つぶや句

夢追いおっさんの近況および思うことを気まぐれに。

マイ・ブーム

2011-08-11 04:11:32 | 会社
とある部署の女性が、かわいいピンクの箸を取り出して食事をし始めるのを、ふと目撃した。
この方は、どんな色でも似合うという稀有な女性なのだが、ピンクもよく似会って、女性らしい
内面の持ち主であることがうかがい知れる。

会社の食堂での話である。以前は皆と同じ会社の割りばしで食べていたのである。
「マイ・箸?」と後で聞くと、にっこり笑って「そ、マイ・箸」と答えたのだった。

以前も同じ部署のベテラン女性が、マイ・箸を取り出すのを目撃して聞いたことがあったので、
二人目なのだ。すでに、何人かマイ・カップでコーヒーを飲んでいるのは知っていた。

実はそれに触発されて、わたしもマイ・カップを持参していたのである。共有のカップ置き場に
置くので、なるべく目立たないような無地のカップにしたのだが、その初日に、ちらと
一瞥されただけで、「マイ・カップ?」と言われてしまったのだった。最初にマイ・箸を
持参した女性だったのだ。スルドイなあ…と感心したものである。

そんな、静かなるマイ・ブームの中で、コーヒーを飲み終えてマイ・カップを洗い場に
置いて行こうとした時、「今度から自分のカップ自分で洗ってもらえる?」と食堂のおぼさんが
言うのである。わたしはちょっと驚いたが「ああいいですよ」と言って洗剤できれいに
洗って,茶碗置き場に置いて立ち去った。

立ち去りつつ、「きっとわたしは、かおばさんに何か失礼なことをやらかしたに違いない…」と
思い巡らせていた。おばさんとはよく話もするし、持参したお菓子などよくもらって食べたり
していたのだ。飲み終わったカップを洗い場に持っていくと「そこに置いといていいよ」と
必ず声を掛けて洗ってくれていたのである。

わたしは、そこつ者なので、良かれと思ってしたことや、何気なくした行為が、気づかないうちに
相手を傷付けてしまっていることがあるのだ。わたしのやらかすチョンボのほとんどがそれなのである。

「また何かやらかしたに違いない…」その日一日その思いが引っ掛かって、どんよりと暗い気分
だった。翌日、このままではすっきりしないので、食堂の洗い場でマイ・カップを洗いつつ
思いきって、「オレ、何かOさんに失礼なことしちゃったかなあ」と聞いてみた。すると、
「いやあ、この前ねえ、Kさんのマイ・カップを割ってしまったのよう」と我が上司の名前が
出てきたではないか。

どうやら、それがちょっとしたトラウマになったようなのだ。「なあ~ンだ、オレOさんの
気に障ることをやらかしたのかと思って、ガックリしてたんだよ」と言うと「ごめんネ」と
言って苦笑いした。

何はともあれ、理由がハッキリしたので、わたしはホッとして、いそいそとマイ・カップを
洗って食堂を後にした。そして、軽やかな足取りで、部署へと向かったのだった…。

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