日

2015年05月06日 | 現代歌謡

 

誰が5月4日を映画「スター・ウォーズ」の日としのだろうか?昨日はその記念日であることを知る。
東京は港区の六本木ヒルズでは、この日に合わせ、ファンたちが映画のキャラクターにふんし集まる
イベントが開かれた。5月4日は英語で「May 4th」と発音し 「フォースと共にあらんことを」とい
う意味の映画の中のせりふ「May The Forece be with You」との語呂あわせから「スター・ウォーズの
日」と決められたというが、それに輪を掛け、ディズニー・クルーズラインが2016年1月から4月ま
で、ディズニー・ファンタジー」の西カリブ海クルーズで映画『スター・ウォーズ』をテーマにした「
スター・ウォーズ・デー」を設定。各種特別イベント――今年12
月公開予定の最新作『スター・ウ
ォーズ/フォースの覚醒』の上映や、デッキ・パーティー、キャラクターとのふれあいイベント、特
別料理やドリンクの提供、限定グッズの販売などを行う。実施日は2016年1月09・23日、2月6日・
20日、3月05・19日、4月02・16日を予定。
また、「ディズニー・ドリーム」は今年秋の改装で、子
ども向け施設「オセアニア・クラブ」をスター・ウォーズの宇宙船「ミレニアム・ファルコン」のよ
うに変身させる。同映画をテーマにした工作やゲームなどを行う予定。劇中に登場する銀河共和国の
騎士「ジェダイ」の研修生として、武器のライトセーバーを操るトレーニングなどにも参加できる。
改装は2015年10月04日から24日に行う――
を実施するというからして、商業主義的な演出か何かしら
ないが、これに乗っていいものか妙なコンプレックスな気分だ。



ところで、『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』の日本公演の思い出。中国プラント建設
のプロジェクトの最中の帰国時に梅田のOS劇場で映画鑑賞したのだが、心身の疲れもあり、ワイド
スクリーンのイントロの音響に圧倒され気分悪くなり一旦退出しかけたが思いとどまり何とか最後ま
で見終えた記憶がある。もう少し記憶をたぐると、このころは、一種のストレス性のパニック症候群

に悩まされていたが、脳活動は最高の状態で、6つ位のプロジェクトを担った回転板が直列で繋がれ、
それぞ
れが任意の速度で回転処理できる状態で、例えば、メモされた数桁の数字をたやすく暗算でき
たり、独自の工学的数式を考案できた――もっとも現在は、休憩中の囲碁の地合い計算やチェスの一
手先を読むこともままならないが――体験が思い出される。

さて、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒(原題 Star Wars: The Force Awakens)』は、完成すれば
『スター・ウォーズ・シリーズ』の7番目の作品となる。ディズニーによるルーカスフィルム買収後
初の『スター・ウォーズ』映画となるが、オリジナル3部作の最終章『エピソード6/ジェダイの帰
還』の約30年後の物語を描いているというが、詳細についてはまだ発表されていない。エピソード
6は、エピソード5より1年後、ルーク・スカイウォーカーとレイア姫は惑星タトゥイーンに住む犯
罪王、ジャバ・ザ・ハットの宮殿に潜入し、ハン・ソロを救出する。その後、修行を終えるため惑星
ダゴバに戻ったルークは、死の床にあった師ヨーダと霊体として現れたオビ=ワン・ケノービから、
ダース・ベイダーの正体がかつての彼の父アナキン・スカイウォーカーであること、さらにもう一人
のアナキンの子供――レイアが妹であることを知らされる・・・というストーリーだったが。エピソ
ード7は劇場まで行くか?それはわからない。

 

 

 

2015年4月29日に発売された浜田省吾の18枚目のオリジナル・アルバム 『Journey of a Songwriter 〜 旅す
るソングライター』が話題となっている。ことし5
月11日付のオリコンアルバムランキングでが初登
場1位(初週売上8.0万枚)を獲得し、首位獲得は2000年11月8日発売のベスト盤『The History of
Shogo Hamada "Since 1975
"』以来14年半ぶり。オリジナルアルバムの首位は1996年11月25日付の「青
空の扉」以来18年半ぶりで「オリジナルアルバム歴代最長間隔首位獲得記録」を樹立。
なお、同週付
のアルバムランキングでは、浜田が75年のデビュー当時ドラマーとして在籍していたバンドAIDO
AIDO Complete Collection』(4月29日発売)が初週売上5,014枚で初登場11位。シングル・アル
バムを通じ初のランクインしてトップ20入りを果たす

 

  君の歌が聴こえてくる  心の一番きれいなところから

  オレの声は届いてるか? 遠く離れても遠く離れても


  どこにいたって君を想ってる


  ロンドン パリ ニューヨークシティー 札幌 博多


  でもどこにいようと オレはオレで変わりようがない


  ナイスガイってタイプの人生規範から見事に外れて


  曇り 土砂降り後 快晴


  青空の下を駆ける 時には嵐の日だってある


  でも生きるんだ 呼吸止めすに


  成し遂けたことよリ 今をどう生きるかって考えている


  自分忘れの旅の途上で
 

  君がいなけりや生きていけない


  何をしたって意味が無い


  でもいつも傍にいるわけじゃない 旅は今日も続く


  失われた時さがして 月に向って唸る 歌う 吠える


  最後は空に手を伸ぱし 慈愛と許しを乞うかも


  浅い夢が終わる時に


  いつか帰るはすの故郷 今もノメーシ出来てないけど


  どこだっていいんだ 君がいれぱ



  アスファルトを踏みしめて


  高層ピルの隙間から昇る太陽


  同じ太陽 世界中で見た


  涙と笑いと嘆きの入り混る感情抱いて


  人は生きてた 生きてた 生きてる

 

 

                                              『旅するソングライター』

                                              唄/作詞/作曲 浜田省吾


冒頭の「君の歌が聴こえてくる/心の一番きれいなところから/オレの声は届いてるか?/遠く離れ
ても遠く離れても」で全て凝縮される。あとはアップテンポで軽妙な曲に乗せて流れる。ところが、
平凡と思える歌詞がすぐれた楽曲の構成と演出で躍動している。

   ● 今夜の一曲

With a Little Luck  
Paul McCartney’s 10 Greatest Songs After The Beatles March 6, 2013 12:00 AM

しあわせの予感(With a Little Luck)は、1978年にポール・マッカートニー&ウイングスが発表した
楽曲のシングル。なお邦題は当初「愛の幸運」。アルバム『ロンドン・タウン』の9曲目に収録。L
P版ではB面冒頭の曲。『ロンドン・タウン』の洋上セッションでレコーディングされ、シングルカ
ットは1978年4月23日で、『ロンドン・タウン』からのカットでは1枚目。米国でのビルボード誌で
は、1978年5月20日に週間ランキング第1位を獲得。ビルボード誌1978年年間ランキングでは第28位。
キャッシュボックス誌では、5月20日、28日、2週間第1位を獲得している。
この曲はポールならで
はの類い稀なる音楽センスが発揮されている。「癒し系」の一曲と評されてもいるが、特にベースと
クラシック系アレンジのキーボード、シンセサイザーの響きが生きている。


 

 

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地方分権の税制考

2015年05月05日 | 政策論

 


 

● 大阪都構想にエールを その3

                                           特別区の魅力は多くある

さて、いま東京だけで使われている特別区制度は、昭和50年の区長公選復活までは東
京都の内部団体とされていたが、現在は一般の市町村と同じ基礎自治体で、人
口が高
度に集中し日々変化し続ける大都市東京において、区民が安心して豊かな生活ができ
るまちを創るために機能している。特別区は独自に、また相互に連携して新たな課題
にチャレンジし続けている。公選区長、公選議会を有する一般市以上にダイナミズム
に富む活動をする特別区だが、意外に知られていないのが、大阪市など政令市の行政
区と何が違うのか。同じ「区」という呼び名でも、実は全く違う。下記に、住民投票
で特別区を選ぶか、いまのままの行政区を選ぶかの分かれ目になるポイントを一覧に
表示する。
 

つまり、行政区は政令市の出張所として自治権は一切ない。特別区は自治体なので法
人格もあり、公選の長、議会がおかれ、立法権に当たる条例制定権も課税権も有する。
大阪市の行政区と今度、創設を予定している特別区は全く違う。東京でいえば、特別
区がある区域は、880万の人々が暮らし、1千万人を超える人々が活動する巨大な大都
市地域。このため、他の大都市のようにひとつの基礎自治体がこの地域全体を受け持
つのではなく、それぞれの特別区が基礎自治の役割を担い、広域自治体である東京都
が広域政策、広域行政を担う役割分担の下に、相互に連携しながら東京大都市地域の
行政に責任を持つ、独特の大都市制度となっている。


また、上下水や地下鉄、バス、消防、港湾、病院などを都が受け持つ一方、都と23区
間の財政調整のしくみがあり、特別区に住む880万住民は23区間の財政力の差はあって
も、ほぼ均等のサービスを享受できる。住んでいる人々にとって、セフティネットの
張られた、安心、安全、生き生きと暮らせる制度となっている(佐々木信夫中央大学
教授の「大阪都構想:住民投票と「特別区」の創成は何を生むか」() 現代ビジ
ネス 2015.05.02)。

 

                                                                      東京都制度の 魅力

そして、同上で都制度の魅力をつぎのように説明する。

都制度(都区制度)の 魅力は、50万単位で基礎自治を担う特別区を設置し、広域行政
広域政策は都に一本化するという点にあり、特別区の住民にとっては「自治の原則」
と 「均衡の原則」を同時に実現できる一方、広域自治体である都にとっては、都政と
して大都市の一体性を確保した戦略的な都市経営ができるという点にある。東京の特
別区、いわゆる23区では、880万の人々が暮し、昼間は1,200万人もの人々が活動して
いるが、この巨大な大都市地域に集まる人口や産業を対象とする大都市行政は、各特
別区が個性を発揮しながらも、全体として円滑に行われる必要がある。

このため特別区は、相互に連携・協力しながら、様々な行政課題に取り組んでいる。

特別区は、区民に最も身近な基礎自治体であるが、地方分権が推進され、地方自治体はこ
れまで以上に自らの判断で、地域ニーズに応じた個性的な施策を展開することが可能となっ
ている。特別区も、互いに競い合いながら地域特性を生かした様々な行政活動をし、他の区
よりより優れた低い コストのサービスを実現しようと競い合っている。公選制のよさが遺憾な
く発揮されているのが、特別区制度である。

大阪が都制度(都区制度)になれば、これまで大阪市に1つしかなかった教育委員会
が5つできるし、府の機関であった児童相談所が5つでき、保健所も5つになる。府費
負担教員(市の公立学 校教員)の人事権も特別区に移る。何よりもより細かなエリア
に予算編成権が来るのである。条例制定権と予算編成権が5つの特別区ができることで
生まれる。


大規模地域計画は大阪都の権限となるが、それをやるやらないは、これまでの府市の
争いではなく、都知事選挙でやるやらないを決めた方がはっきりする。それを可能と
するのが都制度である。さらに進めることだけなく、やらないことをスピーディに決
めるのも重要ではないか。特別区に限らず、いまや各自治体は創意工夫しながら、住
民福祉の向上を競う時代である。その中で、福祉や医療をはじめ、子育て・教育・災
害対策など大都市地域特有 の課題に挑戦していかなければならない。

東京をみると、その課題解決に向けて、特別区は互いに連携・協力をしつつも、時に
はよきライバルとして競い合いながら、時代を先取りした施策に果敢に取り組み、区
民の期待に応えようと頑張っている。そこで働く公務員も、わが区を他の区に負けな
いまちにしようと、前例 や待ち受ける困難な状況を打ち破り、新たなものをつくろう
と張り切って仕事に打ち込んでいる。この姿を見たとき、大市役所の出先である区に
配置された職員と全く違う顔を見ることができる。人間、権限と責任を負ったとき真
剣勝負をする。と、佐々木信夫は指摘するが概ね賛同できるものであるが、東京との
比較において、財政基盤の後背に関する税制改革の考察が抜けている。



高橋洋一が「財政再建には順序がある 増税は最後の手段」(『高橋洋一の俗論を撃つ
!』2015.04.16 ダイヤモンド・オンライン)で、(1)消費税は、国の社会保障目
的税ではなく、国の社会保障目的税ではなく、地方は応益税(各人の便益に応じて払
う税)という税理論と合致する地方税にすべきという理由からと、(2)東京一極集
中による行政的経済リスク回避策――これには、規制緩和・民営化等により地方の権
限の拡大を図る「小さな政府」を標榜するという「新自由主義的分権」と住民方自治
を伸張させる「民主主義的分権」という2つのイデオロギーの潮流ある――と(3)
デジタル革命渦論に象徴される第5次産業革命と英米粒金融資本主義によるデフレと
格差拡大には、応能税への課税シフトとわたし(たち)が提案する地域別逆格差法人
税制
などの是正政策が不可欠であり、これらを包括し「大阪都構想」をして賛同する。

                                この項了


※「
国と地方の税財政関係の再構築の方向性―税源移譲のあり方、意義及び効果の検
 討を中心として ―」
 松田直樹税務大学校 研究部教授 国税庁 2005.03.11

 

 

 

  

【新弥生時代 植物工場論 17】


 「植物工場」とは、光、温度、湿度、二酸化炭素濃度、培養液などの環境条件を
  施設内で人工的に制御し、作物を連続生産するシステムのことで、季節や場所に
 とらわれず、安全な野菜を効率的に生産できることから多方面で注目を集めてい
 ます。その「植物工場」そのものにスポットをあてた本書では、設備投資・生産
 コストから、養液栽培の技術、流通、販売、経営などを豊富な写真や図解を用い
 て様々な角度からわかりやすく解説。また、クリアすべき課題や技術革新などに
 よってもたらされるであろう将来像についても、アグリビジネス的な視点や現状
 もふまえながら紹介、文字通り植物工場のすべてがわかる一書となっています。

           古在豊樹 監修「図解でよくわかる 植物工場のきほん」
  

  【目次】  

    巻 頭 町にとけ込む植物工場
  第1章 植物工場とはどういうものか
  第2章 人工光型植物工場とは
  第3章 太陽光型植物工場とは
  第4章 植物生理の基本を知る
  第5章 植物工場の環境制御(光(照明)
  第6章 CO2/空調管理
  第7章 培養液の管理
  第8章 植物工場の魅力と可能性
  第9章 植物工場ビジネスの先進例
  第10章 都市型農業への新展開
  第11章 植物工場は定着するか

 
  植物工場が病院の癒し空間に

                  「街中植物工場」の新展開


  植物工場の大きな可能性のひとつに「街中植物工場」という考え方がある。ス
 ーパーやコンビニに植物工場が併設され
れば、一般市民が植物工場を通して農に
 親しむ機会が増える。

  小型の植物工場を売り出す企業も増え、レストランや商業施設への導入事例は
 増加傾向にある。屋外に設置できる小型
植物工場もあり、駐車場に設置し、交通
 整理の人員の片手間
の作業として運営する例もある。
  さまざまな小型植物工場設置の取り組みのなかでも、病院に設置した例は注目
 に値する。病院だからこその効果と可能
性を探り、いろいろな試みがなされてい
 る。

                    榊原記念病院の取り組み

  東京都府中市にある榊原記念病院では、病院に入って真っ
直ぐすすむと、ディ
 スプレイとしても機能する植物工場に行
き着く。1階ロビーのいちばん目立つ場
 所に置いてあるので、
来院者、入院患者の見舞い者など、皆が足を止めるという。
  榊原記念病院は循環器系を専門とする病院で、来院者には重篤な患者も多く、
 専門性が高い医療が展開されている。そ
んななかでも、統合医療という考えを大
 事にしていて、西洋
医学に加えて人間の心身全体を診る代替医療にも注力してい
 
る。その取り組みの一環が、植物工場の導入だった。

  2012(平成24)年4月にロビーに植物工場を設置。来院者の目を楽しませ
 る癒しの空間を目指し、木質で覆われた
ディスプレイのデザインを採用した。工
 場内では、レタス各
種、小松菜、バジルなどのほか、地方品種であるカツオ菜な
 
ど、多様な植物を育てることに挑戦。職員が毎日世話をしいるので、生育管理も
 きめ細かくできている。管理作業時に
は、直接来院者から植物工場について尋ね
 られたり、収穫し
た野菜を食べてみたいという要望を伝えられることがあるそ
 だ。

  収穫した野菜は職員に配布しており、2013年度には植
物工場産野菜が試験
 的に職員食堂でも採用された。今後は、
院内で収穫した植物工場の野菜を来院者
 用レストランで提供
することを目標のひとつにしている。


                        来院者や地域住民に親しんでもらう

  衛生管理をはじめとした壁もあるが、来院者が主体的に植物に関わる素地は次
 第に育まれている。今後は、来院者や地
域住民の直接的な意見に耳を傾ける機会
 や、収穫した野菜を
試食してもらう機会をつくることも視野に入れている。

 


  福祉型植物工場

                      雇用創出の新機軸


  24頁で述べたように、植物工場が注目されるのにはさまざ
まな社会的背景があ
 る。そのなかには、植物工場が創出する
雇用への期待が含まれる。
  植物工場内は植物の成長に適した環境を一年を通して保っているので、人間の
 作業環境としても快適である。

  さらに軽作業が多いので、高齢者、障がい者などの働く場としての適性が充分
 にある。また、植物を扱う作業なので
働きながら一定の癒し効果が得られると考
 えられている。

  早くは2000年代初頭から、障がい者の就労施設としての植物工場が設立さ
 れてきた。設置から10年余りを経て、利
益を上げ、増設、増産を果たしている工
 場が出てきている。

                        社会福祉法人が運営する植物工場

  たとえば、2013年に佐賀県武雄市に設立された「やさい工房・あんスリー
 武雄」は、NPO法人緑風会が運営する障がい者就労支援施設であり、人工光型
 植物工場である。この植物工場が設立された理由は、食の安定供給、安心・安全
 農業の課題解決などの社会問題を憂いてのこと。
  そしてもうひとつは、障がい者の就労施設がとても少ないという現状を変えた
 いとする強い想いがあったからだ。
  稼働中の野菜工場部分の面積は889平方メートルで、一日当たりレタスを
 1850株、年間最大で67万株を出荷することが町能な施設で、光源は蛍光灯を
 利用している。
  現在主力として生産しているのは、フリル・アイスというグリーンリーフの一
 種で、葉先がフリルのように縮れていので、ボリューム感が出るのがもち昧であ
 る。植物工場野菜の利点である、洗わなくても食べられるクリーンさを活かし、
 サラダやレタスのように肉を巻いたり、手巻き寿司の海苔代わりといった食べ方
 が適している。出荷先は大手コンビニや市内宿泊施設だが、さらに販路を開拓し、
 工場をフル稼働させることが今後の課題である。

                   癒し効果のある植物工場
 
  障がい者が働く場としての植物工場では、作業を単純にす
る、軽作業にするな
 どの工夫がなされている。あんスリー武
雄でも、13名のさまざまな障がいをもつ
 方が働いており、そ
の作業はいろいろと工夫がされている。
  植物に接していると次第に作業者の表情が明るくなっていくなどの効果があり、
 植物に触れる職業としての農業の福祉
面での可能性を感じさせる事例である。

  空き工場・空き店舗の活用

                                   地域資源活用のための植物工場

  生育環境を人工的にコントロールする植物工場では、植物を生産するにあたり、
 その地の自然環境に左右されることが
ない。これは遊休地や荒れ地、日陰など露
 地での野菜生産が
むずかしい場所でも、生産活動ができるという利点となる。
  とくに人工光型植物工場については、密閉空間ですべての生育環境を制御する
 ため、空き工場や空き倉庫などがあれば撤
去することなく利用できる。

  光源をはじめとした植物工場を運営するためのコストは、
年々減少していて、
 大企業ならずとも新規参入する機会が増
えてきている。建物の再利用や雇用の創
 出が課題になってい
る地域が多く、植物工場は、地方創成のアイデアのひとつに
 
位置づけられるだろう。 

                  「ウベモクファーム」の挑戦

  山口県宇部市に本社を構える株式会社ウベモクは、
1928年に創業した建材
 メーカーだ。この老舗
会社が、新規事業として植物工場事業に乗り出し、「ウベ
 モ
クファーム」を開設。商店街の空き店舗を利用した人工光型植物工場を運営し
 ている。このプロジェクトには、ウベモク以外にも山口大学発のベンチャー企業
 宇部市雇用創造協議
会など6つの山□県内の企業や団体が参加している。野菜の
 
生産はもちろん、商店街の活性化や高齢者の雇用といった地域的な課題解決への
 意気込みを感じる。

 
  改装前の工場は、どこにでもある商店街の一店舗だったが、
建築業で培った実
 績と協力企業などのスキルを駆使し、小さ
いながらも充分機能的な工場が完成し
 た。野菜販売の店舗営
業も同地で行い、客が工場内の見学をすることが容易だと
 い
うのも、この工場の特徴だろう。小規模だからこそ、さまざまな植物工場の可
 能性にチャレンジしている。

    空き店舗が次第に植物工場になっていく様子を、ブログでいきいきと伝えてい
 る。経過報告の閑話休題として、入居す
る商店街の紹介なども適宜挟み込まれ、
 植物工場が商店街活
性化のためにあることがうかがえる。


             ウベモクファームのベビーリーフ販売

  ウベモクファームは、2014年4月から稼働を開始し、9月に店舗をオープ
 ンした。商品は、午前と午後の1時間、工場に併設する店舗で販売している。ま
 だはじまったばかりの事業だが、街に聞かれた植物工場としての展開が注目され
 る。

 

  植物工場の市場規模予測

                  植物工場市場が活況な理由


  植物工場の数は、2009年の農地法改正や
経済産業省、農林水産省による事
 業をきっかけとした、製造
業などの異業種からの新規参入などにより、増加の一
 途をた
どっている。具体的にみると、人工光型植物工場は201年現在、165
 工場が稼働しており、そのうちの
乍分か2010年以降に稼働したものである。
  
栽培技術の進歩、生産管理手法の確立、光熱費ゃ人件費、物流コストの削減な
 どの理由から、異業種参入のハードルが
下がったのだ。また、栽培品目も多様化
 している。人工光型
植物工場では、相変わらずリーフレタスが栽培の主力ではあ
 るが、結球レタスのほか、機能性野菜や健康食品の原料植物、イチゴなどの栽培
 も行われている。

                        異業種からの新規参入

  異業種による新規参入の例をみてみよう。ある自動車会社では、太陽光型植物
 工場でパプリカ栽培を開始した。パプリカは消費者に人気だが、9割を輸入に頼
 っていることに着目。施設や栽培に関してはオランダの技術を取り入れた。自社
 の自動車工場の廃熱を利用するなどして、既存の設備を活かし
ている点が特徴で
 ある。将来は自社の販売網を利用した輸出
も視野に入れており、堅実な道筋を立
 てている。


  また、今後成長産業になる、機能性野菜の生産を担うこと
で、大学などの研究
 機関や地域振興事業のバックアップを受
け、新規参入を果たした企業もある。こ
 れまでの支援が強かっ
た植物工場のプロジェクトが、ビジネスとして本格的に育
 っ
てきたことがうかがえる。

                         予想される市場規模
 

  このように植物工場での栽培の可能性も広がり、参入も容易になると、今後は
 市場規模の拡大が予想される。矢野経済
研究所の調査では、人工光型植物工場の
 市場規模(野菜の生
産額)は、2015年から2025年の10年間で3倍になる
 と予想されている。予想ではやはり、機能性野菜として低カリウムレタスの増産
 が著しいことや、医薬品としての野菜の
栽培が伸びることが示唆されている。

  一方、国内の太陽光型植物工場も、2025年の市場規模
は1057億円にも
 なり、10年間で3倍以上に連すると予想
される(次頁)。工場の建設をはじめと
 した植物工場関連市場に目を向けれ
ば、植物工場ビジネスはさらに拡大の余地が
 ある。

                              この項つづく

 

 

  ● 今夜の1つのプロジェクト

ILC(国際リニアコライダー; International Linear Collider)計画は、全長約30キロメ
ートルの直線状の加速器をつくり、現在達成しうる最高エネルギーで電子と陽電子の
衝突実験を行う計画。宇宙初期に迫る高エネルギーの反応を作り出すことにより、宇
宙創成の謎、時間と空間の謎、質量の謎に迫る。
ILC計画は、現在欧州CERN研究所で
稼動しているLHCの次に実現するべき有力な大型基幹計画として、世界中の素粒子物
理学者の意見が一致している計画。ILC計画を進めるために、アジア・欧州・米国の
極の素粒子物理学者による国際共同研究チームが作られ、日本の研究者も世界中の
研究者と密接に協力しながら研究を進めているもの。

※「ILC 計画に関する技術的波及効果等調査分析」

 

コメント
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樺太に植物工場を。

2015年05月04日 | 贈与経済

 

 

 

  

【新弥生時代 植物工場論 16】


 「植物工場」とは、光、温度、湿度、二酸化炭素濃度、培養液などの環境条件を
  施設内で人工的に制御し、作物を連続生産するシステムのことで、季節や場所に
 とらわれず、安全な野菜を効率的に生産できることから多方面で注目を集めてい
 ます。その「植物工場」そのものにスポットをあてた本書では、設備投資・生産
 コストから、養液栽培の技術、流通、販売、経営などを豊富な写真や図解を用い
 て様々な角度からわかりやすく解説。また、クリアすべき課題や技術革新などに
 よってもたらされるであろう将来像についても、アグリビジネス的な視点や現状
 もふまえながら紹介、文字通り植物工場のすべてがわかる一書となっています。

           古在豊樹 監修「図解でよくわかる 植物工場のきほん」
  

  【目次】  

    巻 頭 町にとけ込む植物工場
  第1章 植物工場とはどういうものか
  第2章 人工光型植物工場とは
  第3章 太陽光型植物工場とは
  第4章 植物生理の基本を知る
  第5章 植物工場の環境制御(光(照明)
  第6章 CO2/空調管理
  第7章 培養液の管理
  第8章 植物工場の魅力と可能性
  第9章 植物工場ビジネスの先進例
  第10章 都市型農業への新展開
  第11章 植物工場は定着するか

  

  薬膳レストラン併設植物工場

                    都会で行う「近未来農園」

  2013年に大阪・梅田に開業した「グランフロント大阪」は、梅田貨物駅跡
 地を中心とする約24ヘクタールの「うめきた」(都市再生緊急整備地域内)に
 おいて、大阪経済活性化の拠点として最も注目されるビジネスとサービスの複合

 施設だ。なかでも「ナレッジキャピタル」はその中核施設として位置づけられて
 いるが、同施設の6階にある薬膳フレンチレストラン「旬穀旬菜」には「旬穀旬
 菜シティファーム」という名の植物工場が併設されている。

  コンセプトは、「都会で行う近未来農園」。季節の葉もの野菜や根葉、果菜、
 ハーブなど60種類以上の野菜を栽培・収穫し、また収穫した野菜は実際に「旬穀
 旬菜」で使用するなど、店産店消によるフードマイレージ・ゼロの第6次産業化
 の実践を試みている。

                   「近未来農園」野菜の特長
 
  「旬穀旬菜シティファーム」では、特殊なセラミックの筒内に植物の根を張ら
 せる「セラミック栽培」を導入している。
  その特長は、①農薬を使う必要がない、②水耕でありながら、根の周りの環境
 を腐葉土と同等の環境で野菜を育てられる、といった点だ。また、セラミック容
 器の空洞のなかを表面に沿って伸びる根は空気にも接しているため、常に適度な
 ストレスがかかる。そのストレスによって野菜に複雑な代謝を促し、風味や香り
 が豊かになる。
  さらに、ロート製薬研究開発所の調べによれば、クレソンに含まれるβカロテ
 ンや、ミニトマト、赤パプリカ、黄パプリカに含まれるビタミンCなど、栄養素
 や機能性成分の含有騒が標準値に比べ高い値が測定されている。なお、この栽培
 技術はハイトカルチャ社の特許技術で、2012年には同社が製作した宇宙栽培
 用特殊セラミック製の種子発芽実験装置を積んだロケットが打ち上げられ、宇宙
 空間でも同様の機能により植物栽培実験が行われている。

                  「農」と「食」の可能性を拡大

  「グランフロント大阪ナレッジキャピタル」には、企業や研究機関、大学、ア
 ーティスト、消費者らの交流・展示スペース、コンベンション施設、多目的劇場
 などがある。「旬穀旬菜シティファーム」のほかに、パナソニックセンター大阪
 のカフエ「フーディ・フーディ」にも8台の小型植物工場が並んでおり、農と食
 における新たなコンテンツ開発やビジネスモデル創造の火付け役となることを期
 待したい。



  甘草(カンゾウ)の水耕


                 漢方製剤に欠かせない「甘草


  甘草(カンゾウ)はマメ料の多年草で、その根や地下茎に肝機能改善や抗炎
  抗アレルギーに効能があるとされるグリチルリチンと呼ばれる有効成分を
含んで
  いる。現在、日本における一般漢方製剤の70%以上に原料として処方
されてお
 り、甘草を用いた漢方製剤市場は2500億円といわれる。

  
 このように、甘草は我々の生活に欠かせなぃ植物のひとつであるが、実は国内使
 用量の100%を輸入に頻っている。また、供給量のほとんどを野生植物に
依存
 しており、乱獲するとその跡地が砂漠化しやすく、主要輸出国の中国は
2000
 年以降、野生甘草の採取制限をしている。

  さらに、世界的な生薬の需要増による価格高騰や生物多様性条約を背景とす
 資源国との利益分配などの問題も加わり、安定供給に懸念が生じはじめてい
る。


                  日本初―・甘草の水耕に成功

  そんななか、鹿島建設㈱が㈲医薬基盤研究所および千葉大学の協力のもと、日
 本初となる甘草の水耕システムの開発に成功した。
  甘草の水耕は1970年代から多くの研究者が手かけてきたが、いまだ実用化
 には至っていない。その要因としては、優良な苗の入手が困難であること、水
 では細根が大量に発生し根が肥大しないことなどがあるが、鹿島建設は、医薬基
 盤研究所が選抜した有効成分の含有量が高くなる系統のは草苗を特定の条件下で
 栽培し、適度なストレスを与えることで、根を肥大化させることに成功した。

                             実用化に向けた課題と展望 

  水耕による甘草の利点としては、①露地の土耕では収穫までに4年以上かか
 が水耕では約1年で収穫できる、②生物および有害物質などの付着の危険性が低
 い、などがある。


 ①生産コストが高く現状では採算がとれない、
 ②植物工場産が漢方製剤の原料として用いられるには
より多面的な評価が必要な
 ど実用化に向けた課題もある。

  ただ、中国における生薬の平均価格が2007年から2010年の4年間で2
 になるなど、価
格高騰の懸念は年々高まりつつある
。また、甘草は漢方製剤のみなら
 ず化粧品やシャンプーの原料としても用いられてい
るため、新たな市場開拓も期
 待できる。
甘草を含めて、多くの種類の薬用植物の水耕・植物工場栽培の実用化
 に向けた今後の展開に注目したい。

 

  良質な野菜苗の大量生産

                     高まる購入苗の必要性


 「苗半作」(よい苗を育てることができれば、作物栽培の半分は成功したような
 ものである)といわれるように、苗の善
し悪しによってその後の生育や最終的な
 品質・収穫量が大き
く左右される。ゆえに、農家は良作田をつくるために多大な
 労
力と細心の注意を払う必要があるが、一方で、その管理における時間的・精神
 的負担はかなり大きい。

  そこで、自家育苗を行わずに購入作田を用いる農家が年々増えており、そんな
 購入苗需要に応えるべく、育苗を専門に行
う業種がここ十数年発展を遂げている。

                 育苗業における減農薬への課題

  ただ、育苗業には課題も少なくはない。
  まず、技術面だ。品質の高い苗を生産し続けるためには熟練の技術が必要とな
 るが、経験が必要とされる熟練技術者の養成は容易ではない。
  さらに、農薬取締法の改正である。これにより、購入苗においても農薬使用履
 歴表示が義務づけられたため、利用する農家側からは、登録農薬の総使用回数制
 限の点から育苗段階における農薬使用回数を減らしてほしいとの要望が出ている。
 これは、育苗業にとってはかなりの難題といえる。
  加えて、近年トマト栽培に大きな被害をもたらしているトマト黄化葉巻病の存
 在だ。育苗段階での防除が重要であることから、育苗ハウスヘの厳重な防虫ネッ
 ト設置をはじめ、対策に伴う生産コスト増などが課題となっている

             露地栽培との「共生」を物語る先進事例

  そのようななか、2000年に設立されたベルグアース㈱や、2003年に設
 立した㈲徳島シードリングでは、閉鎖型苗生産システム(苗生産に特化した植物
 工場、商品名・苗テラス)を導入し実稼働させている。トマトの接ぎ木苗や台木
 枯木生産用の苗テラスを中心としたこの育作田施設からは、それぞれの社で、年
 問約1000万本100万本の接ぎ木苗が出荷されている。
  植物工場で苗栽培を行うメリットは、①自然条件に左右されないため、高品質
 な作田を短期間で安定的に生産できる、②害虫が付かないため農薬が不要などさ
 まざまあり、前述の育苗業における課題を解決し得る。そしてそれは、結果的に
 購入苗を用いる農家のためにもなる。
  植物工場と露地栽培はよく「競合する」と懸念されがちだが、それらが「共生
 する」ことを物語る事例のひとつといえる。

 

 

  JAが取り組む人工光型植物工場

                   JA初の本格的な植物工場


  福島県の「JA東西しらかわ」は、2014年
1月より試験栽培を開始、白河
 市表郷金山で人工光型植物工
場の運営を開始した。育苗、水耕プラント、出荷調
 製室など
延べ床面積約500平方メートルのこの工場内では、1株80g程度の
 レタス類やミニハクサイが1日に約3000株生産されている。
  同JAが植物工場の導入に着目した最大の理由は、原発事故の放射性物質によ
 る風評被害対策だった。人工光型植物工
場であれば、放射性物質に汚染される心
 配がない。これによって風評被害を払拭し、安定供給による産地づくりに結びつ
 けたいとの思いがあった。
  同時に、外部環境を遮断するため自然環境に左右されない植物工場は年間を通
 して安定的に量、品質を保つことが可能であり、日本の農業のみならず世界の食
 料供給のなかで非常に大きな意味合いがあると感じたことも、植物工場の導入を
 後押しした。  

                    地元雇用の剔出にも貢献

  また、一般の野菜栽培は「自然が相手」のため気候に影響
されるが、人工光型
 植物工場の栽培空間は常に気温、湿度、
照明などが一定で、作業環境が快適であ
 る。加えて、植物の
成長を実感しやすいため作業が楽しく、農業経験のない人で
 
も容易で、女性の働く場所として適している。
  この点が、同JAが植物工場の導入に至ったもうひとつの理由である。
  植物工場を建てても、運営者・指導者に栽培できる技術、知識がなければ植
 物をきちんと育てることはできない。もち
ろんJAには栽培のプロがそろってお
 り、その点に不安はな
い。そういう意味で、JAが植物工場を建てるのは理想的
 だ。


                   地域農業の先進的モデルヘ


  植物工場運営における課題のひとつに販路があるが、同JAでは、同JAおよ
 び連携JAの直売所での販売や、地元の学校
給食への供給などを実施している。
 また、同JAはこの
数年、「みりょく満点」のブランド戦略で産地づくりに成果
 をあげているが、このブランド品の特徴は、ミネラル成分を含んだ鉱物資源の肥
 料を使っている点にある。これは、植物
工場における機能性付与にも相通じる部
 分だ。

  同JAのチャレンジが、地域農業の新たなビジネスモデルとなることを期待し
 たい。

 

 
  生産性を増す人工光型植物工場

                  日本最大の人工光型植物工場

  人工光型植物工場の増加に伴い、個々の工場の面積が拡大、生産性も向上して
 いる。現在、日本最大の人工光型植物
工場は、株式会社スプレッドが経営してい
 る工場だ。

  スプレッドは、2006年に野菜工場事業を目的として、京都府亀岡市で設立
 された。人工光型植物工場で
ある「亀岡プラント」は、人工光型多段式湛液水耕
 方式を採
用し、2007年に稼働を開始。2009年に増設をし、さらに生産力
 を増強している。

  現在、建物面積は2870平方メートルで、天井高は15・7m、光源は蛍光
 灯を使用している。育苗に20~22日問、栽培に18~
20日間かけ、1日当たり2万
  3000株ものレタスの出荷が
可能である。年間を通してみると、730万株も
 のレタスを
出荷していて、日本の植物工場産レタス市場ではトップクラスのシェ
 アを誇り、生産量も世界でトップクラスの多さだ。
 
               生産から販売までをグループ企業で
 
  スプレッドが自社内で構築した研究体制、大空間での高度
な生産管理技術など
 といった実績は、世界中からニーズが
ある。そのため、世界各地でスプレッドの
 植物工場である「V
egetable Factory」が展開しつつある。
  また、スプレッドの強みは、青果業界を縦断して事業を展開するトレードグル
 ープのメンバーということもある。ト
レードグループは、生産、流通、物流、広
 告、販売それぞれ
の連携をはかっているのだ。スプレッドは、このうちの「生
 」の領域を担っている。トレードグループは包括的な事業
展開をすることで、「
 生産から消費までをカバーする野菜の
総合商社」を目指し、青果業界に新しい風
 を吹き込んでいる。

                                独自のブランド名で流通

  スプレッドが生産するレタスは、「ベジタス」というブランド名で流通してい
 る。全国のスーパーや百貨店など約に
100社と取引きし、1袋約200円で販
 売されている。
ベジタスの人気には、以下の理由が考えられる。①年間を通して
 価格が安定している、②露地ものに比べてビタミンA
が豊富、③生産工程におい
 て、農薬を一切使用していないの
で洗わずに食べられる、などである。実績も好
 調で、今後は
首都圏での工場稼働も視野に拡大路線は続いていくだろう。
  スプレッドでは、植物工場による「未来の子供たちが安心してくらせる持続可
 能社会の実現」という目標達成に向けて、
チャレンジを続けているのだ。

  人工光型植物工場・世界の動き

               輸出産業としての人工光型植物工場


  28頁で触れたように、日本が牽引してきた人工光型植物工
場市場はいま、アジ
 ア各国、カナダやアメリカに止まらず、
ロシア、モンゴル、中東といった、自然
 環境の厳しい国や地
域での広がりが注目されている。
  日本ではこれまで、植物工場の研究に対して政府が支援を行いながらその実績
 を積み上げてきた。さらに近年は、次の
展開として海外をにらんだ戦略を立てる
 企業が増えている。

  日本から輸入した高級野菜の市場がもともとある香港やシンガポールでは、と
 くに植物工場の需要は増している。

  国内市場だけでは市場規模が限られるので、より食料問題環境問題が身近で、
 農業を取り巻く環境が厳しい地域こそが、
フロンティアとなり得るのである。

                  極寒の地モンゴルの植物工場

  モンゴルの首都ウランバートルでは、2014
年に日本企業である株式会社み
 らいが建設した植物工場が稼
働を開始した。延べ床面積が各450平方メートル
 の植物工場2棟で、
建設費は約2億2000万円。LED照明を活用して野菜を
 生育する完全屋内型の工場である。
  ウランバートルは、豊富な鉱物資源を背景に高い経済成長が続いている。その
 ため、新鮮な野菜の需要が従来よりも高
まり、植物工場へ白羽の矢が立ったので
 あった。

  モンゴルの自然環境は大変厳しく、野菜栽培には適さない。

  極寒期の外気温はマイナス35℃にもなり、乾燥していて砂
嵐に見舞われやすい
 などの特徴もあるからだ。そのため、野
菜はほぼ全量を中国から輸入してきたが
 輸送コストがかか
るうえに新鮮ではない。みらいはこの地で、完全密閉型の人
 光型植物工場を建設し、無暖房栽培を可能にした。みらい
には以前にも南極の昭
 和基地に植物工場を導入した実績があ
り、モンゴルの植物工場建設にもつながっ
 たといえる。

                 企業間プロジェクトによる展開

  このプロジェクトは、もともと千葉銀行がウランバートルで開いた商談会がき
 っかけで実現した。モンゴルの大手飲食店であるノマヅグループとみらいが結び
 ついたかたちだが、バックアップする企業はほかにもある。建設資材を運ぶ国際
 物流は、千葉銀行と取引がある日本通運が担当。同じく、業務提携先の企業が海
 上保険、貿易保険を担当する。このように、植物工場の世界展開にはさまざまな
 事業が付随し、一大プロジェクトになっていくのである。

 

尚、初期投資対策(例えば、無利子融資制度・減価償却期間の長期間化)を政府が担保す
ることができれば短期間に普及していくだろうし、モンゴルの事例のように、極寒・極暑地帯
では完全制御型植物工場の無利子融資を担保できれば技術的課題だけでなく関係国の友
が密接になる。さしずめ、ロシアの樺太サハリン地区で展開できればと、考えてい
る。非制裁政策(日本型ソフトパワー政策)積極的平和主義的外交を成功させてみ
てはいかがなものか。

また、ブログでも取り上げてきた山葵の栽培。柏崎市の石地わさび園で地下水をくみ
上げ
山葵を露地ハウスで栽培、地下水はマス養殖に再利用している(下イラスト参照)。
既に、岐阜大学などで人工光型=完全制御型植物工場で試験栽培されている。ところ
で、石地わさび園の施設に、シーズニング(調味料)などの完全な安全・品質の追従
(トレーサービリティ)できる加工生産工場を追加できればなお結構。

                                               この項つづく

 

  ● 今夜のアラカルト 枝豆と山葵のディップ

                                             

  ● 今夜の一曲

Helen Wheels  
Paul McCartney’s 10 Greatest Songs After The Beatles March 6, 2013 12:00 AM

「愛しのヘレン」は、1973年にポール・マッカートニー&ウイングスが発表した楽曲。
アルバム『バンド・オン・ザ・ラン』で行われたラゴスでのレコーディング・セッシ
ョンで制作、同アルバムのアメリカ盤に収録された。本国イギリスではオリジナル・
アルバム未収録のものの1993年「ポール・マッカートニー・コレクションシリーズ」
の一環として発売された『バンド・オン・ザ・ラン』の再発CDにボーナス・トラッ
クとして収録。タイトルの「ヘレン」は、ポールが自分の自動車に付けた名前。スコ
ットランドにある自分の農場からロンドンへ戻る旅路を歌詞にしている。

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葱坊主と愚かな愛

2015年05月03日 | 現代歌謡

 

 

 

                     藤房と葱坊主なる海老煎餅の里を帰りなん 




                               われおもふゆゑ十字架と葱坊主    


                                                          石原吉郎

 

ゴールデンウィークを強く意識しているわけではないが、少し出ようというので作業の手をとめ
る近くの多賀サービスエリアのEXPASA多賀店まで出かけるが、真夏日和とのことで少し歩
きはじめ、ドライブ・マイ・カー"のロードスターは駐車場に乗り込みチンチンをものともせず
現場までナビで走り出す。途中工事中もあり余裕なく上り車線側のサービスエリアの駐車場にと
め売り場に行き係員に尋ねると、下り線側にしか、つまり株式会社えびせんべいの里の本社があ
る名古屋方面からしか置いていないとのことの説明を受けるが、半知半解というか、そんな暗黙
の商習慣なるのかと訝しく吹っ切れないまま。それでも陸橋を渡り目的のEXPASA多賀店で
彼女が買い物が終わるまで待ち、ランチ用のサービスエリアの笹寿司などを買ってかえる。

 

駐車場近くの農家の家庭菜園では、藤の木の傍のねぎ坊主が、真夏日和の大空に坊主頭を並べて
いる。
溢れる生命感に惹かれ思わずデジカメする。ところで、このごろ物騒なというか、家の周
辺を暴走する車を目撃するなどのことがありバックナンバーを控えるために常備携帯することに
しているのだ。さて、家で買ってきたレモン風味の笹ずしを食べ、夕食前にはビールと烏賊の七
味煎餅を試食するものの、前者は、柿の葉寿司のような酷(深みのある味)がなく物足りないし、
烏賊煎餅はべたつき喉が渇くという具合だが、これも重大なものではない好みの差の話だがそん
な感想をもった。

ところで、巻頭の俳句は、戦後詩の代表的詩人である石原吉郎の作品。「われおもふゆゑ」は、
フランスの哲学者・数学者・物理学者であるルネ・デカルトが1637年にオランダのレイデン
において、著者名なしで初めて公刊した『方法序説』の第4部にある有名な第一原理である。デ
カルトは、数学を除く諸学に失望し、方法的懐疑を通じて哲学の第一原理としての「我思う、故
に我お
り」に到達した。すなわちすべての存在を疑ってかかった末に、すべての存在を疑ってい
る「我」の存
在について次のように述べているという(柴崎 聰 「石原吉郎の俳句の短歌」日本
大学大学院総合社会情報研究科紀要 No.8, 295-301 2007)。そして「十字架」と「葱坊主」は
「我」ほどに重要な存在ということになる。「葱坊主」とは、「球状についた白い小さな花を坊
主頭に見立てたもの」である。「葱」に宗軟性はないが、「坊主」にかろうじて宗教臭さがある。
坊主頭であった有原自身を「葱坊主」に見立てたのかもしれない。坊主頭に見立てたとするなら
「おもふ」主体と重なってくる。この場合の 「おもふ」は、「信じる」に限りなく近い精神の
働きなのではないだろうかと述べているが、これほどまでに象徴的な暗喩に表現するとは大変な
驚きだ。

● 今夜のアラカルト Cauliflower with Leek "Ash"

牛乳でトリミングしたカリフラワーを茹でパンを加えブレンダー処理しピューレにする。そこに
残りのカリフラワー小花に加え塩で味をつけし柔らかく煮たものを皿に入れ、予めスライスして
おいたカリフラワーを飾り、その上からロースト葱の小片を振りかける。

 

   

朝からは葉刈り剪定で忙し一日だった。 体力の減衰を感じ、俄のローイングを百回やるが持続
させなきゃ駄目と言い聞かせているんだがね。

● デジタル革命は地球をを救えるか : インテルの10ナノメートルチップ

デジタル革命は、高度資本主義社会、電子情報通信技術の進展とともに胎動し産み落とされ、現
代進行中である。しかし、反面急速に膨張した人類の経済活動は、エコロジカル・フットプリン
トでの環境容量を遙かに凌いでしまっている中、端的な例を示せば、2006年の世界のエネルギー
消費量に比べ、通信情報機器の急増により、2025年には9.4倍の4.6兆キロワットアワーに達
すると見込まれている。つまりは、21世紀の最大の課題は「地球環境ガバナンス」であり、地
球環境劣化、人口増加、南北格差拡大等の人類社会の持続可能性(サステナビリティ)の問題を解
決しなければ人類が滅亡するような破局を否が応でも想定しなければならないと、いわれている。

民主的な社会においては、個々の人々がサステナビリティに関する十分な知識を有して、判断し、
行動するのでなければ「地球環境ガバナンス」という目標を達成することは到底不可能。このよ
うな意味で、人々がいつでもどこでも必要な情報にアクセスでき、リスクと便益とを考慮して意
志決定し、行動し、意見を述べ、政策決定に参加し得る高度情報化社会、ユビキタス社会の実現
が、人類社会の持続可能性を高める前提となる。

民主的な社会においては、個々の人々がサステナビリティに関する十分な知識を有して、判断し
行動するのでなければ「地球環境ガバナンス」という目標を達成することは到底不可能だ。この
ような意味で、人々がいつでもどこでも必要な情報にアクセスでき、リスクと便益とを考慮して
意志決定し、行動し、意見を述べ、政策決定に参加し得る高度情報化社会、ユビキタス社会の実
現が、人類社会の持続可能性を高める前提となる。で、その核心をなすのが、科学技術コミュニ
ケーションといわれているが、肝心要の電子情報通信技術等の世界消費エネルギーが「地球環境
ガバナンス」を超えるような事態が各地で生じるとも限らない。

これに答えるように、
2010年にインテルは、プロセス技術の今後の進展に備え、量子井戸電界効
果トランジスタ(QWFET:Quantum Well Field-Effect Transistor)の取り組みを前進させる。同社は
2008年に、高速で低消費電力のQWFETを初めて披露していたが、このQWFETは、40ナノメー
トルInSb(インジウム・アンチモン)材料をベースにして、pチャネル型構造を形成したもので、
0.5Vの電源電圧で140GHz
の遮断周波数を達成する。このようにSi(シリコン)材料で実現し得
るレベルを超える性能や低消費電力性を達成するための手段として、Ⅲ-Ⅴ族系の半導体材料を使
ったトランジスタを模索する研究が進めてきた。



このように、Intelは10年近くにわたり、量子井戸電界効果トランジスタ(QWFET)の研究を進め
てきた。Intelの10ナノメートルチップは、Ⅲ-Ⅴ族半導体、具体的にはInGaAs(インジウム・ガリ
ウム・ヒ素)とGe(ゲルマニウム)を用いたQWFETになると予測しているが、半導体のアナリス
ト、David Kanterは、自身のWebサイト「Real World Technologies」に投稿した記事の中で、Intel
10ナノメートルプロセス以降、QWFET(Quantum-Well FET:量子井戸FET)を用いるようになると
指摘。この新たなトランジスタ構造では、2つの新素材――n型トランジスタ向けにInGaAs(イン
ジウム・ガリウム・ヒ素)、p型トランジスタ向けにはひずみゲルマニウム(Ge)――が用いられ
るようになる。

つまり、
Kanterの予測が正しければ、Intelは早ければ2016年に、動作電圧が他社に比べて200mV
低い(1Vから0.8Vに低減)トランジスタを10ナノメートルプロセスで製造できる可能性がある。
他のチップメーカーは7ナノメートルプロセスまでIntelの技術に追い付くことができず、少なく
とも2年の後れを取ると見ている。彼は
は、自身の予測の信頼度を80~90%とした上で、Intel
10ナノメートルプロセスに関する計画を明らかにするのは1年以上先になると指摘、この
見解
は、Intelが主に「International Electron Devices Meeting(IEDM)」で発表した24本の論文に基づき、
チップの製造に関連するIntelの特許も分析。
「私が得た情報は全て、IntelQWFETを採用すると
いう方向性を指し示しているが、重要なのはQWFETを用いるのかどうかという点ではなく、それ
を10ナノメートルで採用するのか、7ナノメートルで採用するのかという点である」という。
が、これは目が離せない話題だ。



【関連特許例】

・US 8,748,269 B2  Quantum-well-based semiconductor devices 
・US 8,680,575 B2  Semiconductor device and method of fabrication
US 8,501,508 B2  Method of forming quantum well mosfet channels having uni-axial strains caused by
                                metal source/drains
・US 8,378,334 B2 Low power floating body memory cell based on low-bandgap-material quantum well 

US 8,344,418 B2   Materials for interfacing high-K dielectric layers with -V semiconductors

  ● 今夜の一曲

Silly Love Songs  
Paul McCartney’s 10 Greatest Songs After The Beatles March 6, 2013 12:00 AM

心のラヴ・ソング (Silly Love Songs) は、1976年に発表されたポール・マッカートニー(Paul
McCartney
)率いるウイングス(Wings)の楽曲。
アルバム『スピード・オブ・サウンド』から
シングル・カットされ、評論家のリチャード・ゴールドシュタインに「ポールはバラードしか
書けない」と批評された事に対し、ポールが「馬鹿げたラヴ・ソングの何が悪い?」と切り返し
た曲とされる。独特のイントロは、ピンク・フロイドの「マネー」のテープループに触発され
また、イントロは、日本の幼児番組『ひらけ!ポンキッキ』で頻繁に効果音として用いられた。

いま、ポールは来日し公演しているが、今回で公演来日が最後になるかも知れない。暫く、ポールの楽
曲を楽しみたい。

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大阪都構想にエールを。

2015年05月02日 | 時事書評

 

 

● 大阪都構想にエールを その2

ところで、都構想のはしまりはいつだろう。1953年12月の大阪府議会「大阪産業都建設に関する決議」
が始ま
りとされ、大阪府・市を廃止して大阪都を設置し、市内に都市区を設置するとされる。ところが
2000
年に、太田房江大阪府知事(当時)が大阪府と大阪市の統合を掲げた大阪新都構想を唱えるまで、
議論は
市民レベルになかったもののわたし周りにも東京に転出する学童がでてき、東京オリンピック開
催をさかい
として、金融会社などの本社が東京に集中していく(寧ろ、京都本社は残っていく)。2001
年には「大阪
府行財政計画」に「大阪都」という言葉が表現されているが、この発言に対し磯村隆文大
阪市長(当時)
が大阪府を初めとする都道府県から独立した「スーパー指定都市」、「特別市」を主張
し対立している。


それから、しばらくして、橋下知事(当時)を代表とする「大阪維新の会」が大阪府全域を「大阪都」
とし、大阪市・堺市の政令指定都市を解消させ大阪府と一体化させる構想を2015年までに実現を目指す
ものとして提案される。
特別区については、東京都23区をモデルとしつつ、東京23区よりも独立性が高
く、一般市よりも権限範囲の広い中核市レベルの自治体を想定し、20区内の水道・消防・公営交通など
の大規模事業は、区内の固定資産税・法人税の税金などを収入を財源として都が行い、住民サービスや
その他の事業は20区の独自性に任せる提案を行うが、以降今日に至るといのがその経緯である。

 

 さて、「大阪都構想」の賛否を決める大阪市民対象の住民投票が、27日告示された。焦点は、大阪市
民の住民参加、府と市の二重行政の2点。特に後者は、インフラ整備の遅れをはじめとする巨大な経済
損失を
もたらしている」と高橋洋一株式会社政策工房 代表取締役会長が(「大阪都構想」を逃せば大阪
の衰退はさらに進む」(『高橋 洋一の俗論を撃つ!』2015.05.01 ダイヤモンド・オンライン))を寄
稿している.



 ・まず第一に人口 270万人の大阪市に1人の公選市長より5人の公選区長を住民が選ぶという住民
  参加の方が、よりきめ細かい行政ができる。270万都市を1
人の公選市長、公選議会でマネージメ
  ントしている先進国都市はない。ニューヨークでもロンドンでも、基礎自治は小さな単位で自治
  権を有する特別区とし、住民が参加している。
今の大阪市の「区」は24もある。しかし、これ
  は、役人区長の行政区というもので、公選区長の東京都の特別区とはまったく違う。大阪都構想
  が実現すれば、大阪市に今は1つしかない、教育委員会が5つ、児童相談所が5つ、保健所も5
  つになる。さらに、予算編成権も5つになって、より細かなエリアに対応できる。

   これは、地方政府内で権限を分権化することによって、住民サービスを向上させるものだ。基
  礎的自治体として必要な教育委員会、児童相談所、保健所が人口270万人で1つではきめ細かい
  行政はできないはずだ。
   阪都構想の反対派は、最初に600億円ものお金がかかると言うが、試算では17年間で2700億
  円ほど浮くからたいした問題でない。これは、後述する二重行政の問題を見れば、初期コストが
  かかるとしても、改善のための長期投資とも言える。

 ・
第二に、大阪都構想は、大阪市と大阪府の役割分担を見直して二重行政を排除する目的がある。
  東京都と東京23特別区を見れば、23特別区は福祉や義務教育など身近なサービス、東京都は
  交通網整備や都市計画等広域行政サービスと役割分担がなされており、二重行政の声はない。と
  ころが、大阪市と大阪府は、「ふ(府)し(市)合わせ」というくらいに、府と市の行政が二重
  になっている。

   この点、大阪市長の橋下徹氏の言葉によれば、「大阪市民は広域行政を府税で負担しています。
  さらに大阪市で広域行政をやってきたから市民は二重の負担を負わされてきたのです」となる。

               「大阪都構想」を逃せば大阪の衰退はさらに進む」(『高橋洋一
                の
俗論を撃つ!』2015.05.01 ダイヤモンド・オンライン)

 具体例として、広域行政の目玉である交通インフラが酷く、大阪全体の計画がなく、実行者不在が問
題と
指摘し、これを明らかにするために、まず、高速道路について、大阪を東京と比較してみせる(指
摘された該当
者や団体にとっては冷や汗ものだが)。

 

  • ①阪神高速、首都高速ともに、国の出資は50%だが、実額で見れば、首都高速は、関西高速に
    比べて30%以上多く国の出資は、無利子融資と同じで、国は補助金を与えている。財務省の
    政策コスト分析では、2005年当時において、将来の36年間で、阪神高速は2083億円、首都高速
    は3199億円の国からの財政支援を得るといる。
  • ②両社ともに、主要役員は44名だが、その出身を見ると、阪神高速は、鉄道会社1、国交省2、
    プロパー1に対し、首都高速は東京都2、国交省1、プロパー1である。阪神高速においては
    大阪府と大阪市がともに出資して、どちらも1人の役人を送り込めず、首都高速は、東京都出
    資が集約されているため2人も役人を送り込んでりるに大阪府と大阪市は関与できず、国から
    の天下りが跋扈する一方で、首都高速は、国からカネをうまく引き出し、役員も送り込み東京
    都が運営の主導権を持っている。
  • ③東京の中央環状線は、今年3月7日に全線開通した。筆者の家は東京区部の北にあるが、ドア
    ツードア30分で田空港に着くが、一方、大阪では大阪都市再生環状道路がまだできていない。
    淀川左岸線延伸部がミッシングリンクになっている上に、二重行政(ふ(府)し(市)合わせ)
    で淀川左岸線延伸部ができず、大阪都市再生環状道路は実現できずにいるが、これは東京では
    ありえず、東京都だけ行っている。

               「大阪都構想」を逃せば大阪の衰退はさらに進む」(『高橋洋一
                の
俗論を撃つ!』2015.05.01 ダイヤモンド・オンライン)

 

 以上のように、国土交通省近畿整備局の資料では、阪神高速道路放射線(都心方向)と環状線との合
流部では1日当たり4時間以上の渋滞が発生しているし、大阪市内の交通渋滞で年間約2700億円の損失
が発生させており、こうしたムダをなくすためには、大阪都構想の初期コスト600億円という批判とは
とるにたらない、つまり「角を矯めて牛を殺す」「針小棒大」「木をみて森をみず」の類だとし反証し
大阪における社会インフラの遅れ――高速道路淀川左岸線延伸部、関空アクセス鉄道、今里筋線井高野
北伸など――が見られるがこの解決策が大阪都構想であり、大阪都構想をきっかけとして、大阪が、二
極の一つになれば首都のバックアップ機能が整備できると指摘した上で、大阪市は政令市の中で人口減
少し衰退している希有な存在だが大阪都を逃せばその傾向はさらに拍車がかると警告し結んでいるが。
完全なバックアップできるか否かを別に、これは傾聴に値するものだろう。

 

ところで、高橋洋一は「財政再建には順序がある 増税は最後の手段」(『高橋洋一の俗論を撃つ!』2015.
04.16 ダイヤモンド・オンライン)で、消費税は地方税とすべき地方分権との関係で考えよと述べてい
る。


  こう考えると、消費税は、国の社会保障目的税ではなく、地方税とすべきという結論になる。消

 費税は一般財源だが、国が取るか地方が取るかという問題になる。地方分権が進んだ国では、国で
 なく地方の税源と見なせることも多い。

  これは、国と地方の税金について、国は応能税(各人の能力に応じて払う税)地方は応益税(各
 人の便益に応じて払う税)という税理論にも合致する。とい
うわけで、日本を含めて給付と負担の
 関係が明確な社会保険方式で運営されて
いる国が多い。もっとも保険料を払えない低所得者に対し
 ては、税が投入され
ている。ただし、日本のように社会保険方式と言いながら、税金が半分近く投
 入されている国はあまり聞かない。


                               「財政再建には順序がある 増税は最後の手段」(『高橋洋一
                 の俗論を撃つ!』2015.
04.16 ダイヤモンド・オンライン
)

                                                         この項つづく

 

 

 ● 太陽光エネルギーを水素へ高効率に変換 :   安価で簡便なシステムにより実現

              太陽光エネルギーから水素への変換効率を15.3%まで高めることに成功

 

 

通常の水分解電気化学セルの「電流-電圧特性」は。理論的には、1.23Vの電圧印加で、水の電気分解が
起こり、電流が流れ始めるるが、実際には、1.48Vの電圧が必要(1.238÷1.48×100=83.6%)。理由は
電気化学セルの内部電気抵抗で、エネルギーロスする(下図参照)。

 
※ Hydrogen Generation Using Electrochemical Water Splitting via Electricity Generated by Nature Energy
      Journal of the Japan Institute of Energy,vol94,No.1,2015

 最も一般的なシリコン太陽電池は、電池1つの最大出力電圧が0.6~0.7Vで1つの太陽電池で水の電気
分解を行うには、エネルギー不足。そこで、理化学研究所の研究グループは、太陽電池の直列接続を行
い、水の電気分解可能な電圧まで電圧を高めるとともに、もっともエネルギーロスの少ない接続方法に
ついて検討。
 
 まず初めに、研究チームは、シリコン太陽電池と電気化学セルを使った場合の光エネルギーから水素
エネルギーへの変換効率を求めました。シリコン太陽電池を3個直列に接続した場合は2.0%、4個直列
に接続した場合は、6.1%であり、いずれも変換効率が良くないことが分かったが、これはシリコン太
陽電池自体の光電変換効率が悪いことによる。
 

そこで、フレネルレンズを用いて太陽の位置に合わせ効率よく集光できるタンデム型太陽電池を使用し、
エネルギー変換効率の向上を試みる。その結果、光エネルギーから水素エネルギーへの変換効率が12.
2%と非常に高い変換効率が得られた(下/左図)。しかし、太陽電池の最大出力点(最大出力電圧
2.12V、最大出力電流95.9 mA)と電気化学セルの動作点(動作電圧1.55 V、動作電流999.
8 mA)の間に大きな差が存在している。そこで、タンデム型太陽電池を2個直列、電気化学セルを3個
直列に並べることで太陽電池の最大出力電圧と電気化学セルの動作電圧が近づくようにすると、エネル
ギー変換効率が15.3%まで向上した(下/右図)。

 
変換効率15%のこの水素蓄電技術の実用性が確認されればオールシステムは完成したようなものである。実に
面白い!

 

 

  ● 今夜の一枚

Nepal earthquake: Teenager pulled alive from rubble on Day 6 

 

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八十八鯛から大阪都構想 

2015年05月01日 | 創作料理

 

 

 

 ● 今夜は八十八鯛から

彼女が誕生日だというので南彦根の徳特兵衛へ。いつもの席に座り、いつものように眼精疲労
対策の「大トロ」(『トロをめだして徳特兵衛へ』 2011.07.10)と「茹でげそ」を注文。さて、
つぎをと、掲示ボードに目をやると「八十八鯛」 という文字が飛び込む。そこで寿司職人に尋
ねる。あれって、どういう鯛なの?、と。"ヤトヤダイ" という宇和島海産の真鯛という返事。
もちもちとした食感が半端じゃないので、これって本当に真鯛なの?とつぶやく。そこで、ネ
ットサーフ。 この名は四国八十八ヵ所になぞらえてつけられる。深い緑の山々が豊饒の海を
て、その海から発信される四国を代表するブランドとなるようと愛媛県漁連らが立ち上げ、飼
料メーカーや生産者の精進で普及する。

    

たしかに、高い弾力性のあるモチモチ感を生かすには、和風ペーストの料理となりえるが、そ
れなら、薄
造りやカルパッツチョに向いている。いわば、さかなの生ハム仕立てにするには、
燻製や炙り焼きにできそうで、オールオイル漬けやバターコートもありだという連想から、こ
のまえの福井の鯖へしこの延長で、
さばへしこの骨を抜き、フードプロセッサーでこし、マスカルポー
ネチーズ(クリームチーズ)を混ぜてた「へしこチーズ」をコートすれば、あっさりとした八十八鯛に油脂と
鯖へしこの辛みと旨味がマッチングし絶品の「へしこチーズ添えの八十八鯛カルパッツチョ」が頭の中で
完成する。

 

 

● 大阪都構想にエールを その1

大阪都構想の是非をめぐる住民投票が27日、告示された。来月月17日に行われる投票の結果が
大阪の将来を大きく左右するだけでなく、日本の政治経済体制が、明治以降続いてきた薩長幕
藩中央集権遺制や戦後の開発中央集権制を払拭し、成熟した民主国家を標榜する地方分権制へ
の移行に向けたターニングポイントであるとわたし(たち)は考えているが、そのことを考察
をすすめるために
。まず、佐々木信夫中央大学教授の「大阪都構想:住民投票と「特別区」の
創成は何を生むか」(上)(現在ビジネス 2015.04.30)を参考にしてみる。



 日本では、市町村の大都市特例として府県の仕事を市に移譲する「政令指定都市」という
 仕組みが始まったのが1956年(昭和31年)である。最初、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸
 の6大市を指定してスタートしたが、現在20市まで増えた。百万人とか1千万人とかの人
 々が暮らす大都市をどのようなシステムで運営していくか、世界のどの都市でも大都市経
 営には苦労をしている。そこで使われる大都市制度も様々な工夫が凝らされているが、大
 別すると大きく3つである。

 ①〈特例都市〉タイプ:広域自治体に包括され、かつ組織の特例や事務配分の特例により
 広域自治体の一部を処理する日本の「指定都市」に近い制度。例えば、フランスのマルセ
 イユやリヨン、韓国の特例都市など。

 ②〈特別市〉タイプ:州・府県という広域自治体から独立させ、それと同格の権限を付与。
 広域自治体の事務と基礎自治体の事務を併せ持つ日本の自治法でいう旧特別市に近い制度。
 例えば、ドイツのミュンヘン、ケルンなど。 

 ③〈都制〉タイプ:その区域内に法人格を持つ区や郡を包含しつつ、広域自治体の事務と
 基礎自治体の事務を併せ持つ日本の〈都制〉(都区制度)に近い制度。例えば韓国の広域市、
 ドイツの都市州など

 日本の場合、大阪、名古屋、横浜など20政令市が①タイプ、東京が③タイプだが、今度、
 大阪都構想が実現すれば大阪は①から③タイプに移ることになる。

                   -中略-

 戦後、法律上認められながら実現しなかった「幻の特別市」制度と引きかえに、妥協の産
 物として生まれた「大都市に関する特例」にすぎない。地方自治法をはじめ個別法におい
 て、人口百万人以上の基礎自治体に行政裁量によって府県の権限の一部を上乗せする特例
 扱いを積み重ねてきた仕組みにとどまり、大都市の持つ潜在力を十分発揮するにふさわし
 い制度とはいいがたい。

           「大阪都構想:住民投票と「特別区」の創設は何を生むか」(上) 
   


 
つまり、制度の根幹が一般市町村と同一の制度で、自治制度上、大都市の位置づけや役割が不
明確で、事務配分は特例的で一体性・総合性を欠き、府県との役割分担が不明確なため二重行
政、二重監督の弊害が大きいく、役割分担に応じた税財政制度が存在しないといった構造的な
問題
を抱え、大都市経営としての多くの課題を抱え、膨大で複雑な行財政需要に的確に応え、
高い政策能力を発揮できない上、生活者の住民が必要とする身近な行政とはいえず大阪の24
の行政区は巨大市の出先出張所に過ぎず地方自治の単位でもなければ、住民代表によって運営
されている訳でもないと指摘しつつ、70~百万程度までの規模なら、それなりに合理性を持
つ現行制度だが、2百万とか3百万に及ぶ巨大市の場合、政令市制度は不十分で、住民自治を
強化する仕組みとして()府県行政と大都市行政の二重行政の弊害を取り除き、()司令
塔の一元化、()大都市に対する国・県の二重監督の解消のためには、大阪都構想が掲げる
特別区を内包する都制度(都区制度)を採用するのが妥当な選択だろうと述べている。

                                   この項つづく

 

                                                                                                                                                

 

  ● 今夜の一枚

Ichiro’s home run caps Miami Marlins’ 7-3 win against Mets

41歳のベテランの一発にベンチもスタンドも大興奮。「チームメートもファンの人もあんなに
喜んでくれたら泣きそうやね。みんなにこんな(雰囲気を)つくってもらって、というのは初め
ての経験」と語る。


Read more here: http://www.miamiherald.com/sports/mlb/miami-marlins/article19917378.html#storylink=cpy

 

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