とある部署の女性が、かわいいピンクの箸を取り出して食事をし始めるのを、ふと目撃した。
この方は、どんな色でも似合うという稀有な女性なのだが、ピンクもよく似会って、女性らしい
内面の持ち主であることがうかがい知れる。
会社の食堂での話である。以前は皆と同じ会社の割りばしで食べていたのである。
「マイ・箸?」と後で聞くと、にっこり笑って「そ、マイ・箸」と答えたのだった。
以前も同じ部署のベテラン女性が、マイ・箸を取り出すのを目撃して聞いたことがあったので、
二人目なのだ。すでに、何人かマイ・カップでコーヒーを飲んでいるのは知っていた。
実はそれに触発されて、わたしもマイ・カップを持参していたのである。共有のカップ置き場に
置くので、なるべく目立たないような無地のカップにしたのだが、その初日に、ちらと
一瞥されただけで、「マイ・カップ?」と言われてしまったのだった。最初にマイ・箸を
持参した女性だったのだ。スルドイなあ…と感心したものである。
そんな、静かなるマイ・ブームの中で、コーヒーを飲み終えてマイ・カップを洗い場に
置いて行こうとした時、「今度から自分のカップ自分で洗ってもらえる?」と食堂のおぼさんが
言うのである。わたしはちょっと驚いたが「ああいいですよ」と言って洗剤できれいに
洗って,茶碗置き場に置いて立ち去った。
立ち去りつつ、「きっとわたしは、かおばさんに何か失礼なことをやらかしたに違いない…」と
思い巡らせていた。おばさんとはよく話もするし、持参したお菓子などよくもらって食べたり
していたのだ。飲み終わったカップを洗い場に持っていくと「そこに置いといていいよ」と
必ず声を掛けて洗ってくれていたのである。
わたしは、そこつ者なので、良かれと思ってしたことや、何気なくした行為が、気づかないうちに
相手を傷付けてしまっていることがあるのだ。わたしのやらかすチョンボのほとんどがそれなのである。
「また何かやらかしたに違いない…」その日一日その思いが引っ掛かって、どんよりと暗い気分
だった。翌日、このままではすっきりしないので、食堂の洗い場でマイ・カップを洗いつつ
思いきって、「オレ、何かOさんに失礼なことしちゃったかなあ」と聞いてみた。すると、
「いやあ、この前ねえ、Kさんのマイ・カップを割ってしまったのよう」と我が上司の名前が
出てきたではないか。
どうやら、それがちょっとしたトラウマになったようなのだ。「なあ~ンだ、オレOさんの
気に障ることをやらかしたのかと思って、ガックリしてたんだよ」と言うと「ごめんネ」と
言って苦笑いした。
何はともあれ、理由がハッキリしたので、わたしはホッとして、いそいそとマイ・カップを
洗って食堂を後にした。そして、軽やかな足取りで、部署へと向かったのだった…。
この方は、どんな色でも似合うという稀有な女性なのだが、ピンクもよく似会って、女性らしい
内面の持ち主であることがうかがい知れる。
会社の食堂での話である。以前は皆と同じ会社の割りばしで食べていたのである。
「マイ・箸?」と後で聞くと、にっこり笑って「そ、マイ・箸」と答えたのだった。
以前も同じ部署のベテラン女性が、マイ・箸を取り出すのを目撃して聞いたことがあったので、
二人目なのだ。すでに、何人かマイ・カップでコーヒーを飲んでいるのは知っていた。
実はそれに触発されて、わたしもマイ・カップを持参していたのである。共有のカップ置き場に
置くので、なるべく目立たないような無地のカップにしたのだが、その初日に、ちらと
一瞥されただけで、「マイ・カップ?」と言われてしまったのだった。最初にマイ・箸を
持参した女性だったのだ。スルドイなあ…と感心したものである。
そんな、静かなるマイ・ブームの中で、コーヒーを飲み終えてマイ・カップを洗い場に
置いて行こうとした時、「今度から自分のカップ自分で洗ってもらえる?」と食堂のおぼさんが
言うのである。わたしはちょっと驚いたが「ああいいですよ」と言って洗剤できれいに
洗って,茶碗置き場に置いて立ち去った。
立ち去りつつ、「きっとわたしは、かおばさんに何か失礼なことをやらかしたに違いない…」と
思い巡らせていた。おばさんとはよく話もするし、持参したお菓子などよくもらって食べたり
していたのだ。飲み終わったカップを洗い場に持っていくと「そこに置いといていいよ」と
必ず声を掛けて洗ってくれていたのである。
わたしは、そこつ者なので、良かれと思ってしたことや、何気なくした行為が、気づかないうちに
相手を傷付けてしまっていることがあるのだ。わたしのやらかすチョンボのほとんどがそれなのである。
「また何かやらかしたに違いない…」その日一日その思いが引っ掛かって、どんよりと暗い気分
だった。翌日、このままではすっきりしないので、食堂の洗い場でマイ・カップを洗いつつ
思いきって、「オレ、何かOさんに失礼なことしちゃったかなあ」と聞いてみた。すると、
「いやあ、この前ねえ、Kさんのマイ・カップを割ってしまったのよう」と我が上司の名前が
出てきたではないか。
どうやら、それがちょっとしたトラウマになったようなのだ。「なあ~ンだ、オレOさんの
気に障ることをやらかしたのかと思って、ガックリしてたんだよ」と言うと「ごめんネ」と
言って苦笑いした。
何はともあれ、理由がハッキリしたので、わたしはホッとして、いそいそとマイ・カップを
洗って食堂を後にした。そして、軽やかな足取りで、部署へと向かったのだった…。
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