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ぽかぽか春庭「東京楽友交響楽団のハーリ・ヤーノシュ」

2012-04-03 00:00:01 | エッセイ、コラム
2012/04/03
ぽかぽか春庭十二単日記>はるHAL春(2)東京楽友交響楽団のハーリ・ヤーノシュ

 土曜日ほどではないですが日曜日もまだ風が強く、コートが必要な気温でしたが、気分は光の春。春を味わおうとコンサートに出かけました。錦糸町のトリフォニーホールでの、東京楽友協会交響楽団第92回定期演奏会。

 毎年、春にはこの楽友協会のコンサートを聞きます。アマチュアオーケストラですが、各地の区民交響楽団やら大学オーケストラやらを聞き比べた結果、アマチュアの中でもっとも演奏技術が確かな、プロにも負けない音を持つオケだと思っています。
 毎年聞いているのは、葉書招待券が貰えるから。15年ほど前に入場料500円払って聞いて、招待券応募のアンケートに名前を書いたら、そのあとずっと招待葉書が送られてくるのです。

 昨年、震災後の節電モードで公共ホールなどが閉鎖になり、プロのオーケストラも軒並み演奏会中止となりました。そのため、入場料収入が激減しオーケストラの財政が悪化しているというニュースを読みました。
 お金払って音楽を聞くのも、文化振興のためには必要なことなのだとわかってはいるのですが、こうして無料招待のオーケストラが聞けるとなると、足の向くのは無料の方で、プロの方々すみません。

 今回も期待に違わぬすばらしい演奏でした。指揮、田部井剛。曲目は、はじめて聞くものばかり。東欧作曲家特集ということで、リゲティ作曲「ルーマニア協奏曲」、コダーイ作曲、組曲「ハーリ・ヤーノシュ」、シェーンベルクが交響曲用に編曲をしたブラームス作曲ピアノ四重奏曲第1番ト短調作品25。
 堂々の演奏で、アマチュアとは思えない音でした。

 コダーイ(Kodaly Zoltan, 1882-1967。ハンガリーは、元はアジアの民族なので姓が先、名をあとに名乗る)は、ハンガリーの言語学者、哲学者。民族音楽の研究を続けブダペスト音楽院教授。音楽家としては、アマチュアに徹して作曲を続けました。1910年に19歳年上の作曲家シャンドル・エンマ(1863-1958)と結婚。エンマが1958年に95歳の長命を保って死去した1年後、77歳のコダーイ、今度は58歳年下の19歳の教え子シャルロッタと再婚しました。1967年にコダーイが84歳で亡くなったあと、シャルロッタはコダーイ未亡人として、彼の音楽を守って暮らしたみたい。次はシャルトッタが20歳年下の若い音楽家と再婚したなら、お話としては「ハーリ・ヤーノシュ」と同じくらい面白いのに。

 ハーリ・ヤーノシュHary Janosは、コダーイ作曲の歌劇。ハンガリーの老農夫が、「七つの頭のドラゴンを退治した話、ナポレオンと戦って捕虜となる話、オーストリア皇帝フランツの娘マリー・ルイーズ王女から求婚されたが断った話 など、大ボラ吹きの冒険譚を語って聞かせます。
 コダーイは、歌劇を元にした組曲を残しました。第1曲「前奏曲、おとぎ話は始まる」第2曲「ウィーンの音楽時計」第3曲「歌」第4曲「戦争とナポレオンの敗北」第5曲「間奏曲」第6曲「皇帝と廷臣たちの入場」

 第3曲と第5曲にハンガリーの民族楽器ツィンバロムCimbalomが演奏されます。もらったプログラムの演奏メンバー表によると、楽友協会でツィンバロムを演奏したのは、崎村潤子さん。よい演奏でした。
 演奏が終わって休憩になると、観客の何人かはステージにかけ寄り、このめったに見られない楽器を眺めていました。ヤジ馬大好きの私ももちろん、ステージ前へ行って、ツィンバロムをしげしげと見ました。

 チェコのツィター(映画『第三の男』のテーマ曲が有名)、中国の楊琴(ヤンチン)と同じ、弦を横に並べてバチで叩く楽器です。
 ツィター属の楽器は、「共鳴体に弦を平行に張ったもので、かつリュート属のようなネックを持たないもの」で、ツィターが弦を爪ではじく演奏なのに対し、ツィンバロムや楊琴は、バチで叩いて演奏します。

 どこのオケの演奏なのかわからないのですが、youtubeにUPされているツィンバロム演奏の第5曲「間奏曲」
http://www.youtube.com/watch?feature=endscreen&v=zSv5CvhOEsA&NR=1

リゲティ作曲「ルーマニア協奏曲」 
http://www.youtube.com/watch?v=5IRw1fIyrO0

 2009年に中国で演奏体験させてもらった時の楊琴は、こんな楽器です。


中国楊琴

<つづく>
コメント (6)
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