極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

進化するドローン

2016年01月07日 | 時事書評

 

 

 

 

    すべての欲望を
       捨て去ることなどできない。
       また、そこまでする必要もない。

       ただ、あまりにも
       不必要なものに囲まれていると、
        自分とは何者なのかが
       見えにくくなってくる。

                   加島 祥造

 

【日本最古の「ため池」のまち:再生エネで化石燃料ゼロへ】

大阪府の南部に位置する大阪狭山市は、再生可能エネルギーと水素を活用する新たなま
ちづくりプロジェクトを開始した。産学連携組織である「グリーン水素シティ事業推進
研究会」が主体となり、再生可能エネルギーで製造した二酸化炭素フリーな水素の供給
インフラを整備するなど、化石燃料を使用しない「グリーン水素シティ」の実現を目指
すという(スマートジャパン 2016.01.06)。下図がその計画骨子の概説である。

(1)水素発電と電力貯蔵事業、(2)再生可能エネルギー事業、(3)市内全域を対
象としたエネルギーマネージメントシステムの構築およびWi-Fi事業、(4)水素自動車・
水素バス事業、(5)公共公益施設の省エネルギー改修事業などの5つモデル事業を中
心に展開していく。この事業の後背に、約140カ所、市面積全体の約1割を占めるほど
多くのため池がある。中でも最大の「狭山池」は現存する日本最古のダム式ため池で、
16年で築造から1400周年を迎え、これを機に水素を活用した発電と電力供給事業
を手掛ける「メルシーfor SAYAMA」を同市の百%出資で設立、同社は恩恵を受けてきた
「水」をキーワードに、「水素」と「ため池」を結び付け、「活用(地産地消)」「利
益(財源)」「自立」を目的にグリーン水素シティの実現を目指す。

 

 

  

【燃料電池ドローンが登場、水素が飛行時間を数時間レベル】

● 進化するドローン

英国Intelligent Energy(インテリジェントエナジー)は、燃料電池の開発や研究を進めるエネル
ギー技術企業だ。燃料電池自動車(FCV)や民生機器向けや分散型電源システム用のなどの燃
料電池について研究開発を進めている。同社グループでは、25年以上にも及ぶ研究開発により、
燃料電池についての多くのノウハウや特許を持ち、千以上の特許と四百以上上の特許ファミリ
を保有。これらの燃料電池のノウハウを生かして開発したのが今回の米国ラスベガスで開催さ
れる民生機器の展示会「CES2016」に試作機を出典する。参考:燃料電池搭載ドローン(下図)。 

 

今回の同社の開発した燃料電池搭載ドローンでは、燃料電池をメインのモーターの駆動
用に使うのではなく、航続距離を伸ばす「レンジエクステンダー」(航続距離延長装)
置の役割で搭載。現在のドローンは市場が急成長する一方で、電池の問題で航続距離が
短かったり、電池の充電時間が長すぎたりして、利用範囲の制限を受けている状況。同
社が開発したドローンではバッテリーと軽量の燃料電池スタックを組み合わせることで

大幅に航続時間を伸ばし充電時間を短縮することに成功したとしている。現状では20
分程度の航続時間を、数時間程度に伸ばすことに成功した他、1~2時間かかっていた
充電時間をわずか2分に短縮することができたという。これらによりドローンの非稼働
時間を大幅に削減することが可能になる。

同社ではこの10年間、ボーイング社の研究部門であるBoeing Phantom Worksと共同で、
商業ベースでの燃料電池飛行機を使った有人飛行の実現に向けた研究開発を進めてきた。
また、エアバスと共同で燃料電池を補助動力装置についても研究開発を進めてきた。
14カ月前には、燃料電池とバッテリーのハイブリッドシステムでドローンを飛ばす試
験飛行も行っている。テストは2つのパターンで行っており、1つは燃料電池のみの動
力で飛ばす形、もう1つは燃料電池と通常バッテリーを組み合わせたものだ。またカメラに
ついても安定した映像で途切れなく撮影できる。

【関連特許】  US 9174843B2  Valve having concentric fluid paths

 

図1 液体反応物を受信し水素ガスを出力するための同心のバルブアセンブリを有する
   水素発生器を含む燃料電池システムの概略図
図2 図2に示す弁アセンブリを有する水素発生器の斜視図
図3 図2の水素発生器の断面図

【要約】

バルブアセンブリは、同心の流体経路を備え、水素発生器と水素ガスと液体反応物を輸
送する水素発生器で使用できる。バルブアセンブリは、ハウジングと、第2の流体路、
第1流体経路に配置された第1弁部材、および第2流体経路内に配置された第2弁部材
を含む。また、第2の細長い部材を含む第1の流体が第1流体経路を通って流すことが
できるように、第1弁部材を開くために、第1バルブ部材と係合構成(つなぎ合わせ)
した第1の細長い部材、第2流体ポート、コネクタを含む第2の流体経路を通って流れ
る。さらに、第2の流体経路は、少なくとも第1の流体経路の一部を同心で囲む。

※ 参考特許

・US9,231,351  Smart plugs, smart sockets and smart adaptors 
・US9,056,768  Hydrogen generator and fuel cartridge 
・US9
,029,040  Fuel cell stack and compression system therefor 
・US9,051,183 Hydrogen generator having reactant pellet with concentration gradient 
・US9,051,183  Hydrogen generator having reactant pellet with concentration gradient 
・US9,111,124  Key verification of replaceable fuel cartridges 
・US9,142,849  Pump assembly for a fuel cell system 
・US9,162,201  Hydrogen generator having liquid delivery member 
・US9,174,843  Valve having concentric fluid paths 

 

    

 

【中国の思想: 墨子Ⅴ】
 
  公輸――墨子と戦争技術者※
  尚賢――人の能力を正当に評価せよ
 兼愛――ひとを差別するな※
  非攻――非戦論※
 節葬――葬儀を簡略にせよ
 非楽――音楽の害悪
 非命――宿命論に反対する
 非儒――儒家批判
 親士――人材尊重
 所染――何に染まるか
 七患――君子の誤り七つ
 耕柱――弟子たちとの対話
 貴義――義を貴しとなす
 公孟――儒者との対話
 魯問――迷妄を解く
  

 

  ※ シリーズとして掲載(途中も含め)した「編章節」はピンク色にしている。

   非儒 - 『墨子』   

● 偽善者、孔子


孔子はまた、魯国の司寇(司法長官)となったとき、魯の宗室のことはかえりみず、権

臣の季孫にばがり奉仕した。季孫が、魯の君主の宰相であったとき、国外逃亡を企てた
ことがある。それが露見して関守と争ったときには、孔子は力まかせに関所の門柱を引
き抜いて、季孫を逃がしてやったりしている。

 孔子はまた、陣と蔡との国境で進退きわまり、十日間あかざの汁だけで、穀物は一粒も


口にできなかったことがある。そのとき子路(孔子の弟子)が豚の肉を煮てすすめたと
ころ、かれは、どうして手傷 に入れたかききもしないで食った。また、子路が追剥を
動き、その金で酒を買ってすすめると、どうして手に入れたかききもしないで、飲んで
しまった。それなのに、その後、哀公に迎えられたときには、席順がまちがっていると
いって坐らず、食事を出されると、料理の仕方がわるいといって食べなかった。

 子路が進み出て、
「陣、蔡のときは、こんなことはおっしゃらなかったではありませんか」
 とたずねると、孔子は、
「こちらへこい。説明してやろう。あれはあれ、これはこれだ。あのときはどんなこと
をしても生命さえ保てばよかった。だがいまはちがう。少しは義らしいものをみせなけ
ればいけない」とこたえている。
 食物がなければ、どうやって手に入れたものであろうがおかまいなしに食うくせに、
たらふく食えるときには、人目をごまかして自分を飾ろうというのだ。世の中にはずい
ぶん憩い奴がいるが、これほど陰険な奴はいない。
 また、孔子は、その門弟だちとくつろいでいたときに、
 「舜は、天子として軒叟(舜の父)に会うと、子の自分が父を臣下にしているため、
聖入らしくもなく気おくれし、不安の色が顔にまで現われたものだ。子が父を臣下とす
る有様だったから、天下は危機に瀕した。
 また、周公示は仁者ではない。自分勝手に家族を棄てて東国に寄寓したものが、どう
して仁者であろうか」と放言したものだ。

孔子の言行は、その心ざまの現われである。弟子たちはみな、孔子をみならった。子貢
と墨跡は乱作を助けて衛国で乱を起こしたし、陽貨は斉で乱を起こした。魯の仏肸は中
牟の地で謀叛し、漆雛は処刑の憂き目にあっている。これほど門下から乱賊が出た例も
珍しい。 弟子や後輩は、みな師の言葉を学び、その行ないを模範にして、せいいっぱ
い努力するものだ。孔子の言行が以上のようなものであるからには、その流れを汲む現
在の儒者なるものは、信用しないほうが賢明である。

 


〈関所の門柱を引き抜く〉原文は決植(狛を決す)。この部分は脱文が多く、定説はな
い。『呂氏春秋』慎大幅には、「孔子の勁き、よく国門の関を挙げしも、力をもって聞
ゆるを肯んぜざりき」とあり、また『淮南子』道応訓には、「孔子の勁き、国門の関を
杓く」とある。おそらく、季孫が逃げる時に、城門がしまってしまい、逃げ出せなかっ
たので、孔子が城門をこじあけてやったのであろう。事実だとすると、孔子はよほどの
力持であったらしい。

〈予言と季路〉季路が叛乱を起こしたのは、魯の哀公十丑年のことで、孔子の死ぬ一年
前である。当時、かれは衛の大夫孔佃の家臣であった。衛の霊公は、太子の副順が気に
食わず、国外に追放してしまった。霊公の死後、剔順は国に戻ってきて、孔憚をおびや
かし、王位をうばいとった。そのとき、季路は剔順に反抗したため、斬り殺され、死体
はしおからにされたという。子貢が当時、季路といっしょにいたかどうか確かではない。

 



        

 孔某人做了魯國的司寇、放棄公家利益而去侍奉季孫氏。季孫氏為魯君之相而逃亡。
 季孫和邑人爭門關、孔某把國門托起,放季孫逃走。
孔某被困在陳蔡之間,用藜葉做
 的羹中不見米粒。第十天、子路蒸了一只小豬、孔某不問肉的來源就吃了。
又剝下別
 人的衣服去沽酒、孔某也不問酒的來源就喝。后來魯哀公迎接孔子、席擺得不正他不
 坐、肉割得不正他不吃。子路進來請示曰。為何與陳蔡時的相反呢。孔某說。來我告
 訴你、當時我和你急于求生、現在和你急于求義。在饑餓困逼時就不惜妄取以求生、
 飽食有余時就用虛偽的行為來粉飾自己。污邪詐偽之行、還有比這大的嗎。

 孔某和他的弟子閑坐、曰。舜見了瞽叟、蹙躇不安。這時天下真危險呀。周公旦不是
 仁義之人吧、否則為何舍棄他的家室而寄居在外呢。孔某的所行、都出于他的心術。
 他的朋輩和弟子都效法孔某。子貢、季路輔佐孔悝在衛國作亂。陽貨在齊作亂。佛肸
 以中牟反叛;漆雕開刑殺。殘暴沒有比這更大的了。凡是弟子對于老師、必定學習他
 的言語、效法他的行為、直到力量不足、智力不及才作罷。現在孔某的行為如此,那
 么一般儒士就可以懷疑了。



《解説》孔子の国、魯に生まれた墨子は、はじめ儒家に学んだ。しかもこれに叛旗をひ
るがえし、思想的な一大敵国を形成するに至ったのは、かれが庶民の出身だったという
ことと無縁ではない。儒家の支特別である。”君子”とは、まったく立場が異なるばか
りでなく、体質的にも反撥するものがあったにちがいない。しかも孔子が没して後の儒
家の末流は、形式のとりことなり、「非儒編」のことばをかりていえば、”とむらい屋”
になり下っていた。

墨子にとって、王侯覇者の権力に奉仕している儒家の徒は、まさに唾棄すべき存在であ
った。……かれらは、他人に寄生して飲み食いし、他人の畑をあてにして威張りかえっ
ているのだ、と。「君子は作らず。述ぶるのみ」という儒家のエリート意識jインテリ
の思い上りを、墨子は鋭く衝く。「われおもえらく、古の善きものはすなわちこれを述
べ、いまの善きものはすなわちこれを作るべしと。善のますます多からんことを欲する
なり」(耕柱編)。

わたしたちは、この墨子のことばに、いわゆる。先王之道〃にとらわれぬ、柔軟な庶民
の思考をみる。実践を理論の優位において、日常不断の運動の中から明日の倫理を築い
ていこうとする行動入墨子の面目躍如たるものがある。もっとも、「非儒編」は、後代
の墨徒が私説(私憤?)を大いにまじえて書いたものともいわれ、儒者に対するいささ
か非論理的な悪口がならべたててあって、かんじんの墨子の思想は影がうすくなってい
る感なきにしもあらずである

尚、次回は「親士――人材尊重」。

 

 

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