goo blog サービス終了のお知らせ 

極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

逆行するエネルギー政策

2015年09月15日 | 時事書評

 

 

 

     インターネットで「意見」があふれ返っている時代
                         だからこそ「物語」は余計に力を持たなくてはならない。

                                                                             村上 春樹

 



【ネクストディケイド:逆行するエネルギー政策】

● 原発か再エネか それが問題だ

ハムレットの台詞が似合いそうな日本のエネルギー政策の10年だが、欧米先進国
の動向
を俯瞰すると見えてくるものがある。上グラフ参照――図は主要先進国の電
源構成各電源のキロワット時の割合の変遷であり、90年を基準として現在までの

各電源がどれだけ増減したかを示す。主要先進国全体の傾向としては(1)石油火
力と石炭火力を減らしながら(2)再エネ(とりわけ風力)とガス火力を増やすとい
うトレンドがある。その理由は (1)二酸化炭素削減
、(2)ロシア・中東依存の
軽減などエネルギー安全保障に、(3)北海油田の枯渇に伴う海洋産業の産業転換
など、国家戦略に依存していると分析 (出典:「次の10年は冷静国際情報分析か
ら」」・安田 陽
環境ビジネス 2015年秋季号)。

これに対して日本は 「再エネを増やさず石炭を大きく増やしている」ことが、明
らかであり、主要先進国の動向と逆行する。また、再エネを増やすということは、
日本ではあたかも国民負担を増やし経済を疲弊させる主張が多いが、海外での認識は
真逆――再エネは経済の牽引役であり、電力インフラ投資の起爆剤とみなされてい
る――を行く。90年代にバブル経済がはじけて以降、電力需要が伸び悩み電カイ
ンフラヘの投資が20年以上冷え込みデフレに悩んでいる。欧州でもGDPや電力
需要の伸びは劇的に増えていないが、近年、海底ケーブルをはじめとする電カインフ
ラの投資が突出している。

下図は、欧州送電系統事業者ネットワ-ク(ENTSO-E)による「系統10ケ年計画」
(TYNDP)の一例であるが、ここでは陸上送電線および海底ケーブル両者とも
実に1万8千キロートル近くの新設が計画されている。電力需要が増えていないに
も関わらず、なぜ送電インフラの投資が活況になる理由が、電力自由化後の"適切な
市場設計・制度設計"だと指摘する。 



それによると、送電部門は発送電分離後も引き続き独占部門として規制機関の強い
監視下に置かれることになる。現在の日本では、このような独占部門に対して総括
原価方式が適用されているが、この方式は経営効率やイノベーションに対するイン
センティブが低いとされている一方、欧州や北米ではプライスキャップ方式レベ
ニューキャップ方式と呼ばれる新たな規制方式が作られ、規制下でも企業努力により
収益が増えたり、努力を怠れば減益するという張感が生まれる。また、電力市
場取
引により再エネによる電力を長距離輸送する国際連系線の利用が活発になり、投資

回収が速まり、再エネは燃料費が無料で、電力市場価格を押し下げる働きがあり、電力消
費者にとってもメリットがあるが、化石燃料のように価格変動リスクに悩まされるこ
とはもないため投資家にとっても資金回収しやすく堅実な投資対象――コストをか
けてもメリット(便益)があることが実現可能性研究(FS)や費用便益分析(CBA)
などの手法で裏付けられ――となっている。

● 日本はなにをするべきか

日本では、政策決定者やジャーナリスト、技術者や投資家に至るまで冷静な海外情
報分析がされず、
一般国民に公平公正な情報がもたらされないという「情報鎖国」の
状態にあると言われる。日本にもたらされる欧州の情報は「うまくいっていない」
情報が圧倒的に多いが、実は送電インフラ投資のように「うまくいっている」こと
も当然ながら多数ある。もちろんその過程で試行錯誤もあり、例えばドイツの国内
送電線の建設の遅れなどもあるが、それらの問題を着実に克服してきている。
   
次の10年、日本のエネルギービジネスには、(1)まず、先入観のない公平公正な
海外情報すること、(2)次に科学的な実現可能性研究や費用便益分析を行い、再
エネ大量導入や送電線建設の意義を確認することである。(3)再エネは、もはや
技術的問題ではない。制度や政策の問題であり、人々のマインドセットの問題であ
ることを確認しておくことが大切である。


※ プライス・キャップ方式とは、電話料金などで採用されている料金査定制度で、提供す
  るサービスごとの収入の上限だけを規制し、上限以下での価格設定は自由に行えるよ
  うにした方式。インセンティブ規制の一種で、設定価格に一定の自由度を与えることで、
  事業者の経営効率化の促進が行われることを目的としている。

 


JP 5555848 B2 2014.7.23


● 基板を加熱せずITO透明電極膜を作製!

 

山口大学の諸橋信一教授は独自開発のスパッタ(成膜)装置で、基板を加熱するこ
となく
低抵抗率・高透過率の「インジウム・スズ酸化膜(ITO)透明電極膜」を
作製した発表。LEDや太陽電池用の電極膜が高額で複雑な設備を使わずに作製で
きる。
 

LEDなどの薄膜材料は、硬くて重いガラス基板から薄くて軽いポリエチレンテレ
フタレー
ト(PET)フィルムなどにシフトが進む。一般的なスパッタ装置では数
百度Cに基板を加熱す
る必要があるが、高温や処理剤で基材が損傷するなど作製過
程で課題が多い。諸橋教授
のグループは方式が異なる2種類のスパッタ装置の原理
を応用した。ハイブリッド対向ス
パッタ」と名付けた装置は、内部の可動棒磁石を
左右対称・非対称に移動させることで対向
ターゲット間の磁場分布を変化させ、薄
膜作製に最適な磁場分布やプラズマ状態を形成す
る。基板の水冷は不要。レジスト
の損傷もなく「毎分142ナノメートルの速度で堆積可能な
ITO透明電極膜が形
成できる。将来は、山口ティー・エル・オーを通じ民間企業に量産装置
として技術
移転したい考えという。

わたしが、減圧ドライ成膜方法に調査研究を開始したのが15年前ごろであり、同
上教授は90年はじめから富士通で半導体素子の研究開発従事、10年後に減圧薄
膜装置の開発を開始しているから同じような時期に当たるが、ダメージ問題とスル
ープットが遅いという課題をそのように克服するか調査研究していた頃が懐かしく
思い出すが。

さて、スパッタは、基板材料の種類を問わずどんな材質の膜でも有毒なガスを使用しない
で安全に比較的簡単な装置で薄膜を堆積できることから、各方面において広く使用されて
いる。 この技術開発は、 より高密度プラズマ状態でのスパッタを実現するため、自発と誘
発電子ビーム励起プラズマを利用した薄膜作製装置で、磁束漏洩問題解決のため、回転
できる多面体型の回転軸に平行なそれぞれの面にターゲットを配置した多面体ターゲット
ホルダー一対が対向する配置し、多面体ターゲットホルダーのそれぞれのターゲット裏面
に配置する磁石の作る磁束線が、多面体ターゲットホルダー内面において完全に閉じるよ
うに、磁石の極性が交互に変わるように配置することで(下図参照)、 高速・低温スパッタ
が可能な従来の対向ターゲット式スパッタの特長を持ち、磁束漏洩防止に大型化するう
構造問題を解決し、構造の小型化、マルチターゲット化と真空装置の小型化により、コスト
逓減に有利な多層薄膜構造もち、より高密度プラズマ状態でのスパッタを実現し、
In-situで多層薄膜構造の高真空・高速・低温スパッタを可能とするものである。

高速・低温スパッタが可能な従来の対向ターゲット式スパッタの特長を持ちながら、
磁束漏洩の防止のために大型化するという構造上の問題を解決し、構造の小型化、
マルチターゲット化及びそれに伴う真空装置の小型化により、コスト的に有利な多
層薄膜構造を作製でき、更に、対向するターゲット間の誘発電子ビームに自発電子
ビームを上乗することで、より高密度プラズマ状態でのスパッタを実現し、In-situ
で多層薄膜構造の高真空・高速・低温スパッタが可能な薄膜作製装置を提供できる
効果がある。

 

  特許5688664
膜厚方向に組成比が連続的に変化した薄膜の製造方法

また、一対のターゲットホルダーが対向して設けられ、各ターゲットホルダーには
それぞ
れ異なる材料よりなるTiターゲットとSiターゲットが配置され、各ター
ゲット上には、それぞ
れ磁束線のループを形成可能であり、また、両ターゲット間
にも磁束線形成可能である磁
束分布可変型対向スパッタ装置を用い、各対向するタ
ーゲット上に形成されるループ状の
磁束線及び両ターゲット間に形成される磁束線
の強度割合を連続的に変化させつつスパ
ッタリングすることを特徴とし、基板上の
厚さ方向に組成が連続的に変化した傾斜型組
成薄膜(グラデーション)の製造方法
を実現することで、厚さ方向に組成の変化する薄膜、例えばルゲート
フィルタ等を
容易に作製し得る薄膜の製造方法を提供する新規考案である。

以上、今朝ざっくりと俯瞰してみたものをまとめた。この装置がどれほど実用に耐
えうるかはユーザ次第ではあるが、大変、面白い技術だ。


● オランダ・ズンデルトの花の山車2015

 

 

 

ゴッホが生まれた地として知られるズンデルトにて、年に一度の花パレードを開か
れた。花
を使って作られた山車が町の中を練り歩いて、魅力的ですばらしい。ゴッ
ホひとりでこれだ
け盛り上がるというのか、これは驚きだが、百年後には" 聖ゴッ
ホ・ディ"と呼ばれているのでは
ないだろうか。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ステラ電池旋風

2015年09月14日 | 政策論

 

 

  忘れたいものは絶対に忘れられないんです。 /  村上 春樹

 

  

【超高齢社会論 16: 下流老人とはなにか】  
 

    【目次】

  はじめに
  第1章 下流老人とは何か
  第2章 下流老人の現実
  第3章 誰もがなり得る下流老人―「普通」から「下流」への典型パターン
  第4章 「努力論」「自己責任論」があなたを殺す日
  第5章  制度疲労と無策が生む下流老人―個人に依存する政府
  第6章 自分でできる自己防衛策―どうすれば安らかな老後を迎えられるのか
  第7章 一億総老後崩壊を防ぐために
  おわりに   

   第6章 自分でできる自己防衛策―どうすれば安らかな
                    老後を迎えられるのか

  【いざというときの問題(予防編)】……「受援力」を身につけておく

  予防編の最後は、「受援カ」の育成である。
  受援力は、災害分野でよく聞く概念だ。たとえば災害が発生すると、各地からボラ
 ンティアが被災地に支援に入る,そのボランティア、つまり支援を提供する人々の意
 思や知識、ノウハウを生かすためには、被災地や被災者側がボランティアを上手に活
 用することが重要だと言われている。
  すなわち受援力とは、「支援される側が支援する側の力をうまく生かし、生活の再
 建
に役立てる能力」である。

  これは前述のブライドを捨てようという提案にも通じる,じつは支援したいと思っ

 ている人は地域に意外と多くいるが、それらの力を活用して、自分の生活をよりよく
 できるかは、受け手の意識にかかっていると言える。
  事実、10年以上生活相談を受けてきて感じるのは、支援を「しやすい方」と「し
 に
くい方」がいるということだ。支援しやすい方の特徴は、話しやすかったり、プラ
 ス
思考だったり、自分から積極的に問題の解決にあたったり、自分の問題を把握して
 い
たり、ある程度の支援方法や制度を学んでいたりする,気軽に相談に来てくれて、
 問
題が複雑化する前にアドバイスできる。

  一方で、支援が困難な方は、かたくなに心を閉ざしていたり、自暴自棄になってい

 たり、マイナス思考で問題解決に対して消極的だったりする。また、問題の所在が把
 握できずにやみくもに行動してしまう場合もある。これらが何よりも問題なのは、支
 援者との間に信頼関係が築けないということだ。するとたいてい、支援はうまくいか
 ない。受援カが弱い事例の特徴である,
  貧困に陥り精神的にショックを受けたとき、普通なら当たり前の感情が失われてし
 まうのもやむを得ない。しかし、専門家や支援者のノウハウを最大限活用して、その
 力を引き出せるか否かは、当事者の方たちの「貧困から立ち直ろうとする前向きさ」
 にかかっている。支援者が即座に支援をはじめられるか、あるいは信頼関係の構築か
 らはじめなくてはならないかによって、問題解決までの時間や道筋も異なってくる。

  問題が発生したら早めにに相談し、速やかに支援を受けられるような体制と心構え
 を自分のなかで整備しておく必要があるだろう。

                      幸せな下流老人の共通点

  ここまで下流化への対策と予防策をいくつか列挙してきた。これらを踏まえて準備
 しておけば、むやみにおびえたり、不安に思う必要はないだろう。
  じつはわたしが知っている貧困高齢者にも、幸せな人はたくさんいる。不幸せな人
 との違いは明らかに「人間関係」にある。現状において、わたしたちが下流老人にな
 らないための具体的な対策は、貯蓄や制度の知識を得ておくことぐらいだ。しかし、
 実際には貯蓄があっても、下流になるときは、なる。それは第2章、第3章でも示し
 たとおりである。人生とはそういうものであり、思い通りには進まない。

  だから、豊かな老後を送るためには、お金以外の部分、すなわち豊かな人間関係を
 築いておくことが大切だ。
  20~50代前半の人は仕事中心、経済優先の生活がある。家庭や友人関係などを
 省みることなく、ひたすらに働いているという人も多いかもしれない。
  だからこそ、老後が見えてきた50代後半からは、配偶者や子ども、家族、友人など
 の周囲の人間関係を大切にしたい。要するに、経済優先の生活から人のつながりを中
 心にした生活に、価値観をシフトチェンジしていく必要がある。それがやがて、自分
 自身を救うセーフティネットとして機能することになるだろう。そして、楽しみや生
 きがいを共有する心強いパートナーを得ることにもつながるのだ。

  人生は長いし、苦難が多いと思っている,その苦難を一緒に乗り越えるためにも、
 一人よりは二人、二人よりは三人と、自分の苫しみを理解してくれている人がいれば、
 下流老人の問題にも立ち向かえるだろう。
  わたしは本書において、「関係性の貧困」を克服することが重要だと繰り返し述べ
 てきた。関係性の貧困がなくなれば、誰かしらが声をかけ、手を差し伸べ、日常生活
 を充実させられる。

  わたしが知る限りでも、たとえば72歳の貧困男性が、中小企業の社長と居酒屋で
 知り合って仲よくなり、それ以降飲み友達になったという楽しそうな例がある。また、
  68歳で女性とお付き合いを始めた男性もいる。肢はファミリーレストランで、一
 人で食事をしている50代後半の女性に話しかけたそうだ。彼らはお互いに寂しさを
 抱えており、話し相手がほしかったという。いつもファミリーレストランで、お茶を
 飲んだり、おしゃべりをしたりと、日々の生活を楽しんでいるという。

  これらの事例をいくつも見ると、「幸福」をどう捉えるかは個人次第であると感じ
 る。最低限度の生活保障は必要だが、それと同時に、文化的な暮らしを維持できるか
 は、老後の人間関係が大きく左右する。
  あなたは、老後になっても付き合いたいと思う人、またはそばにいてくれる人が、
 身近にいるだろうか。そのような人々との出会いは、今からでも遅くないと思うし、
  そのような人々が身近にいてくれたら、きっと絶望や寂しさを分かちあえるだろう。
 そしてこの「分かちあい]が、人生の幸せや満足度に大きく影響することは、言うま
 でもない.

   第7章 一億総老後崩壊を防ぐために

  最後に、わたしなりの下流老人に対する提言をまとめておきたい。
  下流老人の問題が、人間のつくった社会システムの不備から派生しているものであ
 るなら、その社会システムを変革できるのもまた、人間である。これからのあるべき
 社会のビジョンを示しながら、わたしたちの社会をどのように構築し直していけばよ
 いのか、やや挑戦的、試行的に述べたいと思う。
  これらの提言がいくつかの議論を起こし、これからの社会保障や社会システムの発
 展にとって、建設的なものとなれば幸いである,

                   下流老人は国や社会が生み出すもの

  まずは政治ができることだ。「一億総老後崩壊」を防ぐためには、どんな政策が必
 要
か考えてみたい。わたしは政策によって、下流化はある程度抑制できると思ってい
 る
が、一億総老後崩壊時代の足音はすぐそこまで追っており、対策は「待ったなし」
 だ。

  まず、貧困は見えないのではなく、見ようとしていくこと。すでにわたしたちの周
 囲にあるという前提で制度を考える必要がある。そして、下流老人の問題を「自分事」
 として考えるよう意識を変えていくことから始めたい。
  しつこく繰り返してきたとおり、下流老人を生み出すのは国であり、社会システム
 である,下流老人やその家族だけの問題ではない。したがって当然ながら、対策を行
 う主体も国や政府であるべきだ。日本に貧困があることを認め、格差是正や貧困対策
 を本格的に打ち出すことが何よりも必要だと言えるだろう,

  貧困に対して真剣に向き合わない国に、未来はない。貧困による悲惨な現実を直視
 し、当事者の声から社会福祉や社会保障を組み立て直していくことが求められる。

                      日本の貧困を止める方策は?

  下流老人の問題が、今後ますます進行する理由の一つに、若年層や子どもの貧困が
 ある。ワーキングプアや非正規雇用の増加に伴い、働く世代の貧困も顕著に増加して
 いる。OECDが発表した「対日審査報告書(2012年版ごによると、日本の相対
 的貧困率は、16・1%(2012年)に達し、過去最悪の高さを更新し続けている。
 これはOECD加名国34か国のうち、6番目に高い数値だ。また、子どもの貧困も
 16・3%(2012年)と高い水準にある。

  これは多くの専門家も指摘しているが、若者の貧困、子どもの貧困は、その後の世
 代においても格差を固定する。家庭の経済事情によって十分な教育を受けられず、生
 涯低所得の仕事にしかつけない人々が繰り返し生み出される危険性がある。
  そしてこれは低年金や無年金問題、無保険問題の要因となり、将来の下流老人を生
 み出すことにもなるだろう。要するに、これ以上相対的貧困率が上がらないように抑
 制しなければ、社会が持続可能性を失ってしまう,速やかに貧困率の削減数値目標を
 設定し、そのための具体的な施策を行う必要がある,
  
  具体的には、貧困対策基本法の法制化をし、国民の防貧や救貧対策を国家戦略とし
 て強化する方向に議論を進めたい,課税対象については、資産や所得を総合的に含め
 て議論し、取れる層から徴収することで所得の再分配機能を高め、社会保障を手厚く
 していくことが不可欠だ。下流老人がいる一方で、金持ち老人が大勢いるのもまた事
 実であり、再分配による支えあいが必要なことは言うまでもないだろう。

  しかし、社会保障を手厚くするために再分配機能を高めれば、資産家や高所得者は
 海外に逃げてしまう、もしくは労働意欲が減退して課税効果が上がらないといった指
 摘もある,これについては引き続き、高所得者の逃げ場である「タックスヘイブン」
 の対策も含め、グローバルな睨点での議論が求められるだろう。

                    制度をわかりやすく、受けやすく

  また、下流老人になってしまったら、生活保護制度を中心に社会保障を利用する必
 要があるが、これまでに述べてきたとおり、生活保護には根強いスティグマ感(恥辱
 感)が植えつけられてきた。生活保護を受けるのは恥だと言わんばかりに、制度があ
 るにもかかわらず、利用しない(できない)人々は相変わらず多い。

  だが一方で、年金をもらうことに対しては何のためらいもないし、ごく当たり前の
 権利として受け取っている。介護保険も近年では徐々に一般的になってきて、ヘルパ
 ーやデイサービスなどを利用する高齢者も多い。
  介護保険制度を抵抗なく利用できる理由の一つは、介護保険料を支払っているとい
 う「権利意識」である。これまで保険料を払ってきたのだから、利用して当然(ある
 いは、利用しないと損する)と思うわけだ,しかし年金も介護保険も、保険料以外に
 一定金額の税が役人されている。もし生活保護受給者を一方的に批判するなら、年金
 の相当な減額や介護保険のサービス劣化も覚悟しなければならないはずだ。

  一方、生活保護は保険料拠出によらない「無拠出型」の社会保障であり、100%
 税が役人されている。だから反感が強いのだろうか。しかし、児童手当や児童扶養手
 当にしても、保険料を払わなくとも給付されるものだが、それらを受給している子育
 て世帯に、生活保護受給者ほどのスティグマ感があるようには思えない。なぜ生活保
 護だけに厳しい目が向くのか。ここからも貧困に対する特別の偏見や差別の目が垣間
 見られる。

  このような状況を打開するには、何よりも生活保護を受けやすく、わかりやすく広
 報していくことが求められる。政府や自治体は下流老人に対して、生活保護で救済で
 きることをちゃんと知らせ、窓ロヘ申請に来させる必要があるだろう。
 下流老人の「オカミ」意識は強い。「オカミ]から呼びかければ、生活保護申請に至
 る人々も増え、多くの人が救われるように思う。

  2016年からは、すべての国民の所得や税の納付状況などを、原則一元的に把握
 するため「マイナンバー制度」が本格実施される。これにより政府や自治体は、生活
 困窮者や下流老人の存在をよりはっきりとつかめるはずだ,納税や保険料徴収作業の
 効率化のためだけでなく、最低生活費に満たない状況で生活している高齢者への生活
 保護の広報や情報告知にも活用してほしい。

                           生活保護を保険化してしまう!?

  また、これはやや挑戦的になるが、そろそろ「生活保護の保険化」を検討してもい
 いのではないかと思っている。家族以外の誰かの手を借りることをとくに嫌う日本人
 が、なぜ介護保険制度のサービスは利用するのか、何が利用のインセンティブにつな
 がるのかを検討すると、ひとつの要因は、やはり保険料拠出にある。だったらいっそ
 のこと生活保護も保険化してしまえば、年金や介護保険などと同じように、「保険料
 を
払ったのだからサービスを受けて当然」といった発想を持ちやすくなるだろう。
  生活保護の財源は、すべての国民が月額100円(建前的金額)でも拠出するよう
 にすればいい。大切なのは、この保険料を支払うという行為を通じて「施し意識」か
 ら「権利意識」にシフトさせ、もっと気軽に受給できるようにすることである

  本来、生活保護など救貧制度は、無拠出型の給付であることが大原則であり、社会

 保障の鉄則である。しかし、ここまで根強い差別感情にさらされてしまうと、制度を
 しっかり機能させるには、並大抵の改善では効果が見られない。生活保護の財源拠出
 化・保険料化による制度利用の促進政策を進めることに議論の余地はあるだろう。
  生活保護への偏見や差別を残したまま、団塊世代や次世代の高齢者に対する新たな
 施策を打ち出さない状況が続けば、近い将来、孤立死や餓死はさらに拡大していくこ
 とになろう。団塊世代が後期高齢者(75歳以上)に突入するころには、生活保護制度
 を今よりも確実に機能させないと、多くの高齢者や下流老人の生活が破綻し、命が失
 われろ。
 「生活保護制度のごく一部保険化」というのは奇策であることに注意しながらも、生
 何が必要かを検討すべき時期にある。


                                            藤田 孝典 著『下流老人』

                                                   この項つづく

 

【エネルギー政策: ネクスト・ディケイド】

この10年は、誰も予期しなかった、世界史的なエネルギー変革が進展してきており、そ
の変化は加速している。
世界全体で5千万キロワットだった風力発電は、14年だけで同
模が増え、累積では原発の発電容量と肩を並べた。世界全体でわずか300万キロワッ
だった太陽光発電は、14年だけで4千キロワット増え、累積で原発の発電容量のほぼ
半分に遠した。14年に世
界で新設された電源の6割が自然エネルギーで、その投資額も
約36兆円と記
録を更新。今や自然エネルギーは、エネルギー供給、地球温暖化対策、産
業経済
投融資機会、雇用創出、地域活性化などで中心を占め、この間に国際自然エネルギ
ー機関も誕生したと述べ、日本の、国営・独占・大規模集中型の「エネルギー1.0」から、市場・
規制緩和の「2.0」へ、分散型でオープンな自然エネルギーの「3.0」へと移行し、確実なトレン
ドや変わらない要因を踏まえ、不確実で影響の大きな2つの要因外部的なコンチンジェンシ
ーと自らの挑戦を変数にし、次の「エネルギー4.0」を考察する(「加速する世界のエネルギ
ー変革」飯田哲也 環境ビジネス 2015年秋季号)。


そこでは、ジーメンスも2011年に原子力事業を
売却し再エネをエネルギー事業の中核
に位置づけ、世界最大級の電力会社エオンは214年末、今後の事業の軸を再エネにする会
社分創案を発表。
対照的に原子力は、世界的に新設は数えるばかりでいずれも遅延と高騰
ため金融機関に敬遠されつつある。アレバは建設中の原子力事業の損失などで14年に
6千億円規模の赤字を計上しEDFに事業売却。日本でも東芝、日立、三菱重工業とも原子
力事業の苦戦を指摘する。

● 逆走と混迷の日本

日本は、そうした世界の潮流に背を向けてきた。OECDでは例外ともいえる電力地域独
占が今なお続き、エネルギー市場や政策、政治にも大きな影響力を持っ続けている。エネ
ルギー政策もパワーエリートに閉じた中央集権で、06年の「原子力立国戦略」に象徴され
る原発と石炭中心の大規模集中独占型で、部分的に自由化された「
エネルギー1.5」に留ま
るとして、福島第一原発事故以後、日本のエネルギー政策は混迷の時代に入った。倍政
権誕生後は脱原発を望む多くの国
民の声を無視
し、原発輸出、エネルギー基本計画(14年4
月)、「長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)」(15年6月)と鮮明な原発回帰
を打ち出し現実離れすると指摘。 

15年12月のパリ気候変動サミットで京都議定書に代わる新しい長期的な枠組みが決まる
など、気候変動の制約が
強まり、自然エネルギーは、温室効果ガスの抑制とエネルギー安
全保
障、さらに産業経済の成長の3挙両得の中心的な施策であり、十分なコスト競争力だ
けでなく、コンピュータと同
じく「ムーアの法則」(技術学習効果)に今後も継続的に性能の
向上と価
格低下が続く。もう一つの重要な原動力は、地域コミュニティで地域資源の自然
エネルギーを活用し、自立す
る動きとまた、インテリジェント化の流れが世界を席捲して
いる。

デンマークやドイツ、スペインで風力や太陽光などの変動する自然エネルギーが50%や
時には百%を超える比率で入る電力系統運用では、もはや「ベースロード電源」という概念
が消え、代わって「柔軟性」がクローズアップ、市場活用、リアルタイム気象予測、需要側
の応答などを活用して「柔軟性」を高め、デンマークは「第4世代地域熱供給」というコン
セプトで、コー
ジェネや地域熱供給が電力市場へ柔軟に参加。同上飯田氏は、新たに「共
有経済」や「脱物質経済」の――かつてのシンプルライフや里山の暮らしが現代の情報通信を
駆使してアップデートされ――新しい社会モデルになりうる流れを加える。
 

● 日本は跳躍できるか
                          
片や日本は、ムーンウォークのように、既得権益の抵抗と官僚主義が「拘束衣」とで変革が
止まった状態と指摘する。公開され傍聴できるが形式張った「審議会方式」の実態は閉鎖的
で形式主義で硬直し原発・石炭中心主義、国家市場主義で、2~3年のローテーションで
着任官僚が全権で担当のエネルギー政策や施策を定めていくため、とても知を積み重ねる
エネ
ルギーインテリジェント化は期待できず、むしろ官僚のご都合主義で歪められる期待
できないときわめて悲観的で、それでも
閉鎖プロセスをオープン・イノベーションの場に
転換できるかにかかっていると結んでいる。 

 
【ステラ電池旋風】 

テスラ・モーターズは、家庭・法人・電力会社向けの蓄電池「テスラ・エナジー」を発表。
マスク最高経営責任者(CEO)が、カリフォルニア州ホーソンにあるテスラのデザイン
スタジオで記者会見。同CEOは「われわれのゴールは、世界がエネルギーを利用する方
法を根本的に変えることだ。
世界のエネルギー・インフラを完全に変えることだ」と強調。そのう
ち、家庭用の蓄電池の名称は「パワーウォール」。設置業者向けの販売価格は、10キロワット時
モデルが3500ドル(42万円)、7キロワット時のモデルが3000ドル(36万円)(インバーターや
設置費用は除く)。テスラは、蓄電池事業の粗利益率は第4・四半期は低水準にとどまるが、着実
な成長を続け、来年には採算性が好転すると予想する。調査会社IHS・CERAによると、世界の
蓄電池産業は12年は2億ドル規模だったが、17年までに190億ドルに成長する見通しだ。 

ただ、その実力はというと、国内メーカーとの比較資産では、大幅なメリットは期待でき
ないとの報告がある。例えば、テスラの家庭用蓄電池パワーウォール(7キロワット時)
の費用対効
果計算では、導入環境消費電力月平均:270キロワット時/蓄電池を使って
毎日3.7キロワット時を昼夜電力
融通/月額電気代で約2千円削減との前提で、以下の
様となる。

 

ただし、系統連携をせずテスラのパワーウォールで自給自足(オフグリッド)生活をした
場合のコ
ストをシミュレーションした例では、月の平均消費電力5百キロワット時の家庭
太陽光発電9キロワット時と、パワーウォール3台(21キロワット時)を総額約22
万円で設置を前提とすると以下の通りとグリッドパリティが達成さる。

 

ステラモーターズの技術開発経過を見てみると、メーカならではの技術蓄積があるようだ。したが
ってステラの価格の1/2以下に圧縮することも可能だと考えている。これは面白い。
 


 
特開2013-243913 高電圧バッテリパックの二次サービスポート

 

※ 関連米国特許  

 


 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

水害と再エネ

2015年09月13日 | 時事書評

 


 

 

    一般論をいくら並べても人はどこにも行けない。

                                        村上 春樹

 




【水害と再エネ: 安全第一・生産第二】

8月11日、吸収電力川内原発1号機が再稼働した。これをきっかけに原発時
代に戻るのではないかという不信が日本列島を覆っているかのようにかにも見
えるが、そのようなことはないとわたし(たち)は確信している。忙殺される
毎日ではあるが、本日から適時関連特集としてブログ掲載していく。

 

 化石燃料への依存増大

 既述のとおり、日本の一次エネルギーにおける海外からの化石燃料依存度
は、震災直前(10年)の81.8%から12年には92.2%となり、化石燃
料の輸入増加は、エネルギー分野にとどまらず、我が国の経済上の問題となっ
ている。原子力発電の停止分の発電電力量を火力発電の焚き増しにより代替
していると仮定すると、海外に流出する燃料費は、13年度で約3.6兆円と
試算される。原油、LNG、石炭などの鉱物性燃料の輸入額は近年上昇し、
13年の輸入額は約27兆円となり、震災前(10年)と比べ、額にして約10
兆円、率にして約6割の増加になる。

 世界の温室効果ガス排出量の増大

 温室効果ガスについてみると、京都
議定書の基準年の90年には世界全体
エネルギー起源二酸化炭素排出量は203
億トンだが、11年には3百億
ン(約1.5倍)に増加した。この間 中
国、インドでは それぞれ3.5倍、
3.0倍に二酸化炭素排出量が増加
今後も新興国を中心とするエネルギ
需要の増加により、世界全体のエネ
ルギー起源二酸化炭素排出量は増えて
く傾向にある。


 我が国では、温室効果ガス排出量削
減のための様々な取組が行われていが
今後、地球温暖化問題を本質的な解決へと導くためには、世界全体の温室効
果ガス排出量を大幅に削減することが急務となっている。
 

原子力発電再開により、火力発電向け燃料コストが削減される→収益が改善
すれば、電気料金値下げへの環境が整う。従って、原発再稼働によって収益
が好転した場合、いつ料金値下げするかどうかは電力会社の判断となる。

政府は、現行の料金を認可する際、玄海3号機が12年1月、同4号が13
年12月、川内1・2号機が13年7月からそれぞれ再稼働されることを仮
定した(上表クリック)。
その認可原価(13~15年度平均)は1兆46
63億円で、改定前収入に対する不足額1209億円。この不足額が値上げ
分であり、それは川内1号機、川内2号機、玄海3号機、玄海4号機が認可
時の予定通りに再稼働した場合の話。
今の時点で川内1号機が2年以上遅れ
てやっと再稼働したわけだが、他の3基のうち川内2号機は来月再稼働の見
通しではある一方で、玄海3・4号機の再稼働見通しは全く立っていない。
川内1号機が再稼働したからと言って九電がすぐに料金値下げできない理油
はこうした点にある(下図クリック)。

さらに、改定前の料金水準にまで料金値下げするには、この4基の正常化が
実現してから相当期間が経ってからということになる。原発事故への不安は
重々理解できるものの、①福島事故は稼働中の事故ではなく、停止中の事故
であったこと、②福島事故時に稼働中の原発は、浜岡4・5号機を除き、そ
の後の定期検査時まで通常稼働していたこと、③原発停止に伴う代替火力発
電向け燃料コストは莫大であること(214年度は3.7兆円、11~14年
度の累計で13兆円)などを総合的に踏まえ、原子力新規制基準への適合へ
の対応については適切な猶予期間を設定しながら、直ちに発電再開をしてい
ことが緊要であるとは(BLOGS「州電力:原発再稼働により5年ぶり
黒字化
~電気料金値下げがすぐにできない理由」 石川和雄 2015.09.05)、
元経産省、現社会保障経済研究所代表で原発推進派の見解である。

 

原発の再稼動について、各種世論調査の結果は、反対が賛成の2倍前後に
している。また、高浜、伊方、大飯な
ど、複数の原発で稼働反対の訴訟が起
こっている。国民が反対する最大の理由は、(1)福島第一の事故がまだ収
束しないこと。原
発は必要、と考える人の中にも、「福島が収束しないうち
はダメという声は少
なくない。(2)核のゴミの最終処分場の目処が立たな
いことだである。
現在、建設が具体化しているのは、フィンランドとスウェ
ーデンの2国だけ。フィンランドの「オンカロ」では、放射性廃棄物を10万年
間貯蔵するが、それだけの長期間安定した地盤は日本にはほとんない。

30年には、発電に占める原発の比率はゼロにしたいところだが、二酸化炭素

削減から難しい。政府は、20~22%と想定しているる(3・111以前は
30%前後)。原発比率低下を補うのが自然エネルギーであり、その大部分を
占めるのが太陽光。

日本の太陽光発電は、14年の1年
l間に9百万キロワット超の新設があり、
14年
末現在の累計設置容量は2千3百万キロワット達し、年間の総発電量
換算して230億キロワット時、14年度の日本の総発電量9千百億キロ
ワット時の2.5%に相当
。また、今年は動向について、日本太陽エネルー
協会は8月31日、第一
四半期(4~6月)の太陽電池モジュールの国内出荷
量が、前年同期比14%
マイナスの161万2139キロワットたと発表。
買い取り価格の低下(27円)などの影響で、全体で、は多少減速するが、これか
らも伸びるとしている(地域密着の震電力に期待」村沢義久立命館教授 環
境ビジネス2015年秋季号)。



その理由の一つがソー
ラーシェアリング(営農型太陽光発電)。農地の上に太
陽光パネル展開し、発
電と農業を同時にやろうというアイデア。日射量を確
保するために、パネル間
隔を空けて設置する。日本には450万ヘクタール
農地があり、その3分の1の面積
に、通常の3分の1の密度でパネルを設
するだけで、総発電量の3分の1を賄
うことができる。

「高い」と言われてきた発電コストもす
でに1キロワット時当たり16円程度
まで下がっ
ている。逆に家庭用の電力料金は30円程度まで上がっているか
ら、その半額になる。米国のテキサス州とネバダ州のメガソーラー発電コスト
は30円は15%の4.8円以下を記録している。

一方、「安い」と言われる原発のコスト(最近の政府の見直しでは10円程度)
は、テロ対策や、避難所の建設、最終処分場建設にかかる費用などを考えると、
実際には30円を超えると、30年の発電量に対する太陽光の比率について、
政府は7.4%と想定して
いるが、10%以上を達成できると村沢義久立命
館教授は考えている。


● 地産地消はバッテリーが鍵

また、太陽光発電の最大の弱点が、発電が不安定で、蓄電池との併用が重要。
晴れた昼間に余剰電力を蓄え
、夜間や悪天候時には蓄電池からの放電で賄お
う。
群馬県上野村では、福祉施設「いこいの里」に災害時の電力確保に71
キロワット
の太陽光発電システムと85キロワット時の蓄電システムを設置
した。ま
た、家庭用蓄電池を装備した住宅も現れ始めている。問題は、まだ
コストが高いこと。日本
の太陽光発電のコストは16円程度だが、蓄電池を
併設すると、すぐに2
倍以上になる。従って、大幅なコスト提言が必須だと
村沢氏は指摘し以下のように論理展開する。

そこに、すごい製品が現れた。アメリカの電気自動車メーカー、テスラから
発表された、家庭用蓄電池システム「パワーウオール」。壁掛けタイプで、
容量10キロワット時のものが、3500ドル(約42万円)。国産品の4分
の1という安さだ。今後、パネル、パワコン共々さらなる価格低下が期待で
いるので、蓄電池込みでも 家庭用電力料金より安くなるだろう。そうなれ
電力の地産地消が実現する。

 

 ● 風力、バイオ、水素には疑問

太陽光の次に期待する自然エネルギーは小水力だ。風力は、日本では風況の
悪さと環境問題などの点で難しい。政府も一時は太陽光以上に期待していた
が、現在では、大幅に下方修正している。また、最近、木質を中心としてバ
イオマス発電が注目されているが、20年間にわたる燃料の安定調達と、熱
の安定販売に難がある。また、資源量としても、太陽光より一桁小さなレベ
ルだ。それから、水素関係にもあまり期待はできない。トヨタは14年12
月、燃料電池車「MIRAI(ミライ)」を発表した。「究極のエコカー」とし
て期待する声もあが、水素供給インフラの整備が追いついていないかない。

15年末までに百ヵ所、という目標を立てているが、電気自動車用充電拠点
1万6千ヵ所(急速6千+普通1万)に上るので比較にならない。エコカー
争の勝者はバッテリー使用の電気自動車であると考えている。

● 電力自由化を控えて

日本の電力自由化は3段階に分けて行われる。第1段階は「広域的運営推進機
関の設立」で、今年4月より「電力広域的運営推進機関」が業務を開始している。
第2段階は「電気の小売業への参入の全面自由化」で2016年4月に施行される
予定。第3段階として、法的分離による発送電の分離および電気の小売料金
の全面自由化で、20年4月の実施を目指している。自由化を控えて新電力の
入が加速している。8月12日現在、登録されている新電力は734社。全国
展開を目指すものもあるが、太陽光中心の分散電力を支える、地域密着型の新
電力であると述べている。 

ところで、記録的な豪雨で鬼怒川の堤防が決壊した茨城県常総市の高杉徹市
長は本日、甚大な被害が出た同市三坂町・上三坂地区の住民に堤防の決壊前
に避難指示を出さなかったことについてミスだったと認め、「そこが決壊す
るとは思っていなかった。大変申し訳なかった」と謝罪している(時事通信)。
また、未確認情報だが、決壊箇所では太陽光ハネル設置工事でトラブルがあ
ったやに流されている(下写真クリック)



出典:2015年09月10日15:33 | カテゴリ:国内ニュース |「保守情報」

ネットでは「(常総市)5月定例会の議事録が公開 都市計画税/鬼怒川沿
いの太陽光発電所」ここら辺から広がったようだが、デマなのか真実なのか
判明はクエスチョン(要観察)。

太陽光発電協会(JPEA)は9月11日、太陽光発電設備が水害によって被害
を受けた場合の対処について、注意を促した。
台風18号の影響による豪雨
で、関東や東北において、大規模な水害が発生している状況を受けたもの。
まず、太陽光発電システムが水没したり、浸水した時の注意として、パワー
コンディショナー(PCS)や太陽光パネルと送電ケーブルとの接続部に、接近
したり接触した場合、感電する恐れがあり、近づいたり触れたりしないこと
を強調している。

漂流物などにより、太陽光パネル、集電箱、PCSが破損したり、接続している
送電ケーブルが切れたりしている場合、水没・浸水時に近づくと感電する恐
れがあるため、近づかないように注意を促している。
被害に対処する際の連
絡先として、出力50キロワット未満の太陽光発電システムの場合は販売施
工事業者に、出力50kW以上の場合は選任されている電気主任技術者に連絡し
対策をとるように求めている。

水害の被害を受けた太陽光パネルは、絶縁不良となっている可能性がある。
接触すると感電する恐れがあるという。 復旧作業などで、やむを得ず取り
扱う場合には、素手は避けるようにし、感電対策(ゴム手袋、ゴム長靴の使
用など)によって感電リスクを低減することを求めている。複数枚の太陽光
パネルが、接続されたまま飛ばされたり、流されたりした場合には、接続活
線状態であれば、日射を受けると発電し、高い電圧・電流が発生する可能性
がある。その周辺にロープを張るなど、関係者以外が不用意に立ち入らない
ような対策が必要になる。

浸水したPCSは、直流回路が短絡状態になる可能性がある。太陽光パネルが活
線状態の場合には、PCSに短絡電流が流れることでショート、発熱する可能性
がある。PCSがショートしている状態が見える場合には、販売施工事業者に連
絡し、対応してほしいという。取り扱いにあたっては、安全のため感電対策
を取るとともに、PCSの遮断器を解列することを推めて勧めている。

以上、原発にしろ再生エネルギーにしろ、安全をおろそかにしもうけ主義に
走ると思わぬところで、しっぺ返しを被ることになる。そのとき、施工主や
施工業者はいうに及ばずそれを許可した組織あるいは資本投下した組織や個
人に責任が及ぶことを肝に銘じておかなければならない。わけても、今回、
川内原発を再稼働させた九電経営者などの組織犯罪は、未来永劫忘れ去られ
ることはない。「安全第一・生産第二」である。

                            この項つづく  

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

個性的な線状降水帯

2015年09月12日 | 環境工学システム論




 

 

    どんなに壁が正しくて、
            どんなに卵がまちがっていても、
            わたしは卵の側に立ちます。


                 村上 春樹

 



● 個性的な線状降水帯

台風17・18号のダブル台風は甚大な大雨をもたらした。だが、避難指示・
方法・避難施設の瑕疵などをのけば、これはあくまで限定的だが、『デジタ
革命渦論』に象徴される科学技術の進歩により刻々と変化する状況を正確
に伝たえることで、かってない的被害の防止に成功しているようにみえる
上下の海外メディアの報道写真と報道などにその一端をみることできるだろ
う。心配ななことは
福島県飯館村の河川氾濫により除染袋が散乱したとのニ
ュース。福島第一原発周辺の汚染水の拡散の有無も心配だ。



記録的な大雨をもたらした直接の要因は、関東地方の上空に南北に延びた「
状降水帯」と呼ばれる雨雲の連なり。昨年の広島で土砂災害の大雨もこの線状
水帯が原因だが、今回の規模は広島の土砂災害を上回る――通常の降水帯は
幅が5キロ程度だが50~100キロに渡る。降水帯が大きくなった最大の原
因は、温帯低気圧に変わった台風18号が日本海上で停滞し低気圧の東側に南
からの湿った空気が流れ込み、東に位置する台風17号の東風が南風とぶつか
り、南北に雨雲が挟まれる形で長時間にわたり停滞。加えて、日本列島の西
上空に広がる寒気団も停滞たことで、積乱雲を長時間発達させ線状降水帯が形
成させた。なお、98年8月に栃木・福島で大きな被害を出した豪雨以来であ
る。このように、線状降水帯と地球物理学、気象物理学が錯綜する現象学であ
り、余りにも迷惑な話だが、個性的な気象現象だ。

 

※ この線状降水帯は、軌道衛星気象観測や気象レーダー工学の進歩により次
  
々と解析検出できるようになったことが大きく貢献している(上3つ図クリック)。 

 



● 折々の読書 『職業としての小説家』2

「これは村上さんが、どうやって小説を書いてきたかを語った本であり、それ
はほとんど、どうやって生きてきたかを語っているに等しい。だから、小説を
書こうとしている人に具体的なヒントと励ましを与えてくれることは言うに及
ばず、生き方を模索している人に(つまり、ほとんどすべての人に)総合的な
ヒントと励ましを与えてくれるだろう――何よりもまず、べつにこのとおりに
やらなくていいんだよ、君は君のやりたいようにやるのが一番いいんだよ、と
暗に示してくれることによって。」と翻訳家で東京大学教授(昨年退任)の柴
田元幸が本書の帯でこのように述べている――紀伊国屋書店から村上春樹の新
著『
職業としての小説家』が届いた。早速、読み始めた。

   
  ところかその逆の場合、たとえば歌手や画家か小説を書いたとして、あ
 るいは
翻訳者やノンフイクション作家が小説を禽いたとして、小説家はそ
 のことで嫌な顔をするでしょうか?たぶんしないと思います。実際に歌手
 や画家が小説を書き、翻訳者やノンフィクショソ作家が小説を書き、モれ
 らの作品が高い評価を受ける場合も少なからず見受けられます。しかしそ
 れで小説家が「素人か勝手なことをしやがって」と腹を立てたというよう
 な話は聞きません。悪口を言ったり、揶揄したり、意地悪をして足をすく
 ったりするようなことも、少なくとも侠が見聞きした限りにおいては、あ
 まりないようです。それよりはむしろ、専門外の人に対する好奇心かかき
 たてられ、機会があれば顔を合わせて小説の話をしたり、時には励ました
 りしたいと思うのではないでしょうか。

  もちろん陰で作品の悪口を言ったりする程度のことはあるかもしれませ
 んが、それは小説家同士でも日常的にやっていることであり、言うなれば
 通常営業行為であって、異粟種参入とはとくに関係かありません。小説家
 という人種には数多くの欠陥が見受けられるけれど、誰かが自分の縄張り
 に入ってくることに関しては概して鷹揚であり、寛容であるみたいです。

  それはどうしてでしょう?

  僕の思うところ、答えはかなりはっきりしています。小説なんて――「
 小説なんて」という言い方はいささか乱暴ですが――書こうと思えばほと
 んど誰にだって書けるからです。たとえばピアニストやバレリーナとして
 デピューするには、小さな子供の頃からの長く苦しい訓練か必要です。画
 家になるにも、ある程度の専門知識と基礎的な技術か必要とされます。だ
 いたい材をひととおり買い揃える必要があります。アルピニストになるに
 は人並みではない体力とテクニックと勇気か要求されます。

  しかしなから小説なら、文章が害けて(たいていの日本人には奔けるで
 しょう)、ボールペンとノートが手元にあれば、そしてそれなりの作話能
 力があれば、専門的な訓練なんて受けなくても、とりあえずは書けてしま
 います、というか、いちおう小説というかたちにはなぅてしまいます。大
 学の文学部に通う必要もありません。小説を肖くための専門知識なんて、
 まああってないようなものですから。

  少しでも才能のある人なら、最初から優れた作品を書くことだって不可
 能ではありません。自分のケースを実例として持ち出すのはいささか気が
 引けるのですが、たとえばこの侠にしたって、小説を書くための訓練を受
 けたことなんてまったくありません。いちおう大学の文学部映画演劇科と
 いうところに行きましたか、時代的なこともあって、ほとんど何ひとつ勉
 強せず、髪を長くして、髭をはやして、汚いかっこうをして、モのへんを
 ふらふらしていただけでした。作家になろうというつもりもとくになく、
 習作を害き散らすこともなく、ある日ふと思いついて『風の歌を聴け』と
 いう最初の小説(みたいたもの)を書き上げ、文芸誌の新入賞をとりまし
 た。そしてよくわからないまま職業的作家になってしまいました。「こん
 なに簡単でいいのだろうか?」と自分でも思わず首をひねってしまったく
 らいです。いくらなんでも簡単すぎる。 

  こういうことを書くと、「文学をなんと心得る」と不快に思われる方も
 おられるかもしれませんが、僕はあくまでものごとの基本的なあり方につ
 いて語っているだけです。小説というのは誰かなんと言おうと、疑いの余
 地なく、とても間口の広い表現形態なのです。そして考えようによっては、
 その間口の広さこそか、小説というものの持つ素朴で偉大なエネルギーの
 源泉の、重要な一部ともなっているのです。だから「直にでも書ける」と
 いうのは、僕の見地からすれば、小説にとって誹膀ではなく、むしろ褒め
 言葉になるわけです。

  つまり小説というジャンルは、誰でも気か向けば筒単に参入できるプロ
 レス・リングのようなものです。ローブも隙間か広いし、便利な踏み台も
 用意されています。リングもずいぶん広々としています。参入を阻止しよ
 うと控えている警備員もいませんし、レフェリーもそれほどうるさいこと
 は言いません。現役レスラーの方も――つまりこの場合は小説家にあたる
 わけですか――そのへんのところは初めからある程度あきらめていて、「
 いいから、誰でもどんどん上かっていらりしゃい」という気風かあります。 
 風通しかいいというか、イージーというか、融通が利くというか、要する
 にかなりアバウトなのです、

  しかしリングに上かるのは簡単でも、そこに長く留まり続けるのは簡単
 ではありません。小説家はもちろんそのことをよく承知しています。小説
 をひとつふたつ書くのは、それほどむずかしくはない。しかし小説を長く
 書き続けること、小説を書いて生活していくこと、小説家として生き残っ
 ていくこと、これは至難の業です。普通の人間にはまずできないことだ、
 と言ってしまっていいかもしれません。そこには、なんと言えばいいのだ
 ろう、「何か特別なもの」か必要になってくるからです。それなりの才能
 はもちろん必要ですし、そこそこの気概も必要です。また、人生のほかの
 いろんな事象と同じように、運や巡り合わせも大事な要素になります。

  しかしそれにも増して、そこにはある種の「資格」のようなものか求め
 られます。これは備わっている人には備おっているし、備わっていない人
 には像わっていません。もともとそういうものか備わりている人もいれば、
 後天的に苦労して身につける人もいます。
  この「資格」についてはまだ多くのことは知られていないし、正面切っ
 て語られることも少ないようです。それはおおむね、視覚化も言語化もで
 きない種類のものだからです。しかし何はともあれ、小説家であり続ける
 ことがいかに厳しい営みであるか、小説家はそれを身にしみて承知してい
 ます。


ある種の「資格」とは? これはこの後に触れることとして、『風の歌を聴け』
は、"さわやかな青春"として記憶にとどめている。この「さわやか」の形容詞
に埋め込めたメタファは改めてここで書くほどのものでもない。ただ、この歳
になって、この本との出会ったことは、幸運だったと改めて思い直している。


                            この項つづく

 

   ● 今夜の一冊・一巻

「ガリレオ」シリーズとはまた一味違った、圧巻の社会派ミステリーとなって
います。ぜひ映画と合わせてご覧ください――とは、紀伊国屋書店の「注目の
本・書評でよむ」の受け売り。ならば、近くの映画館で鑑賞しましょう。




 


 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マイナンバー導入怪奇劇

2015年09月11日 | 時事書評

 

 


 

 

    私が小説を書く理由はひとつだけです。
             個人的存在の尊厳をおもてに引き上げ、
             光をあてる事です

                     村上 春樹

 

  

 

● 散乱光でアルツハイマー病を解明

愛媛大学の座古保教授らの研究グループは、ナノサイズの金粒子を利用しアル
ツハイマー病の原因物質を高感度で検出手法を開発。同病の原因と考えられて
いる「アミロイドベータたんぱく質(Aβ)の塊」に、直径40ナノメートル
の金粒子を結合し光照射し観察。1リットル当たり7ピコモルの低濃度でAβ
の塊を検出したと発表。
 

従来技術は、抗原抗体反応を利用したエライザ(ELISA)法が今回の測定
法と同程度の検出感度を持つものの、Aβの濃度が分かるだけで、Aβの単体
分子か塊かを見分けられなかった。そこで、光照射の散乱光から微細な構造を
鮮明に観察できる「暗視野顕微鏡」で、金ナノ粒子を使い観察できるようにな
った。この方法は、
Aβだけ結合する抗体を表面に修飾した金ナノ粒子を作製
することで、ヒト由来のAβの塊に金ナノ粒子を添加させると、Aβの塊の大
きさに応じた強度の散乱光が検出できる(上図クリック)。

   カーテンレンズで暗視野顕微鏡の説明


● マイナンバー導入怪奇劇 

財務省案は、マイナンバーの個人番号カードを、還付金を受け取るために必須
とし、軽減税率対象品目を購入する際、マイナンバーカードの個人認証を必要
とし、すべての食料品購入をクレジットカード決済と同じ仕組にする。

(1)17年4月から10%へ消費再増税を行う。
(2)その際、「酒類を除く飲食料品」の消費増税分に相当する給付金を事後
  的に払う。
(3)購入の際にマイナンバーカードを提示されたものだけを還付対象(年間
  で4千円)とし上限を設ける。

還付方法には、(1)簡素な給付金、(2)領収書(インボイス)(3)ナン
バーカード管
理の3通りのうち、世界標準は(2)のインボイス方式、(3)
は管理コスト
が一番高いとされている上、「軽減ポイント蓄積センタ(仮称)」
という天下
り機関で管理されようとしている。わたし(たち)の主張は、(1)
低所得者
への戻し税方式であり、(2)マイカードの納税者番号制化―課税完
全把握、(3)カード情報保護の法整備(折々に、ブログ掲載してきているの
で参考)。補足しておくとカード取扱管理業務は民営委託。また、金融関係等
の取引相手方は登録制(→悪用防止・ブラック企業の排除)。こう考えていく
と「消費税引き上げ隠し」(財務官僚=霞ヶ関)と「マイナンバー潰し」(富
裕層有権者=永田町)の双方が複雑に錯綜しているようにも見えるし、中途半
端な制度のように見えるため、摩訶不思議、政治不信。

 



● 折々の読書 『職業としての小説家』1

「これは村上さんが、どうやって小説を書いてきたかを語った本であり、それ
はほとんど、どうやって生きてきたかを語っているに等しい。だから、小説を
書こうとしている人に具体的なヒントと励ましを与えてくれることは言うに及
ばず、生き方を模索している人に(つまり、ほとんどすべての人に)総合的な
ヒントと励ましを与えてくれるだろう――何よりもまず、べつにこのとおりに
やらなくていいんだよ、君は君のやりたいようにやるのが一番いいんだよ、と
暗に示してくれることによって。」と翻訳家で東京大学教授(昨年退任)の柴
田元幸が本書の帯でこのように述べている――紀伊国屋書店から村上春樹の新
著『
職業としての小説家』が届いた。早速、読み始める。


  小説について語ります、というと最初から話の間口か広くなりすぎてし
 まいそう
なで、まずとりあえず小説家というものについて語ります。その
 方か具体的だし、
目にも見えるし、比較的話か進めやすいのではないかと
 思います。

  僕か見るところをごく率直に言わせていただぎますと、小説家の多くは
 ――もちろんすべてで
はありませんが――円満な人格と公正な視野を持ち
 合わせているとは言いかたい人々です。また
見たところ、あまり大きな声
 では言えませんが、賞賛の対象にはなりにくい特殊な性向や、奇妙
な生活
 習慣や行動様式を有している人々も、少なからずおられるようです。そし
 て僕も含めてた
いていの作家は(だいたい92パーセントくらいじゃない
 かと僕は踏んでいるのですか)、それ
を実際に口に出すか出さないかは別
 にして、「自分がやっていること、書いているものかいちば
ん正しい。特
 別な例外は別にして、他の作家は多かれ少なかれみんな間違っている」と
 考え、そのような考えに従って日々の生活を送っています。こりした人々

 を友人や隣人として持ちたいと望む人は、ごく控えめに表現して、それほ
 ど数多くないのではないでしょうか。

  作家同士が篤い友情を結ぶという話をときどき耳にしますが、僕はそう
 いう話を聞くと、だいたい眉に唾をつけます。そういうこともあるいはあ
 るのかもしれないけれど、本当に親密な関係はそんなに良くは続かないん
 じゃないかと。作家というのは基本的にエゴイスティクな人種だし、やは
 りプライドやライバル意識の強い人か多い。作家同士を隣り合わせると、
 うまくいく場合より、うまくいかない場合の方かずっと多いです。僕自身、
 何度かそういう経験をしています。



  有名な例ですが、1922年にパリのあるディナー・パーティーで、マ
 ルセル・プルーストとジェームズ・ジョイスか同席したことかあります。
 でも二人はすぐ近くにいたにもかかわらず、最後までほとんどひとことも
 口をきかなかった。まわりの人々は、20世紀を代表する二人の大作家か
 どんな話をするんだろうと、固唾を呑んで見守っていたのですか、きれい
 に空振りに終わってしまいました。お互い自負心のようなものが強かった
 のでしょうね。よくある話です。
  しかしこれにもかかわらず、職業領域における排他性ということに関し
 ていえば――簡単に言えば「縄張り」意識についていえばということです
 が――小説家くらい広い心を持ち、寛容さを発揮する人種はほかにちょっ
 といないのではないかという気かします。そしてそれは小説家か共通して
 持っている、どちらかといえば数少ない美点のひとつではあるまいかと、
 僕は常々考えています。

   もう少しわかりやすく具体的に説明しましょう、
  仮にある小説家か歌がうまくて、歌手としてデビュ-したとします。あ
 るいは絵心かあって画家として作品を発表し始めたとします。その作家は
 まず間違いなく、行く先々で少なからぬ抵抗を受け、また揶揄嘲笑の類を
 浴ぴせられることになるでしょう。「調于にのって場違いなことをして」
 とか「素人芸で、それだけの技術も才能もないのに」みたいなことをきっ
 と世間で言われるでしょうし、専門の歌手や画家からは冷たくあしらわれ
 ることになりそうです。ひょっとしたら意地悪くらいされるかもしれませ
 ん。少なくとも先々で「やあやあ、よく来たれ」みたいな暖かい歓迎を受
 けることはほとんどないはずです。もしあったとしてもそれはきわめて限
 定され
た場所における、きわめて限定されたかたちのものになることでし
 ょう。

  僕は自分の小説を書く傍ら、これまで三十年ばかり積極的に英米文学の

 翻訳をしてきましたか、最初の頃は(あるいは今でもまだそうなのかもし
 れませんが)けっこう風当たりがきつかったみたいです。「翻訳というの
 は素人か手を出すような簡単なものじゃない」とか「作家の翻訳なんては
 た迷惑な道楽だ」みたいなことをあちこちで言われたみたいです。


小説家が賞賛の対象にはなりにくい特殊な性向や、奇妙な生活習慣や行動様式

をもつ人々が92%もいるというこの数字に取り憑かれ、村上春樹の『色彩を
持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』の五角数を、あるいはジョンソンの立
体やウランの原子番号や伏見天皇などついつい連想するほど唐突であり、以降
の表現の深さに寄り道ほどに時間を費やしてしまう。さて、残りはまたの日の
楽しみに。


                            この項つづく     

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

限りなくブルーな木曜日

2015年09月10日 | 日々草々




 

 

    
            「きたねーよ、ばばあ。」
 / 神奈川県川崎市の老人ホーム職員

 

 

 

  【現代人への道】

  現生人類(ホモ・サピエンス)と同じ属(ホモ)が出現したのは、250万
 年前のアフリカで、華奢なタイプのアウストラロピテクスから
分岐したと考え
 られている。初期のホモは何種かいたようで、今のと
ころ、ルドルフェンシス
 ハビリス、エルガステルの3種
が知られて
いる。小型で脳容量もやや小さめ(
 680cc)で四肢も原始的なのはハ
ビリス、やや大型で脳容量も少し大きい(
 800cc)のはルドルフェン
シス、長身で脳容量が大きく(850cc)全身骨
 格が最も現生人類的な
のはエルガステルである。

  

  これらの3種と頑丈型のアウストラロピテクスの1種ポイセイは、
190万
 ~180万年前の東アフリカで共存していたらしい。このことか
ら人類の進化
 は複線的であったことがわかる。現生人類に連なる系統
はエルガステルで、こ
 こから分かれて200万~150万年前に、アジアに
わたったものはエレクト
 ス(ジャワ原人、北京原人など)となった。



  アフリカに残ったエルガステルはハイデルベルゲンシス(またはそ
れに近縁
 の種)に進化し、これがヨーロッパに渡ってネアンデルター
ル人になり、アフ
 リカに残ったものは現生人類(サビエンス)に進化
した。
  知られる限り最古のサピエンスの化石は南アフリカから出土した26万年前
 のものであり、最古のネアンデルタール人の化石はスペイン出
土の80万年前
 のものだ。ミトコンドリアDNAの解析から、現生人類
とネアンデルタール人
 の分岐年代は60万年前と推定されており、すべ
ての現代人の共通祖先は14
 万年前と推定されている。



  すなわち、すべての現代人は14万年前のアフリカに起源し、エレクトスや
 ネアンデルタール人は現代人に連なることなく絶滅したと思わ
れる。サピエン
 スがアフリカを出たのは10万年前ごろだと推定されて
いる。
  現代人を特微づけるのはネオテニー(幼形成熟)と脳の巨大化と前頭葉の発
 達であるが、これらは自然選択ではなく、発生システムの変
により生じたの
 ではないかと思われる

 
                   池田清彦 著『新しい生物学の教科書』



 

【超高齢社会論 15: 下流老人とはなにか】  
 

   【目次】  

  はじめに
  第1章 下流老人とは何か
  第2章 下流老人の現実
  第3章 誰もがなり得る下流老人―「普通」から「下流」への典型パターン
  第4章 「努力論」「自己責任論」があなたを殺す日
  第5章  制度疲労と無策が生む下流老人―個人に依存する政府
  第6章 自分でできる自己防衛策―どうすれば安らかな老後を迎えられるのか
  第7章 一億総老後崩壊を防ぐために
  おわりに    

  第6章 自分でできる自己防衛策―どうすれば安らかな
                    老後を迎えられるのか

   【心の問題(予防纏)】……地域社会へ積極的に参加する

  また、「プライベート・コミュニティ」を充実させておくことも、下流化を
 防ぐ手段となる。

  プライベート・コミュニティとは、個人レベルでつくる相互扶助のための
 コミュニティだ。
高齢期に孤立する前に、なるべく多くの人と助け合いの関係
 性を築いておければ、生
活困窮に陥ってもさほど苦しくはならない

  生活を支え、豊かにするものは、お金などの物質的なものだけとは限らない。
  たとえ
ば、家族や親族とこまめに連絡をとっておくだけでも、コミュニティ
 は充実する。いざとい
ときには助けてもらったり、経済的な援助はなくても精
 神的
な支えになってもらったり、入院や制度利用時の連絡先になってもらった
 りと必要なことを頼める関係性は保持してお
きたい。、

  さらに、地域の人々との交流も重要だ,地域のつながりの希薄さや自治会の
 
脆弱さが指摘されて久しいが、隣近所との関係が生活に与える影響は、高齢期
 になる
ど大きくなる
  気軽に相談できる友人や仲間、お茶飲み友達が周囲にどれだけいるだろうか。
  近所で関係性をつくるのが難しければ、地域の自治会などが催すサロンや老
 人クラプなどに参加するのも手だろう。
  参加するのは恥ずかしい、面倒くさいと思われる方もいるかもしれない。た
 しかに人付き合いにはある種の煩わしさが伴うが、それはお互いが相手の生活
 や行動に干渉しあっている証拠であり、この干渉こそがいざというときの発見
 や援助のきっかけともなるのだ。

   同じ貧困に苦しんでいても、幸せに過ごしている人もいれば、悲惨な生活送る人も
  いる。この違いは、どこから生まれるのか。
  わたしが相談支援の現場で常に実感するのは、「人間係の貧富の差」が幸福度を決
 定するということだ。生活が貧しくとも、友人同士で料理を持ち寄ったセンターでおしゃ
 べりを交わしたり、老人クラブで踊ったりと、楽しく暮らす場面によ く出会う。そのような
 高齢者は、比較的支援もスムーズに進み、貧困に陥らない、もしくは貧困に陥っても生
 命が脅かされる危険性は低い。

  また、可能な限り働くことも、人間関係の貧困を防ぐ。間違っても、高齢明
  に身体に
支障をきたすまで無理に働くべきということではない。職場の仲間と
  の出会いや交流を
主眼に置きながら、楽しみながら働くということである。
  生活基盤を支えるという理由以外に、咬かな人間関係の形成に目を向けるこ
  とで
包後に働くことの意味もだいぶ変わってくるとjえるだろう。


  【居場所の問題(予防編)】…地域のNPO活動にもコミットしておくこと

   また、セーフティネットになり得る人間関係の強化という面では、地域のN
  PO活動や市民活動への参加も効果的だ。

  多くの地域で、環境やスポーツ、政治や宗教、文化や芸術、福吐やボランテ
  ィア活
動など、多鮪多様な市民活動が行われている,このような地域活動にコ
  ミットしてで
きれば地域社会の一員として、一緒に暮らしていく意識を持って
  もらいたじつは、わ
たしのもとには生活困窮に陥ってから”突然"相談に来られ
  る方が多い,全国津々浦々からさまざまな理由で生活相談に来られるが、それ
  らの方が暮らしていた地域にも
 NPO活動や市民活動は存在している。このような活動にあらかじめコミット
  しておき、そこでさまざまな相談ができるような人間関係を構築しておいてほ
  しいのだ


  下流化してから相談に行くよりも、下流化する前から身近な市民民活動やN
  PO活動
に参加しておけば、その仲間や関係性のなかで、援助を受けることが
  可能な場合もあ
る。そうすれば、あてのないNPOや市民団体のもとへ生活支
  援の相談にけくといった
ハードルの高い行動をとる必要もなくなるだろう。
  参加できるうちはボランティアや市民活動を、できなくなったら相互に助け
  合いを、と
いう関係を築ければ安心である。

                        藤田 孝典 著『下流老人』


ここでは、著者が指摘する、「なるべく多くの人と助け合いの関係性を築いておければ、生
活困窮に陥ってもさほど苦しくはならない」あるいは「参加できるうちはボランティア
や市民活動を、できなくなったら相互に助け合い」は少しは参考になるだおう。
            
                                               この項つづく  

  

【DIY日誌: 雨漏りと浴槽水位】 

 

● 台風18号に敢えなく雨漏り

台風18号は我が庵にもチョットした騒ぎを残していった。雨漏り工事をDIYを
すませ問題がなかった思っていたやはり、強風に呷られ朝方敢えなく雨水がぽたぽ
たと天井から落ちてきた。幸いにそのうち台風の影響もなくなり大事にならずに済
んだもののこんどの土日は再点検修理をスケジュールに割かざるをえない。

● ”浴槽があふれそうだ”騒動  

彼女が浴槽の水位が異状だと”ブルーマンデー”にそういって騒ぎはじめた。自動
で設定し
た通常のレベルを超えているというのだが、火曜日の夜に取説などをダウ
ロードし資料を
調べていたが、オーバーワークで作業を中断。その間も業者との電
話連絡や確認操作を繰り返していたみたいだが、「水位センサ」異状なんだと言い
だしたので、(1)電子回路ソフト、(2)センサと注湯電磁弁のハードの不具合
だろうと応えていた。台風18号の動きから大丈夫なうちにということで業者を呼
び、点検修理してもらったが、リセットを3回繰り返し、通常状態に復元できたの
で、その方にセンサの方式はどのようなものですかと尋ねてみたが、要領の得ない
返事が戻ってきたので、いつものように見切り話がおわる。



支払いを済ませた彼女がしばらくしてやってきて「あなたが言っていた通り、注湯
電磁弁から漏水していたことも考えられると言ってましたよ」と経過報告。「
特許
技術を調べていたら、電磁弁の開閉に水撃現象(ウォーターハンマー)
が掛かり、
過剰に
注水され増量されるので、それを修正するプログラムが追加する特許が出願
されているから、対処前の製造品か、あるいは、何らかの理由で一時的に細かいゴ
ミなどが弁に付着していたんではないだろう」と返事しこの件は、部品交換など大
きな出費をせず済んだ。

そこで、ワンポイント・レッスン:これからは、面倒くさがらず、ゴー・ツゥ・フ
ロント!と総括する。


● 限りなくブルーな木曜日

今日も朝から大雨特別警報の連発だ。
「百年に一度の大雨」という指標は「毎年一度の大雨」と捉え返し国土交通省は、
土木設計の抜本的緊急見直しが必要だ。東京オリンピックやリニアモーターカーな
ど"レス・ザン・セカンド・プライオリティ"もの。少し想像力をはたらかせば、地
方の荒廃必至。大都市をめざし国内難民が流れ込むだろう。ことはこれだけでない。
何もかもが崩れ落ちていきそうな不安を感じるのはわたしだけだろうか。


 ● 今夜の一曲

「夢のカリフォルニア」に続いて1966年にリリースされた曲。同年5月に3週連続で
全米シングルチャート No.1を記録。リーダーのジョン・フィリップス以外の3人
はこの曲が気に入らずにいたので、ジョンが説得しレコーディングにこぎ着けたと
いうエピソードがある。このように月曜日は「Rainy Days and Mondays 雨の日と月
曜日は」というカーペンターズの曲があるほど、月曜は洋の東西を問わずブルーな
マンデー。そんな気鬱さ忘れさせる、美しいメロディラインの名曲。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ビバ!たこ焼立国

2015年09月09日 | 新弥生時代

 

 

 

    
                  私が送金しなければ、3人は今も生きていたはずです。
           私の責任です。ごめんなさい。
                                     ティア・キディ

 

 


                                
 


                                     

 

 

● ビバ!たこ焼立国

このブログでもたこ焼きこと"ボールフード"は折々掲載してきたほど「たこ焼き」好き。
ところが、上写真セブンイレブンの冷凍「たこ焼」(178円-税込みで192円)を
彼女が小腹代用ランチメニューに
大量に買い付け冷蔵庫にストックしている。調理は至
って簡単。(1)開封(2)ソー
ズとふりかけ鰹ぶしのポッケ袋を取り出し(3)その
まま電子レンジ(5百ワット)で
3分加熱すれば完成する。味はとろっとクリーミーな
のが特徴。1袋でお茶請けで小腹は満たされるわけだから、すご~ぃいのだ。

そのスタイルは緑茶を飲みつつ――高温緩和対策なので温め――お気に入りの取手部が
木製の洋銀フォークでいただく。なので、最近はふりかけをアレンジするようにもなっ
てきた。ポッケ袋のソース、ふりかけ鰹節にさらにマヨネーズ(キューピー社製)を加
えたりするように変化してきている。この先どう変化させていくかを考えてた。

 

まず、トッピングと調味料。これはソースで決まる。醤油、ウスターソース、トンカツ
ソース、味噌、マヨネース、トマトケチャップをベースに、卵黄マスタードソース、オ
ーガニックオリーブペースト、バジルソース、ドライカレーペースト、ビーフレバーペ
ースト、白トリュフペーストなど。逆に、ソースボリュームとたこ焼ボリュームを大幅
に逆転増量すれば、ブイヤベース、和風あんかけ、シチュー、スープなどにアレン可能
だ。そう、たこ焼はボールフードなのだ。この言葉はわたしが造語したのだが、ボール
のなかの主役の「たこ」を変えて行けばいいわけで、ミートボールやコロッケ、天ぷら
などに"七変化"していく。中身はチョコレートペーストでも、アンチョビでも、魚介類
のむき身、鳥獣肉などその土地その土地に遭わせてアレンジできる(『透明スピーカー
とたこ焼き』2010.09.08、『今夜の3つのテーマ』2014.09.29、『量子ドットアレイ工
学』2014.10.04)。

 「黒船屋」(『日太縦貫高速道路』)のつづき。タコ焼きを世界市場の食品のど真
 ん中にすえるためのビジネスモデルを考えてみたが(1)具、ソース、味色合いに
 関わる表出概念を最上位におき、(2)店頭販売の条件を第2課題とし(3)調理、
 調達や製造方法を下部において考えてみた。形状が球状で柔らかく熱々であればい
 いわけで残りは見た目、つまりカラフルという点を重視した。

  焼き方のハード面での自動化はいくらでも設計できる。例えば振動を与えて焼く
 方法もモータ回転を扁平カムやバネ振動(超音波発振など)の組み合わせでなんと
 でもなり、よりシンプルで廉価であれば良い。カラフル仕上げるには、安全な天然
 食用色素と加熱退色風味減衰との調査研究が必要となる。

  「二段焼き」が鍵語。回転振動を与えて球状に仕上がったタコ焼きに高速回転さ
 せ
がら少量の前述した液状色素風味食材を少量注入しまんべんなく薄くコートし
  なが
ら(含浸層除き純粋な表層は1ミリ以下)風味・色彩を壊さないように加熱乾
  燥させ
タコボール“ネオコン”を仕上げるというもの。具は海鮮類、ラクト製品、
 野菜など
 例えばメニュー・イタリアンは緑・白・赤のバジル、チーズ、トマト風
 味に仕
上げるというもの。装置と粉もの(ソースも部分的に含む)とビジネス・ノ
 ウハ
ウは日本から独占供給し、価格やバイオレーションは各国オーナの自由設定と
 す
るビジネス・モデル。年間の世界市場規模で3兆円となるというから一寸したも
 の。

                           『たこやきとネオコン』
                 (「透明スピーカーととたこ焼き」2010.09.08 )


ポリートミスト

 
年間3兆円規模の売上げとは、自分で書いて自分をわらってしまうが、それから5年た

ってもそのような動きは見られないのはわたくしの不徳のいたすところであります ^^;。

因みに、この間変わったのは「3・11東日本大震災と福島原発事故」であり、電子レ
ジと冷凍食品の普及だ。これで屋台の世界は大きく変化する。ソーラー塗装した屋台
専用電気自動車の中で、電子レンジで解凍し加工した"ボールフード"が3分でできるわ
けで、作り置きすれば、おでんや、ラーメン、焼きそば、イカ焼き、ホットドッグも即
座に提供することも可能で、もう、ガス爆発や化石燃料への引火の心配も、排気ガスや
騒音とも無縁のニッサン、ホンダ、ヒノ社製の屋台電気自動車が世界に展開しているわ
けだから、これを加算すると年間4兆円の市場規模の事業が誕生する。 

  

ふりかけは日本にはたくさんある。例えば、ごま、広島菜、京菜、大根葉、にんじん、
かぼちゃ、
マッシュポテト、青のり、黒のり、トマト、ほうれん草、とうもろこし、鰹
削り節、グリンピース、じゃ
がいも、昆布、赤しそ、煎り米、黒のり、乾燥鶏卵、たら
こ、大豆、わかめ、黒豚、甘辛醤油煮、
肉そぼろ、牛肉しぐれ煮、煮穴子、とりたまご
そぼろ、ちりめん山椒、さけ、豚みそそぼろ、ほ
ぐし貝柱山椒、たらこ、しょうが、高
菜、ツナ、明太子、ひじき、玉ねぎ、ベーコン、唐辛子、玉ねぎ、また、香辛・調味料
・ペーストもあふれている。例えば、トマトケチャップ、マッシュルーム、チキンコン
ソメ、カレースパイス、レーズン、しょうゆ、食塩、豚脂、こめ油、チーズ、アミノ酸
ドライカレーペースト、砂糖、コーンスターチ、ガランガル、大豆油、唐辛子パウダ、
乾燥エビパウダ、レモングラス、ターメリックパウダ、コリアンダーシードパウダ、ビ
ーフレバーペースト、イタリアンテバジルソース、白トリュフペースト、オリーブペー
スト、ジェノベーゼペースト、トマトペーストなどだ。あとは「食感」をカテゴリに創
作すれば好い。
 

 

たこなどの頭足類は、3億年以上前、古代の海の捕食動物として出現。頭足類は、地球
上で最初の知的な生物だった。その寿命は短く、多くの種は1年程度。産卵の時期によ
ったり、ストレスのない状態ではは1年半から2年生きる。また 陸に打ち揚げられても
30分程度は生きることができる。箱釣り、壺釣りを基本とするが、わたし(たち)は
山間部のストレスの少ないところで完全養殖でき、その周辺にタコの加工工場を隣接さ
せ、例の「スマートキャンティ構想」に組み込めばエネルギーフリー(オール再生可能
エネルギー利用)で生産できると考えている。

ところで、今年に入り、「築地銀だこ、明石だこ、そして実現に近づいたタコの完全養
殖」(2015.01.26,アルケミストは考えた
)で「銀だこ」を運営するホットランド社長
佐瀬守男氏が話題となっているので、そのニュースを追ってみた。それらを参考にする
と、タコの乱獲でピンチだという。そこで、
世界中の漁場で、漁法・加工法・養殖技術
を広め、安価な漁業コストと安定した漁獲高
を実現し、タコを世界中で食べられる食材
として普及させたいという同社々社長は、価格高騰の原因は大型のト
ロール船による海
底環境の破壊が影響し、主に西アフリカで行われ始めたトロール
船による網漁は、海底
のタコの棲息環境を破壊、結果として漁獲高が徐々に減少し、需給
バランスが崩れたと
指摘。
西アフリカでタコ漁が始まった70年代からで、それまでは、壺漁法での水揚げ
で漁獲高も価格も長く安定していた。
 

このツボ漁を大切にし、養殖技術と組み合わせることによで、タコを漁場から安定的に
安価に調達したいと考えているという。これにより、雇用や食糧問題解決に繋げるが、
たこ焼のことばかり考えているわけでなく、例えば、タコを煮る煮汁を捨てずにタウリ
ンを回収し付加価値に転化させ またタコは高タンパクで低カロリー。ビタミンEも豊
富で、食材としの価値は高い――つまりタコの完全養殖を山間部で行うことで、医療薬
剤まで集約生産可能というのだ――が、世界中でタコを食べているのは日本、スペイン
イタ
リアの三カ国だけだが、他の国(40カ国)でたこ焼の大試食会をやったこと40
か国中39カ国の方に10点満点中10点の評価が得られている。調理法を伝えられれ
ば、タコは全世界で食べられる可能性を秘めた食材だと力説する。これは面白い。

特開2013-174564

※ 関連新規考案 

特開2013-174564  頭足類の健康状態測定方法 国立大学法人旭川医科大学 他
特開2006-198363  土産用タコ壷。 笹原 忠臣
特開平10-262488  タコ養殖用システム クラウディオ エベレシュ 他
特開平08-080139  マダコ魚礁 海洋建設株式会社
特開2015-130826  養殖篭 金八神漁網株式会社
特開2014-054195  陸上養殖システム 株式会社ノア
特表2012-501673  タコの孵化手順および孵卵器 ウニベルシダット ナシオナル アウト
         ノマ デ メヒコ

 

● なぜ難民はドイツをめざすのか 

内戦が続くシリアやアフガニスタンなどから難民や移民がヨーロッパに殺到している問
題で、6日までに、1万2千人を超える難民らがドイツに到着した。定員を超える受け
入れ施設も出ており、EU(=ヨーロッパ連合)全体での対応が急務となっている。難
民らの多くがドイツを目指す背景には、豊かな経済に加え、充実した保護制度がある。
難民申請をした人には、住まいや食事が無料で提供されるほか、生活費も支給される。
この制度は、過去にユダヤ人の迫害によって多くの難民を出した苦い記憶などをもとに
作られた。5か月前に難民申請したというシリア出身の男性も、こうした制度を知って
ドイツを目指したという。この男性は「月336ユーロ(約4万5千円)支給されてい
る。渡航前から、テレビなどでドイツは良いと知っていた」と話す(NNN 2015.09.07)




● 第二次世界大戦戦勝国はなぜ難民を受け入れないのか 

20日の「世界難民の日」を前に、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は18日
世界の難民や国内避難民が1年で830万人増え、2014年末に過去最多の5950
万人になったと発表。
特に深刻なのが、400万人近くに急増したシリア難民。国連は
各国に受け入れを要請しており、ドイツのように約2万人を受け入れているが、
日本が
これまでに難民として認定したシリア人は3人のみ。UNHCR駐日事務所のマイケル
・リンデンバウアー代表は「日本を含む各国に受け入れを求めており、連帯をお願いし
たい。シリア難民はかつてない規模で増え、周辺国だけではまかないきれない」と、日
本に協力を訴えているという(朝日新聞デジタル 2015.06.19)。

第二次大戦にユダヤ人を虐殺したドイツは、19世紀以降の植民地は、欧米列強国の中
で、ニューギニア、ナミビア、タンダニア、ルワンダ、ブルジン、カメルーン、トーゴ、
ガーナ東部、ケニア(一部)、青島などと英国、フランス、スペイン、ポルトガル、オ
ランダなどと比べ格段にその支配地域は小さく、戦後のドイツ連邦軍の派兵史(下表ク
リック)やドイツ帝国植民地史をみても中近東・北アフリカ地域での軍事力行使は武器
輸出史を除き、先進国においても甚だ小さいく、同じ欧州の英国・フランス両国の武力
行使力(=ニトログリセリン換算トン数+戦費+被害総額+殺傷者数)は比べものにな
らないだろう。なのに、米国・英国・フランス・ロシア・中国は難民対策に積極的でな
いのは、こころない仕儀と映る。ひるがえって、日本政府も積極的に国連を動かし難民
対策に乗り出す気配がないのも情けないことだ

 

※ 「域外派兵で何がおきたのか ~ドイツ連邦軍・アフガニスタンでの13年~」 2015.
   09.20 NHK BS放送
※ ドイツ連邦軍 Wikipadia
※ 難民が2百万人と推定されているが、米・英・仏・露・中・日・西・加・蘭・韓・豪・
  伊・印などの13カ国+7国の20カ国で1万人の難民を引き受けても20万人と
  10分の1にすぎないが、国連議長が中心となり、難民受け入れ指針を早急にとりま
   とめ行動すべきだと考える。特に、国連議長は緊急アッピール行うべきである(さも
  なければ、高級国際官僚の堕落との誹りは免れない)。 


 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

武士は喰わねど高楊枝

2015年09月08日 | ネオコンバーテック

 

 

     
      わたしはサタンがすでに稲妻のように天から落ちたるのを見ていた。

                         ルカ伝 第10章18節


   ※ I saw Satan fall like lightning from heaven.  / Luke 10:18  
                    

 

 

【高画質大型有機ELデイスプレイ工学論】

パナソニックは10月に欧州で、フルハイビジョン(FHD)の4倍の解像度を持つ「
曲面形状」の4K有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)テレビを発売する。パネル
は韓国LG電子製で65型。素子自体が発光する自発光型の特徴を生かした自然色に近
い画像とバックライト不要の薄い筐体で、最高位モデルとして訴求する。

価格は9000ユーロ程度(約125万円)になるもよう。欧州のみの展開。販売目標
は明らかにしていないが、品田正弘テレビ事業部長は「独自画像処理技術で、プラズマ
テレビの画質を凌駕した。プラズマ撤退の影響が色濃い欧州を高画質な有機ELテレビ
でもり立てる」と力を込める。

 

近年、1920画素x1080画素の解像度のフルハイビジョン映像を超えるる高解像
度・高フレームレートの映像を再生可能なシステムが普及しはじめている。例えば、
ルハイビジョン
映像と比べて縦横それぞれ2倍の解像度を有する4K2Kの映像再生テ
レビが販売されている。また、フルハイビジョン映像と比べて縦横それぞれ4倍の解像
度をもつスーパーハイビジョン映像の撮影再生技術開発も進み、さらにフルハイビジョ
映像を120fpsや240fpsの撮影カメラや表示テレビが販売されている。

このような高解像度・高フレームレート映像処理する撮像システムでは、撮像素子や撮
像モジュールから読み出されるデータの情報量や、それらから転送されるデータの情報
量が膨大となる。その結果、転送帯域の拡大が必要となり、伝送周波数の高周波化やデ
ータ転送の並列化が行われ、特に小型化が要求される撮像素子や撮像モジュールにとっ
て、ノイズ増加の画質低下や、回路サイズ増加のコスト増大という問題が生じ、データ
転送量の削減が必要となる。

一方、3次元実装やThrough-Silicon ViaTSV)などの半導体実装分野の新しい技術発展
に伴い、チップ上でより高度な画像処理する撮像素子の開発が進み
、圧縮符号化のデー
タ削減を、撮像素子上の実装技術が必要となる。

画像信号の符号化信号を出力する装置と、符号化信号を復号化する装置を備えた符号化
システムで、符号化装置が、画像信号取得部と、取得された画像信号のうち、複数録画
素の画像信号を非圧縮で符号化し、複数の赤画素信号と青画素信号を圧縮し符号化し、
それぞれを出力するR/B符号化部と、符号化信号の出力部を備え、復号化装置は、符
号化信号受信部と、復号化信号を生成するR/B復号部と、画像信号とR/B復号部で
生成された各復号化信号の誤差推定部と、推定誤差情報と色相関を利用し、画像復元す
る画像復元部と、復元された画像の出力する復号化信号出力部とで構成した符号化シス
テムで、人間の視覚感度特性を利用し、緑(Green)画素のみを圧縮、または低圧縮率で
符号化し、赤(Red)/青(Blue)画素は高効率に圧縮符号化し、さらに色情報の利用画
像復元処理を行うことで、簡単な処理で高効率の圧縮処理を実現する(チョッとこれは
持って回った表現だ)。

【参考:特開2015-018138 画像表示装置 】  

 

【要約】

上図の画像表示装置は、複数の画素16がマトリックス状に配置され、画素16に印加
する映像
信号を出力するソースドライバ回路14と、ソースドライバ回路14が出力す
る映像信号を伝達す
るソース信号線18と、ゲートドライバ回路12aと、カソード電
圧とアノード電圧のうち少なくとも一
方を発生する電圧発生回路とを具備し、ソースド
ライバ回路14は、ゲートドライバ回路12aの
動作クロックを基準として、映像信号
の出力タイミングを制御する遅延回路204を有し、遅延回
路204は、電圧発生回路
が出力する電流の大きさ、電圧発生回路が表示画面に印加する電圧
の大きさ及び電圧の
変化率のうち少なくとも1つに基づき、出力タイミングを変更することで、
水平走査
期間が短くとも十分に目的の映像信号を画素行に書き込むことでき、また、電源変動

影響を受けず高画質な映像表示を実現できる画像表示装置を提供する

● 画質至上思考余談

フルハイビジョンで大型テレビが普及したいま、小さな事務室兼書斎で食事を取ること
がほとんだが、食事にふさわしくないニュース映像を目にしてしまうと、チャンネルを
切り替えたりスイッチを切っても、その残像のインパクトが尾をひくことがしばしばあ
る。ならば、デジタルサイネージや公共空間船用のディスプレの市場特化には理がある。
しかし、画質アップできる理もある。例えば、仲井眞弘多前沖縄県知事の顔相が時系列
に変貌していくことに驚いたものだが、そういえば橋元徹大阪市長の顔相も変貌してい
る。つまり、政治家にとっては怖いツールとなる。^^;!

  

【超高齢社会論 15: 下流老人とはなにか】  

   【目次】

  はじめに
  第1章 下流老人とは何か
  第2章 下流老人の現実
  第3章 誰もがなり得る下流老人―「普通」から「下流」への典型パターン
  第4章 「努力論」「自己責任論」があなたを殺す日
  第5章  制度疲労と無策が生む下流老人―個人に依存する政府
  第6章 自分でできる自己防衛策―どうすれば安らかな老後を迎えられるのか
  第7章 一億総老後崩壊を防ぐために
  おわりに   

   第6章 自分でできる自己防衛策―どうすれば安らかな
                    老後を迎えられるのか

 【意識の問題(対策編)】……そもそも社会保障制度とは何

  生活保護に対する無理解をなくすには、制度に対する無知だけでなく意識の面か
 らも変革しなければならない。今もって多
いのは、生活保護が「おめぐみ」や「恩
 恵」であるという意識
だ。つまり余裕のある者がない者に対して、(なかば仕方な
 く)施してやっているという考え方である。

  だが、それは間違っている。これまで税を一度も納めたこと
がない人などいない。
 所得税であれ消費税であれ、社会に帰属
していれば、意識的にも無意識的にも何ら
 かのかたちで税金を支払っている。

 「社会保障を受けることは権利である」ということは、学説上も揺るがないことだ。
 もう古典になってしまったが、社会保障
理論を構築してきた小川政亮氏は著書『
 利としての社会保障』の中で、学説上も社会保障は恩恵ではないことをはっきりと

 主張している。

  だから、生活保護を利用することに負い目を感じる必要はないのだ。国民年金や
 厚生年金などの支給基準が低く、老後に十
分な収入が得られないことは、これまで
 にも指摘してきた。生
活保護の利用を必要以上にナーバスにとらえず、いざとなれ
 ば
気軽に収入の足りない部分を捕えるという意識でいてもらいたいと思う。介護保
 険制度やそのほかの社会保障制度についても
同様である。

  しかし、これほどまでに社会保障制度に対する理解が広がっていないことは、憂
 慮すべき事態だ。政府は早々に申請主義か
ら脱却し、社会保障に対する啓発活動
 行うべきだろう。これ
だけ下流老人がいるにもかかわらず、いまだにどこにどのよ
 う
に相談すればいいのか、制度を利用したらどうなるか、その告知が極めて少ない。
 自分たちの政策の有効性をPRするだけで
なく、社会保障制度に関する情報を広く
 報じてほしい。テレピ
CMや新聞広告、インターネット広告などを使って、国民を
 救済するための情報を積極的に流すべきだし、わたしたちは政府
にそのような対策
 をもっと求めてもよいはずだ。

 
 【医療の問題(対策編)】……今のうちから病気や介護に備
える

  社会福祉と同列に、医療制度についてももっとよく知る必要がある。下流老人は
 経済的困窮から医療受診をせず、病気が重
くなってから搬送されるケースが多いこ
 とは説明してきた。限
られたお金しかなければ、医療費よりも生活費を優先すると
 い
う事情もある。
  しかし、医療費の支払いが困難な人々がいることを、あらかじめ法律は想定して
 いる。社会福祉法は、医療にアクセスでき
ない人々が生まれないように制度を構築
 してきた。それがいわ
ゆる「無料低額診療事業」である。

 「無料低額診療施設」は、社会福祉法弟2条3項の九「生計困難者のために、無料
 又は低額な料金で診療を行う事業」に位置
づけられた施設で、お金がなかったり、
 健康保険証がない方で
も無料または低額で受診できる。
  病院に行くとお金がかかると思っている方は、まずその認識を変えてほしい。各
 都道府県の無料低額診療施設を探し、その
病院の医療相談室のソーシャルワーカー
 に相談して、早い段階
で受診していただきたい,そのほうが自身のためでもあるし、 
 医療機関や国の負担も軽くなる。下流老人に限らず、外国籍の方やホームレスの方、
 生活困窮が‥など、さまざまな人々が利用
できるので、どんどん活用してもらいた
 い。


  また、以下は予防にも通じるが、心身が健康なときに「任意後見制度」を活用し、
 あらかじめ老後の世話を頼む人を選任しておくといいだろう。任意後見制度は、本
 人の希望で親族や弁護士、司法書士、社会福祉士などを選任しておき、公証役場で
 公正証書を作成して手続きを行う。選任された任意後見人は、本人の様子を見なが
 ら、後見が必要だと思った場合、権限を行使してその人の生活全般を保護して支援
 する,認知症と診断された場合に限らず、身体が弱ってきたと思ったら準備してお
 いてもいいだろう。

  これらの「防貧」や「救貧」の制度は、社会にいくつも用意されている,ぜひ今
 のうちから一つでも二つでもいいので、老後を見据えた制度活用の準備を進めてほ
  しいと思う。

  【意識の問題(対策纏)」……何よりもまず、プライドを捨てよ

  そして何よりも、個人のプライドを捨てて、目に見えない制約から自由になるこ
 とが必要だ。人様の世話にならないことが
美徳だと思っている方は、その意識を変
 えてほしい。

  社会福祉では、一般的に自茫を「経済的にひとり立ちしていること」とは考えな
 い,そんな一面的な狭い範囲で自をを語ら
ない。
  そもそも、すべての人々が何かに依存し、それゆえに生活を維持できている。そ
 の「依存する部分がどこか]によって議論
になったりならなかったりしているだけ
 で、その内容は人それ
ぞれだ。

  たとえば、料理ができない夫は妻に依存している。会社の社
長は社員に依存して
 いる。水道をひねれば自治体や水道局の
人々に依存している。政治家や行政職員は
 国民に依存してい
る,依存せずに自立することなどあり得ない,依存しなければ
 会生活などできるわけがない。

  だから、「自立していないことが恥ずかしい」と考えること自体が、ある意味で
 傲慢であり、その意識が問題を複雑化してしまう。あなたも、わたしも、誰も自立
 している
人などいないし、すべての人々が環境に依存して生きていることに、無自
 覚であ
るへきではないと思う。


 【お金の問題(予防編)】……いくら貯めるべきか

  ここからは、老後にぢ一流化しないための事前策を取り上げて
いく。
  まず考えられるのは預金だ。身も蓋もない話だが、いざというときに最も頼りに
 なるのは自分の資産だ。早い段階から家計
を管理して、可能な限り、少しでも貯蓄
 していくことは心がけ
ていきたい。

  内開府の「平成26年版高齢社会白肌白」によれば、「世帯の高齢期に備えて必要
 と思う貯蓄額]は、1000万~3000万
円が多い。「2000万円くらい」と
 する人が19・7%、「10
00万円くらい」が19・5%、「3000万円くら
 い」が19・1%である,

  老後にどれくらい資産が必要かは人それぞれだし、ここで言及することが適切で
 もないので、気になる方は他の専門家の著書に触れていただけたらと思う,ただ検
 討するうえでは、わたしたちの高齢期は片と違い相当に長いこと、そして病気や事
 故で突発的にまとまったお金が必要になる可能性も高いことを考慮したい。

  資産形成や資産運用に関しては、個人年金や民間保険のほか、株や債券、投資信
 託など、さまざまな商品が出回っている。活用する際には、多くの情報と比較しな
 がら、自分に合ったものを選択してほしい。民間の保険会社や銀行にいるフアイナ
 ンシャルプランナーなどに相談して、老後の収入と支出をあらかじめシミュレーシ
 ョンしておくのもいいだろう。



ここで書かれていることはよく理解できる。「個人のプライドを捨てて目に見えない制
約から自由になることが必要だ」とは思考モードの切り替えだと了解できる。まず自立
条件とは(1)健常者であること、(2)経済的に自立していることとすると、(2)
は、年金受給額分がその分水嶺(社会的閾値)と置けば、その額の問題――平均的な生
活が送れる否かが議論となる――がクリアーできれば「自立」条件を満たせ、プライド
は残る。なので「武士は喰わねど高楊枝」はもはやは死語と、いや死語にしなければな
らない。あわせて、社会保障と税制との関係が明確でないことが不満である。このこと
は、次回以降でコメントしたい。

                           藤田 孝典 著『下流老人』

                                                  この項つづく

 

  

● 気温で透明度が変化するビニールハウス用フィルム

太陽光線の直射による葉焼け現象を防止する農業用フィルムとして、散光性フィルムが
ある。代表的なものとして、カレンダー法やTダイ法で製造され、エンボスロールによ
り表面が梨地状に形成された農業用塩化ビニル樹脂フィルムや、相溶性の低い2種類以
上の異なるポリオレフィン系樹脂からなる組成物より形成される梨地状農業用ポリオレ
フィン系フィルムが挙げられる。

また、25℃では光散乱が少なく透明であり、50℃では高い光散乱性を示す調光性シ
ートとしてエチレン-酢酸ビニル共重合体と架橋アクリル粒子からなる組成物より形成
されるシートの特許が提案されているが、散光性フィルムが展張された農園芸用施設で
は、日射の弱い冬には、作物に届く太陽光の量が少ないという問題や、農業用フィルム
に適した調光性能を示さないという問題がある。

二つのポリオレフィン系樹脂層の間に中間層を有するポリオレフィン系農業用フィルム
であって、前記中間層は、酢酸ビニルに基づく単量体単位の含有量が15~30重量%
のエチレン-酢酸ビニル共重合体(但し、エチレン-酢酸ビニル共重合体の重量を10
0重量%とする)と、平均粒径が3~15μmであるメタクリル酸メチル-スチレン共
重合体粒子とを含有する層であるポリオレフィン系農業用フィルムに係るもの。

ポリオレフィン系農業用フィルムは、日射の強い夏には光散乱性が高く、日射の弱い冬
には光散乱性が低いポリオレフィン系農業用フィルムである。



※ 樹脂フィルムに含まれ輻射線遮断剤は以下の特徴組成をもつ(特許 5709423 

[(Li(1-X)2+X)(Al3+)2(OH6]2・(Siy(2y+1)2-(1+X)・mH2O 

式中、M2+は2価の金属カチオンであり、m、xおよびyは、0≦m<5、0≦x<1、
2≦y≦4という条件を満たす。


 

これらは、農業温室用樹脂フィルム専用で開発されているが、液晶を挟み込み室温同期
させることも、合採算性を前提として可能だ。また、ガラス温室専用に液晶フィルム挟
み込んでも可能でこれは、このブログでも提案しているが、後者は、異常気象対策とし
て強化ガラスも兼ねる。さても、環境リスク本位制時代にあって、地球温暖化の断末魔
が差し迫っている。ここは「変革が迫られる前に変革を」だ。

                                    

 ● 今夜の一品

出典:レーザーテック

ローム、炭化シリコンウエハ検査装置の最新機種を採用。



 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今日は朝から雨。

2015年09月07日 | 日々草々

 

 

     
      
         
Still falls the Rain―
                   Dark as the world of man, black as our loss ―
                 Blind as the nineteen hundred and forty nails
                    Upon the Cross.

            まだ雨は降っている
                  
人間の世界のように暗く
                  われわれの損失のように黒く
                  十字架の上の
                 
千九百四十の釘のように盲目
                 に  

                                               イーディス・スィットウェル   『一九四〇年』

  

                 

 

 

  レインコートの裾ひろがへし行くひとの未来は遙けく明かるからんか   尾崎 左永子

  五反田に立つ古書市にまぎれ入り知る人のなき朝のすがしさ       篠  弘

    ロックバンド・イエスこのごとき白頭青年は舞ふ潟上の鬼        米川 千嘉子 

   猛禽の脚のようなるコスモスの根がひび割れし地に立ち上がる      角宮 悦子

  大粒の雨垂れ一秒ほどの間を置きて何かを打てるその快さ        高久 茂 

  ジュラ紀よりスイスに立てるジュラ山に蝶とりにゆく人と酌む酒     馬場 あき子    


         
                    『現代短歌』(2015年9月号)  


   檜皮香つ社の元で釘さしつ戯むる子らに蝉は時雨れぬ          高山 宇宙 


 

  

 ● 折々の読書 『火花』4 又吉直樹 著

お笑い芸人二人。奇想の天才である一方で人間味溢れる神谷は、笑いの真髄について議論しながら、
後輩徳永に、「俺の伝記を書け」と命令するシーンを今回はたどる。


  僕の所属している事務所は小さな会社だった。僕が子供
の頃からテレビに出ている有名な
 俳優が一人いて、あとは
舞台を中心に活動している俳優が散人いるだけで、芸人は僕達だけ
 だった。学生時代に素人の漫才大会に出場した
時、人のよさそうなおじさんに声をかけられ、
 それが今の
事務所の社長だった,一組だけだと優遇されると思っていたが、そもそも仕事の
 散が少なく、もっぱら地方営業と小
さな小屋でのライブがほとんどだった。

  ずっと、僕は先輩が欲しかった。様々な事務所の若手芸人が集うライブの楽屋などで、先
 輩と後輩という関係性を
持つ芸人同士の楽しげな会話が羨ましかった。僕達には楽屋での
 居場所がなく、いつも廊下の隅や便所の前で目立た
ないように息を潜めていた。
  店員がラストオーダーを告げに来ると、「お姉さん、すまんけど、後一杯ずつだけいい?」
 と神谷さんが言った。


 「いいですよ、観光ですか?」と店員に質問された神谷さ
んが、背筋を伸ばして「土地の神
 です」と意味のわからな
いことを誇らしげに答えると、店員さんが声を出して笑った。

 「お前は本を読むか?」

 「あまり読まないです」

  神谷さんは眼を見開き、そう答えた僕のTシャツのデザ
インを凝視してから、僕の顔に視
 線を移し、深く頷いて
「読めよ」と旨った。
  花火大会が終わったのだろう、店の戸を開けて店内を覗く人が何人もいて、その度に店員
 が今日はもう閉めるのだ
と断った。

 「こんな日なんて、何時までも開けといたら儲かんのにな」

  神谷さんはそう言ったが、店の奥で人の出入りがあったのでおそらく地元の住人達による
 打ち上げ
会場にでもなるのだろう。
 「俺の伝記を書くには、文章を書けんとあかんから本は読んだ方がいいな」
  神谷さんは本気で僕に伝記を書かせようと思っているのかもしれない。
  僕は本を積極的に読む習慣がなかったが、無性に読みたくなった。神谷さんは早くも僕に
 対して強
い影響力を持っていた。この人に褒められたい、この人には嫌われたくない、そう
 思わせる何かがあ
った。

  神谷さんは、コロッケを箸でつつきながら「俺は本好きなんやで」と嬉しそうに言った。
  小学生の頃、図書の時間に他の同級生達が「動物図鑑」や「はだしのゲン」の取り合いを
 している中、神谷さんは偉人と呼ばれる人達の人生が綴られた伝記を貪り読んでいたらしい。
  「絵はな、表紙とな途中に少しだけやったんちやうかな。あとは全部活字」
  神谷さんは、活字が多い本だったことを強調したいようだった。

  「新渡稲造が何者か知ってるか?」
  「五千円札の人ですよね?」
  「そうや、あの人も色々やった人やねんで。そんなんも書いてたわ」
  「そうなんですね。伺をした人なんですか?]
  「忘れたけど、読んだ時は感心したん覚えてるわ」

  神谷さんはいかに伝記が面白いか熱弁を振るった。神谷さんの言葉によると偉人が成し遂
 げたことは文章上でも凄いとわかるのだが、その人となりは大概が阿呆であるらしく、自分
 の伝記があれば皆が驚くと幼き頃に思ったらしい。
  神谷さんは、「お前は喋りは達者ではないけど、静かに観察する眼を持ってるから伝記を
 執筆する人間に向いてい
るはずや」と言ってくれたが、僕の夢は漫才師として食べて行くこ
 とだった,それを仲谷さんに伝えると、「当たり
前のことを言うな」と一笑に付された。僕
 は、その当たり
前という辺りの有意を尋ねた。

 「漫才師である以上、面白い漫才をすることが絶対的な使命であることは当然であって、あ
 らゆる日常の行動は全て、
漫才のためにあんねん。だから、お前の行動の全ては既に漫才の
 一部やねん,漫才は面白いことを想像できる人のも
のではなく、偽りのない純正の人間の姿
 を晒すもんやね
ん。つまりは賢い、には出来ひんくて、本物の阿呆と自分は真っ当であると
 信じている阿呆によってのみ実現できる
もんやねん」

  神谷さんは目に落ちかかる前髪を、時折指で払った。
 「つまりな、欲望に対してまっすぐに全力で生きなあかんねん。漫才師とはこうあるべきや
 と語る者
は永遠に漫才師にはなられへん。長い時間をかけて漫才師に近づいて行く作業を
 しているだけであって、本物の漫才師にはなられへ
ん。憧れてるだけやな。本当の漫才師と
 いうのは、極端な
話、野菜を売ってても漫才師やねん」

  神谷さんは一言ずつ自分で確認するように話した。人前
で初めて語る話か、語り慣れた話
 かが、話す速度と表情で
わかった。

 「神谷さんの説明は漫才師を語っていることにならないんですか?」
  僕は少し前から疑問に思っていたことを口にした。この人になら間いてもいいと思ったの
 だ。
  しかし、「その発言が、もし揚げ足を取ろうとして言ったのであれば師匠として、どつき
 回したろうと思うんやけど」と言われたので、本当に知りたいのだと伝えた。神谷さんは腕
 組みをして、一度大きく頷いた。

  「漫才師とはこうあるべきやと語ることと、漫才師を語ることとは、全然違うねん。俺が
 してるのは漫
才師の話やねん」
 「はいI
 「準備したものを定刻に来て発表する人間も偉いけど、自分が漫才師であることに気づかず
 に生まれてきて大人しく
良質な野菜を売っている人間がいて、これがまず本物のボケやねん,
 ほんで、それに全部気づいている人間が一人で
舞台に上がって、僕の相方ね自分が漫才師や
 いうこと忘れ
て生まれて来ましてね、阿呆やからいまだに気づかんと野菜売ってまんねん。
 なに野菜売っとんねん。っていうのが
本物のツッコミやねん」

  神谷さんは言い終わると同時に焼酎を一気に呷り、グラ
スを空中に掲げると十、九、八、
 七、六と数え始めた。神
谷さんが、一を、「イーチ」と伸ばして言っている間に、店口が焼
 酎を持ってきて、神谷さんと僕の前に一杯ずつ置
いた。僕の眼の前には二杯のグラスが並ん
 だので、グラス
にロをつけると、神谷さんが「慌てんと呑みや」と微笑んだ。眼の前の人間
 が土地の神ではないにしろ、妖怪の類
に見えてきた,

 「でもあれやな」
 そう言ったあと、神谷さんはしばらく黙りこんだ,いつの間にか僕達の他には客がいなかっ
 た,代わりに奥の小上
がりに地元の人間が集まり始めていた。
 「そんなん、ほんまにやっても誰も笑わへんから、それくらいの本当の気持ちで、子供も大
 人も神様も笑わさなあか
んねん。歌舞伎とかもそうやんな」

  歌舞伎や能の起源は神に捧げられる行事であったと聞いたことがある。確かに誰にも届か
 ない小さな声で、聞く耳
を持つ者すらいない時、僕達は誰に対して漫才をするのだろう。現
 代の芸能は一体誰のために披露されるものなのだ
ろう。
 「伝記って、その人が死んでから出版するんですよね?]
 「お前、俺より長生き出来ると思うなよ」と神谷さんは鋭い眼で僕を睨んだ。
  どのようなテンションで、この言葉を発しているのだろ。「生前に前編を出版して、死後
 に中編を出版やな」と一変して今度は楽しそうに言う,

 「後編気になって、文句出ますよ」
 「そんくらいの方が、面白いやんけ」

  神谷さんは伝票を持つと席を逞った。

  帰り際に、「握力が強過ぎるゴリラ同士の握手みたいやったな」と言われた。僕は先輩と
 呑む初めての経験に緊張していたのだが、呻谷さんも同じだったのかもしれない。
 「ごちそうさまでした」と僕が言うと、神谷さんは「全然、全然」と眼を合わさず恥ずかし
 そうにして、「俺、こっちやから、またな」と言い残し、どこかに走って行った。
 「お前の言葉で、今日見たことが生きてるうちに書けよ」

 という神谷さんの言葉を思い出すと、胸の辺りに温もりが満ちて行く感覚があった。書くこ
 とが楽しみなのだろか。情熱を預ける対象が見つかったことが嬉しいのだろうか。宿に帰る
 途中でコンピニに寄り、いつもより少し高いボールペンとノートを買った。涼しい風の吹く
 海沿いの道を歩きながら、どこから書き始めるかを考えていた,見物客は宿に収まりきった
 のか、人影はまばらで波音が静かに聞こえていた。耳を澄ますと花火のような耳鳴りがして、
 次の電柱まで少しだけ走った,

                                       又吉直樹 著『火花』(文藝春秋)

 

● 今夜の三曲 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

タフな女神 デクサマニー降臨 Ⅱ

2015年09月06日 | EMF安全保障

 

 

     
      
      
人類なんてこんなものだノアたちが箱舟に乗り
      遅れなかったことを、残念に思うことがよくある。
                   
                      マーク・トウェイン

 

 



【タフな女神デクサマニー降臨 Ⅱ】

科学技術振興機構(JST)は今月2日、東北大学 原子分子材料科学高等研究機構(AIMR
の陳明偉教授らの研究グループが、一般的なリチウムイオン電池の6倍以上の電気容量を
持ち、百回以上繰り返し使用が可能なリチウム空気電池の開発に成功したと発表。電気自
動車にこのリチウム空気電池を利用すれば、走行距離を500~600キロメートルに伸
ばせる。なお、現在、電気自動車に利用されるリチウムイオン電池の走行郷里は200キ
キロメートル程度。そこで長時間走行可能な二次電池の1つにリチウム空気電池がある。
この電池はリチウムイオン電池とは異なり、正極にコバルト系やマンガン系の化合物を用
いることなく、リチウム金属、電解液と空気だけで作動し(上図クリック)、リチウムイ
オン電池の5~8倍の電気容量をもつ。このブログでもことあるごとに取り上げてきた(
『タフな女神:進化するリチウム空気電池』「最新量子ドットソーラー工学」2015.08.03)。

これで、「東京-大阪間」が充電なしで走行できそうだが、最終的にはコスト気になると
ころだ。蓄電池の技術革新が早く進めばこれにこしたことはない。



リチウム空気電池は充放電両方の化学反応に対応した電極材料や触媒が開発途上にあり、同グ
ループは、これまで発火などの危険性のある水溶液系ではなく、安定な非水溶液系リチウム空気
電池のナノ多孔質正極材料の高性能化に着目し研究を進めてきた。この電気伝導性が高く、空隙
率が99%に達するナノ多孔質グラフェンの正極で、リチウムイオン電池の電気容量の30倍以上
(8300ミリアンペア/グラム)を持つ電極材料の開発に成功したものの、充電時の過電圧が高く、
エネルギー利用効率注が60%程度と低いことがた障壁となっていた。

このため、新たな正極材として、酸化ルテニウムをナノ粒子をグラフェンで挟んだ窒素ドープナノ多
孔質グラフェン電極を開発し、リチウム空気電池に利用(上図/右上)したことでナノ多孔質グラフ
ェンが持つ大きな比表面積、空隙率や電気伝導性を損なうことなく、大きな電気容量(2千ミリアン
ペア/グラム)と充電電圧(4.0ボルト以下)を同時実現させた。

 

次に、このリチウム空気電池の充放電のターンオーバー試験を行ったところ窒素ドープ
ノ多孔質グラフェンでフル放電したときの電極単位重量当たり最大8千ミリアンペア時の電気容量
を持ち、電極単位重量当たり電気容量2千ミリアンペア時の固定で、百サイ
クル以上充放電に、
耐えうることが分かった。さらに、充放電時の電流密度変による実験では、従来のリチウム空気
電池よりも充電速度が速く、従来の50%を大きく上回る72%超のエネルギー利用効率をえてい
る。なお、(1)貴金属であるルテニウムを少量ながら触媒に使用するためコスト高になることや、
(2)充電時の過電圧が大きいとう課題が残っている。

【参考特許】

詳細な製造方法のために関連特許を下記に掲載する。

● 特開2015-063742  多孔質金属およびその製造方法並びにリチウム空気電池 

 

【符号の説明】

10、10a、10b    合金
10c                 多孔質金属
12a、12b、12c 空孔
22                    負極
24                    電解質
26                    正極
32                    酸素ガスを含む材料

【特許請求範囲】

(1)金属と空孔をもった、空孔率が75%以上の多孔質金属。
(2)空孔サイズはランダム。
(3)孔質金属には金が含まれる(a)。
(4)(1)(2)(3)の多孔質金属と酸素を含む空気からなる正極と、多孔質金属と
  リチウムを含む負極で構成。
(5)複数金属の合金から一部の金属を除去し多孔質金属を作る工程(b)と、また熱処
  理し空孔を集積する工程(c)と、さらに一部の金属を除去し(b)<(c)より小
  さい空港(d)をつくる工程を含む多孔質金属製造法。
(6)金と銀との合金で(1)~(5)の工程の製造方法

  、

【実施例】 

● 製造工程

上図1は、多孔質金属の製造方法を示すフローチャート。図に示すように、複数の金属を

含む合金を形成する(ステップS10)。合金の形成は、例えば複数の金属が溶融する温
度に加熱後、冷却する。複数の金属としては、金、銀、パラジウム、白金、アルミニウム、
ニッケル、銅、マンガンおよび亜鉛の少なくとも1つを用いることができる。合金に含ま
れる金属の数は2つでもよいし、3以上でもよい。例えば、金を主に含む多孔質金属を製
造する場合、金と銀とを主に含む合金を用いる。

次に、合金を脱合金(dealloying)化する(ステップS12)。脱合金化は、複数の金属の
うち一部の金属を選択的に除去する。例えば複数の金属のうち一部の金属を選択的にエッ
チングするエッチング液を用いる。すなわち、複数の金属のうち一部の金属はエッチング
されるが、残りの金属はほとんどエッチングされないエッチング液を用い合金をエッチン
グする。

エッチング液は、合金を構成する金属により選択できる。エッチング液としては、硝酸、
塩酸、過塩素酸および硫酸等の酸溶液を用いることができる。金と銀との合金、または金
とニッケルとの合金を用いる場合、エッチング液として硝酸水溶液を用いることができる。
エッチング液を用い一部の金属をエッチングに、合金に電圧を印加し、電気化学的に脱合
金化を行なってもよい。これにより、より速く空孔率の高い多孔質金属を形成できる。

次に、脱合金化を行なった合金を熱処理する(ステップS14)。熱処理温度は、金属原
子が移動する程度の温度が好ましい。また、熱処理温度は合金の融点以下であることが好
く、金と銀との合金の場合、熱処理温度は200℃以上が好く、250℃~350℃がよ
り好い。

上図2(a)から図2(d)は、多孔質金属の製造方法の金属の模式図。図2(a)に示
すように、ステップS10で合金10を形成。合金10は、金属M1と金属M2との合金
である。合金10には空孔は形成されていない。図2(b)は、ステップS12で、脱合
金化することで、合金10から金属M2が選択的に除去する。これで、空孔12aを含む
合金10aが形成。合金10aは、合金10より金属M2の組成が低くなるが、合金10
a内には金属M2が残存する。特に、合金10において、金属M2の組成比を高くした場
合、金属M2が残存しやすい。

上図2(c)は、ステップS14において合金10aを熱処理する。空孔12aが集積し、
熱処理前の空孔12aより孔径の大きな空孔12bが形成される。熱処理前後の合金10a
と10bの組成比はほとんど同じである。図2(d)に示すように、ステップS16で、
再度脱合金化する。これで合金10bから金属M2が選択的にエッチングされ、空孔12c
が形成。空孔12cは、空孔12bに比べ孔径が小さくなる。多孔質金属10cは、合金
10bより金属M2の組成比が低くなる。

上図2(b)のように、複数の金属M1とM2を含む合金10(第1合金)から複数の金
属のうち一部の金属M2を選択的に除去することで、空孔12a(第1空孔)を含む合金
10a(第2合金)を形成。図2(c)のように、合金10aを熱処理することで、空孔
12aを集積した空孔12b(第2空孔)を含む合金10b(第3合金)を形成。図2
(d)のように、合金10bから一部の金属M2を選択的に除去することで、空孔12b
と空孔12bより小さい空孔12c(第3空孔)と、を含む多孔質金属10cを形成。こ
れにより、多孔質金属10cの空孔率を高くすることができる。

脱合金化を1回行なう方法では、75%以上の空孔率の多孔質金属の製造が難しい。75
%以上の空孔率を実現できる。空孔率は、80%以上も可能。また、85%以上も可能。
多孔質金属の強度の観点から空孔率は95%以下が好く、90%以下がより好い。

空孔率の高い多孔質金属の形成には、出発材料の合金10の金属M2の比率が高いことが
好い。合金10の金属M2の原子組成比M2/(M1+M2)は、65%以上が好ましく、
75%以上がより好く、85%以上がさらに好い。原子組成比M2/(M1+M2)は、
95%以下が好く、90%以下がより好い。特に、金属M1とM2がそれぞれ金と銀の場
合、原子組成比M2/(M1+M2)を65%以上にすることで、空孔率を75%以上に
できる。

また、多孔質金属は、図2(d)のように、孔径が異なる空孔12bや
12cを備える。
空孔12c(第3空孔)は、空孔12b(第2空孔)以外の金属に形成した空孔である。
空孔12bの孔径は、30nm以上であり、例えば50nm以上である一方、空孔12c
の孔径は、30nmより小さく、例えば10nm以下である。

 
多孔質金属を正極として使用するリチウム空気電池を説明する。なお、リチウム空気電池
はリチウム酸素電池ともいう。
上図3は、リチウム空気電池の模式図である。図3に示すように、リチウム空気電池20
は、負極22、電解質24、正極26を主に備えている。負極22は負端子28に電気的
に接続され、正極26は正端子30に電気的に接続される。正極26には酸素ガスを含む
材料32が供給される。正極26は、多孔質金属を含む。多孔質金属は、例えば導電性材
料に保持されてもよいし、単独で用いてもよい。酸素ガスを含む材料32は、例えば、酸
素ガス、または酸素ガスと不活性ガスとの混合ガスである。負極22は、例えばリチウム
(Li)を含み、例えば金属リチウムである。電解質24は、正極26と負極22との間
に設けられ、リチウムイオンLiが伝導する。電解質24は、例えば有機電解液を含む。

リチウム空気電池の放電過程について説明する。負極22で、次の反応式のように、負極
22の金属リチウムLiがリチウムイオンLiとなり、電子eが放出される。

  Li→Li+e

リチウムイオンLiは、矢印34のように、電解質24を負極22から正極26に伝導
する。正極26内の酸素が供給される側の空孔内において、次の反応式のように、酸素ガ
スOが電子eを獲得し酸素イオンOとなる。

  O+e→O

正極26内の空孔内において、次の反応式のように、リチウムイオンLiと酸素イオン
とが反応し、酸化リチウムLiOが生成される。

  Li+O→LiO

さらに、空孔内において、次の反応式のように、酸化リチウムLiOから過酸化リチウ
ムLiと酸素ガスOが生成される。

  2LiO→Li+O

リチウム空気電池の充電過程について現在最も支持されている学説に基づき説明する。正
極26の空孔内において、次の反応式のように、過酸化リチウムLiが酸化リチウ
ムLiOとリチウムイオンLiに分解し電子eが放出される。

  Li→LiO+Li+e

空孔内において、次の反応式のように、酸化リチウムLiOが酸素ガスOと酸素イオ
ンOに分解する。

  LiO→O+Li+e

リチウムイオンLiは、矢印36のように、電解質24を正極26から負極22に伝導
する。負極22において、次の反応式のように、リチウムイオンLiと電子eから金
属リチウムLiが生成される。

  Li+e→Li

このように、リチウム空気電池においては、空孔内にLiを貯蔵する。こため、空
孔の体積を大きくすることで、充放電容量を増大できる。また、空孔の表面積を大きくす
ることで、高速な酸化還元反応を実現できる。よって、高速な充放電が可能となる。

多孔質金属は、空孔率が高いため、空孔の体積および表面積が大きい。よって、実施態様1
の多孔質金属をリチウム空気電池20の正極26に用いることにより、容量を増大できる。
さらに、高速な充放電が可能となる。

正極26には、Oを発生させる反応における高い触媒活性と、高い電気伝導特性と、
を有する材料を用いることが好ましい。このため、多孔質金属として、金、ニッケル、銅
白金またはパラジウム等を用いることが好ましい。また、高い電気伝導特性には、多孔質
金属が一繋がりの構造体が好ましい。この観点から、多孔質金属は、脱合金化により製造
したものが好い。

● 実施例

以下のように、多孔質金(NPG:NanoPorous Gold)を形成した。
ステップS10の合金工程として、金と銀との原子組成比が15:85の合金10を形成
する。
ステップS12の脱合金化工程として、1モル/リットルの硝酸水溶液を用い、合金10
中の銀をエッチングする。エッチングの際、合金10に、エッチング液中の参照電極(Ag
/AgCl)に対し+0.78Vを印加する。ステップS14の熱処理として、250℃
において、熱処理する。
ステップS16の脱合金化工程として、1モル/リットルの硝酸水溶液を用い、熱処理し
た合金中の銀をエッチングする。エッチングの際、合金10bに、参照電極に対し
+0.975Vを印加する。
各ステップにおいて、SEM観察を行なった。また、EDS(Energy Dispersive X ray Spec-
troscopy
)法を用い金と銀との原子組成比を測定した。


上図4(a)は、脱合金化工程S12後の合金のSEM画像である。図4(a)に示すよ
うに、合金10aに孔径が10nm程度の空孔12aが形成されている。このときの金と
銀との原子組成比は62:38である。脱合金化前の原子組成比15:85に比べると銀
が脱合金化しているが、合金10a内にはなお多くの銀が残存している。


上図4(b)は、熱処理工程S14後の合金のSEM画像である。図4(b)に示すよう
に、合金10bに空孔12aが集積した空孔12bが形成される。空孔12aの孔径は
50nm以上で、金と銀との原子組成比は60:40であり、図4(a)とほとんどかわ
らない。


上図5(a)は、脱合金化工程S16後の多孔質金属のSEM画像である。図5(a)に
示すように、多孔質金属10cに空孔12bが形成されている。空孔12bの大きさは図
4(b)とほぼ同じである。金と銀との原子組成比は97:3であり、銀がほとんど脱合
金化されている。

図5(b)は、図5(a)の範囲Aの拡大図である。図5(b)に示すように、空孔12b
以外の多孔質金属10cに、空孔12bより小さい空孔12cが形成されている。空孔12c
の孔径は、10nm程度である。すなわち、多孔質金属10cは、比較的大きな空孔12b
を有す。空孔12b以外の領域に比較的小さな空孔12cが形成。多孔質金属10cは、
2重の多孔質構造を有す。

多孔質金属の空孔率は83%であった。ここで、空孔率は、合金工程S10後の合金10の
原子組成比と、二回目の脱合金化S16後の原子組成比と、から算出する。

比較例1として、1回の脱合金化による多孔質金を製造した。出発時の合金10の金と銀
の原子組成比を15:85とした場合、1回の脱合金化では、条件を最適化しても空孔率
は72%であった。このように、1回の脱合金化処理では、合金工程の銀の組成比を高め
ても、75%以上の空孔率は実現できなかった。一方、実施例1によれば、75%以上の
空孔率を有する多孔質金を製造できる。

● 実施例2

実施例2は、実施例1の多孔質金をリチウム空気電池の正極に用いた例である。以下に作
製した
リチウム空気電池の各材料を示す。
 
・負 極:  金属リチウム
・電解質: 有機電解液(無水ジメチルスルホキシド、および過塩素酸リチウム)
・正 極:  実施例1の多孔質金をアルミニウム(Al)製のメッシュに保持させる。

なお、過塩素酸リチウムは、リチウムイオンの最初の供給源である。

比較例2として、1回の脱合金化処理で作製した空孔率が65%のサンプルAと空孔率が
72%の
サンプルBとを正極に用いそれぞれリチウム空気電池を作製した。

 

上図6は、実施例2に係るリチウム空気電池の容量に対する電圧特性を示す図である。放
電レートおよび充電レートは500mA/g(単位金Au重量当たり)である。数字は充
放電のサイクルを示す。図6に示すように、1500mAh/g(単位金Au重量当たり)

の容量が実現。放電および充電を40サイクル行なっても放電および充電特性は大きくは
変化しない。

 

上図7(a)および図7(b)は、比較例2に係るリチウム空気電池の容量に対する電圧
特性を示す図。
数字は充放電のサイクルを示している。図7(a)はサンプルAを11サ
イクル充放電した充放電特性
である。図7(b)はサンプルBを2サイクル充放電した充
放電特性である。放電レートおよび充電レ
ートは500mA/gである。図7(a)に示
すように、サンプルAにおける容量は500mAh/gである。
図7(b)に示すように、
サンプルBにおける容量は800mAh/gである。


実施例2および比較例2においては、非特許文献1:Science Vol. 337, pp563-566 (2012) と
比べ、
過電圧(放電過程の電圧と充電過程
の電圧の差)が低い。多孔質金を保持するメッ
シュとして、アルミニウム以外のステンレス、チタン
(Ti)を用いても、充放電特性は
ほぼ同じである。ステンレスは、4.1V以上の電圧で、反応
するため、メッシュとして
はアルミニウムまたはチタンが好ましい。コストの観点からはアルミニウ
ムが好ましい。

図8は、空孔率に対するリチウム空気電池の容量を示す図である。黒丸は、非特許文献1
の結果を示す。白丸は実施例2および比較例2の結果を示す。曲線は、計算曲線である。
図8に示すように、空孔率を大きくすることにより容量を増大させることができる。


以上のように、実施例2によれば、比較例2に比べ、正極26に用いる多孔質金属の空孔
率を向上させることにより、リチウム空気電池の容量を増大させることができる。

  ● 今夜の一品

LEDライトを内蔵したUSB端子。それをタッチすると、やさしく点灯されていて、夜でも使
いやすい。コネクター類の防災・安全対策など、携帯タイプあるいは常設固定タイプなど
これの応用展開はかなら広がりがありそうだ。

  ● 今夜の記憶
出典:京都新聞

朝、急に彼女が愛東のマーガレットステーションに行きたいというので、車を走らせる。
人出が多く
市場はほとんどのものが売り切れていて、しかたないので「愛東なし」と「き
のこ&ごま」のジェラー
トを食べ帰宅するが、途中、全国の41図書館建築の魅力を特集
した本「日本の最も美しい図書館」に、甲良町立図書館(甲良町横関)が滋賀県の図書館
として唯一、掲載された。同館職員は「利用する町民からも反響があった」と喜んでいる
一枚の写真が掲載されていたので立ち寄る。
同図書館は総ヒノキ造りのモダンな建築が特
徴。1933年に東甲良尋常小学校(現甲良東小)として建てられた木造2階建て校舎の
一部を利用している。92年に小学校の建て替え計画が決まったが、町外の文化人らの保
存運動を受け、99年に町立図書館として開館している。係の女性職員に利用できるのか
を尋ねると、町民の紹介があれば可能だという返事だったが、郷土史の調査に便利だから
と、頭の記憶スペースにブッ
キングさせた。甲良町役場にさしかかると、、職員のムラタ
さんとの邂逅から悔悟の惜別までの思
い出が一巡した。そういえば夜遅く印刷をしていた
ころが懐かしい。   
                        


 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

時代は太陽道を渡る Ⅹ

2015年09月05日 | デジタル革命渦論

 

 

      
      
       
教育とは、うぬぼれた無知からみじめな曖昧さへの道である。
                   
                             マーク・トウェイン

 

  【形態形成】

   単一の細胞である受精卵は分裂をくり返しながら発生し、機能の異なるさまざま
 な細胞に分北し、それぞれの生物に特徴的な形態がつく
られてくる。生物の形態が
 どのようなメカニズム
でつくられるかは、
現代生物学最大の難問であるが、近年の
 研究により遺伝子発現との対
応が徐々に解明されて曙光が見えてきた。

  多細胞生物の形態形成にとって第一に重要なのは、細胞同士が互い
に相手を識別
 し、接着すべき細胞同士は接着し、難れるべき細胞とは
難れることである。同種細
 胞問接着分子
(カドヘリンや N-CAM)や
異種接着分子(セレクチンやインテグリ
 ン)はこのメカニズムを作用
させるたんぱく質であり、発生に伴ってこれらのたん
 ばく質(をコー
ドしている遺伝子)が発現したり、しなかったりして形態形成は進
 行
する。



  次に重要なのは、前後、背腹の体軸を決定するメカニズムである。

  この2つは基本的には卵細胞の中に存在する母性因子のかたよりにより生ずる。
 母性因子が卵や初期胚の中で濃度勾配をなし、それに従っ
て体軸が決まるのである。
  基本的には体軸は胚自身ではなく母親が決
するのである。ただし、両生類の背
 腹は精子の侵入点により決まる。
精子の侵入点は腹側になる。

  3番目に重要なのは誘導というメカニズムである。ある細胞群は発生の途中で隣
 接する細胞群に働きかけて特殊化した細胞群に導く。脊
椎動物の神経系は形成体に
 より外胚葉から誘導されて、頭から尾まで
ができる。最近、この誘導因子はアクチ
 ビンや FGFというたんぱく質
であることが判明した。



  4番目に重要なのは体の各部分の構造や区画を決定するメカニズム
である。これ
  は主としてホメオポックス遺伝子により制御される。こ
れは通常、前後の体軸を決
 定する遺伝子に誘導されて発現する。


  最後に最も重要なのはこのような遺伝子の発現バターン具体的な
かたちがどの
 ような関係にあるのかということであるが、それについ
ては何もわかっていない


                     池田清彦 著『新しい生物学の教科書』

 

 

【超高齢社会論 14: 下流老人とはなにか】  

   【目次】 

  はじめに
  第1章 下流老人とは何か
  第2章 下流老人の現実
  第3章 誰もがなり得る下流老人―「普通」から「下流」への典型パターン
  第4章 「努力論」「自己責任論」があなたを殺す日
  第5章  制度疲労と無策が生む下流老人―個人に依存する政府
  第6章 自分でできる自己防衛策―どうすれば安らかな老後を迎えられるのか
  第7章 一億総老後崩壊を防ぐために
  おわりに   

  第6章 自分でできる自己防衛策―どうすれば安らかな
                    老後を迎えられるのか

    第6章では、自分自身に降りかかる下流老人の問題に対抗するための「自己防衛
 策」を紹介したい。とくに下流老人に陥っ
てしまった場合の一対策一と、そうなら
 ないための「予防」と
いう2つの観点から見ていく。

  この「予防」と「対策」については、じつはすでにそれなり
の制度があるが、あ
 まり知られていないのが実状だ。まずは利
用できる制度の存在を知り、理解を深め
 ておくことが大切であ


  【知識の問題(対策編)】……生活保護を正しく知っておく


  生活保護制度の利用を妨げるものに、制度に対する「無理
解」があることは、こ
 れまでも述べてきた。そもそも生活保護
制度のしくみを正確に理解している人は少
 なく、その他の社会
保障制度にいたっては存在自体知られていない,
  もっとも学校などで教えられることもないため、何だかよくわからないというの
 も無理はない。ただ制度をよく理解するこ
とが下流化を防ぐ第一歩であることに違
 いはなく、万一貧困に
陥った(陥りそうになった)ときに適切な対処を行うには必
 
須の知識と言える。

  そこでここでは、生活保護費を受給するまでの基本的な流れ
と受給要件について、
 一通り説明しておきたい。

 
福祉事務所とは?



  ●生活保護の手続きの流れ


  生活保護制度を利用したい場合、まず住んでいる地城の福祉事務所の生活保護担
 当に申請を行う(最寄りの福祉事務所については、厚生労働省のホームページにも
 住所が掲載されている)。

  福陸事務所では、担i者から生活保護制度についての説明が
あるとともに、保護
 の申請f続きを行う。ただし当たり前だ
が、申請したからといって、全国が保護を
 受けられるわけでは
ない。

  保護を受けるには、おもに次のような調査が行われ、保護対象として認定される
 必要がある。

 ・対象者の生活状況などを把握するための実地調査(家庭訪問など)
 ・預貯金、保険、不動産などの資産調査
 ・扶養義務者による扶養の可否の調査(親族からの仕送りなどの可否)
 ・社会保障給付(年金など)や就労収入などの調査
 ・就労の可能性の調査(労働の可否)
  
  各調査内容(受給要件)については、後述する。調査の結
果、保護が決定すると、
 厚生労働大臣が定める基準に基づく
低生活費から、年金や収入を差し引いた額が「
 保護費」として
毎月支給される。原則として、保護費の受給期限はないが、収入調
 査やケースワーカーによる訪問調査で、保護の必要がなく
なったと判断された時点
 で保護は停止または廃山される,なお
申請に際して必要な書類はとくにないが、調
 査の過程で預金通
給与明細年金手帳など収入や資産実態を証明する資料
 求められることがある


  また、ありがちな勘違いとして「住民票がないと申請不可」というものがあるが、

 そんなことはない。決まった住所がない場合や路上生活をしていても、最寄りの福
 
事務所で申請できる

  
●保護費の支給額と内容

  次に実際に支給される保護費だが、これは年齢や世帯人数、住んでいる地域によ
 って異なる。これもあまり知られていないが、生活保護は世帯単位で行われるもの
 であり、世帯構成員が増えればそれだけ金額も増える。

  また、たとえば東京と沖縄では物価や家賃相場がかなり違うため、住んでいる地
 域によっても支給額の基準は異なる。たとえば都内23区に住む単身の無収入高齢
 者の場合、個人差はあるが概ね支給額は「生活扶助費」が約8万円、「住宅扶助費
 」が約5万円で、合計13万円程度となる。これがつまり、保護対象者が健康で文
 化的に暮らすための「最低生活費」となるわけだ。

  ただし、誰もが一律に最低生活費を満額もらえるわけではない。保護対象であっ
 ても就労収入や年金などの手当、親族からの援助がある場合、最低生活費からそれ
 収入の合計金額を引いた差額分が支給される。逆に言えば、労働賃金や年金、援
 助を受けていても、生活保護は利用できる、ということだ。ここもとくに勘違いさ
 れやすい点なので、よく覚えておいていただきたい。

  また、生活保護による扶助にもさまざまな種類がある。先ほど紹介した生活扶助
 や住宅扶助のほかに、必要な医療・介護サービスを受けるための「医療扶助」や「
 介護扶助」もある。これは本人負担なし、つまり保険料を払わなくても無料でそれ
 
らのサービスを受けられる。

  ほかにも義務教育年齢の子どもがいる場合は「教育扶助」、妊娠している場合は「
 「出産扶助」なども受けられる。制度利用を考えている方は「自分の収入が最低生
 活
費に達しているか、保護に該当するか」、一度調べてみてもいいだろう」


  ●保護の受給要件

  では実際に、生活保護を受けるには、どのような要件を満たす必要があるのだろ
 うか。
  厚生労働省では、保護の要件を「世帯単位で行い、世帯員全員が、その利用し得
 る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用する
 ことが前提でありまた、扶養義務者の扶養は、生活保護法による保護に優先」する
 としている。

  このままではわかりにくいため、一つずつ紐解いていこう。

  まず前提条件として、保護を受けるためには、月々の収入が先ほど紹介した最低
 生活費を下回っていなければならない。最低生活費については、各地方自治体のホ
 ームページに掲載されている「生活保護基準額表」を参照されたい。
  次に「資産の活用」についてだが、資産とは削貯金のほか、眼や宝石、利用して
 いない不動産、貯蓄性の高い保険(債立型の保険)などを指す。これらを所有して
 いる場合、原則保護を受ける前に売却して生活費にあてることが求められる。

  ただし誤解されやすいが、生活に利用している土地や家屋などを手放す必要はな
 い,つまり、実際に住んでいる家や農業を生業としている方の農業用地などは売ら
 なくてもよいのだ。また、車についても、仕事で使っていたり、通勤・通院に必要
 不可欠と認められた場合は、所有が認められる。要するに処分価値よりも活用価値
 が高い資産は、原則として保有が認められてる。

  続いて「能力の活用」だが、この能力とは「働くことができる状態かどうか」を
 指す,そのため心身が健康で、十分働けるとみなされた場合は保護を受けられない
 が、先述のとおり、働く場所がなかったりその機会に恵まれなかったり、働いてい
 ても病気や障害、そのほかやむを得ない事情で収入が最低生活費に満たない場合
 保護費の受給も可能だ。
 「あらゆるものの活用一も同様で、年金やその他手当がある場合、それらを先に活
 用する必要があるが、これらも最低生活費に満たない分を保護費として受給できる。
 
  最後に「扶養義務者の扶養」だが、これは親族などからの援助を指す。これにつ
 いては調査の段階で、親族への扶養照会(対象者の生活を援助できるかどうかの問
 い合わせ)が行われ、扶養不可と判断された場合、保護を受けられる。また、親族
 が経済的に扶養不可でなくても、ドメスティック・バイオレンスを受け緊急避難を
 している、のような特別な事情で扶養が見込めない場合も、要件に該当することと
 なる。

  以上が、生活保護制度の大枠になるが、受給内容や要件については、各附帯の事
 情によって差があるため、より詳しく知りたい場へ目は、最寄りの福祉事務所、も
 しくはNPO団体に相談してみてほしい。

                          藤田 孝典 著『下流老人』


ここは、ハウツウ(How- to)あるいは著者のパーソナル・ノウハウ(Know-how)が記
載されているので注釈のみ。次回もこの第6章の"自己防衛策"。

                                    この項つづく

 【 時代は太陽道を渡る Ⅹ: 最新太陽電池技術 】

  特開2015-153892

● 子井戸太陽電池の事例

量子井戸(QW)は高度な光学と電子デバイスのキーポイントとなる構造とされ、太陽
電池の、QWはホスト材料のバンドギャップよりも低いエネルギーのフォトンも吸収で
きるので、QWの導入で太陽電池の効率改善が期待されている。QWや使用する材料で
はなくその厚さと障壁高の調節で、吸収フォトンのエネルギーが制御でき、GaAs/
AlGaAs QW太陽電池は、太陽光スペクトルの適合性の良さと、歪のない系の層
構造設計の自由度の大きさから盛んに研究開発されきた。

ところが、GaAs/AlGaAs QWが、直接遷移半導体のため、吸収係数が大き
く、電子とホールが同一層に閉じ込めたタイプI型QW太陽電池は、キャリア再結合が
大きいという好ましくない現象を起こし、再結合キャリアを外部に取り出せないため、
太陽電池性能が低下してしまう。国立研究開発法人物質・材料研究機構から、QW中の
キャリアが容易に外部に取り出される構造を提供することで、フォトンにより生成され
たキャリアの再結合損出を防止し、変換効率の改善方法が提案されている(上図クリッ
ク)。

【要約】

障壁層と量子井戸層を積層構造に設けた量子井戸太陽電池で、kBをボルツマン定数、
絶対温度をTとしたとき、量子井戸層の半導体の伝導帯の基底状態のエネルギー準位と
障壁層の半導体の伝導帯下端のエネルギー準位の差が±3kBT以内とすることで、光
照射により、量子井戸内に生成されたキャリアが、迅速に量子井戸外部に取り出され、
再結合が抑制さる。また、量子井戸に直接遷移半導体を障壁層に使用することで、光吸
収率を改善し再結合ロスをなくすことで変換効率を改善する。

尚、この新規考案の実施例は上図資料を参照のこと。

 

● シリコン系量産太陽電池製造方法の改善事例 

  特開2015-159272

従来、結晶系シリコン基板を用いた結晶系シリコン太陽電池は、(1)拡散による不純
物半導
体層を基板受光面側に形成した最も一般的な拡散型の太陽電池、(2)アモルフ
ァスシリコンな
どの半導体薄膜で、不純物半導体層が形成されたヘテロ接合型の太陽電
池、(3)基板と同じ導電
型と基板と異なる導電型の不純物半導体層が基板の裏面側に
くし型に配置された裏面接合
型の太陽電池があり、いずれも量産レベルで製造されてい
る(上図クリック)。

(1)のタイプは、例えば200μm程度のp型結晶シリコン基板を用い、光吸収率を
高める表面テクスチャー、n型拡散層、反射防止膜とペーストの表面電極が基盤受光面
側に逐次形成し、ペーストによる裏面電極がスクリーン印刷で基板非受光面側に形成し
後、800℃程度で高温焼成し拡散型製造されている。この焼成工程で、表面電極と裏
面電極のペーストの溶媒揮発し、基板受光面側の櫛型電極が反射防止膜を突き破り、n
型拡散層に接続し、また、非受光面側では電極部の材料が基板拡散し裏面電界層を形成
するが、この構造は、不純物ドープ層を薄膜形成し不純物ドープ層の濃度分布が自由設
定でき、また不純物ドープ層の薄膜中でのキャリア再結合や光吸収が抑制できる。

(2)のタイプは、結晶シリコン基板と不純物ドープシリコン層との間に挿入した真性
半導体層は、結晶シリコン基板と不純物ドープシリコン層との接合間の不純物拡散を抑
制し、急峻な不純物プロファイル特性を接合形成できるので、良好な接合界面形成によ
り高い開放電圧を得られる。さらに、真性半導体層、不純物ドープ層は200℃程度の
低温形成でき、基板厚が薄い場合に問題となる熱ストレスや、基板の反りを低減でき、
熱劣化しやすい結晶シリコン基板の品質低下が抑制きる。この方式の太陽電池の集電極
は、一般に、スクリーン印刷法で銀ペーストをパターン印刷し形成、集電極は太陽電池
の発電効率を高めるため、遮光損が少なく、配線抵抗が低いことが求められる。

ところが、スクリーン印刷を用いた電極形成方法では、電極を細線化した際の印刷版か
らの(1)金属ペースト吐出不良による断線や、(2)金属ペーストの溶剤や樹脂配合
による導電率の低さが問題となり、遮光ロスが高く、導電率の高い電極が得られず、フ
ィルファクタが低いという問題残る。(3)また、写真製版技術とめっき法を用いた方
法では、電極形状が矩形で、電極上部の入射光の変換効率が低く、高い短絡電流を得ら
れない。さらに遮光ロス減らず細線化には、高アスペクト比のレジストパターンを必要
とし、写真製版技術の難易度が格段高まる。

【要約】

図1のように、pn接合の太陽電池セルと、太陽電池セルの受光面に、一定の間隔で一
方向に伸張し設け、光電変換した電荷を集電する複数のグリッド電極7を備えた受光面
側電極と、太陽電池セルの受光面Aに対向する裏面Bに設けた裏面電極8とを備え、グ
リッド電極7が、太陽電池セルの受光面Aに当接する第1シード面6Aと、この面から
起立し接続された第2シード面6Bと、第1と第2シード面6A,6Bに当接するめっ
き層とで構成することで、遮光ロスの少ない、低抵抗な電極の太陽電池を提供するもの
である。

もっとも、比較データなどは開示されていないので寄与度は推測の域をでないが、大変
面白い提案である。

  ● 今夜の1つのビックデータ

愛知県内で発生した過去10年間(平成17年から平成26年)において発生した死亡事故
を各星座ごとに飲酒・高速道路・自転車・歩行者別の発生状況・月・時間ごとの発生状
況を分析し、注意喚起として広報していることが話題となっているが、カナダでもかっ
て公表されていたりするが、その効果についての追跡データはない。^^;


本当に魚座は交通事故を起こしやすいか?



● 埋まることなき日韓の歴史的わだかまり

中国を訪問中の韓国の朴槿恵大統領は4日午前、上海市内で開かれた「大韓民国臨時政
府」
庁の改装記念式典に出席したというが、4日の朴槿恵大統領の支持率が1~3日の
調査で前
週から5ポイント上昇し、54%となり、昨年4月の旅客船セウォル号沈没事
故以降初めてと報
じられた。先月31日には産経新聞の韓国外交を批判(野口裕之の軍
事情勢、『米中二股 韓
国が断ち切れぬ「民族の悪い遺産」』)に憂慮を表明。記事の
削除も要望している。


記事の内容は、「征韓論遺制」とわたし(たち)が批判していたもので"保守反動"の好
戦論調。
これでは蟠りはおさまらない。それではどうするのか? しかたがないので、
”月九”は当面見
ないようにしよう? そんなわけないか ^^;。ところで、野口裕之なる
ものは、ネット上では、"××な軍事オタク"という記事もあるが?

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大玉だけど小玉なスイカ話

2015年09月04日 | 日々草々

 

 

 

      
        人類は一つのとても効果的な武器をもっている。それは笑いだ。
                  
                                     マーク・トウェイン

 

 

2020年に打ち上げ予定 陸域観測技術衛星

災害の状況の把握などに大きな成果を挙げている、地球観測衛星「だ
いち2号」について、文部科学省は、一度に観測できる範囲を2倍以
上に広げて、広範囲に被害が及ぶ災害でも一度に被災状況を観測でき
る後継機の開発を、来年度から始める方針だと発表(NHKニュース
2015.09.03)。地球観測衛星「だいち2号」は、ことし5月にネパー
ルで起きた大地震で大規模な地殻変動を捉えたほか、神奈川県の箱根
山や鹿児島県の桜島でも火山活動に伴う地面の隆起を観測するなど、
大きな成果を挙げた。

現在の測定性能が、観測範囲が幅50キロに限られ、津波や洪水など
被害のように広範囲に及ぶ災害の場合の全体の状況把握には数回に分
けて観測する必要がある。このため一度に観測できる範囲を幅100
キロ~200キロに広げた後継機開発を、来年度から始める。

 

現在の「だいち2号」では、通常、ある地点を観測する際は、その上
空を通過まで待つため、日本全国の観測に3か月を要す。後継機では
半分以下に縮めるという。
文部科学省は「だいち2号」の後継機を、
5年後の20年に、H3ロケット1号機で打ち上げる計画である。本
当のことを言えば、数ミリていどの3次元的地形変動が正確に計測で
きれば、村井俊治東大名誉教授らの地震予測システムと連携させ、世
界的な地殻変動(火山・地震活動)の『デジタルアース情報センタ
の設立に向け日本がその中核を担え、世界防災の支援に役立てること
ができるのでは思ってみたが、それほどまでの技術構築には至らない
ようで、一時的に気早んだものの落胆に変わった ^^;。

  




進化するキッチングッズ :オークス株式会社

新潟の三条市にオークスという株式会社あるが、その企業がつくりだ
すステンレス製のキッチン用品「leye レイエ」の3品――はちみつス
プーン、ゆびさきトング、泡ソースホイッパーが目にとまる。毎日つ
かう洋食器の感覚が生かされている優れもで、プライスも千円から2
千円帯とお手頃。この3品セットで4千円におさめ世界展開すれば、
3年消却/販売目標人口比0.1%/市場占有力百%として約90億
円/年の売上げが見込める商品だ。それで、通販でワンクリック購入
しようとしたが、彼女の×××の顔が浮かび、それは自粛することに。

 



※ 市場占有力とは、競合者数に対する秀抜力で、独占状態を百%と
  する。
因みに、安売り競争に耐えうる商品価値(=付加価値)の
  獲得
がすべて
となる。 

 

 

● 大玉だけど小玉な西瓜話

チャイムが鳴り、ドアを開けると大柄のタナカさんが「スイカいらな
いか、これ大玉(スイカの品種)だけど、もう最盛期過ぎののこりも
のの小玉やけれど」といって2つ玄関に置きながらそう言ったので、
礼を述べいただくことにした。息子達が小学校のころのPTAの役員
仲間が縁で、自家菜園の野菜や果実、獲りたての鮎などを、毎年届け
てくれるのだ。彼女が1つをご近所に持って行くというので、とりあ
えず残りの1つを割ってみてからにしてはと押しとどめ、二人で試食
し確認してから届けさせた。

 

マーク・トウェインは、スイカを「天使の食べもの」だと言ったが、
園芸学者ハリー・パリスは、5千年におよぶスイカの歴史を解明。ス
イカはもともと固くて苦い、薄緑色の果物だったと述べている。現在
のスイカの学名「Citrullus lanatus」も正確さに欠け、「lanatus」はラテ
ン語で「毛の多い」を意味。本来は短い毛に覆われたシトロンメロン
(学名 Citrullus amarus)を指す。
アフリカ南部で育つこのシトロンメロンが
スイカの祖先とする意見があるが、エジプト人がアフリカ南部よりも早く、約
4千年前にスイカの栽培を始めているが、彼の考えるスイカの祖先は、アフ
リカ北東部原産の種で、学名Citrullus lanatus var. colocynthoides という植物
とする。

リビアでは5千年前の集落から、さまざまな果物の遺物と共にスイカ
の種が見つかり、スイカの種はツタンカーメン王の墓など、エジプト
の墓でも発見されいる。その壁画には野生種のような球形ではなく、
今日一般的な楕円形として描かれていることから、栽培種であると推
測する。 当時のスイカは固くて味も悪く、とうてい食欲をそそるよう
なものではなかった。



語源の
watermelon(水のメロンの意。スイカの英名)」名称にある
通り、スイカは日陰の涼しい場所に置いておけば数週間から数カ月間
保存が効き、エジプト人は水分の貯蔵にスイカを栽培するようになっ
たと推測する。「エジプトの王たちが没した後、死後の長旅の道中で
水分がいるだろうと供えられた」と。その後、品種改良を続け、エジ
プトの墓に描かれた絵の中には、楕円形のスイカが大皿に載せらるよ
うに変化する。これは、生のまま切っただけで食べられるほどスイカ
が柔らかくなっていた証だ。

それから、紀元前4百から紀元5百年頃、スイカがアフリカ北東部か
ら地中海へ広まっていった。こうしたスイカの普及に、交易品として
利用されたことのほか、長旅の水分補給源として重宝された。
古代ギ
リシャのヒポクラテスやディオスコリデスといった医師たちは、スイ
カの医学的効能を評価、利尿剤、あるいは熱射病の子供の額に冷やし
た皮を当てたりしている。

古代ローマの博物学者、大プリニウスも1世紀に書いた『博物誌』の
中で強力な解熱効果のある食べものとして紹介している。さらに、2
百年頃に書かれたヘブライ語の文献では、スイカはイチジク、ブドウ、
ザクロと同じ仲間に分類され、甘い果物への仲間入りを果たし、3世
紀には立派なデザートとなる。

その後、スイカの果肉は黄色いから今のような赤に変わり――赤い色
を持つ遺伝子と糖度を決定する遺伝子とがペアであることに由来――
品種改良により甘くなるにつれ、果肉の色も徐々に変化していく。

ーロッパの書物『健康全書』には、
楕円形で緑色の筋の入ったスイカ
が収穫され、赤いスイカとして販売されている。このように、天使に
ふさわしい味へと進化してきた。



● シトルリンに注目

さて、周知のようにスイカの効能は、(1)  筋肉痛を緩和 、(2)
心臓に好い
影響、(3) 自然由来の勢力増強効果、(4) 高ビタミ
ン、高ミネラル、低カロリー、(5). 癌にも効くなどが挙げられて
いる。ここでは 「シトルリンの持つ作用」に注目。シトルリンがNO
(一酸化窒素)の生成を高め、血管を拡げる作用があり、シトルリン
が血管を守る、大切な役割を担っていることがわかってきた。特に、
脳血流が下がりやすいわたしには、シトルリンの脳内の血流量を活発
にする効果がうれしい、脳を元気にし、「がんばりたい気持ち」を高
める機能があるといわれている(出典:講話発酵バイオ)。

※ プラセボは、有効成分を含まない(治療効果の無い)薬の事で、
  「偽薬」
とも呼ばれる。

サプリメントは既に市販されているので注意して服用すればよいことだ
と、そ
んなことを考えてみた。タナカカさんの大玉を二人で美味しく頂
き、完食!

尚、彼女からミウラさんの農園も大きくなったと話を聞かされ、あなた
も企業してはと冗談半分に話すので、育種開発ならやってもいいが、そ

れは絶対にないと返事する。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

不死と寿命

2015年09月03日 | ネオコンバーテック

 

 

      
          一人で見る夢はただの夢だ。でも皆で見る夢は現実になる。
                  
                                 雫井彗菜 / 『学校のカイダン』

 

 

   【寿命と進化】

  2nの染色体数をもつ二倍体の体細胞からなる多細胞生物の個体は
 死を免れない。一方、アメーバのような決して二倍体になることのな
 い一倍体の原生生物やバクテリア(原核生物)の個体すなわち細胞は、
 無限に分裂する能力を有しており、原則として死すべき運命にはない。

  多細胞生物のすべての個体死ぬことができるのは生命の連続性

 を生殖細胞系列にまかせることができたからである。この意味で、体
 細胞と生殖細胞の区別が生じ、それに伴い有性生殖が生じたことと、
 体細胞が死すべき運命になったことは起源を同じくする。

  体細胞が自発的死ぬ能力を獲得したことにより、多細胞生物の個

 体は複雑な形態とシステムを開発することができた。この能力はアポ
 トーシスと呼ばれる。アポトーシスは遺伝的なプログラム死のことで
 ある。アポトーシスは不必要な細胞を計画的に殺して形態形成を遂行
 するとともに、がん細胞や自己と反応するT細胞を殺してシステムを
 維持する。    

  しかし、この能力は個体の死を不可避にもたらすものでもある。多

 細胞生物の個体はどうしても免れない寿命をもつ。分裂する体細胞は
 ヘイフリック限界と呼ばれる分裂回数までくるとそれ以上分裂できず
 に死んでしまう。染色体の末端にはテロメアと呼ばれる構造があり、
 分裂のたぴに少しずつ短くなり、テロメアがなくなったところで、ア
 ポトーシスによリ死ぬらしい。ヘイフリック限界は種によってほぽ一
 定しており、寿命の長い種では高く、寿命の短い種では低い。

  もはや分裂できなくなり完全分化した神経細胞や心臓の細胞は固有

 の寿命をもち、最後はやはりプログラムされた死を免れない。すべて
 の細胞は、代謝の結果不可避的に生ずる活性酸素により徐々に損傷し
 ていき、損傷が闇値を超えたとごろで、アポトーシスのスイッチが入
 ると考えられる。老化と寿命は酸素呼吸をする多細胞生物個体の宿命
 なのであろう。

               池田清彦 著『新しい生物学の教科書』



この章は「不死と寿命の相克」の見出しで二度目の掲載となるが(『不死
と寿命の相克』 2015.07.19) 、
結びの「老化と寿命は酸素呼吸をする多
細胞生物個体の宿命なのであろう」の "宿命" が印象的で、何ともここち
よく、腑に落ち、さすがと感心したので再掲載する。さて、今回はもう少
し話を広げてみよう。下グラフのように、補酵素、つまりコエンザイムQ
10
CoQ10)は、60兆個といわれる人間の全ての細胞に存在し、生きる
ために必要なエネルギーをつくる手助けをし体になくてはならない成分だ
とされ、体内の各機能部位の老化を防止に役立つことが認知されてきてい
る。多細胞な人間のカラダに寿命があるなら、できるだけ長く丁寧に使お
うという欲が"自然"もたげるというわけで、薬の開発が懸命に行われてい
る。


このコエンザイムには、還元型補酵素Q10(I)と酸化型補酵素Q10
(Ⅱ)の2種類あり、人の生体内の細胞中におけるミトコンドリアの電
子伝達系構成因子で、酸化的リン酸化反応における電子の運搬子として働
くことにとでATP(アデノシン三リン酸)の生成に関与するらしいが、
酸化型補酵素Q10は、各種疾病に対し優れた薬理と生理効果を示す物質
として医薬品以外にも栄養補助食品や化粧品に使用されている。ところが、
一方の還元型補酵素Q10は、あまり注目されていなかったが、酸化型補
酵素Q10――別名ユビキノンまたはユビデカレノンは、鬱血性心不全薬
として医薬用途に、また医薬用途以外でも、ビタミン類同様、栄養剤、栄
養補助剤として経口剤および皮膚用剤として広く用いられている――より
も有効――優れたコレステロール低下作用を有する抗高コレステロール血
症剤、抗高脂血症剤や動脈硬化症治療及び予防剤――だと認知されている。
さらに、人間だけじゃなく、食用動物やペットの食餌などに含ませて、よ
り高品質で安定量産や高付加価値を目的とした栄養補助食品などに応用展
開されてきている。


最新コエンザイム製造工学

さらに、話を広げてみよう。

株式会社カネカなどがコエンザイムの製造法を研究開発するなかで、微生
物によるリグニン関連物質からのポリヒドロキシアルカン酸(PHA)=生分
解性ポリエステル型ポリマーの製造方法を発明する。

この生分解性ポリエステル型ポリマーのポリヒドロキシアルカン酸(PHA
を微生物で生産する方法――地球温暖化の要因物質のひとつである二酸化
炭素の発生抑制に、植物由来の糖や油を原料としたバイオプラスチック、
バイオエタノールなどの生産が試みられている一方、芳香族化合物のリグ
ニンは安定な化合物なためほとんど利用されず、①自然界のリグニンは白
色腐朽菌によりリグニン誘導体に分解→②微生物細胞内で芳香族カルボン
酸を経て、ピルビン酸、オキサロ酢酸、コハク酸に変換→③ピルビン酸か
ら誘導されるアセチル-コエンザイム (補酵素A/上の「
アセチルCoA」) は、
天然の微生物の一部が栄養制限下で細胞内にエネルギー貯蔵物質として蓄
積するPHAの前駆体の一つとされる。

特開2015-077103

このPHAは包装材料や医療分野での熱可塑性、生分解性、生体適合性を有
す高分子材料であり、未利用原料のリグニン関連物質を利用したPHAの微
生物生産は、未利用なバイオマス資源の活用という点で重要であるにもか
かわらず、これまで報告されてこなかった――が多数報告されているが、
PHAを生産する多数の微生物が知られているが、リグニン関連物質からの
PHAの生産については知られていない。それじゃ、つくっちゃおうという
ことで、上図の新規考案――リグニン誘導体とあるいはそのポリヒドロキ
シアルカン酸生合成中間代謝物に資化性を有するカプリアビダスCupri-
avidus
)属、ラルストニア(Ralstonia)属又はアルカリゲネス(Alcaligenes
)属に属する微生物を、リグニン誘導体とそのポリヒドロキシアルカン酸
生合成中間代謝物の群から少なくとも1つの物質を炭素源として含有する
培地で培養し、この微生物菌体からポリヒドロキシアルカン酸を回収する
ことを含む、微生物によるポリヒドロキシアルカン酸の生産方法――が提
案されている。

つまり、『新しい生物学の教科書』の「寿命進化」から「コエンザイム」
を介し『オールバイオマスシステム』(OBS)に収斂させてみたという
ことにつきる。^^;。

 

 

 
【最新低コスト・高効率太陽電池工学】

● 長波長光変換可能な薄膜ペロブスカイト系

物質・材料研究機構の研究グループは、800ナノメートル以上の長波長
の太陽光が利用できるペロブスカイト材料の製造法を開発。従来の方法と
比べ、太陽光に対する感度が40ナノメートル広く、高変換効率を実現し
たと発表。

これまで、長波長領域の光も吸収できる2種類のカチオン(MAとFA)を混
合したペロブスカイト材料((MA)xFA1-xPbI3)の開発されていたが(1)
混合比率の制御が困難、(2)結晶温度の制御が困難、(3)混合結晶相
で、単一結晶相の高純度ペロブスカイト材料による作製法が未確立であっ
た。

この問題解決のため、(1)まず、作製温度を変えながら純粋な単一結晶
相の前駆体FA1-xPbI3材料を作り→(2)この材料をMAI(ヨウ化メチルア
ンモニウム)と反応→(3)生成ペロブスカイト材料(MA)xFA1-xPbI3 が、
単一結晶相で、蛍光寿命が長く、材料中の電子再結合が少なく、電子寿命
が長いことが判明。

したがって、従来型のペロブスカイト材料(MA3PdI3)より(1)太陽光
の感度が40ナノメートル広く、(2)840ナノメートルまで伸び、従
来より短絡電流が1.4ミリアンペア/平方センチメートル高い。

上図/左下(a)に示すように、まず、PbI2FAIの混合溶液を基板上に塗布
し、130-140℃の熱処理することにより、FA1-xPbl3の純粋な単一結晶膜を
形成。その層の上にMAI(ヨウ化メチルアンモニウム)の入ったイソプロパ
ノール液を塗布してMAI層を設け、加熱により2つの層の材料を反応させ
て 高品質なペロブスカイト材料(MA)xFA1-xPbl3材料を得る。上図右下(b)
には各種方法で作製したペロブスカイト膜のX線回折パターンを示す。
今までよく用いられた一段浅漬法 (One-step method) やニ段浅漬法(Two-
step method)   より、今回開発した新規方法で得られたペロブスカイト太陽
電池 は前駆体 Pbl2FA1-xPbI3等の不純物を含まず、純度が高いこと判明。




今回の作製方法で純度の高いペロブスカイト材料を得られた理由は、上記

の第一段階における熱処理による純粋なFA1-xPbl3の結晶膜の形成条件を見
つけたことにある。Pbl2FAIの混合溶液を基板上に塗布した後、熱処理
温度が130℃以下では、不純物を含めたδ-FAPbI3膜(Ⅰ)、130-140℃では
純粋なFA1-xPbI3膜(Ⅱ)、140℃以上では不純物を含めたa- FAPbI3膜(Ⅲ
)が得られることが分った(上図/左上)。このうち、前駆体 FA1-x、PbI3
膜(Ⅱ)を使用することで、単一結晶相で高品質なペロブスカイト膜の作製
が可能となった。さらに、この方法で得られたペロブスカイト膜は、蛍光
寿命が長いことがわかった(上図/左下(a))。 他の2つの前駆体(ⅠとⅢ)
に比べ、蛍光寿命が長いことは、ペロブスカイト材料中の電子再結合が少
なく、電子寿命が長いことを示唆。さらに、この材料を用いた太陽電池は
MA3PbI3より太 陽光に対する感度が40ナノメートル広く、840ナノ
メートルまで利用可能な波長領域が伸びていることが分かった(上図/右
下(b))。より幅広い波長の太陽光を利用できるため、高い短絡電流が期
待できる。従って、今回開発した新しい方法は、ペロブスカイト太陽電池
の高効率化に有効な方法と考えられる。

今回、この材料において、混合カチオンの比率および太陽電池デバイスの
作製条件は必ずしも最
適化されていないため、変換効率は13%に留まっ
ている。今後は、この成果をベースに、カチ
オンの比率を調整することで、
より広い波長領域の太陽光が利用できる高品質材
料を開発し、同時に、太
陽電池デバイスの作製条件の最適化で、より高い変換効率
を目指す。また、
これらの成果の実用化研究を民間企業と共同で推進することで、火力発

並みのコスト(7円/キロワット時)を実現すると共に、太陽電池普及に
貢献していくという。

しかし、目標の7円/キロワット時は既に米国で4.8円/キロワット時
が達成されており(『時代は太陽道を渡る。』2015.07.15)、この数年の
うちには、
米国での太陽光発電の平均的な電力費として達成しているので
はと考えられる。なので、この時点で、目標としてはスケールが小さ過ぎ
るのではないだろうか。



原子1個の厚みの二酸化チタンシートの作製

東北大学原子分子材料科学高等研究機構の研究グループは、「原子1個の
厚み」の二酸化チタン(TiO2)シートの作製に成功したことを発表。10
年のノーベル物理学賞の対象となったグラフェンは、原子シートの中の電
子が非常に高い速度で移動するため、超高速電子デバイスやディスプレイ
などへの応用研究が精力的に進められてきた。他にも、レーザーや発光素
子等へ展開ができる興味深い光学的性質を持つ原子シートも知られている。
新たな物質の開発競争が激化。そのひとつの「金属酸化物」は、強磁性、
強誘電性、超伝導や触媒効果などの多彩な性質をもつ魅力的な材料だが、
今まで「高機能性を有する金属酸化物原子シートを作製し、特異な機能を
創出する技術」は確立されていない。


本研究グループは、原子レベルで構造がわかっているチタン酸ストロンチ
ウム(SrTiO
3)の基板表面上にアルミン酸ランタン(LaAlO3)を堆積させ
超高分解能走査型トンネル顕微鏡と走査型透過電子顕微鏡で観察。その結
果、「LaAlO3薄膜表面に原子1個の厚みの二酸化チタン(TiO2)2次元シー
ト材料が自発的に形成される」新事実を発見。このTiO2原子シートは、金
属酸化物の多彩な物性を活用した電子デバイスや触媒材料など「新たな酸
化物原子シート」としての機能が期待されている。

これですぐに事業展開できるとは考えにくいが、逆に考えれば、開発主体
のやりたい放題も可能だろう。これは面白い。



● 今夜の1枚のグラフ

これも申し分ないと考えるのか、逆に、この数値が低すぎるのかは、主体
の問題。わたし(たち)は後者の立場だ。かって世界をリードしたシャー
プは、本社を売却するというから、皮肉な話だが、どこかヘンテコに思う。


  

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

脱貧困ビジネス社会

2015年09月02日 | 時事書評

 

 

      
          だから私はこの学校を変えたい。このヘンテコな世界を変えたい。
                  
                                      春菜ツバメ / 『学校のカイダン』

 

 

 

● 予想を超えた海面上昇 世界各地の沿岸部の地形が一変 ?!

8月26日、NASAは92年以降に世界の海面水位が平均8センチメートル昇し。従来
の予想が甘かったことを指摘した。今後、温室効果ガスの排出量が増加せず、気温上昇
が2℃以内に抑えられたとしても、世界各地の沿岸部の地形が一変するほど海面が上昇
するおそれがあることを公表(2015.09.01 ナショナル・ジオグラフィック日本版)。



● 92年以降、地球の海面水位は平均で約8センチメートル上昇


それによると、(1)地球温暖化により、海面水位は今後数百年のうちに数メートル上
昇する可能性――気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が3年前に出した陸氷の融解
を含まない予測では、温室効果ガスの排出量次第で、海面水位は2100年までに28
~98センチメートル上昇するとされていた。(2)海面水位の上昇は50年前より速
いペースで進んでいることは把握されているも、極地氷床の融解速度がわからず予測が
難しい。(3)NASAの22年分の人工衛星による観測データでは、海面上昇は平均約8
設置メートル、複雑な海洋変化で、米国西海岸沖など一部の海域では海面水位が低下す
るものの、次の10年で逆転し、太平洋沿岸部の海面水位は他の海域より速いペースで
上昇すと予想。(4)8月中旬には、グリーンランド西部のヤコブスハブン氷河が割れ
て短期間のうちに約13平方キロメートルもの氷の塊が失われたが、人工衛星が撮影し
たが、この氷河が全て融解すると、30センチメートル以上地球の海面水位が上がると
予測されているが、IPCCの予測では、氷床融解が過小評価されている。

※  NASAの科学者が作成したグリーンランド氷床の3Dモデル

予測幅は広いが、世界の10大都市のうち8都市は沿岸部にある。来世紀以降、東京、
ニューヨーク、上海、ムンバイなどの巨大都市は海面上昇に脅かされることになるだろ
うと結んでいる。いよいよ断末魔か?、わたしたちは、人類は、この危機を乗り越える
ことができるのか? ^^;。

 

  19世紀の半ば過ぎに、メンデルは生物の形質発現を担う実体を想定し、遺伝の
 法則を仮淀した。メンデルはこの実体を要素と呼んだが、
それは今日では遺伝子の
 名で呼ばれている。

  遺伝子の本体はDNA(一部のウイルスではRNA)と呼ばれる物質であること
 がわかっており、それは細胞分裂に伴って複製される。


  DNAは自分と同じDNAをつくるのである。

  原核植生物のDNAは環状の二本鎖DNAであり、その大部分は機能をもち、た
 んばく質などに対応している。一方、真核生物のDNAは線
状で、通常染色体を形
 づくっており、その大部分は機能をもたない
(少なくともいまのところ機能不明で
 ある)。通常、遺伝子は機能をも
つDNAのことであるから、真核生物の遺伝子は
 DNAの大海の中
にポツン、ポツンと浮かんでいることになる。

  さらに真核生物の遺伝子は、たんぱく質に対応している部分(エキソン)と対応
 していない部分(イントロン)からなることがわかって
いる。これは原核生物には
 見られない真核生物だけの特徴である。

分子シャペロンのダンス
 
  真核生物では、遺伝子のエキソン部分の情報だけをつなぎ合わせて
mRNAがつ
 くられ、これにしたがってたんぱく質の一次構造がつく
られる。簡単なたんばく質
 では一次構造がつくられさえすれば、自動
的にたんぱく質の立体構造がつくられる
 こともあるが、複雑なたんぱ
く質では、分子シャペロンと呼ばれる特別なたんぱく
 質の介在なしに
は、正常に機能する立体構造はつくれない。このことから、遺伝子
 は
一義的にたんぱく質に対応しているわけではないことがわかる

  遺伝子によってつくられたたんぱく質は、細胞内のシステムの条件にしたがって
 その枠内でのみ機能する。したがって、システムが異
なったり、条件が異なったり
 すれば、同じ遺伝子がさまざまな異なる
機能を担ったり、異なる遺伝子が同じ機能
 を担ったりする。生命現象
にとって真に重要なのは、遺伝子そのものよりこのシス
 テムであり、
遺伝子はシステムの部品にすぎないと考えたほうがよい。

                    池田清彦 著『新しい生物学の教科書』


遺伝子という言葉は、21世紀を象徴する言葉になりそうだね?と問いかければ、多く
のひとはうなずくだろうが、あまりにも基礎的で核心的で膨大な意味を包み込んだ「言
葉」だけに、その了解にも時間がかかってしまいそうだ。「生命現象にとって真に重要
なのは、遺伝子そのものよりこのシステムであり、
遺伝子はシステムの部品にすぎない
と考えたほうがよい
」という著者の結びは、この思いに拍車をかける。


 

 

【超高齢社会論 13: 下流老人とはなにか】  

   【目次】

  はじめに
  第1章 下流老人とは何か
  第2章 下流老人の現実
  第3章 誰もがなり得る下流老人―「普通」から「下流」への典型パターン
  第4章 「努力論」「自己責任論」があなたを殺す日
  第5章  制度疲労と無策が生む下流老人―個人に依存する政府
  第6章 自分でできる自己防衛策―どうすれば安らかな老後を迎えられるのか
  第7章 一億総老後崩壊を防ぐために
  おわりに   

  第5章  制度疲労と無策が生む下流老人―個人に依存する政府

 《8つの視点からの制度批判-まとめ》

  ここまで8つの視点から、現在の社会保障や社会システムの不備によって下流老
 人が
生み出されていることを明らかにしてきた,繰り返しになるが、下流老人に陥
 るのは個人の能力不足
や怠惰のせいなどではない。正すべきは、過度に経済優先の
 社
会システムであり、ひいては人間疎外に慣らされたわたしたちの意識と感情であ
 る。

 
  だからこそ、制度疲労を起こしている施策や時代錯誤的な政
策に、強い意志をも
 って介入していきたい。団塊の世代が高齢
期に突入し始めた今がまさに、制度の根
 本的な見直しを図るべ
き転換地点なのだ。


 
  《コラム3 下流老人の生き血を吸う「貧困ピジネス」》

  高齢者を搾取する者は、振り込め詐欺などの犯罪者集団だけではない。巧みに高
 齢者を囲い込み、人権擁護を傘に
して営利利用する「貧困ビジネス」の俘在が、明
 らかにさ
れている。

  下流老人の周辺で暗躍する貧困ビジネス
では貧困ビジネスとは、どんなものを指
 すのだろうか。

  社会活動家で反貧困ネットワーク事務局長の湯浅誠氏は、著書『反貧困』「すべ
 り台社会」からの脱出』で、貧困ビジネスを「貧困層をターゲットにしていて、か
 つ貧困からの脱却に資することなく、貧困を固定化するビジネス」であると指摘し
 ている,

  要するに、生活困窮が‥を対象にビジネスを行い、そこから抜け出すような支援
 はせず、生かさず殺さず搾収し続ける事業者のことだとIaえる。これらの業種は、
 公的機関が介入しない(あるいはできない)分野に大きな市場を形成する特徴があ
 る。一時しのぎの場として需要があり、利用者も多いが、いったんそれらのシステ
 ムに組み込まれると貧困から脱却することが非常に困難になるという恐るべき性質
 がある。

  近年、この貧困ビジネス被害者からの相談件数は顕著に増えている,はたして、
 生活困窮層や下流老人は、どのようにこの貧困ビジネスに搾取されてしまうのか
 その実例を見ていこう。

                       下流老人を大量生産する「無料低額宿泊所」

  貧困ピジネスのなかでも、とくに問題睨されているのが「無料低額宿泊所」だ。
 無料低額宿泊所とは、社会福祉法弟2条第3項に規定されている弟2種社会福祉事
 業の弟8号にある「生計困難者のために、無料又は低額な料金で、簡易住宅を貸し
 付け、又は宿泊所その他の施設を利用させる事業」である。

  筒単に言えば、住む家のない生活困窮者に、一時的に安価に利用できる部屋を提
 供する事業者を指す。この宿泊所は届出をするだけで、誰でも比較的筒単に開所で
 きるため、近年さまざまな事業者が参入してきている。しかしこの無料低額宿泊
 の利用者からの相談が、後をたたない。


  相談者が抱える悩みは、高額な施設利用料、劣悪な居住環境、粗末な食事、運営
 者への不満、転居支援を含めた自立支援の少なさ、不当あるいは違法行為の横行な
 ど、多岐に及ぶ。一部の宿泊所では、運営者による暴言や暴力による虐待があった
 り、無断で通帳をつくられ金銭管理をされているといったケースもある。

  事業者のやり口はじつに巧妙だ。まず、病院から退院しても帰る場所がない大や
 ホームレスに「力になりますよ」と声をかけて、生活保護申請を行う。そして、そ
 の生活保護費の大半を「利用料」として徴収する。
  悪質なのは、支給される生活保護費の7~8割程度をもっていかれるうえに、口
 座を管理されているため、脱出したくともそのための資金を貯めることができない
 ことだ。


  なかには福祉事務所が、相談に来た人々を貧困ビジネスヘ紹介して送り込む事
 さえある。
  これらの宿泊所を運営する事業者は、得体の知れない者も多い。たとえば埼玉県
 では、2014年に「ユニティー出発]という事業者が宿泊所の運営によって利益
 を得ていたが、税務申告をせず、数億円という多額の脱税によって逮捕される11
 件が発生した,また、「NPO法人幸興友会」という団体は、2013年に宿泊所
 利用料の業務上横領によって、代表者を含む数名が逮捕された。その事業関係者は、
 NPO法人を隠れ蓑にした元暴力団員であったことも報じられている。

  わたしのもとにもこれらの無料低額宿泊所の利用者から頻繁に相談が寄せられて
 おり、これまで刑事告訴や民事提訴などの手法で争ってきた。だが不正が明らかに
 なった団体は氷山の一角に過ぎず、埼玉県内だけを見ても依然として無数の貧困ビ
 ジネスがはびこっている。

  このように一例をとっても、無料低額宿泊所がどれだけ危険な存在であるかは明
 らかだ。ところが宿泊所はなくならないばかりか、むしろ利用者は年々増えつつあ
 る。理由は単純で、住居を求める人々(需要)に対し、受け入れる社会資源(供給)
 が少なく、需要と供給のバランスが崩れているため、宿泊所がどれだけ劣悪なサー
 ビスを提供しても市場から排除されないのだ。また、役所の福陸課に相談しても、
 彼らも時間をかけて住居を探す余裕がないため、安易にこのような宿泊所を紹介し
 ているといった現状もある。



  近年の社会福祉では、大規模な施設への収容に依存しない「脱施設化]が掲げら
 れ、高齢者も在宅で生活ができるような支援施策が整えられてきた。だが無料低額
 宿泊所は、そのような社会福陸の流れとは逆行するような施設形態であろう。宿泊
 所のさまざまな問題は、こうした社会福祉がとりこぼした部分に発生している。ど
 れだけ違法な宿泊所を取り締まろうとも、セーフティネットのほつれ自体を修復し
 なければ、貧困ビジネスによる生活困窮者の搾取はなくならない。

  そのため、今後は無料低額宿泊所に代わる新しい社会資源の創造が求められる。
 たとえば、①不動産業界と連携してアパートでの「居宅保護」を推進し転居支援
 すること、②一時通過型シェルターの設置(宿泊所のシェルター機能化)、③対象
 を選別しない小規模グループホームの設置、④公営住宅の活用、などである。これ
 らは決して実現不可能なことではないはずだ。劣悪な宿泊所に対しては、今以上に
 行政の介入を期待したい。

                                       藤田 孝典 著『下流老人』

これに対する活動(脱貧困ビジネス社会運動)もあるようだから、ここではそれを期待
したいところだが、原則だけを付け加えると、ボイコット(不買・不同意同盟)に、よ
り多くの人が参加し、風通しのよい、開明的な運動を展開できればと期待している。
回は第6章へ。

                                                  この項つづく

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アベノミクス前途多難

2015年09月01日 | 時事書評

 

 

      

           小田原と大井町に設置した自前の電子基準点を解析したところ、7月
       13、14日に異常な値が出ている、ということは今後3~6ヶ月の
       範囲内で、小田原、箱根地区など南関東でなんらかの地震が来る可能
       性が非常に高い。

                                  村井 俊治
                                 
                                      

  
2015.08.23

11年の東日本大震災が起きる3日前には、村井らが解析した電子基準点のデータで、
プレスリップと呼ばれる異常な現象が確認。今後、データ解析の精度を高めていけば、
巨大地震予測は不可能ではないと言う。「週刊MEGA地震予測」のユーザー大会で、村井
顧問は、3~6ヶ月後に箱根・小田原地区の南関東でなんらかの地震が来る可能性が非
常に高いと答えている。また、メルマガ『週刊MEGA地震予測』(8月19日号)震度5
以上
の地震が発生する可能性が極めて高い「要警戒地域」に南関東地方に加え、北信越、
岐阜県を挙げている。つまり10月~1月の範囲で発生すると(火山噴火との関連は
どうなんだろう?)。
 

 

 

【超高齢社会論 12: 下流老人とはなにか】 
 

 

秋葉原通り魔事件が "ワーキングプアー"に 象徴される、過剰競争と自己責任の原理が
もたらす格差拡大社会の歪みとして発生したように、まもなく、日本の高齢者の9割が
下流化する。本書でいう下流老人とは、「生活保護基準相当で暮らす高齢者、およびそ
の恐れがある高齢者」である。そして今、日本に「下流老人」が大量に生まれている。


この存在が、日本に与えるインパクトは計り知れないと指摘したように、神奈川県小田
原市を走行中の東海道新幹線で焼身自殺した事件――71歳の林崎春生容疑者による「
下流老人の反デフレテロ」ではないかとブログ掲載(極東極楽 2015.07.02 )。『下流
老人』の著者である藤田孝典は、「東京都杉並区の生活保護基準は、144,430円
(生活扶助費74,630円+住宅扶助費69,800円 【特別基準における家賃上限】
)である。資産の状況やその他の要素も検討しなければならないが、報道が事実だとす
れば、年金支給額だけでは暮らしが成り立たないことが明白だといえる。

要するに、生活保護を福祉課で申請すれば、支給決定がされて、足りない生活保護費と
各種減免が受けられた可能性がある。月額2万円
程度、生活費が足りない(家賃や医療
費などの支出の内訳にもよる)。生活に不安を抱えどうした
らいいか途方に暮れる男性
の姿が思い浮かぶ」と語っている(YAHOO!ニュース「新幹線火災事件と高齢者の貧困
問題ー再発防止策は 「貧困対策」ではないか!?」2015.07.02)を受け、藤田 孝典著
『下流老人』の感想を掲載していく。
 

  【目次】

  はじめに
  第1章 下流老人とは何か
  第2章 下流老人の現実
  第3章 誰もがなり得る下流老人―「普通」から「下流」への典型パターン
  第4章 「努力論」「自己責任論」があなたを殺す日
  第5章  制度疲労と無策が生む下流老人―個人に依存する政府
  第6章 自分でできる自己防衛策―どうすれば安らかな老後を迎えられるのか
  第7章 一億総老後崩壊を防ぐために
  おわりに   

  第5章  制度疲労と無策が生む下流老人―個人に依存する政府

  《5 住宅の不備-住まいを失う高齢者》

   下流老人が住まいを失うのは、そもそも目本の住宅環境が整備されていないため、
  という問題もある。つまり「住宅を失った高齢者をどうす
べきか」ではなく、「高
 齢者が住宅を失わないためにどうすべきか」と
いう議論をまずしなければならない。
  もっとも抵抗なく行える手段は、公営住宅への入居だ。公営住宅は、低所得者層
 のために地方公共団体が建設・運営を行う賃貸住宅で、近隣
の同物件の相場と比較
 しても、半額もしくは3分の1程度の家賃で借り
ることができる。だが、この公営
 住宅も圧倒的に数が足りていない。


  わたしは生活困窮者の支援活動の一環として、公営住宅の応募申し込
みも行って
 いる。しかしたいていの人々は、年収が極めて低く、公営住
宅への応募要件を満た
 しているにもかかわらず、応募し続けても当選し
ない。公営住宅の当選倍率をご存
 知だろうか。首都圏の倍率は、だいた
い30倍から、ときには800倍という異常
 な高さになることもある。ち
なみに東京大学の入試合格倍率は、学部によって違い
 はあるが、概ね2
倍から10倍である。同列に比べられないのは承知のうえだが、
 日本の公
営住宅へ入居することは、日本の最高学府に入学するよりもはるかに難
 いと鄙諭したい気持ちにもなる。


  だから仕方なく、多くの人が民間賃貸住宅で重い家賃負担に耐え、苦しい生活を
 送らなければならない。そしてそれが理由で貯蓄が底をつき、住まいを失う場合も
 ある。
  たとえば、家賃負担が重く、生活が成り立たなくなった高齢者2人の事例を見て
 てほしい。長年、住宅機器メーカーに勤めてきた男性は、月額14万円の厚生年金
 の収入だけでは生活費が足りず、貯金や退職金を切り崩して生活してきた。彼には
 65歳の時点で、「貯金+退職金]の約1200万円の資産があった。しかし定年
 退職から17年ほど経ったり82歳のときに、資産は底をつく。そのため月7万円
 の家賃負担に耐えられず、3か月同家賃を滞納した後、アパートを自ら退去して、
 現在は友人宅に身を寄せて豚らしている。

  また、65歳までの約40年間、小さな町工場で働き続けながらコツコツ貯金し
 てきた男性もいる。退職後は、「貯金もあるし、年金も入ってくるから大丈夫だろ
 う」と思っていたが、75歳頃から身体を壊し、医療費の負担が目に見えて増えて
 いった。そして、とうとう78歳になったときに、家賃滞納を理由にアパートを退
 われてしまう

 「そうなる前に家賃の低い地方へ引っ越せばいいではないか]という声もあるが、
 それは多くの高齢者にとって非現実的な話だろう。田舎に高齢者はたくさん住んで
 いるが、その大多数が元来その土地で暮らしてきた人々だ。築いてきた生活基盤や
 所有する資産がまったく違う。何より体力が衰え、資産の少ない高齢者が、誰も知
 らない上地に一人で移住すすること自体に、大きなリスクが伴う。体力があり、就
 労もできる若者が地方に移住するのとはワケが違うのだ,

 「年金のほとんどが家賃に消える」という声はあまりにも多く、対策はもはや一刻
 の猶予もないように思える。わたしは相談を受けながら、常々家賃負担が公営住宅
 ほど安ければ、このような現象は起きていないと考えている。そろそろ海外と同様
 に、社会住宅や公営住宅を整備するべき時代に突入しているはずだ,家賃負担が下
 がれば、低年金であっても暮らせる高齢者は多くいる。生活保護受給世帯のうち多
 くを占める低年金屑も、一気に生活保護から脱却することが可能であり、生活保護
 受給者数の減少にも効果があるはずだ。


  《6 関係性―つながリ構築の不備―助けの手が届かない》

  第1章で、下流老人は、社会的に孤立している状況にあると指摘した。これは逆
 に言えば、下流老人を救うには孤立しない状況をつくり出すことが必要ということ
 だ。
  社会的に孤立した場合にどのようなリスクがあるかは、第2章で説明したとおり
 だ。とくに認知症の高齢者は金銭管理すらできない状況であ
り、詐欺被害にも遭い
 やすい。これらの事態は稀なことではなく、全国
で散見される,認知症になってい
 るかどうかは、家族や親族、親しい友
人がそばにいても気づきにくいのだから、一
 人暮らしでは、なおさら発
見は遅れる。そのため、制度や政策として、下流老人を
 発見する機能が
必要になる。

  そのためには先述したとおり、行政の「申請主義]の体制を見直さなければなら
 ない。下流老人の多くは、自分から窓口には行かないし、行
けない心f情がある。
 たとえば、伊賀巾社会福祉協議会では、社会的に孤立している高齢者に対し、アウ
 トリーチ(家庭訪問)などを行っている。悪徳商法にだま
されることがないように
 民生委員らとともに地域の高齢者を見守り、未
然に被害を防いでいるのだ。このよ
 うな社会福祉協議会の取り組みは、
いまだに少ない同社実践である。

  今後はこのような取り組みを、制度や政策のレベルでバックアップしていくべき
 だろう。それができなければ、振り込め詐欺による被害防止
や、下流老人の孤立死
 防止のための早期発見も期待できない。高齢者を
見守る地域ネットワークを強化す
 ることは、行政や警察、介護・福祉関
係者らが協働して解決しなければならない横
 断的な課題である。



  《7 生活保護の不備―国によって操作される貧困の定義》


  生活保護基準が年々引き下げられていることをご存知だろうか。じつは自民党

 マニフェストにも削減目標が掲げられ、政権交代前と比較して、約10%引き下げ
 ることが規定された。生活保護受給者の生活実態を省みることなく、削減目標が一
 人歩きを始めている。現在もその削減が進行中であるほか、住宅扶助費やその他の
 生活費も削られ続けている,

  これに伴い、「生活保護基準を下げるな」という民事裁判も全国で多発している。

  この基準が下がれば、これまで貧困であった人が貧困ではなくなり、救済対象か
 ら除外されることになる。極論を言えば、明日食べるものが
何もない状態でも、国
 が「それはまだ貧困ではない」と決めれば、救う
必要はなくなるということだ。
 
  福島第一原発の事故に伴い、一般国民の被曝線量上限基準値が、年
間1ミリシ
 ーベルトから20ミリシーベルト、大幅に引き上げられたの
は記憶に新しいが、
 まさにこれと似た手法である。

  現状における解決が困難だからといって、その時々の都合で基準を変えていたら、
 そもそも基準としての意義自体が失われてしまうだろう。
  下流老人をめぐっては、救済対象が多すぎることから、その対象者数を減らそう
 とエ作が始められている。誰をどのような範囲で救済するか
は、厚生労働大臣が独
 自に決めているが、その決め方はあいまいで説明
不足といった印象を試えない。だ
 から、全国で生活保護受給者が提訴す
る事態に発展している。

  1950年代後半には、結核患者で生活保護受給者の朝日茂氏が起こした「朝日
 訴訟」という有名な銭判がある。彼は、結核療養所での生活
が健康で文化的なもの
 になっていないと主張し、人として最低限守られ
るべき、生活保護基準や生活水準
 について世に問うた。結局、朝日訴訟
は原告の死去によって終結を迎えたが、この
 裁判が与えた影響は極めて
大きい。それ以降、国民全体の消費実態に応じて基準が
 見直され、徐々
に生活保護の水準は向上してきた。しかしついに、これまでの基準
 が破
られ、引き上げられる時代が到来したことになる。

  また生活保護制度については、基準値だけでなく、その使いづらさも
問題だ。前
 述したとおり、日本には生活保護を受けることが恥ずかしい
と思う文化がある。ま
 してやそれが立派なことのように吹聴する政治家
も後をたたない,たとえば、自民
 党の片山さつき参議院議員などは、自
著の『福祉依存のインモラル』のなかで「生
 活保護を受けることが
ずかしいと思わなくなったら良くない」と述べている。単
 なる社会保障
制度を利用することに、なぜ恥ずかしいと感じる必要があるのだろうか。恥
 ずかしいと思った人々は、当然生活保護申請をためらい、要支援者の早期発見に資
 することはできない。

  政府や国会議員の最低限の役割は、国民の生命や財産を守ることである。これら
 を追求することをやめてしまった政治家のインモラルさこそ、醜悪だと思わざるを
 得ない。




 《8 労働・就労支援の不備―死ぬ直前まで働かないと暮らせないり!?》

  若い世代を中心に、「わたしたちの匯代は年金支給額も低くなるし、死ぬまで働
 かないといけない」という話をよく聞く。それは案外、的を射ているかもしれない。
 内開府の「平成26年版高齢社会白書」によると、65歳を超えても働くことを希望
 する人の合計は50・4%で約半数におよび、そのうち働くことを希望する理由に
 ついて は「生活費を得たいから]が76・7%と最も多かった。
実際に総務省統
 計局「統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)」(2OI14)によれば、老
 後も鴎き続けなければ生活費を得ることが難しい高齢片の実態が見て取れる この
 「働く高齢者」の姿は、先進諸国では特異ななもので、日本の老後の社会保障の脆
 弱さを端的に物語っている。
 

   たとえばフランスでは高齢者の2・2%しか働いていないのに対し、日本の高齢
 者は20・1%も働いている。労働というかたちで、社会との
つながりを維持する
 ことは、ある意味で前向きに評価できる面もある
が、しかしなぜ日本の高齢者はこ
 んなに働かなければならないのか。端
的に言えば日本が、老後も働かなければ暮ら
 せない社会システムになっ
ているからだろう。

  実際、働く高齢者の割合は増え続ける傾向にある。平成26(2014)年時点で
 高齢者の就業者数は681万人と過去最多を記録した。

  25年前と比べ、高齢者の就労人数はほぼ倍増している。また、総就業者数に占
 める高齢者の割合は10・1%で、こちらも過去最高を記録してい
る。職場の10
 人に1人は、すでに定年を迎えたはずの高齢者が役割を担
っている社会だとと言え
 る。

  このような統計資料は意外と知られていない。だが、わたしたちの老後は働かな
 ければ暮らしていけないように、確実に変化している。労働は尊いことではあるが、
 死ぬまで働き続けなければ暮らしていけない社会ははたして幸福と言えるだろうか。
 経済的に豊かでなくても、家族に囲まれて安心した余生を過ごしたいと思うのが人
 情ではないか。

  老後に就労するにしても、シルバー人材センターなどは知られているが、十分な
 賃金が保障されているわけではない。生活費が足りない高齢者が引き続き、安全に
 働けるように就労支援を行う必要がある。しかし、若者でさえ、安心して働ける就
 労環境が壊れているなかで、高齢者の就労環境を整備していくことは容易ではない。
 原則は、高齢者が働かずとも生活ができる給付制度を整備することが先決であろ
 う



片山さつきの本を読んでいないが、「活保護を受けることが恥ずかしいと思わなくなっ
たら良くない」との主張は、わたしの同級生(大阪府在住)が、それまでの「わずかな
年金と非正規就労」(年収が支給基準をオーバーすると年金がカットされ逆に減収とな
る)から、より収入の多い「生活保護制度」に切り替え、「母親の恩給」との二人暮ら
を選択した。実直な彼にして"恥じる"ことなくクールに割り切っているのが実情だった。
自分をそこに置き換えて考えると、(1)元気な場合は、少し負い目を感じ就労を選択
するが、(2)逆に、罹患・障害を負っているなら「社会に感謝」して暮らすだろう。
要するに、小高し財務官僚上がりの発言で些末な感情論だと思う。いずれにしても、現
政権の経済運営では将来は「暗い」とだけは断言できる。さて、次回は「8つの視点か
ら制度批判―まとめ」から第6章に入る。

                                この項つづく



  食物や生活空間がよく似た2種の生物間では競争が激しく、同所的に生活すると
 一方
の種が滅んでしまうことがある。たとえばゾウリムシとヒメゾウリムシを同一
 の水槽内で飼
育すると、ゾウリムシは絶滅してしまう。

  この現象は競争的排除則として知られるもので、「同じニッチをも
つ近縁の2種
 は共存できない」という標語で表される。ニッチ(生態
的地位)とは、群集の中で
 ある生物種が占めている位置のことで、具
体的には何を食べ、どこに住んでいるか
 という生活様式のことである。

  完全に同一のニッチをもち競争力も同じ2種はむしろ共存するであろうから、競
 争
的排除則が成立するためには、ごく近いニッチで、しかも競争力が異なる必要が
 ある。とこ
ろが野外では環境もどんどん変化し、それに伴い競争力も変化するから
 実際にどれだけ競争的排除
が成立しているか疑わしい。実験室内でも環境を複雑
 にすると共存
することが多い。

  たとえば、コクヌストモドキとヒラタコクヌストモドキは、温度と
湿度によって
 競争力が違い、一定の環境条件では一方が絶滅するが、
条件が周期的に変動すれば
 共存する。また、アズキゾウムシとヨツモ
ンマメゾウムシは2種だけで飼うと一方
 が絶滅するが、共通の寄生蜂
であるゾウムシコガネコバチがいると共存する。これ
 は寄生蜂の存在
によって2種の密度が抑えられ競争が緩和されるからだと考えられる。

  大腸菌のグルタミン合成酵素活性が異なる変異株同士の競争では、活性が高い株
 の増加が活性が低い株の競争力を強め、共存することが
知られている。すなわち活
 性の高い株が増えるとグルタミンが培養液
中に漏出し、活性の低い株はこれを利用
 して増殖するのである。

  さらに生物は環境変化に合わせてニッチを自ら変化させることがあ。たとえば
 トノサマバッタは密度が高くなると、埋の長い群生相に
なり、移動型のニッチに自
 らをつくりかえる。ニッチは種固有の性質
というよりも、種が自らの遺伝的制約の
 枠組みの中で、環境変動に合
わせて、その場その場で開拓するものだ、と考えるべ
 きであろう。

 

                    池田清彦 著『新しい生物学の教科書』


※ いろいろ考えさせられると感心。

 

 


 

 ● 今夜の2つのグラフ

ところで、中国の上海株価暴落の影響で「リーマンショック級になる恐れあり」(ダイ
ヤモンドオンライン「高橋洋一の俗論を撃つ」2015.08.27)と高橋洋一嘉
悦大学教授が
統計解析を行って解説しているが、その1つが「成長率とその要因の推移」で、14年
と同様に17年も消費税増税の影響を受けマイナス基調必至と指摘し、中国の経済減速
は輸入額の逓減により「リーマンショック級」の影響を与えると株価変動偏重をたしな
めながら? 解説。一時的に"赤色国家官僚独裁制"(「ロシアマルクス+新自由」主義)
のハンドグリップで強引に切り抜ける(内需拡大・軍需拡大、あるいはバク買いなどの
消費喚起)かもしれないが、当の日本は"アベノミクス破綻"で、火山・震災などの復興
内需がなければ、17年にかけて大きくリセッションする可能性が大きい。ならば、
スト・安部自公政権
(政権交代)誕生もありうるだろう。




   ● 今夜の一曲 
 
加藤登紀子 『難破船』


 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする