● 今夜は八十八鯛から
彼女が誕生日だというので南彦根の徳特兵衛へ。いつもの席に座り、いつものように眼精疲労
対策の「大トロ」(『トロをめだして徳特兵衛へ』 2011.07.10)と「茹でげそ」を注文。さて、
つぎをと、掲示ボードに目をやると「八十八鯛」 という文字が飛び込む。そこで寿司職人に尋
ねる。あれって、どういう鯛なの?、と。"ヤトヤダイ" という宇和島海産の真鯛という返事。
もちもちとした食感が半端じゃないので、これって本当に真鯛なの?とつぶやく。そこで、ネ
ットサーフ。 この名は四国八十八ヵ所になぞらえてつけられる。深い緑の山々が豊饒の海を育
て、その海から発信される四国を代表するブランドとなるようと愛媛県漁連らが立ち上げ、飼
料メーカーや生産者の精進で普及する。
たしかに、高い弾力性のあるモチモチ感を生かすには、和風ペーストの料理となりえるが、そ
れなら、薄造りやカルパッツチョに向いている。いわば、さかなの生ハム仕立てにするには、
燻製や炙り焼きにできそうで、オールオイル漬けやバターコートもありだという連想から、こ
のまえの福井の鯖へしこの延長で、さばへしこの骨を抜き、フードプロセッサーでこし、マスカルポー
ネチーズ(クリームチーズ)を混ぜてた「へしこチーズ」をコートすれば、あっさりとした八十八鯛に油脂と
鯖へしこの辛みと旨味がマッチングし絶品の「へしこチーズ添えの八十八鯛カルパッツチョ」が頭の中で
完成する。
● 大阪都構想にエールを その1
大阪都構想の是非をめぐる住民投票が27日、告示された。来月月17日に行われる投票の結果が
大阪の将来を大きく左右するだけでなく、日本の政治経済体制が、明治以降続いてきた薩長幕
藩中央集権遺制や戦後の開発中央集権制を払拭し、成熟した民主国家を標榜する地方分権制へ
の移行に向けたターニングポイントであるとわたし(たち)は考えているが、そのことを考察
をすすめるために。まず、佐々木信夫中央大学教授の「大阪都構想:住民投票と「特別区」の
創成は何を生むか」(上)(現在ビジネス 2015.04.30)を参考にしてみる。
日本では、市町村の大都市特例として府県の仕事を市に移譲する「政令指定都市」という
仕組みが始まったのが1956年(昭和31年)である。最初、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸
の6大市を指定してスタートしたが、現在20市まで増えた。百万人とか1千万人とかの人
々が暮らす大都市をどのようなシステムで運営していくか、世界のどの都市でも大都市経
営には苦労をしている。そこで使われる大都市制度も様々な工夫が凝らされているが、大
別すると大きく3つである。
①〈特例都市〉タイプ:広域自治体に包括され、かつ組織の特例や事務配分の特例により
広域自治体の一部を処理する日本の「指定都市」に近い制度。例えば、フランスのマルセ
イユやリヨン、韓国の特例都市など。
②〈特別市〉タイプ:州・府県という広域自治体から独立させ、それと同格の権限を付与。
広域自治体の事務と基礎自治体の事務を併せ持つ日本の自治法でいう旧特別市に近い制度。
例えば、ドイツのミュンヘン、ケルンなど。
③〈都制〉タイプ:その区域内に法人格を持つ区や郡を包含しつつ、広域自治体の事務と
基礎自治体の事務を併せ持つ日本の〈都制〉(都区制度)に近い制度。例えば韓国の広域市、
ドイツの都市州など
日本の場合、大阪、名古屋、横浜など20政令市が①タイプ、東京が③タイプだが、今度、
大阪都構想が実現すれば大阪は①から③タイプに移ることになる。
-中略-
戦後、法律上認められながら実現しなかった「幻の特別市」制度と引きかえに、妥協の産
物として生まれた「大都市に関する特例」にすぎない。地方自治法をはじめ個別法におい
て、人口百万人以上の基礎自治体に行政裁量によって府県の権限の一部を上乗せする特例
扱いを積み重ねてきた仕組みにとどまり、大都市の持つ潜在力を十分発揮するにふさわし
い制度とはいいがたい。
「大阪都構想:住民投票と「特別区」の創設は何を生むか」(上)
つまり、制度の根幹が一般市町村と同一の制度で、自治制度上、大都市の位置づけや役割が不
明確で、事務配分は特例的で一体性・総合性を欠き、府県との役割分担が不明確なため二重行
政、二重監督の弊害が大きいく、役割分担に応じた税財政制度が存在しないといった構造的な
問題を抱え、大都市経営としての多くの課題を抱え、膨大で複雑な行財政需要に的確に応え、
高い政策能力を発揮できない上、生活者の住民が必要とする身近な行政とはいえず大阪の24
の行政区は巨大市の出先出張所に過ぎず地方自治の単位でもなければ、住民代表によって運営
されている訳でもないと指摘しつつ、70~百万程度までの規模なら、それなりに合理性を持
つ現行制度だが、2百万とか3百万に及ぶ巨大市の場合、政令市制度は不十分で、住民自治を
強化する仕組みとして(1)府県行政と大都市行政の二重行政の弊害を取り除き、(2)司令
塔の一元化、(3)大都市に対する国・県の二重監督の解消のためには、大阪都構想が掲げる
特別区を内包する都制度(都区制度)を採用するのが妥当な選択だろうと述べている。
この項つづく
● 今夜の一枚
Ichiro’s home run caps Miami Marlins’ 7-3 win against Mets
41歳のベテランの一発にベンチもスタンドも大興奮。「チームメートもファンの人もあんなに
喜んでくれたら泣きそうやね。みんなにこんな(雰囲気を)つくってもらって、というのは初め
ての経験」と語る。